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発明の名称 アップライトピアノのバット
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−248692(P2007−248692A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−70588(P2006−70588)
出願日 平成18年3月15日(2006.3.15)
代理人 【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
発明者 阿部 岐令
要約 課題
ラジアル荷重やぶれモーメントによるセンターピンの離脱を確実に防止できるとともに、センターピンの交換作業を容易に行うことができるアップライトピアノのバットを提供する。

解決手段
バット4では、ハンマー31が一体に設けられたバット本体5の背面に、左右方向に延びる直線状のピン保持溝8が形成され、この背面のピン保持溝8よりも下側の部分7aが、上側の部分7bに対して前側にオフセットされ、この背面のピン保持溝8よりも上側の部分7bに取付ねじ9をねじ込むことで、バットプレート6がバット本体5に取り付けられている。また、バット4は、ピン保持溝8にセンターピン11bの少なくとも一部を収容し、バット本体5とバットプレート6の間にセンターピン11bを挟持した状態で、センターピン11bを介してバットフレンジ11に回動自在に支持されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
バットフレンジに左右方向に水平に延びるように設けられたセンターピンを介して、前記バットフレンジに回動自在に支持され、鍵の押鍵に伴い、ハンマーを回動させることによって打弦を行わせるアップライトピアノのバットであって、
前記ハンマーが一体に設けられ、左右方向に延びる直線状のピン保持溝を背面に有し、当該背面の前記ピン保持溝よりも下側の部分が、前記ピン保持溝よりも上側の部分に対して前側にオフセットされたバット本体と、
バットプレートと、
前記バット本体の背面の前記ピン保持溝よりも上側の部分にねじ込まれることによって、前記バットプレートを前記バット本体の背面に取り付ける取付ねじと、を備え、
当該バットは、前記ピン保持溝に前記センターピンの少なくとも一部を収容し、前記バット本体と前記バットプレートの間に前記センターピンを挟持した状態で、前記センターピンを介して前記バットフレンジに回動自在に支持されていることを特徴とするアップライトピアノのバット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、バットフレンジに左右方向に水平に延びるように設けられたセンターピンを介して、バットフレンジに回動自在に支持され、鍵の押鍵に伴い、ハンマーを回動させることによって打弦を行わせるアップライトピアノのバットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアップライトピアノのバットとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このバットは、一般的な構成のもので、鍵ごとに設けられており、バットには、ハンマーやキャッチャーなどが取り付けられている(以下、バット、ハンマーおよびキャッチャーを総称し、「ハンマー組立品」という)。また、バットは、その下端部において、バットフレンジのセンターピンに支持されている。バットフレンジは、左右の両端部からそれぞれ上方に突出するバット支持部を有しており、センターレールに着脱自在に取り付けられている。センターピンは、これら左右のバット支持部に、水平に回動自在に取り付けられている。
【0003】
また、バットとして、バット本体と、このバット本体に取り付けられたバットプレートを有するものが知られている。このタイプのバットでは、バット本体の背面の下部は平面状に形成されており、この背面には、左右方向に延びる断面V字形のピン保持溝が形成されている。バットプレートは、その上端部に形成された孔に挿入された取付ねじをバット本体の背面にねじ込むことによって、バット本体に取り付けられており、この状態では、センターピンは、その大部分がピン保持溝に収容され、バット本体とバットプレートの間に挟持されており、バットプレートは、バット本体の背面に、若干の隙間を隔てた状態で対向している。以上の構成により、バットを含むハンマー組立品は、センターピンを介してバットフレンジに回動自在に支持されている。
【0004】
以上の構成のハンマー組立品は、鍵の押鍵に伴い、アクションのジャックによりバット本体の下面が突き上げられることによって、センターピンを中心として後方に回動し、後方に張られた弦をハンマーが打弦することによって、ピアノ音が発生する。そして、この打弦後、ハンマー組立品は、弦の反発力によって元の位置に復帰回動する。
【0005】
上述したような構成のバット本体では、押鍵に伴う回動の際、ジャックに突き上げられたときやハンマーが弦を打弦したときなど、ハンマー組立品に外力が作用したときには、バット本体からセンターピンに、その径方向にラジアル荷重が作用する。このラジアル荷重により、バット本体は、センターピンに対して相対的に上下方向に移動しようとする。すなわち、センターピン側から見た場合、センターピンは、ピン保持溝から抜け出ようとする。
【0006】
また、アップライトピアノでは、弦が鉛直方向に対して左右に斜めに延びているため、打弦時に弦からハンマーに作用する反力の中に、ハンマーを左右方向に移動させるような反力が含まれ、その結果、センターピンを中心としてハンマーが左右方向にぶれるようなモーメント(以下「ぶれモーメント」という)が生じる場合がある。これにより、バット本体は、左右方向で見て、センターピンに対して斜めに傾き、すなわち、センターピン側から見た場合、センターピンの左右の端部は、ピン保持溝に対して上下逆向きに外方に移動しようとする。その結果、この場合には特に、センターピンがピン保持溝から抜け出やすくなる。以上のように、ラジアル荷重やぶれモーメントによりセンターピンがピン保持溝から離脱するおそれがあるため、これ防止するためには、ピン保持溝を深めに形成することが好ましい。
【0007】
また、前述したようなバットを有するアップライトピアノでは、センターピンを交換する場合には、この交換は次のようにして行われる。すなわち、まず、バットフレンジをセンターレールから外した後、取付ねじを緩め、センターピンを、ピン保持溝から抜き出し、さらに、バットプレートとバット本体の間の隙間を介してバットから取り外す。次いで、センターピンを交換した後、そのセンターピンを、この隙間を介してピン保持溝に係合させ、取付ねじを締め付けることによってバットに取り付ける。
【0008】
以上のように、センターピンの交換のための着脱は、バットプレートとバット本体の間の隙間を介して行われる。このため、前述したように、ラジアル荷重やぶれモーメントによるセンターピンの離脱を防止するためにピン保持溝を深めに形成した場合には、センターピンを交換しにくくなってしまう。具体的には、ピン保持溝を深めに形成すると、センターピンをバットプレートおよびバット本体で挟み込んだ状態での両者の間の隙間が極めて狭くなるので、センターピンを交換する際、センターピンを通すのに十分な隙間を確保するために、取付ねじを何度も回さなければならない。このことは、その後の取付ねじの締め付けの際も同様であり、その結果、それらの作業が煩雑であり、センターピンを交換しにくくなってしまう。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ラジアル荷重やぶれモーメントによるセンターピンの離脱を確実に防止できるとともに、センターピンの交換作業を容易に行うことができるアップライトピアノのバットを提供することを目的とする。
【0010】
【特許文献1】特開平6−27934号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、バットフレンジに左右方向に水平に延びるように設けられたセンターピンを介して、バットフレンジに回動自在に支持され、鍵の押鍵に伴い、ハンマーを回動させることによって打弦を行わせるアップライトピアノのバットであって、ハンマーが一体に設けられ、左右方向に延びる直線状のピン保持溝を背面に有し、背面のピン保持溝よりも下側の部分が、ピン保持溝よりも上側の部分に対して前側にオフセットされたバット本体と、バットプレートと、バット本体の背面のピン保持溝よりも上側の部分にねじ込まれることによって、バットプレートをバット本体の背面に取り付ける取付ねじと、を備え、バットは、ピン保持溝にセンターピンの少なくとも一部を収容し、バット本体とバットプレートの間にセンターピンを挟持した状態で、センターピンを介してバットフレンジに回動自在に支持されていることを特徴とする。
【0012】
このアップライトピアノのバットでは、そのバット本体が背面に左右方向に直線状に延びるピン保持溝を有しており、バット本体の背面のピン保持溝よりも上側の部分に取付ねじをねじ込むことによって、バットプレートがバット本体に取り付けられている。センターピンは、バットフレンジに左右方向に水平に延びるように設けられており、その少なくとも一部がピン保持溝に収容され、バット本体とバットプレートの間に挟持されている。以上の構成により、バット本体は、センターピンを介して、バットフレンジに回動自在に支持されている。押鍵時には、バットは、センターピンを中心として回動し、それに伴い、ハンマーを回動させ、打弦を行わせることによって、ピアノ音が発生する。
【0013】
また、本発明のバットによれば、バット本体の背面のうち、ピン保持溝よりも下側の部分(以下「下側背面」という)が、上側の部分(以下「上側背面」という)に対して前側にオフセットされている。このため、例えば、センターピンを交換する場合、その交換作業を容易に行うことができる。すなわち、センターピンを交換する場合には、まず、取付ねじを緩め、下側背面とバットプレートの間の隙間(以下「プレート隙間」という)を広げるとともに、センターピンを、ピン保持溝から抜き出し、さらに、プレート隙間を介してバットから取り外す。次いで、センターピンを交換した後、そのセンターピンを、プレート隙間を介してピン保持溝に係合させ、取付ねじを締め付けることによってバットに取り付ける。
【0014】
上述したように、本発明によれば、下側背面が上側背面に対して前側にオフセットされているので、比較的大きなプレート隙間を確保できる。したがって、取付ねじを少し緩めるだけで、センターピンを通すのに十分なプレート隙間を確保できる。また、下側背面が前側にオフセットされている分、この下側背面側のピン保持溝の深さが上側背面側よりも浅くなっているので、センターピンをピン保持溝から抜き出す際、センターピンがピン保持溝に引っかかることがない。したがって、センターピンを、バットからプレート隙間を介して容易に取り外すことができる。さらに、交換したセンターピンをバットに取り付ける際には、上記のように少し緩めた取付ねじを少し締め付けるだけでよいので、センターピンの取付を容易に行うことができる。以上により、センターピンの交換作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、下側背面のみが前側にオフセットされているので、上側背面側ではより大きなピン保持溝の深さを確保できる。これにより、前述したぶれモーメントによりセンターピンの左右の端部がピン保持溝に対して上下逆向きに外方に移動しようとしても、センターピンの上側の部分がピン保持溝のより深い部分に収容されていることで、センターピンの左右の端部の一方は、ピン保持溝から抜け出ることはなく、それにより、センターピンの離脱が防止される。このことは、ラジアル荷重によりバット本体がセンターピンに対して下方に移動した場合も同様である。以上により、ラジアル荷重やぶれモーメントによるセンターピンの離脱を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態によるアップライトピアノのバット4を適用したアクション1を、鍵盤21およびハンマー31などとともに、離鍵状態において示している。なお、以下の説明では、演奏者側から見て手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。また、同図を含むすべての図面では、便宜上、ハッチングが省略されている。
【0017】
鍵盤21は、左右方向(図1の奥行き方向)に並んだ多数の鍵22(1つのみ図示)によって構成されている。各鍵22は、筬23に立設されたバランスピン23aに回動自在に支持されている。
【0018】
ハンマー31は、鍵22ごとに設けられており(1つのみ図示)、各ハンマー31は、ハンマーシャンク32およびハンマーヘッド33を有している。ハンマーシャンク32は、断面円形の細長い棒状に形成され、アクション1の後述するバット4の上面に立設されており、上下方向に延びている。ハンマーヘッド33は、ハンマーシャンク32の上端部に設けられており、離鍵状態では、後方に鉛直に張られた弦Sに対向している。
【0019】
アクション1は、鍵盤21の後端部の上方において、筬23の左右端部にそれぞれ設けられたブラケット(図示せず)に取り付けられ、左右のブラケットの間に配置されている。また、アクション1は、鍵22ごとに設けられたウィッペン2、ジャック3およびバット4を有している(各1つのみ図示)。左右のブラケットの間には、センターレール41およびハンマーレール42などが渡されており、このセンターレール41に、ウィッペンフレンジ10およびバットフレンジ11が、鍵22ごとにねじ止めされている(ともに1つのみ図示)。ウィッペン2は、その後端部において、ウィッペンフレンジ10に回動自在に支持されている。
【0020】
ウィッペン2は、例えば合成樹脂や木材によって所定の形状に形成されており、その前部から下方に突出するヒール部2aを有しており、このヒール部2aを介して、対応する鍵22の上面後端部に設けられたキャプスタンボタン22aに載置されている。ウィッペン2の上面前端部には、バックチェック12が取り付けられている。また、ウィッペン2の上面のウィッペンフレンジ10よりも後ろ側の部分には、後述するダンパー45を駆動するためのスプーン13が立設されている。
【0021】
ジャック3は、例えば合成樹脂で構成されており、射出成形によって一体成形されている。ジャック3は、前後方向に延びる基部3aと、基部3aの後端部から上方に延びる突上部3bを有しており、基部3aと突上部3bとの角部において、ウィッペン2の中央部に回動自在に支持されている。ジャック3の基部3aとウィッペン2の間には、離鍵時にジャック3を復帰回動させるためのジャックスプリング14が設けられている。また、基部3aの上方には、レギュレティングボタン15が鍵22ごとに設けられている(1つのみ図示)。このレギュレティングボタン15は、レギュレティングブラケット16やレギュレティングレール17を介して、センターレール41に固定されている。
【0022】
前述したバットフレンジ11は、例えば合成樹脂で構成されており、図2に示すように、左右の両端部から、ハンマー支持部11a,11aが上方にそれぞれ突出している(1つのみ図示)。これらのハンマー支持部11a,11aには、バット4を支持するための断面円形のセンターピン11bが回動自在に取り付けられており、左右方向に水平に延びている。センターピン11bの径は、例えば約1.3mmである。
【0023】
バット4は、合成樹脂により所定の形状に形成されたバット本体5と、バット本体5の背面に取り付けられた金属製のバットプレート6を有している。バット本体5の下端部は、他の部分よりも左右方向の幅が小さいピン取付部7になっている。ピン取付部7の背面には、上述したセンターピン11bにバット4を取り付けるためのピン保持溝8が形成されており、このピン保持溝8は、ピン取付部7の背面の左右方向の全体にわたって直線状に水平に延びている。また、図3に示すように、ピン保持溝8は、上下一対の傾斜面8a,8bによって断面V字形に形成され、両傾斜面8a,8bは、ピン取付部7の背面に対して互いに同じ所定の角度で傾斜しており、上側の傾斜面8aは下側の傾斜面8bよりも長い。
【0024】
また、ピン取付部7の背面のうち、ピン保持溝8よりも下側の部分(以下「下側背面」という)7aは、上側の部分(以下「上側背面」という)7bに対して前側にオフセットされており、そのオフセット量α(図3参照)は、例えば約0.2mmに設定されている。これにより、ピン保持溝8の上側背面7b側の深さDUは、下側背面7a側の深さDLよりも大きくなっている。
【0025】
バットプレート6は、例えば矩形の鋼板で構成されており、その上端部には、孔6aが形成されている。バットプレート6は、この孔6aを介して、取付ねじ9を上述した上側背面7bにねじ込むことによって、ピン取付部7に取り付けられており、その背面を覆っている。
【0026】
また、センターピン11bは、その大部分がピン保持溝8に収容され、ピン取付部7とバットプレート6の間に挟持されている。以上の構成により、バット4は、センターピン11bに一体に取り付けられ、センターピン11bを介してバットフレンジ11に回動自在に支持されている。
【0027】
さらに、センターピン11bの後部は、上側背面7bに対して若干、突出しており、それに伴い、バットプレート6と上側背面7bの間には、その突出長さに等しい隙間CUが形成されている。また、下側背面7aとバットプレート6の間にも隙間(以下「プレート隙間」という)CLが形成されており、前述したように、下側背面7aが前側にオフセットされている関係上、このプレート隙間CLは、上側の隙間CUよりも大きくなっている。
【0028】
バット本体5の前面には、キャッチャー18が取り付けられており、キャッチャー18は、離鍵状態では、前述したバックチェック12の後方に位置し、これと対向している。以下、バット4、ハンマー31およびキャッチャー18を総称して、「ハンマー組立品A」という。さらに、バット4の背面の上端部とバットフレンジ11の間には、バットスプリング19が設けられており、それにより、バット4を含むハンマー組立品Aが、図1の時計回りに付勢されている。
【0029】
以上の構成のハンマー組立品Aは、離鍵状態では、ジャック3の突上部3bがバット本体5の下面の前端部で構成される被突上部5aに下方から係合した状態で、静止している。
【0030】
また、アクション1の後方には、ダンパー45が鍵22ごとに設けられている(1つのみ図示)。ダンパー45は、ダンパーフレンジ45aを介してセンターレール41に回動自在に取り付けられたダンパーレバー45bと、ダンパーレバー45bの上側にダンパーワイヤ45cを介して取り付けられたダンパーヘッド45dと、ダンパーヘッド45dを弦S側に付勢するダンパーレバースプリング45eなどで構成されている。このダンパー45は、離鍵時に、ダンパーレバースプリング45eの付勢力により、ダンパーヘッド45dが弦Sを押圧することによって、止音動作を行う。
【0031】
次に、上述したアクション1などの押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作について説明する。演奏者により離鍵状態の鍵22が押鍵されると、鍵22は、バランスピン23aを中心として図1の時計回りに回動し、その後端部に載置されたウィッペン2は、鍵22により突き上げられることによって、上方(反時計回り)に回動する。このウィッペン2の回動に伴い、ジャック3は、ウィッペン2と一緒に上方に移動し、突上部3bを介してバット4を突き上げる。これにより、バット4を含むハンマー組立品Aは、バットスプリング19の付勢力に抗しながら、センターピン11bを中心として、後方の弦Sに向かって反時計回りに回動する。
【0032】
押鍵開始後、ウィッペン2が所定の角度まで回動すると、ウィッペン2の後端部に設けられたスプーン13が、ダンパーレバー45bの下端部に当接し、押圧することによって、ダンパーレバー45bを、ダンパーレバースプリング45eの付勢力に抗して時計回りに回動させる。これにより、ダンパーヘッド45dが弦Sから離れ、弦Sが振動可能になる。
【0033】
ウィッペン2がさらに所定の角度まで回動すると、ジャック3の基部3aがレギュレティングボタン15に当接する。これにより、ジャック3は、上方への移動が規制されることによって、ウィッペン2に対し、ジャックスプリング14の付勢力に抗して時計回りに回動し、その突上部3bがバット4から前方に外れ(レットオフ)、バット4から離脱する。ハンマー組立品Aは、ジャック3が離脱した後も慣性によって回動し、ハンマーヘッド33が弦Sを打弦することによって、ピアノ音を発生させる。その後、ハンマー組立品Aは、弦Sの反発力やバットスプリング19の付勢力によって復帰回動を開始する。そして、押鍵が終了し、鍵22が離鍵されると、それに伴い、鍵22およびアクション1などは、押鍵時とは逆方向に復帰回動し、図1に示す離鍵状態に復帰することによって、押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作が終了する。
【0034】
以上のような押鍵に伴うハンマー組立品Aの回動の際、特に、ジャック3によって突き上げられたときやハンマー31が弦Sを打弦したときなど、ハンマー組立品Aに外力が作用したときには、バット本体5からセンターピン11bにラジアル荷重が作用する。これにより、バット本体5は、センターピン11bに対して上下方向に移動しようとする。
【0035】
本実施形態によれば、前述したように、下側背面7aのみを前側にオフセットすることによって、ピン保持溝8の上側背面7b側の深さDUがより大きくなっている。これにより、センターピン11bの上側の部分がピン保持溝8のより深い部分に収容されるので、上述したラジアル荷重によりバット本体5がセンターピン11bに対して下方に移動しても、センターピン11bがピン保持溝8から抜け出ることはない。
【0036】
このことは、前述したぶれモーメントがハンマー組立品Aに作用した場合にも同様である。すなわち、ぶれモーメントによりセンターピン11bの左右の端部がピン保持溝8に対して上下逆向きに外方に移動しようとしても、センターピン11bの上側の部分がピン保持溝8のより深い部分に収容されていることで、センターピン11bの左右の端部の一方がピン保持溝8から抜け出ることはない。以上により、ラジアル荷重やぶれモーメントによるセンターピン11bの離脱を確実に防止することができる。
【0037】
また、前述したアクション1では、センターピン11bの交換が次のようにして行われる。すなわち、まず、バットフレンジ11をセンターレール41から外した後、バットプレート6の取付ねじ9を緩め、プレート隙間CLを広げるとともに、センターピン11bを、ピン保持溝8から抜き出し、さらに、プレート隙間CLを介してバット4から取り外す。次いで、センターピン11bを交換した後、そのセンターピン11bを、プレート隙間CLを介してピン保持溝8に係合させ、取付ねじ9を締め付けることによって、バット4に取り付ける。
【0038】
本実施形態によれば、前述したように、下側背面7aが前側にオフセットされており、それにより、プレート隙間CLがより大きくなっている。したがって、取付ねじ9を少し緩めるだけで、センターピン11bを通すのに十分なプレート隙間CLを確保できる。また、下側背面7aが前側にオフセットされている分、下側背面7a側のピン保持溝8の深さDLが上側背面7b側よりも浅いことと、ピン保持溝8を構成する下側の傾斜面8bが斜め下方に直線的に延びていることから、センターピン11bをピン保持溝8から抜き出す際、センターピン11bがピン保持溝8に引っかかることがない。したがって、センターピン11bをバット4からプレート隙間CLを介して容易に取り外すことができる。さらに、交換したセンターピン11bを取り付ける際には、上記のように少し緩めた取付ねじ9を少し締め付けるだけでよいので、センターピン11bの取付を容易に行うことができる。以上により、センターピン11bの交換作業を容易に行うことができる。
【0039】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、ピン保持溝8の断面形状がV字形であるが、これに限らず、他の適当な形状を採用してもよく、例えば半円形でもよい。この場合においても、下側背面7aが前側にオフセットされている分、下側背面7a側のピン保持溝の深さが浅いので、センターピン11bを、ピン保持溝に引っかかることなく、容易に抜き出すことができる。
【0040】
また、実施形態では、バットフレンジ11に回動自在に取り付けたセンターピン11bに、バット4を一体に取り付けているが、バットフレンジ11にセンターピン11bを一体に取り付け、そのようなセンターピン11bに、バット4を回動自在に取り付けてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態によるバットを適用したアップライトピアノのアクションを、鍵盤およびハンマーなどとともに、離鍵状態において示す側断面図である。
【図2】図1のバットなどを、バットフレンジおよびセンターピンを破断した状態で示す部分拡大図である。
【図3】図2のセンターピンなどを示す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0042】
4 バット
5 バット本体
6 バットプレート
7a 下側背面(バット本体の背面のピン保持溝よりも下側の部分)
7b 上側背面(バット本体の背面のピン保持溝よりも上側の部分)
8 ピン保持溝
9 取付ねじ
11 バットフレンジ
11b センターピン
22 鍵
31 ハンマー
S 弦




 

 


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