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発明の名称 遅延装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−41013(P2007−41013A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−221663(P2005−221663)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
発明者 須田 正行
要約 課題
遅延長が切り換わるときのノイズを低減すること。

解決手段
入力されたデジタル楽音信号を遅延長だけ遅延して出力する遅延手段23と、遅延手段23の出力信号データを入力し、カットオフ周波数が可変のローパスフィルタ24とを備え、ローパスフィルタ24よりデジタル楽音出力信号を出力する遅延装置1において、遅延長を変更するときに、変更前の遅延信号に対してローパスフィルタ24のカットオフ周波数を予定の時間で徐々に低い周波数に移行し、その予定の時間の経過に合わせて遅延手段23の遅延長の変更を行い、その予定の時間経過後に、ローパスフィルタ24のカットオフ周波数を徐々に元の周波数に移行することを特徴としている。このような遅延装置1は、遅延長変更時のクリックノイズを低減させることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
入力されたデジタル楽音信号を遅延長だけ遅延して出力する遅延手段と、
前記遅延手段の出力信号データを入力し、カットオフ周波数が可変のローパスフィルタとを備え、
前記ローパスフィルタよりデジタル楽音出力信号を出力する遅延装置において、
遅延長を変更するときに、変更前の遅延信号に対して前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を予定の時間で徐々に低い周波数に移行し、
前記予定の時間の経過に合わせて前記遅延手段の遅延長の変更を行い、
予定の時間経過後に、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を徐々に元の周波数に移行する
ことを特徴とする遅延装置。
【請求項2】
請求項1において、
遅延長データの変化を検出する第1遅延長検出手段と、
前記遅延長データを第2遅延装置に入力し、前記第2遅延装置の出力データの変化を検出する第2遅延長検出手段と、
前記第1遅延長検出手段の指示により前記カットオフ周波数を徐々に低い周波数に移行させ、前記第2遅延長検出手段の指示により前記カットオフ周波数を徐々に元の周波数に移行させるカットオフ周波数指示手段
とを更に備える遅延装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記カットオフ周波数が十分に低い周波数に移行する時間と同等の遅延時間で前記遅延長データを読み出して遅延長を前記遅延手段に指示する遅延長指示手段
を更に備える遅延装置。
【請求項4】
入力音声を示す入力音声信号が遅延長だけ遅延した遅延音声信号を出力する遅延手段と、
前記遅延音声信号のうちのカットオフ周波数より高い周波数の音声を減衰させるローパスフィルタとを具備し、
前記遅延長が更新されて前記遅延音声信号が変更前遅延音声信号から変更後遅延音声信号に切り換わる切換期間でのカットオフ周波数は、前記遅延音声が切り換わらない無切換期間でのカットオフ周波数より低い
遅延装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記カットオフ周波数は、前記無切換期間から前記切換期間に移行する期間で単純に減少し、前記切換期間から前記無切換期間に移行する期間で単純に上昇する
遅延装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5のいずれかにおいて、
前記入力音声のうちの高域の音声を強調して前記入力音声信号を生成するプリエンファシスフィルタ
を更に具備する遅延装置。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のいずれかに記載される遅延装置と、
入力装置の操作に対応する前記入力音声を生成する電子楽器本体
とを具備する電子楽器。
【請求項8】
請求項4〜請求項6のいずれかに記載される遅延装置と、
前記入力音声を前記入力音声信号に変換するマイク本体
とを具備するエコー付きマイク。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延する音声を用いた効果を付与する遅延装置に関し、特に、その音声を遅延するときの遅延長が可変である遅延装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遅延する音声を用いた効果を付与する遅延装置が知られている。このような効果としては、エコー、リバーブが例示される。その遅延装置は、その音声を遅延するときの遅延長が可変である。このような遅延装置は、その遅延長を変更すると、遅延長の変更の前後で、出力される音声信号の波形が不連続になり、クリックノイズが発生してしまう不具合がある。このようなクリックノイズが低減されることが望まれている。
【0003】
特許2560428号公報には、切り替わり部分で発生するクリックノイズを除去することができるようにした効果装置が開示されている。その効果装置は、入力した楽音信号を遅延出力し、この遅延長を切り替えることができる可変遅延手段を具え、この遅延に基づく効果を該楽音信号に対して付与する効果装置において、この可変遅延手段の遅延長を変更すべきことが指示されたとき、変更前の遅延長に対応する前記可変遅延手段の出力信号に対して減衰エンベロープを付与することを指示する第1の指示手段と、前記第1の指示手段による指示の後、或る時間が経過したとき前記可変遅延手段の遅延長を変更することを指示すると共に、変更後の遅延長に対応する前記可変遅延手段の出力信号に対して立上りエンベロープを付与することを指示する第2の指示手段と、前記第1の指示手段による指示に応答して前記変更前の遅延長に対応する前記可変遅延手段の出力信号に対して減衰エンベロープを付与し、また、前記第2の指示手段による指示に応答して前記変更後の遅延長に対応する前記可変遅延手段の出力信号に対して立上りエンベロープを付与するエンベロープ付与手段とを具え、遅延長を変更するときに生じるクリックノイズを除去したことを特徴としている。
【0004】
特許3180371号公報には、簡略な構成で遅延時間変更時や信号切換時のノイズを防止できる信号遅延装置が開示されている。その信号遅延装置は、閉ループ状に接続された複数の遅延手段を有し、該閉ループ上に設けられた入力部に信号を入力し、該閉ループ上に設けられた出力部から信号を取り出す信号遅延装置であって、信号の発生が指示された時に、各遅延手段の出力を各遅延手段の遅延時間に対応する時間だけマスクする手段を備えている。
【0005】
【特許文献1】特許2560428号公報
【特許文献2】特許3180371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、遅延長が切り換わるときのノイズを低減する遅延装置を提供することにある。
又、その従来例に見られる遅延出力信号の切り換えを振幅制御により除去する方式においては、出力信号の振幅制御を急速に行うとそれ自身がノイズの発生原因となる場合がある。たとえば、回転操作子により遅延長を変更するときに、頻繁に遅延長が更新されるが、その更新の間隔より速く出力信号のレベル制御を行わなくてはならないために、出力信号は、高速の振幅変調を掛けたような大変耳障りな音を示す。逆に、出力信号のレベル制御を比較的遅く設定すると遅延長変更のタイミングを長くとるように制御しなければならなく、出力信号は、回転操作子の動きに追従しないような違和感がある。
本発明の他の課題は、遅延長を高速で切り換えることができ、かつ、遅延長が切り換わるときのノイズを低減する遅延装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明による遅延装置(1)は、入力されたデジタル楽音信号を遅延長だけ遅延して出力する遅延手段(23)と、遅延手段(23)の出力信号データを入力し、カットオフ周波数が可変のローパスフィルタ(24)とを備え、ローパスフィルタ(24)よりデジタル楽音出力信号を出力する遅延装置(1)において、遅延長を変更するときに、変更前の遅延信号に対してローパスフィルタ(24)のカットオフ周波数を予定の時間で徐々に低い周波数に移行し、その予定の時間の経過に合わせて遅延手段(23)の遅延長の変更を行い、その予定の時間経過後に、ローパスフィルタ(24)のカットオフ周波数を徐々に元の周波数に移行することを特徴としている。このような遅延装置(1)は、遅延長変更時のクリックノイズを低減させることができる。
【0009】
本発明による遅延装置(1)は、遅延長データの変化を検出する第1遅延長検出手段(8)と、その遅延長データを第2遅延装置(6)に入力し、第2遅延装置(6)の出力データの変化を検出する第2遅延長検出手段(11)と、第1遅延長検出手段(8)の指示によりそのカットオフ周波数を徐々に低い周波数に移行させ、第2遅延長検出手段(11)の指示によりそのカットオフ周波数を徐々に元の周波数に移行させるカットオフ周波数指示手段(13)とをさらに備えている。
【0010】
このとき、本発明による遅延装置(1)は、遅延長の変更があったときに、第1遅延長検出手段(8)とカットオフ周波数指示手段(12)とによりローパスフィルタ(24)のカットオフ周波数が低い周波数に移行する。遅延長データは、第2遅延装置(6)に入力され、カットオフ周波数が低い周波数に移行する時間と同等の遅延時間で読み出されてそのデータにより遅延長が変更される。そして、さらに、時間経過後に読み出された遅延長データの変化を検出する第2遅延長検出手段(11)とカットオフ周波数指示手段(12)によりカットオフ周波数は元の周波数に戻る。カットオフ周波数が低い周波数に移行するに連れて遅延手段(23)の出力波形の変動は、だんだん鈍くなり、したがって、波形が切り換わる際の急激な変化が抑制され滑らかな変化となりクリックノイズが低減される。
【0011】
本発明による遅延装置(1)は、カットオフ周波数が十分に低い周波数に移行する時間と同等の遅延時間でその遅延長データを読み出して遅延長を遅延手段(23)に指示する遅延長指示手段(7)を備えている。
【0012】
本発明による遅延装置(1)は、入力音声信号を遅延長だけ遅延した遅延音声信号を出力する遅延手段(23)と、遅延音声信号のカットオフ周波数より高い周波数帯域を減衰させるローパスフィルタ(24)とを備えている。遅延長が更新されて遅延音声信号が変更前遅延音声信号から変更後遅延音声信号に切り換わる切換期間でのカットオフ周波数を遅延音声信号が切り換わらない無切換期間でのカットオフ周波数より低くすることにより、遅延装置(1)は、遅延長が切り換わるときのノイズを低減することができる。
【0013】
カットオフ周波数は、無切換期間から切換期間に移行する期間で単純に減少し、切換期間から無切換期間に移行する期間で単純に上昇することが好ましい。
【0014】
本発明による遅延装置(1)は、入力音声のうちの高域の音声を強調して入力音声信号を生成するプリエンファシスフィルタ(22)をさらに備えていることが好ましい。遅延装置(1)は、遅延手段(23)の1ワード当たりのビット数を入力信号のビット数より小さくすることができる。このとき、遅延手段(23)は、その分だけ、メモリを有効に活用することができ、遅延長を長く取ることができる。通常、入力データのビット数が小さいビット幅の遅延手段を適用すると、フィードバックループによるノイズが発生する。遅延装置(1)は、さらに、このようなノイズを抑制することができる。
【0015】
本発明による電子楽器は、本発明による遅延装置(1)と、入力装置の操作に対応する入力音声を生成する電子楽器本体とを備えていることが好ましい。
【0016】
本発明によるエコー付きマイクは、本発明による遅延装置(1)と、入力音声を入力音声信号に変換するマイク本体とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による遅延装置は、遅延長が切り換わるときのノイズを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照して、本発明による遅延装置の実施の形態を記載する。その遅延装置1は、図1に示されているように、遅延制御装置2と第1遅延装置3とを備えている。遅延制御装置2は、機能ブロックとしてデータバッファ5と第2遅延装置6と遅延長指示手段7と第1遅延長検出手段8と第2遅延長検出手段11とカットオフ周波数指示手段12とを備えている。
【0019】
コントローラ14は、ユーザにより操作される入力装置であり、ユーザにより操作されて生成される遅延長データをCPU15に出力する。コントローラ14としては、ユーザにより操作されて数値が出力されるテンキー、連続量を出力するノブ(回転操作子)が例示される。すなわち、CPU15は、コントローラ14から出力される遅延長データを遅延制御装置2に出力する。
【0020】
データバッファ5は、コントローラ14から入力される遅延長データを一時的に記憶し、その遅延長データを第2遅延装置6と第1遅延長検出手段8とにサンプリング毎に出力する。第2遅延装置6は、データバッファ5から出力される遅延長データを所定の時間だけ遅延してOUT1から遅延長指示手段7に出力する。第2遅延装置6は、さらに、データバッファ5から出力される遅延長データを所定の時間だけ遅延してOUT2から第2遅延長検出手段11に出力する。遅延長指示手段7は、第2遅延装置6から出力される遅延長データを第1遅延装置3に出力する。
【0021】
第1遅延長検出手段8は、データバッファ5から出力される遅延長データが更新されたことが検出されたときに、その更新のタイミングを示すタイミング信号を出力する。第2遅延長検出手段11は、第2遅延装置6から出力される遅延長データが更新されたことが検出されたときに、その更新のタイミングを示すタイミング信号を出力する。カットオフ周波数指示手段12は、第1遅延長検出手段8から出力されるタイミング信号を検出したときに、所定の期間で1から0に単純に減少する周波数データFに基づいて値Aを算出する。周波数データFは、その期間以降に0を示す。カットオフ周波数指示手段12は、さらに、第2遅延長検出手段11から出力されるタイミング信号を検出したときに、所定の期間で0から1に単純に上昇する周波数データFに基づいて値Aを算出する。周波数データFは、その期間以降に1を示す。
【0022】
第1遅延装置3は、機能ブロックとして加算器21とプリエンファシスフィルタ22と遅延手段23とローパスフィルタ24と乗算器25と加算器26とを備えている。加算器21は、第1遅延装置3に入力される音声信号と乗算器25から出力される音声信号とが加算された合成音声信号をプリエンファシスフィルタ22に出力する。すなわち、加算器21は、サンプリング周期ごとに、第1遅延装置3に入力される音声信号の変位と乗算器25から出力される音声信号の変位とを加算した値を出力する。プリエンファシスフィルタ22は、加算器21から出力される音声信号の高域を強調して遅延手段23に出力する。
【0023】
遅延手段23は、入力される音声信号を記憶する記憶装置であり、プリエンファシスフィルタ22から出力された音声信号を遅延長指示手段7から出力される遅延長データ分だけ遅延させて出力する。ローパスフィルタ24は、遅延手段23から出力される音声信号をカットオフ周波数指示手段12から出力される値に基づいて高域の音声信号のゲインを低減して、乗算器25と加算器26とに出力する。乗算器25は、ローパスフィルタ24から出力される音声信号にフィードバック係数を乗算して加算器21に出力する。加算器26は、第1遅延装置3に入力される音声信号とローパスフィルタ24から出力される音声信号とを加算して外部に出力する。
【0024】
図2は、プリエンファシスフィルタ22の機能ブロックを示している。プリエンファシスフィルタ22は、サンプリング周期毎に演算する乗算器31と1サンプリングディレー32と乗算器33と加算器34と乗算器35とを備えている。乗算器31は、入力される信号に1を乗算した値を出力する。1サンプリングディレー32は、入力される信号を1サンプリング周期だけ遅延して出力する。乗算器33は、1サンプリングディレー32から出力される値に0.75を乗算した値を出力する。加算器34は、乗算器31から出力される値から乗算器33から出力される値を減算した値を出力する。乗算器35は、加算器34から出力される値に4を乗算した値を出力する。
【0025】
図3は、プリエンファシスフィルタ22の出力特性を示している。その出力特性39は、周波数が2kHz以上の領域から周波数が高くなるにつれてゲインが大きくなっていることを示している。
【0026】
図4は、ローパスフィルタ24の機能ブロックを示している。ローパスフィルタ24は、サンプリング周期毎に演算する乗算器41と加算器42と1サンプリングディレー43と乗算器44とを備えている。乗算器41は、入力される信号に所定の値Aが乗算された値を出力する。その所定の値Aは、カットオフ周波数指示手段12において算出される周波数データFを用いて、次式:
A=0.2415×F+0.0085
により表現され、0.25から0.0085の範囲で変動する。
【0027】
加算器42は、乗算器41から出力される値と1サンプリングディレー43から出力される値とを加算した値から乗算器44から出力される値を減算した値を1サンプリングディレー43と次段演算器に出力する。1サンプリングディレー43は、加算器42から出力される値を1サンプリング周期だけ遅延して加算器42と乗算器44とに出力する。乗算器44は、1サンプリングディレー43から出力される値に所定の値Aを乗算した値を加算器42に出力する。
【0028】
図5は、ローパスフィルタ24の周波数特性を示している。その周波数特性は、カットオフ周波数指示手段12から出力される値により異なっている。その周波数特性47は、カットオフ周波数指示手段12から出力される値に基づいて算出されるカットオフ周波数以下の領域ではゲインがフラットであり、そのカットオフ周波数以上の領域では周波数が高くなるにつれてゲインが小さくなっていることを示している。
【0029】
カットオフ周波数指示手段12において算出される周波数データFが0であるときの周波数特性48は、周波数が60Hz以下の領域でゲインがフラットであり、周波数が60Hz以上の領域では周波数が高くなるにつれてゲインが小さくなっていることを示している。周波数データFが1であるときの周波数特性49は、周波数が2kHz以下の領域でゲインがフラットであり、周波数が2kHz以上の領域では周波数が高くなるにつれてゲインが小さくなっていることを示している。
【0030】
なお、遅延制御装置2と第1遅延装置3とが備える各手段は、複数の電気回路により構成することができる。その複数の電気回路は、データバッファ5と第2遅延装置6と遅延長指示手段7と第1遅延長検出手段8と第2遅延長検出手段11とカットオフ周波数指示手段12と加算器21とプリエンファシスフィルタ22と遅延手段23とローパスフィルタ24と乗算器25と加算器26とが示す複数の動作をそれぞれ実行する。すなわち、遅延装置1は、その複数の電気回路を備えることにより、その複数の動作を実行する。
【0031】
図6は、ユーザの操作により遅延長データが変更前遅延長データから変更後遅延長データに更新されるときの遅延装置1の動作を示している。データバッファ5は、遅延長データが更新された時刻t1より前に変更前遅延長データを出力し、時刻t1より後に変更後遅延長データを出力する。第1遅延長検出手段8は、時刻t1に遅延長データが更新されたことを検出してタイミング信号をカットオフ周波数指示手段12に出力する。カットオフ周波数指示手段12は、そのタイミング信号を受信すると、時刻t1から時刻t2までに1から徐々に減少する周波数データFに基づいて値Aを算出してローパスフィルタ24に出力する。ローパスフィルタ24は、その値Aに基づいてカットオフ周波数を2kHzから60Hzに変化させる。
【0032】
第2遅延装置6は、データバッファ5から出力される遅延長データを時刻t1から時刻t3までの時間だけ遅延してOUT1より遅延長指示手段7に出力する。すなわち、第2遅延装置6は、時刻t2より後の時刻t3より前に変更前遅延長データを遅延長指示手段7に出力し、時刻t3より後に変更後遅延長データを遅延長指示手段7に出力する。遅延手段23は、時刻t3より前にプリエンファシスフィルタ22から出力された音声信号を変更前遅延長データだけ遅延させて出力し、時刻t3より後にプリエンファシスフィルタ22から出力された音声信号を変更後遅延長データだけ遅延させて出力する。
【0033】
第2遅延装置6は、さらに、データバッファ5から出力される遅延長データを時刻t1から時刻t3までの時間よりさらに長い時間だけ遅延してOUT2より第2遅延長検出手段11に出力する。すなわち、第2遅延装置6は、時刻t3より後の時刻t4より前に変更前遅延長データを第2遅延長検出手段11に出力し、時刻t4より後に変更後遅延長データを第2遅延長検出手段11に出力する。第2遅延長検出手段11は、時刻t4に遅延長データが更新されたことを検出してタイミング信号をカットオフ周波数指示手段12に出力する。カットオフ周波数指示手段12は、そのタイミング信号を受信すると、時刻t4から時刻t5までに0から1に徐々に上昇する周波数データFに基づいて値Aを算出してローパスフィルタ24に出力する。ローパスフィルタ24は、その値Aに基づいてカットオフ周波数を60Hzから2kHzに変化させる。
【0034】
このような遅延装置1の動作は、遅延長データの更新にしたがって自動的に実行され、CPU14からの各タイミングの指示またはタイマーなどによるタイミング管理を必要としない点で好ましい。
【0035】
図7は、遅延装置1のカットオフ周波数指示手段12で生成される周波数データFと遅延手段23により出力される波形とローパスフィルタ24により出力される波形とを示している。周波数データFは、時刻t3を含む期間で0になるように変化する。遅延手段23の出力は、時刻t3より前に出力される波形の位相と時刻t3より後に出力される波形の位相とが異なり、時刻t3で急激に変化している。ローパスフィルタ24の出力は、周波数データFに伴ないカットオフ周波数が徐々に低くなり時刻t3で十分に低い値であるので、時刻t3では波形の変動が滑らかであり、遅延長データが切り換わるときのノイズが低減されることを示している。
【0036】
遅延装置1は、プリエンファシスフィルタ22と遅延手段23の後段にその逆特性フィルタであるローパスフィルタ24とを備えることにより、遅延手段23の1ワード当たりのビット数を入力信号のビット数より小さくすることができる。このとき、遅延手段23は、その分だけ、遅延長データを長く取れ、メモリを有効に活用することができる。通常、入力データのビット数が小さいビット幅の遅延手段を適用すると、フィードバックループによるノイズが発生する。遅延装置1は、さらに、このようなノイズを抑制することができる。
【0037】
図8〜図10は、遅延装置1の出力と従来例との比較結果を示している。遅延装置1の出力は、カットオフ周波数指示手段12により出力される周波数データFと遅延手段23により出力される波形とローパスフィルタ24により出力される波形とを示している。その従来例は、遅延手段23により出力される音声信号が切り換わる時刻t3でその音声信号の音量が小さくなるように制御された音声信号の波形を示している。その従来例は、遅延手段23により出力される波形の変位にカットオフ周波数指示手段12により出力される周波数データFを乗算して生成される波形を示し、すなわち、特許2560428号公報に開示される振幅制御により生成される波形を示している。
【0038】
図8の比較結果は、切り換わりのタイミングによっては、振幅制御による波形が、遅延手段23の出力波形より変動が大きくなる場合があることを示している。図8の比較結果は、さらに、振幅制御による波形の変動が大きくなる場合にも、本発明によるローパスフィルタ24の出力波形の変動が小さくなることを示している。
【0039】
図8〜図10の比較結果は、従来例とローパスフィルタ24の出力波形とは、ともに、時刻t3で滑らかであり、遅延長データが切り換わるときのノイズが低減されることを示している。その比較結果は、さらに、遅延装置1の出力の波形が従来例の波形より遅延手段出力の波形に似ていることを示し、遅延長データが切り換わるときのノイズがより低減されることを示している。
【0040】
本発明による遅延装置は、リバーブマシンにも適用することができる。そのリバーブマシンは、互いに異なる複数の遅延長データがそれぞれ入力される複数の遅延装置1を備えている。そのリバーブマシンは、入力される音声信号をその複数の遅延装置1に入力し、その複数の遅延装置1からそれぞれ出力される複数の音声信号を合成した音声信号を出力する。そのリバーブマシンは、このようにして、様々な遅延時間を有する反射音(エコー)が合成されて得られる効果(リバーブ)を入力音声に付加することができる。このようなリバーブマシンは、本発明による遅延装置と同様にして、遅延長データが切り換わるときのノイズを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明による遅延装置は、ユーザの操作により楽音を生成する電子楽器に適用することができる。このとき、その電子楽器は、本発明による遅延装置1と入力装置と電子楽音発生装置とスピーカとを備えている。その入力装置は、互いに異なる複数の楽音に対応する複数のスイッチを備えている。その入力装置としては、鍵盤が例示される。その電子楽音発生装置は、複数のスイッチのうちの押鍵されたスイッチに対応する楽音を示すタイミング信号を生成する。遅延装置1は、そのタイミング信号に基づいてエコー効果を付与した楽音を示すタイミング信号を生成する。そのスピーカは、遅延装置1により生成されたタイミング信号を音声に変換する。このような電子楽器は、遅延長データが切り換わるときのノイズが低減して好ましい。
【0042】
本発明による遅延装置は、エコー付きマイクに適用することができる。このとき、そのエコー付きマイクは、本発明による遅延装置1とマイク本体とを備えている。そのマイク本体は、音声をタイミング信号に変換する。遅延装置1は、そのタイミング信号に基づいてエコー効果を付与した楽音を示すタイミング信号を生成する。そのスピーカは、遅延装置1により生成されたタイミング信号を音声に変換する。このようなエコー付きマイクは、遅延長データが切り換わるときのノイズが低減して好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明による遅延装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、プリエンファシスフィルタを示すブロック図である。
【図3】図3は、プリエンファシスフィルタの出力特性を示すグラフである。
【図4】図4は、ローパスフィルタを示すブロック図である。
【図5】図5は、ローパスフィルタの出力特性を示すグラフである。
【図6】図6は、ユーザの操作により遅延長データが更新されるときの遅延装置の動作を示すグラフである。
【図7】図7は、カットオフ周波数指示手段により出力される周波数データと遅延手段により出力される波形とローパスフィルタにより出力される波形とを示すグラフである。
【図8】図8は、本発明による遅延装置の出力と従来例との比較結果を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明による遅延装置の出力と従来例との他の比較結果を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明による遅延装置の出力と従来例とのさらに他の比較結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0044】
1 :遅延装置
2 :遅延制御装置
3 :第1遅延装置
5 :データバッファ
6 :第2遅延装置
7 :遅延長指示手段
8 :第1遅延長検出手段
11:第2遅延長検出手段
12:カットオフ周波数指示手段
14:コントローラ
21:加算器
22:プリエンファシスフィルタ
23:遅延手段
24:ローパスフィルタ
25:乗算器
26:加算器
31:乗算器
32:1サンプリングディレー
33:乗算器
34:加算器
35:乗算器
39:出力特性
41:乗算器
42:加算器
43:1サンプリングディレー
44:乗算器
47:出力特性
48:出力特性
49:出力特性




 

 


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