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発明の名称 電子楽器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−47616(P2007−47616A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−233808(P2005−233808)
出願日 平成17年8月11日(2005.8.11)
代理人 【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
発明者 永瀧 周
要約 課題
大きな遮音ボックスを必要とすることなく、演奏者が、ヘッドホンを装着しなくても、外部への音漏れを十分に低減した状態で、演奏による楽音を聴くことができる電子楽器を提供する。

解決手段
演奏者Pによって操作される鍵盤6と、この鍵盤6の操作に応じた楽音を発生させるための楽音信号を生成する楽音信号生成手段と、超音波を生成する超音波生成手段40と、生成された楽音信号に基づき、生成された超音波を変調する変調器40と、放射面11aが演奏者Pに向くように配置され、変調された超音波を放射面11aから放射する超指向性スピーカ11と、を備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
演奏者によって操作される演奏部と、
この演奏部の操作に応じた楽音を発生させるための楽音信号を生成する楽音信号生成手段と、
超音波を生成する超音波生成手段と、
前記生成された楽音信号に基づき、前記生成された超音波を変調する変調手段と、
放射面が演奏者に向くように配置され、前記変調された超音波を前記放射面から放射する第1スピーカと、
を備えていることを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
前記超音波生成手段は、互いに周波数が異なる2つの超音波を生成可能に構成されており、
前記変調手段は、前記2つの超音波を、これら超音波の周波数の差が前記生成された楽音信号に基づく楽音の周波数になるように変調することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
【請求項3】
前記生成された楽音信号に基づく楽音を放音する第2スピーカと、
前記生成された楽音信号に基づく楽音を発生させる楽音発生モードを、前記第1スピーカから超音波を放射する第1スピーカモード、および前記第2スピーカから楽音を放音する第2スピーカモードの一方に切り換える楽音発生モード切換手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子楽器。
【請求項4】
演奏者にその耳を覆った状態で装着可能に構成され、前記生成された楽音信号に基づく楽音を再生するヘッドホンと、
前記生成された楽音信号に基づく楽音を発生させる楽音発生モードを、前記第1スピーカから超音波を放射する第1スピーカモード、および前記ヘッドホンで楽音を再生するヘッドホンモードの一方に切り換える楽音発生モード切換手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子楽器。
【請求項5】
前記生成された楽音信号に基づく楽音を放音する第2スピーカと、
演奏者にその耳を覆った状態で装着可能に構成され、前記生成された楽音信号に基づく楽音を再生するヘッドホンと、
前記生成された楽音信号に基づく楽音を発生させる楽音発生モードを、前記第1スピーカから超音波を放射する第1スピーカモード、前記第2スピーカから楽音を放音する第2スピーカモード、および前記ヘッドホンで楽音を再生するヘッドホンモードのいずれか1つに切り換える楽音発生モード切換手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子楽器。
【請求項6】
前記第1スピーカから放射される超音波の放射方向を調整する超音波放射方向調整手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電子楽器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子ピアノや消音型ピアノなど、電子音源を内蔵する電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子楽器は、通常、電子音源による楽音を外部に放音するスピーカを備えており、また、ヘッドホンが接続され、それを演奏者が装着することによって、その楽音を演奏者のみが聴けるようになっている。例えば、夜間に電子楽器を演奏する場合など、その演奏音が周囲の迷惑にならないようにするために、演奏者は、ヘッドホンを装着して演奏することがある。このようにヘッドホンを装着して演奏することは、演奏者にとっては煩わしく、特に、ヘッドホンを長時間、装着していると、耳が痛くなり、演奏者に負担がかかってしまう。本出願人は、このような問題を回避するための鍵盤楽器用スピーカの漏音防止構造を、すでに出願している(特許文献1)。
【0003】
この漏音防止構造は、電子音源によって楽音を発生させることに加えて、通常のアコースティックピアノとしての演奏も可能な消音型ピアノに適用したものであり、ピアノの前側に着脱自在に設けられたボックス状の囲い(以下「遮音ボックス」という)と、この遮音ボックス内に設けられた一対のスピーカとを備えている。遮音ボックスは、演奏者の頭部を、比較的大きなスペースをもって囲むように形成されるとともに、底面全体および前面の中央部が開放されている。また、両スピーカはいずれも、演奏者の頭部に向いた状態で、遮音ボックスの内側に取り付けられるとともに、ピアノの電子音源の出力端子に接続されている。このように構成された漏音防止構造では、遮音ボックス内のスピーカから放音された楽音は、演奏者の耳に届くとともに、遮音ボックスによって、外部への音漏れが防止される。これにより、演奏者は、ヘッドホンを装着しなくても、外部への音漏れを防止した状態で、演奏音を聴くことができる。なお、昼間にピアノを演奏する場合など、演奏音が周囲の迷惑にならない場合には、遮音ボックスをピアノから取り外した状態で演奏が行われ、この場合、演奏音は、通常のアコースティックピアノと同様に、打弦されることによって発生する。
【0004】
この漏音防止構造では、遮音ボックス内のスピーカから放音された演奏音が、遮音ボックスにおいて開放された底面および前面から若干漏れるものの、その演奏音の大部分を遮音ボックスによって遮断することにより、外部への音漏れを低減している。しかし、ピアノに着脱される遮音ボックスは、それ自体が大きいため、その着脱の作業が煩雑である。また、遮音ボックスをピアノに取り付けて演奏する場合、演奏者の頭部が遮音ボックスで覆われた状態になるため、演奏者に圧迫感や息苦しさなどの不快感を与えることがある。さらに、遮音ボックスをピアノから取り外した場合には、それを保管するための比較的大きな保管スペースが必要になる。したがって、上記の漏音防止構造には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、大きな遮音ボックスを必要とすることなく、演奏者が、ヘッドホンを装着しなくても、外部への音漏れを十分に低減した状態で、演奏による楽音を聴くことができる電子楽器を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】特開平8−194482号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、演奏者によって操作される演奏部と、この演奏部の操作に応じた楽音を発生させるための楽音信号を生成する楽音信号生成手段と、超音波を生成する超音波生成手段と、生成された楽音信号に基づき、生成された超音波を変調する変調手段と、放射面が演奏者に向くように配置され、変調された超音波を放射面から放射する第1スピーカと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、演奏部が演奏者によって操作されることにより、その操作に応じた楽音を発生させるための楽音信号が、楽音信号生成手段によって生成される。次いで、生成された楽音信号に基づき、超音波生成手段で生成された超音波が、変調手段によって変調される。そして、変調された超音波が、第1スピーカの放射面から演奏者に向かって放射される。このようにして変調され、放射される超音波は、可聴周波数帯域の音波よりも指向性が極めて高く、また、空気などの媒質を伝搬する過程における非線形作用によって自己復調されることにより、可聴音になり、楽音として演奏者に到達する。この楽音は、指向性が極めて高い状態で演奏者の耳に届き、演奏者の周囲にはほとんど聞こえない。したがって、上記構成の電子楽器によれば、演奏者は、従来と異なり、大きな遮音ボックスを必要とすることなく、ヘッドホンを装着しなくても、外部への音漏れを十分に低減した状態で、演奏による楽音を聴くことができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子楽器において、超音波生成手段は、互いに周波数が異なる2つの超音波を生成可能に構成されており、変調手段は、2つの超音波を、これら超音波の周波数の差が生成された楽音信号に基づく楽音の周波数になるように変調することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、変調手段により、互いに周波数が異なる2つの超音波を、両者の周波数の差が発生させるべき楽音の周波数になるように変調する。したがって、変調された2つの超音波が第1スピーカから放射されることにより、両超音波の非線形相互作用による自己復調によって、上記請求項1の作用、効果を容易に実現することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の電子楽器において、生成された楽音信号に基づく楽音を放音する第2スピーカと、生成された楽音信号に基づく楽音を発生させる楽音発生モードを、第1スピーカから超音波を放射する第1スピーカモード、および第2スピーカから楽音を放音する第2スピーカモードの一方に切り換える楽音発生モード切換手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、超音波を放射する第1スピーカに加えて、可聴音としての楽音を直接、放音する第2スピーカを備えており、楽音発生モード切換手段により、楽音発生モードを、第1スピーカモードおよび第2スピーカモードの一方に切り換えることができる。したがって、例えば、夜間に演奏する場合などには、第1スピーカモードに切り換え、第1スピーカから超音波を放射することによって、外部への音漏れが低減され、それにより、演奏音が周囲に迷惑にならない状態で、演奏を行うことができる。一方、昼間に演奏する場合などには、第2スピーカモードに切り換え、第2スピーカから楽音を放音することによって、周囲に演奏音を響かせながら、通常の演奏を行うことができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の電子楽器において、演奏者にその耳を覆った状態で装着可能に構成され、生成された楽音信号に基づく楽音を再生するヘッドホンと、生成された楽音信号に基づく楽音を発生させる楽音発生モードを、第1スピーカから超音波を放射する第1スピーカモード、およびヘッドホンで楽音を再生するヘッドホンモードの一方に切り換える楽音発生モード切換手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、超音波を放射する第1スピーカに加えて、演奏者にその耳を覆った状態で装着可能で且つ楽音を再生するヘッドホンを備えており、楽音発生モード切換手段により、楽音発生モードを、第1スピーカモードおよびヘッドホンモードの一方に切り換えることができる。したがって、例えば、夜間に長時間、演奏する場合などには、第1スピーカモードに切り換え、第1スピーカから超音波を放射することによって、演奏音が周囲に迷惑にならない状態で、かつ、演奏者がヘッドホンを装着したときの煩わしさや耳の痛みなどの負担を感じることなく、演奏を行うことができる。一方、夜間に比較的短時間、演奏する場合や、外部への音漏れを確実に防止したり、演奏音以外の雑音などが演奏者に聞こえるのを防止したりしたい場合などには、ヘッドホンモードに切り換え、ヘッドホンで楽音を再生することによって、演奏音の周囲への音漏れを確実に防止できるとともに演奏者が自身の集中力を維持しながら、演奏を行うことができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の電子楽器において、生成された楽音信号に基づく楽音を放音する第2スピーカと、演奏者にその耳を覆った状態で装着可能に構成され、生成された楽音信号に基づく楽音を再生するヘッドホンと、生成された楽音信号に基づく楽音を発生させる楽音発生モードを、第1スピーカから超音波を放射する第1スピーカモード、第2スピーカから楽音を放音する第2スピーカモード、およびヘッドホンで楽音を再生するヘッドホンモードのいずれか1つに切り換える楽音発生モード切換手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、上記第1スピーカに加えて、上記第2スピーカおよびヘッドホンを備えており、楽音発生モード切換手段により、楽音発生モードを、第1スピーカモード、第2スピーカモード、およびヘッドホンモードのいずれか1つに切り換えることができる。これにより、上述した請求項3および4と同様の作用、効果を得ることができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子楽器において、第1スピーカから放射される超音波の放射方向を調整する超音波放射方向調整手段を、さらに備えていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、超音波放射方向調整手段によって、第1スピーカから放射される超音波の放射方向を演奏者に応じて適切に調整することができる。したがって、例えば、大人と子供など、耳の高さや位置が異なる演奏者が演奏する場合でも、第1スピーカの放射面を演奏者の耳に向くよう調整することにより、演奏者は、楽音を良好に聴きながら、演奏を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による電子楽器を適用した電子ピアノを示している。同図に示すように、この電子ピアノ1は、ピアノ本体2およびこれを支持するスタンド3を備え、さらにペダル4や譜面立て5などを備えている。
【0020】
ピアノ本体2の前部には、左右方向に並んだ多数の鍵6aを有する鍵盤6(演奏部)が配置され、後部には、操作パネル7が配置されている。各鍵6aには、その押鍵/離鍵により開閉(ON/OFF)される鍵スイッチ(図示せず)が設けられている。操作パネル7には、各種のスイッチ8および表示器9などが設けられている。各種のスイッチ8として例えば、デモ演奏スイッチや音色選択スイッチ、さらには、鍵盤6の押鍵に応じた楽音を発生させる楽音発生モードを、後述する超指向性スピーカ11からの超音波の放射による超指向性スピーカモード(第1スピーカモード)、通常スピーカ23からの楽音の放音による通常スピーカモード(第2スピーカモード)、およびヘッドホン24での楽音の再生によるヘッドホンモードのいずれか1つに切り換えるための楽音発生モード切換スイッチ8a(楽音発生モード切換手段、図3参照)などが設けられている。また、表示器9は、液晶などで構成され、スイッチ8の設定状態などを表示する。
【0021】
ピアノ本体2の天板2aの左右端部には、超音波を放射可能な超指向性スピーカ11、11(第1スピーカ)がそれぞれ設けられている。これらの超指向性スピーカ11、11は、後述するように、超音波を放射することにより、鍵盤6の押鍵に応じた楽音を、極めて高い指向性をもって演奏者に聞こえるようにするためのものである。各超指向性スピーカ11の放射面11aは、例えば、多数の小口径超音波素子が平面状に並んだアレー構造になっている。また、各超指向性スピーカ11は、放射面11aから放射される超音波の放射方向が、演奏者P側に向くように設定される(図4(a)参照)。
【0022】
また、各超指向性スピーカ11は、スピーカホルダ12(超音波放射方向調整手段)を介して、ピアノ本体2の天板2a上に取り付けられている。図2に示すように、スピーカホルダ12は、左右方向に延びる底壁13と、その左右両端部から上方に延びる左右の側壁14、14とにより、正面形状が上方に開口したコ字状に形成されている。底壁13には、その底面の中心部に、回動軸13aが下方に突設されており、この回動軸13aを介して、スピーカホルダ12が、ピアノ本体2の天板2a上で回動自在になっている。また、左右の側壁14、14にはそれぞれ、回動軸14a、14aが内方に突設されており、これらの回動軸14a、14aを介して、超指向性スピーカ11が回動自在に支持されている。以上のように構成されたスピーカホルダ12により、超指向性スピーカ11の放射面11aの向き、すなわち超音波の放射方向が、演奏者に応じて適宜、上下左右に調整される。
【0023】
スタンド3は、左右方向に延びる背板21と、その左右両端部から下方に延びる左右の脚板22、22とを一体に組み立てたものである。背板21の前面には、鍵盤6の押鍵に応じた楽音を、可聴音として直接、放音する通常スピーカ23、23(第2スピーカ)が設けられている。また、背板21には、左側の通常スピーカ23の左方に、ヘッドホン24から延びるケーブル25の先端部のヘッドホンプラグ26を挿入可能なヘッドホンジャック27が設けられている。ヘッドホン24は、演奏者にその両耳を覆った状態で装着可能に構成され、鍵盤6の押鍵に応じた楽音を再生する。
【0024】
図3は、電子ピアノ1の楽音の発生を制御するための回路構成を示している。まず、操作パネル7の各種スイッチ8の設定状態は、パネルスキャン回路31で検出され、パネルスイッチデータとして、システムバス32を介してCPU33に送られる。また、鍵盤6の各鍵6aに対応する鍵スイッチのON/OFF状態は、鍵盤スキャン回路34で検出され、そのON/OFF情報、ノートナンバー、およびベロシティを表すタッチデータが、押鍵情報データとして、鍵盤スキャン回路34からシステムバス32を介してCPU33に送られる。さらに、ヘッドホンジャック27には、ヘッドホンスイッチ(図示せず)が内蔵され、このヘッドホンスイッチから、ヘッドホンプラグ26のヘッドホンジャック27への差し込みの有無を表す検出信号が、CPU33に送られる。
【0025】
また、RAM35は、電子ピアノ1の動作状態を表すステータス情報などを一時的に記憶するとともに、CPU33の作業領域として用いられる。ROM36は、CPU33で実行される制御プログラムや、CPU33での演算に使用される各種の固定データなどを記憶している。RAM35およびROM36は、CPU33によりシステムバス32を介してアクセスされる。
【0026】
CPU33は、電子ピアノ1の各部を制御するものであり、パネルスキャン回路31からのパネルスイッチデータや、鍵盤スキャン回路34からの押鍵情報データなどに応じ、上記制御プログラムに従って、発生させるべき楽音の周波数特性や出力レベルなどを演算し、その演算結果に基づく制御信号を、音源回路37、イコライザ(以下「EQ」という)38、デジタルシグナルプロセッサ(以下「DSP」という)39、楽音発生選択スイッチ8a、および変調器40(超音波生成手段、変調手段)に出力する。
【0027】
音源回路37は、CPU33からの制御信号に従って、楽音波形データおよびエンベロープデータを波形メモリ41から読み出し、この読み出した楽音波形データにエンベロープデータを付加することによって、原音となる楽音信号を生成する。この楽音信号は、A/D変換器42でデジタル信号に変換された後、EQ38に送られる。このEQ38は、入力された楽音信号の周波数特性を補正するものであり、例えば、楽音発生モードが超指向性スピーカモードに切り換えられている場合には、比較的再生し難い低音域を強調するように補正する。EQ38で補正された楽音信号は、DSP39に送られ、所定の音響効果が付加される。この音響効果が付加された楽音信号は、D/A変換器43でアナログ信号に変換される。以上のように、本実施形態の楽音信号生成手段は、音源回路37、波形メモリ41、A/D変換器42、EQ38、DSP39、D/A変換器43などで構成されている。上記D/A変換器43でアナログ信号に変換された楽音信号は、楽音発生モード切換スイッチ8aによる楽音発生モードの切換状態に応じて、超指向性スピーカ11側、通常スピーカ23側、およびヘッドホン24側のいずれか1つに送られる。すなわち、楽音発生モードが、超指向性スピーカモードのときには超指向性スピーカ11側に、通常スピーカモードのときには通常スピーカ23側に、ヘッドホンモードのときにはヘッドホン24側に、上記楽音信号が送られる。なお、ヘッドホンプラグ26がヘッドホンジャック27に差し込まれているときには、楽音発生モードがヘッドホンモードに切り換えられ、それにより、上記楽音信号は、ヘッドホン24側に送られる。
【0028】
楽音発生モードが超指向性スピーカモードのときには、アナログ信号に変換された楽音信号は、変調器40に送られる。この変調器40は、互いに周波数が異なる2つの超音波を生成するとともに、両超音波を、入力された楽音信号に基づいて変調する。具体的には、両超音波は、互いの周波数の差が入力された楽音信号の周波数になるように変調される。そして、このように変調された両超音波は、パワーアンプ45によって増幅され、両超指向性スピーカ11、11の放射面11a、11aから放射される。このように両超指向性スピーカ11、11からそれぞれ放射された2つの超音波は、空気中を伝搬する過程における非線形相互作用によって自己復調されることにより、可聴音になり、楽音として演奏者に到達する。そして、この楽音は、図4(a)に示すように、指向性が極めて高い状態で演奏者Pの耳に届き、演奏者Pの周囲にはほとんど聞こえることがない。
【0029】
また、楽音発生モードが通常スピーカモードのときには、アナログ信号に変換された楽音信号は、パワーアンプ44によって増幅され、両通常スピーカ23、23によって再生される。すなわち、再生された楽音は、図4(b)に示すように、両通常スピーカ23、23から直接、可聴音として放音され、演奏者P側に向かって広がりながら鳴り響く。
【0030】
さらに、楽音発生モードがヘッドホンモードのときには、アナログ信号に変換された楽音信号は、ヘッドホン24によって再生される。すなわち、再生された楽音は、図4(c)に示すように、ヘッドホン24を装着した演奏者Pの耳に直接届き、外部への音漏れが防止される。
【0031】
以上のように、本実施形態の電子ピアノ1によれば、放射面11aが演奏者Pに向くように配置された両超指向性スピーカ11、11を備えており、楽音発生モードが超指向性スピーカモードに切り換えられた状態で演奏されたときには、両超指向性スピーカ11、11から超音波が放射され、楽音としての可聴音が、指向性が極めて高い状態で演奏者Pの耳に届く。したがって、演奏者Pは、ヘッドホン24を装着しなくても、外部への音漏れを十分に低減した状態で、演奏音を聴くことができる。また、電子ピアノ1は、両超指向性スピーカ11、11に加えて、両通常スピーカ23、23およびヘッドホン24を備えており、楽音発生モードを、超指向性スピーカモード、通常スピーカモードおよびヘッドホンモードのいずれか1つに切り換えることにより、超指向性スピーカ11、通常スピーカ23およびヘッドホン24のいずれか1つから任意に、演奏音を発生させることができる。
【0032】
例えば、夜間に演奏する場合などには、楽音発生モードを、超指向性スピーカモードまたはヘッドホンモードに切り換えることにより、演奏者Pは、演奏音が周囲に迷惑にならない状態で、演奏を行うことができる。特に、夜間に長時間、演奏する場合などには、超指向性スピーカモードに切り換えることにより、演奏者Pは、ヘッドホン24を装着したときの煩わしさや耳の痛みなどの負担を感じることなく、演奏を行うことができる。また、夜間に比較的短時間、演奏する場合や、外部への音漏れを確実に防止したり、演奏音以外の雑音などが演奏者Pに聞こえるのを防止したりしたい場合などには、ヘッドホンモードに切り換えることによって、演奏音の周囲への音漏れを確実に防止できるとともに演奏者Pが自身の集中力を維持しながら、演奏を行うことができる。一方、昼間に演奏する場合などには、通常スピーカモードに切り換えることにより、周囲に演奏音を響かせながら、演奏を行うことができる。
【0033】
また、超指向性スピーカ11を支持するスピーカホルダ12によって、超指向性スピーカ11から放射される超音波の放射方向を、演奏者Pに応じて適切に調整することができる。例えば、大人と子供など、耳の高さや位置が異なる演奏者Pが演奏する場合でも、超指向性スピーカ11の放射面11aを演奏者Pの耳に向くよう調整することにより、演奏者Pは、演奏音を良好に聴きながら、演奏を行うことができる。
【0034】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明を電子ピアノに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子音源を備えた他の電子楽器、例えば消音型ピアノや電子オルガンなどにも適用することができる。また、実施形態では、超指向性スピーカ11を、超音波素子を用いて構成したが、圧電特性を有する圧電高分子膜などを用いて構成してもよい。また、実施形態で示した電子ピアノ1の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による電子楽器を適用した電子ピアノを示す斜視図である。
【図2】超指向性スピーカを示す図であり、(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
【図3】電子ピアノの楽音の発生を制御するための回路構成を示すブロック図である。
【図4】電子ピアノの各楽音発生モードにおける楽音の発生を説明するための図であり、(a)超指向性スピーカモード、(b)通常スピーカモード、(c)ヘッドホンモードを示している。
【符号の説明】
【0036】
1 電子ピアノ(電子楽器)
6 鍵盤(演奏部)
8a 楽音発生モード切換スイッチ(楽音発生モード切換手段)
11 超指向性スピーカ(第1スピーカ)
12 スピーカホルダ(超音波放射方向調整手段)
23 通常スピーカ(第2スピーカ)
24 ヘッドホン
40 変調器(超音波生成手段、変調手段)
P 演奏者




 

 


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