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発明の名称 金管楽器演奏用アクチュエータおよび金管楽器演奏装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−65196(P2007−65196A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−250014(P2005−250014)
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
代理人 【識別番号】100098084
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 研二
発明者 藤井 順治
要約 課題
消費電力が少なく、人間のリップリードに極めて近い音色を得ることができる金管楽器演奏用アクチュエータおよび金管楽器演奏装置を提供する。

解決手段
加圧空気挿入口20から加圧空気を吹き込みながら、振動膜13a,13bを振動させると、振動膜13a,13bの境界部が加圧空気の圧力によってマウスピース側に撓み、隙間が生じる。また、振動膜13a,13bの境界部に振動による隙間も生じる。このようにして生じる間隙から加圧空気が管楽器内に挿入される。また、振動膜13a,13bにより発生した音波は、管楽器の先端の朝顔部で反射し、振動膜13a,13bまで戻ってくる。振動膜13a,13bが金管楽器の共鳴周波数に合う周波数で振動すると、この音波は反射波と共鳴して管内の音波の音圧を増幅してゆき、金管楽器らしい自然で大きな音量の発音をする。このように管楽器の共鳴を利用した発音が行われる。
特許請求の範囲
【請求項1】
金管楽器のマウスピースの唇接触部を覆う複数枚の可撓性の膜で構成された膜集合体と、
前記膜集合体を立体的に覆い、前記膜集合体とともに密閉空間を形成する密閉空間形成部材と、
前記密閉空間形成部材内に加圧気体を導入し、前記各膜の境界を介して前記マウスピース側に前記加圧気体を送り込む加圧気体導入手段と、
前記各膜に設けられ、供給される励振信号に応じて前記各膜を各々振動させる振動子と
を具備することを特徴とする金管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項2】
前記振動子は、圧電素子によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の金管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項3】
前記各膜に用いられる圧電素子は、振動帯域が異なる複数の圧電素子によって構成されていることを特徴とする請求項2記載の金管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項4】
前記圧電素子は、フィルム状に形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の金管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項5】
前記各膜はそれ自体が励振信号に応じて振動する振動子を兼ねていることを特徴とする請求項1記載の金管楽器演奏用アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の金管楽器演奏用アクチュエータと、
楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記励振信号を生成する励振信号生成手段と
を具備することを特徴とする金管楽器演奏装置。
【請求項7】
請求項1から5いずれかに記載の金管楽器演奏用アクチュエータと、
前記密閉空間形成部材内に導入する前記加圧気体の導入量を加圧気体制御信号に基づいて制御する加圧気体制御手段と、
楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記加圧気体制御信号を生成する加圧気体制御信号生成手段と
を具備することを特徴とする金管楽器演奏装置。
【請求項8】
駆動信号に基づいて管楽器の演奏操作子を駆動する演奏操作子駆動手段と、
前記演奏データが示すピッチに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段と
を具備することを特徴とする請求項6または7記載の金管楽器演奏装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、金管楽器を演奏することができる金管楽器演奏用アクチュエータおよび金管楽器演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械によって自動的に楽器を演奏する技術は広く知られており、例えば、自動的に演奏を行う自動オルガンや自動ピアノなどは古くから生産されている。近年においては、鍵盤楽器だけでなく、吹奏楽器を自動的に演奏する機械も開発されており、特許文献1には金管楽器を自動的に演奏するロボットが開示されている。
【0003】
上述した特許文献1に記載の装置は、予め金管楽器の吹鳴音に近いオーディオ信号を用意して電磁気アクチュエータに入力するという方法を用いて管楽器の人工吹鳴を行っていた。音響振動を金管楽器に挿入するに当たり、圧縮空気を同時に挿入して管内に圧力を与えることで、現実の金管楽器の管中で起きている現象に近い状況を作り出すという工夫がなされていた。このことにより、金管楽器の朝顔部より放出される音響は張りのある音色となり、本物の吹奏のイメージに近づけることができた。
【特許文献1】特開2004−258443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置おいては、実質的にはオーディオ用スピーカと変わらない電磁気アクチュエータを用い、この電磁気アクチュエータから発生された音波を金管楽器の管路を経由して音響放射しているため、金管楽器は単なる拡声用のホーンとして利用されるだけで、その管共鳴は利用されていない。このように、管の共鳴を利用せずに発音するため、上記装置の電磁気アクチュエータは強いエネルギーが必要になり、消費電力が大きいという欠点があった。
また、この音響エネルギー発生のための振動を生む電磁気アクチュエータは、一つしか装備されておらず、リップリードによる演奏表現を再現することは難しかった。すなわち、実際の金管楽器では演奏者の上下の両唇によって形成されるリップリードによって演奏が行われるが、この際、上下の唇によって形成されるリップリードは、ダブルリードとなり、上下の唇の微妙な使い分けによって演奏に様々な表情を付けることができる。しかしながら、上述した装置は、単一の励振源(電磁気アクチュエータ)で音を出すために、人間による演奏とは音色的に大きく異なっていた。
また、圧縮空気は、金管楽器のマウスピースの唇接触部と振動膜との間に形成される空間から挿入される構造であるため、この空間を密閉空間としなければならず、このため、装置とマウスピースとの間は、密閉空間となるように気密性を保持した状態で固定しなければならなかった。したがって、金管楽器に対する装置の装着、分離が容易ではなかった。
【0005】
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、消費電力が少なくてすむとともに、人間のリップリードに極めて近い音色を得ることができ、かつ、金管楽器とアクチュエータとの分離が容易である金管楽器演奏用アクチュエータおよび金管楽器演奏装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、金管楽器のマウスピースの唇接触部を覆う複数枚の可撓性の膜で構成された膜集合体と、前記膜集合体を立体的に覆い、前記膜集合体とともに密閉空間を形成する密閉空間形成部材と、前記密閉空間形成部材内に加圧気体を導入し、前記各膜の境界を介して前記マウスピース側に前記加圧気体を送り込む加圧気体導入手段と、前記各膜に設けられ、供給される励振信号に応じて前記各膜を各々振動させる振動子とを具備することを特徴とする金管楽器演奏用アクチュエータを提供する。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記振動子は、圧電素子によって構成されているようにしてもよい。
また、本発明の更に好ましい態様において、前記各膜に用いられる圧電素子は、振動帯域が異なる複数の圧電素子によって構成されているようにしてもよい。
また、本発明の更に好ましい態様において、前記圧電素子は、フィルム状に形成されているようにしてもよい。
また、本発明の好ましい態様において、前記各膜はそれ自体が励振信号に応じて振動する振動子を兼ねているようにしてもよい。
【0008】
また、本発明は、上述した金管楽器演奏用アクチュエータと、楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記励振信号を生成する励振信号生成手段とを具備することを特徴とする金管楽器演奏装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上述した金管楽器演奏用アクチュエータと、前記密閉空間形成部材内に導入する前記加圧気体の導入量を加圧気体制御信号に基づいて制御する加圧気体制御手段と、楽音の内容を示す演奏データに基づいて前記加圧気体制御信号を生成する加圧気体制御信号生成手段とを具備することを特徴とする金管楽器演奏装置を提供する。
【0010】
上述した金管楽器演奏装置において、駆動信号に基づいて管楽器の演奏操作子を駆動する演奏操作子駆動手段と、前記演奏データが示すピッチに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを具備するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、膜集合体を構成する各膜の可撓性により、膜の振動が金管楽器の共鳴周波数に合わないときは反射波と干渉して発音が行われず、一方、膜の振動が金管楽器の共鳴周波数に一致する場合は反射波と共鳴して管内の音波の音圧を増幅して金管楽器らしい音を発生する。このように、金管楽器の管共鳴を積極的に利用した演奏を行うから、本来の金管楽器の音色が得られるとともに、振動装置の消費電力を少なくすることができる。
また、本発明によれば、複数の人工唇を個別に制御できるため、人間が金管楽器の演奏で行うダブルリードによる演奏表現に極めて近い演奏を行うことができる。すなわち、人間のリップリードに極めて近い音色を得ることができる。
また、本発明によれば、マウスピースと膜集合体の間から加圧気体を流入させるのではなく、膜集合体の各膜の縁が加圧気体の圧力によってマウスピース側に撓むことによって形成される隙間や、振動子による振動によって各膜の境界部分に生じる隙間を介して加圧気体をマウスピース側に流入させるので、金管楽器用アクチュエータとマウスピースの間に密閉空間を形成する必要がなく、単に金管楽器用アクチュエータをマウスピースに押しつければ装着できるので、金管楽器に対する装着、分離が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[1.アクチュエータ]
図1はこの発明の実施形態であるアクチュエータ1の側断面図であり、図2はアクチュエータ1の正面図である。図において、11は扁平な中空円筒状のフランジである。フランジ11は、背面側(図1では左側)が外径の大きな鍔部分となり、正面側(図1では右側)が外径の小さな筒部分となっている。12はドーム状の背面カバーであり、この背面カバー12はフランジの背部を覆うようにして設けられている。13a,13bは、可撓性部材で構成された振動膜である。この振動膜13a,13bは、フランジ11の正面から見た場合、上下を半分ずつ覆う半円形状になっており、その背面側はフランジ11の鍔部に膜固定ネジ14によって固定されている。振動膜13a,13bの境界部分は密接に接触した状態になっており、外力がかからない状態では空気の流れを遮断する。また、膜固定ネジ14を緩めて振動膜13a,13bの張力を調整した後に、再び膜固定ネジ14を締め付けることで、振動膜13a,13bにかかる張力を任意の値とすることができる。
【0013】
17は、発泡ウレタン等により構成されたリング状のダンパー材である。ダンパー材17は、そのフランジ11の正面側の内部空間に、その外周面がフランジ11の内周面に密着するように取り付けられている。このダンパー材17の正面の端面は、フランジ11の正面端面に揃えられおり、前述した振動膜13a,13bはフランジ11の正面端面とダンパー材17の正面端面によって支持されている。このダンパー材17は、振動膜13a,13bのQ値を低下させ応答振動レベルを広い周波数帯域で平坦にする機能を有する。
【0014】
18は、ダンパー材17の背部に設けられた円形の金網カバーであり、その外周面がフランジ11の内周面に接するようにして固定されている。この金網カバー17と背面カバー12に囲まれた空間には、グラスウール等の吸音材19が充填されている。この吸音材19は、振動膜13a,13bの背後の空間を実際形状以上の広さに相当する音響的効果を生み出す機能を有している。
【0015】
161a〜163aは、各々振動膜13aの背面側に取り付けられているシート状の振動素子(ピエゾ素子)であり、細長い長方形状になっている。これらの振動素子161a〜163aは、各々長辺を並行にして所定距離離間して設けられており、振動膜13a,13bの境界に近い方から振動素子163a、162a、161aという順で取り付けられている。この場合、長辺の長さが短くなるに従って、その振動帯域は低域から高域となる。すなわち、長辺の最も長い振動素子163aが低域の振動帯域、長辺の最も短い振動素子161aが高域の振動帯域、中間の振動素子162aが中域の振動帯域で振動するようになっている。
振動素子163b、162b、161bは上述した振動素子163a、162a、161aと同様のものであり、振動膜13a,13bの境界を対称線として線対称の配列で振動膜13bの背面に取り付けられている。上述した高域用、中域用、低域用のそれぞれの音域用のピエゾ素子は、吹奏する金管楽器の音域を概略3等分して受け持つようになっている。
【0016】
上下の振動膜13a,13bに取り付けられたピエゾ素子161a〜163a、161b〜163bは、それぞれ個別のパワーアンプからパワー信号を受け取る配線になっており、上下の振動膜13a,13bは互いに独立して振動することが可能となっている。
また、これらのピエゾ素子161a〜163a、161b〜163bの剛性は非常に低く設定されており、管のバックプレッシャーに容易に反応し歪みやすい構造となっており、人間の唇に似た豊かな倍音を含む振動を発生する。
【0017】
15a,15bは、各々振動膜13aと振動膜13bの境界部分の正面側に貼り付けられた帯状のゴム補強材である。外力がかからない状態においては、このゴム補強材15によって振動膜13a、13bの境界は強固に閉じた状態になっている。
上述した構成において、振動膜13a、13bの境界が閉じている状態では、振動膜13a、13bの背面側、フランジ11の内部空間および背面カバー12によって形成される空間は密閉空間となっている。
20は、図示せぬ空気タンクに接続された加圧空気挿入口であり、この加圧空気挿入口20は、フランジ11の側面を貫通し、吸音材19が充填された空間内と連通している。
【0018】
図3はアクチュエータ1と金管楽器のマウスピース2との関係を示す図である。図3(a)はマウスピース2にアクチュエータ1を対向させた状態を示す図であり、図3(b)は、マウスピース2にアクチュエータ1を押し付けた状態を示す図である。図示のように、アクチュエータ1は、マウスピース2に振動膜13a,13bを対向させ、振動膜13a,13bをマウスピース2に押し付けてマウスピース2の唇接触部を覆うようになっている。なお、アクチュエータ1を金管楽器に固定するための固定機構は図示略したが、アクチュエータ1を所定の押圧力でマウスピース2に押し付けて固定できる構造であれば、どのような固定機構を用いても構わない。
【0019】
図3(b)に示す状態において、加圧空気挿入口20から加圧空気を吹き込みながら、振動膜13a,13bを振動させると、振動膜13a,13bの境界部が加圧空気の圧力によってマウスピース側に撓み、隙間が生じる。また、振動膜13a,13bの境界部に振動による隙間も生じる。このようにして生じる間隙から加圧空気が管楽器内に挿入される。また、振動膜13a,13bにより発生した音波は、管楽器の先端の朝顔部(図示略)で反射し、振動膜13a,13bまで戻ってくる。この朝顔部分での空気振動は加圧空気に乗る状態となり、空気は外へ流れるだけになるので、音響放射と音響反射の効率は高まり、トランペットらしい指向性のある張りのある大きな音が実現できる。
【0020】
上述したように振動膜13a,13bの剛性は非常に弱く設定されているので、金管楽器の共鳴周波数に合わない振動数で励振した場合は、その反射音波と干渉してしまうため、金管楽器は発音しない。これは金管楽器を人間が演奏する状態に極めて近く自然である。
一方、振動膜13a,13bが金管楽器の共鳴周波数に合う周波数で振動する場合、この音波は反射波と共鳴して管内の音波の音圧を増幅してゆき、金管楽器らしい自然で大きな音量の発音をする。このように管楽器の共鳴を利用した発音が行われる。
【0021】
また、本実施例においては、振動素子163a、162a、161aおよび振動素子163b、162b、161bが、高域用、中域用、低域用のそれぞれの音域を受け持つので、管楽器の演奏に必要な広い周波数帯域で応答が可能になっている。
また、膜固定ネジ14によって振動膜13a,13bに係る張力を任意の値とすることができるので、管楽器のキー(音域)に合わせた張力を設定することができる。
また、吸音材19は、振動膜13a,13bの背後の空間を実際形状以上の広さに相当する音響的効果を生み出すことができるので、人間の口腔及びその奥にある気管支、肺の空洞を模倣するように設定することができる。
【0022】
[2.演奏装置]
図4は、アクチュエータ1を用いる演奏装置100の概略構成を示す図である。図において、3はトランペットであり、2はトランペット3に装着されたマウスピースである。
20a,20b,20cはピストンバルブである。ピストンバルブ20a,20b,20cの各上部には、それぞれピストン用ソレノイド22a,22b,22cが配置されており、プランジャの軸線がそれぞれ対応するピストンバルブの軸線と同一になるように配設されている。これにより、ピストン用ソレノイド22a,22b,22cは、それぞれ対応するピストンバルブを押下可能となっている。なお、このトランペット3は、一般的なトランペットであるため、その他の各部構成についての説明は省略する。
【0023】
このピストン用ソレノイド22a,22b,22cに替えて、油圧方式や空圧方式等の駆動ピストンを使ってもよい。要するにトランペット3のピストンバルブ20a,20b,20cを演奏目的にしたがって操作できるものであれば、どのような方式で動作するものであってもよい。
【0024】
図4において、101は例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備えた制御部である。102は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、或いはハードディスク等の記憶装置を備える記憶部であり、演奏装置100の各部を動作させるための各種プログラムを記憶している。制御部101は記憶部102に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより演奏装置100の各部を制御する。
【0025】
記憶部102には、図4に示すように、演奏データD1が記憶されている。この演奏データD1は、例えばMIDI(Musical Instruments Digital Interface)形式等の演奏データであり、楽曲の演奏に対応する各音符を示すデータを有する演奏データである。
なお、この演奏データは、演奏装置100の記憶部の予め記憶されているようにしてもよく、または、演奏データ生成装置から生成された演奏データが随時供給されるようにしてもよい。
【0026】
103は音源装置であり、110a,110bは、アクチュエータ1のピエゾ素子161a〜163a,161b〜163bをそれぞれ駆動するパワーアンプである。パワーアンプ110a,110bは、音源装置103に接続されており、音源装置103から供給される信号に応じてピエゾ素子161a〜163a,161b〜163bに信号を入力し、ピエゾ素子が振動膜13aまたは13bを振動させる事により管内に音波が発生する。
【0027】
このように、2台のパワーアンプ110a,110bを用いて、演奏データに応じて上唇(振動膜13a)と下唇(振動膜13b)とを違う振動波形で駆動してやることにより、自然に近い豊かな演奏が可能となる。なお、両パワーアンプ110a,110bから全く同じ駆動波形を供給してもよい。
【0028】
104は加圧空気制御部であり、アクチュエータ1の加圧空気挿入口20と空気経路Pにより接続されている。105は加圧空気制御部104と空気経路Pで接続された空気タンクであり、106はエアーコンプレッサーである。加圧空気制御部104は、制御部101の制御の下、空気タンク105から加圧空気挿入口20へ加圧挿入する空気経路Pのバルブ(図示略)を開閉するようになっており、バルブを開閉することによって挿入する空気の量を調節するようになっている。
【0029】
107はピストン用ソレノイド22a,22b,22cを駆動するピストン制御装置である。ピストン制御装置107は、制御部101の制御の下、トランペット3のピストンバルブ20a,20b,20cのうち押下すべきピストンバルブや押下量を決定し、決定したピストンバルブに対応するピストン用ソレノイド22a〜22cに駆動電流を流し、当該ピストンバルブを押下させる。
【0030】
上述した構成によるこの実施形態の動作は以下のとおりである。制御部101は、記憶部102から演奏データD1を読み出すと、読み出した演奏データから上唇用振動情報S1と下唇用振動情報S2と加圧空気情報S3とピストン制御情報S4とを生成する。上唇用振動情報S1は、アクチュエータ1の上側の振動膜13aを振動させるための信号である。制御部101は、この上唇用振動情報S1をパワーアンプ110aに供給し、パワーアンプ110aは供給された信号に応じてピエゾ素子161a〜163aを駆動する。
【0031】
下唇用振動情報S2は、アクチュエータ1の下側の振動膜13bを振動させるための信号である。制御部101は、この下唇用振動情報S2をパワーアンプ110bに供給し、パワーアンプ110bは供給された信号に応じてピエゾ素子161b〜163bを駆動する。また、制御部101は、加圧空気情報S3を加圧空気制御部104に供給し、加圧空気制御部104は、供給された信号に応じてアクチュエータ1に挿入する空気の量を調節する。また、制御部101は、ピストン制御情報S4を生成し、ピストン制御装置107は、供給された信号に応じてピストン用ソレノイド22a,22b,22cを駆動する。以上の処理によってトランペット3を用いた自動演奏が行われる。
【0032】
この実施形態においては、実際の唇を模擬する様に2枚の可撓性の振動膜13a,13bと、振動膜13a,13bをそれぞれ振動させるパワーアンプ110a,110bとを有するので、両振動膜13a,13bの振動位相を入力信号によって変化させることにより、ある狭い振幅幅の入力信号の組み合わせでも、大音量から小音量まで制御することが可能である。例えば、熟練した演奏者の演奏のように、音高(音程)を安定させながら急速な音量変化を実現することも可能である。
ここで、図5(a)乃至図5(e)に、上下唇(振動膜13a,13b)の振動位相を調節した時の振幅状況(音圧)を示す。図5(a)は上下に同位相で同一の波形を与えた場合を示し、図5(b)は同一波形を上下で位相を45°ずらして与えた場合を示し、図5(c)は同一波形を上下で位相を90°ずらして与えた場合を示し、図5(d)は同一波形を上下で位相を135°ずらして与えた場合を示す。また、図5(e)は、同一波形を上下で位相を180°(反転)ずらして与えた場合を示すが、この場合には合成された波形は0となり、空気は振動しない。このように、上下の振動膜13a,13bに与える波形を適宜変えることにより、ダブルリードでの微妙な振動を生成することができる。
【0033】
図6は、上下の唇(振動膜13a,13b)の振動数を僅かに異ならせて唸りを生じさせた時の波形を示した図である。このように、両振動膜13a,13bの振動数を微妙にずらすことにより、実際の金管楽器で起こっている微妙な音色を生む過渡状態を表現することや、微妙な唸りを含む音を定常的に発生させることも可能である。このように、音色を豊かにすることが可能である。
【0034】
なお、上述した実施形態において、図4に示したピストン制御装置107およびピストン用ソレノイド22(2点破線内)を備えない構成としてもよい。ピストン等管長調節装置のない信号ラッパやビューグル等の金管楽器を用いる場合は、管長を調節する必要がないため、これらの構成要素を設ける必要はない。
【0035】
なお、上述した実施形態においては、制御部101が演奏データから上唇用振動情報S1と下唇用振動情報S2と加圧空気情報S3とピストン制御情報S4とを生成し、それぞれの信号をそれぞれの制御装置に供給するようにしたが、これらの振動情報や加圧空気情報、ピストン制御情報等を予め演奏データとして記憶させておくようにしてもよい。
【0036】
[3.演奏データの生成]
次に、上述した演奏データの生成方法について説明する。
図7は、演奏データ生成装置200の概略構成を示す図である。図において、30は金管楽器のマウスピースである。31は空気振動(交流圧力成分)を検出して空気振動を示す信号を出力する振動圧センサである。32は空気流(直流圧力成分)を検出して空気流を示す信号を出力する静圧センサである。
【0037】
33は、振動圧センサ31、静圧センサ32から出力される信号を受け取るセンサ制御装置である。34は、予め記憶された関数あるいはテーブルを用いて、センサ制御装置33から供給される信号を演奏データD1に変換するデータ変換装置である。
【0038】
演奏者がマウスピース2に息を吹き込むと、このときの空気振動と空気流とが振動圧センサ31と静圧センサ32とでそれぞれ検出される。センサ制御装置33は、それぞれのセンサで検出された信号をデータ変換装置34に供給し、データ変換装置34は、供給された信号から演奏データD1を生成する。
【0039】
なお、この実施形態においては、振動圧センサ31と静圧センサ32との2つのセンサを用いて測定を行い、これにより、精度の高いデータを得ることができる。なお、2種類のセンサを用いずに同一のセンサで測定することも勿論可能である。
【0040】
これらの演奏方法は、演奏データとして蓄積されたものをそれからの時間経過後にデータ再生という形で演奏することや、演奏データ取得と同時進行、所謂リアルタイム演奏も可能である。両時間的に異なる演奏データの扱い方において、コンピュータ・ネットワーク経由(遠隔地演奏)とすることも可能である。また、本演奏データを用いて同時に複数の金管楽器を演奏することも可能である。また、演奏データのピッチ情報をオクターブ変換することにより、音域の異なる金管楽器を同時にユニゾンで演奏してやることも可能である。
【0041】
[4.変形例]
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(1)上述した実施形態においては、高域用、中域用、低域用、の3種類のピエゾ素子を用いるようにしたが、ピエゾ素子の種類数は3に限定されるものではない。また、上述した実施形態においては、ピエゾ素子を用いた例を示したがピエゾ素子以外の振動子を用いてもよい。
また、振動膜の中に振動子を組み込んでもよく、また、振動膜自体を可撓性のある振動子で構成してもよい。
【0042】
(2)なお、演奏データの生成方法は上述した実施形態に示した方法に限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、トランペット3に消音装置36とマイクロフォン37とを設け、消音装置36内に設置されたマイクロフォン37からの信号出力を、データ変換装置34で演奏データに変換するようにしてもよい。
【0043】
または、図9に示すように、トランペット3から発音される楽音をマイクロフォン5によって収音し、収音された音声波形をデータ変換装置34で演奏データに変換するようにしてもよい。また、図8又は図9のデータ演算処理変換装置内で、マイクロフォンからの信号に基づき、過去の測定実験値を参考にして推定される空気流のデータを作成するようにしてもよい。
【0044】
(3)アクチュエータ1の振動膜13a,13bは、演奏装置のアームやロボットの腕等により適宜マウスピースに押圧される。この押圧の微妙な違いによっても音の出方は違ってくるから、この押圧力を制御するようにしてもよい。このような制御を加えることにより、実際の人間の演奏のような微妙なニュアンスを表現することも十分可能である。
【0045】
(4)上述した実施形態においては、加圧気体として加圧空気を用いたが、使用する気体は空気以外でもよい。所望する音色に合わせて加圧気体を選定してもよい。
【0046】
(5)上述した実施形態においては、振動膜13a,13bを用いた。すなわち、マウスピースに対して上下2枚の振動膜を用いたが、振動膜の数は2つに限らず、3以上でもよい。さらに、複数の振動膜を用いてマウスピースを覆う場合に、その囲み方についても種々の態様がある。例えば、図10の(a)は2枚の振動膜130,131を用いるが上側の振動膜130の方がマウスピース2を覆う面積が小さくなっている。図10の(b)に示す例は、4つの振動膜130〜133がマウスピースを放射状に覆っている。図10の(c)に示す例では、3つの振動膜130,131,132が上下方向に分割してマウスピース2を覆っている。人間のリップリードに近づけるためには、必ずしも2枚の振動膜である必要はなく、適宜の数および形状を設定することができる。また、人間の演奏にはない新たな演奏効果、演奏表現を実現するために、振動膜について種々の形状や数を設定しても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態であるアクチュエータの側断面図である。
【図2】同実施形態のアクチュエータの正面図である。
【図3(a)】同実施形態のアクチュエータとマウスピースの関係を示す図である。
【図3(b)】同実施形態のアクチュエータとマウスピースの関係を示す図である。
【図4】同実施形態の演奏装置の概略構成を示す図である。
【図5(a)】上下の振動膜に同位相で同一の波形を与えた場合の振幅状況を示す図である。
【図5(b)】同一波形を上下で位相を45°ずらして与えた場合の振幅状況を示す図である。
【図5(c)】同一波形を上下で位相を90°ずらして与えた場合の振幅状況を示す図である。
【図5(d)】同一波形を上下で位相を135°ずらして与えた場合の振幅状況を示す図である。
【図5(e)】同一波形を上下で位相を180°(反転)ずらして与えた場合の振幅状況を示す図である。
【図6】同実施形態に係る波形を示す図である。
【図7】同実施形態の演奏データ生成装置の概略構成を示す図である。
【図8】変形例に係る演奏データ生成装置の概略構成を示す図である。
【図9】変形例に係る演奏データ生成装置の概略構成を示す図である。
【図10】変形例に係る振動膜の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1…アクチュエータ、11…フランジ、12…背面カバー、13a,13b…振動膜、
14…膜固定ネジ、15…ゴム補強材、161a,161b…高域用ピエゾ素子、162a,162b…中域用ピエゾ素子、163a,163b…低域用ピエゾ素子、17…ダンパー材、18…金網カバー、19…吸音材、20…加圧空気挿入口、2…マウスピース、3…トランペット、20a,20b,20c…ピストンバルブ、22a,22b,22c…ピストン用ソレイド、100…演奏装置、101…制御部、102…記憶部、103…音源装置、104…加圧空気制御部、105…空気タンク、106…エアーコンプレッサー、110a,110b…パワーアンプ。




 

 


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