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発明の名称 アップライトピアノのアクション
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−155964(P2007−155964A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−348917(P2005−348917)
出願日 平成17年12月2日(2005.12.2)
代理人 【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
発明者 釘本 英範
要約 課題
バットスプリングの付勢力を熟練性を要することなく容易に調整できることで、良好な連打性およびタッチ感の双方が容易に得られるアップライトピアノのアクションを提供する。

解決手段
アップライトピアノのアクション1であって、ハンマー31が立設されたバット4が、バットフレンジ12に回動自在に支持され、ジャック3が、鍵の離鍵状態においてバット4に係合し、鍵22の押鍵に伴い、バット4を突き上げることでバット4とハンマー31を後方に回動させる。また、バットスプリング14が、バット4の背面に対向するように上下方向に延び、上端部および下端部の複数の被係止部14d〜14fの1つが、バット4およびバットフレンジ12に対してそれぞれ係止され、複数の被係止部14d〜14fの1つが係止されたときと、他の1つが係止されたときでは、互いに異なるたわみ状態でたわむことで、バット4を互いに異なる付勢力で前方に付勢する。
特許請求の範囲
【請求項1】
鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、
バットフレンジと、
当該バットフレンジに回動自在に支持され、前記ハンマーが立設されたバットと、
前記鍵の離鍵状態において前記バットに係合し、前記鍵の押鍵に伴い、前記バットを突き上げることによって当該バットおよび前記ハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、前記バットから離脱するジャックと、
前記バットの背面に対向するように上下方向に延び、下端部に複数の被係止部を有し、上端部および前記複数の被係止部の1つが、前記バットおよび前記バットフレンジに対してそれぞれ係止され、当該バットフレンジに対して、前記複数の被係止部の1つが係止されたときと、他の1つが係止されたときでは、互いに異なるたわみ状態でたわむことによって、前記バットを互いに異なる付勢力で前方に付勢するバットスプリングと、
を備えることを特徴とするアップライトピアノのアクション。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアップライトピアノのアクションとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このアクションは、一般的なものであり、バットフレンジに回動自在に取り付けられ、ハンマーが立設されたバットと、鍵の離鍵状態においてバットの下端部に係合するジャックと、バットに設けられたバットスプリングとを有している。このバットスプリングは、ねじりコイルばねで構成された一般的なものであり、バットの背面に対向するように上下方向に延び、上端部および下端部が、バットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止されている。以上の構成により、バットスプリングは、バットとバットフレンジの間にたわんだ状態で取り付けられており、それにより、バットを復帰方向に常に付勢している。
【0003】
このような構成のアクションでは、鍵が押鍵されると、ジャックがバットを突き上げ、それにより、バットおよびハンマーは、バットスプリングの付勢力に抗しながら、バットフレンジを支点として後方に回動する。この回動の途中、ジャックはバットから離脱する。また、このジャックの離脱後、ハンマーは、慣性でそのまま回動し、後方に張られた弦を打弦することによって、ピアノ音を発生させる。さらに、この打弦後、ハンマーは、バットスプリングの付勢力によって、バットとともに復帰回動し、また、ジャックは、バットに係合し、ハンマーの突き上げが可能な状態に戻る。
【0004】
上述したようなアクションでは、トリルを行うときのように同じ鍵を速く連打するのに応じてハンマーに打弦を確実に行わせ、良好な連打性を得るためには、ハンマーを打弦後に速やかに復帰回動させ、ジャックによって突き上げることができるように、バットスプリングの付勢力を大きめに設定することが好ましい。このような設定は、ハンマーが打弦後に戻らなくなるスティックの発生を回避する上でも好ましい。
【0005】
一方、前述したように、バットスプリングの付勢力は、バットを復帰方向に常に付勢するように作用するため、押鍵時に鍵に反力として常に作用する。このため、バットスプリングの付勢力が大きすぎる場合には、鍵の静的荷重が大きくなり、タッチ重さが過大になるとともに、ばねを変形させるときに得られるような「ばねっぽい」タッチ感になり、タッチ感を悪化させてしまう。以上から明らかなように、良好な連打性およびタッチ感を両立させるためには、バットスプリングの付勢力を適度な大きさに設定する必要がある。
【0006】
また、上述した連打性やタッチ重さは、ハンマーの重量やバットの回動抵抗などに応じても変化する。さらに、前述したようなアクションでは、量産によるバットフレンジコードの長さのばらつきや量産によるバットスプリングの個体差などによって、所定のバットスプリングの付勢力が得られない場合がある。このため、良好な連打性およびタッチ感を得るために、バットスプリングの付勢力を調整することが必要になる。
【0007】
例えば、このような調整を、バットスプリングの曲げ具合を調整することによって行うことが考えられる。しかし、その場合には、曲げ具合の調整を目分量や勘にたよって行わなければならないため、熟練性を要するとともに、熟練性を有する場合でも、適度なバットスプリングの付勢力が得られるまでに、何度も試行を繰り返すことが必要となり、その調整作業が非常に煩雑である。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、バットスプリングの付勢力を熟練性を要することなく容易に調整でき、それにより、良好な連打性およびタッチ感の双方を容易に得ることができるアップライトピアノのアクションを提供することを目的とする。
【0009】
【特許文献1】特開平6−27934号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、鍵の押鍵に伴って作動し、ハンマーを後方に回動させることにより打弦を行わせるアップライトピアノのアクションであって、バットフレンジと、バットフレンジに回動自在に支持され、ハンマーが立設されたバットと、鍵の離鍵状態においてバットに係合し、鍵の押鍵に伴い、バットを突き上げることによってバットおよびハンマーを後方に回動させるとともに、当該回動の途中で、バットから離脱するジャックと、バットの背面に対向するように上下方向に延び、下端部に複数の被係止部を有し、上端部および複数の被係止部の1つが、バットおよびバットフレンジに対してそれぞれ係止され、バットフレンジに対して、複数の被係止部の1つが係止されたときと、他の1つが係止されたときでは、互いに異なるたわみ状態でたわむことによって、バットを互いに異なる付勢力で前方に付勢するバットスプリングと、を備えることを特徴とする。
【0011】
このアップライトピアノのアクションによれば、鍵の離鍵状態では、ジャックがバットに係合しており、この状態から鍵が押鍵されると、ジャックはバットを突き上げ、それにより、バットは、これに立設されたハンマーとともに、バットフレンジを支点として後方に回動する。この回動の途中、ジャックがバットから離脱する。また、このジャックの離脱後、ハンマーは、慣性でそのまま回動し、弦を打弦することによって、ピアノ音を発生させる。
【0012】
さらに、バットの背面には、これに対向するようにバットスプリングが上下方向に延びており、その上端部がバットに係止され、下端部に設けられた複数の被係止部の1つがバットフレンジに対して係止されている。これにより、バットスプリングは、バットとバットフレンジとの間にたわんだ状態で設けられることによって、バットを前方に付勢しており、この付勢によって、ハンマーは、打弦後、前方の元の位置に向かって復帰回動する。
【0013】
また、バットスプリングは、バットフレンジに対して、バットスプリングの複数の被係止部の1つが係止されたときと、他の1つが係止されたときでは、互いに異なるたわみ状態でたわむことによって、バットを互いに異なる付勢力で付勢する。したがって、バットフレンジに係止する被係止部を変更することによって、バットスプリングの付勢力を調整することができる。このように、バットスプリングの付勢力の調整を、複数の被係止部の中から1つの被係止部を選択するだけで行えるので、バットスプリングの曲げ具合を調整する場合と異なり、熟練性を要することなく容易に行うことができ、したがって、良好な連打性およびタッチ感の双方を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態によるアップライトピアノのアクション1を、鍵盤21およびハンマー31などを、離鍵状態において示している。なお、以下の説明では、演奏者側から見て手前側を「前」、奥側を「後」として説明する。また、同図を含む実施形態を説明するための図では、便宜上、ハッチングを省略するものとする。鍵盤21は、左右方向(図1の奥行き方向)に並んだ多数の鍵22(1つのみ図示)によって構成されている。各鍵22は、筬23に立設されたバランスピン23aに、回動自在に支持されている。
【0015】
ハンマー31は、鍵22ごとに設けられており(1つのみ図示)、各ハンマー31は、ハンマーシャンク32およびハンマーヘッド33を有している。ハンマーシャンク32は、断面円形の細長い棒状に形成され、アクション1の後述するバット4の上面に立設されており、上下方向に延びている。ハンマーヘッド33は、ハンマーウッド33aおよびこれに巻かれたハンマーフェルト33bなどで構成されており、ハンマーシャンク32の上端部に設けられていて、離鍵状態では、後方に鉛直に張られた弦Sに対向している。
【0016】
アクション1は、鍵盤21の後端部の上方において、筬23の左右端部にそれぞれ設けられたブラケット(図示せず)に取り付けられ、左右のブラケットの間に配置されている。また、アクション1は、鍵22ごとに設けられたウィッペン2、ジャック3およびバット4を有している(各1つのみ図示)。左右のブラケットの間には、センターレール41およびハンマーレール42が渡されている。
【0017】
ウィッペン2は、例えば合成樹脂や木材によって所定の形状に形成されており、その後端部において、センターレール41の下端部に固定されたウィッペンフレンジ5に、ピン状の支点2aを介して回動自在に支持されている。ウィッペン2の前部には、下方に突出するヒール部2bが設けられており、ウィッペン2は、このヒール部2bを介して、対応する鍵22の上面後端部に設けられたキャプスタンボタン22aに載置されている。ウィッペン2の上面前端部には、バックチェックワイヤ6aが立設されており、このバックチェックワイヤ6aの先端部に、バックチェック6が取り付けられている。また、ウィッペン2の上面のウィッペンフレンジ5よりも後ろ側の部分には、後述するダンパー45を駆動するためのスプーン7が立設されている。
【0018】
ジャック3は、例えば合成樹脂で構成されており、射出成形によって一体成形されている。ジャック3は、前後方向に延びる基部3aと、基部3aの後端部から上方に延びる突上部3bを有しており、基部3aと突上部3bとの角部において、ウィッペン2の中央部に、ピン状の支点3cを介して回動自在に支持されている。ジャック3の基部3aとウィッペン2の間には、離鍵時にジャック3を復帰回動させるためのジャックスプリング8が設けられている。また、基部3aの上方には、レギュレティングボタン9が鍵22ごとに設けられている(1つのみ図示)。このレギュレティングボタン9は、レギュレティングブラケット10やレギュレティングレール11を介して、センターレール41に固定されている。
【0019】
バット4は、合成樹脂により所定の形状に形成されていて、その背面4b側の下端部において、センターレール41の上端部に固定されたバットフレンジ12に、ピン状の支点4aを介して回動自在に支持されており、それにより、ハンマー31は回動自在になっている。バット4の前面には、キャッチャー13が取り付けられており、キャッチャー13は、前方に延び、離鍵状態では、前述したバックチェック6の後方に位置し、これと対向している。また、バット4の背面4bの上端部は後方に若干突出し、その左右方向の中央に、溝4cが形成されており、この溝4cには、バットスプリング14が取り付けられている(図3参照)。
【0020】
図2に示すように、このバットスプリング14は、ねじりコイルばねで構成されており、コイル部14a、第1腕部14bおよび第2腕部14cを有している。コイル部14aは、バット4の溝4cに収容された状態で、バットスプリングコード15に係止されており、第1腕部14bは、コイル部14aの一端から下方に延び、溝4cの底面に係合している。第2腕部14cは、コイル部14aの他端から、バット4の背面4bに対向するように下方に延びており、その下端部に、上側から順に、第1〜第3のフック部14d,14e,14f(被係止部)が形成されている。
【0021】
第1〜第3のフック部14d〜14fはいずれも、バット4側に凸に湾曲した状態で突出しており、それらの突出量は、それぞれの所定の大きさに設定されており、本実施形態では、第1フック部14dの突出量が最も大きい。これらの第1〜第3のフック部14d〜14fは、それらのいずれか1つが、バットフレンジ12に取り付けられたバットフレンジコード16に選択的に引っ掛けられ、係止される。なお、図1〜図3は、第1フック部14dをバットフレンジコード16に係止した状態を示している(以下、この係止状態を「第1係止状態」という)。以上の構成により、バットスプリング14は、バット4とバットフレンジ12の間にたわんだ状態で取り付けられており、それにより、バット4を前方に常に付勢し、ハンマー31を図1の時計回りに付勢している。
【0022】
また、離鍵状態での例えば第2腕部14cの所定位置Aにおける接線とバット4の背面4bとのなす角(以下「たわみ角」という)θは、図2に示すように、第1係止状態では、第1所定角度θ1になっている。さらに、図4および図5に示すように、第2および第3のフック部14e,14fをバットフレンジコード16に係止したとき(以下、これらの係止状態をそれぞれ「第2係止状態」「第3係止状態」という)には、たわみ角θは、第2および第3所定角度θ2,θ3にそれぞれなっている。これらの第1〜第3所定角度θ1〜θ3は、θ1>θ2>θ3の大小関係になっている。
【0023】
すなわち、バットスプリング14のたわみは、第1係止状態で最小、第3係止状態で最大になり、それに応じて、バットスプリング14の付勢力は、第1係止状態で最小、第3係止状態で最大になる。したがって、バットフレンジコード16に係止する第1〜第3のフック部14d〜14fを変更することによって、バットスプリング14の付勢力を調整することができる。
【0024】
また、θ1−θ2=α、θ2−θ3=βとした場合、これらの所定値α,βによって、バットスプリング14の付勢力の調整の仕方を様々に変更することができる。例えば、所定値α,βを小さめに設定することにより、第1〜第3所定角度θ1〜θ3の間の差を小さくすることによって、バットスプリング14の付勢力をきめ細かく調整することができる。あるいは、所定値α,βをより大きな値に設定することによって、バットスプリング14の付勢力をより大きな調整幅で調整することができる。
【0025】
以上の構成により、離鍵状態では、ジャック3の突上部3bがバット4の下面の前端部で構成される被突上部4dに下方から係合することによって、ハンマー31が静止した状態になっている。
【0026】
アクション1の後方には、ダンパー45が鍵22ごとに設けられている(1つのみ図示)。ダンパー45は、ダンパーフレンジ45aを介してセンターレール41に回動自在に取り付けられたダンパーレバー45bと、ダンパーレバー45bの上側にダンパーワイヤ45cを介して取り付けられたダンパーヘッド45dと、ダンパーヘッド45dを弦S側に付勢するダンパーレバースプリング45eなどで構成されている。このダンパー45は、離鍵時に、ダンパーレバースプリング45eの付勢力により、ダンパーヘッド45dが弦Sを押圧することによって、止音動作を行う。
【0027】
次に、上述したアクション1などの押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作について説明する。演奏者により離鍵状態の鍵22が押鍵されると、鍵22は、バランスピン23aを中心として図1の時計回りに回動し、その後端部に載置されたウィッペン2は、鍵22により突き上げられることによって、支点2aを中心として上方(反時計回り)に回動する。このウィッペン2の回動に伴い、ジャック3は、ウィッペン2と一緒に上方に移動し、突上部3bを介してバット4を突き上げる。これにより、バット4およびハンマー31は、バットスプリング14の付勢力に抗しながら、支点4aを中心として、後方の弦Sに向かって反時計回りに回動する。
【0028】
そして、ウィッペン2が所定角度、回動したときに、ジャック3の基部3aがレギュレティングボタン9に当接し、上方への移動が規制されることにより、ジャック3がウィッペン2に対して時計回りに回動する。
【0029】
押鍵がさらに進むと、ジャック3がウィッペン2に対してさらに回動することによって、突上部3bがバット4から前方に外れ、ジャック3がハンマー31から離脱する(レットオフ)。これにより、鍵22のタッチ重さからバット4およびハンマー31の重量分が失われることによって、演奏者にレットオフ感が付与される。
【0030】
また、このジャック3の離脱後、ハンマー31は、慣性で回動し、弦Sを打弦することによって、ピアノ音を発生させる。その後、ハンマー31は、バットスプリング14の付勢力によって時計回りに復帰回動し、キャッチャー13がバックチェック6に係止されることによって、一旦、停止する。
【0031】
そして、押鍵が終了し、鍵22が離鍵されるのに伴い、バックチェック6によるハンマー31の係止状態が解除され、それにより、ハンマー31は復帰回動を再開する。また、これと並行して、鍵22およびアクション1なども復帰回動することによって、図1に示す離鍵状態に復帰し、押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作が終了する。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、バットフレンジコード16に係止する第1〜第3のフック部14d〜14fを変更することによって、バットスプリング14の付勢力を調整できるので、その調整を、バットスプリングの曲げ具合を調整する場合と異なり、熟練性を要することなく容易に行うことができる。したがって、良好な連打性およびタッチ感の双方を容易に得ることができる。
【0033】
また、バットスプリング14は、通常のバットスプリングの一部に曲げ加工などにより第1〜第3のフック部14d〜14fを一体に形成するだけで構成でき、バットスプリング14の付勢力を調整するための特別な別個の部品を新たに付加する必要がないので、アクション1の大型化や製造コストの増大を招くことがない。
【0034】
さらに、一般に、豊かな音楽表現のためには、ジャック3がハンマー31から離脱する、いわゆるレットオフのタイミングを正確に把握し、それに応じて、ハンマー31の打弦速度を細かくコントロールすることが重要である。レットオフのタイミングを明確にするためには、レットオフ前後のタッチ重さの差(レットオフ荷重)を大きめに設定することが好ましい。前述したように、バットスプリング14の付勢力は、バット4を復帰方向に付勢するため、押鍵時のジャック3が離脱するまでの間、鍵22に反力として作用することから、レットオフ荷重に影響を及ぼす。したがって、バットスプリング14の付勢力の調整を、レットオフ荷重の調整に用いてもよい。また、バットスプリング14の付勢力の調整を、ハンマー31が打弦後に戻らなくなるスティックの発生を回避するように行ってもよい。
【0035】
図9は、上述した本実施形態のアクション1を用いたときの鍵22の押下量(以下「鍵押下量」という)とタッチ重さとの関係を実験により求めた結果を示しており、具体的には、前述した第1係止状態および第3係止状態での鍵押下量とタッチ重さとの関係を、実線および二点鎖線でそれぞれ示している。また、図9の点Aは、押鍵の開始のタイミングを、点Bは、ジャック3がレギュレティングボタン9に当接するタイミングを、点Cは、ジャック3がハンマー31から外れるタイミングを、点Dは、ジャック3がハンマー31から外れた後、鍵22の前端部が筬23のフロントレール(図示せず)に当接するタイミングを、それぞれ示している。
【0036】
同図に示すように、第3係止状態では、第1係止状態と比較して、タッチ重さが全体として大きく、特に、第3係止状態でのレットオフ荷重LL3は、第1係止状態でのレットオフ荷重LL1の約3倍になっている。このように、バットフレンジコード16に係止する第1〜第3のフック部14d〜14fを変更することによって、タッチ重さやレットオフ荷重を調整できることが確認された。
【0037】
次に、図6〜図8を参照しながら、バットスプリング14の変形例について説明する。この変形例では、バットスプリング14の第2腕部14cの下端部は、渦巻状に3回、巻かれており、外側から順に、第1〜第3の巻部14g,14h,14i(被係止部)を有している。これらの第1〜第3の巻部14g〜14iのうちの1つは、バットフレンジコード16に係止されるようになっており、具体的には、第1〜第3の巻部14g〜14iのうちのバットフレンジ12にそれぞれ最も近い部分が、バットフレンジコード16に係止される。
【0038】
この構成により、図6〜図8に示すように、バットスプリング14のたわみ角θは、第1巻部14gをバットフレンジコード16に係止したときには、最大の第1所定角度θ1に、第2巻部14hを係止したときには、第2所定角度θ2に、第3巻部14iを係止したときには、最小の第3所定角度θ3になる。したがって、バットフレンジコード16に係止する第1〜第3の巻部14g〜14iを変更することによって、バットスプリング14の付勢力を調整できるので、前述した第1実施形態の効果を同様に得ることができる。
【0039】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、本実施形態では、バットスプリング14を、ねじりコイルばねで構成したが、その上端部および下端部がバット4およびバットフレンジ12に対してそれぞれ係止されるとともに、バット4を前方に付勢するものであれば、他の適当なばね、例えば板ばねで構成してもよい。また、本実施形態では、バットスプリング14の被係止部の数が3であるが、その数は、複数であれば任意であり、その数が多いほど、バットスプリング14の付勢力をより多段階で調整することができる。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態によるアクションおよびハンマーなどを、離鍵状態において示す側断面図である。
【図2】図1のバットなどの拡大側面図である。
【図3】図1のバットなどの拡大背面図である。
【図4】バットスプリングが図2と異なる係止状態にあるときの図2と同様の拡大側面図である。
【図5】バットスプリングが図2および図4と異なる係止状態にあるときの図2と同様の拡大側面図である。
【図6】変形例によるバットスプリングなどを示す図2と同様の拡大側面図である。
【図7】バットスプリングが図6と異なる係止状態にあるときの図6と同様の拡大側面図である。
【図8】バットスプリングが図6および図7と異なる係止状態にあるときの図6と同様の拡大側面図である。
【図9】図1のアクションを用いたときの鍵押下量とタッチ重さとの関係を、バットスプリングが互いに異なる2つの係止状態にあるときについて示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 アクション
3 ジャック
4 バット
12 バットフレンジ
14 バットスプリング
14a コイル部(上端部)
14d 第1フック部(被係止部)
14e 第2フック部(被係止部)
14f 第3フック部(被係止部)
14g 第1巻部(被係止部)
14h 第2巻部(被係止部)
14i 第3巻部(被係止部)
22 鍵
31 ハンマー
S 弦




 

 


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