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発明の名称 電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17525(P2007−17525A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−196569(P2005−196569)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
代理人 【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
発明者 藤井 順治
要約 課題
呼気の方向を良好に検知して、再生される演奏音の音高を安定させることができる電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造を提供すること。

解決手段
呼気の圧力を検知して電気信号を出力する変換装置16と、この変換装置16に呼気を案内するとともに、演奏者Pの唇P1,P2から離れて配置される案内部材13とを備えて電気吹奏楽器10が構成されている。案内部材13には、位置センサ28,28が設けられている。一方の位置センサ28は、上唇P2の位置を検出可能に設けられている一方、他方の位置センサ28は、下唇P1の位置を検出可能に設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
呼気の圧力を検知して電気信号を出力する変換装置と、この変換装置に前記呼気を案内するとともに、演奏者の唇から離れて配置される案内部材とを有する電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造であって、
前記案内部材には、前記唇の位置を検出可能な位置センサが設けられていることを特徴とする電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造。
【請求項2】
前記位置センサは複数設けられ、少なくとも一つの位置センサは、上唇の位置を検出可能に設けられている一方、それ以外の少なくとも一つの位置センサは、下唇の位置を検出可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造。
【請求項3】
前記案内部材は、唇側に開放部を有する孔を備え、当該孔内に前記位置センサが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造。
【請求項4】
前記孔の開放部側には、案内部材の形成面と略同一面上に外面が位置するカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項3記載の電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造に係り、更に詳しくは、演奏者の吹奏状態を検知することができる電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、演奏操作を入力として電気信号を出力し、当該出力に基づいて電気音を再生可能な種々の電気楽器が普及するに至っている。ここで、例えば、フルートと同様の吹奏操作により入力を行える電気楽器を構成する場合、その呼気を検知する構造として特許文献1に開示されるタイプのものが知られている。
【0003】
特許文献1において、フルートタイプの電気楽器は、頭部管を含む管体と、頭部管に設けられた吹き口と、この吹き口の周辺であって頭部管の内面側に設けられたセンサとを備えている。センサは、頭部管の周方向に沿って複数設置され、演奏者の呼気の圧力及び呼気の吹き出し方向を検知する。すなわち、演奏者が吹き口を介して吹奏したときに、各センサが呼気の圧力に応じた検知信号をそれぞれ出力すると同時に、各検知信号を比較制御して各センサ間における呼気の圧力の相違も検知し、この圧力の相違から呼気の方向を検知して当該方向の違いにより再生される音高を調整するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−199919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構造にあっては、アコーステッィクタイプのフルートと同様に演奏すると、センサによって呼気の検知を行うことが困難である。これは、一般に、フルートの演奏に伴う呼気の圧力変化は小さい他、開放空間に息を吹き付けるので、センサに達する呼気の圧力が吹き出し時より低下し易くなることに起因する。従って、各センサ間における圧力の相違も小さくなり、ひいては、呼気の方向を検知することが困難となって音高調整を安定して行い難くなるという不都合を招来する。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、呼気の方向を良好に検知して、再生される演奏音の音高の安定化を図ることができる電気吹奏楽器の吹奏情報の入力構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、呼気の圧力を検知して電気信号を出力する変換装置と、この変換装置に前記呼気を案内するとともに、演奏者の唇から離れて配置される案内部材とを有する電気吹奏楽器の入力構造であって、
前記案内部材には、前記唇の位置を検出可能な位置センサが設けられる、という構成が採用されている。
【0008】
本発明において、前記位置センサは複数設けられ、少なくとも一つの位置センサは、上唇の位置を検出可能に設けられている一方、それ以外の少なくとも一つの位置センサは、下唇の位置を検出可能に設けられることが好ましい。
【0009】
更に、前記案内部材は、唇側に開放部を有する孔を備え、当該孔内に前記位置センサが設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【0010】
また、前記孔の開放部側には、案内部材の形成面と略同一面上に外面が位置するカバー部材が設けられる、という構成を採用するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のように呼気の圧力を検知することなく、唇の位置を検知することで、演奏時における呼気の方向を安定して検出することができる。これを更に詳述すると、例えばフルートにあっては、音高調整すべく呼気の方向を変化させるときに必然的に唇の位置が変化するので、この唇の位置を検知することで、呼気の圧力の強さに拘わらず必要とする音高の情報を得ることができ、再生される音の高さを安定させることが可能となる。
【0012】
また、上唇及び下唇の位置をそれぞれ検知することにより、呼気の方向をより正確に検知することができる。
【0013】
更に、案内部材の孔内に位置センサを設けたから、位置センサを目立ち難くしたり、位置センサが案内部材の面から突出しないようにして当該位置センサを保護することができる。また、例えば、位置センサが発光素子及び受光素子を備えて位置検出を行う場合、孔によって発光を絞ることができ、唇からの反射光が他の位置センサに受光されることを回避して位置検出の安定化を達成することが可能となる。
【0014】
また、孔の開放部にカバー部材を設けることにより、位置センサをより良く保護することができる。しかも、案内部材の形成面とカバー部材の外面が略同一面上に位置するので、呼気の流れが不用意に乱れることを抑制でき、変換装置による呼気の圧力検知も安定させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態に係る電気吹奏楽器を一部断面視した正面図が示され、図2には、図1の部分右側面図が示されている。これらの図において、電気吹奏楽器10は、いわゆるアコースティックタイプのフルートと略同様の構造をなすフルート形成体11と、このフルート形成体11に設けられたリッププレート12の近傍に位置する案内部材13と、この案内部材13にホース等からなる流通路15を介して接続された変換装置16と、案内部材13とフルート形成体11とを連結する連結部17とを備えて構成されている。
【0017】
前記フルート形成体11は、円筒状若しくは円柱状に形成された頭部管形成体19と、この頭部管形成体19の図2中右側に位置する図示しない主管及び足部管形成体とを備えて構成されている。前記主管及び足部管形成体は、頭部管形成体19と略同一軸線上に沿って延びる円筒状若しくは円柱状に形成されている。また、主管及び足部管形成体は、後述する制御装置に接続される複数のキー(図示省略)を外周面側に備えており、各キーは演奏者Pの指先により押圧等の操作できるようになっている。
【0018】
前記リッププレート12は、頭部管形成体19の図1中上部側から演奏者P側に向かって当該頭部管形成体19の外周面に沿うように設けられ、演奏時に演奏者Pの下唇P1及びその周辺が接触するようになっている。リッププレート12は、アコースティックタイプのフルートに用いられるリッププレート、すなわち、平面視で小判状をなすプレートの図1中二点鎖線L1で示す領域で切り欠いたような形状を備えて前記案内部材13に非干渉に設定されている。なお、図1のように、リッププレート12及び頭部管形成体19に対して同図中二点鎖線L2で示す位置に、フルートの唄口と同様の位置及び形状をなす穴若しくは切欠を形成してもよい。
【0019】
前記案内部材13は、メガフォン状に設けられた本体筒20と、この本体筒20の一端側すなわち図1中右上端側に形成された第1の開口部21と、本体筒20の他端側すなわち同図中左下端側に形成された第2の開口部22とを備え、演奏者Pの呼気を変換装置16に案内可能に設けられている。
【0020】
前記本体筒20は、第1の開口部21から第2の開口部22に向かうに従って次第に開口面積が小さくなる先細形状を備えている。本体筒20は、その軸線方向が演奏者Pの呼気の吹き出し方向F(図1中左斜め下方向)に沿うように配置され、第1の開口部21に吹き込まれる呼気が第2の開口部22を通過するようになっている。また、本体筒20の軸線長さC1は、第1の開口部21の最大内径D1より長く設定されており、特に限定されるものでないが、前記最大内径D1の約3倍に設定される。
【0021】
ここで、本体筒20は、図3にも示されるように、第1の開口部21側の外周に沿う領域に形成された肉厚部24と、当該肉厚部24の形成領域における図1中上下両側に形成された上部孔25及び下部孔26とを備えている。上部孔25は、上唇P2側に向けられた開放部25Aを備えている一方、下部孔26は、下唇P1側に向けられた開放部26Aを備えている。各開放部25A,26A側には、薄板状をなす透明なカバー部材27,27がそれぞれ設けられ、これらカバー部材27,27の外面は、本体筒20の内周面と略同一面上に位置する形状となっている。これにより、カバー部材27の外面において、呼気の流れが意図することなく乱れることを抑制でき、且つ、上部孔25及び下部孔26の内部に呼気が流れ込むことを回避可能となる。
【0022】
前記上部孔25及び下部孔26の内側であってカバー部材27より奥寄りに入り込んだ位置には、位置センサ28,28がそれぞれ設けられている。上部孔25内の位置センサ28は、演奏者Pの上唇P2の位置を検出可能に設けられている一方、下部孔26内の位置センサ28は、下唇P1の位置を検出可能に設けられている。各位置センサ28としては、特に限定されるものでないが、近赤外線を発光し、下唇P1若しくは上唇P2に照射する発光素子と、下唇P1若しくは上唇P2から反射した近赤外線を受光する受光素子とを備えたタイプのものが例示できる。なお、各位置センサ28,28は、後述する制御装置に接続される。
【0023】
前記変換装置16は、ここでは、詳細な構造を省略するが、気圧センサにより構成されており、第2の開口部22を通過して流れ込む呼気の圧力を検知する機能と、検知した圧力に応じて変化する電気信号を出力する機能とを備えている。変換装置16から出力された電気信号は、所定の配線構造を介して接続された制御装置30に入力される。
【0024】
前記制御装置30は、変換装置16の電気信号を電気音として再生すべく所定処理し、当該処理した信号をアンプやスピーカ等を含む音源装置(図示省略)に出力可能に設けられている。制御装置30としては、積分回路及びローパスフィルター回路を備えたものが例示でき、積分回路にて変換装置16の電気信号を風速情報に変換した信号を出力し、その信号をローパスフィルター回路にて安定した吹奏風速に近いパラメータとして検出する。具体的には、積分回路は、吹奏の立ち上がりに強く、以後弱くなっていく圧力情報を含む電気信号を集積することにより、立ち上がりは強くないが以後一定に近い安定した風速情報に擬する機能を発揮する。一方、ローパスフィルター回路は、高周波的な信号成分をカットして直流的な安定信号のみを通過させる機能を発揮する。
また、制御装置30は、位置センサ28,28から出力された電気信号を増幅してアナログ信号とし、この信号をCPUでデジタル信号化した後、所定の計算ルーチンを経由して位置情報を得られるように設けられている。
なお、制御装置30は、前述のフルート形成体11の各キーからの信号も併せて制御可能に設けられ、前記再生装置からの再生音の音高や音程の調整も行えるようになっている。
【0025】
前記連結部17は、頭部管形成体19を貫通するとともに、リッププレート12の図2中左右両側にそれぞれ位置する一対の保持部材32,32と、これら保持部材32,32の同図中下部間を連結するとともに、頭部管形成体19と略平行に延びるバー33と、このバー33に支持されて図1中左上方向に湾曲しながら延びるレール部材34と、このレール部材34の延出方向に沿って移動可能なスライダ36と、このスライダ36に支持されるとともに、前記案内部材13を図1中紙面直交方向両側から挟み込む挟持部材37とを備えている。レール部材34とスライダ36との間には、図示しないストッパが設けられ、このストッパにより、スライダ36がレール部材34に沿う任意の位置で移動規制される。従って、レール部材34及びスライダ36を介して案内部材13の位置及び向きを変えることができ、ひいては、案内部材13に対して吹奏し易く、且つ、呼気が案内部材13内に良好に吹き込まれるよう、頭部管形成体19や演奏者Pの唇と案内部材13との相対位置や相対角度を調整可能となる。
【0026】
以上の構成において、電気吹奏楽器10を演奏する場合、案内部材13の位置及び向きを調整した後、フルートと同様に吹奏を行えばよい。具体的には、リッププレート12に下唇P1及びその周辺を当接し、下唇P1及び上唇P2から案内部材13の第1の開口部21を離した状態で、当該第1の開口部21に向かって下唇P1及び上唇P2間から呼気を吹き込む。これにより、本体筒20の内部、第2の開口部22及び流通路15を経て呼気が変換装置16に集まる。ここで、本体筒20は前述のようなメガフォン状をなすので、本体筒20の内部に呼気が集まるに従って、その圧力が増大することとなり、第1の開口部21の通過時における呼気の圧力より大きい圧力が変換装置16に送出される。そして、増大した圧力を変換装置16が検知して制御装置30に電気信号を出力する。
【0027】
また、電気吹奏楽器10の演奏中、各位置センサ28,28が上唇P2及び下唇P1の位置情報を検知して制御装置30に出力する。制御装置30は、この上唇P2及び下唇P1の位置情報に基づいて、上唇P2及び下唇P1の向きを算出し、この算出結果から所定の判定アルゴリズムを経て演奏者Pが必要とする音高情報が得られる。
【0028】
従って、このような第1実施形態によれば、例えばフルートの演奏のように、呼気の圧力変化が比較的小さい場合であっても、上唇P2及び下唇P1の向きを検知でき、ひいては、呼気の方向を簡単に検出することができる。これにより、呼気の方向に基づく再生音の音高調整を容易且つ安定的に制御することが可能となる。また、位置センサ28が上部孔25及び下部孔26内に配置されるので、それらの発光素子が発する近赤外線の放射放散角度を絞ることができ、位置センサ28におけるセンシングの安定化を図ることが可能となる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については必要に応じて同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0030】
図4には、本発明の電気吹奏楽器10に係る第2実施形態が示されている。この第2実施形態は、第1実施形態に対して上部孔25及び下部孔26の各開放部25A,26Aの向きを変え、各位置センサ28,28の検出する唇P1,P2を変更したものである。
すなわち、上部孔25は、下唇P1側に開放部25Aが向けられ、内部の位置センサ28が下唇P1の位置を検出可能に設けられている。一方、下部孔26は、上唇P2側に開放部26Aが向けられ、内部の位置センサ28が上唇P2の位置を検出可能に設けられている。
これによれば、各位置センサ28,28における発光方向のなす相対角度が大きくなり、上下の位置センサ28,28間において、唇で反射した近赤外線が入れ違いで受光されることを回避でき、下唇P1及び上唇P2の位置をより一層安定的に検出することが可能となる。
【0031】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0032】
例えば、前記実施形態では、フルートに擬した形態や演奏方法を採用したが、これに代えて、バスフルート、アルトフルート、ピッコロ等の吹奏楽器と同様の吹奏により演奏を行える構成としてもよい。
【0033】
また、位置センサ28の設置数は、種々の変更が可能であり、例えば、下唇P1及び上唇P2の位置を検出する位置センサ28を二つずつ設ける等、前記実施形態に比べて位置センサ28を増設したり、二つの位置センサ28のうち、何れか一方を省略した構成としてもよい。但し、少なくとも上下に一つずつ位置センサ28を設けた方が、上下の唇の向きを検出し易くなる点で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係る電気吹奏楽器を一部断面視した正面図。
【図2】図1の部分右側面図。
【図3】図1の要部拡大図。
【図4】第2実施形態に係る電気吹奏楽器の図1と同様の正面図。
【符号の説明】
【0035】
10・・・電気吹奏楽器、13・・・案内部材、16・・・変換装置、25・・・上部孔、25A・・・開放部、26・・・下部孔、26A・・・開放部、27・・・カバー部材、28・・・位置センサ、P・・・演奏者、P1・・・下唇、P2・・・上唇




 

 


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