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発明の名称 電子ドラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−72301(P2007−72301A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−260997(P2005−260997)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
代理人 【識別番号】100098084
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 研二
発明者 藤井 順治
要約 課題
ドラムヘッド以外の部分が打撃されても打撃音が出力されるのを防止する。

解決手段
電子打楽器1は、クッション材40と、衝撃センサ41と、台座部材42と、衝撃緩衝装置43−1〜43−3と、調節ねじ44−1〜44−3とを備えている。演奏者がドラムヘッド30をスティックで打撃すると、衝撃センサ41を備える台座部材42は衝撃緩衝装置43−1〜43−3によって支持されており胴部10には接触していないため、衝撃センサ41にはドラムヘッド30からクッション材40を介して伝わった衝撃のみが伝わることとなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
中空で開口端を有する胴部と、
前記胴部の開口端に張設されたドラムヘッドと、
弾性を有し、前記ドラムヘッドにおける被打撃面の反対側の面に接触するように配置されたクッション材と、
前記胴部の内部に配置され、前記胴部から伝わる振動を吸収する振動吸収部と、
前記クッション材と接触するように前記振動吸収部に配置され、前記クッション材を介して伝わる前記ドラムヘッドへの打撃を検知して検知結果を出力するセンサと
を備える電子ドラム。
【請求項2】
前記クッション材の形状が球形であることを特徴とする請求項1に記載の電子ドラム。
【請求項3】
前記ドラムヘッドは、弾性を有するフィルムが複数積層されており、前記積層されたフィルムの全層を貫通する貫通孔が複数設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の電子ドラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドラムヘッドへの打撃を検出し、検出した打撃に対応した音を電子的に出力する電子打楽器としては、例えば、特許文献1に開示された電子打楽器がある。特許文献1に開示された電子打楽器においては、ドラムヘッドへの打撃を検知する圧電素子が電子打楽器内部に設けられた支持部材に貼着されている。この圧電素子の上面にはゴムやスポンジ等の弾性材により形成された円錐台形状のクッション部材が貼り付けられており、クッション部材の先端部はドラムヘッドに接触している。クッション部材がドラムヘッドに接触しているため、ドラムヘッドがスティックにより打撃されてもドラムヘッドへの打撃が直接圧電素子に伝達されることがなく、圧電素子の破損が抑止される。
【特許文献1】特開平10−20854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、特許文献1に開示されている電子打楽器のように、その形状がアコースティックドラムを模した形状であると、スティックがドラムヘッド以外の部分に触れたり、演奏者がドラムヘッド以外の部分に接触したりすることがある。特許文献1に開示された電子打楽器においては、圧電素子が貼着されている支持部材は電子打楽器の胴部に固定されている。このため、スティックがドラムヘッド以外の部分に触れたり、演奏者がドラムヘッド以外の部分に接触したりすると、これらの接触による振動は支持部材に貼着されている圧電素子に直接伝わってしまう。これらの振動が圧電素子に伝わると、圧電素子が振動を検知してしまい、ドラムヘッドが打撃されなくとも打撃音が出力されてしまうこととなる。
【0004】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、ドラムヘッド以外の部分が打撃されても打撃音が出力されるのを防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために本発明は、中空で開口端を有する胴部と、前記胴部の開口端に張設されたドラムヘッドと、弾性を有し、前記ドラムヘッドにおける被打撃面の反対側の面に接触するように配置されたクッション材と、前記胴部の内部に配置され、前記胴部から伝わる振動を吸収する振動吸収部と、前記クッション材と接触するように前記振動吸収部に配置され、前記クッション材を介して伝わる前記ドラムヘッドへの打撃を検知して検知結果を出力するセンサとを備える電子ドラムを提供する。
【0006】
好ましい態様においては、前記クッション材の形状を球形としてもよい。また、別の好ましい態様においては、前記ドラムヘッドは、弾性を有するフィルムが複数積層されており、前記積層されたフィルムの全層を貫通する貫通孔が複数設けられているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドラムヘッド以外の部分が打撃されても打撃音が出力されるのを防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る電子打楽器について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電子打楽器1の外観図であり、図2は電子打楽器1の断面図である。図1に示したように、この電子打楽器1は、円筒状の胴部10と、ドラムヘッド30とを備えている。図1に示したように、円筒状の胴部10の外周面には、ラグケース20が胴部10の周方向に所定の間隔を開けてねじ止め固定されている。ラグケース20の内部には、図2に示したように、ラグケース20に設けられた孔から一方の端部を外部に露呈させたラグナット22と、このラグナット22を外部に突出する方向に付勢するスプリング23が収納配置されている。ラグナット22は筒状に形成されており、外周面に抜け防止用の鍔22aが一体に設けられている。またラグナット22の中心にはラグボルト24がねじ込まれるねじ孔が貫通形成されている。
【0009】
ドラムヘッド30の外周部はヘッド枠31によって保持されている。ドラムヘッド30の外周に設けた締枠32とラグナット22とをラグボルト24で連結し、ラグボルト24の締付操作により締枠32をヘッド枠31に押付けると、ドラムヘッド30に張力が付与され、ドラムヘッド30が胴部10の開口端に張設される。
【0010】
ドラムヘッド30は、図2の右上部に拡大して示したようにポリエチレンテレフタレートのフィルムが3層積層されており、フィルムの層は単に重ねられているだけとなっている。また、ドラムヘッド30には、図1,2に示したように、直径0.5mm〜3mmの貫通孔が多数設けられており、その開孔率(孔面積/ドラムヘッド全体の面積)は20%以上〜50%未満となっている。なお、直径が0.5mm以下の孔を開けるのは高度な加工技術を必要とし、コストがかかるため、本実施形態においては貫通孔の直径を0.5mm以上としている。また、3mm以上にすると、スティックが貫通孔に入り込み、スティックによりドラムヘッドが破れる虞が大となるため、本実施形態においては貫通孔の直径を3mm以下としている。また、本実施形態においては開孔率を20%以上としているが、これは開孔率を20%以下にするとスティックでドラムヘッド30が打撃された際に貫通孔を通過する空気の量が少なくなり、ドラムヘッド30から空気へ伝わる振動が減少せず、打撃音を減少させることができなくなるため、開孔率を20%以上としている。また、本実施形態においては開孔率を50%未満としているが、50%以上にすると、ドラムヘッド30を構成するフィルムの量が少なくなり、ドラムヘッド30の引っ張り強度が不足するため開孔率を50%未満としている。
【0011】
また、本発明の実施形態に係る電子打楽器1は、図2に示したように、クッション材40と、衝撃センサ41と、台座部材42と、衝撃緩衝装置43−1〜43−3と、調節ねじ44−1〜44−3とを備えている。台座部材42は、凹部42aに衝撃センサ41を備えており、衝撃緩衝装置43−1〜43−3によって支持されると共に、衝撃緩衝装置43−1〜43−3によってドラムヘッド30の方向へ押圧されている。
【0012】
ドラムヘッド30に生じた衝撃を衝撃センサ41に伝える球形のクッション材40は、例えばポリウレタンを発泡させたものであり、ドラムヘッド30と衝撃センサ41とによって狭持されている。クッション材40の形状は球形となっているため、スティックによる打撃の衝撃が小さい場合にはクッション材40とドラムヘッド30との接触面積は小さく、衝撃センサ41に加わる衝撃も小となる。一方、スティックによる打撃の衝撃が大きい場合にはクッション材40とドラムヘッド30との接触面積が大きくなるので衝撃センサ41に加わる衝撃も大となり、打撃の衝撃の大小に応じた精度のよい衝撃検出が可能となる。また、スティックによる打撃の衝撃が大きい場合でもクッション材40とドラムヘッド30との接触面積が大きくなるので、ドラムヘッド30の振動がクッション材40により吸収されて、消音効果が高まることとなる。
【0013】
衝撃センサ41は、クッション材40を介して伝わった衝撃を検知するセンサであり、検知した衝撃に対応した電気信号を出力する。
衝撃緩衝装置43−1〜43−3は、軸方向に沿って内部にバネとダンパ装置(いずれも図示略)とを備えている。衝撃緩衝装置43−1〜43−3の一方の端部は台座部材42に固定され、もう一方の端部は、胴部10の底面を貫通した調節ねじ(蝶ねじ)44−1〜44−3に取り付けられている。なお、衝撃センサ41から出力された電気信号は、図示せぬ信号線を介して胴部10の外部にある音源部(図示略)に入力される。衝撃センサ41から出力された電気信号が音源部に入力されると、音源部は入力された電気信号に基づいて打撃音を出力する。
【0014】
調節ねじ44−1〜44−3は、台座部材42の位置を調節するためのねじである。調節ねじ44−1〜44−3を回転させると、胴部10の底面から衝撃緩衝装置43−1〜43−3の端部までの距離が変化し、衝撃緩衝装置43−1〜43−3が移動する。
衝撃緩衝装置43−1〜43−3が移動すると、その移動に伴って、台座部材42の位置が移動し、台座部材42に設けられた衝撃センサ41がクッション材40を押圧する力が変化する。即ち、調節ねじ44−1〜44−3を回転させると、衝撃センサ41がクッション材40を押圧する力が調節され、これによりクッション材40とドラムヘッド30との接触面積が調節される。接触面積が変わると、同じ強さでドラムヘッド30を打撃しても衝撃センサ41に伝わる衝撃が変わる。即ち、調節ねじ44−1〜44−3を回転させることにより、衝撃を検知する感度が調節されることとなる。
【0015】
この構成の下、演奏者がドラムヘッド30をスティックで打撃すると、打撃により電子打楽器1の内部で圧縮された空気はドラムヘッド30に設けられた複数の貫通孔から電子打楽器1の外部へ逃げることとなる。電子打楽器1の内部で圧縮された空気が電子打楽器1の外部へ逃げると、ドラムヘッドの上下面近傍の空気圧縮率は著しく低下しドラムヘッド30の振動の空気への伝搬が減少するため、貫通孔が無い場合と比較して打撃音が減少する。
【0016】
また、20%以上の開孔率を備えるドラムヘッドを構成しようとすると、十分な引っ張り強度を得るためにはドラムヘッドの厚みを厚くすることとなるが、ドラムヘッドを厚くするとドラムヘッドの剛性が高くなり、打撃感が悪くなってしまうという問題が生じてしまう。しかしながら本実施形態においては、ドラムヘッドが複数のフィルムを積層して構成されており、且つ、各フィルムは互いに接着されていない。このため、打撃時には各フィルム間にずれが生じ、単層で厚みのある場合と比較して変形量が多くなるので、引っ張り強度を得るためにドラムヘッドの厚みを厚くしても打撃感が悪くなることがない。
【0017】
また、演奏者がドラムヘッド30をスティックで打撃すると、衝撃センサ41を備える台座部材42は衝撃緩衝装置43−1〜43−3によって支持されており胴部10には接触していないため、衝撃センサ41にはドラムヘッド30からクッション材40を介して伝わった衝撃のみが伝わることとなる。また、演奏者が胴部10に触れたことにより生じる振動や、スティックがドラムヘッド30以外の部分に触れたことにより生じる振動は、衝撃緩衝装置43−1〜43−3で吸収されるため、衝撃センサ41から出力される信号は、スティックによる打撃を表し、外部からの振動の影響が少ないものとなる。
【0018】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
【0019】
上述した実施形態においては、ドラムヘッド30の材質をポリエチレンテレフタレートとしているが、ドラムヘッドの材質はポリエチレンテレフタレートに限定されるものではなく、例えば、ポリイミドやポリエチレンナフタレート等、他の材質であってもよい。また、ドラムヘッド30においてはフィルムを3層以上積層してもよく、また3層ではなく2層としてもよい。また積層するフィルムの厚みはフィルムの材質に応じて変えるようにしてもよい。また、ドラムヘッド30を構成するフィルムの厚さは、積層される層毎に厚さを異ならせるようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、ドラムヘッド30に設けられる貫通孔の直径を0.5mm〜3mmとしているが、ドラムヘッドを構成するフィルムの材質に強度がある場合には3mm以上としてもよい。また、ドラムヘッドの各層は粘着力の弱い粘着剤を用いて張り合わせるようにしてもよい。
【0020】
上述した各実施形態においては、図3に示したように、ドーナツ状のフィルム45をドラムヘッド30の裏面に張り合わせ、このフィルムとドラムヘッド30とを貫通する貫通孔を開けるようにしてもよい。なお、ドラムヘッド30に張り合わせるドーナツ状のフィルムは、単層ではなく複数のフィルムを積層した構成としてもよい。また、上述した実施形態においては、ドラムヘッドの中心部における貫通孔の密度を粗とし、ドラムヘッドの外周部付近における貫通孔の密度を密とするようにしてもよい。これらの構成によれば、ドラムヘッド周辺部に多くの振動の腹を持つ高次の振動モードが低下し、ドラムヘッド周辺部の振動が抑えられ高音の消音性が増すこととなる。また、ドラムヘッドの中心部における貫通孔の直径とドラムヘッドの周辺部における貫通孔の直径とを異ならせるようにしてもよい。
【0021】
上述した実施形態においては、クッション材40の形状は球形となっているが、クッション材40の形状は球形に限定されるものではない。例えば、2つの円錐形のクッション材(または三角錐や四角錘等の多角錘の形状をしたクッション材)の底面同士を固着させたものを用いるようにしてもよい。この形状の場合、固着させた円錐(または多角錘)の一方の頂点がドラムヘッド30に接触し、もう一方の円錐(または多角錘)の頂点が衝撃センサ41に接触するようにドラムヘッド30と衝撃センサ41とでクッション材を狭持する。また、クッション材の形状は楕円球であってもよい。また、上述した実施形態においては、クッション材40はドラムヘッド30と衝撃センサ41とで狭持されているが、クッション材40をドラムヘッド30に貼着させ、衝撃センサ41でクッション材40を押圧するようにしてクッション材40を挟むようにしてもよい。
【0022】
上述した実施形態においては、衝撃緩衝装置43−1〜43−3は内部にバネとダンパ装置とを備えているが、胴部10からの振動や衝撃を衝撃センサ41に伝えないようにする構成は、この構成に限定されるものではない。例えば、バネのみで胴部10からの振動や衝撃を吸収するようにしてもよく、また、バネ以外の弾性体で振動や衝撃を吸収するようにしてもよい。また、衝撃緩衝装置の数は3に限らず4などでもよく、台座部材42を安定に支持できる位置、数であればよい。
【0023】
上述した実施形態においては、ドラムヘッドは複数のフィルムを積層した構造となっているが、ドラムヘッドは単層のものであってもよく、また、貫通孔を有していないものであってもよい。
【0024】
ドラムヘッド30への打撃を検知する構成は上述した構成に限定されるものではない。上述した実施形態においては、ドラムヘッド30の振動を振動センサで検知し、検知した振動に基づいて、音源部から打撃音を出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る電子打楽器の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子打楽器の断面図である。
【図3】本発明の変形例に係るドラムヘッドを説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
1・・・電子打楽器、10・・・胴部、20・・・ラグケース、22・・・ラグナット、22a・・・鍔、23・・・スプリング、24・・・ラグボルト、30・・・ドラムヘッド、31・・・ヘッド枠、32・・・締枠、40・・・クッション材、41・・・衝撃センサ、42・・・台座部材、43−1〜43−3・・・衝撃緩衝装置、44−1〜44−3・・・調節ねじ、45・・・フィルム。




 

 


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