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電子鍵盤楽器 - ヤマハ株式会社
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発明の名称 電子鍵盤楽器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−18004(P2007−18004A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2006−258736(P2006−258736)
出願日 平成18年9月25日(2006.9.25)
代理人 【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
発明者 櫻田 伸弥 / 工藤 政樹 / ▲徳▼田 孝藏
要約 課題
その演奏感覚および表現手法をアコースティックピアノ(たとえばグランドピアノ)のそれにより近づけることができる電子鍵盤楽器を提供する。

解決手段
第2SWがオフした後、鍵1がさらに離鍵方向に操作されて、第3SWがオフすると、音源部に対して、離鍵時のダンピング中に発生する、アコースティックピアノの楽音をサンプリングして生成した第2ソースの楽音の読み出しを開始させ、現在発生中の楽音、つまり第1ソースの楽音から第2ソースの楽音にクロスフェードして行くように指示する。そして、第3SWがオフする位置を、アコースティックピアノの鍵ストロークのダンパ離脱位置と等価になるように設定することで、本実施の形態の電子鍵盤楽器を演奏したときの演奏感覚は、アコースティックピアノ、特にグランドピアノの演奏感覚により近づくことになる。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の鍵に対応して配設された複数の駆動部材と、
該駆動部材によって駆動され、その駆動位置に応じた情報をそれぞれ出力する複数の出力部材と、
前記駆動位置に応じた情報に基づいて、鍵が押離鍵中の全ストローク中、押鍵方向の終状態であることを検出する押鍵検出手段と、
複数の発音チャンネルを備えた発音手段と、
前記押鍵検出手段による前記終状態の検出に応じて、押鍵があった鍵に対応する楽音を前記複数の発音チャンネルのうちの空きチャンネルに割り当て、前記音源手段にて当該発音チャンネルに割り当てられた楽音を発音させる割り当て手段と、
前記発音チャンネルに楽音を割り当てた鍵が前記終状態よりも浅い所定位置を離鍵方向に跨がずに再押鍵されて、前記押鍵検出手段によって前記終状態が検出されたときには、当該鍵に対応する楽音を前記割り当てた発音チャンネルとは異なる他の空いた発音チャンネルに逐次割り当てて、累積的に3以上の異なる発音チャンネルにてそれぞれ発音開始のタイミングが異なる当該鍵に対応する楽音が発音されるように前記割り当て手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする電子鍵盤楽器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アコースティックピアノを演奏したときの演奏感覚とその表現に、より近づくようにした電子鍵盤楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の電子ピアノは、アコースティックグランドピアノの発音システムにかなり近づいて来ているものの、離鍵時の楽音発生状態において、未だリアリティに欠けていた。
【0003】
そこで、本出願人は、離鍵時のダンピング中に発生する、アコースティックグランドピアノの楽音をサンプリングし、これをキーオフ音とする、ダブル音源ソース(キーオンソースおよびキーオフソース)システムを適用した電子鍵盤楽器を開発した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の電子鍵盤楽器では、離鍵時に弦がダンパ材に触れる位置を分岐点として楽音制御しようとする思想まで考慮されていなかったために、離鍵時に発生する楽音にはリアリティが出るものの、その演奏感覚は、アコースティックグランドピアノの演奏感覚と異なったものになっていた。
【0005】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、その演奏感覚および表現手法をアコースティックピアノ(たとえばグランドピアノ)のそれにより近づけることができる電子鍵盤楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の電子鍵盤楽器は、複数の鍵に対応して配設された複数の駆動部材と、該駆動部材によって駆動され、その駆動位置に応じた情報をそれぞれ出力する複数の出力部材と、前記駆動位置に応じた情報に基づいて、鍵が押離鍵中の全ストローク中、押鍵方向の終状態であることを検出する押鍵検出手段と、複数の発音チャンネルを備えた発音手段と、前記押鍵検出手段による前記終状態の検出に応じて、押鍵があった鍵に対応する楽音を前記複数の発音チャンネルのうちの空きチャンネルに割り当て、前記音源手段にて当該発音チャンネルに割り当てられた楽音を発音させる割り当て手段と、前記発音チャンネルに楽音を割り当てた鍵が前記終状態よりも浅い所定位置を離鍵方向に跨がずに再押鍵されて、前記押鍵検出手段によって前記終状態が検出されたときには、当該鍵に対応する楽音を前記割り当てた発音チャンネルとは異なる他の空いた発音チャンネルに逐次割り当てて、累積的に3以上の異なる発音チャンネルにてそれぞれ発音開始のタイミングが異なる当該鍵に対応する楽音が発音されるように前記割り当て手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、発音チャンネルに楽音を割り当てた鍵が、押離鍵中の全ストローク中、押鍵方向の終状態よりも浅い所定位置を離鍵方向に跨がずに再押鍵されて、押鍵検出手段によって前記終状態が検出されたときには、当該鍵に対応する楽音が、前記割り当てた発音チャンネルとは異なる他の空いた発音チャンネルに逐次割り当てられ、累積的に3以上の異なる発音チャンネルにてそれぞれ発音開始のタイミングが異なる当該鍵に対応する楽音が発音され、レベル検出手段によってすべて“0”レベルであることが検出されたことに応じて、前記割り当てたすべての発音チャンネルがクリアされるので、すなわち、キーオフがなされるまで、全発音チャンネルで開放しているので、実ピアノで言うところの、ダンパペダルを踏み込んだまま、連打したときのような楽音効果に類似する楽音効果を得ることができる。さらに、鍵を完全に戻さなくても押鍵が可能となり、したがって、演奏曲の速いパッセージ部分を速やかにこなすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子鍵盤楽器の縦断面図であり、非押鍵状態(鍵1が押鍵行程の開始位置にある状態)を示している。
【0010】
本実施の形態の電子鍵盤楽器は、シャーシ4と、鍵1と、押鍵動作に適当な慣性を与えてアコースティックピアノのような押鍵感触を得るためのハンマ2(質量ハンマ体)とから主に構成される。なお、黒鍵についても鍵1と同様に構成され、シャーシ4に回動自在に支持されて成る。なお、以下、本装置の演奏者側を前方と称する。
【0011】
鍵1、ハンマ2は、それぞれの回動軸、すなわち鍵回動軸P1、ハンマ回動軸P2を中心として上下方向に回動可能に構成されている。鍵1は、後述の緩衝材13を介してハンマ2を駆動可能に構成され、ハンマ2はスイッチ部3を駆動可能に構成されている。
【0012】
鍵1には、その後端部側の面に凸球面状の鍵支点部1aが突設されている。その中心が前記鍵回動軸P1である。一方、シャーシ4のシャーシ水平部4aの後部には鍵支持部5が設けられている。鍵支持部5の鍵支点部1aに対向する部分には、各鍵支点部1aに対応して凹部が設けられている。鍵支点部1aが鍵支持部5の上記凹部と係合して、鍵1が鍵支点部1a(鍵回動軸P1)を中心として上下方向に回動自在にされている。
【0013】
鍵1の前部には下方に垂下したハンマ駆動部1bが設けられている。ハンマ駆動部1bの下端部にはウレタンゴム製等の緩衝材13が取り付けられている。緩衝材13は、ハンマ2の上側延設部2cおよび下側延設部2b間に挟入され、鍵1の押鍵動作をハンマ2に伝達すると共に、ハンマ2の復帰動作を鍵1に伝達する。なお、押鍵および押鍵復帰の行程において、緩衝材13はその上端部がハンマ2の上側延設部2cと常に当接して動作の伝達を確実にしている。
【0014】
シャーシ4は、シャーシ水平部4aとシャーシ4の前部4bとがリブ12により連結されて補強されている。シャーシ前部4bには鍵並び方向(鍵1の横方向)の回動を規制するためのキーガイド6が各鍵1毎に突設されている。
【0015】
ハンマ2は、各鍵1に対応して設けられ、シャーシ4に設けられた支持部材9のハンマ支持部9a(ハンマ回動軸P2)を中心としてその自由端部2dが上下方向に回動自在にハンマ支点部2aにて支持されている。また、ハンマ支点部2a近傍から鍵1の後部に亘ってフォーク形状のバネ7が懸架されている。このバネ7は、鍵1を鍵支持部5に押しつけると共に、ハンマ2を支持部材9のハンマ支持部9aに押しつけ、鍵1およびハンマ2がシャーシ4から容易に脱落しないようにしている。
【0016】
ハンマ2は、質量部材2fの重さによって下側延設部2bにて鍵1を上方に常に付勢している。なお、鍵1の復帰力はバネ7から付与されるのではなく、ハンマ2自身の復帰力によるものである。ハンマ2は、下部にスイッチ部3を駆動するためのスイッチ駆動部2eを有する。
【0017】
シャーシ4のシャーシ水平部4aの後部およびシャーシ保持部4cにはそれぞれ、フェルト等の上側ストッパ10(ストッパ部)および下側ストッパ11が設けられている。上側ストッパ10は押鍵時にハンマ2の質量部材2fと当接して鍵1およびハンマ2の回動終了位置(鍵1では前端部の下限位置、ハンマ2では自由端部2dの上限位置)を規制し、下側ストッパ11は非押鍵時にハンマ2の質量部材2fと当接して鍵1の上限位置を規制する。
【0018】
シャーシ前部4bにはスイッチ基板8が取り付けられ、スイッチ基板8上にはスイッチ部3が設けられている。スイッチ部3は、ハンマ2のスイッチ駆動部2eに対向して各ハンマ2毎に設けられている。スイッチ部3は、接点時間差タイプの3メイク式タッチレスポンススイッチであり、鍵1の押鍵動作を検出する。
【0019】
図2は、スイッチ基盤8上に設けられたスイッチ部3の拡大断面図であり、同図に示すように、スイッチ部3は、第1スイッチ(SW)3a、第2スイッチ(SW)3bおよび第3スイッチ(SW)3cによって構成されている。
【0020】
なお、本実施の形態では、スイッチ部3として、3メイク式タッチレスポンススイッチを採用したが、これに限らず、図3に示すように、4メイク式タッチレスポンススイッチを採用するようにしてもよいし、5メイク以上のものを採用してもよい。さらに、スイッチに限らず、押鍵状態に応じた信号を出力するものであればどのようなものであってもよい。具体的には、押離鍵時に鍵1に加えられた圧力を検出するピエゾセンサを挙げることができる。
【0021】
また、本実施の形態の電子鍵盤楽器の一つの特徴は、後述するように、鍵1の離鍵時に、アコースティックピアノ(以下、「実ピアノ」と言う)であれば弦がダンパ材に触れるであろう位置を分岐点として楽音制御することにある。したがって、演奏者は、鍵1の離鍵(または押鍵)時に、この位置を感触によって認識できれば、その楽音制御を積極的に利用することができるので、そのような感触が得られた方が望ましい。
【0022】
図4は、演奏者がこの位置を感触できるように構成した構成例を示す図であり、構成後のハンマ2およびシャーシ水平部4a近傍を拡大した拡大図である。
【0023】
図4に示すように、ハンマ2上に突起部2iを設け、シャーシ水平部4aの端部にネジNで固定した凸条151付き板バネ15を取り付け、この板バネ15の凸条151を押鍵途中で突起部2iに接触させるように構成する。鍵1の押鍵に伴って、突起部2iが板バネ15の表面を接触しながら移動し、突起部2iが凸条151に乗り上げる位置に来ると、演奏者は当擦感またはクリック感を得ることができる。そして、板バネ15の位置または形状を調節することで、この位置を、実ピアノにおいて弦がダンパ材に触れる位置に微調整することもできる。そのために、板バネ15にはネジNに対応した長孔が形成されている。また、上記微調整は、スイッチ部材3,3′の鍵長手方向位置の微変位調整によっても可能である。
【0024】
さらに、本実施の形態では、スイッチ部3は、ハンマ2に設けられたスイッチ駆動部2eで駆動するように構成したが、これに限らず、図5に示すように、鍵1に設けられたスイッチ駆動部1eで駆動するようにしてもよい。
【0025】
図6は、本実施の形態の電子鍵盤楽器の制御機能構成を示すブロック図である。
【0026】
同図に示すように、本実施の形態の電子鍵盤楽器は、音高情報を入力するための鍵盤21と、各種音色を指定するための複数のスイッチからなる音色スイッチ(SW)群22と、音色以外の各種情報を入力するための複数のスイッチからなるその他スイッチ(SW)群23と、装置全体の制御を司るCPU24と、該CPU24が実行する制御プログラムや、各種テーブルデータ等を記憶するROM25と、演奏データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM26と、鍵盤21から入力された演奏データや予め設定された演奏データ等に基づいて楽音波形信号を生成し、この楽音信号波形を音響に変換する音源部27とによって構成されている。
【0027】
なお、本実施の形態では、CPU24、ROM25およびRAM26を、1チップのマイクロコンピュータ(μcom)によって構成しているが、もちろんこれに限らず、CPU24、ROM25およびRAM26を、それぞれ独立して構成するようにしてもよい。
【0028】
図7は、音源部27の詳細な制御機能構成を示すブロック図である。
【0029】
同図に示すように、楽音信号波形を生成するために必要な各種パラメータを記憶する複数の領域からなるバッファレジスタ31には、キーオン時に発生する楽音のソース(第1ソース)を出力する第1ソース出力部32と、この出力された第1ソースのエンベロープを生成する第1エンベロープジェネレータ(EG)33と、キーオフ時に発生する楽音のソース(第2ソース)を出力する第2ソース出力部35と、この出力された第2ソースのエンベロープを生成する第2エンベロープジェネレータ(EG)36とが接続されている。ここで、第1ソースは、グランドピアノの押鍵時から押鍵中(離鍵途中は含まず)に発生する楽音をサンプリングして記録したものであり、第2ソースは、離鍵時のダンピング中に発生する、グランドピアノ楽音をサンプリングして記録したものである。
【0030】
第1ソース出力部32から出力された第1ソースは、乗算器34を介して、第1EG33から出力されたエンベロープと乗算されて合成部38に供給され、第2ソース出力部35から出力された第2ソースも同様に、乗算器37を介して、第2EG36から出力されたエンベロープと乗算されて合成部38に供給される。
【0031】
合成部38は、乗算器34および37からそれぞれ出力された第1および第2ソース、すなわち、そのエンベロープが制御された第1および第2ソースを合成して、チャンネル(CH)累算器39に供給する。また、合成部38から出力された合成波の波高値は、所定タイミングで常時検出されて、バッファレジスタ31の所定領域に記憶される。なお、図示されていないが、乗算器34から出力された、エンベロープの付加された第1ソース波形の波高値も、所定タイミングで常時検出されて、バッファレジスタ31の所定領域に記憶される。このようにして記憶された各波高値は、後述する図13のフローチャート中の処理(ステップS35およびS33の処理)で使用される。
【0032】
なお、ブロック32〜38の各処理は、本実施の形態では、発音チャンネル毎の時分割処理によってなされている。もちろん、製造コストを問題にしなければ、これに限らず、発音チャンネル毎にブロック32〜38を1組ずつ設けるようにしてもよい。
【0033】
図8は、合成部38から出力される、ある発音チャンネルの合成波の一例を示す図であり、キーオンからキーオフされて消音に至るまでに出力される楽音波形が示されている。
【0034】
同図において、キーオン中は、第1ソースの楽音波形が第1ソース出力部32から出力されるとともに、第1EG33からは、値1のエンベロープ波形E1が出力され、第2ソース出力部35および第2EG36からは信号波形が出力されないので、合成部38からは、第1ソースの楽音波形がそのまま出力される。
【0035】
このキーオン状態からキーオフになると、第1ソース出力部32からは継続して第1ソースの楽音波形が出力されるものの、第1EG33から出力されるエンベロープ波形E1のレベルが線形的に減衰して行き、さらに、第2ソース出力部35からは第2ソースの楽音波形が出力されるとともに、第2EG36から出力されるエンベロープ波形E2が線形的に増大して行くので、合成部38からは、第1ソースの楽音波形から第2ソースの楽音波形にクロスフェードして行く波形が出力される。
【0036】
そして、クロスフェードが完了すると、第1EG33から出力されるエンベロープ波形E1のレベルが“0”となり、第2EG36から出力されるエンベロープ波形E2のレベルが“1”となるため、合成部38からは、第2ソースの楽音波形がそのまま出力されることになる。第2ソースの楽音波形は、その波高値が徐々に減衰していく特性を備えているため、第2EG36から出力されるエンベロープ波形E2のレベルが“1”のままであっても、所定時間後自然に消音する。
【0037】
図7に戻り、CH累算器39は、合成部38から出力された、発音チャンネル毎の合成波形を全発音チャンネルに亘って累算し、累算後のデジタル楽音信号波形を、デジタル信号をアナログ信号に変換するDAC(Digital-to-Analog Converter)40に供給する。DAC40から出力されたアナログ楽音信号波形は、アンプやスピーカ等からなるサウンドシステム41に供給されて音響に変換される。
【0038】
以上のように構成された電子鍵盤楽器が実行する制御処理を、まず図9を参照してその概要を説明し、次に図10〜図16を参照して詳細に説明する。
【0039】
図9は、鍵ストロークにおけるスイッチ部3の第1〜第3SW3a〜3cのオン位置(タイミング)を示す図である。なお、同図には、前記図3に示した4メイク式タッチレスポンススイッチを採用した場合の第4SW3dのオン位置も記載されている。
【0040】
図9に示すように、実ピアノや電子鍵盤楽器では、鍵1は、離鍵位置から最も深い押鍵位置に至るまで上下方向に最大10mm程度の変位をするものであり、本実施の形態の電子鍵盤楽器でも、その仕様に沿って構成されている。鍵ストロークに従って、まず第3SW3cがオンし、次に第2SW3bがオンし、最後に第1SW3aがオンする。
【0041】
押鍵を開始して、初めて第3SW3cがオンする(第3SW3cのオンイベントが発生する)と、発音チャンネルの空きチャンネルを検索して発音を準備する。続いて、第2SW3bがオンする(第2SW3bのオンイベントが発生する)と、キーオンベロシティを規定するための時間(キーオン時間)の計時を開始する。そして、第1SW3aがオンする(第1SW3aのオンイベントが発生する)と、上記時間の計時を停止し、この計時された時間、すなわち第2SW3bがオンしてから第1SW3aがオンするまでの時間に基づいて、たとえばテーブルデータ(図15参照)を検索することによりキーオンベロシティを決定する。このキーオンベロシティを、押鍵鍵に対応するキーコード、前記検索された空きチャンネルのチャンネル番号およびキーオン等のデータとともに、音源部27に送出すると、音源部27は、決定されたキーオンベロシティの、押鍵鍵に対応する音高の楽音を発生する。
【0042】
次に、この状態から鍵1が離鍵方向に操作され、第2SW3bがオフした(第2SW3bのオフイベントが発生した)後、第3SW3cがオフしない(第3SW3cのオフイベントが発生しない)で、再度第2SW3bおよび第3SW3cの順にオンすると、上述のようにして、再度キーオンベロシティが決定され、音源部27から押鍵鍵に対応する音高の楽音が発生する。ただし、この場合には、楽音を発生させるための発音チャンネルとして、直前に割り当てられたチャンネルとは異なるチャンネルが割り当てられる。つまり、本実施の形態では、キーオフがなされるまで、全発音チャンネルを開放している。このため、実ピアノで言うところの、ダンパペダルを踏み込んだまま、連打したときのような楽音効果に類似する楽音効果を得ることができる。実際には、実ピアノでは、ダンパペダルを踏み込んだまま、押鍵を繰り返すと、全弦が打弦のピッチで振動するので、広がり感のある楽音効果となる。これに対して、本実施の形態の電子鍵盤楽器では、同一ピッチの楽音が複数鳴っていることになる。
【0043】
また、キーオフ位置、つまり本実施の形態では第3SW3cがオフされる位置まで鍵1を完全に戻さなくても楽音を発生させることができるので、演奏曲の速いパッセージ部分を速やかに演奏(繰り返し速押鍵)することができる。
【0044】
一方、第2SW3bがオフした後、鍵1がさらに離鍵方向に操作されて、第3SW3cがオフすると、音源部27に対して、前記第2ソース(図8参照)の楽音の読み出しを開始させ、現在発生中の楽音、つまり前記第1ソースの楽音から第2ソースの楽音にクロスフェードして行くように指示する。そして、第3SW3cがオフする位置を、実ピアノの鍵ストロークのダンパ用フェルトが弦に触れる位置と等価になるように設定することで、本実施の形態の電子鍵盤楽器を演奏したときの演奏感覚は、実ピアノ、特にグランドピアノの演奏感覚により近づくことになる。
【0045】
さらに、スイッチ部3として、4メイク式タッチレスポンススイッチを採用した場合には、3メイク式タッチレスポンススイッチを採用した場合の上記制御処理に加え、第4SW3dがオンしてから第3SW3cがオンするまでの区間内を、実ピアノでの離鍵操作時に弦がダンパ材に触れる度合いを変更して、弦振動に重畳される高調波を変更する制御区間、いわゆるハーフミュート制御区間にすることができる。具体的には、鍵1を押鍵方向に操作して、第3SW3cがオンしたときに、このオン位置がハーフミュート制御区間の一方の端であることを示すマーカとして、複数ビットからなる所定値(たとえば、11B(ただし、“B”はその前の数字が2進数であることを示す記号であり、以下同様の意味に用いる))を割り当てる一方、鍵1を離鍵方向に操作して、第4SW3dがオフしたときに、このオフ位置がハーフミュート制御区間のもう一方の端であることを示すマーカとして、複数ビットからなる所定値(たとえば、00B)を割り当てる。すると、場合によって、00Bまたは11Bのいずれかの値が得られるので、その得られた値に応じて、ハーフミュートの程度、たとえば弦振動に重畳する高調波の種類を変更することができる。
【0046】
なお、メイク数のより多いスイッチを使用したり、鍵1の操作状態に応じて離散値(または連続値)を数多く出力するセンサを使用したりすることで、さらに、精度よくハーフミュート制御を行うことができる。もちろん、この区間、すなわち、両端にそれぞれ割り当てられた複数ビットからなる各所定値間の値(中間値)を出力可能な区間を、ハーフミュート制御以外の制御に使用するようにしてもよい。たとえば、前記図7の合成部38とチャンネル累算器39との間に、合成部38から出力される合成波形をスライスして出力する波形スライサ部を設け、そのチョップ度合いを、上記中間値出力に応じて制御するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、所定区間の両端を示すマーカとして複数ビットからなる値を割り当てるようにしたので、スイッチを用いた場合であればメイク数に拘わらず、あるいは、鍵1の操作状態に応じて離散値(または連続値)を数多く出力するセンサを用いた場合であれば、その出力値の数に拘わらず、同様の発音システムを適用することができ、したがって、スイッチのメイク数やセンサの出力数が拡張されたとしても、発音システムをそれほど変更しなくてもよいので、開発経費を抑制しながら、より高度化した発音システムに移行して開発を継続させることができる。つまり、共通化システムの一助となる。
【0048】
次に、この制御処理を詳細に説明する。
【0049】
図10および図11は、本実施の形態の電子鍵盤楽器、特にCPU5が実行する押離鍵処理サブルーチンの手順を示すフローチャートである。本押離鍵処理サブルーチンは、メインルーチンに含まれる一処理である。なお、メインルーチンは、本押離鍵処理サブルーチンの他に、初期設定、音色設定およびその他処理等の、通常の電子鍵盤楽器でなされる公知の処理によって形成すればよいため、図示を省略している。
【0050】
図12および図13は、本実施の形態の電子鍵盤楽器、特にCPU5が実行するタイマ割込処理の手順を示すフローチャートである。本タイマ割込処理は、図示しないタイマが、たとえば5μsecを計時する度に発生するタイマ割込信号に応じて起動される。
【0051】
図10〜図13のフローチャートでは、第1〜第3SW3a〜3cのキーイベント(キーオン/オフイベント)が発生したときに主要な処理がなされるように構成されているので、次のように場合分けし、その各場合にどのような制御処理がなされるかを説明する。
(1)第3SW3cのオンイベントが発生したとき
(2)第2SW3bのオンイベントが発生したとき
(3)第1SW3aのオンイベントが発生したとき
(4)発音処理
(5)第1SW3aのオフイベントが発生したとき
(6)第2SW3bのオフイベントが発生したとき
(7)第3SW3cのオフイベントが発生したとき
(8)消音処理
なお、上記(1)〜(8)の各数字は、図10〜図13のフローチャート内に記載の丸1〜丸8の各数字と対応付けられている。
【0052】
(1)第3SW3cのオンイベントが発生したときには、このオンイベントが発生したキーコードKCは未だバッファKEYBUFの領域KCD(図14(a)参照)に登録されていないので、空きチャンネル(CH)を検索し、空きCHが見つかると、そのCHナンバデータを、前記RAM26の所定領域に一時的に保存する(図10のステップS1→S2→S3→S4)。
【0053】
図14は、前記RAM26上に確保されたバッファ領域およびタイマ領域のフォーマットを示す図であり、(a)は、各チャンネル毎の発音情報および消音情報を記憶するためのバッファKEYBUFのフォーマットを示し、(b)は、各チャンネル毎のタッチステートTS(k)およびスイッチS3(第3SW3c)ステートS3(k)を記憶するためのバッファTS&S3BUFのフォーマットを示し、(c)は、各チャンネル毎のキーオン時間を計測するためのソフトウェアカウンタ領域のフォーマットを示す図である。
【0054】
図14(a)において、バッファKEYBUFは、16個の発音チャンネル(0〜15CH)それぞれに対して、キーコードデータを格納するための領域KCDと、キーイベント種類データを格納するための種類領域と、キーオンベロシティデータを格納するための領域Von(n)と、EGレートデータを格納するための領域EGレートとにより構成されている。
【0055】
キーイベント種類データとは、キーオンイベントであるかキーオフイベントであるかを区別するためのデータを言い、1ビットデータで表される。すなわち、1:オンイベント;0:オフイベントを示している。
【0056】
図10に戻り、このオンイベントは、図9に示すように、浅いSWのオンイベントであるため、ステップS5→S16(図11)と進み、バッファKEYBUFのCHとして今回検索時の空きCHを指定し、第3SW3cは、本実施の形態では、浅いスイッチのうち最深(そもそも、浅いスイッチは1つのみである)であるので、指定された空きCH(=nとする)に対応した、バッファKEYBUFのnCHに、キーイベントのキーコードおよびキーイベント種類を書き込み、バッファTS&S3BUFのスイッチS3(第3SW3c)の状態(以下、「S3(n)」という)を格納する領域S3(n)に値11Bを書き込む(ステップS17→S18)。
【0057】
図14(b)において、バッファTS&S3BUFは、16個の発音チャンネル(0〜15CH)それぞれに対して、タッチステートTS(k)を格納するための領域と、スイッチS3(第3SW3c)ステートS3(k)を記憶するための領域とにより構成されている。
【0058】
タッチステートTS(k)は、図14(b)に示すように、00B,01B,10Bおよび11Bの4種類の値を採り、
TS(k)=00B:楽音が発生していない状態
TS(k)=01B:第2SW3bがオンしている状態
TS(k)=10B:楽音が発生された後、第3SW3cがオフしている状態
TS(k)=11B:第1SW3aがオンしている状態
をそれぞれ示している。
【0059】
スイッチS3ステートS3(k)は、図14(b)に示すように、00Bおよび11Bの2種類の値を採り、
S3(k)=00B:第3SW3cがオフしている状態
S3(k)=11B:第3SW3cがオンしている状態
をそれぞれ示している。
【0060】
なお、スイッチ部3として、4メイク式タッチレスポンススイッチを採用した場合には、スイッチS3ステートS3(k)は、
S3(k)=00B:第4SW3dがオフしている状態
S3(k)=11B:第3SW3cがオンしている状態
をそれぞれ示している。
【0061】
(2)第2SW3bのオンイベントが発生したときには、このオンイベントが発生したキーコードKCは既にバッファKEYBUFの領域KCDに登録されているので、空きCHを検索せずに、そのCHナンバデータを一時的に保存する(ステップS1→S2→S4)。そして、このオンイベントは、図9に示すように、深いSWのオンイベントであるため、ステップS5→S6→S7と進み、さらに、第2SW3bのものであるため、ステップS7→S9と進み、第3SW3cオン時のCH(n)に対して、バッファTS&S3BUFの領域TS(n)に値01Bを入れる(ただし、この処理は、再押鍵でない場合の処理であり、再押鍵の場合の処理については、後述する)。これにより、図12のフローチャートにおいて、ステップS21→S22→S23→S24と処理が進むので、nCHのカウンタ領域Ton(n)でのカウンタ動作が開始される。すなわち、nCHのキーオン時間の計測が開始される。
【0062】
(3)第1SW3aのオンイベントが発生したときには、ステップS7までは、上記(2)の場合と同様の処理を行い、このオンイベントは第1SW3aのものであるため、ステップS7→S8と進み、バッファTS&S3BUFの領域TS(n)に値11Bを入れる。
【0063】
(4)発音処理のときとは、TS(n)が値11Bに切り替わったときであるので、図12のステップS21→S22→S23→S25(図13)→S26→S27と進み、このとき、カウンタ領域Ton(n)には、TS(n)に値01Bが入っている間にカウントされた値が格納されているため、その値をTBL1(図15参照)換算した後に、バッファKEYBUFの領域Von(n)に入力し、カウンタ領域Ton(n)を“0”でリセットし、ステップS29およびS30で、誤動作押鍵を除外し、標準押鍵に対してステップS31の処理に進ませる。
【0064】
図16は、タッチステートTS(n)&スイッチS3ステートS3(n)の状態遷移を示す図である。
【0065】
同図において、標準押鍵とは、第1〜第3SW3a〜3cのすべてからオン/オフイベントを生ずるような押鍵を言い、具体的には、ポジションP1からポジションP15へ至る押鍵である。この標準押鍵では、ポジションP14から見て2つ前のイベントは、第3SW3cのオンイベントである。また、再押鍵とは、第1および第2SW3a,3bのみからオン/オフイベントを生ずるような押鍵を言い、具体的には、ポジションP15からポジションP21へ至る押鍵である。この再押鍵では、ポジションP20から見て2つ前のイベントは、第2SW3bのオフイベントである。さらに、誤動作押鍵とは、第1SW3aのみからオン/オフイベントを生ずるような押鍵を言い、具体的には、ポジションP30からポジションP34へ至る押鍵である。この誤動作押鍵では、ポジションP33から見て2つ前のイベントは、第1SW3aのオンイベントである。
【0066】
図13に戻り、ステップS31では、バッファKEYBUFのCHとして2つ前イベント時と同一CHを指定し、ステップS32では、その指定したCHに対して発音処理を行う。発音処理では、具体的には、バッファKEYBUFの指定されたCHの全データ、すなわちCHナンバ、KCD、キーオンおよびイニシャルタッチ(IT)としてのVon(n)と、EGレートデータ(=1)を音源部27に送出する。
【0067】
(5)第1SW3aのオフイベントが発生したときおよび(6)第2SW3bのオフイベントが発生したときには、実質的には何もせずに、押離鍵処理を終了する。
【0068】
(7)第3SW3cのオフイベントが発生したときには、図10のステップS5→S10(図11)→S11→S12と進み、バッファKEYBUF中の同一KCDを有するCHと同一CHを指定し、EGレートデータ(<1)を音源部27に送信し、CHに対応したキーオフ時用波形(第2ソース波形)の読み出し開始を指示し(ステップS13)、読み出されるキーオン波形およびキーオフ波形に対するクロスフェード処理の開始を指示し(ステップS14)、TS(n)に値10Bを入れるとともに、S3(n)に00Bを入れる(ステップS15)。
【0069】
(8)消音処理のときとは、TS(n)=10Bかつ(&)S3(n)=00Bのときであるので、図12のステップS21→S22→S23→S25(図13)→S33と進み、音源部27側のCH(n)の第1ソースの波高値が続けて0レベルのときには、キーオン波形の読み出し停止を指示し(ステップS33→S34)、音源部27側の音源全体のCH(n)が続けて0レベルのときには、バッファKEYBUFをすべてクリアする(ステップS35→S36)。
【0070】
次に、完全キーオフにならない場合の再押鍵、すなわち、上記(4)の発音処理後、第1SW3aおよび第2SW3bのオフイベントが発生し(上記(5)および(6))、その後、再度第2SW3bおよび第1SW3aのオンイベントがこの順序で発生した(上記(2)および(3))押鍵について、前記図10〜図13および図16を用いて説明する。
【0071】
この完全キーオフにならない場合の再押鍵は、図16では、ポジションP18からポジションP20に至る押鍵に相当する。その動作を、ポジションP18の少し前のポジションP10から説明する。ポジションP10からポジションP14に押鍵が進むと、図12および図13のタイマ割込処理における、上記(4)の発音処理(ステップS27〜S32)が実行され、ポジションP13からポジションP14に至るまでに計時されたキーオン時間に応じたキーオンベロシティの楽音が、検索された空きCHで発音される。その後、ポジションP15から、ポジションP17を経過して、すなわち第2SW3bのオフイベントの発生を経過して、ポジションP19に進むと、上記発音中のCHと異なる空きCHを検索するとともに、再押鍵に対するキーオン時間の計時を開始し(ステップS9)、続いてポジションP20に進むと、ポジションP19からポジションP20に至るまでに計時された、再押鍵に対するキーオン時間に応じたキーオンベロシティの楽音が、上記検索された空きCHで発音される。
【0072】
ここで、上記ステップS9では、図10に示すように、再押鍵か否かを判断し、再押鍵の場合には、新たに検索した空きCH(n)に対して、そのタッチステートTS(n)を値01Bとしている。つまり、新たな空きCHに、当該楽音を発音割り当てするようにしている。これは、図13のステップS31およびS32で、現イベントの2つ前のイベントと同一CHを指定して、当該楽音を発音割り当てするようにしているので、再押鍵では、同一楽音が同一CHに割り当てられてしまい、上述のように、再押鍵が繰り返される度に、同一楽音が順次他のCHに割り当てられて行かないからである。これに対して、ステップS9を上記処理のように構成した場合には、再押鍵されると、当該楽音は他の空きCHに発音割り当てされるため、再押鍵が繰り返される度に、同一楽音が順次他のCHに割り当てられて行く。なお、再押鍵か否かの判断は、図13のステップS29での判断と同様に、同一CHの2つ前イベントが第2SW3bのオフイベントであるか否かを判断し、このイベントが第2SW3bのオフイベントである場合に、再押鍵と判断すればよい。図16において、ポジションP20、すなわち再押鍵時から見て、同一CHの2つ前イベント、つまりポジションP17のイベントは、第2SW3bのオフイベントだからである。
【0073】
このような再押鍵では、完全キーオフとはならない、すなわち第3SW3cのキーオフイベントが発生しないので、ポジションP19からポジションP20に至る押鍵等の再押鍵時には、図10の丸2または丸3のルートの処理がなされ、図11のステップS12からステップS15までのキーオフ処理はなされない。その結果、図13のステップS36の処理、すなわちバッファKEYBUFのオールクリア処理はなされない。つまり、完全な消音処理はなされないので、再押鍵される毎に、同一ピッチの楽音が異なったCHに順次発音割り当てされて行き、前述したように、同一ピッチの楽音が複数鳴ることになる。したがって、実ピアノで言うところの、ダンパペダルを踏み込んだまま、連打したときのような楽音効果に類似する楽音効果を得ることができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、上記図11の押離鍵処理のステップS17で、第3〜第nSWのうちの最深SWでないもののオンイベントが発生したとしても、何の処理も行わないようにしたが、これに限らず、ステップS102を追加し、所定のオンイベント間隔を計時して(たとえば、図12および図13のタイマ割込処理中で行うようにすればよい)、その時間を、イニシャルタッチを決定する別の情報として用いるようにしてもよい。別の情報の具体例としては、発音のための準備情報(かまえ情報)が考えられる。このように、別の情報をも考慮してイニシャルタッチを決定できるようになると、イニシャルタッチが同じでも、別の情報に応じて、音色(高調波含有分)を変更したり、音量を変更したりすることができ、変化に富んだアーティキュレーションが可能となる。これにより、音楽の表現方法が増大する。
【0075】
また、本実施の形態では、上記図11の押離鍵処理のステップS11で、第4SW3d以降のスイッチのオフイベントが発生したとしても、何の処理も行わないようにしたが、これに限らず、ステップS101を追加して、第3ソースの楽音波形を読み出して再生するようにしてもよい。
【0076】
なお、本実施の形態では、キーオン波形からキーオフ波形に移るときには、クロスフェード処理を行うようにしたが、これに限らず、キーオフが指示されたときには、通常のキーオフ処理、すなわち、キーオン波形の読み出しを終了するとともに発音中の楽音を急速ダンプする処理を行い、これと独立して、キーオフが指示されると、キーオフ波形の読み出しを開始するようにしてもよい。したがって、この場合、キーオフ直後には、キーオン波形とキーオフ波形とが同時に発生していることになる。また、この場合、キーオフ時のキーオン波形およびキーオフ波形の各波高値レベルは同じにしておく必要がある。
【0077】
また、本実施の形態では、キーオン波形からキーオフ波形に切り替わるときに、クロスフェード処理を行いながら切り替わるようにしたが、駆動部材の戻り時の駆動始動位置近傍で第2の情報の非押鍵位置に最も近いもの(図2の第3SW3cや図3の第4SW3dのオフイベント)を出力したときや、2番目に近いもの(図3の第3SW3cのオフイベント)を出力したときに、前記波形の切り替えが行われるようにし、このとき、クロスフェードさせなくても、キーオン波形はオフ処理をする、すなわち、EGによって強制的に減衰させるとともに、キーオフ波形はオン処理をする、すなわち、キーオンで楽音が立ち上がる処理をするだけでも、違和感なく楽音を発生から消音までスムーズに制御できる。
【0078】
このように、本実施の形態では、離鍵時(キーオフ時)に、キーオン波形からキーオフ波形に切り替わるようにしたが、この鍵ストローク位置は、アコースティック楽器において離鍵時にダンパ用フェルトが弦に触れる位置(すなわち、弦振動を制止し始める離鍵操作ストローク位置)に一致させることが望ましい。
【0079】
アコースティック楽器(グランドピアノ等)において、上記位置は、鍵自由端位置に換算して、押離鍵全ストロークがほぼ10mmであり、鍵復帰位置(鍵を操作していない状態)を0mmとすると、この鍵復帰位置から4mm程度が標準的であるが、整調状態によって若干異なることもある。このことを踏まえて、本実施の形態では、鍵復帰位置から3〜6mmの範囲に、上記離鍵時にキーオン波形からキーオフ波形に切り替わる鍵ストローク位置を設定することが望ましい。もちろん、この鍵ストローク位置をユーザが適宜設定可能としてもよい。
【0080】
図17は、複数ビットで構成したスイッチS3ステートを発生させた場合に、そのスイッチS3ステートをキーオフ波形制御に適用した一例、およびその制御方法を示す図である。
【0081】
同図(a)に示すように、図示例の装置は、本実施の形態の電子鍵盤楽器と同様に、キーオン波形発生部52で発生させたキーオン波形と、キーオフ波形発生部55で発生させたキーオフ波形とを、合成部53で合成するようにしたものである。ただし、キーオフ波形発生部55と合成部53との間に波形スライサ56を設け、波形スライサ56が、キーオフ波形発生部55から発生されたキーオフ波形をスライスするときのチョップ度合いを、スイッチS3ステート発生部54から発生された複数ビットのスイッチS3ステートに応じて変更するようにした点が異なっている。なお、スイッチS3ステートは、キーオフ波形発生部55がキーオフ波形を発生するときのトリガ信号(情報)としても機能する。たとえば、スイッチS3ステートの複数ビットのいずれか1ビットをトリガ信号として使用したり、スイッチS3ステートの値が所定値に切り替わった時点をトリガ時点と判断するようにしたりすればよい。
【0082】
たとえば、キーオフ波形発生部55から、同図(b)に示すようなキーオフ波形が発生されたとして、波形スライサ56は、このキーオフ波形を、同図(c)に示すようにスライスして出力する。すなわち、波形スライサ56では、スイッチS3ステート発生部54から発生されたスイッチS3ステートの値(複数ビットからなる値)に応じて、チョップ度合いSL0が変更され、このチョップ度合いSL0で、入力されたキーオフ波形がスライスされて出力される。つまり、スイッチS3ステートの値に応じて、キーオフ波形に含まれる高調波の成分が増加する。
【0083】
このようにして、上記構成によれば、スイッチS3ステートに基づいて、前記ハーフミュート制御、すなわち実ピアノでの離鍵操作時に弦がダンパ材に触れる度合いを変更して、弦振動に重畳される高調波を変更する制御を行うことが可能になる。
【0084】
同図(d)は、波形スライサ56がキーオフ波形をスライスする他の方法を示す図であり、時刻が進むに従って減衰するキーオフ波形に対して、そのスライス範囲を決定するスライス曲線SL1〜SL4も、時刻が進むに従って減衰するようにしている。そして、スライス曲線SL1〜SL4のうちいずれを取って、キーオフ波形のスライス処理に用いるかを、スイッチS3ステートの値に応じて決定するようにしている。同図(d)の方法でも、スイッチS3ステートの値に応じて、キーオフ波形に含まれる高調波の成分が増加するので、前記ハーフミュート制御を行うことができる。
【0085】
このように、スイッチS3ステートを複数ビットで構成し、その複数の値(状態)を、キーオフ波形をスライスするときのチョップ度合いに対応させれば、多段階、ひいては無段階に、キーオフ時の音色を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子鍵盤楽器の縦断面図である。
【図2】図1のスイッチ基盤上に設けられたスイッチ部の拡大断面図である。
【図3】4メイク式タッチレスポンススイッチを採用したときのスイッチ部の拡大断面図である。
【図4】鍵の離鍵時に、実ピアノであれば弦がダンパ材に触れるであろう位置を、演奏者が感触できるように構成した一例を示す図である。
【図5】スイッチ部を駆動する駆動方法の他の例を示す図である。
【図6】本実施の形態の電子鍵盤楽器の制御機能構成を示すブロック図である。
【図7】図6の音源部の詳細な制御機能構成を示すブロック図である。
【図8】図7の合成部から出力される、ある発音チャンネルの合成波の一例を示す図である。
【図9】鍵ストロークにおけるスイッチ部の第1〜第3SWのオン位置(タイミング)を示す図である。
【図10】図6の電子鍵盤楽器、特にCPUが実行する押離鍵処理サブルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図11】図10の押離鍵処理サブルーチンの続きの手順を示すフローチャートである。
【図12】図6の電子鍵盤楽器、特にCPUが実行するタイマ割込処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図12のタイマ割込処理の続きの手順を示すフローチャートである。
【図14】図6のRAM上に確保されたバッファ領域およびタイマ領域のフォーマットを示す図である。
【図15】キーオン時間からキーオンベロシティへの変換テーブルの一例を示す図である。
【図16】タッチステートTS(n)&スイッチS3ステートS3(n)の状態遷移を示す図である。
【図17】複数ビットで構成したスイッチS3ステートを発生させた場合に、そのスイッチS3ステートをキーオフ波形制御に適用した一例、およびその制御方法を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1 鍵(駆動部材)、 2 ハンマ(駆動部材)、 3 スイッチ部(出力部材、押鍵検出手段)、 24 CPU(制御手段、押鍵検出手段、割り当て手段)、 26 RAM、27 音源部(発音手段)




 

 


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