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発明の名称 モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−244028(P2007−244028A)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
出願番号 特願2006−59483(P2006−59483)
出願日 平成18年3月6日(2006.3.6)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 高橋 俊博
要約 課題
制御安定性を損なうことなくより高精度な断線検出を行うことのできるモータ制御装置を提供すること。

解決手段
断線検出部は、相電流値Ixが所定値Ith以下(Ix≦Ith)、且つ回転数Nが断線判定の対象範囲内(N≦N0)である場合に、電源電圧Vpsが適正(Vps≧Vth)であるにも関わらず、該相に対応するduty指令値αxが所定値Ith及び判定対象範囲を規定する閾値N0に対応する範囲(αLo≦αx≦αHi)にない状態が継続した場合に、断線が発生したものと判定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
モータと電源との間の電力供給経路の途中に設けられ前記モータに駆動電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記モータに通電される実電流値に基づき決定された印加電圧を前記モータに印加すべく前記駆動回路の作動を制御するとともに、前記駆動電力が供給される電力供給線の断線を検出するモータ制御装置であって、
前記制御手段は、前記実電流値が所定値以下、且つ前記モータの回転数が判定対象範囲内である場合に、電源電圧が適正であるにも関わらず、前記印加電圧が前記所定値及び前記判定対象範囲の閾値に対応する範囲にない状態が継続した場合に、前記断線が発生したものと判定すること、を特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記制御手段は、前記印加電圧として該印加電圧を規定する内部指令値を用いること、
を特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記継続の判定は、所定時間内における前記対応する範囲にない状態の積算時間が所定の閾値以上であるか否かにより行われること、を特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のモータ制御装置において、
前記モータは、三相のモータコイルを有するブラシレスモータであって、
前記制御手段は、各相毎に、前記実電流値及び回転数と前記印加電圧との関係に基づく前記断線の判定を行うこと、を特徴とするモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用パワーステアリング装置として、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)が広く採用されるようになっている。そして、多くの場合、そのモータ制御装置には、電力供給線(駆動電力を供給する駆動回路とモータとの間の動力線及びモータコイル)の断線を検出する断線検出機能が備えられている。
【0003】
即ち、電力供給線に断線が生ずることでモータは停止或いは安定的にトルクを発生できない状態となり、これに伴う操舵トルクの変化は、操舵フィーリングの悪化を招くこととなる。そこで、このような電力供給線の断線発生をいち早く検出して速やかにフェールセーフを図るべくその監視を行う機能を有しているのである。
【0004】
具体的には、特許文献1に示されるように、従来、多くのモータ制御装置において、こうした電力供給線の断線検出は、電流偏差が適正範囲内にあるか否かにより行われる。即ち、例えば、目標のアシストトルクを発生させるべく電流フィードバックを行うEPSにおいては、断線発生により電力供給線に電流が流れない状態となることで、電流指令値と検出される実電流値との偏差は増大することになる。そして、その電流偏差が通常制御時に取りうる適正範囲を超えた場合には電力供給線に断線が発生したものと判定する。
【特許文献1】特開2000−177610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした電流偏差に基づく断線検出は、その検出精度と通常制御時の安定性との間のトレードオフが問題となる。即ち、いうまでもなく、電流偏差は通常制御時においても存在するため、実電流の追従性が低い場合には、誤検出の発生頻度が高まる傾向にある。従って、断線検出の精度向上を考慮すれば、極力、フィードバックゲインを高く設定して電流応答性を高めることが望ましい。しかし、一方では、電流応答性が高くなるにつれ、よりノイズの影響を受けやすくなるという問題があり、これに起因する制御安定性の低下により異音の発生や操舵フィーリングの悪化を招くおそれがある。このため、上記従来技術では、こうした断線検出精度と制御安定性とのバランスの困難さから断線検出精度を高めることができないのが実情であり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、制御安定性を損なうことなく、より高精度な断線検出を行うことのできるモータ制御装置及び電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータと電源との間の電力供給経路の途中に設けられ前記モータに駆動電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記モータに通電される実電流値に基づき決定された印加電圧を前記モータに印加すべく前記駆動回路の作動を制御するとともに、前記駆動電力が供給される電力供給線の断線を検出するモータ制御装置であって、前記制御手段は、前記実電流値が所定値以下、且つ前記モータの回転数が判定対象範囲内である場合に、電源電圧が適正であるにも関わらず、前記印加電圧が前記所定値及び前記判定対象範囲の閾値に対応する範囲にない状態が継続した場合に、前記断線が発生したものと判定すること、を要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、電流フィードバックゲインによらず、電流指令が少しでも発生する状況でさえあれば、断線の検出が可能である。そして、モータN−T特性に基づいて各閾値を設定することで、誤検出の発生を排除することが可能である。従って、制御安定性を損なうことなく、より高精度な断線検出を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記印加電圧として該印加電圧を規定する内部指令値を用いること、を要旨とする。
上記構成によれば、電圧検出誤差を排除して検出精度の一層の向上を図ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記継続の判定は、所定時間内における前記対応する範囲にない状態の積算時間が所定の閾値以上であるか否かにより行われること、を要旨とする。
上記構成によれば、各センサの検出誤差等、外乱の影響を排除して、より高精度の断線検出を行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記モータは、三相のモータコイルを有するブラシレスモータであって、前記制御手段は、各相毎に、前記実電流値及び回転数と前記印加電圧との関係に基づく前記断線の判定を行うこと、を要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、各相毎に断線検出ができることから、その断線状態に応じた適切なフェールセーフを図ることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御安定性を損なうことなく、より高精度な断線検出を可能とするモータ制御装置及び電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を電動パワーステアリング装置(EPS)に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のEPS1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリングホイール(ステアリング)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により操舵輪6の舵角が変更されるようになっている。
【0015】
EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与するEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御するEPSECU11とを備えている。
【0016】
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、その駆動源であるモータ12がラック5と同軸に配置された所謂ラック型のEPSアクチュエータであり、モータ12が発生するアシストトルクは、ボールねじ機構(図示略)を介してラック5に伝達される。尚、本実施形態のモータ12は、ブラシレスモータであり、EPSECU11から三相(U,V,W)の駆動電力の供給を受けることにより回転する。そして、モータ制御装置としてのEPSECU11は、このモータ12が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
【0017】
本実施形態では、EPSECU11には、トルクセンサ14及び車速センサ15が接続されている。そして、EPSECU11は、これらトルクセンサ14及び車速センサ15によりそれぞれ検出される操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、EPSアクチュエータ10の作動、即ちパワーアシスト制御を実行する。
【0018】
次に、本実施形態のEPSの電気的構成について説明する。
図2は、本実施形態のEPSの制御ブロック図である。同図に示すように、EPSECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン17と、モータ12と車載電源(バッテリ)16との間の電力供給経路の途中に設けられ、モータ制御信号に基づいてモータ12に三相の駆動電力を供給する駆動回路18とを備えている。
【0019】
尚、本実施形態の駆動回路18は、直列に接続された一対のスイッチング素子を基本単位(アーム)として各相に対応する3つのアームを並列接続してなる周知のPWMインバータであり、マイコン17の出力するモータ制御信号は、駆動回路18を構成する各スイッチング素子のオンduty比を規定するものとなっている。そして、モータ制御信号が各スイッチング素子のゲート端子に印加され、同モータ制御信号に応答して各スイッチング素子がオン/オフすることにより、車載電源16の直流電圧が三相(U,V,W)の駆動電力に変換されてモータ12へと供給されるようになっている。
【0020】
詳述すると、本実施形態では、EPSECU11には、モータ12に通電される各相電流値Iu,Iv,Iwを検出するための電流センサ21u,21v,21w、及びモータ12の回転角θを検出するための回転角センサ22が接続されている。そして、マイコン17は、これら各センサの出力信号に基づき検出されたモータ12の各相電流値Iu,Iv,Iw及び回転角θ、並びに上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて駆動回路18にモータ制御信号を出力する。
【0021】
さらに詳述すると、マイコン17は、操舵系に付与するアシスト力の制御目標量である電流指令値Iq*を演算する電流指令値演算部23と、電流指令値演算部23により算出された電流指令値Iq*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部24とを備えている。電流指令値演算部23は、上記トルクセンサ14及び車速センサ15により検出された操舵トルクτ及び車速Vに基づいて電流指令値Iq*を演算し、その電流指令値Iq*をモータ制御信号出力部24に出力する。モータ制御信号出力部24には、電流指令値演算部23により算出された電流指令値Iq*とともに、各電流センサ21u,21v,21wにより検出された各相電流値Iu,Iv,Iw及び回転角センサ22により検出された回転角θが入力される。そして、モータ制御信号出力部24は、これら各相電流値Iu,Iv,Iw、及び回転角θに基づいて、制御目標量である電流指令値Iq*にモータ12に供給される電流量(実電流値)を追従させるべくモータ制御信号を出力する。
【0022】
具体的には、本実施形態では、モータ制御信号出力部24は、d/q座標系における電流フィードバック制御によりモータ制御信号を生成する。即ち、モータ制御信号出力部24において、各相電流値Iu,Iv,Iwは、回転角θとともに3相/2相変換部25に入力され、同3相/2相変換部25によりd/q座標系のd軸電流値Id及びq軸電流値Iqに変換される。また、電流指令値演算部23の出力する電流指令値Iq*は、上記q軸電流値Iqとともにq軸電流指令値として減算器26qに入力され、d軸電流値Idは、d軸電流指令値Id*(Id*=0)とともに減算器26dに入力される。そして、これら減算器26d,26qにおいて演算されたd軸電流偏差ΔId及びq軸電流偏差ΔIqは、それぞれ対応するF/B制御部27d,27qに入力され、各F/B制御部27d,27qは、そのd軸電流偏差ΔId及びq軸電流偏差ΔIqに所定のF/Bゲイン(PIゲイン)を乗ずることにより、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を演算する。各F/B制御部27d,27qにより演算されたこれらd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*は、回転角θとともに2相/3相変換部28に入力され、同2相/3相変換部28により三相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換される。そして、PWM指令値生成部29において、これら各電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応するduty指令値αu,αv,αwが生成され、PWM出力部30が、これらduty指令値αu,αv,αwが示すオンduty比を有するモータ制御信号を出力するようになっている。
【0023】
また、本実施形態のマイコン17は、上記電流指令値演算部23及びモータ制御信号出力部24に加え、駆動回路18とモータ12との間の電力供給線、即ち各相のモータコイル32u,32v,32w及びこれら各モータコイルと駆動回路18とを接続する動力線33u,33v,33wの断線を検出する断線検出部34を備えている。
【0024】
詳述すると、本実施形態では、断線検出部34には、モータ12に通電される実電流値である各相電流値Iu,Iv,Iwとともに、同モータ12への印加電圧を規定する内部指令値としての各相のduty指令値αu,αv,αw、電源電圧Vps、及びモータ12の回転数Nが入力される。尚、本実施形態では、回転数Nは、回転角θを微分することにより得られる回転角速度ωに基づいて演算される(単位は[RPM])。そして、断線検出部34は、入力されるこれらの状態量に基づいて上記電力供給線の断線を検出し、断線が発生したものと判定した場合には電流指令値演算部23に対しその旨を示す断線検出信号を出力する。そして、これにより、速やかにモータ12を停止させてフェールセーフが図られるようになっている。
【0025】
(断線検出)
次に、断線検出部における断線検出の態様について説明する。
上述のように、電流偏差に基づく断線検出には、その検出精度と通常制御時の安定性との間にトレードオフの関係があり、これを高次元でバランスさせるのが難しいことから断線検出精度を高めることができないという問題がある。
【0026】
この点を踏まえ、本実施形態では、断線検出部34は、各相の相電流値Ixが所定値Ith以下(Ix≦Ith)、且つ回転数Nが断線判定の対象範囲内(N≦N0)である場合に、電源電圧Vpsが適正(Vps≧Vth)であるにも関わらず、該相に対応するduty指令値αxが所定値Ith及び判定対象範囲を規定する閾値N0に対応する範囲(αLo≦αx≦αHi)にない状態が継続した場合に、断線が発生したものと判定する。尚、上記「X」は、U,V,Wの三相の何れかの相を示すものである。そして、断線検出部34は、各相毎に上記断線検出を実行する。
【0027】
即ち、図3に示すように、例えばU相の電力供給線に断線が生じた場合、当然にU相の相電流値Iuは「0」となるが、電流フィードバック制御上は、単に電流指令値Iq*に実電流値(q軸電流値)が追従しない状態とみなされる。このため、U相のduty指令値αuは、実際の実電流値(Iu=0)に対応する範囲(αLo≦αx≦αHi)を超えて上昇(或いは低下)することになる。尚、この場合における「対応する範囲」は、各電流センサ21u,21v,21wの検出誤差を含めて設定されている。
【0028】
つまり、図4に示すように、モータN−T特性(回転数−トルク特性)に従えば、モータの回転数N、印加電圧Vap、及びモータの発生するトルク(即ち実電流値I)は、これらのうち何れか二要素が定まることで残る要素も一義的に決定する関係にある。このため、回転数Nが判定対象範囲内(N≦N0)にあり、実電流値Iが所定値I0以下である場合(I≦I0)には、モータに対する印加電圧Vapは、必ずこれら所定値I0及び判定対象範囲の閾値N0に対応する所定電圧V0の範囲内(V≦V0)となる。
【0029】
ここで、三相の駆動電力を供給する場合、実電流値Iは、q軸電流値Iqに相当する。従って、相電流値Ixの閾値となる所定値Ithは、Ith=I0/√(3/2)の式により求めることができる。そして、電源電圧Vpsが適正範囲にあるならば、印加電圧Vapを規定する内部指令値であるduty指令値αxは、所定電圧V0に対応する範囲(αLo≦αx≦αHi)内になるはずであり、この条件を満たさない場合には当該相の電力供給線に断線が生じたものと推定することができるのである。
【0030】
尚、回転数N、実電流値I(相電流値Ix)、及び印加電圧Vap(duty指令値αx)の閾値となる「N0」「I0(Ith)」「V0(αLo及びαHi)」は、図4に示すモータN−T特性に従って任意に設定すればよい。即ち、先ずは断線による影響が顕著となりやすい回転数を考慮して判定対象範囲に設定し、ゼロ近傍の値を相電流値Ixの閾値である所定値Ithとして設定する。そして、これに対応するduty指令値αxの閾値αLo及びαHiを設定する。或いは、各値の検出誤差を考慮した上で、相電流値Ixの所定値Ith、並びにduty指令値αxの閾値αLo及びαHiを設定する。そして、これに対応するように回転数Nの閾値N0を設定すればよい。
【0031】
次に、断線検出部による断線検出の処理手順について説明する。
図5に示すように、断線検出部34は、先ず後述する計測フラグがセットされているか否か(計測フラグON)を判定する(ステップ101)。そして、セットされていない場合(ステップ101:NO)には、各計測カウンタの初期化(ta=0,tb=0)を実行する(ステップ102)。尚、上記ステップ101において、既に計測フラグがセットされていると判定された場合(ステップ101:YES)、即ち、断線状態と推定される状態のカウント中である場合には、このステップ102の処理は実行されない。
【0032】
次に、断線検出部34は、相電流値Ix(の絶対値)が所定値Ith以下であるか(ステップ103)、回転数Nが閾値N0以下であるか(ステップ104)、電源電圧Vpsが適正範囲にあるか(ステップ105)を順次判定する。そして、これらの各判定条件をすべて満たす場合(|Ix|≦Ith且つN≦N0且つVps≧Vth、ステップ103,104,105:YES)には、続いて該相に対応するduty指令値αxが上記相電流値Ixの所定値Ith及び回転数Nの閾値N0に対応する範囲(αLo≦αx≦αHi)にあるか否かを判定する(ステップ106)。
【0033】
次に、断線検出部34は、duty指令値αxが上記範囲にない場合(ステップ106:NO)、計測フラグをセットし(計測フラグON、ステップ107)、第1カウンタをインクリメントする(ta=ta+1、ステップ108)。そして、その第1カウンタのカウンタ値taが所定の閾値t1以上であるか否かを判定し(ステップ109)、カウンタ値taが所定の閾値t1以上である場合(ta≧t1、ステップ109:YES)には、断線フラグをセット、即ち当該相の動力線に断線が発生したものと判定する(ステップ110)。
【0034】
一方、上記ステップ103〜ステップ106の何れかの条件を満たさない場合(|Ix|>Ith又はN>N0又はVps<Vth、若しくはαx≦αLo又はαx≧αHi、ステップ103,104,105の何れかが「NO」又はステップ106が「YES」)である場合、断線検出部34は、上記ステップ107〜ステップ110の処理を実行しない。また、上記ステップ109においてカウンタ値taが所定の閾値t1に満たない場合(ta<t1、ステップ109:NO)には、上記ステップ110の処理を実行しない。
【0035】
この場合、断線検出部34は、第2カウンタをインクリメントする(tb=tb+1、ステップ111)。そして、その第2カウンタのカウンタ値tbが所定の閾値t0以上であるか否かを判定し(ステップ112)、カウンタ値tbが閾値t0以上である場合(tb≧t0、ステップ112:YES)には、計測フラグをオフとする(計測フラグOFF、ステップ113)。そして、カウンタ値tbが閾値t0より小さい場合(tb<t0、ステップ112:NO)には、上記ステップ113の処理を実行しない。
【0036】
即ち、本実施形態では、断線検出部34は、所定周期毎に上記ステップ101〜ステップ113の処理を実行することにより、第2カウンタのカウンタ値tbについての閾値t0に対応する所定時間内において、上記ステップ103〜ステップ106の全ての条件を満たす状態の積算時間である第1カウンタのカウンタ値taが所定の閾値t1以上である場合に断線が発生したものと発生する。そして、閾値t0に対応する所定時間内に第1カウンタのカウンタ値taが所定の閾値t1に満たない場合には、計測フラグをオフし、一連の断線検出判定をやり直すようになっている。
【0037】
以上、本実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)断線検出部34は、各相の相電流値Ixが所定値Ith以下(Ix≦Ith)、且つ回転数Nが断線判定の対象範囲内(N≦N0)である場合に、電源電圧Vpsが適正(Vps≧Vth)であるにも関わらず、該相に対応するduty指令値αxが所定値Ith及び判定対象範囲を規定する閾値N0に対応する範囲(αLo≦αx≦αHi)にない状態が継続した場合に、断線が発生したものと判定する。
【0038】
上記構成によれば、電流フィードバックゲインによらず、電流指令値Iq*が少しでも発生する状況でさえあれば、断線の検出が可能である。そして、モータN−T特性に基づいて各閾値を設定することで、誤検出の発生を排除することが可能である。加えて、印加電圧Vapに代えて、該印加電圧Vapを規定する内部指令値であるduty指令値αxをパラメータとして用いることで、電圧検出誤差を排除して検出精度の一層の向上を図ることができる。従って、制御安定性を損なうことなく、より高精度な断線検出を行うことができる。さらに、各相毎に断線検出ができることから、その断線状態に応じた適切なフェールセーフを図ることができる。
【0039】
(2)断線検出部34は、第2カウンタのカウンタ値tbについての閾値t0に対応する所定時間内において、上記ステップ103〜ステップ106の全ての条件を満たす状態(ステップ106:NO)の積算時間である第1カウンタのカウンタ値taが所定の閾値t1以上である場合に断線が発生したものと発生する。これにより、各センサの検出誤差等、外乱の影響を排除して、より高精度の断線検出を行うことができる。
【0040】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、本発明を電動パワーステアリング装置(EPS)に具体化したが、これ以外のモータ制御装置に具体化してもよい。
【0041】
・本実施形態では、ブラシレスモータのモータ駆動装置に具体化したが、ブラシ付きモータのモータ駆動装置に具体化してもよい。
・本実施形態では、印加電圧Vapの代理変数として、該印加電圧Vapを規定する内部指令値であるduty指令値αxをパラメータとして用いたが、電圧指令値Vx*を用いてもよい。また、印加電圧Vapを実測しこれを用いてもよい。
【0042】
・本実施形態では、所定時間内におけるduty指令値αxが所定値Ith及び判定対象範囲を規定する閾値N0に対応する範囲(αLo≦αx≦αHi)にない状態の積算時間が所定の閾値以上であるか否かの判定により、その継続判定を行うこととしたが、これに限らず、単純に、所定時間継続したか否かの判定により行うこととしてもよい。
【0043】
・さらに、周知のモータ電圧方程式に基づいて、相電流値Ix、電源電圧Vps、電圧指令値Vx、及び回転角速度ωからアドミッタンスYを求め、このアドミッタンスが所定の閾値を下回った場合(|Y|<Yth)に断線状態にあると判定する構成としてもよい。具体的には、アドミッタンスYは、Y=Ix/((Vx−Vps)/(2−k×ω))の式により求めることができる。尚、電圧指令値Vxは、実際の印加電圧Vapを用いてもよい。また、アドミッタンスYに代えてインダクタンスを用いてもよい。そして、上記本実施形態のように、継続条件を加味することでより高精度の検出を行うことができることは言うまでもない。
【0044】
次に、以上の実施形態から把握することのできる請求項以外の技術的思想を記載する。
(付記1)モータと電源との間の電力供給経路の途中に設けられ前記モータに駆動電力を供給する駆動回路と、前記駆動回路の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記モータに通電される実電流値に基づき決定された印加電圧を前記モータに印加すべく前記駆動回路の作動を制御するとともに、前記駆動電力が供給される電力供給線の断線を検出するモータ制御装置であって、周知のモータ電圧方程式に基づいて、前記実電流値、電源電圧、前記印加電圧、前記モータの回転角速度アドミッタンスを求め、該アドミッタンスが所定の閾値を下回った場合に断線状態にあると判定すること、を特徴とするモータ制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。
【図2】EPSの電気的構成を示すブロック図。
【図3】断線発生時の各状態量の推移を示す波形図。
【図4】モータN−T特性と断線検出との関係を示す説明図。
【図5】断線検出の処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、10…EPSアクチュエータ、11…EPSECU、12…モータ、17…マイコン、18…駆動回路、32u,32v,32w…モータコイル、33u,33v,33w…動力線、34…断線検出部、I…実電流値、Iu,Iv,Iw,Ix…相電流値、I0,Ith…所定値、N…回転数、N0…閾値、Vap…印加電圧、Vu*,Vv*,Vw*,Vx*…電圧指令値、αu,αv,αw,αx…duty指令値、V0…所定電圧、αHi,αLo…閾値、ta,tb…カウンタ値、t0,t1…閾値。




 

 


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