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発明の名称 電子鍵盤楽器およびプログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−52357(P2007−52357A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−238828(P2005−238828)
出願日 平成17年8月19日(2005.8.19)
代理人 【識別番号】100104798
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 智典
発明者 西田 賢一
要約 課題
電子鍵盤楽器は、複数区間の鍵のベロシティV1,V2を検出し、楽音信号の音色等を制御する。アコースティックピアノにおいては、図4(d)の実線のように、鍵ストロークの途中まで速い速度で鍵を押下し、そのまま鍵をリリースしてしまう奏法があるが、電子鍵盤楽器ではベロシティV2が検出できないため、楽音信号を合成できなかった。

解決手段
V1が所定の発音確定速度Vp以上であった場合には、図4(d)の破線に示す付勢限界速度(ハンマにさらなる付勢を加えない最大速度)の特性に基づいて、V2の予測値V2’と、鍵が第3接点位置(3rd)に達するキーオン予測時刻t3’とを求める。t3’までに鍵が第3接点位置に達すると、実測したV1,V2に基づいて楽音信号を生成する。一方、t3’までに鍵が第3接点位置に達しなかった場合には、V1の実測値と予測値V2’とに基づいて楽音信号を合成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
押下されると、初期位置から第1,第2および第3の位置を順次介してフルストローク位置に移動する鍵と、
前記鍵が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際の鍵速度である第1の鍵速度と、前記鍵が前記第2の位置から前記第3の位置に移動する際の鍵速度である第2の鍵速度とを検出する速度検出手段と、
前記第1の鍵速度が所定の発音確定速度以上であったことを条件として、前記第1の鍵速度に基づいて予測鍵速度とキーオン予測時刻とを求める予測手段と、
前記第1の鍵速度が前記発音確定速度以上であって前記第2の鍵速度が前記キーオン予測時刻までに検出された場合、または、前記第1の鍵速度が前記発音確定速度未満であって前記第2の鍵速度が検出された場合に、前記第1の鍵速度と前記第2の鍵速度とに基づいて楽音信号を生成する第1の生成手段と、
前記第1の鍵速度が前記発音確定速度以上であって前記第2の鍵速度が前記キーオン予測時刻までに検出されなかった場合に、前記第1の鍵速度と前記予測鍵速度とに基づいて楽音信号を生成する第2の生成手段と、
を有することを特徴とする電子鍵盤楽器。
【請求項2】
前記予測鍵速度は、前記第1の鍵速度が高くなるほど高くなる値であり、前記第1の鍵速度が検出された時刻から前記キーオン予測時刻までの時間は、前記第1の鍵速度が高くなるほど短くなる時間であることを特徴とする請求項1記載の電子鍵盤楽器。
【請求項3】
押下されると、初期位置から第1,第2および第3の位置を順次介してフルストローク位置に移動する鍵と、与えられたパラメータに基づいて楽音信号を生成する楽音信号生成手段と、前記鍵の状態に応じて前記楽音信号生成手段に前記パラメータを付与する処理装置とを有する電子鍵盤楽器に適用されるプログラムであって、
前記鍵が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際の鍵速度である第1の鍵速度を検出する第1の検出過程と、
前記第1の鍵速度が所定の発音確定速度以上であったことを条件として、前記第1の鍵速度に基づいて予測鍵速度とキーオン予測時刻とを求める予測過程と、
前記第1の鍵速度が前記発音確定速度以上であって前記第2の鍵速度が前記キーオン予測時刻までに検出された場合、または、前記第1の鍵速度が前記発音確定速度未満であって前記第2の鍵速度が検出された場合に、前記第1の鍵速度と前記第2の鍵速度とに応じたパラメータを前記楽音信号生成手段に供給する第1の生成過程と、
前記第1の鍵速度が前記発音確定速度以上であって前記第2の鍵速度が前記キーオン予測時刻までに検出されなかった場合に、前記第1の鍵速度と前記予測鍵速度とに応じたパラメータを前記楽音信号生成手段に供給する第2の生成過程と、
を前記処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ピアノに用いて好適な電子鍵盤楽器およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アコースティックピアノにおいては、演奏者は様々な奏法によって異なる楽音を発生させることができる。これら奏法は、鍵の初期位置からフルストローク位置に向かうまでの速度パターンの違いとして把握することができる。そこで、かかる奏法の使い分けを電子鍵盤楽器においても可能ならしめるため、初期位置からフルストローク位置に至るまでの区間を複数区間に分割し、これら複数区間の押鍵速度を測定する技術が特許文献1,2に開示されている。これらの技術においては、これら複数の鍵速度に応じて「ソフトな音」、「鋭い音」などの音色を選択し、あるいは非線形成分を増減させて音色を変化させている。
【0003】
【特許文献1】特公昭61−54234号公報
【特許文献2】特許第3355743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、様々な奏法における速度変化の一例を図4(a)〜(d)に示す。押鍵速度の正確な値は図示の実線曲線のようになるが、普及品の電子鍵盤楽器に対して精密な鍵軌道を測定できる高価なセンサを装備することは価格面から実現性に乏しいため、鍵軌道中の3箇所程度の押下位置(図中の1st, 2nd, 3rdと記した第1〜第3接点位置)を検出することによって、これら3箇所の相互間である2区間のベロシティV1,V2を求める程度のセンサが普及品には一般的に使用されている。そして、従来の電子鍵盤楽器においては、ベロシティV1,V2の検出が終了した時点で(鍵位置が第3接点位置に達したタイミングで)、キーオン信号が発生し楽音信号の合成が開始される。一方、ベロシティV1が検出され、ベロシティV2が検出されないまま鍵がキーオフされると、押鍵操作を途中で中断したものとみなされ、当該押鍵操作に対して楽音信号は生成されなくなる。
【0005】
しかし、アコースティックピアノにおいては、図4(d)の実線に示すように、鍵ストロークの途中まで非常に速い速度で鍵を押下し、そのまま鍵をリリースしてしまう奏法がある。アコースティックピアノにおいては、鍵からハンマに対して充分な運動エネルギーを与えることができれば、慣性によってハンマは弦に当接されるので、かかる奏法を採用しても楽音は発生するのであるが、従来の電子鍵盤楽器においては、鍵位置が第3接点位置に達しないために楽音信号が発生しないという問題があった。
【0006】
また、電子鍵盤楽器の中には、アコースティックピアノのハンマ機構を模したハンマ機構と、ここに含まれるハンマの速度を測定するセンサとを有するものがある。かかる電子鍵盤楽器においては、実際に楽音を発生させるべき押鍵操作に対応して、実測によるハンマ速度が得られるので上述した問題は生じない。しかし、ハンマ機構を設けることは構成が複雑になりコストアップにつながるため、普及品の電子鍵盤楽器では採用されないことが通常である。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、きわめて安価に構成できるとともに、演奏者が鍵ストロークの途中で鍵をリリースした場合においても、適切に楽音信号を生成することができる電子鍵盤楽器およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載の電子鍵盤楽器にあっては、押下されると、初期位置から第1,第2および第3の位置を順次介してフルストローク位置に移動する鍵(10)と、前記鍵が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際の鍵速度である第1の鍵速度(V1)と、前記鍵が前記第2の位置から前記第3の位置に移動する際の鍵速度である第2の鍵速度(V2)とを検出する速度検出手段(20,30,106)と、前記第1の鍵速度(V1)が所定の発音確定速度(Vp)以上であったことを条件として、前記第1の鍵速度(V1)に基づいて予測鍵速度(V2’)とキーオン予測時刻(t3’)とを求める予測手段(106,SP14)と、前記第1の鍵速度(V1)が前記発音確定速度(Vp)以上であって前記第2の鍵速度(V2)が前記キーオン予測時刻(t3’)までに検出された場合、または、前記第1の鍵速度(V1)が前記発音確定速度(Vp)未満であって前記第2の鍵速度(V2)が検出された場合に、前記第1の鍵速度(V1)と前記第2の鍵速度(V2)とに基づいて楽音信号を生成する第1の生成手段(状態ST106)と、前記第1の鍵速度(V1)が前記発音確定速度(Vp)以上であって前記第2の鍵速度(V2)が前記キーオン予測時刻(t3’)までに検出されなかった場合に、前記第1の鍵速度(V1)と前記予測鍵速度(V2’)とに基づいて楽音信号を生成する第2の生成手段(状態ST108)と、を有することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載の電子鍵盤楽器において、前記予測鍵速度(V2’)は、前記第1の鍵速度(V1)が高くなるほど高くなる値であり、前記第1の鍵速度(V1)が検出された時刻(t2)から前記キーオン予測時刻(t3’)までの時間(キーオン予測時間T2’)は、前記第1の鍵速度(V1)が高くなるほど短くなる時間であることを特徴とする。
また、請求項3記載のプログラムにあっては、押下されると、初期位置から第1,第2および第3の位置を順次介してフルストローク位置に移動する鍵(10)と、与えられたパラメータに基づいて楽音信号を生成する楽音信号生成手段(118)と、前記鍵(10)の状態に応じて前記楽音信号生成手段(118)に前記パラメータを付与する処理装置(106)とを有する電子鍵盤楽器に適用されるプログラムであって、前記鍵が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際の鍵速度である第1の鍵速度(V1)を検出する第1の検出過程(SP4)と、前記第1の鍵速度(V1)が所定の発音確定速度(Vp)以上であったことを条件として、前記第1の鍵速度(V1)に基づいて予測鍵速度(V2’)とキーオン予測時刻(t3’)とを求める予測過程(SP14)と、前記第1の鍵速度(V1)が前記発音確定速度(Vp)以上であって前記第2の鍵速度(V2)が前記キーオン予測時刻(t3’)までに検出された場合、または、前記第1の鍵速度(V1)が前記発音確定速度(Vp)未満であって前記第2の鍵速度(V2)が検出された場合に、前記第1の鍵速度(V1)と前記第2の鍵速度(V2)とに応じたパラメータを前記楽音信号生成手段(118)に供給する第1の生成過程(状態ST106)と、前記第1の鍵速度(V1)が前記発音確定速度(Vp)以上であって前記第2の鍵速度(V2)が前記キーオン予測時刻(t3’)までに検出されなかった場合に、前記第1の鍵速度(V1)と前記予測鍵速度(V2’)とに応じたパラメータを前記楽音信号生成手段(118)に供給する第2の生成過程(状態ST108)と、を前記処理装置(106)に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、第1の鍵速度が所定の発音確定速度以上であった場合に、該第1の鍵速度に基づいて予測鍵速度とキーオン予測時刻とを求め、第2の鍵速度がキーオン予測時刻までに検出されなかった場合には、第1の鍵速度と予測鍵速度とに基づいて楽音信号を合成するから、演奏者が鍵ストロークの途中で鍵をリリースした場合においても、適切に楽音信号を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.実施例の原理
アコースティックピアノにおいて図4(d)の実線に示す奏法を行うと、鍵ストロークの途中で鍵がリリースされ、鍵はフルストローク位置まで到達しない。しかし、この奏法が行われたときのハンマの運動に着目すると、ハンマに対してさらなる運動エネルギーを与えないようにフルストローク位置まで鍵を押下し続けることも理論上は可能である。その場合の限界となる速度を「付勢限界速度」と呼び、図4(d)において破線で示す。
【0010】
換言すれば、この付勢限界速度を超える速度で鍵を押下すると、ハンマに対してさらなる運動エネルギーが与えられ、実線に示す奏法よりも打弦時のハンマ速度が高くなることになる。ところで、図4(d)の実線に示す奏法を行うためには、鍵ストロークの途中までの押鍵動作によってハンマに充分な運動エネルギーを与える必要がある。この運動エネルギーを与える速度を発音確定速度Vpといい、図4(d)内の一点鎖線によって示す。換言すれば、ベロシティV1が発音確定速度Vp以上になると、図4(d)の実線に示す奏法が行われる可能性があるということになる。
【0011】
そこで、上記アコースティックピアノの動作をシミュレートする電子鍵盤楽器においては、ベロシティV1(図4(d)に即して述べると、第1〜第2接点間の実線の鍵速度の平均値がベロシティV1として測定される)が発音確定速度Vpを超えた場合には、破線に示す付勢限界速度特性に基づいてベロシティV2を予測するとともに、鍵位置が第3接点位置に達するタイミングである時刻t3’を予測することができる。実際にこの予測した時刻t3’よりも早いタイミングで鍵位置が第3接点位置に達した場合(換言すれば、結果的に図4(c)に示すような奏法が実行された場合)には、実測したベロシティV1,V2に基づいて、通常通りに楽音信号を生成すればよい。一方、現在時刻が先に予測した時刻t3’に達しても鍵位置が第3接点位置に達しなかった場合には、図4(d)の実線に示す奏法が行われたものと看做して、実測したベロシティV1と、予測したベロシティV2とに基づいた発音パラメータを選択し、直ちにキーオン信号を発生させるとよい。これにより、鍵ストロークの途中で鍵をリリースする奏法が採られた場合においても、演奏者が意図したタイミングに、演奏者が意図した楽音信号を生成することができるのである。
【0012】
2.実施例の構成
以下、この発明の一実施例による電子鍵盤楽器の構成を図1を参照し説明する。
図において、106はCPUであり、ROM102に記憶されたプログラムに従って、バス108を介して他の構成要素を制御する。また、ROM102には、奏法に応じた複数種類の波形データ、エンベロープ信号を生成するためのエンベロープ・パラメータ、フィルタリング処理の内容を特定するフィルタリング係数等が記憶されている。104はRAMであり、CPU106のワークメモリとして使用される。110は通信インタフェースであり、MIDI信号等の入出力を行う。112は表示部であり、ユーザに対して各種情報を表示する。114は操作部であり、各種スイッチおよびノブ等から構成されている。116は演奏操作子であり、演奏用キーボード等から構成されている。118は音源・エフェクト部であり、CPU106から供給された制御信号に基づいて楽音信号を合成するとともに、該楽音信号に対して必要なエフェクトを付与する。120はサウンドシステムであり、生成された楽音信号を放音する。
【0013】
次に、演奏操作子116における鍵盤構造を図2を参照し説明する。図2において10は鍵であり、鍵支持部12を中心として揺動自在に支持されている。鍵10の下面には、ゴムをドーム状に形成したラバードーム20が固着されている。そして、ラバードーム20の内面上部から下方に向かって、順次短い円柱状に形成された押下部21,22,23が突出している。30は基板上の固定スイッチ部であり、パターン形成によって構成される。このスイッチ部30は、図示せぬフレームに載置されたメンブレンスイッチであってもよい。そして、スイッチ部30には、押下部21,22,23の下方に第1〜第3接点が各々形成されている。演奏操作子116には以上のような鍵10が複数設けられており、各鍵に対するスイッチ部30の第1〜第3接点の状態は、CPU106によって常時監視されている。なお、図2においては、説明の都合上、鍵10に対するラバードーム20およびスイッチ部30の寸法が実際のものよりも大きく描かれている。
【0014】
上記構成において鍵10を初期位置からフルストローク位置に向かって押下すると、ラバードーム20が徐々に潰されるように撓み、押下部21,22,23がスイッチ部30を順次押下するため、スイッチ部30の第1〜第3接点が順次オン状態になる。そして、ラバードーム20が押圧されると、その反発力が鍵10に印加される。従って、演奏者が鍵10をリリースすると、鍵10は初期位置に戻る。ここで、スイッチ部30の第1,第2,第3接点がオンされた時刻を各々t1,t2,t3とし、時間T1=t2−t1,時間T2=t3−t2とする。
【0015】
ここで、第1,第2,第3接点のオンタイミング相互間に対する鍵のストロークはラバードーム20の構造に基づいて既知であるから、時間T1およびT2に基づいて、第1,第2接点位置間のベロシティV1および第2,第3接点位置間のベロシティV2を直ちに得ることができる。なお、図4に示した様々な奏法を的確に識別するためには、第1接点が全ストロークの「1/3」以内にオン状態になるように、押下部21の長さを設定すると好適である。
【0016】
次に、CPU106および音源・エフェクト部118において実行されるアルゴリズムを図3を参照し説明する。
図3において202−1〜202−mは波形メモリであり、様々な奏法に基づいたm種類の波形データを記憶する。204はセレクタであり、ベロシティV1,V2およびベロシティ種別VS2に基づいて、何れかの波形データを選択する。ここで、「ベロシティ種別」について説明しておく。上述したベロシティV1,V2は、原則的にはスイッチ部30の第1〜第3接点のオンタイミングに基づいて決定されるが、第1〜第3接点のオンタイミングによらず、ベロシティV1またはV2が予測によって決定される場合がある。そこで、ベロシティV1,V2が各々実測値である場合に“0”、予測値である場合に“1”となる値をベロシティ種別VS1,VS2という。図3のアルゴリズムにおいては、このうちベロシティ種別VS2が、波形データ等の選択のために使用されるのである。
【0017】
また、206−1〜206−nはエンベロープ・パラメータメモリであり、エンベロープを生成するためのn組のエンベロープ・パラメータを記憶する。208はセレクタであり、ベロシティV1,V2およびベロシティ種別VS2に基づいて、何れかのエンベロープ・パラメータを選択する。210はエンベロープジェネレータであり、セレクタ208を介して供給されたエンベロープ・パラメータに基づいてエンベロープ信号を生成する。212は乗算器であり、該エンベロープ信号と、セレクタ204を介して出力された波形データとを乗算することにより、該波形データに対してエンベロープを付与し、その結果を楽音信号として出力する。214−1〜214−pは係数メモリであり、フィルタリング処理を行うためのp組のフィルタリング係数を記憶する。216はセレクタであり、ベロシティV1,V2およびベロシティ種別VS2に基づいて、何れかのフィルタリング係数を選択する。218はデジタルフィルタであり、選択されたフィルタリング係数に基づいて、乗算器212から出力された楽音信号をフィルタリングする。
【0018】
3.実施例の動作
次に、本実施例の動作を図5を参照し説明する。なお、同図はCPU106によって把握される鍵10の状態を示す状態遷移図である。鍵10が初期位置付近にあってスイッチ部30の第1〜第3接点の何れもオフ状態であるとき、この状態をST100とする。鍵10が若干押下されると、第2,第3接点がオフ状態のまま第1接点がオン状態になる。この状態をST102とする。鍵10の状態がST100からST102に遷移したとき、第1接点オン時刻t1がCPU106によって把握され、RAM104の所定領域に書き込まれる。なお、この状態ST102において鍵10がリリースされると、状態はST100に戻る。
【0019】
状態ST102において鍵10がさらに押下されると、第2接点がオン状態になる。この状態をST104という。状態がST104になると、図6に示す処理ルーチンが起動される。図において処理がステップSP2に進むと、現在時刻が第2接点オン時刻t2としてRAM104に記憶される。次に、処理がステップSP4に進むと、時刻t1,t2に基づいて、時間T1およびベロシティV1が求められる。次に、処理がステップSP6に進むと、ベロシティ種別VS2が“0”に初期化される。次に、処理がステップSP8に進むと、ベロシティV1が発音確定速度Vp以上であるか否かが判定される。
【0020】
ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP10に進み、「第3接点がオン状態になった」または「第2接点がオフ状態になった」の何れかの条件が満たされるまで、ステップSP10,SP12のループが繰り返される。そして、第3接点がオン状態になった場合にはステップSP10において「YES」と判定され、状態がST106に遷移する。これは、詳細は後述するが、通常のキーオン動作を行う状態である。一方、第2接点がオフ状態になると、ステップSP12において「YES」と判定され、状態がST110に遷移する。状態ST110について詳細は後述するが、これはキーオフが行われた状態に対応し、楽音信号を消音する処理が行われる。但し、状態ST104では元々楽音信号が発生していないため、結局、今回の押鍵操作に対しては楽音信号が全く生成されないことになる。
【0021】
また、ベロシティV1が発音確定速度Vp以上であった場合には、ステップSP8において「YES」と判定され、処理はステップSP14に進み、図4(d)の破線に示す付勢限界速度特性に基づいて、第2,第3接点位置間の平均速度である対応する予測ベロシティV2’と、該付勢限界速度特性において、鍵位置が第2接点位置から第3接点位置に移動するキーオン予測時間T2’が計算される。そして、先に得られた第2接点オン時刻t2と時間T2’とが加算されることにより、キーオン予測時刻t3’が得られる。ここで、予測ベロシティV2’は、図7(a)に示すように、ベロシティV1に対する単調増加関数であり、キーオン予測時間T2’はベロシティV1に対する単調減少関数である。
【0022】
次に、図6においては、「現在時刻がキーオン予測時刻t3’以上になった」または「第3接点がオン状態になった」の何れかの条件が満たされるまで、ステップSP16,SP18のループが繰り返される。そして、第3接点がオン状態になった場合にはステップSP18において「YES」と判定され、状態が通常のキーオン動作を行うST106に遷移する。一方、第3接点のオン状態が検出される前に現在時刻がキーオン予測時刻t3’以上になると、ステップSP16において「YES」と判定され、処理はステップSP20に進む。ここでは、ベロシティ種別VS2が、予測値を表す“1”に設定され、状態が予測に基づくキーオンを発生させるST108に遷移する。
【0023】
図5に戻り、状態がST104からST106に遷移した場合には、ベロシティV1,V2の実測値に基づいてキーオン処理が行われる。すなわち、音源・エフェクト部118において新たな発音チャンネルが確保され、当該発音チャンネルにおいて図3に示したアルゴリズムが実行され、楽音信号が合成されサウンドシステム120を介して発音される。上述したように、波形データ、エンベロープ・パラメータおよびフィルタリング係数は、ベロシティV1,V2およびベロシティ種別VS2(=0)の組み合わせに基づいて、奏法に応じたものがセレクタ204,208,216において選択されることになる。
【0024】
一方、状態がST104からST108に遷移した場合には、ベロシティV1と予測ベロシティV2’とに基づいてキーオン処理が行われる。すなわち、状態ST106と同様に、音源・エフェクト部118において新たな発音チャンネルが確保され、当該発音チャンネルにおいて図3に示したアルゴリズムが実行される。その際、ベロシティV2として、予測ベロシティV2’が与えられる。また、この場合にはベロシティ種別VS2が“1”であるから、「きわめて軽い演奏」に応じた波形データ、エンベロープ・パラメータおよびフィルタリング係数が各セレクタ204,208,216において選択されることになる。
【0025】
状態ST106,ST108の何れにおいても、第2接点のオフ状態が検出されると、状態はST110に遷移し、キーオフ処理が行われる。すなわち、当該鍵10に対して発音チャンネルが確保されている場合には、該発音チャンネルの楽音信号が徐々に減衰され、しかる後に該発音チャンネルが開放される。さらに第1接点のオフ状態が検出されると、状態は初期状態であるST100に遷移する。なお、アコースティックピアノにおいては、鍵を初期位置まで戻さずに連打を行うことが可能であるため、電子鍵盤楽器においてもかかる演奏に対応できることが望ましい。そこで、状態ST110において鍵10が再び押下され第2接点のオン状態が検出されると、状態はST104に遷移する。この場合は、ベロシティV1が実測によっては求められないため、発音確定速度Vpよりも低い所定の値がベロシティV1として与えられる。
【0026】
4.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記実施例においては、CPU106上で動作するプログラムによって各種処理を行ったが、このプログラムのみをCD−ROM、フレキシブルディスク等の記録媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布することもできる。
【0027】
(2)鍵速度を検出する速度検出手段は、上記実施例におけるラバードーム20およびスイッチ部30に限定されるものではなく、例えば光学式センサ、ソレノイド式センサ等を適宜適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の電子鍵盤楽器のブロック図である。
【図2】一実施例の鍵盤構造を示す側面図である。
【図3】一実施例のアルゴリズムのブロック図である。
【図4】各種奏法による鍵速度の変化を示す図である。
【図5】一実施例の状態遷移図である。
【図6】状態ST104における処理内容のフローチャートである。
【図7】予測ベロシティV2’およびキーオン予測時間T2’の特性図である。
【符号の説明】
【0029】
10:鍵、12:鍵支持部、14:凸部、20:ラバードーム、21,22,23:押下部、30:固定スイッチ部、102:ROM、104:RAM、106:CPU(処理装置)、108:バス、110:通信インタフェース、112:表示部、114:操作部、116:演奏操作子、118:音源・エフェクト部、120:サウンドシステム、210:エンベロープジェネレータ、212:乗算器、218:デジタルフィルタ、202−1〜202−m:波形メモリ、206−1〜206−n:エンベロープ・パラメータメモリ、214−1〜214−p:係数メモリ、204,208,216:セレクタ。




 

 


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