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発明の名称 鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−248599(P2007−248599A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−69102(P2006−69102)
出願日 平成18年3月14日(2006.3.14)
代理人 【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
発明者 鈴木 昭裕
要約 課題
鍵盤蓋を開閉するときに操作者に不安感を与えずに、実装効率のよい鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置を提供する。

解決手段
制動部材に相当するダンパー機構7は、鍵盤39の左方後方位置に配置され、ばねに相当するばね機構9は、鍵盤39の右方後方位置に配置されている。よって、ダンパー機構7とばね機構9とが関連づけられて一体に構成されていない。ダンパー機構7とばね機構9とのそれぞれの収容容積は、一体に構成されている場合の収納容積と比較すれば当然小さくなる。したがって、ダンパー機構7とばね機構9とを実装する密度が高められ、設計上の実装効率を高めることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
鍵盤を開放する位置と閉鎖する位置との間で回動可能に開閉する鍵盤蓋を備える鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置において、
前記鍵盤蓋の側部に一端部が固定されるリンク機構と、
鍵盤楽器本体に固定されるとともに、前記リンク機構の他端部が固定され、前記鍵盤蓋が回動したときに前記リンク機構を介して前記鍵盤蓋に対して制動トルクを付与する緩衝器と、
前記鍵盤蓋の側部に一端部が係止されるとともに、他端部が前記鍵盤楽器本体に係止される付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、前記鍵盤蓋の自重により前記鍵盤蓋が閉蓋方向に回動したときに前記鍵盤蓋に対して開蓋方向に回転トルクを付与することを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置において、
前記付勢部材は、前記鍵盤蓋の自重により前記鍵盤蓋が開蓋方向に回動したときに前記鍵盤蓋に対して閉蓋方向に回転トルクを付与することを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置において、
前記リンク機構の一端部が前記鍵盤蓋の一側部に固定され、前記付勢部材の一端部が前記鍵盤蓋の他側部に係止されていることを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置において、
前記緩衝器は、ワンウェイトルク式の流体ダンパからなり、前記鍵盤蓋を開蓋方向に回動したときの前記鍵盤蓋に対する制動トルクが前記鍵盤蓋を閉蓋方向に回動したときの前記鍵盤蓋に対する制動トルクより小さいことを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置に関し、特に鍵盤蓋を開閉するときの制動技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のピアノ、電子ピアノなどの鍵盤楽器においては、非演奏時に鍵盤部の上部を覆う開閉可能な鍵盤蓋を備えている。この鍵盤蓋は、長尺で重く、後端側が蝶番を介して楽器本体側に回動可能に連結されているため、開閉操作時、特に閉蓋操作時には、その途中から重心位置が前方へ移動して急激に落下するようになるため、口棒に激しく当たって大きな衝撃音を発したり、誤って指を口棒と鍵盤蓋との間に挟む可能性があった。
【0003】
そこで、このような不都合を解決するために従来から種々の鍵盤蓋開閉装置を設け、鍵盤蓋が急激に落下しないようにしている。例えば、閉蓋操作時において回動される方向と逆の方向に付勢するばねと制動部材とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。また、開閉角度が90°以上の鍵盤蓋において、閉蓋操作時の初期において流体の粘性抵抗による制動力が作用しないようにして大きな操作力を必要とせず操作性を向上させたものがある(例えば特許文献2参照)。さらに、ローラを有する回動アームを拍子木の上面に形成した開口から上方へ突出させ、このローラを鍵盤蓋の下面に圧接させるようにした鍵盤蓋開閉装置がある(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】実開昭59−98492号公報(第2頁)
【特許文献2】特許第3677869号公報(第2頁)
【特許文献3】特開2000−187480号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、電子ピアノにおいては、楽音のトーンやボリュームなどを調整する多数のスイッチ群や電子回路が形成されたプリント基板など(いずれも図示せず)を有する操作パネルの小型化が進んでいる。そして、それらの操作パネルが鍵盤蓋の内面に配置されている電子ピアノも登場してきた。このような電子ピアノを演奏するときは、鍵盤蓋が開蓋位置にあり、鍵盤蓋の内面に配置された操作パネルが鍵盤の上方に位置しているので、演奏者は操作パネルの所定のスイッチ群を容易に操作できる。
【0005】
このような電子ピアノにおいては、操作パネルが鍵盤蓋の内面に配置されることによって鍵盤蓋の重さがさらに重くなる。そのため、操作パネルが鍵盤蓋の内面に配置されていない電子ピアノに適切な鍵盤蓋開閉装置、例えば閉蓋操作時において回動される方向と逆の方向に付勢するばねと回動を制動する制動部材とをそのまま備えると、閉蓋操作時には、鍵盤蓋がその途中から重心位置が前方へ移動して急激に落下するようになる。
【0006】
そして、上述の特許文献1〜3のいずれかに記載されたような鍵盤蓋開閉装置においては、制動部材と付勢部材とが関連付けられて一体に構成されている。そこで、このような電子ピアノにおいて従来と同じ鍵盤蓋の落下速度を保つには、回動される方向と逆の方向に付勢するばねと回動を制動する制動部材とを大型化するか、もしくは複数のばねと制動部材とを備えなければならない。そうすると、ばねと制動部材とが関連付けられて一体に構成されている鍵盤蓋開閉装置を実装する収容容積を大きくしなければならないという問題点があった。
【0007】
なお、このような問題は、電子ピアノだけでなく、例えば一般のアコースティックピアノにおいても、鍵盤蓋の重さが増加した場合や鍵盤蓋開閉装置を実装する収容容積が小さくなった場合であっても同様の問題が生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、鍵盤蓋を開閉するときに操作者に不安感を与えずに、実装効率のよい鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題点を解決するためになされた本発明の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置(7,9:なお、この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において説明した構成要素を括弧内に示すが、この記載によって特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、鍵盤(39)を開放する位置と閉鎖する位置との間で回動可能に開閉する鍵盤蓋(37)を備える。
【0010】
また、鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置は、鍵盤蓋の側部に一端部(71)が固定されるリンク機構(71,75,77,79,81,85)と、鍵盤楽器本体に固定されるとともに、リンク機構の他端部(81)が固定され、鍵盤蓋が回動したときにリンク機構を介して鍵盤蓋に対して制動トルクを付与する緩衝器(87)と、鍵盤蓋の側部に一端部(95a)が係止されるとともに、他端部(95b)が鍵盤楽器本体に係止される付勢部材(95)と、を備える。
【0011】
そして、付勢部材は、鍵盤蓋の自重により鍵盤蓋が閉蓋方向に回動したときに鍵盤蓋に対して開蓋方向に回転トルクを付与する。
上述のように、本発明の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置は、鍵盤蓋の側部に一端部が固定されるリンク機構の他端部が固定され、鍵盤蓋が回動したときにリンク機構を介して鍵盤蓋に対して制動トルクを付与する緩衝器と、鍵盤蓋の側部に一端部が係止されとともに、他端部が鍵盤楽器本体に係止される付勢部材と、を備えるが、緩衝器と付勢部材とが関連づけられて一体に構成されていない。よって、緩衝器及び付勢部材それぞれの収容容積は、緩衝器と付勢部材とが一体に構成されている場合の収納容積と比較すれば当然小さくなる。そして、緩衝器と付勢部材とは関連づけられていないので、それぞれが鍵盤楽器本体内に配設される位置について設計上の自由度が増大する。したがって、緩衝器と付勢部材とを実装する密度が高められ、設計上の実装効率を高めることができる。
【0012】
そして、鍵盤蓋が略垂直な状態から閉蓋方向へ傾き、鍵盤蓋の重心が閉蓋方向へ移動した際には、付勢部材は、鍵盤蓋に対して開蓋方向に回転トルクを付与する。したがって、鍵盤蓋が急激に閉蓋方向へ傾かないので、操作者に不安感を与えない。
【0013】
また、付勢部材は、請求項2に記載のように、鍵盤蓋の自重により鍵盤蓋が開蓋方向に回動したときに鍵盤蓋に対して閉蓋方向に回転トルクを付与するように構成されるとよい。
【0014】
このように構成された鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置によれば、鍵盤蓋が略垂直な状態からさらに開蓋方向へ傾けられるような鍵盤蓋において、鍵盤蓋が略垂直な状態から開蓋方向へ傾き、鍵盤蓋の重心が開蓋方向へ移動した際には、付勢部材は鍵盤蓋に対して閉蓋方向に回転トルクを付与する。したがって、鍵盤蓋が急激に開蓋方向へ傾かないので、操作者に不安感を与えない。また、鍵盤蓋の開放位置から鍵盤蓋が略垂直な状態まで鍵盤蓋を開蓋方向に回動するときには、付勢部材は、鍵盤蓋に対して閉蓋方向に回転トルクを付与しているので、鍵盤蓋を軽く操作することができる。
【0015】
なお、緩衝器によってリンク機構を介して制動トルクを付与する鍵盤蓋の側部と、付勢部材によって回転トルクを付与する鍵盤蓋の側部とが、鍵盤蓋の両側部であるとよい。
すなわち、請求項3に記載のように、リンク機構の一端部(71)が鍵盤蓋の一側部に固定され、付勢部材の一端部(95a)が鍵盤蓋の他側部に係止されているとよい。
【0016】
鍵盤蓋の自重により鍵盤蓋が閉蓋方向に回動するときの鍵盤蓋の重心は、鍵盤蓋の長手方向のほぼ中央に位置しているのに対して、このように構成された鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置によれば、緩衝器の制動トルクと付勢部材の回転トルクとが鍵盤蓋の両側部から開蓋方向に付与することになる。したがって、鍵盤蓋の長手方向のほぼ中央に位置している鍵盤蓋の重心に対して鍵盤蓋の左右の位置から支持できるので、鍵盤蓋のどちらか一方の側部でのみ支持する場合に比べて、鍵盤蓋や鍵盤蓋を楽器本体に連結する蝶番に対してねじれや変形の原因となる不均衡な力が加わらない。
【0017】
また、緩衝器は、鍵盤蓋を開けるときには鍵盤蓋を軽く開けることができ、鍵盤蓋を閉じるときには操作者に不安感を与えないような制動トルクを鍵盤蓋へ付与するとよい。
すなわち、請求項4に記載のように、緩衝器は、ワンウェイトルク式の流体ダンパからなり、鍵盤蓋を開蓋方向に回動したときの鍵盤蓋に対する制動トルクが鍵盤蓋を閉蓋方向に回動したときの鍵盤蓋に対する制動トルクより小さいとよい。
【0018】
このように構成された鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置によれば、鍵盤蓋を閉蓋方向に回動するときには操作者に不安感を与えないような制動トルクを鍵盤蓋へ付与することができ、且つ鍵盤蓋を開蓋方向に回動するときには鍵盤蓋を軽く開けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。
[構成の説明]
図1は、本実施形態のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が開放されている状態を示す斜視図である。図1において鍵盤蓋37が閉鎖されている状態を二点鎖線で示す。図2は、図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が開放されている状態のA−A線における要部断面図である。図3は、図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が閉鎖されている状態のA−A線における要部断面図である。図4は、図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が開放されている状態のB−B線における要部断面図である。図5は、図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が閉鎖されている状態のB−B線における要部断面図である。なお、以下の説明においては、グランド型電子ピアノ1を演奏者から見た場合の手前側(図2の右側)を「前」、奥側(図2の左側)を「後」とし、さらに多数の鍵41(図1に一部のみ図示)の並び方向を「左右方向」として説明する。
【0020】
図1に示す本実施形態のグランド型電子ピアノ1は、ピアノ本体2、ピアノ本体2を支持する3本の脚6(左右一対の脚部のみ図示し、後方の脚部は図示せず)、ピアノ本体2から下方へ延びるペダルユニット8、などを備えている。次にピアノ本体2を説明する。
【0021】
ピアノ本体2は、その下面部を構成する棚板21(図2参照)、左右一対の側板23、上前板27、大屋根31、覆い板36、鍵盤蓋37、鍵盤39、ダンパー機構7、ばね機構9、などを備えている。上前板27は下端が鍵盤39に近く、上端が鍵盤39から遠くなるように傾斜している。鍵盤39は、多数の鍵41(一部のみ図示)と、それらの鍵41の下方または後方にそれぞれ鍵スイッチ(図示せず)を有している。以下、鍵盤蓋37、ダンパー機構7、ばね機構9の順に説明する。
【0022】
鍵盤蓋37は、蓋体37aと、蓋体37aの内面(鍵盤蓋37の開放時は上面となる)に配置された操作パネル37bとを有している。蓋体37aは、L字状の断面形状を有している。鍵盤蓋37は、蓋体37aの平板部の一端(鍵盤蓋37の開放時は下端となる)が、上前板27の一端(鍵盤蓋37の開放時は下端となる)に蝶番53(図2参照)を介して回動可能に取り付けられている。そして、鍵盤蓋37は、蝶番53を中心として、図1に実線で示す開放位置と、二点鎖線で示す閉鎖位置との間で回動することにより、開閉される。
【0023】
操作パネル37bは、楽音のトーンやボリュームなどを調整する多数のスイッチ群や電子回路が形成されたプリント基板など(いずれも図示せず)を有している。
ダンパー機構7は、図1に示すように、鍵盤39の左方後方位置に配置されている。
【0024】
そして、ダンパー機構7は、図2に示すように、左側部取付部材71、3個のねじ部材73、第1軸部材75、第1リンク部材77、第2軸部材79、第2リンク部材81、ダンパー軸85を有するダンパー87及びダンパー取付部材89を構えている。
【0025】
左側部取付部材71は、鍵盤蓋37の蓋体37aへ取り付けられ、第1軸部材75を介して第1リンク部材77と連結されるもので、剛性の高い材料例えば金属製の板材からなり、略矩形状をなす平板部と、その平板部の一方の長辺の縁から略直角に立ち上がった略矩形状をなす支持部とを有している。その支持部は、平板部の一方の短辺の端部から長手方向へ略中央部までの区間において形成されている。また、その支持部は、長手方向に略均等間隔で3個の貫通孔(図示せず)を有している。平板部は、支持部が形成されていない区間の短辺寄りに貫通孔(図示せず)を有している。
【0026】
そして、左側部取付部材71は、その支持部が有する3個の貫通孔へ挿入された3個のねじ部材73によって鍵盤蓋37の蓋体37aの左方内面へ取り付けられる。
第1リンク部材77は、第1軸部材75を介して左側部取付部材71と連結され、第2軸部材79を介して第2リンク部材81と連結されるもので、剛性の高い材料例えば金属製の板材からなり、略矩形状をなし、その両短辺寄りに2個の貫通孔a,b(図示せず)を有している。
【0027】
第1軸部材75は、剛性の高い材料例えば金属製の棒材からなり、左側部取付部材71の平板部に有する貫通孔と、第1リンク部材77の1方の貫通孔aとに挿通されている。
第2リンク部材81は、第2軸部材79を介して第1リンク部材77と連結され、ダンパー87のダンパー軸85に固定されるもので、剛性の高い材料例えば金属製の板材からなり、略矩形状をなし、その一方の短辺寄りに貫通孔(図示せず)を有している。
【0028】
第2軸部材79は、剛性の高い材料例えば金属製の棒材からなり、第1リンク部材77に有する他方の貫通孔bと、第2リンク部材81に有する貫通孔とに挿通されている。
その結果、第1リンク部材77は、鍵盤蓋37の蓋体37aと一緒に蝶番53の回りに回動する左側部取付部材71に対して第1軸部材75の回りに回動可能であるとともに、ダンパー87のダンパー軸85の回りに回動する第2リンク部材81に対して第2軸部材79の回りに回動可能となっている。つまり、蝶番53とダンパー87のダンパー軸85との間に、3つのリンクを含むリンク機構が形成される。第1リンクは、蝶番53と第1軸部材75との間の部分(鍵盤蓋37の蓋体37a及び左側部取付部材71)であり、第2リンクは第1リンク部材77に有する一方の貫通孔aに挿通される第1軸部材75と他方の貫通孔bに挿通される第2軸部材79との間の部分であり、第3リンクは第2リンク部材81に有する貫通孔に挿通される第2軸部材79とダンパー87のダンパー軸85との間の部分である。
【0029】
ダンパー87は、例えばオイルが充填された円筒形のケーシングと、ケーシングに回動自在に嵌合されたダンパー軸85とを有する油圧ダンパーで構成されている。
ダンパー取付部材89は、上前板27へ取り付けられ、ダンパー87を支持するもので、剛性の高い材料例えば金属製の板材からなり、略五角形状をなす平板部と、その平板部の一辺の縁から略直角に立ち上がった略矩形状の支持部とを有している。その支持部は、例えば長手方向に略均等間隔で3個の貫通孔(図示せず)を有している。平板部は、下方の2つの辺の交差部寄りに貫通孔(図示せず)を有している。
【0030】
そして、ダンパー取付部材89は、支持部に有する3個の貫通孔へ挿入された3個のねじ部材(図示しない)によって上前板27の左方内面へ取り付けられる。
また、ダンパー取付部材89が有する貫通孔へダンパー87が挿入される。そして、例えばダンパー87が有するケーシングの外周から半径方向へ突出したフランジに設けられた貫通孔(図示せず)へ挿入されるねじ部材(図示せず)によってダンパー87がダンパー取付部材89へ取り付けられる。
【0031】
ばね機構9は、図1に示すように、鍵盤39の右方後方位置に配置されている。
そして、ばね機構9は、図4に示すように、右側部取付部材91、3個のねじ部材93、ばね部材95及びばね取付部材97を構えている。
【0032】
右側部取付部材91は、鍵盤蓋37の蓋体37aへ取り付けられ、ばね部材95と連結されるもので、剛性の高い材料例えば金属製の板材からなり、略V字形状をなす平板部と、その平板部の一方の長辺の縁から略直角に立ち上がった略矩形状をなす支持部とを有している。その支持部は、平板部の一方の短辺の端部から長手方向へ略中央部までの区間において形成されている。また、その支持部は、長手方向に略均等間隔で3個の貫通孔(図示せず)を有している。平板部は、支持部が形成されていない区間の短辺寄りに貫通孔91aを有している。なお、この貫通孔91aの位置は、後述する位置に設けられている。
【0033】
そして、右側部取付部材91は、支持部に有する3個の貫通孔の挿入された3個のねじ部材93によって鍵盤蓋37の蓋体37aの右方内面へ取り付けられる。
ばね部材95は、右側部取付部材91と連結され、ばね取付部材97と連結されるもので、例えば線状の金属性のばね材からなり、略コイル状に巻かれた形状をなし両端部に半円形状のフック部95a,95bを有する引張ばねで構成されている。
【0034】
ばね部材95が有する一方のフック部95aは、右側部取付部材91の平板部に有する貫通孔91aへ挿入されている。
ばね取付部材97は、棚板21へ取り付けられ、ばね部材95と連結されるもので、剛性の高い材料例えば金属製の板材からなり、略五角形状をなす平板部と、その平板部の一辺の縁から略直角に立ち上がった略矩形状の支持部とを有している。その支持部は、例えば長手方向に略均等間隔で3個の貫通孔(図示せず)を有している。平板部は、略中央部に貫通孔97aを有している。
【0035】
そして、ばね取付部材97は、支持部に有する3個の貫通孔へ挿入された複数個のねじ部材(図示しない)によって棚板21の右方上面へ取り付けられる。
ばね部材95が有する他方のフック部95bは、ばね取付部材97の平板部に有する貫通孔97aへ挿入されている。
【0036】
また、上述した右側部取付部材91の平板部に有する貫通孔91aは、次に説明する位置に設けられている。
以下の説明において、図5に示すように、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態では、鍵盤蓋37の開放角度を「0度」とする。すると、図4に示すように、鍵盤蓋37が開放されている状態では、鍵盤蓋37の開放角度は「約120度」となる。
【0037】
図5に示すように、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態においては、前記貫通孔91aが蝶番53の回転中心とばね取付部材97の平板部に有する貫通孔97aとを結ぶ仮想線よりも鍵盤39から遠い位置になるように設けられ、且つ図4に示すように、鍵盤蓋37が開放されている状態においては、前記貫通孔91aが蝶番53の回転中心とばね取付部材97の平板部に有する貫通孔97aとを結ぶ仮想線よりも鍵盤39に近い位置になるように設けられている。よって、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態においては、ばね部材95は鍵盤蓋37を開放する方向へ回転トルクを付与する。一方、鍵盤蓋37が開放されている状態においては、ばね部材95は鍵盤蓋37を閉鎖する方向へ回転トルクを付与する。このばね部材95が発生する付勢力の方向が切り替わる鍵盤蓋37の開放角度は、「約90度」である。すなわち、鍵盤蓋37が略垂直な状態である。
【0038】
その結果、鍵盤蓋37の開放角度が「0度」から「約90度」までは、ばね部材95が付与する回転トルクは、鍵盤蓋37を開放する方向へ作用し、「約90度」から「約120度」までは、ばね部材95が付与する回転トルクは、鍵盤蓋37を閉鎖する方向へ作用する。なお、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態において右側部取付部材91の平板部が上前板27に当接しないように、その平板部の形状は略V字形状をなしている。
【0039】
[作動の説明]
次に、本実施形態のグランド型電子ピアノ1の作動を説明する。
まず、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態におけるダンパー機構7とばね機構9との作動について説明する。図1の二点鎖線、図3及び図5に示すように、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態では、鍵盤蓋37は、その蓋体37aの前部が口棒35に当接し、鍵盤39を覆っているような水平状態に保持されている。
【0040】
ダンパー機構7は、図3に示すように、その第1リンク部材77が上前板27の後方に収容されるような状態に保持されている。そして、鍵盤蓋37が保持されている状態においては、ダンパー機構7は、鍵盤蓋37に対して制動トルクを付与しない。
【0041】
ばね機構9は、図5に示すように、ばね機構9を構成するばね部材95が伸長した状態に設定保持されるので、鍵盤蓋37に対して開放する方向へ回転トルクを付与している。
次に、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態から鍵盤蓋37を手で徐々に開放する状態におけるダンパー機構7とばね機構9の作動について説明する。
【0042】
鍵盤蓋37を手で徐々に開放していく場合には、ダンパー機構7を構成するダンパー87が、鍵盤蓋37に対して制動力トルクを付与する。
ばね機構9は、上述したように鍵盤蓋37に対して開放する方向へ回転トルクを付与している。したがって、ばね機構9が付与する回転トルクによって小さい操作力で鍵盤蓋37を開放できる。この回転トルクは、開放操作時の初期、すなわち鍵盤蓋37の開放角度が「0度」において最大で、開放するにしたがって徐々に減少する。
【0043】
そして、上述したように鍵盤蓋37の開放角度が「約90度」から「約120度」までは、ばね部材95が付与する回転トルクは、鍵盤蓋37を閉鎖する方向へ作用する。したがって、鍵盤蓋37の開放角度が「約90度」、すなわち、鍵盤蓋37が略垂直な状態から後方へ傾き、鍵盤蓋37の重心が後方へ移動して鍵盤蓋37が急激に後方へ傾かないようにばね機構9が付与する回転トルクによって鍵盤蓋37を支持できる。
【0044】
次に、鍵盤蓋37が開放されている状態におけるダンパー機構7とばね機構9の作動について説明する。鍵盤蓋37は、図1の実線、図2及び図4に示すように、鍵盤蓋37が開放されている状態では、蓋体37aの外面が上前板27の前面に近接し、鍵盤39を開放し、傾斜状態に保持されている。なお、この鍵盤蓋37の開放位置において、演奏者が所定の鍵41を打鍵すると、上述した鍵スイッチがオンし、ピアノ本体2内の制御部(図示せず)の作用により、打鍵された鍵41に対応する楽音が電子的に発生する。そして鍵盤蓋37が開放されている状態では、蓋体37aの内面に配置された操作パネル37bが鍵盤39の上方に位置しているので、演奏者は操作パネル37bの所定のスイッチ群を容易に操作できる。
【0045】
ダンパー機構7は、図2に示すように、その第1リンク部材77が上前板27の前方へ突出すような状態に保持されている。このように鍵盤蓋37が保持されている状態においては、ダンパー機構7は、鍵盤蓋37に対して制動トルクを付与しない。
【0046】
ばね機構9は、図4に示すように、ばね機構9を構成するばね部材95が伸長した状態に設定保持されるので、鍵盤蓋37に対して閉鎖する方向へ回転トルクを付与している。なお、このばね部材95の伸長は、鍵盤蓋37が閉鎖されている状態に比べると小さい。
【0047】
次に、鍵盤蓋37が開放されている状態から鍵盤蓋37を手で徐々に閉鎖する状態におけるダンパー機構7とばね機構9の作動について説明する。
鍵盤蓋37を手で徐々に閉鎖していく場合には、ダンパー機構7を構成するダンパー87が、鍵盤蓋37に対して制動トルクを付与する。
【0048】
ばね機構9は、上述したように開放されている状態の「約120度」から「約90度」までは、鍵盤蓋37を閉鎖する方向へ回転トルクを付与している。したがって、ばね機構9が付与する回転トルクによって小さい操作力で鍵盤蓋37を「約120度」から「約90度」まで閉鎖できる。そして、上述したように鍵盤蓋37の開放角度が「約90度」、すなわち、鍵盤蓋37が略垂直な状態から前方へ傾く場合には、ばね部材95が付与する回転トルクは、鍵盤蓋37を開放する方向へ作用し、この回転トルクは、閉鎖するにしたがって徐々に増加し、閉鎖されている状態、すなわち鍵盤蓋37の開放角度「0度」において最大となる。したがって、鍵盤蓋37が略垂直な状態から前方へ傾き、鍵盤蓋37の重心が前方へ移動して鍵盤蓋37が急激に前方へ傾かないようにダンパー機構7が付与する制動トルクと、ばね機構9が付与する回転トルクによって鍵盤蓋37を支持できる。
【0049】
なお、本実施形態においては、ダンパー機構7及びばね機構9が「鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置」に相当し、左側部取付部材71、第1軸部材75、第1リンク部材77、第2軸部材79、第2リンク部材81及びダンパー軸85が「リンク機構」に相当し、左側部取付部材71が「リンク機構の一端部」に相当し、第2リンク部材81が「リンク機構の他端部」に相当する。また、ダンパー87が「緩衝器」に相当し、ばね部材95が「付勢部材」に相当し、ばね部材95のフック部95aが「付勢部材の一端部」に相当し、ばね部材95のフック部95bが「付勢部材の他端部」に相当する。
【0050】
[効果の説明]
従来の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置においては、鍵盤蓋の重さが増加した場合に、重さが増加していない場合と同じ鍵盤蓋の落下速度を保つには、ばねと制動部材とが関連付けられて一体に構成されている鍵盤蓋開閉装置を大型化するか、複数備えなければならず、実装する収容容積が大きくなるという問題点があった。
【0051】
それに対して、本実施形態の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置によれば、上記制動部材に相当するダンパー機構7は、鍵盤39の左方後方位置に配置され、上記ばねに相当するばね機構9は、鍵盤39の右方後方位置に配置されている。よって、ダンパー機構7とばね機構9とが関連づけられて一体に構成されていない。ダンパー機構7とばね機構9とのそれぞれの収容容積は、一体に構成されている場合の収納容積と比較すれば当然小さくなる。したがって、ダンパー機構7とばね機構9とを実装する密度が高められ、設計上の実装効率を高めることができる。
【0052】
また、ダンパー機構7を構成する左側部取付部材71は、鍵盤蓋37の蓋体37aの左方内面へ取り付けられ、ばね機構9を構成する右側部取付部材91は、鍵盤蓋37の蓋体37aの右方内面へ取り付けられる。鍵盤蓋37の重心は、鍵盤蓋37の長手方向のほぼ中央に位置しているのに対して、ダンパー機構7が付与する制動トルクとばね機構9が付与する回転トルクとが鍵盤蓋37の両側部から開蓋方向に作用することになる。したがって、鍵盤蓋37のどちらか一方の側部でのみ支持する場合に比べて、鍵盤蓋37や蝶番53に対してねじれや変形の原因となる不均衡な力が加わらない。
【0053】
さらに、鍵盤蓋37の開放角度が「約90度」から「約120度」までは、ばね部材95が付与する回転トルクは、鍵盤蓋37を閉鎖する方向へ作用する。よって、鍵盤蓋37が略垂直な状態から開放する方向へ傾き、鍵盤蓋37の重心が開放する方向へ移動した際には、ばね部材95は、鍵盤蓋37に対して閉鎖する方向に回転トルクを付与する。したがって、鍵盤蓋の開放位置から鍵盤蓋37が略垂直な状態まで鍵盤蓋を閉鎖する方向に回動するときには、鍵盤蓋37を軽く操作することができる。
【0054】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0055】
(1)上記実施形態では、ダンパー87が、オイルが充填された円筒形のケーシングと、ケーシングに回動自在に嵌合されたダンパー軸85とを有する油圧ダンパーで構成されていたが、ワンウェイトルク式の油圧ダンパーで構成してもよい。そして、鍵盤蓋37を開放する方向に回動したときの鍵盤蓋37に対する制動トルクが鍵盤蓋を閉鎖する方向に回動したときの鍵盤蓋に対する制動トルクより小さく設定してもよい。
【0056】
このように構成された実施形態においては、鍵盤蓋37を閉鎖する方向に回動するときには操作者に不安感を与えないようにし、鍵盤蓋37を開放する方向に回動するときには鍵盤蓋37を軽く開けることができる。
【0057】
(2)上記実施形態では、グランド型電子ピアノ1の鍵盤蓋37に適用したものであったが、これには限らない。アップライト型電子ピアノの鍵盤蓋に適用してもよいし、一般のアコースティックピアノの鍵盤蓋に適用してもよい。
【0058】
(3)上記実施形態では、ダンパー87が、油圧ダンパーで構成されていたが、これには限らない。油以外の流体ダンパー、ガスダンパー、摩擦ダンパー、粘弾性ダンパー及び磁性ダンパーでもよい。
【0059】
(4)上記実施形態では、ばね部材95が、引張ばねで構成されていたが、これには限らない。圧縮ばね、ねじりばね及び板ばねでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が開放されている状態を示す斜視図である。
【図2】図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が開放されている状態のA−A線における要部断面図である。
【図3】図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が閉鎖されている状態のA−A線における要部断面図である。
【図4】図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が開放されている状態のB−B線における要部断面図である。
【図5】図1のグランド型電子ピアノ1において鍵盤蓋37が閉鎖されている状態のB−B線における要部断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…グランド型電子ピアノ、2…ピアノ本体、6…脚、7…ダンパー機構、8…ペダルユニット、9…ばね機構、21…棚板、23…側板、27…上前板、31…大屋根、35…口棒、36…覆い板、37…鍵盤蓋、37a…蓋体、37b…操作パネル、39…鍵盤、41…鍵、53…蝶番、71…左側部取付部材、73…ねじ部材、75…第1軸部材、77…第1リンク部材、79…第2軸部材、81…第2リンク部材、85…ダンパー軸、87…ダンパー、89…ダンパー取付部材、91…右側部取付部材、91a…貫通孔、93…ねじ部材、95…ばね部材、95a…フック部a、95b…フック部b、97…ばね取付部材、97a…貫通孔。




 

 


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