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発明の名称 アコースティックピアノの音響装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−11036(P2007−11036A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−192376(P2005−192376)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
発明者 永瀧 周
要約 課題
アコースティック音を聞きながら演奏を行えるとともに、音響効果を、好みに応じて自由に調整することができるアコースティックピアノの音響装置を提供する。

解決手段
ピアノ本体に設けられた鍵の押鍵に伴ってアコースティック音を放音するアコースティックピアノの音響装置であって、ピアノ本体の互いに異なる位置に設けられ、放音されたアコースティック音をピックアップし、楽音信号に変換する複数のマイクロホンと、複数のマイクロホンにより変換された複数の楽音信号にそれぞれ処理を施す信号処理装置と、処理された楽音信号を再生することによって、楽音を放音する放音装置と、を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
ピアノ本体に設けられた鍵の押鍵に伴ってアコースティック音を放音するアコースティックピアノの音響装置であって、
前記ピアノ本体の互いに異なる位置に設けられ、放音されたアコースティック音をピックアップし、楽音信号に変換する複数のマイクロホンと、
当該複数のマイクロホンにより変換された複数の楽音信号にそれぞれ処理を施す信号処理装置と、
当該処理された楽音信号を再生することによって、楽音を放音する放音装置と、
を備えることを特徴とするアコースティックピアノの音響装置。
【請求項2】
前記放音装置は、スピーカを含むことを特徴とする、請求項1に記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項3】
前記放音装置は、ヘッドホンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項4】
前記信号処理装置は、楽音信号の周波数特性を変調することによって楽音の音質を調整するためのイコライザを含むことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項5】
前記信号処理装置は、楽音信号のゲインを調整するためのゲイン調整器を含むことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項6】
前記信号処理装置は、楽音信号に残響効果を付加するための残響付加装置を含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項7】
前記信号処理装置で処理された楽音信号を記録する記録装置をさらに備え、
前記残響付加装置は、前記記録装置に記録される楽音信号と前記放音装置から放音される楽音信号に、互いに異なる深さの残響効果を付加することを特徴とする、請求項6に記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項8】
前記残響付加装置は、前記放音装置から放音される楽音信号に、前記記録装置に記録される楽音信号よりも深い残響効果を付加することを特徴とする、請求項7に記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項9】
前記残響付加装置は、前記放音装置から放音される楽音信号に、前記記録装置に記録される楽音信号よりも所定量または所定率深い残響効果を付加することを特徴とする、請求項8に記載のアコースティックピアノの音響装置。
【請求項10】
前記残響付加装置は、楽音信号に付加する残響効果の深さを変更可能に構成されていることを特徴とする、請求項6ないし9のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アコースティック音を放音するアコースティックピアノの音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子鍵盤楽器の音響装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この音響装置は、グランド型の電子ピアノに適用されたものであり、複数、例えば7つの楽音信号形成部と、音像虚像化器などで構成されている。複数の楽音信号形成部にはそれぞれ、88個のすべての鍵に対応した楽音の波形情報が記憶されている。これらの波形情報は、アコースティック型のグランドピアノの互いに異なる7個所で採取した楽音に基づいて、あらかじめ作製したものである。各楽音信号形成部は、鍵の押鍵に伴って、押鍵された鍵の波形情報を読み出し、その波形情報に基づいて楽音信号を生成し、音像虚像化器に出力する。音像虚像化器は、出力された複数の楽音信号を、LおよびRチャンネル用の楽音信号にそれぞれ分岐させ、チャンネルごとに虚像化する。そして、これらの虚像化した複数の楽音信号をそれぞれ累算した後、LおよびRチャンネル用の楽音信号を対応するスピーカにそれぞれ出力する。各スピーカは、出力された楽音信号を再生し、楽音として放音する。これにより、グランド型の電子ピアノにおいて、アコースティック型のグランドピアノから放音される楽音のような奥行きや広がりのある音響効果を得るようにしている。
【0003】
楽音の音響効果は、演奏する空間(以下「演奏空間」という)の大きさなどに応じて異なる。例えば、ホールのように演奏空間が大きくなると、楽音の残響の度合も大きくなるなど、その音響効果は演奏空間に応じて様々である。しかし、従来の音響装置では、グランドピアノの互いに異なる位置で採取した楽音に基づいてあらかじめ作製した波形情報を用いて、楽音を再現しているだけなので、現在、演奏している演奏空間に応じた音響効果が得られるにすぎない。このため、例えば小さな部屋で演奏を行った場合、大ホールで演奏しているような音の広がりや残響が不足してしまう。また、通常のグランドピアノやアコースティックピアノでは、アコースティック音を直接、放音するだけなので、上記のような問題が同じように生じる。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、アコースティック音を聞きながら演奏を行えるとともに、音響効果を、好みに応じて自由に調整することができるアコースティックピアノの音響装置を提供することを目的とする。
【0005】
【特許文献1】特開平08−50479号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ピアノ本体に設けられた鍵の押鍵に伴ってアコースティック音を放音するアコースティックピアノの音響装置であって、ピアノ本体の互いに異なる位置に設けられ、放音されたアコースティック音をピックアップし、楽音信号に変換する複数のマイクロホンと、複数のマイクロホンにより変換された複数の楽音信号にそれぞれ処理を施す信号処理装置と、処理された楽音信号を再生することによって、楽音を放音する放音装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このアコースティックピアノの音響装置によれば、鍵の押鍵に伴ってピアノからアコースティック音が放音される。また、放音されたアコースティック音は、ピアノ本体の異なる位置に設けた複数のマイクロホンによってピックアップされ、楽音信号にそれぞれ変換される。これらの複数の楽音信号に、信号処理装置によって、それぞれ処理が施される。そして、そのように信号処理された楽音信号は、放音装置によって再生され、楽音として放音される。このように、アコースティックピアノからアコースティック音を直接、放音するので、通常のアコースティックピアノと同様、アコースティック音を聞きながら演奏を行うことができる。また、このアコースティック音に、信号処理が施され、放音装置から放音された楽音が付加される。したがって、信号処理装置による楽音信号の信号処理を適宜、行うことによって、音響効果を好みに応じて自由に調整することができる。
【0008】
さらに、互いに異なる位置に設けた複数のマイクロホンからアコースティック音をピックアップし、楽音信号ごとに信号処理を施すので、例えば低音域と高音域に相当する位置にマイクロホンを配置し、それぞれの楽音信号に異なる信号処理を施すことによって、音域などに応じて音響特性をきめ細かく調整することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のアコースティックピアノの音響装置において、放音装置は、スピーカを含むことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、信号処理装置によって信号処理された楽音信号が、放音装置のスピーカによって再生され、放音される。このため、アコースティックピアノから直接、放音されたアコースティック音と、スピーカから放音された楽音を同時に聞きながら演奏を行うことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のアコースティックピアノの音響装置において、放音装置は、ヘッドホンを含むことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、信号処理された楽音信号が、放音装置のヘッドホンによって再生され、放音される。このため、ヘッドホンから放音された楽音を聞きながら演奏を行うことができる。
【0013】
また、ヘッドホンの使用時には、演奏者はアコースティックピアノからのアコースティック音が聞こえにくくなり、また、ヘッドホンからの楽音が直接、演奏者の耳に入ってくる。このため、ヘッドホンから放音する場合とスピーカから放音する場合において、楽音信号に同じ信号処理を施した場合には、ヘッドホンから放音される残響音が聞こえすぎるおそれがある。このため、例えばヘッドホンから放音する場合には、スピーカから放音する場合よりも、放音される残響音が抑制されるような信号処理を施すことによって、放音装置に応じた適切な音響特性を得ることができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置において、信号処理装置は、楽音信号の周波数特性を変調することによって楽音の音質を調整するためのイコライザを含むことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、イコライザによって楽音信号の周波数特性を変調するので、放音装置から放音される楽音の音質を調整することができる。また、周波数特性を変調するだけで、例えば大きなグランドピアノ、小さなグランドピアノやアップライトピアノなどのように、現在、演奏しているピアノのタイプに応じた音響効果を得ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置において、信号処理装置は、楽音信号のゲインを調整するためのゲイン調整器を含むことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ゲイン調整器によって楽音信号のゲインを調整することによって、放音装置から放音される楽音の音量を調整することができる。これにより、アコースティック音との音量のバランスを容易に調整することができる。また、楽音信号ごとにゲインを調整することによって、放音装置から放音される楽音間の音量のバランスも容易に調整することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置において、信号処理装置は、楽音信号に残響効果を付加するための残響付加装置を含むことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、信号処理装置の残響付加装置によって楽音信号に残響効果を付加するので、放音装置から放音される楽音に残響効果を付加することができる。このため、例えば、小さな演奏空間で演奏していても、大ホールなどの大きな演奏空間で演奏しているような臨場感のある音響効果を得ることができる。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のアコースティックピアノの音響装置において、信号処理装置で処理された楽音信号を記録する記録装置をさらに備え、残響付加装置は、記録装置に記録される楽音信号と放音装置から放音される楽音信号に、互いに異なる深さの残響効果を付加することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、信号処理装置で信号処理された楽音信号は、放音装置から楽音として放音されるとともに、記録装置によって記録される。また、残響付加装置は、記録される楽音信号と放音される楽音信号に互いに異なる深さの残響効果を付加する。このように、現在、放音中の楽音と、一旦、記録され、後に再生される楽音に、互いに異なる深さの残響効果を付加することによって、いずれの楽音に対しても良好な残響効果を付加することができる。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のアコースティックピアノの音響装置において、残響付加装置は、放音装置から放音される楽音信号に、記録装置に記録される楽音信号よりも深い残響効果を付加することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、放音される楽音信号には、記録装置に記録される楽音信号よりも深い残響効果が付加される。それにより、両楽音に残響効果を過不足なく付加することができ、記録される楽音に残響効果が過剰に付加されるのを防止できる一方、放音される楽音には十分な残響効果を付加することができる。
【0024】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のアコースティックピアノの音響装置において、残響付加装置は、放音装置から放音される楽音信号に、記録装置に記録される楽音信号よりも所定量または所定率深い残響効果を付加することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、放音される楽音信号には、記録される楽音信号よりも所定量または所定率深い残響効果を付加するので、請求項8に係る発明による前述した効果を容易に得ることができる。
【0026】
請求項10に係る発明は、請求項6ないし9のいずれかに記載のアコースティックピアノの音響装置において、残響付加装置は、楽音信号に付加する残響効果の深さを変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、楽音信号に付加する残響効果の深さを変更可能に構成されているので、楽音の残響の度合を好みに応じてきめ細かく調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1および図2は、本発明の実施形態による音響装置1を適用したグランドピアノ2(アコースティックピアノ)を示している。なお、以下の説明では、グランドピアノ2を演奏者から見た場合の手前側(図2の下側)を「前」、奥側(図2の上側)を「後」とし、さらに左側および右側をそれぞれ「左」および「右」として、説明を行うものとする。
【0029】
これらの図に示すように、このグランドピアノ2のピアノ本体3は、グランドピアノ2の外形を形成する側板4と、側板4の前部の下部間に水平に固定された棚板6と、4本の支柱7aおよび積揚7bなどを組み立てることによって構成され、その外周面に側板4を取り付けるとともに、張設された弦(図示せず)を支持する支柱組立品7と、支柱組立品7の上面に取り付けられた響板8などを備えている。
【0030】
棚板6上には、複数(例えば88個)の鍵9が載置されている。鍵9の上面後端部にはアクション(図示せず)が載置されており、アクションの上側には、鍵9ごとにハンマー(図示せず)が設けられている。
【0031】
以上の構成によれば、鍵9の押鍵に伴ってアクションが作動し、それにより、ハンマーが弦を打弦することにより振動させ、この弦の振動が響板8に伝達され、響板8が振動することによって、アコースティック音が放音される。
【0032】
図3および図4に示すように、音響装置1は、左右のチャンネル用のマイクロホン10L,10R、信号処理装置11、CD−Rドライブ18(記録装置)、D/A変換器19L,19R、パワーアンプ20L,20R、スピーカ21L,21R(放音装置)およびヘッドホン22(放音装置)で構成されており、さらに操作パネル(図示せず)を備えている。なお、スピーカ21L,21Rは、例えば譜面台組立品5の左右の本持左右板5L,5R上に配置されている(図1参照)。
【0033】
マイクロホン10L,10Rはそれぞれ、グランドピアノ2から放音されたアコースティック音をピックアップし、アナログの楽音信号SL,SRに変換するためのものであり、図2に示すように、最低音側および最高音側の支柱7の前端部に取り付けられている。マイクロホン10L,10Rは、例えばダイナミックマイクロホンで構成されており、電磁コイルと、電磁コイルに連結された振動板(ともに図示せず)などを備えている。各振動板は、響板8から放音されたアコースティック音によって振動し、この振動に比例した起電力が電磁コイルに生じる。以上の構成により、左チャンネルのマイクロホン10Lから、低音域成分を多く含む楽音信号SLが、右チャンネルのマイクロホン10Rから、高音域成分を多く含む楽音信号SRが、信号処理装置11にそれぞれ出力される。
【0034】
信号処理装置11は、楽音信号SL,SRに信号処理を施すことによって、音響効果を調整するためのものであり、図3に示すように、ゲイン調整器12L,12R、ローパスフィルタ13L,13R、A/D変換器14L,14R、イコライザ15L,15Rおよび残響付加装置23で構成されている。
【0035】
ゲイン調整器12L,12Rは、マイクロホン10L,10Rから出力された楽音信号SL,SRのゲインを互いに独立して調整することによって、楽音信号SL,SRのレベルを調整した後、ローパスフィルタ13L,13Rにそれぞれ出力する。また、ゲイン調整器12L,12Rは、A/D変換器14L,14Rの入力ダイナミックレンジを超えないように楽音信号SL,SRのゲインを調整し、それにより、A/D変換器14L,14Rでのレベルオーバを防止する。なお、このゲインの設定は、操作パネルを操作することによって行われる。
【0036】
ローパスフィルタ13L,13Rは、楽音信号SL,SRのうち、所定の周波数(例えば20kHz)以上の周波数成分を減衰させるとともに、それ以下の周波数成分を通過させ、A/D変換器14L,14Rに出力する。これにより、A/D変換器14L,14Rには、ノイズ成分を除去した楽音信号SL,SRが出力される。
【0037】
A/D変換器14L,14Rは、楽音信号SL,SRをアナログ信号からデジタル信号に変換することによって、楽音信号SLD,SRDを生成し、イコライザ15L,15Rにそれぞれ出力する。
【0038】
イコライザ15L,15Rは、楽音信号SLD,SRDを互いに独立して変調することによって、楽音の周波数特性を変調し、楽音の音質を楽音信号SLD,SRDごとに調整する。イコライザ15L,15Rで変調された楽音信号SLD,SRDは、2系統に分岐した後、残響付加装置23に出力される。なお、この周波数特性の設定は、操作パネルを操作することによって行われる。
【0039】
残響付加装置23は、放音用の第1リバーブ回路16L,16Rと、記録用の第2リバーブ回路17L,17Rで構成されている。イコライザ15Lから出力され、分岐した2つの楽音信号SLD,SLDはそれぞれ、第1リバーブ回路16Lと第2リバーブ回路17Lに出力される。同様に、イコライザ15Rから出力され、分岐した2つの楽音信号SRD,SRDはそれぞれ、第1リバーブ回路16Rと第2リバーブ回路17Rに出力される。
【0040】
第1リバーブ回路16L,16Rはそれぞれ、所定の残響パターンに応じて、楽音信号SLD,SRDから遅延時間の互いに異なる複数の楽音信号を生成するとともに、生成したこれらの複数の楽音信号を、もとの楽音信号SLD,SRDに加算する。これにより、楽音信号SLD,SRDに残響効果が付加され、その後、楽音信号SLD,SRDはD/A変換器19L,19Rにそれぞれ出力される。なお、第1リバーブ回路16L,16Rは、遅延される楽音信号の数および遅延時間を変更することにより、残響効果の深さを変更できるように構成されている。また、残響効果の深さの設定は、操作パネルを操作することによって行われる。さらに、第1リバーブ回路16L,16Rには、ヘッドホン22のジャック(図示せず)が差し込まれているときにヘッドホン22の使用を表す信号が出力され、この信号の出力時、第1リバーブ回路16L,16Rは、より浅い残響効果を楽音信号SLD,SRDに付加するように構成されている。
【0041】
第2リバーブ回路17L,17Rは、第1リバーブ回路16L,16Rと同様、所定の残響パターンに応じて、楽音信号SLD,SRDから遅延時間の互いに異なる複数の楽音信号を生成するとともに、生成したこれらの複数の楽音信号を、もとの楽音信号SLD,SRDに加算することによって、楽音信号SLD,SRDに残響効果を付加した後、CD−Rドライブ18に出力する。なお、第2リバーブ回路17L,17Rもまた、遅延される楽音信号の数および遅延時間を変更することにより、残響効果の深さを変更できるように構成されている。また、この残響効果の深さは、操作パネルによって設定した第1リバーブ回路16L,16Rの残響効果の深さに応じて、それよりも所定量または所定率浅くなるように設定される。
【0042】
CD−Rドライブ18は、楽音信号SLD,SRDを記録または再生するためのものであり、記録モードにおいては、楽音信号SLD,SRDをCD−R18aに記録し、再生モードにおいては、記録した楽音信号SLD,SRDをCD−R18aから読み出し、D/A変換器19L,19Rに出力する。
【0043】
D/A変換器19L,19Rはそれぞれ、第1リバーブ回路16L,16RまたはCD−Rドライブ18から出力された楽音信号SLD,SRDをデジタル信号からアナログ信号に変換することによって、楽音信号SLA,SRAを生成し、スイッチ(図示せず)を介してパワーアンプ20L,20Rまたはヘッドホン22に出力する。なお、このスイッチの切り換えは、ヘッドホン22のジャックの抜き差しに連動して行われる。パワーアンプ20L,20Rは、これらの楽音信号SLA,SRAを所定の利得で増幅し、対応するスピーカ21L,21Rにそれぞれ出力する。
【0044】
スピーカ21L,21Rは、楽音信号SLA,SRAを再生し、楽音を放音する。また、D/A変換器19L,19Rによって変換されたアナログの楽音信号SLA,SRAは、ヘッドホン22に出力され、ヘッドホン22は、これらを再生し、楽音を放音する。
【0045】
次に、上記構成の音響装置1の動作を説明する。音響装置1の動作モードは、グランドピアノ2の演奏時に、そのアコースティック音と同時に楽音を放音する演奏モードと、CD−R18aに記録した楽音信号SLD,SRDを再生し、放音する再生モードに大別され、演奏モードはさらに、演奏と同時に楽音信号SLD,SRDを記録する記録モードと、記録しない非記録モードに分けられる。これらの動作モードの切り換えは、操作パネルを操作することによって行われる。
【0046】
演奏モード時には、グランドピアノ2の演奏に伴って放音されたアコースティック音は、マイクロホン10L,10Rによってピックアップされた後、楽音信号SL,SRに変換される。次に、楽音信号SL,SRはそれぞれ、信号処理装置11のゲイン調整器12L,12Rによってゲイン調整された後、ローパスフィルタ13L,13Rを通り、A/D変換器14L,14Rでデジタルの楽音信号SLD,SRDに変換される。次いで、楽音信号SLD,SRDはそれぞれ、イコライザ15L,15Rによって周波数変調された後、2組に分岐する。1組の楽音信号SLD,SRDには、放音用の第1リバーブ回路16L,16Rによって残響効果が付加される。この場合、再生をスピーカ21L,21Rで行う場合には、ヘッドホン22で行う場合よりも深い残響効果が付加される。
【0047】
その後、残響効果が付加された楽音信号SLD,SRDは、D/A変換器19L,19Rでアナログの楽音信号SLA,SRAに変換された後、スイッチの切り換え状態に応じ、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22で再生されることによって、楽音として放音される。これにより、グランドピアノ2から直接、放音されたアコースティック音に加えて、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22から放音された楽音を同時に聞きながら演奏を行うことができる。
【0048】
また、上記に加えて、記録モード時には、他方の1組の楽音信号SLD,SRDは、記録用の第2リバーブ回路17L,17Rによって、放音用の楽音信号SLD,SRDよりも所定量または所定率浅い残響効果が付加された後、CD−Rドライバ18によってCD−R18aに記録される。
【0049】
また、再生モード時には、グランドピアノ2の演奏を行わない状態で、CD−R18aに記録された楽音信号SLD,SRDをCD−Rドライブ18によって再生した後、デジタルからアナログの楽音信号SLA,SRAに変換し、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22からのみ楽音として放音する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、演奏モード時には、グランドピアノ2からアコースティック音を直接、放音するので、このアコースティック音を聞きながら演奏を行うことができる。また、このアコースティック音に、信号処理装置11によって信号処理を施し、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22から放音した楽音が付加される。したがって、信号処理装置11による楽音信号SL,SRの信号処理を適宜、行うことによって、音響効果を好みに応じて自由に調整することができる。また、既存のアコースティックピアノに音響装置1を付加するだけで、音響効果を容易に調整することができる。
【0051】
さらに、グランドピアノ2の最低音側および最高音側にそれぞれ配置したマイクロホン10L,10Rからアコースティック音をピックアップし、楽音信号SL,SRごとに信号処理を施すので、音域に応じて音響特性をきめ細かく調整することができる。
【0052】
さらに、信号処理装置11のゲイン調整器12L,12Rにより、楽音のゲインを互いに独立して調整することによって、アコースティック音との音量バランスを調整するとともに、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22から放音される楽音間の音量バランスも容易に調整することができる。
【0053】
また、イコライザ15L,15Rによって楽音の周波数特性を変調するので、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22から放音される楽音の音質を調整することができる。また、楽音の周波数特性を変調するだけで、大きなグランドピアノ、小さなグランドピアノやアップライトピアノなどのように、現在、演奏しているピアノのタイプに応じた音響効果を得ることができる。
【0054】
さらに、第1リバーブ回路16L,16Rによって、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22から放音される楽音に残響効果を付加するので、例えば小さな演奏空間で演奏していても、大ホールなどの大きな演奏空間で演奏してるような臨場感のある音響効果を得ることができる。また、ヘッドホン22から放音する場合には、スピーカ21L,21Rから放音する場合よりも、浅い残響効果を楽音に付加することによって、使用する放音装置に応じた適切な音響特性をそれぞれ得ることができる。
【0055】
また、CD−Rドライブ18に記録する場合には、スピーカ21L,21Rまたはヘッドホン22から放音する場合よりも、浅い残響効果を付加するので、両楽音に残響効果を過不足なく付加することができる。その結果、記録用の楽音に残響効果が過剰に付加されるのを防止できる一方、放音用の楽音には十分な残響効果を付加することができる。また、放音用の楽音に、所定量または所定率深い残響効果を付加するので、上記の効果を容易に得ることができる。さらに、残響効果の深さが変更可能であるので、楽音の残響の度合を好みに合わせてきめ細かく調整することができる。
【0056】
図5は、実施形態の残響付加装置23に代わる残響付加装置の変形例を示している。この変形例では、残響付加装置30は、左右のチャンネル用の残響付加装置30L,30Rで構成されている。左チャンネル用の残響付加装置30Lは、リバーブ回路31L、2つの乗算器32L,33L、および2つの加算器34L,35Lで構成され、また、これと同様に、右チャンネル用の残響付加装置30Rは、リバーブ回路31R、2つの乗算器32R,33Rおよび2つの加算器34R,35Rで構成されている。これらの残響付加装置30L,30Rは、互いに同じ構成を有するので、以下、これらを代表して、左チャンネル用の残響付加装置30Lについて説明する。
【0057】
リバーブ回路31Lは、実施形態の第1リバーブ回路16L,16Rと同様に構成され、イコライザ15Lから入力された楽音信号SLDに所定の残響効果を付加する。残響効果が付加された楽音信号SLDは、一方の乗算器32Lに出力され、所定の利得で増幅された後、一方の加算器34Lに出力される。加算器34Lは、この楽音信号と、イコライザ15Lからリバーブ回路31Lを経ないで直接、出力された楽音信号SLDとを加算した後、スイッチ(図示せず)を介してD/A変換器19Lに出力する。
【0058】
また、イコライザ15Lからの楽音信号SLDは、他方の乗算器33Lによって、所定の利得で増幅された後、他方の加算器35Lに出力される。加算器35Lは、この楽音信号と、リバーブ回路31Lから出力された楽音信号とを加算した後、CD−Rドライブ18に出力するとともに、スイッチを介してD/A変換器19Lに出力する。
【0059】
なお、上記スイッチの切り換えは、実施形態のスイッチと同様、ヘッドホン22のジャックの抜き差しに連動して行われ、このジャックが差し込まれているときには、加算器35Lからの楽音信号SLDがD/A変換器19Lに出力され、アナログの楽音信号SLAに変換された後、ヘッドホン22で再生されることにより、楽音として放音される。一方、ヘッドホン22のジャックが差し込まれていないときには、加算器34Lからの楽音信号SLDがD/A変換器19Lに出力され、アナログの楽音信号SLAに変換された後、パワーアンプ20Lを介して、スピーカ21Lから楽音として放音される。
【0060】
以上のように、一方の加算器34Lによって、イコライザ15Lから出力された楽音信号SLDと、残響効果が付加された後、増幅された楽音信号とを加算することにより、より深い残響効果を付加した楽音信号SLDが、D/A変換器19Lなどを介してスピーカ21Lに出力される。
【0061】
一方、他方の加算器35Lによって、所定の利得で増幅されたイコライザ15Lからの楽音信号と、リバーブ回路31Lで残響効果を付加した楽音信号とを加算することにより、より浅い残響効果を付加した楽音信号SLDが、CD−Rドライブ18に出力される。
【0062】
右チャンネル用の残響付加装置30Rでは、加算器34R,35Rによる加算が同様に行われることによって、より深い残響効果を付加した楽音信号SRDがスピーカ21Rに出力され、より浅い残響効果を付加した楽音信号SRDがCD−Rドライブ18に出力される。
【0063】
以上の構成によれば、CD−Rドライブ18に記録する場合には、スピーカ21L,21Rで放音する場合よりも、浅い残響効果を付加するので、両楽音に残響効果を過不足なく容易に付加できるなど、実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ヘッドホン22から放音する場合には、スピーカ21L,21Rから放音する場合よりも、浅い残響効果を付加するので、実施形態と同様、使用する放音装置に応じた適切な音響特性をそれぞれ得ることができる。さらに、4つのリバーブ回路16L,16R,17L,17Rを必要とする実施形態と比較して、リバーブ回路を半減させることができる。
【0064】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、2つのマイクロホン10L,10Rを用いているが、その数を任意に増やしてもよく、その場合には、それに応じてゲイン調整器や第1および第2リバーブ回路などの数を増やせばよい。それにより、音響効果をきめ細かく調整できる。さらに、実施形態は、本発明をグランドピアノに適用した例であるが、本発明はこれに限らず、アップライトピアノに適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部を適宜、変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態による音響装置、およびこれを適用したグランドピアノの斜視図である。
【図2】図1のグランドピアノの一部を省略した底面図である。
【図3】図1の音響装置を示す図である。
【図4】図3の続きを示す図である。
【図5】図3の残響付加装置の変形例を示す図である。
【図6】図5の続きを示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 音響装置
2 グランドピアノ(アコースティックピアノ)
3 ピアノ本体
9 鍵
10L マイクロホン
10R マイクロホン
11 信号処理装置
12L ゲイン調整器
12R ゲイン調整器
15L イコライザ
15R イコライザ
18 CD−Rドライブ(記録装置)
21L スピーカ(放音装置)
21R スピーカ(放音装置)
22 ヘッドホン(放音装置)
23 残響付加装置
30 残響付加装置
SL 楽音信号
SR 楽音信号




 

 


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