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発明の名称 木管楽器演奏用アクチュエータおよび木管楽器演奏装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65197(P2007−65197A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−250015(P2005−250015)
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
代理人 【識別番号】100098084
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 研二
発明者 藤井 順治 / 増田 英之
要約 課題
人間の演奏に極めて近い音色を得ることができる木管楽器演奏用アクチュエータおよび木管楽器演奏装置を提供する。

解決手段
人工口腔19内へ圧縮空気を加えられると、リード17は圧縮空気流による自励振動を行うから、本物の木管楽器の演奏状態に近い振舞いとなる。このとき同時に、リード17に貼付したピエゾ振動子23は励振信号に応じた振動をするが、ピエゾ振動子23は小型軽量で機械特性としては弱く形成されているので、リード17の自励振動を妨げることが少ない。しかも、ピエゾ振動子23は、管楽器の管共鳴周波数の影響を受け易いので、共鳴しない周波数については管から反射される音波によって振動が減衰し、一方、共鳴する周波数については管によって増幅される。このように、管の共鳴に対応した振動となるため、電気的な信号で駆動されるにも関わらず、リード17が自励発振している本物の管楽器の演奏状態に近い振舞いをする。
特許請求の範囲
【請求項1】
木管楽器のマウスピースに取り付けられたリードを励振信号に応じて振動させる振動子と、
互いに上下に開閉自在な一対の開閉壁を有した人工口腔と、
可撓性部材で構成され、前記一対の開閉壁の対向する縁部に設けられ、前記開閉壁が閉じたとき前記リードを挟持する一対の人工唇と、
前記人工口腔に貫通して設けられ、加圧気体が導入される加圧気体導入孔とを具備し、
前記人工口腔は前記開閉壁が閉じたとき前記リード以外の部分において密閉空間となるように構成されていることを特徴とする木管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項2】
移動自在に構成され、前記一対の人工唇に挟持されている状態の前記リードの先端部に接触可能な接触部と、
舌駆動信号に応じて前記接触部の位置を制御する舌駆動部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の木管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項3】
前記一対の人工唇の少なくとも一方に設けられ、唇駆動信号に応じて前記人工唇の位置を変化させる唇駆動手段を具備することを特徴とする請求項1または2記載の木管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項4】
前記振動子は圧電素子によって構成されていることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の木管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項5】
前記圧電素子は、フィルム状に形成されていることを特徴とする請求項4記載の木管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の木管楽器演奏用アクチュエータと、
楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記励振信号を生成する励振信号生成手段と
を具備することを特徴とする木管楽器演奏装置。
【請求項7】
請求項1から5いずれかに記載の木管楽器演奏用アクチュエータと、
楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記加圧気体導入孔に導入される前記加圧気体の導入量を制御する加圧気体制御手段と
を具備することを特徴とする木管楽器演奏装置。
【請求項8】
駆動信号に基づいて木管楽器の演奏操作子を駆動する演奏操作子駆動手段と、
前記演奏データが示すピッチに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段と
を具備することを特徴とする請求項6または7記載の木管楽器演奏装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、木管楽器を演奏することができる木管楽器演奏用アクチュエータおよび木管楽器演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械によって自動的に楽器を演奏する技術は広く知られており、例えば、自動的に演奏を行う自動オルガンや自動ピアノなどは古くから生産されている。近年においては、鍵盤楽器だけでなく、吹奏楽器を自動的に演奏する機械も開発されており、特許文献1には金管楽器を自動的に演奏するロボットが開示されている。
【特許文献1】特開2004−258443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の装置は、金管楽器専用の演奏アクチュエータであり、木管楽器には適用することができない。一方、木管楽器の愛好家も多く、このため、木管楽器を自動的に演奏できるアクチュエータの開発が望まれていた。特に、人間の演奏に近い演奏表現が可能な木管楽器用の演奏アクチュエータが望まれていた。
【0004】
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、人間の演奏に極めて近い音色を得ることができる木管楽器演奏用アクチュエータおよび木管楽器演奏装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、木管楽器のマウスピースに取り付けられたリードを励振信号に応じて振動させる振動子と、互いに上下に開閉自在な一対の開閉壁を有した人工口腔と、可撓性部材で構成され、前記一対の開閉壁の対向する縁部に設けられ、前記開閉壁が閉じたとき前記リードを挟持する一対の人工唇と、前記人工口腔に貫通して設けられ、加圧気体が導入される加圧気体導入孔とを具備し、前記人工口腔は前記開閉壁が閉じたとき前記リード以外の部分において密閉空間となるように構成されていることを特徴とする木管楽器演奏用アクチュエータを提供する。
【0006】
本発明の好ましい態様において、移動自在に構成され、前記一対の人工唇に挟持されている状態の前記リードの先端部に接触可能な接触部と、舌駆動信号に応じて前記接触部の位置を制御する舌駆動部とを備えるようにしてもよい。
本発明の更に好ましい態様において、前記一対の人工唇の少なくとも一方に設けられ、唇駆動信号に応じて前記人工唇の位置を変化させる唇駆動手段を具備するようにしてもよい。
また、本発明の更に好ましい態様において、前記振動子は圧電素子によって構成されているようにしてもよい。
また、前記圧電素子は、フィルム状に形成されているようにしてもよい。
【0007】
また、本発明は、上述した木管楽器演奏用アクチュエータと、楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記励振信号を生成する励振信号生成手段とを具備することを特徴とする木管楽器演奏装置を提供する。
また、本発明は、上述した木管楽器演奏用アクチュエータと、楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記加圧気体導入孔に導入される前記加圧気体の導入量を制御する加圧気体制御手段とを具備することを特徴とする木管楽器演奏装置を提供する。
【0008】
本発明の好ましい態様において、駆動信号に基づいて木管楽器の演奏操作子を駆動する演奏操作子駆動手段と、前記演奏データが示すピッチに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを具備するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、木管楽器の自動演奏において人間の演奏に極めて近い音色を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[アクチュエータ]
図1はこの発明の実施形態であるアクチュエータ1の側断面図であり、図2はアクチュエータ1の正面図である。図において、11は人工上顎であり、12は人工下顎である。この人工上顎11と人工下顎12によって人工口腔19が形成される。13は人工顎関節であり、上顎支持体C1と下顎支持体C2を回動自在に支持する。上顎支持体C1は、人工上顎11の上面に向かって延びる腕C1−1と、腕C1−1から見て人工顎関節13の反対側に延びる腕C1−2を有している。同様にして、下顎支持体C2は、人工下顎12の下面に延びる腕C2−1と、腕C2−1から見て人工顎関節13の反対側に延びる腕C2−2を有している。
【0011】
腕C1−1は人工上顎11の上面にネジによって固定されており、腕C2−1は人工下顎12の下面にネジによって固定されている。また、腕C1−2と腕C2−2の対向する面には、人工顎開閉ソレノイド22が設けられている。人工顎開閉ソレノイド22のプランジャが突出する方向に動くと、腕C1−1と腕C2−1が近づく方向に上顎支持体C1と下顎支持体C2が人工顎関節13を中心に回動する。これにより、人工上顎11と人工下顎12とが閉じる方向に移動する。一方、人工顎開閉ソレノイド22のプランジャが引き込まれる方向に動くと、腕C1−1と腕C2−1が離れる方向に、上顎支持体C1と下顎支持体C2が人工顎関節13を中心に回動する。これにより、人工上顎11と人工下顎12とが開く方向に移動する。
人工上顎11と人工下顎12が閉じたときは、図1に示すように、木管楽器のマウスピース2を挟持することができるようになっている。そして、マウスピース2を挟持した状態において、人工上顎11と人工下顎12によって囲まれた空間は密閉空間になる。
【0012】
14は、ゴム等の弾力性のある素材で構成された人工上唇であり、人工上顎11の正面の隔壁の下部に取り付けられている。この人工上唇14の正面形状は図2に示すようになっており、人工上顎11とほぼ同じ幅を有し、中央上部がアーチ状に盛り上がっている。この人工上唇14の下部中央には挿入孔14aが設けられている。この挿入孔14aは、演奏対象となる木管楽器のマウスピースの断面形状に合わせた形状となっており、マウスピースが挿入されるようになっている。
15はゴム等の弾力性のある素材で構成された人工下唇であり、人工下顎12の正面の隔壁の上部に取り付けられている。この人工下唇15の正面形状は図2に示すようになっており、人工下顎12とほぼ同じ幅を有している。人工下唇15の前面上端部は、前後方向にせり出している接触部15aとなっており、挿入孔14aに挿入されたマウスピースを人工上唇14とともに挟持する。
【0013】
図1に示す16は人工舌であり、17はマウスピース2に取り付けられたリードである。人工舌16の先端には発泡ウレタン等の弾力性のある軽量素材で形成された球状体16aが取り付けられ、この球状体16aがリード17の先端に接触したり、離間したりして、演奏上のタンギングの機能を果たす。球状体16aにはロッド16bが取り付けられ、ロッド16bは支点Aを中心に回動自在になっている。25は人工舌16を動作させるための人工舌用ソレノイドであり、ロッド25aを図面左右方向に駆動する。ロッド25aの先端部には長孔(図示略)が形成されており、この長孔にロッド16bが挿入されている。ロッド25aが図面左方向に突出すると、ロッド16bは時計方向に回動し、これにより球状体16aがリード17に接する。この場合、球状体16aがリード17に接する力は、ロッド25aを駆動する力、すなわち人工舌用ソレノイド25の通電量によって調整することができる。一方、ロッド25aが図面右方向に引き込まれた場合は、ロッド16bが反時計方向に回動し、球状体16aはリード17から離れる。
【0014】
18は人工下唇15に埋め込まれ、支点Bを中心に回動自在のL字型の金属レバーであり、人工下唇15の上端に向かう腕18aと人工下唇15から突出して人工口腔19内に延びる腕18bを有しており、腕18bの先端にはローラが設けられている。24は人工下唇15を駆動するための人工下唇用ソレノイドである。人工下唇用ソレノイド24は、そのプランジャに結合部材24aが設けられており、結合部材の先端部が腕18bの先端のローラを挟み込む形状となっている。人工下唇用ソレノイド24のプランジャが上下動すると、結合部材24aも一緒に上下動し、これにより、腕18bの先端のローラの位置が上下動する。ここで、ローラの位置が上昇するときは、金属レバー18は支点Bを中心に反時計方向に回動するから、腕18aは人工下唇15の上端部分を前方に押し出す。一方、腕18bの先端のローラが下降するときは、金属レバー18は支点Bを中心に時計方向に回動するから、腕18aは人工下唇15の上端部分を後方に引き戻す。本実施形態では、演奏情報に応じて金属レバー18の角度を変化させ、人工下唇15とリード17との接触位置を前後に移動させるようにしている。例えば、高音を奏すべき時には金属レバー18を時計方向に回転させてリード17の有効振動長を短くする。逆に低音を奏すべき時は金属レバー18を反時計方向に回転させて、リード17の有効振動長を長くする。
【0015】
20は圧縮空気挿入用ノズルであり、この圧縮空気挿入用ノズル20は図2に示す圧縮空気バルブ21に繋がっている。空気バルブ21は、さらにその先につながる図示しない圧縮空気タンクに接続されている。圧縮空気タンク、空気バルブ21および圧縮空気挿入用ノズル20を介して人工口腔19内に圧縮空気が流入させることにより、人間の演奏における肺からの空気流がマウスピース2に流れる状況を作り出すことができるようになっている。
【0016】
23は、リード17の内側表面(マウスピースの内部空間側の表面)に接着剤等で貼り付けられた小型軽量のフィルム状のピエゾ振動子である。ピエゾ振動子23は薄い形状で機械特性としては弱く形成されており、管楽器の管共鳴周波数の影響を受けやすくなっている。26はピエゾ振動子23と図示せぬパワーアンプとを接続する電気信号線である。27はアクチュエータ1を支持するためのフランジである。
【0017】
図3は、マウスピース2の側断面図である。ピエゾ振動子23は、与えられた電気信号(交流)によって振動し、その振動をリード17へ与え、それが管の共鳴を発生させて楽音となる。同時に、人工口腔19内に挿入された圧縮空気も、図中の矢印Aに示すように、マウスピース2とリード17の隙間よりマウスピース2を経由して管本体へ流れ込み、リード17を自励振動させる働きをする。なお、リード17の材質は、現状最も一般的な葦を削って成形したもので十分であるが、耐久性の点からはプラスチック素材であることが好ましい。
【0018】
上述した構成によれば、人工口腔19内へ圧縮空気を加えるので、リード17はピエゾ振動子23を用いた電気信号による加振以外にも圧縮空気流による自励振動を行うから、本物の木管楽器の演奏状態に近い振舞いとなる。このとき、リード17に貼付したピエゾ振動子23は小型軽量で機械特性としては弱く形成されているので、リード17の自励振動を妨げることが少ない。しかも、ピエゾ振動子23は、管楽器の管共鳴周波数の影響を受け易いので、共鳴しない周波数については管から反射される音波によって振動が減衰し、一方、共鳴する周波数については管によって増幅される。このように、管の共鳴に対応した振動となる。したがって、電気的な信号で駆動されるにも関わらず、あたかもリード17が自励発振している本物の管楽器の演奏状態に近い振舞いをする。
【0019】
また、人工口腔19内には人工舌16を装備しているので、実際の演奏時に使われるタンギングという舌で息とリード17の振動を止める奏法が可能となっている。
【0020】
また、人工下唇15は、それがリード17に接触する位置を前後に移動する人工下唇用ソレノイド24を備えているので、本物の演奏時の様に、吹奏する音高によりリード17の有効振動長を可変とすることが出来、電気的にリード17を駆動するのにも拘らず、無理のない、本物の様な自然な発音が可能となる。しかも、人工顎開閉ソレノイド22によって人工上顎11と人工下顎12の閉じる力を調整することができるから、人工上唇14と人工下唇15によるマウスピースへの締め付け圧力を演奏情報により適宜調節することができる。これにより、人間の演奏と同じように、マウスピースを噛む力を調整した表情の豊かな演奏を行うことができる。
【0021】
また、本物の管楽器演奏時のように管が振動振幅を増幅するという、管共鳴を積極的に利用することによる発音方法なので、ピエゾ振動子23に入力する電力信号は小さなものでよく、その電力信号のためのパワーアンプ装置は小型軽量安価なものでよい。また、消費電力も少ないので、ロボット等の交流電源を使用できない移動体装置への組み込みが容易となる。
【0022】
[演奏装置]
次に、上述したアクチュエータ1を用いた演奏装置について説明する。
図4は、アクチュエータ1を用いる演奏装置100の概略構成を示す図である。図において、3はサクソフォン等の木管楽器であり、2は木管楽器3に装着されたマウスピースである。この木管楽器3は通常の木管楽器でよく、特別に加工したり付属品を装着したりする必要はない。なお、木管楽器3にマウスピース2が固定されているものであっても勿論よい。
【0023】
図4において、101は例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備えた制御部である。102は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、或いはハードディスク等の記憶装置を備える記憶部であり、演奏装置100の各部を動作させるための各種プログラムを記憶している。制御部101は記憶部102に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより演奏装置100の各部を制御する。
【0024】
記憶部102には、図4に示すように、演奏データD1が記憶されている。この演奏データD1は、木管楽器3を用いて楽曲を自動演奏させるためのデータであり、音源信号S1と人工舌制御信号S2と人工顎関節制御信号S3と人工下唇制御信号S4と圧縮空気制御信号S5と音孔信号S6とを含んでいる。音源信号S1は、例えばMIDI(Musical Instruments Digital Interface)形式の演奏データであり、楽曲の演奏に対応する各音符を示すデータを有する演奏データである。人工舌制御信号S2は人工舌16によるタンギングを制御するための信号である。人工顎関節制御信号S3は人工顎の開閉を制御するための信号である。人工下唇制御信号S4は人工下唇15の動作を制御してリード17の振動可能周波数域を制御するための信号である。圧縮空気制御信号S5は圧縮空気挿入用ノズル20から挿入する空気圧を制御するための信号である。音孔信号S6は木管楽器3の音孔の開閉を制御するための信号である。
【0025】
なお、この演奏データは、演奏装置100の記憶部に予め記憶されているようにしてもよく、または、後述する演奏データ生成装置によって生成された演奏データが随時供給されるようにしてもよい。
【0026】
103は音源装置であり、104はリード17に貼付されたピエゾ振動子23を駆動するパワーアンプである。パワーアンプ104は音源装置103に接続されており、制御部101は、記憶部102から演奏データD1を読み出すと、音源信号S1を音源装置103に供給し、音源装置103は供給された信号をパワーアンプ104に供給する。パワーアンプ104は、音源装置103から供給される信号に応じてピエゾ振動子23に信号を入力し、ピエゾ振動子23が振動子として振動することにより木管楽器3内に音波が発生する。
【0027】
105は圧縮空気制御装置であり、アクチュエータ1の圧縮空気バルブ21に接続されている。106は空気タンクであり、この空気タンク106は空気経路Pを介してアクチュエータ1の圧縮空気バルブ21に繋がっている。107はエアーコンプレッサーである。制御部101は、記憶部102から演奏データD1を読み出すと、圧縮空気制御信号S5を圧縮空気制御装置105に供給する。圧縮空気制御装置105は、供給される信号に応じて圧縮空気バルブ21を開閉するようになっており、この圧縮空気バルブ21を開閉することによって空気タンク106から挿入する空気の量を調節するようになっている。
【0028】
108はソレノイド音孔開閉制御装置であり、109は木管楽器3の音孔の開閉を行う音孔開閉用ソレノイドである。制御部101は、演奏データD1の音孔信号S6をソレノイド音孔開閉制御装置108に供給し、ソレノイド音孔開閉制御装置108は、供給される信号に応じて音孔開閉用ソレノイド109に駆動電流を流して音孔の開閉を行わせる。
【0029】
110は舌制御装置である。制御部101は、演奏データD1の人工舌制御信号S2をこの舌制御装置110に供給し、舌制御装置110は、供給される信号に応じて人工舌用ソレノイド25を駆動し、人工舌16を動作させる。111は顎関節制御装置である。制御部101は、演奏データD1の人工顎関節制御信号S3を顎関節制御装置111に供給する。顎関節制御装置111は供給される信号に応じて人工顎開閉ソレノイド22を駆動し、人工顎の開閉を行わせる。112は下唇制御装置である。制御部101は、演奏データD1の人工下唇制御信号S4を下唇制御装置112に供給する。下唇制御装置112は、供給される信号に応じて人工下唇用ソレノイド24を駆動し、人工下唇15の位置を制御する。
【0030】
上述した構成による演奏装置100の動作は以下のとおりである。制御部101は、記憶部102から演奏データD1を読み出すと、音源信号S1を音源装置103に、人工舌制御信号S2を舌制御装置110に、人工顎関節制御信号S3を顎関節制御装置111に、人工下唇制御信号S4を下唇制御装置112に、圧縮空気制御信号S5を圧縮空気制御装置105に、音孔信号S6をソレノイド音孔開閉制御装置108にそれぞれ供給する。信号が供給された各部は、供給された信号に応じて各制御を行い、これにより木管楽器3を用いた自動演奏が行われる。
【0031】
[演奏データの生成]
次に、上述した演奏データの生成方法について説明する。
図5は、演奏データ生成装置200の概略構成を示す図である。図において、5は木管楽器であり、6は木管楽器5に装着されたマウスピースである。201は木管楽器5の音孔の開閉状態を検知する音孔センサである。202は空気流を検出して空気流を示す信号を出力する空気流センサであり、203は空気振動を検出して空気振動を示す信号を出力する例えばマイクロフォン等の空気振動センサである。204は演奏者の舌の位置を検出する舌位置検出センサである。205は、演奏者の下唇のリードに対する位置とリード押圧力を同時に検出する下唇検出センサである。空気流センサ202、空気振動センサ203、舌位置検出センサ204、下唇検出センサ205はマウスピース6に設けられており、これらのセンサにより演奏情報が検出される。
【0032】
206は、上述した音孔センサ201、空気流センサ202、空気振動センサ203、舌位置検出センサ204、下唇検出センサ205の各センサからのアナログ信号を受け取ってデジタル信号に変換するセンサ制御装置である。207は、予め記憶された関数或いはテーブルを用いて、センサ制御装置206から供給されるデジタル信号のデータのフォーマットを整えて1セットの演奏データに変換するデータ変換装置である。
【0033】
上述した構成による演奏データ生成装置200の動作は以下のとおりである。演奏者が木管楽器3の音孔の開閉を行いつつマウスピース6に息を吹き込むと、このときの空気振動、空気流、演奏者の舌の位置、演奏者の下唇の位置と押圧力、および音孔の開閉状態が、音孔センサ201、空気流センサ202、空気振動センサ203、舌位置検出センサ204、および下唇検出センサ205によってそれぞれ検出される。センサ制御装置206は、それぞれのセンサで検出された信号をデータ変換装置207に供給し、データ変換装置207は、供給された信号を演奏データD1に変換する。このようにして生成された演奏データを、図4に示した演奏装置100に供給することによって、木管楽器3の自動演奏が可能となる。
【0034】
この演奏は、一旦、人の演奏情報を記憶し、しかるべき時間後に自動演奏に供するという、所謂ノンリアルタイム演奏が可能であるが、人の演奏を瞬時に変換してしかるべき電送線を通じて演奏装置100に入力し、人の演奏と同時に演奏装置100でも演奏する、所謂リアルタイム演奏も可能である。この場合、場所は演奏者と演奏装置100が同じ場所にあってもよく、または、電送線が光ファイバー等の長距離情報伝達線である場合、極めて遠隔地、例えば海外であってもよい。
【0035】
なお、上述した演奏データ生成装置200によりまとまった演奏データとされた演奏情報は、更にコンピュータへデータファイルとして入力して、適宜なソフトウェアを用いれば好みによって異なる編集、加工が可能である。このような編集、加工後のデータを上記と同じ様に演奏装置100に入力してやるとその編集、加工されたデータによる、雰囲気の改善された演奏が実現できる。
【0036】
[変形例]
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)上述した実施形態においては、シングルリードの木管楽器のアクチュエータについて説明したが、本発明は、ダブルリードの木管楽器についても適用可能である。ダブルリードの木管楽器に用いるアクチュエータを、図6および図7を参照しつつ以下に説明する。
図6は、ダブルリードの木管楽器に用いるアクチュエータ7の側断面図であり、図7はアクチュエータ7の正面図である。図において、8は、例えばオーボエやファゴット等のダブルリードの木管楽器である。このアクチュエータ7の構成が、図1に示したアクチュエータ1と異なる点は、木管楽器がリードを2枚備えている点と、そのそれぞれのリードにピエゾ振動子が設けられている点、そして、人工上唇14の形状に挿入孔14aがない点であり、他の構成要素は図1に示したアクチュエータ1のそれと同様である。そのため、以下の説明においては、アクチュエータ1と同様の構成要素については同じ符号を付して適宜その説明を省略する。なお、挿入孔14aを設けていないのは以下の理由による。ダブルリードの楽器については、2枚のリードを人工上唇14と人工下唇15で挟むが、2枚のリードの厚みは薄いので、挿入孔14aを設けなくとも人工上唇14と人工下唇15の弾性によって2枚のリードを隙間無く挟むことができるからである。
【0037】
さて、図6に示すように、木管楽器8は、リード17aとリード17bとの2枚のリードを備えている。リード17aとリード17bの内側表面には、小型軽量のピエゾ振動子23a,23bがそれぞれ接着剤等で貼り付けられている。また、ピエゾ振動子23a,23bは、電気信号線26a,26bによって図示せぬパワーアンプとそれぞれ接続されている。
【0038】
このような構成をとることによって、アクチュエータ7は、ダブルリードの木管楽器に自動演奏を行わせることができる。なお、発音原理については前述した実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0039】
(2)演奏データの生成方法は上述した実施形態に示した方法に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、木管楽器5から発音される楽音をマイクロフォン7によって収音し、収音された音声波形をデータ変換装置207で演奏データに変換するようにしてもよい。このように、人の演奏する楽音をマイクロフォン7で検出してデータ変換装置に入力し、それを演奏装置100用の演奏データに変換すれば、この演奏データを用いて演奏装置100による自動演奏が可能となる。なお、マイクロフォン7で検出した楽音から生成する演奏データとして、ピエゾ振動子を振動させる音源信号のみを生成するようにしてもよく、または、音源信号に加えて、上述した実施形態における人工舌制御信号、人工顎関節制御信号、人工下唇制御信号、圧縮空気制御信号を生成するようにしてもよい。
【0040】
なお、図5と図8に示した演奏データ生成装置を用いて演奏データを生成する場合は、勿論リアルタイム演奏およびノンリアルタイム演奏の両方が可能である。また、生成された演奏データを複数の自動演奏装置に入力して同時に複数の木管楽器を演奏することも可能である。また、演奏データの音高をnオクターブまたは1/nオクターブ(nは整数)変換してやれば、例えばソプラニーノサックス、ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、バスサックス等を同時にユニゾンで演奏するということも可能である。
【0041】
(3)上述した実施形態においては、音源信号としてMIDI形式のデータを用いたが、音源信号はMIDI形式のデータに限定されるものでなく、楽音の波形を示す波形信号であってもよい。音源信号が演奏音そのまま(波形信号)である場合は、音源装置はCDプレーヤーのようなオーディオ信号再生装置の機能を有していればよい。そして、このようにして再生された信号をパワーアンプに送り出すようにすればよい。
【0042】
(4)また、圧電素子としてピエゾ素子を用いたが圧電素子以外の振動素子を用いることも勿論可能である。
【0043】
(5)上述した実施形態においては圧縮気体として圧縮空気を用いたが、これに限らず任意の気体を用いてもよい。
【0044】
(6)人工下唇15内に設けた金属レバー18は、人工上唇14内にも設けてもよい。要するに、演奏対象楽器や、演奏で表現したいニュアンスに応じて上唇あるいは下唇の少なくともいずれか一方に設けるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態であるアクチュエータの側断面図である。
【図2】同実施形態のアクチュエータの正面図である。
【図3】同実施形態に係るマウスピースの側断面図である。
【図4】同実施形態に係る演奏装置の概略構成を示す図である。
【図5】同実施形態の演奏データ生成装置の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の変形例であるアクチュエータの側断面図である。
【図7】同変形例のアクチュエータの正面図である。
【図8】本発明の変形例に係る演奏データ生成装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1,7…アクチュエータ、2,6…マウスピース、3,5,8…木管楽器、7…マイクロフォン、11…人工上顎、12…人工下顎、13…人工顎関節、14…人工上唇、15…人工下唇、16…人工舌、16a…球状体、17,17a,17b…リード、18…金属レバー、19…人工口腔、20…圧縮空気挿入用ノズル、21…圧縮空気バルブ、22…人工顎開閉ソレノイド、23,23a、23b…ピエゾ振動子、24…人工下唇用ソレノイド、25…人工舌用ソレノイド、26、26a,26b…電気信号線、27…フランジ、100…演奏装置、101…制御部、102…記憶部、103…音源装置、104…パワーアンプ、105…圧縮空気制御装置、106…空気タンク、107…エアーコンプレッサー、108…ソレノイド音孔開閉制御装置、109…音孔開閉用ソレノイド、110…舌制御装置、111…顎関節制御装置、112…下唇制御装置、200…演奏データ生成装置、201…音孔センサ、202…空気流センサ、203…空気振動センサ、204…舌位置検出センサ、205…下唇検出センサ、206…センサ制御装置、207…データ変換装置。




 

 


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