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発明の名称 楽音合成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−34100(P2007−34100A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−219921(P2005−219921)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100104798
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 智典
発明者 中村 敦一
要約 課題
アタック、ディケイ、サスティン、リリース等の楽音信号のフェーズに応じて、楽音信号に付与する効果を自動的に変更する。

解決手段
エンベロープジェネレータ310は、アタック、ディケイ、サスティン、リリースの各フェーズに応じたエンベロープ信号S310を出力するとともに、現在のフェーズを示すフェーズ信号ADSRを出力する。乗算器308においては、楽音信号S306に対してエンベロープを付与した結果である信号S308が出力される。イコライザ312においては、各フェーズ毎に異なるフィルタリング係数が記憶されている。これら係数のうち、フェーズ信号ADSRに対応するものが選択され、信号S308に対して適用される。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数のフェーズから成る原楽音信号と、該フェーズを表すフェーズ信号とを生成する原楽音信号生成手段と、
前記複数のフェーズに各々対応して、イコライジング処理のためのパラメータを記憶する複数のパラメータ記憶手段と、
前記パラメータ記憶手段に記憶されたパラメータのうち前記フェーズ信号に対応するパラメータを選択するパラメータ選択手段と、
該パラメータ選択手段によって選択されたパラメータに基づいて前記原楽音信号に対してイコライジング処理を施すイコライザと
を有することを特徴とする楽音合成装置。
【請求項2】
前記原楽音信号生成手段は、
エンベロープ付与前の基本楽音信号を生成する基本楽音信号生成手段と、
前記フェーズ信号と、前記各フェーズにおいて前記基本楽音信号に対して付与すべきエンベロープ信号とを生成するエンベロープジェネレータと、
前記基本楽音信号に対して前記エンベロープ信号に係るエンベロープを付与するエンベロープ付与手段と
から成ることを特徴とする請求項1記載の楽音合成装置。
【請求項3】
前記複数のフェーズは、発音開始時におけるアタックフェーズと、発音終了時におけるリリースフェーズと、該アタックフェーズと該リリースフェーズとの間に発生するサスティンフェーズとを少なくとも含むものであることを特徴とする請求項1記載の楽音合成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変調(FM)方式によって楽音を生成するために用いて好適な楽音合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より音源装置においては、FMオペレータあるいは波形メモリ等を用いて基本的な楽音信号が生成されるとともに、この楽音信号に対してエンベロープジェネレータによってエンベロープが付与されていた。ここで、楽音信号のエンベロープは、一般的には、図6に示すように、アタック、ディケイ、サスティン、リリース等の「フェーズ」から構成されている。また、特許文献1においては、生成された楽音信号に対してイコライザによって各種の効果を施す技術が開示されている。このイコライザには制御装置から効果パラメータが供給され、該効果パラメータに応じた効果が楽音信号に付与されることになる。
【0003】
【特許文献1】特開平3−121499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した技術においては、エンベロープジェネレータにおける動作とイコライザにおける動作とは全く独立していたため、エンベロープの各フェーズ毎に異なる効果パラメータをイコライザに与えるためには、フェーズの切り替えタイミングなどを制御装置において把握する必要があり、制御がきわめて煩雑であった。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、楽音信号のフェーズに応じた効果を簡単に付与することができる楽音合成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載の楽音合成装置にあっては、複数のフェーズ(アタック、ディケイ、サスティン、リリース)から成る原楽音信号と、該フェーズを表すフェーズ信号(ADSR)とを生成する原楽音信号生成手段と、前記複数のフェーズに各々対応して、イコライジング処理のためのパラメータを記憶する複数のパラメータ記憶手段(222〜228,232〜238,242〜248)と、前記パラメータ記憶手段(222〜228,232〜238,242〜248)に記憶されたパラメータのうち前記フェーズ信号(ADSR)に対応するパラメータを選択するパラメータ選択手段(220,230,240)と、該パラメータ選択手段(220,230,240)によって選択されたパラメータに基づいて前記原楽音信号に対してイコライジング処理を施すイコライザ(60)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載の楽音合成装置において、前記原楽音信号生成手段は、エンベロープ付与前の基本楽音信号(S80)を生成する基本楽音信号生成手段(70〜80)と、前記フェーズ信号(ADSR)と、前記各フェーズにおいて前記基本楽音信号(S80)に対して付与すべきエンベロープ信号(S82)とを生成するエンベロープジェネレータ(82)と、前記基本楽音信号(S80)に対して前記エンベロープ信号(S82)に係るエンベロープを付与するエンベロープ付与手段(84)とから成ることを特徴とする。
さらに、請求項3記載の構成にあっては、請求項1記載の楽音合成装置において、前記複数のフェーズは、発音開始時におけるアタックフェーズと、発音終了時におけるリリースフェーズと、該アタックフェーズと該リリースフェーズとの間に発生するサスティンフェーズとを少なくとも含むものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このように、本発明によれば、原楽音信号生成手段が生成するフェーズ信号に基づいて、イコライジング処理のパラメータが選択されるから、楽音信号のフェーズに応じた効果を簡単に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
1.第1実施例
1.1.第1実施例のハードウエア構成
次に、本発明の第1実施例の音源装置の構成を図1を参照して説明する。
図において6はCPUであり、ROM2に記憶されたプログラムに基づいて、バス8を介して音源装置内の各部を制御する。4はRAMであり、CPU6のワークメモリとして使用される。10は通信インタフェースであり、MIDI信号等を入出力する。12は表示部であり、ユーザに対して各種情報を表示する。14は操作部であり、各種スイッチ、ポインティングデバイス等から構成されている。16はDSPであり、後述するアルゴリズムを記述したマイクロプログラムに基づいて楽音信号を合成する。18はDAコンバータであり、合成された楽音信号をアナログ信号として出力する。
【0008】
1.2.第1実施例のアルゴリズム構成
次に、DSP16において実現されるアルゴリズムの構成を図2を参照し説明する。
図において52はモジュレータとして機能するオペレータであり、変調信号として零信号を受信するとともに、パラメータ群OPP1に基づいて信号S52を合成する。また、オペレータ52においては、楽音信号のフェーズ(アタック、ディケイ、サスティン、リリース)を表すフェーズ信号ADSR1が出力される。54はイコライザであり、パラメータ群EQP1とフェーズ信号ADSR1とに基づいて、信号S52に対してフィルタリング処理を施し、その結果を信号S54として出力する。56はセレクタであり、選択信号SEL1に基づいて信号S52,S54のうち一方を選択し、その結果を信号S56として出力する。
【0009】
58はキャリアとして機能するオペレータであり、信号S56を変調信号として受信し、この信号S56とパラメータ群OPP2とに基づいて信号S58を出力する。また、オペレータ58においては、楽音信号のフェーズを表すフェーズ信号ADSR2が出力される。60はイコライザであり、パラメータ群EQP2とフェーズ信号ADSR2とに基づいて、信号S58に対してフィルタリング処理を施し、その結果を信号S60として出力する。62はセレクタであり、選択信号SEL2に基づいて信号S58,S60のうち一方を選択し、その結果を出力信号Soutとして出力する。上述した各パラメータ群OPP1,OPP2,EQP1,EQP2および選択信号SEL1,SEL2は、CPU6によって与えられるものである。
【0010】
次に、各オペレータ52,58の詳細構成を図3を参照し説明する。
図において72はセレクタであり、フィードバックオン・オフ信号FBに基づいて、外部から供給された変調信号INまたはフィードバック信号S70のうち一方を選択し、変調信号S72として出力する。74はフェーズジェネレータであり、ピッチを指定するピッチパラメータPTPに基づいて、当該ピッチを周期とする鋸歯状波の基本位相信号S74を出力する。76は加算器であり、変調信号S72と基本位相信号S74とを加算し、この結果を位相信号S76として出力する。80はウエーブテーブルであり、サイン波、矩形波、三角波等の種別の各1周期の波形データが記憶されている。78はアドレスジェネレータであり、上記波形データの種別を指定する波形パラメータWPを受信すると、当該種別に応じたオフセット値を位相信号S76に加算し、この結果をアドレス信号S78としてウエーブテーブル80に供給する。
【0011】
これにより、ウエーブテーブル80においては、波形パラメータWPに係る波形データの位相信号S76におけるサンプル値が読み出され、その結果が信号S80として出力される。82はエンベロープジェネレータであり、複数種類のエンベロープデータが記憶されており、これら何れかのエンベロープデータを指定するエンベロープパラメータEPが供給されると、対応するエンベロープデータにおける刻々の瞬時値であるエンベロープ信号S82を出力する。また、エンベロープジェネレータ82においては、これらエンベロープデータに対して、各フェーズの境界位置が記憶され、現在のフェーズを表すフェーズ信号ADSR(ADSR1またはADSR2)が出力される。84は乗算器であり、信号S80,S82を乗算し、その結果を出力信号OUTとして出力する。この出力信号OUTには乗算器70を介して所定のフィードバックゲインが乗算され、その結果がフィードバック信号S70としてセレクタ72に供給される。なお、図1において説明したオペレータ用のパラメータ群OPP1,OPP2とは、上述した各パラメータFB,PTP,WP,EPを総称したものである。
【0012】
次に、各イコライザ54,60の詳細構成を図4,図5を参照し説明する。
図4において101〜112は遅延回路であり、各々入力された信号を1サンプリング周期だけ遅延させて出力する。130〜134,150〜154,170〜174は乗算器であり、各々入力された信号に対して係数P1_0〜P1_4,P2_0〜P2_4,P3_0〜P3_4を乗算し出力する。135,155,175は加算器であり、各々乗算器130〜134,150〜154,170〜174の出力信号を加算して出力する。なお、図1において説明したイコライザ用のパラメータ群EQP1,EQP2とは、各フェーズにおける係数P1_0〜P1_4,P2_0〜P2_4,P3_0〜P3_4を総称したものである。ここで、乗算器130〜134と加算器135、乗算器150〜154と加算器155、および乗算器170〜174と加算器175は、各々独立したフィルタ120、140、および160を構成する。
【0013】
各フィルタ120,140,160は、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等の機能も実現できるが、ここでは一例として、各フィルタをピーキングフィルタ(またはノッチフィルタ)として使用する場合の各係数Pk_0〜Pk_4(但し、kは1〜3の何れか)の設定例を説明しておく。まず、サンプリング周波数をfsとし、フィルタ120、140、160のうちあるフィルタにおいて、中心周波数をfp、共振の鋭さをQ、中心周波数fpのゲインをG[dB] とするフィルタリング特性を付与することとしたとき、A=10G/40、ω=2π・fp/fs、α=(sinω)/2Q、β=1+α/Aとおくと、各係数Pk_0〜Pk_4は以下のようにして求められる。
Pk_0=Pk_2=Pk_4=(1+α・A)/β、
Pk_1=Pk_3=−2(cosω)/β。
【0014】
次に、図5において222〜228,232〜238,242〜248はレジスタであり、各係数P1_0〜P1_4,P2_0〜P2_4,P3_0〜P3_4をフェーズ毎に記憶する。220,230,240はセレクタであり、受信したフェーズ信号ADSRに基づいて、現在のフェーズに対応する係数P1_0〜P1_4,P2_0〜P2_4,P3_0〜P3_4を各々選択し、フィルタ120,140,160に供給する。
【0015】
1.3.第1実施例の動作
次に、本実施例の動作を説明する。本実施例においては、最初にイコライザ54,60に対して、パラメータ群EQP1,EQP2がセットされる。すなわち、イコライザ54,60内のレジスタ222〜228,232〜238,242〜248に対して、各フェーズに対応する係数P1_0〜P1_4,P2_0〜P2_4,P3_0〜P3_4がCPU6によって書き込まれる。次に、CPU6によって選択信号SEL1,SEL2がセレクタ56,62に供給され、パラメータ群OPP1,OPP2がオペレータ52,58に供給される。
【0016】
次に、音源装置の動作が開始されると、パラメータ群OPP1に基づいて、オペレータ52において信号S52が合成され、信号S56およびパラメータ群OPP2に基づいて、オペレータ58において信号S58が合成される。また、イコライザ54においてはパラメータ群EQP1およびフェーズ信号ADSR1に基づいて信号S54が合成され、イコライザ60においてはパラメータ群EQP2およびフェーズ信号ADSR2に基づいて信号S60が合成される。オペレータ52,58の各エンベロープジェネレータ82からは、最初は「アタック」を示すフェーズ信号ADSR1,ADSR2が出力されているが、時間の経過に伴ってこれらフェーズ信号は「ディケイ」、「サスティン」、「リリース」の順に変遷してゆき、エンベロープレベルも図6に示すように変化してゆく。すなわち、アタックフェーズにおいては、アタックレートでエンベロープレベルが上昇し、ディケイ、サスティン、リリースの各フェーズにおいては、各々のレートでエンベロープレベルが下降する。そして、イコライザ54,60においては、これらフェーズ信号に基づいて係数Pk_0〜Pk_4が切り替えられるため、各フェーズに応じたイコライジング処理が楽音信号に施されることになる。
【0017】
ここで、楽音信号に施されるイコライジング処理の具体例を説明しておく。まず、オペレータ52,58において、各々波形パラメータWPとして「正弦波」が選択され、オペレータ52においては変調周波数fm、オペレータ58においてはキャリア周波数fcに係るピッチパラメータPTPが選択され、両オペレータにてフィードバックオン・オフ信号FBがオフ状態(外部入力の変調信号を選択)に設定されたとする。かかる場合は、信号S58において、元々のキャリア周波数fcの周波数成分に加えて、「fc ±k・fm」(但し、kは自然数)の高調波成分が生じる。オペレータ52,58において選択された波形が正弦波以外のものであった場合は、その波形を構成する複数の正弦波成分毎に同様の高調波成分が生じることになる。しかし、これら高調波成分のうち、選択された両波形の基本波であるキャリア周波数fcと変調周波数fmとによって生じる高調波成分「fc ±k・fm」のエネルギーは比較的高く、しかも自然数kの値が小さいほどエネルギーが高くなる傾向がある。そして、通常は、変調周波数fmとしてはキャリア周波数fc以上の周波数が選択されるから、周波数成分「fc +k・fm」のうち自然数kの値が低いものほどエネルギーが大きくなる傾向がある。
【0018】
一般に、エネルギーが大きい周波数成分ほど音色に対して重要な影響を及ぼすことが多い。そこで、かかる場合においては、周波数成分「fc +k・fm」のうち自然数kの小さい順、すなわち周波数成分「fp1=fc +fm」、「fp2=fc +2fm」、「fp3 =fc +3fm」をイコライザ60においてピーク(またはノッチ)を付与する中心周波数とするとよい。そして、生成しようとする音色に基づいてこれら中心周波数fp1,fp2,fp3 におけるゲインGp1,Gp2,Gp3をイコライザ60に設定するとよい。
【0019】
また、オペレータ52において生成される信号S52が変調周波数fm以外に複数の高調波成分fmq (q=1,2,3,……)を含む場合、後段のオペレータ58において生成される信号S58には、各々対応する周波数成分「fc +k・fmq」が含まれることになる。これら信号S52に含まれる各周波数成分のエネルギーは、信号S52に含まれる高調波成分fmqのエネルギーに比例するから、該高調波成分fmqのエネルギーを増減することによって、信号S58内の周波数成分「fc +k・fmq」のエネルギーを増減することができる。これら高調波成分fmqのエネルギーも周波数が低くなるほど高くなる傾向があり、エネルギーが大きい周波数成分ほど音色に対して重要な影響を及ぼすことが多い。そこで、かかる場合には、高調波成分fmqのうち周波数の低い順に選んだ周波数fm1, fm2, fm3を、イコライザ54においてピーク(またはノッチ)を付与する中心周波数にするとよい。そして、生成しようとする音色に基づいてこれら中心周波数fm1, fm2, fm3におけるゲインGr1,Gr2,Gr3をイコライザ54に設定するとよい。
【0020】
次に、各フェーズにおけるパラメータ群EQP1,EQP2の相違点について説明しておく。例えば、アコースティックピアノのシミュレートを行う場合には、アタック時には、キャリア周波数fcの高調波ではない非調和成分が出やすいので、サスティン時よりも高調波成分fmqのエネルギーを高めておくとよい。また、アコースティックピアノにおいては、リリース時には弦にダンパが当たるため、高調波成分の周波数のうち特に高い周波数の成分が減衰しやすくなる。そこで、かかる現象をシミュレートするためには、キャリア周波数fcの高調波成分を、これら高調波成分の周波数が高くなるほど大きく減衰するように、フィルタ特性を設定するとよい。
【0021】
以上のように本実施例によれば、イコライザ54,60に与えるパラメータ群EQP1,EQP2に応じて、フェーズ毎に多彩な変化を伴う楽音信号を生成することができる。しかも、フェーズの切換はフェーズ信号ADSR1,ADSR2によって自動的に実行されるため、例えばCPU6においてフェーズの切換タイミングを検出することも不要である。
【0022】
2.第2実施例
次に、本発明の第2実施例の音源装置について説明する。第2実施例の音源装置のハードウエア構成は第1実施例のもの(図1)と同様であるが、アルゴリズムの全体構成は図7(a)に示す通りになっている。図7(a)において202はモジュレータとして機能するオペレータであり、パラメータ群OPP1に基づいて変調信号を合成し、セレクタ204,208に出力するとともに、フェーズ信号ADSR1をセレクタ209に出力する。206はキャリアとして機能するオペレータであり、セレクタ204を介して受信した変調信号と、パラメータ群OPP2とに基づいて楽音信号を合成し、セレクタ208,212に出力するとともに、フェーズ信号ADSR2をセレクタ209に出力する。210はイコライザであり、セレクタ208を介して受信した信号に対して、セレクタ209を介して受信したフェーズ信号ADSRとパラメータ群EQP1とに基づくイコライジング処理を施し、その結果をセレクタ204,212に出力する。
【0023】
ここで、各オペレータ202,206およびイコライザ210の詳細構成は第1実施例のもの(図3,図4)と同様である。セレクタ204,208,209,212は、各々選択信号SEL1,SEL2,SEL2,SEL3に基づいて、各々入力された2系統の信号のうち一方を選択し出力する。オペレータ202とオペレータ206との間にイコライザ210を介挿する場合には、図7(b)の最上段にあるように、選択信号SEL1,SEL2,SEL3は「1,1,0」に設定される。また、オペレータ206の後段にイコライザ210を介挿する場合には、選択信号SEL1,SEL2,SEL3は「0,0,1」に設定される。また、イコライザ210を使用しない場合には、選択信号SEL1,SEL3は「0,0」に設定される。特に、本実施例においては、セレクタ208およびセレクタ209が選択信号SEL2に応じて連動して動作するため、オペレータ202,206のうち何れかの出力信号がイコライザ210に供給される場合には、フェーズ信号ADSR1,ADSR2のうち対応する側のフェーズ信号がセレクタ209を介してイコライザ210に供給される。
【0024】
また、第1実施例のものと同様に、パラメータ群OPP1,OPP2,EQP1および選択信号SEL1〜SEL3はCPU6によって与えられるものである。このように、本実施例においては、1台のイコライザ210の介挿箇所をセレクタ204,208,212によって任意に設定できるため、1台のイコライザのみを用いる場合においても、多彩な音色を合成することができる。なお、イコライザ210における中心周波数は、イコライザ210をオペレータ202の後段に介挿する場合は第1実施例のイコライザ54と同様に設定し、オペレータ206の後段に介挿する場合はイコライザ60と同様に設定するとよい。
【0025】
3.第3実施例
次に、本発明の第3実施例の波形メモリ型音源装置について説明する。本実施例のハードウエア構成は第1実施例のもの(図1)と同様であるが、アルゴリズムの全体構成は図8に示す通りになっている。図において306は波形メモリであり、複数種類の波形データを記憶する。302はアドレスジェネレータであり、生成すべき楽音信号のピッチパラメータPTPを受信すると、読み出すべき波形データが波形メモリ306の先頭アドレス「0」から開始されているものと仮定した場合のアドレス信号S302を出力する。304はアドレス変換部であり、上記複数の波形データのうち何れかを表す波形パラメータWPを受信すると、指定された波形データが格納されている先頭アドレスをアドレス信号S302に加算し、その結果をアドレス信号S304として出力する。
【0026】
これにより、波形メモリ306においては、アドレス信号S304によって指定されたサンプル値が読み出され、その結果が信号S306として出力される。310はエンベロープジェネレータであり、複数種類のエンベロープデータのうち何れかを指定するエンベロープパラメータEPが供給されると、対応するエンベロープデータにおける刻々の瞬時値であるエンベロープ信号S310を出力する。また、エンベロープジェネレータ310においては、エンベロープのフェーズを表すフェーズ信号ADSRが出力される。308は乗算器であり、信号S306,S310を乗算し、その結果を信号S308として出力する。312はイコライザであり、供給されたパラメータ群EQP1とフェーズ信号ADSRとに基づいて信号S308に対してイコライジング処理を施し、その結果を信号S312として出力する。
【0027】
314はセレクタであり、選択信号SEL1に基づいて信号S308,S312のうち一方を選択し、選択した信号を出力信号Soutとして出力する。なお、イコライザ312の詳細構成は第1実施例のもの(図3,図4)と同様である。また、ピッチパラメータPTP、波形パラメータWP、エンベロープパラメータEP、パラメータ群EQP1および選択信号SEL1は、第1実施例のものと同様に、CPU6によって与えられる。
【0028】
波形メモリ式音源装置に使用される波形データは、一般的にアタック部とループ部とに分かれることが多い。すなわち、アタック部の波形データはノートオン時に一回だけ読み出され、その後はループ部の波形データが繰り返し読み出される。しかし、本実施例においては、第1実施例のものと同様に、イコライザ312によってフェーズ毎に異なった周波数成分を出力信号Soutに付与することができるから、波形データを必ずしもアタック部とループ部とに分割する必要はない。すなわち、シミュレートしようとする楽器の種類によってはループ部のみによって波形データを構成することができる。これにより、波形メモリ306のメモリ容量を抑制しつつ、出力信号Soutにフェーズ毎の複雑な変化を与えることができる。
【0029】
4.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記各実施例においては、DSP16上で動作するマイクロプログラムによって各種アルゴリズムを実行したが、このマイクロプログラムのみをCD−ROM、フレキシブルディスク等の記録媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布することもできる。また、上記各アルゴリズムは必ずしもDSPによって実現する必要はなく、各アルゴリズムをハードウエアのデジタル回路によって実現することもできる。
【0030】
(2)上記各実施例において、各イコライザ54,60,210の中心周波数の数は「3」以上であってもよく、各中心周波数の決定方法も上述したものに限られるものではなく、合成しようとする波形に応じて決定するとよい。例えば、イコライザ60の中心周波数fp1,fp2,fp3は、キャリア周波数fcの奇数調波を増幅し、偶数調波を減衰させるように設定するような例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施例の音源装置のブロック図である。
【図2】第1実施例のアルゴリズムのブロック図である。
【図3】オペレータのアルゴリズムのブロック図である。
【図4】イコライザのアルゴリズムのブロック図(1/2)である。
【図5】イコライザのアルゴリズムのブロック図(2/2)である。
【図6】楽音信号のエンベロープの一例を示す図である。
【図7】第2実施例のアルゴリズムのブロック図である。
【図8】第3実施例のアルゴリズムのブロック図である。
【符号の説明】
【0032】
2:ROM、4:RAM、6:CPU(制御手段)、8:バス、10:通信インタフェース、12:表示部、14:操作部、16:DSP、18:DAコンバータ、52,58:オペレータ、54,60:イコライザ、56,62:セレクタ、70:乗算器、72:セレクタ、74:フェーズジェネレータ、76:加算器、78:アドレスジェネレータ、80:ウエーブテーブル、82:エンベロープジェネレータ、84:乗算器、101〜112:遅延回路、120,140,160:フィルタ、130〜134,150〜154,170〜174:乗算器、135,155,175:加算器、202,206:オペレータ、204,208,212:セレクタ、210:イコライザ、222〜228,232〜238,242〜248:レジスタ(パラメータ記憶手段)、220,230,240:セレクタ(パラメータ選択手段)、302:アドレスジェネレータ、304:アドレス変換部、306:波形メモリ、308:乗算器、310:エンベロープジェネレータ、312:イコライザ、314:セレクタ。




 

 


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