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発明の名称 鍵盤蓋の開閉機構
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−102045(P2007−102045A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−294263(P2005−294263)
出願日 平成17年10月7日(2005.10.7)
代理人 【識別番号】100090619
【弁理士】
【氏名又は名称】長南 満輝男
発明者 星野 暁久
要約 課題
簡単な構造で、鍵盤蓋を円滑に開閉でき、且つ楽器ケースの小型化を図るようにする。

解決手段
前蓋12と後蓋13とが蝶番14で折れ曲がり可能に連結された鍵盤蓋3を開閉するときに、前蓋12を鍵盤部2の前後方向にガイドすると共に前蓋12の移動時にその後部側を支持する第1ガイド部15と、鍵盤蓋3を開くときに蝶番14で折れ曲がる後蓋13を斜め下方に向けてガイドして起立させる第2ガイド部16とを備えた。従って、鍵盤蓋3が前蓋12と後蓋13とを折れ曲がり可能に連結した構成であっても、従来例のような補助機構を必要とせず、簡単な構造で、鍵盤蓋3の開閉時に前蓋12の後部側を支持しながら前蓋12を安定させた状態で円滑にガイドできる。また、前蓋12と後蓋13とをほぼ同じ大きさ、または前蓋12を後蓋13よりも短く形成できるので、鍵盤蓋3をコンパクトに収納でき、楽器ケース1全体のより一層の小型化が図れる。
特許請求の範囲
【請求項1】
前蓋と後蓋とを連結部によって折れ曲がり可能に連結して鍵盤蓋を構成し、この鍵盤蓋で楽器ケース内に設けられた鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋の開閉機構において、
前記鍵盤蓋を開閉するときに前記前蓋を前記鍵盤部の前後方向にガイドすると共に前記前蓋が移動するときに前記前蓋の後部側を支持する第1ガイド部と、
前記鍵盤蓋を開くときに前記連結部で折れ曲がる前記後蓋を前記鍵盤部の後方から斜め下方に向けてガイドして前記後蓋を起立させる第2ガイド部と、
前記第2ガイド部に設けられて前記後蓋が起立した状態のときに前記後蓋の後端部の移動を阻止して前記後蓋の後端部を回動可能に保持する保持部と、
前記楽器ケース内の後面に設けられて前記後蓋が起立して後方に傾いたときに前記後蓋の前端部が弾力的に当接するストッパ部と
を備えたことを特徴とする鍵盤蓋の開閉機構。
【請求項2】
前記第1ガイド部は、前記前蓋の前端部に設けられたガイド軸部と、前記楽器ケース内の両側面に設けられて前記ガイド軸部の両端を前記鍵盤部に沿ってガイドする前蓋ガイド部材と、前記前蓋が移動するときに前記前蓋の下面側を支持するガイド支持部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤蓋の開閉機構。
【請求項3】
前記前蓋の下面には、前記前蓋が移動するときに前記ガイド支持部上を摺動する摺動部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鍵盤蓋の開閉機構。
【請求項4】
前記前蓋ガイド部材には、前記後蓋が起立し後方に傾いて前記ストッパ部に当接した状態で前記前蓋が前記楽器ケース内に収納されたときに、前記ガイド軸部の前方への移動を規制する補助ストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の鍵盤蓋の開閉機構。
【請求項5】
前記第2ガイド部は、前記後蓋の後端部に設けられたピニオンと、前記楽器ケース内の側面に設けられて前記ピニオンが噛み合って転動するラックと、前記ピニオンを前記ラックに沿って斜め上下方向にガイドして前記後蓋を起立させた状態で前記楽器ケース内に収納させるピニオンガイド溝部とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれに記載の鍵盤蓋の開閉機構。
【請求項6】
前記後蓋の重量を軽減するためのダンパー部材を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれに記載の鍵盤蓋の開閉機構。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノなどの鍵盤楽器における鍵盤蓋の開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、楽器ケースのコンパクト化を図るために、鍵盤蓋を前蓋と後蓋とに分割し、この前蓋と後蓋とを連結部で折れ曲がり可能に連結して鍵盤蓋を構成し、この鍵盤蓋で楽器ケース内に設けられた鍵盤部を開閉自在に覆うように構成することにより、鍵盤蓋を開いて鍵盤部を露呈させたときに、前蓋と後蓋とが連結部で折れ曲がって楽器ケース内に収納され、また鍵盤蓋を楽器ケース内から引き出して閉じたときに、前蓋と後蓋とが平板状に連続して鍵盤部の上方を覆うように構成したものがある。
【特許文献1】特開平10−198339号
【0003】
このような鍵盤楽器における鍵盤蓋の開閉機構は、鍵盤蓋を楽器ケース内に収納するときに、前蓋を鍵盤部の前側から後側に向けて移動させると、後蓋が連結部で折れ曲がりながら鍵盤部の後方に向けて移動し、前蓋が楽器ケース内に収納されたときに、後蓋の後端部が下がって後蓋が起立した状態で収納されるのであるが、後蓋が連結部で折れ曲がるときに、前蓋の後部が不安定な状態になるため、前蓋の後部を補助機構で支持するように構成されている。
【0004】
すなわち、この補助機構は、楽器ケース内に前蓋の後部を支持する支持板を前後方向に回動可能に起立させて設け、前蓋が開く方向に移動して後蓋が連結部で折れ曲がり始めたときに、支持板の上端部で前蓋の後部を支持し、この状態で更に前蓋が開く方向に移動するときに、その移動に伴って支持板が後方に回動しながら前蓋の後部を支持し続けることにより、前蓋の後部の下がりを規制し、また鍵盤蓋を閉じるときにも、前蓋の移動に伴って支持板が前蓋を支持した状態で上記とは逆の前方に向けて回動しながら前蓋の後部を支持し続け、鍵盤蓋が完全に閉じるときに支持板が前蓋から離れるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の鍵盤蓋の開閉機構では、鍵盤蓋を楽器ケース内に収納するときに、前蓋の動作に伴って前蓋の後部を可動部である補助機構で支持しなければならず、またこの補助機構の支持板が後蓋の移動を妨げないように、支持板を楽器ケース内に回動可能に設ける必要があるばかりか、鍵盤蓋を開閉動作させるときに前蓋の後部を常に支持板で支持し、鍵盤蓋を閉じたときに支持板が前蓋から離れるように構成しなければならない。
【0006】
このため、この従来の鍵盤蓋の開閉機構では、補助機構の支持板の取付位置やその組立時に微妙な精度が要求されるばかりか、補助機構の設置場所および補助機構の動作範囲を確保する必要があるため、楽器ケース内に補助機構を設置するための広いスペースが必要となり、これに伴って楽器ケース全体が大型化するという問題がある。特に、補助機構の支持板で前蓋の後部を支持することで、鍵盤蓋全体の動作軌道を作っているため、鍵盤蓋を分割する際、前蓋を後蓋よりも長く構成しなければならず、このため前蓋の前後方向の移動距離が長くなり、これによっても楽器ケース全体が大型化するという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、鍵盤蓋を円滑に開閉することができると共に、楽器ケースのより一層の小型化を図ることができる鍵盤蓋の開閉機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
なお、各構成要素には、後述する各実施形態の項で説明される各要素に付されている図面の参照番号などを括弧と共に付す。
【0009】
請求項1に記載の発明は、図1〜図12に示すように、前蓋(12)と後蓋(13)とを連結部(蝶番14)によって折れ曲がり可能に連結して鍵盤蓋(3)を構成し、この鍵盤蓋で楽器ケース(1)内に設けられた鍵盤部(2)を開閉自在に覆う鍵盤蓋の開閉機構において、
前記鍵盤蓋を開閉するときに前記前蓋を前記鍵盤部の前後方向にガイドすると共に前記前蓋が移動するときに前記前蓋の後部側を支持する第1ガイド部(15)と、前記鍵盤蓋を開くときに前記連結部で折れ曲がる前記後蓋を前記鍵盤部の後方から斜め下方に向けてガイドして前記後蓋を起立させる第2ガイド部(16)と、前記第2ガイド部に設けられて前記後蓋が起立した状態のときに前記後蓋の後端部の移動を阻止して前記後蓋の後端部を回動可能に保持する保持部(17)と、前記楽器ケース内の後面に設けられて前記後蓋が起立して後方に傾いたときに前記後蓋の前端部が弾力的に当接するストッパ部(18)とを備えたことを特徴とする鍵盤蓋の開閉機構である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、図1〜図12に示すように、前記第1ガイド部(15)が、前記前蓋(12)の前端部に設けられたガイド軸部(20)と、前記楽器ケース(1)内の両側面に設けられて前記ガイド軸部の両端を前記鍵盤部(2)に沿ってガイドする前蓋ガイド部材(21)と、前記前蓋が移動するときに前記前蓋の下面側を支持するガイド支持部(22)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤蓋の開閉機構である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、図1〜図12に示すように、前記前蓋(12)の下面に、前記前蓋が移動するときに前記ガイド支持部(22)上を摺動する摺動部材(24)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鍵盤蓋の開閉機構である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、図1〜図12に示すように、前記前蓋ガイド部材(21)に、前記後蓋(13)が起立し後方に傾いて前記ストッパ部(18)に当接した状態で前記前蓋(12)が前記楽器ケース(1)内に収納されたときに、前記ガイド軸部(20)の前方への移動を規制する補助ストッパ部(30)が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の鍵盤蓋の開閉機構である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、図1〜図12に示すように、前記第2ガイド部(16)が、前記後蓋(13)の後端部に設けられたピニオン(25)と、前記楽器ケース(1)内の側面に設けられて前記ピニオンが噛み合って転動するラック(26)と、前記ピニオンを前記ラックに沿って斜め上下方向にガイドして前記後蓋を起立させた状態で前記楽器ケース(1)内に収納させるピニオンガイド溝部(27)とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれに記載の鍵盤蓋の開閉機構である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、図9〜図12に示すように、前記後蓋(13)の重量を軽減するためのダンパー部材(36)を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれに記載の鍵盤蓋の開閉機構である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、前蓋と後蓋とが連結部で折れ曲がり可能に連結された鍵盤蓋を開閉するときに、前蓋を楽器ケース内の鍵盤部の前後方向にガイドすると共に前蓋が移動するときに前蓋の後部側を支持する第1ガイド部と、鍵盤蓋を開くときに連結部で折れ曲がる後蓋を鍵盤部の後方から斜め下方に向けてガイドして後蓋を起立させる第2ガイド部とを備えていることにより、鍵盤蓋を開くときに、第1ガイド部によって前蓋の後部を支持しながら前蓋をガイドすることができると共に、第2ガイド部によって後蓋を斜め下方に向けてガイドして起立させた状態で楽器ケース内に収納することができる。このため、鍵盤蓋が前蓋と後蓋とを連結部で折れ曲がり可能に連結した構成であっても、従来例の補助機構のような可動部を必要とせず、簡単な構造で、鍵盤蓋の開閉時に前蓋の後部の下がりを規制して、鍵盤蓋を安定させた状態で円滑に開閉することができる。
【0016】
また、鍵盤蓋を楽器ケース内に収納したときには、後蓋が起立した状態で第2ガイド部に設けられた保持部によって後蓋の後端部が回動可能に保持されるので、この起立した後蓋によって前蓋の後端部を支持することができ、これにより前蓋がガイド支持部から後方に離れていても、前蓋の後端部を安定した状態で支持することができると共に、鍵盤蓋を閉じるときには、起立した後蓋が前蓋の後端部を支持しながら保持部を中心に前方に回動するので、滑らかに鍵盤蓋を引き出すことができる。また、後蓋が起立して後方に傾いたときには、楽器ケース内の後面に設けられたストッパ部に後蓋の前端部が弾力的に当接するので、鍵盤蓋を楽器ケース内に収納したときに、起立した後蓋を後方に傾けた一定の状態で保持することができ、これにより鍵盤蓋を安定した一定の状態で良好に楽器ケース内に収納することができる。
【0017】
このように、請求項1に記載の発明によれば、鍵盤蓋を開閉するときに第1ガイド部が前蓋の後部側の下がりを規制しながら前蓋を安定させた状態で鍵盤部の前後方向にガイドするので、前蓋と後蓋とをほぼ同じ大きさ、あるいは前蓋を後蓋よりも短く形成することができ、このため前蓋と後蓋との前後方向への移動距離を短くすることができると共に、前蓋と後蓋とを楽器ケース内にコンパクトに収納することができ、これにより楽器ケース全体のより一層の小型化を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、第1ガイド部が、前蓋の前端部に設けられたガイド軸部と、楽器ケース内の両側面に設けられてガイド軸部の両端を鍵盤部に沿ってガイドする前蓋ガイド部材と、前蓋が移動するときに前蓋の下面側を支持するガイド支持部とを備えていることにより、前蓋のガイド軸部が楽器ケースに設けられた前蓋ガイド部材に沿ってガイドされるため、前蓋を安定したほぼ一定の状態で移動させることができると共に、前蓋が移動するときに、ガイド支持部によって前蓋の後部を確実に支持することができ、これにより可動部を必要としない簡単な構造で、前蓋の後部の下がりを規制して、前蓋を安定したほぼ一定の状態で良好に開閉移動させることができる。
【0019】
この場合、例えば、ガイド支持部が、鍵盤部のほぼ中間部に対応する箇所から鍵盤部の後端部に対応する箇所において、緩やかに盛り上がる山形状に連続して形成され、鍵盤蓋を閉じた状態のときに前蓋の後端部近傍に山形状のガイド支持部の前端部が位置するように構成されていれば、前蓋を開く方向に移動させたときに前蓋の後部下面側を速やかにガイド支持部で支持することができ、これにより前蓋を安定させた状態で良好に移動させることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、前蓋の下面に、前蓋が移動するときにガイド支持部上を摺動する摺動部材が設けられていることにより、前蓋の後部がガイド支持部で支持されながら移動するときに、前蓋の下面に設けられた摺動部材がガイド支持部上を摺動するので、前蓋の動作性が良く、円滑に且つ良好に前蓋を移動させることができる。
【0021】
この場合、特に摺動部材は、その前部および後部が斜め上方に傾斜する傾斜部に形成されて、全体がそり形状に形成されていれば、前蓋が移動するときに前部と後部とのいずれかの傾斜部がガイド支持部に滑らかに接触しながら乗り上げるので、前蓋をガイド支持部で支持しながら円滑に移動させることができる。また、この摺動部材に、例えば滑り性を有する樹脂シートで無反発力または低反発力のクッション材を覆った滑り部材を設け、この滑り部材の樹脂シートをガイド支持部上に接触させて摺動させれば、異音や振動の発生を防ぐことができ、より一層、円滑に且つ良好に前蓋を移動させることができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、前蓋ガイド部材に、後蓋が起立し後方に傾いてストッパ部に当接した状態で前蓋が楽器ケース内に収納されたときに、ガイド軸部の前方への移動を規制する補助ストッパ部が設けられていることにより、後蓋が起立して後方に傾いた状態で、後蓋の前端部を楽器ケース内の後面に設けられたストッパ部に弾力的に当接させただけでも、補助ストッパ部によってガイド軸部の前方への移動を規制することができるので、鍵盤蓋が勝手に閉じる方向に移動するのを阻止することができ、これにより安全性を高めることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、第2ガイド部が、後蓋の後端部に設けられたピニオンと、楽器ケース内の側面に設けられてピニオンが噛み合って転動するラックと、ピニオンをラックに沿って斜め上下方向にガイドして後蓋を起立させた状態で楽器ケース内に収納させるピニオンガイド溝部とを備えていることにより、鍵盤蓋を開くときに、連結部で折れ曲がる後蓋を斜め下方に向けてガイドして起立させることができ、また鍵盤蓋を閉じるときに、後蓋を斜め上方に向けてガイドして前蓋とほぼ平行な状態にすることができるので、鍵盤蓋の開閉時に後蓋を安定したほぼ一定の状態で移動させることができ、これによっても鍵盤蓋全体を円滑に且つ良好に開閉することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、後蓋の重量を軽減するためのダンパー部材を備えていることにより、後蓋を斜め下方に向けて移動させて起立させるときに、後蓋がその重量によって急激に移動するのを防ぐことができると共に、後蓋が起立した状態で収納されていても、この後蓋を引き上げるときに、軽い力で引き上げることができ、これにより鍵盤蓋を常にほぼ一定の力で安定した状態で開閉させることができるので、より一層、使い勝手の良いものを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施形態1)
以下、図1〜図8を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1〜図4に示すように、楽器ケース1内の前側(図1では左側)に鍵盤部2が配置され、この鍵盤部2の上側に鍵盤蓋3が開閉自在に設けられた構成になっている。
【0026】
楽器ケース1は、図1〜図4に示すように、底板4を備えている。この底板4の前端部(図1では左端部)には、前板5が立設されており、この底板4の後端部(図1では右端部)に後板6が立設されている。また、底板4の両側部(図1では紙面の表裏面方向)には、側板7がそれぞれ立設されており、これら側板4の上部における後部間(図1では右側部間)には、天板8が後板6の上端部に載置されて設けられている。これにより、楽器ケース1は、前板5と天板8との間が上方に開放された構成になっている。
【0027】
鍵盤部2は、図1〜図4に示すように、白鍵および黒鍵などの鍵10を鍵盤シャーシ11上に複数配列したものであり、この複数の鍵10が前板5と天板8との間に位置して上部側が外部に露呈した状態で、楽器ケース1内の底板4上に設けられている。また、鍵盤蓋3は、図1〜図4に示すように、前蓋12と後蓋13とに分割され、この前蓋12と後蓋13とが連結部である蝶番14によって折れ曲がり可能に連結され、この状態で楽器ケース1内の上部側に前後方向へ移動可能に設けられ、これにより鍵盤部2を開閉自在に覆うように構成されている。
【0028】
すなわち、この鍵盤蓋3の開閉機構は、図1〜図4に示すように、鍵盤蓋3を開閉するときに前蓋12を鍵盤部2の前後方向にガイドすると共に前蓋12が移動するときに前蓋12の後部側(図1では右側)を支持する第1ガイド部15と、鍵盤蓋3を開くときに後蓋13を鍵盤部2の後方から斜め下方に向けてガイドして後蓋13を起立させる第2ガイド部16とを備えているほか、この第2ガイド部16に設けられて後蓋13が起立した状態のときに図4に示すように後蓋13の後端部側(図4では下端部側)の移動を阻止して後蓋13の後端部を回動可能に保持する保持部17と、楽器ケース1の後板6の内面に設けられて後蓋13が起立して後方に傾いたときに図4に示すように後蓋13の前端部(図4では上端部)が弾力的に当接するストッパ部18とを備えている。
【0029】
この場合、第1ガイド部15は、図1〜図6に示すように、前蓋12の前端部に設けられたガイド軸部20と、楽器ケース1の両側に位置する側板7の内面にそれぞれ設けられてガイド軸部20の両端を鍵盤部2に沿って前後方向にガイドする前蓋ガイド部材21(図1〜図4では片方のみを示す)と、前蓋12が移動するときに前蓋12の下面側を支持するガイド支持部22とを備えている。
【0030】
すなわち、ガイド軸部20は、図1〜図5に示すように、前蓋12の前端部に設けられたフロントカバー23の下端部に設けられ、その両側が前蓋12の両側から突出し、この突出した各端部20a(図5では片方のみを示す)がそれぞれ前蓋ガイド部材21に沿ってガイドされるように構成されている。なお、フロントカバー23は、図5に示すように、その両端部(図5では片側のみを示す)にガイド支持部22を避けるための切欠け部23aが設けられている。
【0031】
前蓋ガイド部材21は、図5および図6に示すように、ガイド軸部20の端部20aが移動自在に挿入するガイド溝部21aが設けられた板状部材であり、図1〜図4に示すように、鍵盤部2の前端部からその上部に沿って鍵盤部2の後端部に亘った状態で、楽器ケース1の側板7の内面にそれぞれ埋め込まれて設けられている。ガイド支持部22は、図6に示すように、楽器ケース1の側板7の内面から突出した状態で、前蓋ガイド部材21の上端部に一体に設けられ、前蓋12が移動するときに前蓋12の後部下面側を支持するように構成されている。
【0032】
すなわち、このガイド支持部22は、図1〜図4に示すように、鍵盤部2のほぼ中間部に対応する上部側の箇所から鍵盤部2の後端部に対応する上部側の箇所の間に、緩やかに盛り上がる山形状に連続して設けられている。この場合、ガイド支持部22は、図1〜図4に示すように、前部側が緩やかに上昇する前側斜面22a、つまり鍵盤蓋3が閉じた状態のときの前蓋12と後蓋13との傾斜とほぼ同じ傾斜の斜面に形成され、後部側が緩やかに降下する後側斜面22bに形成されている。これにより、ガイド支持部22は、図1に示すように、鍵盤蓋3が閉じた状態のときに前蓋12の後端部がガイド支持部の前側斜面22aの近傍に離れて、後蓋13の前部側の下面を前側斜面22aで支持し、前蓋12が移動するときに前蓋12の後部下面側を前側斜面22aと後側斜面22bとのいずれかで支持するように構成されている。
【0033】
また、前蓋12の後部側における下面両側には、図1〜図4に示すように、ガイド支持部22上を摺動する摺動部材24(図1〜図4では片方のみを示す)が設けられている。この摺動部材24は、図7(a)〜図7(c)に示すように、前部側と後部側とがそれぞれ斜め上方に傾斜する傾斜部24a、24bに形成されて、全体がそり形状に形成され、図6に示すように、前蓋12の後部側における下面にビス24cによって取り付けられ、これによりガイド支持部22上を滑らかに摺動するように構成されている。
【0034】
一方、第2ガイド部16は、図1〜図4に示すように、後蓋13の後端部(図1では右端部)に設けられたピニオン25と、楽器ケース1の両側に位置する各側板7の内面に設けられてピニオン25が噛み合って転動するラック26と、ピニオン25をラック26に沿って斜め上下方向にガイドして後蓋13を起立させた状態で楽器ケース1内に収納させるためのピニオンガイド溝部27とを備えている。この場合、ピニオン25は、図8に示すように、ピニオン軸28の両端部(図8では片側のみを示す)に一体に設けられており、このピニオン軸28は、図1〜図4に示すように、後蓋13の後端部に取り付けられた取付板29に回転自在に取り付けられている。
【0035】
ラック26は、図1〜図4に示すように、ピニオン25が噛み合う歯部が鍵盤部2の後部に対応する上部側から鍵盤部2の後方に沿って円弧状に湾曲し、その下部側が鍵盤部2の後部下方に向けてほぼ垂直に形成されている。ピニオンガイド溝部27は、図1〜図4に示すように、ピニオン軸28の各端部28aがラック26に沿って移動自在に挿入する溝であり、ラック26に沿う曲線状に形成され、その下端部に保持部17が一体に設けられている。この保持部17は、後蓋13が起立した状態のときにピニオン軸28の端部28aが当接することにより、図4に示すように、後蓋13の後端部側(図4では下端部側)の移動を阻止して後蓋13の後端部を回動可能に保持するように構成されている。
【0036】
ストッパ部18は、例えば無反発・低反発のクッションあるいはゴムなどの緩衝材からなり、図1〜図4に示すように、楽器ケース1の後板6の内面に設けられ、後蓋13が起立して後方に傾いたときに図4に示すように後蓋13の前端部(図4では上端部)が弾力的に当接し、これにより後蓋13を保持するように構成されている。この場合、第1ガイド部15の前蓋ガイド部材21には、後蓋13が起立して後方に傾いた状態でストッパ部18に当接したときに、前蓋12のガイド軸部20が前方へ移動するのを規制する補助ストッパ部30が設けられている。この補助ストッパ部30は、前蓋ガイド部材21のガイド溝部21a内に設けられた段差部であり、この段差部で前蓋12のガイド軸部20の端部20aを係止するように構成されている。
【0037】
次に、図1〜図4を参照して、この鍵盤蓋3の開閉動作について説明する。
まず、図1に示すように、鍵盤蓋3を閉じた状態のときには、前蓋12と後蓋13とが蝶番14で折れ曲がることなく、ほぼ平板状に連続して鍵盤部2の上方を覆う。このときには、前蓋12の前部に設けられたガイド軸部20の端部20aが第1ガイド部15の前蓋ガイド部材21におけるガイド溝部21aの前端部に位置する。
【0038】
また、このときには、後蓋13の後端部に設けられたピニオン25が第2ガイド部16のラック26の上端部に位置すると共に、ピニオン軸28の端部28aがピニオンガイド溝部27の上端部に位置する。そして、後蓋13は、その前部側の下面が第1ガイド部15のガイド支持部22における前側斜面22aに位置し、これにより後蓋13の前部側がガイド支持部22で支持されている。また、前蓋12は、その後端部がガイド支持部22の前側斜面22aから前側に少し離れた状態で接近している。
【0039】
この状態で、前蓋12のフロントカバー23を持ち上げて鍵盤蓋3を楽器ケース1内に向けて押すと、図2に示すように、前蓋12のガイド軸部20の端部20aが第1ガイド部15の前蓋ガイド部材21のガイド溝部21aに沿って移動を開始する。これと同時に、後蓋13のピニオン25が第2ガイド部16のラック26に沿って転動を開始すると共に、ピニオン軸28の端部28aもピニオンガイド溝部27に沿って移動を開始する。
【0040】
このときには、図2に示すように、前蓋12の下面に設けられた摺動部材24の後部側の傾斜部24bが第1ガイド部15のガイド支持部22における前側斜面22a上に移動して前蓋12の後部がガイド支持部22で支持されると共に、後蓋13の前部側下面がガイド支持部22の後側斜面22bに移動して後蓋13の前部側がガイド支持部22で支持される。この状態では、後蓋13が蝶番14で僅かに折れ曲がり、後蓋13が後下がりに緩やかに傾斜する。
【0041】
この後、更に鍵盤蓋3を楽器ケース1内に向けて押すと、図3に示すように、前蓋12のガイド軸部20の端部20aが前蓋ガイド部材21のガイド溝部21aに沿って更に後方に移動する。これに伴って、後蓋13のピニオン25は第2ガイド部16のラック26に沿って斜め下方に転動すると共に、ピニオン軸28の端部28aもピニオンガイド溝部27に沿って斜め下方に移動する。
【0042】
このときには、図3に示すように、後蓋13が第1ガイド部15のガイド支持部22から後方に離れるので、後蓋13が蝶番14で折れ曲がりながら斜め下方に傾斜して移動するが、前蓋12は、その下面に設けられた摺動部材24が第1ガイド部15のガイド支持部22の後側斜面22b上に移動して前蓋12の後部がガイド支持部22で支持される。このため、前蓋12は後下がりに緩やかに傾斜するが、ガイド支持部22によって前蓋12の後部の下がりが規制され、この状態で後方に向けて移動する。
【0043】
そして、鍵盤蓋3が更に楽器ケース1内に向けて押されると、後蓋13のピニオン25が第2ガイド部16のラック26の下端部に到達すると共に、ピニオン軸28の端部28aがピニオンガイド溝部27の下端部に設けられた保持部17に到達して回転自在に保持される。このときには、前蓋12が後方に移動して摺動部材24の前部側の傾斜部24aがガイド支持部22の後側斜面22bに移動して前蓋12の後部がガイド支持部22で支持され、前蓋12の下がりが規制されている。
【0044】
この状態で、鍵盤蓋3が更に楽器ケース1内に向けて押されると、図4に示すように、保持部17に保持されたピニオン軸28の端部28aを中心に後蓋13が後方に向けて回動して起立する。このときには、前蓋12が更に楽器ケース1内に移動し、摺動部材24がガイド支持部22から後方に離れるが、起立した後蓋13によって前蓋12の後部が支持される。
【0045】
この後、更に前蓋12が楽器ケース1内に押し込まれると、保持部17に保持されたピニオン軸28の端部28aを中心に後蓋13が更に後方に回動し、図4に示すように、後蓋13が後方に傾き、この傾いた後蓋13の上端部が楽器ケース1の後板6の内面に設けられたストッパ部18に弾力的に当接して保持される。このときには、前蓋12のガイド軸部20の端部20aが前蓋ガイド部材21のガイド溝部21aの後部に設けられた補助ストッパ部30に係止され、前蓋12の前方への移動が規制される。これにより、前蓋12が天板8の下側に天板8とほぼ平行に収納されると共に、後蓋13が起立して後方に傾いた状態で収納される。
【0046】
また、このように収納された鍵盤蓋3を引き出して鍵盤部2を閉じるときには、図4に示すように、前蓋12のフロントカバー23を軽く持ち上げて、第1ガイド部15の補助ストッパ部30による前蓋12のガイド軸部20に対する係止を解除する。この状態で、前蓋12を引き出すと、起立した後蓋13が前蓋2の後部を支持した状態で、保持部17に保持されたピニオン軸28の端部28aを中心に前側に向けて回動するので、軽い力で滑らかに前蓋12を引き出すことができる。この後は、前蓋12と後蓋13とが上述した動作とは逆の動作を行って、図1に示すように、鍵盤蓋3が閉じて鍵盤部2の上方を覆う。
【0047】
このように、この鍵盤蓋3の開閉機構によれば、前蓋12と後蓋13とが蝶番14で折れ曲がり可能に連結された鍵盤蓋3を開閉するときに、前蓋12を楽器ケース1内の鍵盤部2の前後方向にガイドすると共に前蓋12が移動するときに前蓋12の後部側を支持する第1ガイド部15と、鍵盤蓋3を開くときに蝶番14で折れ曲がる後蓋13を鍵盤部2の後方から斜め下方に向けてガイドして後蓋13を起立させる第2ガイド部16とを備えていることにより、鍵盤蓋3を開くときに、第1ガイド部15によって前蓋12の後部を支持しながら前蓋12をガイドすることができると共に、第2ガイド部16によって後蓋13を斜め下方に向けてガイドして起立させた状態で楽器ケース1内に収納することができる。
【0048】
このため、鍵盤蓋3が前蓋12と後蓋13とを蝶番14で折れ曲がり可能に連結した構成であっても、従来例の補助機構のような可動部を必要とせず、簡単な構造で、鍵盤蓋3の開閉時に前蓋12の後部の下がりを規制して、鍵盤蓋3を安定させた状態で円滑に開閉することができる。特に、鍵盤蓋3の開閉時に第1ガイド部15が前蓋12の後部側の下がりを規制しながら前蓋12を安定させた状態で鍵盤部2の前後方向にガイドするので、前蓋12と後蓋13とを図1〜図4に示すようにほぼ同じ大きさ、または前蓋12を後蓋13よりも短く形成することができる。このため、前蓋12と後蓋13との両者の前後方向への移動距離を短くすることができると共に、前蓋12と後蓋13とを楽器ケース1内にコンパクトに収納することができ、これにより楽器ケース1全体のより一層の小型化を図ることができる。
【0049】
また、鍵盤蓋3を楽器ケース1内に収納したときには、後蓋13が起立した状態で第2ガイド部16に設けられた保持部17によって後蓋13の後端部が回動可能に保持されるので、この起立した後蓋13によって前蓋12の後端部を支持することができ、これにより前蓋12がガイド支持部22から後方に離れていても、前蓋12の後端部を安定して支持することができると共に、この状態で鍵盤蓋3を引き出して閉じるときには、起立した後蓋13が前蓋12の後端部を支持しながら保持部17を中心に回動するので、滑らかに鍵盤蓋3を引き出すことができる。
【0050】
また、後蓋13が起立して後方に傾いたときには、楽器ケース1内の後面に設けられたストッパ部18に後蓋13の前端部が弾力的に当接するので、鍵盤蓋3を楽器ケース1内に収納したときに、図4に示すように、後蓋13を起立させて後方に傾けた一定の状態で保持することができ、これにより鍵盤蓋3を安定した一定の状態で良好に楽器ケース1内に収納することができる。特に、ストッパ部18は、例えば無反発・低反発のクッションあるいはゴムなどの緩衝材で形成されていることにより、後蓋13の表面を傷付けることがなく、また後蓋13の当接時の衝撃を吸収し衝撃音の発生をも抑えることができる。
【0051】
この場合、前蓋ガイド部材21には、後蓋13が起立し後方に傾いてストッパ部18に当接した状態で前蓋12が楽器ケース1内に収納されたときに、ガイド軸部20の前方への移動を規制する補助ストッパ部30が設けられていることにより、後蓋13が起立して後方に傾いた状態で、後蓋13の前端部を楽器ケース1内の後面に設けられたストッパ部18に弾力的に当接させただけでも、補助ストッパ部30によってガイド軸部20の前方への移動を規制することができるので、鍵盤蓋3が勝手に閉じる方向に移動するのを阻止することができ、これにより安全性を高めることができる。
【0052】
また、第1ガイド部15は、前蓋12の前端部に設けられたガイド軸部20と、楽器ケース1内の両側面に設けられてガイド軸部20の両側の端部20aを鍵盤部2に沿ってガイドする前蓋ガイド部材21と、前蓋12が移動するときに前蓋12の下面側を支持するガイド支持部22とを備えていることにより、前蓋12のガイド軸部20が楽器ケース1の前蓋ガイド部材21に沿ってガイドされるため、前蓋12を安定したほぼ一定の状態で移動させることができると共に、前蓋12が移動するときに、ガイド支持部22によって前蓋12の後部を確実に支持することができ、これにより可動部を必要としない簡単な構造で、前蓋12の後部の下がりを規制して、前蓋12を安定したほぼ一定の状態で良好に開閉移動させることができる。
【0053】
この場合、ガイド支持部22は、鍵盤部2のほぼ中間部に対応する箇所から鍵盤部2の後端部に対応する箇所において、緩やかに盛り上がる山形状に連続して形成され、鍵盤蓋3を閉じた状態のときに前蓋12の後端部近傍に山形状のガイド支持部22の前端部が位置するように構成されていることにより、前蓋12を開く方向に移動させたときに前蓋12の摺動部材24を速やかにガイド支持部22の前側斜面22aで支持することができ、これにより前蓋12を安定させた状態で良好に移動させることができる。
【0054】
この場合、前蓋12の下面には、前蓋12が移動するときにガイド支持部22上を摺動する摺動部材24が設けられていることにより、前蓋12の後部がガイド支持部22で支持されながら移動するときに、前蓋12の下面に設けられた摺動部材24がガイド支持部22上を摺動するので、前蓋12の動作性が良く、円滑に且つ良好に前蓋12を移動させることができる。特に、この摺動部材24は、その前部および後部が斜め上方に傾斜する傾斜部24a、24bに形成されて、全体がそり形状に形成されていることにより、前蓋12が移動するときに前部と後部とのいずれかの傾斜部24a、24bがガイド支持部22に滑らかに接触しながら乗り上げるので、前蓋12をガイド支持部22で支持しながら円滑に移動させることができる。
【0055】
また、この鍵盤蓋3の開閉機構では、第2ガイド部16が、後蓋13の後端部に設けられたピニオン25と、楽器ケース1内の側面に設けられてピニオン25が噛み合って転動するラック26と、ピニオン25をラック26に沿って斜め上下方向にガイドして後蓋13を起立させた状態で収納するピニオンガイド溝部27とを備えていることにより、鍵盤蓋3を開くときに、後蓋13を円滑に斜め下方に向けてガイドして起立させることができ、また鍵盤蓋3を閉じるときに、後蓋13を円滑に斜め上方に向けてガイドして前蓋12と平行な状態にすることができるので、鍵盤蓋3の開閉時に後蓋13を安定したほぼ一定の状態で移動させることができ、これによっても鍵盤蓋3全体を円滑に且つ良好に開閉することができる。
【0056】
(実施形態2)
次に、図9〜図12を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図8に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器における鍵盤蓋3の開閉機構は、前蓋12の下面に取り付けられた摺動部材24に滑り部材35を設けると共に、楽器ケース1内に後蓋13の重量を軽減するためのダンパー部材36を設けた構成で、これ以外は実施形態1と同じ構成になっている。
【0057】
すなわち、滑り部材35は、図11(a)〜図11(c)に示すように、摺動部材24の下端面に設けられた座ぐり部に、無反発力または低反発力のクッション材38を設け、滑り性を有する樹脂シート37でクッション材38を覆い、この樹脂シート37を摺動部材24の下端面に設けることにより、この樹脂シート37が図9および図10に示すようにガイド支持部22上を摺動するように構成されている。
【0058】
ダンパー部材36は、図9、図10、および図12に示すように、鍵盤部2の後方に位置する楽器ケース1の底板4上に設けられた固定部材39と、この固定部材39の上部に取付ピン40によって上下方向に回動可能に取り付けられたアーム部41と、取付ピン40の外周に巻き付けられてアーム部41を上方に向けて回動させるように付勢するコイルばね42とからなり、このコイルばね42のばね力によってアーム部41の先端がピニオン軸28を押し上げる方向に弾力的に当接することにより、後蓋13の重量を軽減するように構成されている。
【0059】
このような鍵盤蓋3の開閉機構によれば、前蓋12の下面に取り付けられた摺動部材24に滑り部材35を設けたので、前蓋12の後部がガイド支持部22で支持されながら移動するときに、摺動部材24の滑り部材35がガイド支持部22上を摺動するので、前蓋12の動作性が良く、前蓋12を滑らかに移動させることができる。この場合、滑り部材35が、滑り性を有する樹脂シート37で無反発力または低反発力のクッション材38を覆った構成であることにより、樹脂シート37でクッション材38の摩耗を防ぐことができるほか、特に滑り部材35がガイド支持部22上を摺動するときに、樹脂シート37とクッション材38とによって異音や振動の発生を防ぐことができ、このためより一層、円滑に且つ良好に前蓋12を移動させることができる。
【0060】
また、この鍵盤蓋3の開閉機構では、後蓋13の重量を軽減するためのダンパー部材36を備えていることにより、後蓋13を斜め下方に向けて移動させて起立させるときに、後蓋13がその重量によって急激に移動するのをダンパー部材36のコイルばね42のばね力によって防ぐことができると共に、後蓋13が起立した状態で収納されていても、この後蓋13を引き上げるときに、ダンパー部材36のコイルばね42のばね力によって軽い力で引き上げることができる。これにより、鍵盤蓋3を常にほぼ一定の力で安定した状態で開閉させることができるので、より一層、安全性が高く、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0061】
なお、上記実施形態1または2では、第1ガイド部15の前蓋ガイド部材21の上部にガイド支持部22を楽器ケース1内に突出させて設け、このガイド支持部22上に前蓋12の摺動部材24を摺動させるように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えばガイド支持部を溝状に形成して楽器ケース1の側板7内に埋め込んで設け、前蓋12の下面に取り付けられた摺動部材の一部を、溝状のガイド支持部内に移動可能に挿入して摺動させるように構成しても良い。
【0062】
この場合にも、溝状のガイド支持部内に挿入する摺動部材の一部に、実施形態2と同様、滑り部材35を設けても良い。このように構成すれば、実施形態1または2と同様の作用効果があるほか、特に楽器ケース1内にガイド支持部が突出しないため、このガイド支持部によって怪我をすることがなく、安全性の高いものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明を適用した鍵盤楽器において鍵盤蓋を閉じた状態を示した断面図である。(実施形態1)
【図2】図1において鍵盤蓋を開き始めた状態を示した断面図である。
【図3】図2において更に鍵盤蓋を開いて後蓋が折れ曲がりながら斜め下方に移動した状態を示した断面図である。
【図4】図3において鍵盤蓋が完全に開いて後蓋が起立して後方に傾いた状態を示した断面図である。
【図5】図3のA−A矢視における要部の拡大断面図である。
【図6】図2のB−B矢視における要部の拡大断面図である。
【図7】図1〜図4に示された摺動部材を示し、(a)はその摺動部材の平面図、(b)はその側面図、(c)はその裏面図である。
【図8】図2のC−C矢視における要部の拡大断面図である。
【図9】この発明を適用した鍵盤楽器において鍵盤蓋を少し開いた状態を示した断面図である。(実施形態2)
【図10】図9において鍵盤蓋が完全に開いて後蓋が起立して後方に傾いた状態を示した断面図である。
【図11】図9および図10に示された摺動部材を示し、(a)はその摺動部材の平面図、(b)はその側面図、(c)はその裏面図である。
【図12】図9および図10に示されたダンパー部材を示した背面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 楽器ケース
2 鍵盤部
3 鍵盤蓋
12 前蓋
13 後蓋
14 蝶番
15 第1ガイド部
16 第2ガイド部
17 保持部
18 ストッパ部
20 ガイド軸部
21 前蓋ガイド部材
22 ガイド支持部
22a 前側斜面
22b 後側斜面
24 摺動部材
24a、24b 前後部の傾斜部
25 ピニオン
26 ラック
27 ピニオンガイド溝部
28 ピニオン軸
30 補助ストッパ部
35 滑り部材
36 ダンパー部材




 

 


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