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発明の名称 鍵盤装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25602(P2007−25602A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−211760(P2005−211760)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
代理人 【識別番号】100080931
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 敬
発明者 西田 賢一
要約 課題

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
支持部材と、この支持部材に対し揺動自在に保持された複数の鍵と、その各鍵の下方でそれぞれ前記支持部材に対し回動支点部で揺動自在に支持され、前記複数の各鍵の下方にそれぞれ設けた質量体駆動部を介して駆動されて揺動する複数の質量体とを備えた鍵盤装置において、
前記複数の各質量体は、前記鍵の長手方向に沿って延び、その後端部に質量集中部を有し、非駆動時には該質量集中部が最下降位置になる傾斜状態となるように、前記支持部材に取り付けられており、
前記支持部材は、前記複数の質量体のうちの所定の相隣接する2つの質量体間に設けられたリブを有し、該リブの下縁の少なくとも一部が、前記非駆動時の傾斜状態にある前記質量体の下縁に沿って形成されていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
前記質量体の回動支点部を前記支持部材の最下端から所定の高さ位置に設け、前記質量体の下部に該質量体の移動範囲外の空間を形成し、該空間の最上部を前記リブの下縁の一部と一致させるように構成したことを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。
【請求項3】
前記支持部材の最下端に下ケースを装着し、該下ケースに前記空間内に入り込む凹陥部を形成して、該凹陥部を機能部材収容部としたことを特徴とする請求項2記載の鍵盤装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子オルガン、電子ピアノ、シンセサイザ等の電子鍵盤楽器あるいは電気鍵盤楽器に用いられる鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子オルガンや電子ピアノ等の電子鍵盤楽器に用いられる鍵盤装置においても、ピアノのような自然楽器の鍵タッチ感触に近い重量感のあるタッチ感触が得られるように、各鍵に対応して一般にハンマと称される質量体を備えたものがある。そして、そのハンマが各鍵の押鍵動作に連動して揺動し、その動きに応じた力を押鍵力に対する反作用として付与して、所望の押鍵タッチ感触を得るようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている鍵盤装置は、鍵とその下側に鍵の長手方向に沿って延びる質量体とが、支持部材である鍵盤フレームにそれぞれ揺動自在に支持されており、押鍵時に鍵の下方に設けられた力伝達部によって質量体が駆動されて回動し、その金属棒状の慣性モーメント発生部が大きいストロークで上昇されることによって重い鍵タッチ感が得られる。離鍵時には質量体が逆方向に回動して、慣性モーメント発生部が下降位置に復帰する。
このように、質量体の慣性モーメント発生部が押離鍵時に大きなストロークで昇降できるようにするため、支持部材には各鍵の下方に大きな空間を設けておかなければならない。
【特許文献1】特許第2917863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、上記支持部材を樹脂で形成する場合、各支持部の連結と全体の補強のために、鍵及び質量体の配列方向に間隔を置いてそれらの長手方向に平行に延びるリブを形成しており、そのリブが支持部材の下端付近まで設けられている。
そのため、鍵の下方の空間を有効に利用することができず、特に鍵及び質量体の配列方向(鍵幅方向)に長い機能部品等を配置することができなかった。
【0005】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、各鍵に対応する質量体を備えた鍵盤装置において、鍵及び質量体を支持する支持部材によって各鍵の下方に形成される空間を、質量体の回動による慣性モーメント発生部の昇降を妨げることなく、有効に利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、支持部材と、この支持部材に対し揺動自在に保持された複数の鍵と、その各鍵の下方でそれぞれ上記支持部材に対し回動支点部で揺動自在に支持され、上記複数の各鍵の下方にそれぞれ設けた質量体駆動部を介して駆動されて揺動する複数の質量体とを備えた鍵盤装置において、上記の目的を達成するため次のように構成したことを特徴とする。
【0007】
上記複数の各質量体は、上記鍵の長手方向に沿って延び、その後端部に質量集中部を有し、非駆動時にはその質量集中部が最下降位置になる傾斜状態となるように、上記支持部材に取り付けられている。
そして、上記支持部材は、上記複数の質量体のうちの所定の相隣接する2つの質量体間に設けられたリブを有し、そのリブの下縁の少なくとも一部が、上記非駆動時の傾斜状態にある上記質量体の下縁に沿って形成されている。
【0008】
また、上記質量体の回動支点部を上記支持部材の最下端から所定の高さ位置に設け、上記質量体の下部にその質量体の移動範囲外の空間を形成し、その空間の最上部を上記リブの下縁の一部と一致させるように構成してもよい。
さらに、上記支持部材の最下端に下ケースを装着し、その下ケースに上記空間内に入り込む凹陥部を形成して、その凹陥部を機能部材収容部とすることができる。
その凹陥部を電池又は電池パックを収容する電池室とすることもでき、下ケースにその凹陥部を覆う蓋体を着脱可能に設けてもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明による鍵盤装置は、鍵及び質量体を支持する支持部材によって各鍵の下方に形成される空間を、質量体の回動による重量部の昇降を妨げることなく、有効に利用することができる。例えば、ポータプル型の電子鍵盤楽器の場合には、必要な電池又は電池パック、あるいはコードやマイク等の付属品を余分なスペースを設けずに、すなわち鍵盤装置の高さ方向の寸法を大きくすることなく収納できる。
【0010】
また、機能部品として、アンプ等の電子回路を構成するプリント基板やスピーカなど、あるいは鍵盤装置の鍵配列方向の剛性を高めるための曲げ防止剛性発生部材(鍵配列方向に延びるリブや補強材など)を上記リブの下縁の下側、すなわち質量体の下方空間に配置することもできる。さらに、上記下ケースを設ける場合、支持部材(鍵盤フレーム)と下ケースを組み付ける際に、下ケースの上記凹陥部に仮保持部材を嵌入させて下ケースに対して鍵盤フレームを仮保持するようなこともできる。
なお、上記支持部材の最下端を、該支持部材の下面の2又は3箇所だけに分散して設けると、鍵盤装置を下ケースを装着せずに鍵盤楽器の棚板上に直接載置する場合に、ガタつくことなく安定して載置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1乃至図10はこの発明の一実施例を示す図であり、図1はこの発明による鍵盤装置を備えた電子楽器の鍵長手方向に沿う概略断面図、図2はその鍵盤装置の1オクターブの鍵域部分の平面図、図3は図1における矢示S方向から見た正面図、図4は白鍵の自由端側の下面図である。
【0012】
図5はその鍵盤装置を構成する鍵ユニットのみを、白鍵ユニットを実線で黒鍵ユニットを仮想線で示す平面図である。図6はその鍵ユニットの鍵共通保持部付近を拡大して示す側面図、図7は支持部材である鍵盤フレームの鍵取付部付近とそこに取り付けられた第1の白鍵ユニットの一部を示す斜視図、図8は黒鍵ユニットの一部を下方から見た斜視図である。
図9は図2に示した鍵盤装置を、鍵ユニットおよびスイッチ基板を取り除いて一部を破断して示す平面図、図10は黒鍵の質量体駆動部の側面図である。
【0013】
まず、主に図1に示す電子楽器の構成について説明する。この電子楽器1は、卓上型の電子オルガン、電子ピアノ、シンセサイザ等の電子鍵盤楽器であり、鍵盤装置2と上ケース60及び下ケース70と、図示していない電子回路部やスピーカなどからなっている。
鍵盤装置2は、多数の白鍵20と黒鍵40を支持部材である鍵盤フレーム10の鍵取付部10Kに取り付けて併設しており、それぞれ押鍵操作される鍵本体部だけを露出して、上ケース60と下ケース70からなるケース内に収納されている。その上ケース60と下ケース70は互いに嵌合しており、止めねじ71および図示していない複数の止めねじによって、鍵支持部材である鍵盤フレーム10と共に締め付けられて連結されている。
上ケース60の前面には口棒部64が設けられ、後部上面には譜面台62を差し込んで装着するための譜面台装着溝61が形成されている。下ケース70の下面の四隅にはゴム足76が取り付けられている。
【0014】
その各白鍵20と黒鍵40は、例えば図5に示すように1オクターブの鍵域ごとに一組の鍵ユニットKUを構成している。その鍵ユニットKUは、第1の白鍵ユニットKUW1と第2の白鍵ユニットKUW2と黒鍵ユニットKUBとによって構成されている。
第1の白鍵ユニットKUW1は、1オクターブの外側から一つ置きに4個の全音鍵である白鍵20(図2に示すC,E,G,B鍵)の各鍵本体部23が、それぞれ連結部24によって鍵共通保持部21に押離鍵方向に揺動可能に連結している。
【0015】
第2の白鍵ユニットKUW2は、他の一つ置きに3個の全音鍵である白鍵20(図2に示すD,F,A鍵)の各鍵本体部23がそれぞれ連結部24によって鍵共通保持部22に押離鍵方向に揺動可能に連結している。
黒鍵ユニットKUBは、図5では仮想線で示す5個の半音鍵である黒鍵40(図2に実線で示すC♯,D♯,F♯,G♯,A♯鍵)の各鍵本体部43がそれぞれ連結部42によって鍵共通保持部41に押離鍵方向に揺動可能に連結している。
【0016】
なお、図5において23は白鍵20の鍵本体部を、43は黒鍵40の鍵本体部をそれぞれ示しており、その各鍵本体部23,43の長手方向の長さは、当然ながら白鍵20の鍵本体部(以後「白鍵本体部」という)23の方が黒鍵40の鍵本体部(以後「黒鍵本体部」という)43よりも長い。
ここで、「白鍵」と「黒鍵」とは、必ずしも色が「白い鍵」と「黒い鍵」を意味するものではなく、上述のように鍵本体部の上面がフラットで長さが長い方の鍵で、押鍵により全音を発音させるための鍵を「白鍵」と、鍵本体部が白鍵より上方に突出し長さが短い方の鍵で、押鍵により半音を発音させるための鍵を「黒鍵」と、それぞれ便宜上称している。したがって、実際の鍵の白黒が逆であっても、上述した白鍵に相当する形状及び機能を持つ鍵を「白鍵」とし、上述した黒鍵に相当する形状及び機能を持つ鍵を「黒鍵」とする。
【0017】
これらの第1の白鍵ユニットKUW1と第2の白鍵ユニットKUW2と黒鍵ユニットKUBは、図6にも示すように、その各鍵共通保持部21,22,41が、互いに重なり合って鍵共通保持部30を形成する。その鍵共通保持部30は、第1の白鍵ユニットKUW1の鍵共通保持部21に形成されたレール状の嵌合用突条部21bに、第2の白鍵ユニットKUW2鍵共通保持部22に形成された嵌合用凹溝部22aが位置決め嵌合され、その鍵共通保持部22に形成されたレール状の嵌合用突条部22bに黒鍵ユニットKUBの鍵共通保持部41に形成された嵌合用凹溝部41aが位置決め嵌合されて一体化する。
【0018】
さらに、第1の白鍵ユニットKUW1の鍵共通保持部21に形成された嵌合用凹溝21aを鍵盤フレーム10の鍵取付部10Kに形成されたレール状の嵌合用突条部15に位置決め嵌合させ、鍵共通保持部30を形成する鍵共通保持部21,22,41の取付孔44,26,26に図1に示す鍵ユニット組み付け用ねじ82を上方から挿通して、図6に示す鍵取付部10Kの鍵共通保持部取付用ねじ穴17にねじ込んで組み付けることによって、各鍵共通保持部21,22,41が鍵取付部10Kに共通に取り付けられる。
【0019】
このようにして、第1の白鍵ユニットKUW1と第2の白鍵ユニットKUW2と黒鍵ユニットKUBが、図2に示すように1オクターブ分の鍵ユニットKUとして鍵盤フレーム10上に組み付けられる。この鍵ユニットKUを必要な鍵域分だけ鍵並び方向に連接させて組み付けることにより、所要鍵数の鍵盤装置を構成することができる。
【0020】
ここで、第1,第2の白鍵ユニットKUW1,KUW2の各連結部24と、黒鍵ユニットKUBの連結部42の形状などの詳細について、図2及び図5乃至図8によって説明する。
黒鍵ユニットKUBの各黒鍵本体部43をそれぞれ鍵共通保持部41に押鍵方向に揺動可能に連結する連結部42は、図2及び図8に明示されているように、その鍵並び方向の全幅Waが黒鍵本体部40の鍵幅Wbよりも広く、その一部Wc,Wd(Wa,Wb,Wc,Wdは図8参照)が隣り合う白鍵20の連結部24と互いに重なり合うように幅広に構成され、その連結部42によって黒鍵40の押離鍵時における鍵幅方向の揺動を規制するようにしている。
【0021】
その黒鍵40の連結部42は、図6及び図8に明示されているように、押離鍵回動を可能にする薄肉ヒンジ部42bとその薄肉ヒンジ部42bより剛性の高い厚肉接続部42aとからなり、その厚肉接続部42aは黒鍵本体部43の後端部43e(図8)の両側面から隣接鍵方向にぞれぞれ突設して後方に延設し、薄肉ヒンジ部42bに接続されており、さらに鍵共通保持部41へと結合される。その薄肉ヒンジ部42bは、図2及び図8に明示されているように鍵幅方向の中間部に開口47を形成し、それによって左右の部分に分割されている。
【0022】
薄肉ヒンジ部42bをこのように形成することにより、押鍵方向の可撓性を高めながら、厚肉接続部42aとともに鍵幅方向(横方向)の力に対する断面二次モーメントを大きくして、鍵ガイドを使用しなくても黒鍵本体部43の鍵幅方向の横振れ(ヨーイング)を充分に規制できるようにしている。
なお、その連結部42における黒鍵本体部43の後端部43eの両側面からの厚肉接続部42aの突出量は、図2に示すように各黒鍵40ごとに異なっており、左右均等とは限らないし、各鍵によってもその幅長が異なっている。いずれにしても、黒鍵用連結部としての幅広部は、平均すると一鍵につき12/5=2.4鍵分の幅長を有し得ることになり、できる限りその鍵幅方向の全幅を広くとって、黒鍵本体部43の鍵幅方向の横振れを規制する効果を高めるようにしている。
【0023】
一方、第1,第2の白鍵ユニットKUW1,KUW2の白鍵本体部23をそれぞれ鍵共通保持部21又は22に押鍵方向に揺動可能に連結する各連結部24は、図5及び図7に明示されるように、その鍵並び方向の全幅Wcが前述した黒鍵ユニットKUBの連結部42の鍵並び方向の全幅Waより狭く、白鍵本体部23の後端部の幅とほぼ同等の幅に形成されている。
【0024】
その各連結部24は、図6にも示すように、鍵幅方向に延びる薄肉の水平ヒンジ部24aと鍵の長手方向に沿って厚さ方向に延びる垂直ヒンジ部24bとからなり、垂直ヒンジ部24bは図5に明示されているように上方から見て「エ」の字状に形成されている。そして、薄肉の水平ヒンジ部24aの前端部が白鍵本体部23の後端43eに一体に接続し、垂直ヒンジ部24bの後端部が鍵共通保持部21又は22に一体に接続されている。
水平ヒンジ部24aは、白鍵本体部23を押鍵方向に揺動可能に支持し、垂直ヒンジ部24bは白鍵本体部23を鍵幅方向に揺動可能に支持する。そのため、白鍵本体部23の前端部の鍵並び方向の位置決めと横揺れの規制は、白鍵20の自由端側に設けた後述するガイド部によって行うようにしている。
【0025】
垂直ヒンジ部24bの存在理由は、鍵盤フレーム10及び鍵ユニットKUが樹脂で形成されているので、成形時の収縮誤差や熱冷却時の各部のバラツキによって、後述するキーガイド部12及び/又は被ガイド部33の位置精度が僅かにバラツクことがあっても、押離鍵時に鍵自由端部でストレスが発生しないようにするためである。
前述のように、黒鍵40の連結部42はその鍵幅方向の全幅が黒鍵本体部43の後端の鍵幅よりも広く、図2及び図5に明示されているように、その一部が隣合う白鍵20の連結部24と互いに重なり合う重なり部を有している。
【0026】
さらに、その連結部42における上記重なり部の一部として、上述した厚肉接続部42aの黒鍵本体部43の後端部43eの両側面から隣接鍵方向へ突設した部分が、隣接する白鍵20の鍵本体部23の後端部上面に重なるようにしている。また、図6及び図7に示すように、その白鍵本体部23の後端部の上面23aの高さが他の部分より低く設定された逃がし部25を白鍵本体部23の後端部に形成している。そして、第1,第2の白鍵ユニットKUW1,KUW2の上に黒鍵ユニットKUBを重ねて鍵盤装置を構成したとき、
その白鍵本体部23の逃がし部25に黒鍵40の連結部42の一部である厚肉接続部42aが嵌合して重なるようにしている。この実施例では、それによって白鍵本体23の上面23aと黒鍵40の連結部42の厚肉接続部42aの上面とが面一になっている。
【0027】
このように構成することにより、少なくとも黒鍵40に対してはガイド部を設けないで済む鍵盤装置において、白鍵20及び黒鍵40の各連結部24,42によるヒンジ機構が全て白鍵本体23の上面23aより下方に納まるため、高さを押えつつ鍵の支点近傍の実装設計(パネルレイアウト等)の自由度が向上する。さらに、黒鍵40と白鍵20の回動支点が上下方向に接近することから、鍵操作性という点からも、より演奏しやすい鍵盤装置が実現する。特に、スケーリング演奏(C,C,D,D,E,F,…)が操作しやすい。
【0028】
また、鍵盤装置の高さを抑えつつ白鍵本体部23の厚みを増すことができ、押鍵時に白鍵本体部23が曲がらないようにすることができる。さらに、白鍵本体部23を長くすることにより、平行押鍵に近くなるので弾き易くなる。
一方、黒鍵40についても、連結部42の厚肉接続部42aを高くすることなく充分な厚さを確保することができるので、鍵幅方向への横振れに対する剛性を高めることができる。
【0029】
ここで図1に戻って、支持部材である鍵盤フレーム10とその関連部分の構成について説明する。
この鍵盤フレーム10は、図1において左下側に位置する前方下側部分と、右下側に位置する後方下側部分と、上側に位置する上方部分と、それらを補強するとともに接続するリブ部とが樹脂によって一体に成形されている。
【0030】
そして、前方下側部分には、白鍵ガイド12を一体に形成したガイド支持部11、白鍵用下限ストッパ保持部10F、鍵ユニットスライド面19、質量体取付部10G、および下ケース固定用のボス部10e〜10g等が形成されている。後方下側部分には、質量体下限ストッパ保持部10Lと下ケース固定用のボス部10h等が形成されている。さらに、上方部分には、鍵取付部10K、スイッチ基板取付部10S、質量体上限ストッパ保持部10H、および上部品取付部10J等が形成されている。
【0031】
鍵ユニットスライド面19は、前述した鍵ユニットKUを鍵盤フレーム10に装着する際に利用される。すなわち、鍵盤フレーム10の手前側からガイド支持部11とスイッチ基板80との間の隙間を通して鍵ユニットKUを挿入したとき、各白鍵20及び黒鍵40にそれぞれ設けられた後述する質量体駆動部29,45の下端面をその鍵ユニットスライド面19の傾斜面に当接させて滑らせ、後述する白鍵用質量体50W及び黒鍵用質量体50Bの主被駆動部53W,53Bと副被駆動部54W,54Bとの間に、質量体駆動部29,45の嵌合部を自動的に嵌入させることができる。
上部品取付部10Jには、上ケース60の上部に収容する操作パネル用基板等の部品を取り付けることができる。
【0032】
リブ部は、白鍵用下限ストッパ保持部10Fと鍵ユニットスライド面19の下側のリブ10a、ボス部10fの上側のリブ10b、質量体取付部10Gの内側のリブ10c、前方下側部分と後方下側部分と上方部分とを接続するメインのリブ10dとから成っている。これらのリブからなるリブ部は、図2に示すように鍵長手方向に沿って、鍵並び方向に間隔を置いて複数(1オクターブにつき2箇所程度)箇所に設けられている。
【0033】
白鍵用下限ストッパ保持部10Fの上面には、鍵並び方向に延びる帯状のフエルト材からなる白鍵用下限ストッパ34が貼着保持されている。質量体下限ストッパ保持部10Lの上面には、図2及び図9にも示されているように、後述する質量体(ハンマ)50W,50Bの並び方向に延びる帯状のフェルト材からなる質量体下限ストッパ84が貼着保持されている。また、質量体上限ストッパ保持部10Hの下面には、図7にも示されるように、質量体50W,50Bの並び方向に延びる帯状のフェルト材からなる質量体上限ストッパ83が貼着保持されている。
【0034】
ここで、白鍵のガイド部について図2乃至図4も参照して説明する。
鍵盤フレーム10の前端側上部には、各白鍵の自由端付近に対応する位置に、板状のガイド支持部11が、図2及び図3に示されているように白鍵20の並び方向に沿って列設されている。その各ガイド支持部11の前面から前方へ突出するように、板状の白鍵ガイド12が垂直に形成されている。このガイド支持部11と白鍵ガイド12とは、上方又は下方から見ると図2に破線で示し、図4に仮想線で示すようにT字状のガイド部材となっている。
【0035】
一方、各白鍵20の自由端側には、その下面図を図4に示すように、白鍵本体部23の先端部20aにはケースに収納された状態で外部から見える部分の前端に外側前端壁31が設けられており、上面部はそれより僅かに前方へ突出している。その外側前端壁31より内側に内側前端壁32が白鍵本体部23の先端部20aの全高さ域に亘って形成されている。その内側前端壁32の鍵幅方向の中間部に、下端から鍵高さ方向に沿ってスリット33aを形成し、互いに前方へ対称的に湾曲して突出する対の被ガイド部33を形成している。この被ガイド部33のスリット33aの間隙幅を、白鍵ガイド12の厚さより僅かに大きくしている。
【0036】
そして、前述した鍵ユニットKUが鍵盤フレーム10に装着されたときに、図2乃至図4に示すように、各白鍵ガイド12が各白鍵20の被ガイド部33のスリット33aに嵌入して、各白鍵20の先端部の位置位置決めと押鍵時の横振れの規制を行う。なお。各白鍵本体23は前述した連結部24の垂直ヒンジ部24bの作用で鍵幅方向に揺動可能であるから、多少の製造誤差や組み付け誤差があっても、無理なく各白鍵本体部23の配列位置を揃えることができ、押離鍵操作もスムーズに行うことができる。この各白鍵ガイド12と各白鍵20の被ガイド部33に潤滑用のグリースを塗布しておくとよい。
【0037】
再び図1に戻って、鍵盤フレーム10のスイッチ基板取付部10S上にはスイッチ基板80が、スイッチ基板係止鉤35によって係止されて取り付けられており、そのスイッチ基板80上には、各白鍵20及び黒鍵40の長手方向の中間部に対応する位置に、図2にも破線で示すように多数の鍵スイッチ81が列設されている。
【0038】
この鍵スイッチ81は、それぞれ合成ゴム製のドーム状の可動部を有し、その可動部に一対の被押圧部(図2に2つの小円形の破線で示されている)とその内側に導電性ゴムによる一対の可動接点を備えており、その各可動接点がスイッチ基板80上に形成された二組の固定接点と対向して、2接点(2メイク)の鍵スイッチを構成している。そして、白鍵20又は黒鍵40の押鍵時に、その下面で可動部が押圧されて一対の可動接点が二組の固定接点に順次接触して各接点をONにし、それが押鍵信号として出力される。また、その各接点がONになったタイミングの時間差によって押鍵速度を検出することができ、その検出した押鍵速度に応じて発生する楽音を制御することができる。
【0039】
次に、この鍵盤装置2には、各鍵の押鍵時に重量感のあるタッチ感触が得られるように各鍵に連動する質量体(一般にハンマと称されている)を備えているので、それについて図1の他に図2、図9及び図10も参照して説明する。
各白鍵20に対しては白鍵用質量体50Wが、各黒鍵40に対しては黒鍵用質量体50Bが、それぞれ鍵盤フレーム10の質量体取付部10Gに図1で矢示M方向に揺動可能に取り付けられている。
【0040】
その白鍵用質量体50Wと黒鍵用質量体50Bは殆ど同じ構成になっており、揺動被支持部51W又は51Bと主被駆動部53W又は53Bと副被駆動部54W又は54Bとが樹脂によって一体に成形されて、駆動力伝達部を構成している。そして、揺動被支持部51W又は51Bに、鉄材等の棒状金属材料による慣性モーメント発生部52W又は52Bの前端部をアウトサート成形にて一体化している。
【0041】
慣性モーメント発生部52W及び52Bの後端部は、それぞれ曲げ加工によって上方へ略直角に曲げられ、さらに前方へ戻るように略直角に曲げられており、黒鍵用質量体50Bの慣性モーメント発生部52Bの後端部はコ字状の質量集中部52Bcを形成している。白鍵用質量体50Wの慣性モーメント発生部52Wの後端部はさらに下方へ略直角に曲げられて、略矩形ループ状の質量集中部52Wcを形成している。
【0042】
この質量集中部52Wc及び52Bcは、鍵盤フレーム10の質量体上限ストッパ保持部10Hよりも鍵長手方向の外方(後方)に突出しており、且つ慣性モーメント発生部52W,52Bがそれぞれ質量体上限ストッパ83に当接する最上昇位置で、その上面が白鍵20の鍵本体部43の上面あるいは黒鍵40の厚肉接続部42aの上面と実質的に同一面になるようにしている。慣性モーメント発生部52W,52Bにおける質量集中部52Wc,52Bcより前方の部分が質量集中部52Wc,52Bcを前述した駆動力伝達部に連設する連設部となっている。
【0043】
各質量体50W,50Bの揺動被支持部51W,51Bには、それぞれ半径方向に凹部を形成するとともにその凹部の下側から後方にガイド舌片Qを突設した軸受部13W,13Bが設けられている。一方、鍵盤フレーム10の質量体取付部10Gの上面には、図9にも示すように鍵長手方向に平行に、鍵幅方向に所定の間隔で対向するそれぞれ対の支持リブ10W,10Bが一体に立設され、その対の支持リブ間を橋渡しするように回動軸14W,14Bが設けられている。質量体取付部10Gには図2に示すように、この回動軸14W,14Bを成形する際に型が入り込むための開口38,48が形成されている。なお、図1では、対の支持リブ10Wの手前側の支持リブを除去して示している。
【0044】
そして、各質量体50W,50Bの軸受部13W,13Bの凹部に回動軸14W,14Bを嵌入させることにより、白鍵用質量体50Wが軸受部13Wと回動軸14W及び対の支持リブ10Wを介して、黒鍵用質量体50Bが軸受部13Bと回動軸14B及び対の支持リブ10Bを介して、それぞれ質量体取付部10Gに揺動可能に軸支される。
この軸支位置すなわち回動軸14W,14Bの鍵長手方向の位置は、図2及び図9から分かるようにずれており、白鍵用質量体50Wに対する回動軸14Wの方が黒鍵用質量体50Bに対する回動軸14Bよりも前端寄りになっている。
【0045】
そして、各白鍵用質量体50Wの前端部には、図1に示されるように主被駆動部53Wと副被駆動部54Wとが、上下方向に間隔を置いて揺動被支持部51Wと一体に設けられており、主被駆動部53Wの方が副被駆動部54Wよりも前方へ突出している。一方、各白鍵20の図4に示す幅広部の後端部付近の下面に、質量体駆動部29が図1に示すように下方へ真っ直ぐに突設されている。その質量体駆動部29の下端面は対応する白鍵用質量体50Wの主被駆動部53Wの上面に当接する。また、その質量体駆動部29の下部は背面を開口した空洞に形成されており、そこに副被駆動部54Wの前端部が図1に破線で示すように緩く入り込む。
【0046】
このように構成することによって、白鍵20が押鍵されたときに質量体駆動部29が下降して主被駆動部53Wを駆動し、白鍵用質量体50Wを回動軸14Wを支点として図1で反時計方向へ、慣性モーメント発生部52Wの部分Cが質量体上限ストッパ83に当接する仮想線で示す位置まで回動させるので、重量感のあるタッチ感触が与えられる。離鍵時には、質量体駆動部29の下端内壁が副被駆動部54Wに係合してそれを上昇させるので、白鍵用質量体50Wは回動軸14Wを支点として図1で時計方向へ回動して、質量集中部52Wcが質量体下限ストッパ84に当接する実線で示す位置へ速やかに復帰する。
このように、白鍵20と白鍵用質量体50Wとが常に連動して回動するように、質量体駆動部29を白鍵用質量体50Wの主被駆動部53Wと副被駆動部54Wとに係合させるようにしている。
【0047】
各黒鍵用質量体50Bの前端部にも同様に、図10に仮想線で示す主被駆動部53Bと副被駆動部54Bとが、上下方向に間隔を置いて揺動被支持部51B(図9参照)と一体に設けられており、主被駆動部53Bの方が副被駆動部54Bよりも前方へ突出している。一方、各黒鍵40には図10に示すように、その前端部の下面に質量体駆動部45が突設されている。この質量体駆動部45は、下方、前方、下方とクランク状に曲がって延び、その下端面45aを対応する黒鍵用質量体50Bの主被駆動部53Bの上面に当接させ、その鍵長手方向の位置が図9に仮想線で示すように、白鍵用の質量体駆動部29の下端面と白鍵用質量体50Wの主被駆動部53Wとの当接位置と揃うようにしている。
【0048】
この質量体駆動部45の下端部も背面を開口した空洞に形成されており、そこに副被駆動部54Bの前端部が図10に仮想線で示すように緩く入り込む。
これによって、上述した白鍵20と白鍵用質量体50Wの場合と同様に、黒鍵40と黒鍵用質量体50Bも常に連動して回動する。
【0049】
そして、この実施例では前述のように質量体駆動部45を白鍵20の下方で手前側に延ばして、白鍵20と黒鍵40の各質量体駆動部29,45による白鍵用質量体50Wと黒鍵用質量体50Bの鍵長手方向の駆動位置を略同じ位置に揃えている。一方、白鍵用質量体50Wと黒鍵用質量体50Bの回動支点となる回動軸14Wと14Bの鍵長手方向の位置は異なって(千鳥状配置になって)いる。
【0050】
これにより、各質量体駆動部29,45によって白鍵用質量体50Wと黒鍵用質量体50Bが駆動される点から回動支点までの距離が、黒鍵用の方が白鍵用より長くなり、黒鍵用質量体50Bの慣性モーメント発生部52Bの回動支点から質量体上限ストッパ83に当接する部分Cまでの距離が、白鍵用質量体50Wの慣性モーメント発生部52Wの回動支点から質量体上限ストッパ83に当接する部分Cまでの距離より短くなるので、白鍵20と黒鍵40の押鍵感触のバランスをとることができる。
【0051】
ここで、この実施例における白鍵用質量体50Wと黒鍵用質量体50Bはまた、前述したように質量集中部52Wc及び52Bcが鍵盤フレーム10の質量体上限ストッパ保持部10Hよりも鍵長手方向の外方(後方)に突出しており、且つ重量部52W,52Bがそれぞれ質量体上限ストッパ83に当接する最上昇位置で、その上面が白鍵20の鍵本体部43の上面あるいは黒鍵40の厚肉接続部42aの上面と実質的に同一面になるようにしている理由について説明する。
【0052】
質量体(ハンマ)付きのピアノ系鍵盤装置においては、押鍵タッチ感の実現のために実装スペースとのバランス取りが重要になる。ことに低価格帯の楽器になるほど楽器本体の寸法的制約が大きくなり、鍵盤としての性能を犠牲にしなくてはならない可能性が高くなるので、その中で最大限スペース効率を稼ぐことが必要になる。最低限省略できない部材とその他の機能部品が同じ高さに並ぶことによって、無駄なスペースを全くなくすことができる。特に重要なのは、質量体(ハンマ)の移動量でほぼユニット高さが決まってしまうことである。
【0053】
そこで、質量体の質量集中部を鍵盤フレームの質量体上限ストッパ保持部よりも鍵長手方向の外に出してしまうことにより、質量体の等価質量の向上と重量の軽量化およびそれによるコストダウンを同時に図ることが可能になる。
質量感は、質量体の回動支点から重心までの距離の2乗に比例するので、質量集中部は極力回動支点から遠くにあるのが望ましい。そのため、質量集中部を鍵盤フレームから外に出し、さらに、上方へ回動したときにその質量集中部の上端が鍵盤フレームや鍵の最高点と同じ高さになるようにすることによって、タッチ感の向上と実装自由度の確保を高次元で両立させることができる。
【0054】
また、この実施例では、各質量体50W,50Bの質量集中部52Wc,52Bcを、棒状金属部材の後端部を鍵の押離鍵方向の上方に折り曲げ、さらに連設部側に折り曲げて形成しているので、質量体50W,50Bの全長を余り長くせずに等価重量を大きくして慣性モーメントを増加し、タッチ感触を高めることができる。しかも、その質量集中部52Wc,52Bcは棒状金属部材の径と同じ幅で押離鍵方向に平行な空間内で折り曲げられているので、隣接鍵の質量体との干渉をさけ、上方のスペースを有効に活用できる。
【0055】
この質量集中部52Wc,52Bcの折り曲げ形状は、コ字状や方形に限らず、U字状、三角形、円形、渦巻状など種々の形状にすることができる。
さらに、この実施例では、白鍵用質量体50Wと黒鍵用質量体50Bの質量集中部52Wc,52Bcの実効長(伸ばしたときの長さ=重量)を異ならせており、それによって白鍵20と黒鍵40のタッチ感触を揃えるようにしている。
【0056】
また、この実施例の鍵盤装置2は、図1で説明したように鍵盤フレーム10の各部が多くのリブによって支持されて一体に形成されている。そして、そのリブのうちで最も大きいリブ10dは、複数の質量体50W,50Bのうちの所定の相隣接する2つの質量体間に、その長手方向に平行に設けられている。そして、そのリブ10dの下縁端の少なくとも一部(図1の例ではリブ10dの鍵長手方向に沿う中間部)が、各質量体50W,50Bが非駆動時に実線で示すように質量集中部52Wc,52Bcが最下降位置にある傾斜状態となっているときの下縁に沿って形成されている。このようにすることによって、鍵盤フレーム10の下部にできる空間を有効に利用できる。例えば、鍵及び質量体の配列方向(鍵幅方向)に長い機能部品等を容易に配置することができる。
【0057】
この場合、質量体50W,50Bの軸受部13W,13Bと質量体取付部10G側の回動軸14W,14Bとによる回動支点部を、その支持部材である鍵盤フレーム10の最下端から所定の高さ位置に設け、質量体50W,50Bのの下部にその移動範囲外の空間を形成しており、その空間の最上部をリブ10dの下縁の一部と一致させるように構成している。
さらに、その鍵盤フレーム10の下端に装着する下ケース70に上記空間内に入り込む複数の凹陥部16,18を形成して、その各凹陥部16,18を機能部材収容部とすることができる。図1に示す例では、その一つの凹陥部18を電池あるいは電池パックを収容する電池室としており、蓋75を着脱可能に設けている。
【0058】
このようにすれば、ポータプル型の電子鍵盤楽器の場合には、必要な電池又は電池を内蔵した電池パックを、余分なスペースを設けずに(鍵盤装置の高さ方向の寸法を大きくすることなく)収納できる。
もう一つの凹陥部16は機能部品収納部とし、ここに鍵並び方向に長い種々の機能部品を収納することを可能にしている。この機能部品収納部に、下ケース70に対して鍵盤フレーム10を嵌め込む時の仮保持部材を嵌入させたり、コードやマイクなどの付属品を収納することもできる。
【0059】
また、機能部品として、鍵盤装置の鍵配列方向の剛性を高めるための曲げ防止剛性発生部材(鍵配列方向に延びるリブや補強材など)を上記リブの下縁の下側に配置することもできる。
その下ケース70は、止めねじ72,73,74によって鍵盤フレーム10のボス部10f,10g,10hにねじ止めされる。
鍵盤フレーム10と下ケース70を一体にして、下ケースの一部に鍵ユニット及び質量体を支持させるようにすることも可能である。
【0060】
この実施例では、支持部材である鍵盤フレーム10の最下端は、鍵盤フレーム10の下面の2又は3箇所だけに分散して設けられている。図1に示した例では、ボス部10fと10hの下面だけが鍵盤フレーム10の最下端であり、他の部分はその最下端より高い位置になっている。例えば、ボス部10gの下面はボス部10fの下面より少し高くなっている。最下端が2箇所の場合は、少なくとも一方がある程度の長さを有し、3点支持と同様になるようにする必要がある。
このようにすれば、この鍵盤装置2を、下ケース70を装着せずに鍵盤楽器の棚板上に直接載置する場合に、ガタつくことなく安定して載置することができる。
【0061】
ここで、図1に示した鍵盤装置における鍵盤フレームのリブ形状と下ケースとの関係を、図11によって判り易く示す。この図11は、鍵盤フレーム1と下ケース70とを上下方向に分離して、図1とは鍵配列方向の位置が異なる断面を示している。また、質量体と回動軸の符号は白鍵用と黒鍵用の区別をせず、前述した各図における「W」と「B」を除いた符号を付している。図1と対応するその他の部分には図1と同じ符号を付してあり、それらの説明は省略する。
【0062】
複数の各質量体50は、支持部材である鍵盤フレーム10の最下端から所定の高さにある質量体取付部10Gに、揺動被支持部51の軸受部13が質量体取付部10Gに形成された対の支持リブ10W(図11では手前側の支持リブ10Wは除去している))間に設けられた回動軸14によって支持されて揺動自在に取り付けられ、棒状金属材による慣性モーメント発生部52が図示していない各鍵の長手方向に沿って延び、その後端部に質量集中部52cを有している。そして、主被駆動部53及び副被駆動部54が鍵に駆動されていない非駆動時には、図示のように質量集中部52cが最下降位置になる傾斜状態となっている。
【0063】
支持部材である鍵盤フレーム10は、複数の質量体50のうちの所定の相隣接する2つの質量体50の間に設けられたリブ10dを有し、そのリブ10dの下縁Reの少なくとも一部が、非駆動時の傾斜状態にある質量体50の下縁Meに沿って(同じ高さで)形成されている。
この質量体50の回動支点部である回動軸14は、鍵盤フレーム10の最下端(ボス部10f,10hの下面)から所定の高さ位置にある質量体取付部10G上の支持リブ10W間に設けられている。そのため、質量体50の慣性モーメント発生部52の下部にその移動範囲外の空間Sが形成され、その空間Sの最上部をリブ10dの下縁Reの一部と一致させている。
【0064】
その鍵盤フレーム10の下端に装着する下ケース70には、上記空間S内に入り込む複数の凹陥部16,18を形成しており、例えば、その一つの凹陥部18を電池あるいは電池パックを収容する電池室とし、他方の凹陥部16を機能部材収容部としている。ここに、コードやマイクなどの付属品を収容することもできる。
【0065】
図12と図13は、この発明による鍵盤装置の質量体の下方空間の他の利用例を示す模式的な側断面図である。これらの図では、図1及び図11に示した鍵盤装置を簡略化して示しているが、それらの図と対応する各部には同一の符合を付してあり、それらの説明は省略する。これらの図においても、質量体の符号は図11と同様に白鍵用と黒鍵用の区別をせず、「W」と「B」を除いた符号を付している。5は白鍵20又は黒鍵40を鍵盤フレーム10に回動自在に連結する鍵回動部である。
【0066】
図12は、質量体50の下方空間内に、アンプ等の電子回路を構成するプリント6を配置した例であり、プリント基板6が鍵配列方向に長いものであっても、多数のリブ10dに阻まれることなく容易に配置できる。
図13は、質量体50の下方空間内にスピーカ7を配置した例であり、鍵配列方向の任意の位置に複数のスピーカ7を配置することができる。この場合、コンソール型の鍵盤電子楽器に適用されるもので、その楽器の棚板から下方に放音されるように棚板に放音孔を開けて構成されるようになる。
これらのいずれにおいても、プリント基板6やスピーカ7が、鍵盤フレーム10の最下端から突出することはない。また、質量体50の回動による重量部52cの昇降を妨げることもない。
【0067】
この発明は、電子鍵盤楽器だけでなく自然発音体を使用する電気鍵盤楽器やその他の質量体を備えた鍵盤楽器にも適用可能である。各部の形状や配置などは実施例のものに限定されるものではなく、適用する楽器の仕様に応じて適宜変更し得ることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明による鍵盤装置は、電子オルガン、電子ピアノ、シンセサイザ等の電子鍵盤楽器あるいは電気鍵盤楽器など、各種の鍵盤楽器に適用できる。特に、各鍵ごとに質量体(ハンマ)を備えた小型の電子鍵盤楽器に適用するのに適し、鍵タッチ感がよく、高性能でコンパクトな電子鍵盤楽器を安価に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の一実施例である鍵盤装置を備えた電子楽器の鍵長手方向に沿う概略断面図である。
【図2】その鍵盤装置の1オクターブの鍵域部分の平面図である。
【図3】同じくその正面図である。
【図4】その白鍵の自由端側の下面図である。
【図5】その白鍵ユニットを実線で黒鍵ユニットを仮想線で示す鍵ユニットのみの平面図である。
【0070】
【図6】その鍵ユニットの鍵共通保持部付近を拡大して示す側面図である。
【図7】その鍵盤フレームの鍵取付部付近とそこに取り付けられた第1の白鍵ユニットの一部を示す斜視図である。
【図8】黒鍵ユニットの一部を下方から見た斜視図である。
【図9】図2に示した鍵盤装置を鍵ユニットおよびスイッチ基板を取り除いて一部を破断して示す平面図である。
【図10】黒鍵の質量体駆動部の側面図である。
【図11】図1に示した質量体を取り付けた鍵盤フレームと下ケースの分解断面図である。
【図12】この発明による鍵盤装置における質量体の下方空間の利用例を示す模式的な側断面図である。
【図13】この発明による鍵盤装置における質量体の下方空間の他の利用例を示す模式的な側断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1…電子楽器、2…鍵盤装置、5…鍵回動部、6…プリント基板、7…スピーカ、10…鍵盤フレーム(支持部材)、10W,10B…対の支持リブ、10F…白鍵用下限ストッパ保持部、10G…質量体取付部、10K…鍵取付部、10H…質量体上限ストッパ保持部、10L…質量体下限ストッパ保持部、10J…上部品取付部、10S…スイッチ基板取付部、10a〜10d…リブ、10e〜10h…ボス部、11…ガイド支持部、12…白鍵ガイド(ガイド部)、13W…白鍵用質量体の軸受部、13B…黒鍵用質量体の軸受部、14W…白鍵用質量体の回動軸、14B…黒鍵用質量体の回動軸、15…(鍵共通保持部)嵌合用突条部、16…機能部品収納部、17…鍵共通保持部取付用ねじ穴、18…電池室、19…鍵ユニットスライド面、
【0072】
20…白鍵、20a…白鍵の先端部、21…白鍵の鍵共通保持部(下)、21a…嵌合用凹溝部、21b…嵌合用突条部、22…白鍵の鍵共通保持部(上)、22a…嵌合用凹溝部、22b…嵌合用突条部、23…白鍵本体部、23a…白鍵本体部の上面、24…白鍵の連結部、24a…水平ヒンジ部、24b…垂直ヒンジ部、25…逃がし部、26…取付孔、29…白鍵の質量体駆動部、30…鍵共通保持部(全体)、31…白鍵の外側前端壁、32…白鍵の内側前端壁、33…白鍵の被ガイド部、33a…スリット、34…白鍵用下限ストッパ、35…スイッチ基板係止鉤、36,37…ケース結合用透孔、38…白鍵用質量体の軸受嵌合孔、
【0073】
40…黒鍵、41…黒鍵の鍵共通保持部、41a…嵌合用凹溝部、42…黒鍵の連結部、42a…厚肉接続部、42b…薄肉ヒンジ部、43…黒鍵鍵本体部、43e…黒鍵鍵本体部の後端、44…取付孔、45…黒鍵の質量体駆動部、46…ケース結合用透孔、47…開口、48…黒鍵用質量体の軸受嵌合孔、50W…白鍵用質量体(ハンマ)、50B…黒鍵用質量体(ハンマ)、51W,51B…質量体の揺動被支持部、52W,52B…質量体の慣性モーメント発生部、52Wc,52Bc…重量部の質量集中部、53W,53B…質量体の主被駆動部、54W,54B…質量体の副被駆動部、
【0074】
60…上ケース、61…譜面台装着溝、62…譜面台、64…上ケースの口棒部、70…下ケース、71〜74…止めねじ、75…電池室の蓋、76…ゴム足、80…スイッチ基板、81…鍵スイッチ(ゴム製可動部を備えたもの)、82…鍵ユニット組付用ねじ、
83…質量体上限ストッパ、84…質量体下限ストッパ
KU…鍵ユニット、KUW1…第1の白鍵ユニット(C,E,G,B鍵)、
KUW2…第2の白鍵ユニット(D,F,A鍵)、KUB…黒鍵ユニット、
Re…リブ10dの下縁、Me…質量体の下縁




 

 


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