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発明の名称 電子楽器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65498(P2007−65498A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−253914(P2005−253914)
出願日 平成17年9月1日(2005.9.1)
代理人 【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁
発明者 杉本 龍太郎 / 安渡 武志 / 阿部 征治 / 櫻田 信弥
要約 課題
長時間にわたって使用が可能なバッテリー駆動される電子楽器の提供。

解決手段
所定の燃料を用いて発電を行うと共に、前記燃料の供給有無に応じて発電の駆動及び停止を制御することが可能な燃料電池を用いて、楽音発生部を構成する複数の機器・回路のそれぞれに対して電力を供給する。前記複数の機器・回路のそれぞれに対して電力を供給することで、演奏操作子の操作に応じて前記複数の機器・回路が適宜に動作して楽音を発生することができる。燃料電池による電力供給では、前記複数の機器・回路を長時間にわたって電気的に動作させることができるようになる。これにより、バッテリー駆動される電子楽器において、従来の乾電池や蓄電池(二次電池)を用いた電子楽器に比べて、燃料電池を用いた電子楽器では長時間の使用が可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
演奏操作子と、
電気的に動作する複数の機器・回路を含んでなり、前記演奏操作子の操作に応じて前記複数の機器・回路が適宜に動作することで楽音を発生する楽音発生部と、
所定の燃料を用いて発電を行うと共に、前記燃料の供給有無に応じて発電の駆動及び停止を制御することが可能な燃料電池と
を具え、
前記燃料電池は、前記楽音発生部を構成する複数の機器・回路のそれぞれに対して電力を供給することで、前記複数の機器・回路を電気的に動作させることのできるようにしたことを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
前記楽音発生部を構成する複数の機器・回路のそれぞれに対して電力を供給する、充電可能な二次電池を具えてなり、前記燃料電池は充電のための電力を前記二次電池に対して供給することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
【請求項3】
前記二次電池の残容量が予め決められた所定の開始値以下になった場合には、前記燃料電池に対して燃料を供給して発電を開始することにより前記二次電池を充電する一方で、前記二次電池の残容量が予め決められた所定の停止値以上になった場合には、前記燃料電池に対して燃料を供給せずに発電を停止することにより前記二次電池の充電を停止するよう、前記燃料電池への燃料供給を制御する制御手段を具えることを特徴とする請求項2に記載の電子楽器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記楽音発生部を構成する複数の機器・回路による前記二次電池にかかる負荷の状況に応じて、異なる前記開始値を用いて前記燃料電池への燃料供給の有無を制御するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の電子楽器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から供給される電力により各機器・回路等を動作して電気的に楽音を発生する電子楽器に関し、特に各機器・回路等をバッテリー駆動する電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、ピアノ、オルガン、トランペット、ギター等の自然楽器(所謂アコースティックな楽器)にかわって、それぞれの自然楽器の演奏態様を模しながらも電気的に楽音を発生するようにした、所謂電子楽器が広く普及してきている。こうした電子楽器においては楽音発生制御のために、電気的に動作する例えば音源回路、アンプ、スピーカ、その他の電子機器等の各機器・回路等に対して電力(電圧/電流)を供給して動作させるための電源が必要とされ、特にポータブルな小型・軽量の電子楽器では電源として電池を用いることのできるようにしたものが従来から知られている。通常、電池としてはマンガン型の乾電池が用いられるが、近頃ではこうした乾電池に代えて充電により再利用することが可能である例えばニッケル・カドミウム(ニカド)型、ニッケル水素型、あるいはリチウムイオン型等の蓄電池(二次電池)を使用することのできるようにもなっている。これに関連するものとして、例えば下記に示す特許文献1に記載の電子楽器などがある。
【特許文献1】特開2002-207480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、従来の電子楽器では、当該電子楽器を構成する各機器・回路等に対してそれぞれ電力を供給して動作させるための電源として、乾電池又は蓄電池(二次電池)を使用することのできるようになっている。しかし、乾電池を用いる場合、乾電池では長時間にわたって電子楽器を使用するには容量が足りないことから、ユーザは予め多数の乾電池を用意しておき、これを頻繁に交換しなければならず面倒である、という問題点がある。他方、蓄電池(二次電池)を用いる場合、蓄電池は乾電池に比べると容量が大きくより長い時間にわたって電子楽器を使用できるようになる点で有利であるが、蓄電池は充電するための別の電源(例えば、100ボルト電源など)を必要とし、また充電には時間がかかることから、こうした充電用の電源を簡単には確保することのできない例えば野外や屋外などの場所では充電して再利用することがすぐにはできない。そのために、蓄電池を用いる場合には電子楽器の使用場所が限られてしまうこととなり、電子楽器の使い勝手が悪くなる、という問題がある。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、乾電池や蓄電池などに比べてより長時間の使用を可能とするために、燃料電池により電力を供給するようにした電子楽器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子楽器は、演奏操作子と、電気的に動作する複数の機器・回路を含んでなり、前記演奏操作子の操作に応じて前記複数の機器・回路が適宜に動作することで楽音を発生する楽音発生部と、所定の燃料を用いて発電を行うと共に、前記燃料の供給有無に応じて発電の駆動及び停止を制御することが可能な燃料電池とを具え、前記燃料電池は、前記楽音発生部を構成する複数の機器・回路のそれぞれに対して電力を供給することで、前記複数の機器・回路を電気的に動作させることのできるようにしたことを特徴とする。
【0006】
この発明によると、所定の燃料を用いて発電を行うと共に、前記燃料の供給有無に応じて発電の駆動及び停止を制御することが可能な燃料電池を用いて、楽音発生部を構成する複数の機器・回路のそれぞれに対して電力を供給する。前記複数の機器・回路のそれぞれに対して電力を供給することで、演奏操作子の操作に応じて前記複数の機器・回路が適宜に動作して楽音を発生することができる。燃料電池による電力供給では、前記複数の機器・回路を長時間にわたって電気的に動作させることができるようになる。これにより、バッテリー駆動される電子楽器において、従来の乾電池や蓄電池(二次電池)を用いた電子楽器に比べて、燃料電池を用いた電子楽器では長時間の使用が可能となる。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、燃料電池から供給される電力を用いて電子楽器を構成する各機器・回路等を動作させて電気的に楽音を発生するようにしたので、乾電池や蓄電池を用いる従来の電子楽器に比べるとより長時間の使用が可能になる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながらこの発明を詳細に説明する。
【0009】
図1は、この発明に係る電子楽器の全体構成を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子楽器EMは、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子楽器EM全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、検出回路4,5、表示回路6、音源回路7、効果回路8、外部記憶装置10、MIDIインタフェース(I/F)11および通信インタフェース(I/F)12がそれぞれ接続されている。更に、CPU1には、タイマ割込み処理(インタラプト処理)における割込み時間や各種時間を計時するタイマ1Aが接続されている。例えば、タイマ1Aはクロックパルスを発生し、発生したクロックパルスをCPU1に対して処理タイミング命令として与えたり、あるいはCPU1に対してインタラプト命令として与える。CPU1は、これらの命令に従って演奏者によるマニュアル演奏や演奏データに基づく自動演奏、さらには演奏ガイドなどの、公知の電子楽器として作動するための各種処理を実行する。
【0010】
上記したCPU1及び該CPU1に接続されている当該電子楽器EMを構成する各機器・回路等は、燃料電池ED1(又は/及び蓄電池ED2)からの電力(電圧/電流)供給に応じてそれぞれ動作可能な状態となる。すなわち、本電子楽器EMでは燃料電池ED1(後述するようなハイブリッド構成である場合には、燃料電池ED1又は/及び蓄電池ED2)を用いたバッテリー駆動により前記各機器・回路等を適宜に動作させることによって、電気的に楽音を発生させることのできるようにしている。前記各機器・回路等に電力を供給する燃料電池ED1の構成及び駆動制御については後述することから、ここでは説明を省略する(後述する図2〜図4参照)。
【0011】
ROM2は、CPU1により実行される各種プログラムや各種データを格納するものである。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。演奏操作子4Aは楽音の音高を選択するための複数の鍵を具えた例えば鍵盤等のようなものであり、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4A(鍵盤等)は演奏者によるマニュアル(手弾き)演奏のために使用できるのは勿論のこと、当該電子楽器EMで使用する音色・効果などの各種演奏パラメータを設定する手段などとして使用することもできる。検出回路4は、演奏操作子4Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出することによって検出出力を生じる。設定操作子(スイッチ等)5Aは、例えばマニュアル演奏に使用する各種演奏パラメータを設定するスイッチや、自動演奏させる伴奏用の演奏データを選択するスイッチなどである。勿論、これら以外にも、音高、音色、効果等を選択・設定・制御するために用いる数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいはディスプレイ6Aに表示される所定のポインタを操作するために用いるマウスなどの各種操作子を含んでいてよい。検出回路5は、上記各スイッチの操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。
【0012】
表示回路6は例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイ6Aに、演奏パラメータの種類や設定状態、曲の楽譜、演奏データの一覧、あるいはCPU1の制御状態などを表示する。音源回路7は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた、演奏者による演奏操作子4Aの操作に応じて発生される(あるいは演奏データの再生に応じて発生される)演奏情報を入力し、これらの演奏情報に基づいて楽音信号を発生する。音源回路7から発生された楽音信号は、効果回路8を介して効果付与されてアンプやスピーカなどを含むサウンドシステム9から発音される。
【0013】
外部記憶装置10は、演奏データなどの各種データ、CPU1が実行する各種制御プログラム等の制御に関するデータなどを記憶する。なお、外部記憶装置10はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリのようなものであってもよい。
【0014】
MIDIインタフェース(I/F)11は、外部接続された他のMIDI機器11A等からMIDI形式の演奏データ(MIDIデータ)を当該電子楽器EMへ入力したり、あるいは当該電子楽器EMからMIDI形式の演奏データ(MIDIデータ)を他のMIDI機器11A等へ出力するためのインタフェースである。他のMIDI機器11Aは演奏者による操作に応じてMIDIデータを発生する機器であればよく、鍵盤型、弦楽器型、管楽器型、打楽器型、身体装着型等どのようなタイプの操作子を具えた(若しくは、操作形態からなる)機器であってもよい。
【0015】
通信インタフェース(I/F)12は、例えばLANやインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークXに接続されており、該通信ネットワークXを介してサーバコンピュータ12Aと接続され、当該サーバコンピュータ12Aから制御プログラムあるいは各種データなどを電子楽器EM側に取り込むためのインタフェースである。
【0016】
なお、上述した電子楽器EMは演奏操作子4Aやディスプレイ6Aあるいは音源回路7などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。
【0017】
図1に示すように、本発明に係る電子楽器EMにおいては、当該電子楽器EMを構成する上記したような各機器・回路等がそれぞれの動作を行うことのできるように、燃料電池ED1(又は/及び蓄電池ED2)から電力を供給する所謂バッテリー駆動を行うようにしている。そこで、当該電子楽器EMを構成する各機器・回路等に対して電力を供給する(又は後述するようなハイブリッド構成である場合には蓄電池ED2に対して電力を供給する)燃料電池ED1について、図2を用いて簡単に説明する。図2は、燃料電池ED1の一実施例を示す概念図である。ただし、ここでは従来から知られている直接メタノール方式(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)を採用した燃料電池ED1を用いた場合を例にして説明する。勿論、燃料電池ED1としては直接メタノール方式(DMFC)に限らず、例えば固体高分子方式(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)などの、各種方式を採用した小型の燃料電池を用いてよいことは言うまでもない。ただし、直接メタノール方式(DMFC)を採用した燃料電池の特徴として、作動温度が室温〜80℃程度であって他の方式に比べて低温動作が可能であること、出力密度が高いので小型化・軽量化に向いていることなどの点が挙げられることから、特にポータブルな小型・軽量の電子楽器EMにおいては電源として直接メタノール方式の燃料電池を用いるようにするとよい。
【0018】
従来知られているように、直接メタノール方式(DMFC)の燃料電池ED1は、燃料カートリッジCTと、スタックSとに大きく分けることができる。スタックSは、白金や白金−テルニウム等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなるカソードK(所謂空気極(+))と、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなるアノードA(所謂燃料極(−))とが、フイルム状の電解質膜Dを挟み込んだサンドイッチ構造となるように構成されている単一のセルを、複数(数十枚〜数百枚)重ねたものである。ただし、ここに示した図2では、説明を理解し易くするために、便宜的に単一のセルの構造のみを示している。燃料カートリッジCTは前記スタックSを含む燃料電池本体に対して着脱可能なカートリッジ式の燃料補給器であって、その内部には例えば数%〜100%のメタノールを6%wtメタノールに希釈した液体(つまりメタノール水溶液)を充填することのできるようになっている。燃料電池本体に取付けられた燃料カートリッジCTからはスタックSのアノードA(燃料極(−))に対して、内部に充填されているメタノール水溶液を図示しない燃料ポンプにより送り込むことのできるようになっている。他方、燃料カートリッジCTからメタノール水溶液が供給されるアノードAとは反対側のスタックSのカソードK(空気極(+))に対しては、図示しない空気ポンプにより空気(大気)を送り込むことのできるようになっている。
【0019】
スタックSにおいて、アノードAに対してメタノール水溶液が供給されると、アノードAでは送り込まれたメタノール水溶液中のメタノールと水とが反応して、炭酸ガス(二酸化炭素CO2)と水素イオン(H+)と電子(e-)とになる(化学反応式:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-)。炭酸ガス(CO2)については外部に排出される一方で、水素イオン(H+)については電解質膜Dを、電子(e-)については当該電子楽器EMを構成する各機器・回路等の外部負荷F(又は、後述するようなハイブリッド構成である場合には蓄電池ED2)をそれぞれ通ってカソードKに到達する。すなわち、この際に外部負荷Fに対して電力(電圧/電流)が供給される。カソードKでは、水素イオン(H+)と送り込まれた大気中の酸素とが反応し、電極表面から電子(e-)を奪って反応することで水(H2O)となり(化学反応式:3/2O2+6H++6e-→3H2O)、外部へ排出される。なお、カソードKから排出される水を、メタノールを希釈する溶媒として再利用できるようにしてあってもよい(所謂循環型の燃料電池)。
【0020】
本発明に係る電子楽器EMでは、バッテリー駆動用の電池として上述したような燃料電池ED1を用い、該燃料電池ED1から供給される電力により当該電子楽器EMを構成する各機器・回路等を駆動するようにしている。これにより、従来のように乾電池や蓄電池を用いた場合に比べると、電子楽器EMを長時間にわたって使用することが可能となる。ところで、上記のように燃料電池ED1だけを単独で用いることなく、前記燃料電池ED1と蓄電池ED2とを組み合わせて用いるようにすると(所謂ハイブリッド構成であり、図1において点線で示す蓄電池ED2を燃料電池ED1と組み合わせて用いる)、燃料電池ED1及び蓄電池ED2を共に効率的に使用できるようになるので、それに伴い電子楽器EMをより長い時間にわたって使用することができるようになる。すなわち、蓄電池ED2の残容量が所定値以下になった場合には燃料電池ED1の駆動を開始して蓄電池ED2を充電するようにし、蓄電池ED2の残容量が所定値より大きい場合には燃料電池ED1の駆動を停止しておくようにして、燃料電池ED1を蓄電池ED2を充電するための充電用電源として利用するようにすると、ユーザは充電のための蓄電池ED2の交換を行う手間が省け、また燃料電池ED1の燃料消費を少なくすることができるので燃料カートリッジCTについても頻繁に交換しなくてもよくなる。さらに、電子楽器の演奏中に演奏を停止することなく、燃料カートリッジCTの交換を行えるようになり便利である。また、燃料電池ED1を単独で用いた場合、出力がほぼ一定であるので、一時的に電子楽器側で高出力が必要になってもそれに応じることができないが、蓄電池ED2とのハイブリッド構成とすることにより高出力に応じることができ、負荷変動に強いシステムとなる。
【0021】
そこで、次にこうしたハイブリッド構成における燃料電池ED1の駆動を制御する処理について、図3を用いて説明する。図3は、「燃料電池の制御処理」の一実施例を示すフローチャートである。ただし、以下の説明において、蓄電池ED2の残容量比較の際に用いる予め決められた3つの所定値(閾値)は、蓄電池ED2の残容量が多い順に第3所定値(例えば90%充電状態)>第2所定値(例えば30%充電状態)>第1所定値(例えば10%充電状態)である(後述する図4参照)。
【0022】
ステップS1では、燃料電池ED1の駆動が停止中であるか否かを判定する。燃料電池ED1の駆動が停止中でない場合、つまり燃料電池ED1が駆動しており蓄電池ED2の充電中である場合には(ステップS1のNO)、蓄電池ED2の残容量が第3所定値(停止値)以上であるか否かを判定する(ステップS4)。第3所定値以上である場合には(ステップS4のYES)燃料供給を停止することによって燃料電池ED1の駆動を停止して蓄電池ED2の充電を止める一方(ステップS5)、第3所定値以上でない場合には(ステップS4のNO)燃料電池ED1の駆動を継続させて蓄電池ED2の充電をそのまま続ける。上記ステップS1において、燃料電池ED1の駆動が停止中である場合、つまり蓄電池ED2への充電がなされていない場合には(ステップS1のYES)、蓄電池ED2の残容量が第1所定値(開始値)以下であるか否かを判定する(ステップS2)。第1所定値以下である場合には(ステップS2のYES)、燃料供給を開始することによって燃料電池ED1の駆動を開始して蓄電池ED2の充電を開始する(ステップS3)。一方、第1所定値以下でない場合には(ステップS2のNO)、さらに蓄電池ED2の残容量は第2所定値(開始値)以下であるか否かを判定する(ステップS6)。蓄電池ED2の残量が第2所定値以下である場合には(ステップS6のYES)、外部負荷Fに対する電力供給量が多い状態(高負荷状態)であるか否かを判定する(ステップS7)。高負荷状態である場合には(ステップS7のYES)、燃料供給を開始することによって燃料電池ED1の駆動を開始して蓄電池ED2の充電を開始する(ステップS8)。
【0023】
上述した「燃料電池の制御処理」(図3参照)では、蓄電池ED2の放電に基づいて外部負荷F(ここでは電子楽器EMの各機器・回路等)を駆動している状態において、外部負荷Fの駆動に伴い蓄電池ED2の残容量が所定値(開始値)以下になると、燃料電池ED1の駆動を開始して蓄電池ED2を充電する。このとき、外部負荷Fの状態により、燃料電池ED1を駆動する閾値とする所定値(開始値)を変えるようにしている。すなわち、小数の各機器・回路等を駆動している負荷の小さな低負荷状態では第1所定値を、多数の各機器・回路等を駆動している負荷の大きな高負荷状態では第1所定値よりも値の大きい第2所定値(>第1所定値)を、燃料電池ED1の駆動を開始する閾値(開始値)とする。ここで、上記した「燃料電池の制御処理」(図3参照)に基づく燃料電池ED1の駆動の開始と停止について、具体例を参照しながら説明する。図4は、蓄電池ED2の残容量と燃料電池ED1の出力電力の変化との関係の一例を示す図である。図4(a)は外部負荷Fに対する電力供給量が少ない低負荷状態である場合、図4(b)は外部負荷Fに対する電力供給量が多い高負荷状態である場合をそれぞれ示す。図4において、上下段ともに横軸は時間を表し、上段の縦軸は蓄電池ED2の残容量(%)を、下段の縦軸は燃料電池の出力電力(W:ワット)を表す。
【0024】
まず、図4(a)を用いて、蓄電池ED2が低負荷状態にある場合について説明する。時刻t0において、蓄電池ED2の電源が投入されることに伴い、蓄電池ED2から電子楽器を構成する各機器・回路等に対して電力が供給される。時刻t0〜t1間において燃料電池ED1は停止状態にあり、蓄電池ED2への電力供給が行われていないことから、上記各機器・回路等による電力消費に従って蓄電池ED2の残容量は減っていく。時刻t1において、蓄電池ED2の残容量が第1所定値を下回ると燃料電池ED1の駆動を開始して(図中の発電開始)、燃料電池ED1から蓄電池ED2に対して電力供給を行う(ステップS3)。一般的に、燃料電池ED1の駆動を開始(つまり、燃料を供給し始める)してから出力が安定するまでには、ある程度の時間がかかる。そのために、燃料電池ED1の駆動を開始してからしばらくは、蓄電池ED2が充電されずに残容量が減っていく状態が続く(時刻t1〜t2)。この際に、低負荷状態では残容量の減り具合も緩やかなので、燃料電池ED1の駆動を開始してから充電が始まるまでの残容量の減りは後述する高負荷状態のときに比べると小さくてすむ。したがって、低負荷状態である場合には、時刻t1´において蓄電池ED2の残容量が第2所定値を下回っても燃料電池ED1の駆動を開始することなく(ステップS7)、残容量がかなり少ない状態(第1所定値)となってから燃料電池ED1の駆動を開始して充電するようにしても、燃料電池ED1の起動のために必要な所定時間内に蓄電池ED2の残容量が0になってしまうことがなく、各機器・回路等の駆動に何らの支障もない。
【0025】
時刻t2において、燃料電池ED1の出力が安定すると(図中の安定)、低負荷状態の場合には燃料電池ED1からの出力電力が外部負荷全体の消費電力を上回ることがないから、蓄電池ED2は徐々に充電されていき残容量が増加する(時刻t2〜t3)。そして、時刻t3において蓄電池ED2の残容量が第3所定値以上となると、燃料電池ED1の駆動を停止して、蓄電池ED2に対する電力供給を止める(図中の発電停止:ステップS5)。時刻t3以降については、蓄電池ED2の残容量に応じて時刻t0以降と同様の制御が燃料電池ED1に対して繰り返し行われる。
【0026】
次に、図4(b)を用いて、蓄電池ED2が高負荷状態にある場合について説明する。時刻t0において、蓄電池ED2の電源が投入されることに伴い、蓄電池ED2から電子楽器を構成する各機器・回路等に対して電力が供給される。時刻t0〜t1間において燃料電池ED1は停止状態にあり、蓄電池ED2への電力供給が行われていないことから、上記各機器・回路等による電力消費に従って蓄電池ED2の残容量は減っていく。ただし、上述した低負荷状態の場合と異なり、高負荷状態の場合には蓄電池ED2の残容量の減り方は急である。時刻t1において、蓄電池ED2の残容量が第2所定値を下回ると燃料電池ED1の駆動を開始して(図中の発電開始)、燃料電池ED1から蓄電池ED2に対して電力供給を行う(ステップS7)。既に説明したように、燃料電池ED1の駆動を開始してから出力が安定するまでにはある程度の時間がかかる。そのため、燃料電池の駆動を開始してからしばらくは蓄電池ED2が充電されずに残容量が減っていく状態がしばらく続くが(時刻t1〜t2)、低負荷状態ではこの残容量の減り具合も緩やかなので燃料電池ED1の駆動を開始してから充電が始まるまでの残容量の減りは小さくてすむ。しかし、こうした低負荷状態に比べて、高負荷状態では急激に残容量が減るために充電が始まるまでの残容量の減りが大きい。よって、高負荷状態では第1所定値よりも値が大きい第2所定値を下回った時点で燃料電池ED1の駆動を開始して、上記各機器・回路等による電力消費に伴い蓄電池ED2の残容量が0になってしまい、上記各機器・回路等の駆動が停止する、つまり電子楽器による演奏がストップしてしまうことを防止するようにしている。また、高負荷状態である場合には、その外部負荷Fの負荷の大きさによっては、燃料電池ED1の出力が安定した状態でも蓄電池ED2への電力供給が追いつかず充電されない(つまり、燃料電池ED1の出力電力<負荷の消費電力)ことも考えられ、そのような場合でもなるべく残容量が0になってしまうまでの時間を稼ぎ、その間に負荷が小さくなるのを待つという観点からも、高負荷状態では低負荷状態よりも早めの時点である第2所定値を下回った時点で、燃料電池ED1の駆動を開始することに意味がある。さらに、一般的に蓄電池ED2では充放電の回数が多くなるほど劣化が早まるという特性があることから、なるべく充放電の回数を減らすことが望ましい。しかも、蓄電池ED2の種類によっては残容量がある状態で充電を開始してしまうとメモリ効果により蓄電池ED2の容量自体が減ってしまうこともある。これらの点からも、低負荷状態ではなるべく残容量が少なくなった状態になるまで放電させるようにしている。
【0027】
時刻t2において、燃料電池ED1の出力が安定すると(図中の安定)、燃料電池ED1からの出力電力が外部負荷全体の消費電力を上回る場合には、蓄電池ED2は徐々に充電されていき残容量が増加する(時刻t2〜t3)。ただし、上述した低負荷状態の場合と異なり、高負荷状態の場合には蓄電池ED2の残容量の増え方はゆっくりである。そして、時刻t3において蓄電池ED2の残容量が第3所定値以上となると、燃料電池ED1の駆動を停止して、蓄電池ED2に対する電力供給を止める(図中の発電停止:ステップS5)。時刻t3以降については、蓄電池ED2の残容量に応じて時刻t0以降と同様の制御が燃料電池ED1に対して繰り返し行われる。
【0028】
以上のように、燃料電池ED1からの電力供給により蓄電池ED2を充電し、該充電される蓄電池ED2によって電子楽器EMを駆動する。この際に、前記3つの所定値(閾値)と蓄電池ED2の残容量とを比較して、それぞれの比較結果に応じて燃料電池ED1の駆動の開始又は停止を制御するようにした。これにより、音量を大きくしたり、同時発音数を増やしたり(同時に多くの演奏操作子を操作したり、自動演奏したり、外部記憶装置10を駆動したりする)等により、急激に外部負荷Fの消費電力が変化したとしても対応できるようになる。また、蓄電池ED2の残容量が所定以下になったら燃料電池ED1へ燃料を供給して発電し充電し、蓄電池ED2の残容量が所定以上になったら燃料電池ED1への燃料供給をカットして発電を停止して充電から放電に切り替えるようにした。これにより、燃料電池ED1の燃料消費を極力抑えるとともに、蓄電池ED2の劣化を極力防止することができる。さらに、外部負荷Fの状況(低負荷状態又は高負荷状態)に応じて、燃料電池ED1の発電を開始する閾値とする上記所定値を変化させるようにした。具体的には、外部負荷Fの負荷が大きい高負荷状態である場合には負荷の小さい低負荷状態よりも所定値(閾値)を大きくする。こうすることにより、燃料電池ED1の発電開始から発電が安定するまでの間に、蓄電池ED2の残容量がなくなってしまうことを防止することができる。
【0029】
なお、ハイブリッド構成の際に燃料電池ED1と共に用いる蓄電池ED2(二次電池)としては、ニッケル・カドミウム(ニカド)型、ニッケル水素型、リチウムイオン型等どのような種類の電池であってもよい。
なお、外部負荷Fの状態(高負荷状態又は低負荷状態)を検出する方法としては、蓄電池ED2の残容量の減り度合いに基づき検出する方法、電子楽器EMの音量設定値や同時発音数などに基づき検出する方法などが考えられ、これらのいずれの方法を採用してもよいし、複数の方法から総合的に外部負荷Fの状態を検出するようにしてもよい。
なお、燃料電池ED1の駆動制御を、燃料を供給する/燃料を供給しないの2状態のいずれかとするものに限らず、3状態以上(例えば、燃料を多く供給する/燃料を少し供給する/燃料を供給しない等)で制御するようにしてもよく、例えば低負荷状態では少し供給する、高負荷状態では多く供給するなどして燃料電池ED1の駆動制御(出力電力値が変わる)を行うようにしてもよい。
なお、上述した実施例のように燃料電池ED1からの出力を蓄電池ED2のみ供給して蓄電池ED2の充電のみに使用することに限らず、燃料電池ED1からの出力を外部負荷Fの駆動にも用いて、あまった分の出力を蓄電池ED2の充電に使うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明に係る電子楽器の全体構成を示したハード構成ブロック図である。
【図2】従来から知られている燃料電池の一実施例を示す概念図である。
【図3】燃料電池の制御処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】蓄電池の残容量と燃料電池の出力電力の変化との関係の一例を示す図であり、図4(a)は低負荷状態である場合、図4(b)は高負荷状態である場合を示す。
【符号の説明】
【0031】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4、5…検出回路、4A…演奏操作子、5A…設定操作子、6…表示回路、6A…ディスプレイ、7…音源回路、8…効果回路、9…サウンドシステム、10…外部記憶装置、11…MIDIインタフェース、11A…MIDI機器、12…通信インタフェース、12A…サーバコンピュータ、X…通信ネットワーク、1D…通信バス(データ及びアドレスバス)、CT…燃料カートリッジ、A…アノード(燃料極)、D…電解質膜、K…カソード(空気極)、S…スタック、ED1…燃料電池、ED2…蓄電池(二次電池)、F…外部負荷、EM…電子楽器




 

 


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