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発明の名称 交流交流直接変換器の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−166749(P2007−166749A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−358379(P2005−358379)
出願日 平成17年12月13日(2005.12.13)
代理人 【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
発明者 佐藤 以久也 / 小高 章弘
要約 課題
入力電流及び出力電圧に発生する誤差を同時に補正可能とし、しかも様々な制御方法に適用できると共に、入力電流や出力電圧の歪みを容易に低減可能とした制御装置を提供する。

解決手段
交流交流直接変換器において、入力電圧検出手段4と、負荷電流検出手段5と、入力電圧及び出力電圧指令を用いて双方向スイッチのオンオフ時間比率指令値を演算する手段6と、オンオフ時間比率指令値を転流シーケンスに付加してPWMパルスを発生する手段8と、電源短絡及び負荷端開放を防止するための転流シーケンスにより発生する転流誤差時間比率を、キャリア周期、転流時間及び負荷電流の極性から演算し、この転流誤差時間比率により前記オンオフ時間比率指令値を補正して最終的なオンオフ時間比率指令値を求める補正手段7とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
交流電源と負荷との間に接続された複数の双方向スイッチを備え、出力電圧指令に応じたPWM制御により前記双方向スイッチをスイッチングして多相交流電圧を任意の大きさ、周波数の多相交流電圧に直接変換する交流交流直接変換器において、
前記直接変換器の入力電圧を検出する手段と、
前記直接変換器の負荷電流を検出する手段と、
前記入力電圧及び出力電圧指令を用いて前記双方向スイッチのオンオフ時間比率指令値を演算する手段と、
前記直接変換器における電源短絡及び負荷端開放を防止するための転流シーケンスにより発生する転流誤差時間比率をキャリア周期、転流時間及び前記負荷電流の極性から演算し、前記転流誤差時間比率により前記オンオフ時間比率指令値を補正して最終的なオンオフ時間比率指令値を求める補正手段と、
この補正手段による補正後のオンオフ時間比率指令値を転流シーケンスに付加してPWMパルスを発生する手段と、
を備えたことを特徴とする交流交流直接変換器の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した交流交流直接変換器の制御装置において、
同一の負荷側出力端子に接続される双方向スイッチのうち、電源の最大電圧相に接続される双方向スイッチと電源の最小電圧相に接続される双方向スイッチとのオンオフ時間比率指令値を前記補正手段により補正することを特徴とする交流交流直接変換器の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載した交流交流直接変換器の制御装置において、
同一の負荷側出力端子に接続される双方向スイッチのうち、電源の最大電圧相または最小電圧相の何れかに接続される双方向スイッチがキャリア1周期の全期間にわたりオフしているときに、請求項2により求めた当該双方向スイッチに対する前記転流誤差時間比率を電源の中間電圧相に接続される双方向スイッチに振り替えてそのオンオフ時間比率指令値を補正することを特徴とする交流交流直接変換器の制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載した交流交流直接変換器の制御装置において、
同一の負荷側出力端子に接続される双方向スイッチのうち、電源の最大電圧相または最小電圧相の何れかに接続される双方向スイッチがキャリア1周期の全期間にわたりオンしているときに、すべての双方向スイッチに対する前記転流誤差時間比率をゼロにすることを特徴とする交流交流直接変換器の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のエネルギーバッファを用いずに、半導体スイッチング素子のオンオフにより多相交流電圧を任意の大きさ、周波数の多相交流電圧に直接変換する交流交流直接変換器に関し、特に、電源短絡及び負荷端開放を防止するための転流シーケンスにより発生する指令値と実際値との誤差を補正し、出力電圧や入力電流の歪みを低減するようにした制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交流交流直接変換器の一例として、複数の半導体スイッチング素子からなる双方向スイッチを交流電源と負荷との間に接続したマトリクスコンバータが知られている。
このマトリクスコンバータを制御するには、直流電圧を交流電圧に変換するインバータと異なり、電源短絡及び負荷端開放を防止する転流シーケンス(転流時における各スイッチング素子のオンオフパターン)が必要である。以下、インバータ及びマトリクスコンバータの転流シーケンスについて説明する。
【0003】
図8は、インバータの負荷側一相分(図ではU相)の回路モデルを示している。
図8において、P,Nは直流入力端子、UはU相出力端子であり、これらの端子P,U間及びN,U間には、環流ダイオードが逆並列接続されたIGBT等のスイッチング素子S,Sがそれぞれ接続されている。
【0004】
インバータでは、スイッチング素子S,Sが共にオンすると直流入力端子P,N間が短絡されて大電流が流れ、素子の破壊を引き起こす。一方、スイッチング素子S,Sが共にオフの場合には、環流ダイオードによって負荷電流の向きに関わらず負荷端が開放されることがない。従って、スイッチングのバラツキなどを考慮して、スイッチング素子S,Sが共にオンとならないようにデッドタイム(オンする際の遅延時間)を設けてスイッチングを行えば電源短絡を防止することができる。
【0005】
次に、図9は、マトリクスコンバータの負荷側一相分(図ではU相)の回路モデルを示している。
図9において、R,S,Tは交流入力端子、UはU相出力端子であり、これらの端子R,S,TとUとの間には、双方向スイッチS,S,Sがそれぞれ接続されている。双方向スイッチS,S,Sは、互いに逆並列接続された2個のスイッチング素子Sru,Sur、Ssu,Sus、Stu,Sutによってそれぞれ構成されており、個々の添字は、オンした時の電流通流方向(例えば、SruについてはR相からU相に向かう方向)を表している。
【0006】
図9に示したマトリクスコンバータでは、電源電圧が交流であるため、各相入力電圧の大小関係が刻々と変化する。
いま、電源電圧の大小関係がR>S>Tの場合を考える。このとき、スイッチング素子SruとSus、SruとSut、SsuとSutが同時にオンすると、それぞれ端子R,S間、R,T間、S,T間に短絡電流が流れてしまう。更に、U相負荷電流iが正のとき(図の矢印方向を正方向とする)にスイッチング素子Sru,Ssu,Stuが共にオフすると負荷電流の連続性が損なわれるため、各双方向スイッチに負荷のエネルギーによる過大なサージ電圧が印加されてスイッチの破壊を引き起こす。
【0007】
そこで、これらの電源短絡及び負荷端開放を同時に防止するために、一例として次のような転流シーケンスが用いられている。なお、以下では、R相の双方向スイッチSからS相の双方向スイッチSRSに切り替える場合について述べる。
【0008】
まず、初期状態において、Sruがオン、Surがオン、Ssuがオフ、Susがオフであるとすると、以下の順序で各スイッチング素子を動作させる。
(1)Ssuオン
(2)Sruオフ
(3)Susオン
(4)Surオフ
【0009】
ここで、スイッチング素子SusのオンにはSruとの間に時間差を設けてSru,Susの同時オンを防止し、同様にSruのオフにはSsuとの間に時間差を設けてSru,Ssuの同時オフを防止すると共に、SurのオフにはSusとの間に時間差を設けてSur,Susの同時オフを防止している。
以上の転流シーケンスにより、スイッチングにバラツキなどがある場合にも電源短絡及び負荷端開放を防止して双方向スイッチの破壊を防ぐことができる。このような転流シーケンスは、後述する特許文献1に開示されている。
【0010】
しかしながら、上記の転流シーケンスでは各スイッチング素子をオンまたはオフさせる時間をずらしているため、電圧指令値と実際の出力電圧との間に誤差が発生する。この出力電圧誤差は、負荷として電動機を駆動している場合にはトルクリプルや回転むらの原因となり、制御性能の悪化や損失の増大を招くことになる。
【0011】
そこで、後述する特許文献2には、PWMサイクロコンバータのキャリア1周期中に発生する出力電圧の誤差ΔVを数式1により計算し、この誤差を元の出力電圧指令値から減算した値を最終的な指令値として出力電圧を指令値に一致させるようにした技術が開示されている。
【0012】
【数1】


【0013】
上記数式1において、ΔEmax:電源の最大電圧と最小電圧との間の電圧絶対値、T:転流時間、T:キャリア周期、n:電流方向が正の場合は0、負の場合は1となる関数である。
また、特許文献1にも、転流パターンに応じて電力変換器の出力電圧の平均誤差を演算し、この誤差を用いて出力電圧指令値を補正する方法が開示されている。
【0014】
【特許文献1】特開2005−20799号公報(請求項1〜4、[0006]〜[0011],[0019]〜[0036]、図10〜図14等)
【特許文献2】特開2003−309975号公報(請求項4,5,8、[0006]〜[0009]、図6,図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1や特許文献2に記載された従来技術では、出力電圧の平均誤差を用いて出力電圧指令値を補正しているが、これによって出力電圧の平均値が指令値と一致したとしても、入力電流は指令値通りにはならない。なぜなら、マトリクスコンバータでは出力電圧と入力電流とを同時に制御しており、出力電圧指令値を補正しても入力電流指令値に応じて各スイッチング素子のオンオフの時間比率が分配されるからである。なお、詳細な挙動については後に詳述する。
【0016】
入力電流が指令値通りにならないと、入力電流に歪みが発生し、入力系統側に接続されている機器の過熱や損傷を招く恐れがあるので余り好ましくない。
なお、特許文献2の段落[0010]には、転流シーケンス作成ロジック部において転流シーケンスを作成する際に、入力の電圧状況と転流情報から出力電圧の転流誤差がわかるので、前記ロジック部で転流の開始や終了をずらすことにより出力電圧を補正できる旨記載されているが、入力電流の指令値との誤差による影響や具体的な補正方法が明確に開示されていないため、この特許文献2では入力電流が指令値と一致しない場合の補正は実現困難である。
更に、第1,第2の特許文献には、ある特定のスイッチング素子がスイッチングを行わない場合の補正方法等が記載されておらず、総じて入力電流または出力電圧の各指令値と実際値との誤差補正手段が十分には開示されていない。
【0017】
そこで本発明の解決課題は、入力電流及び出力電圧に発生する誤差を同時に補正可能とし、しかも様々な制御方法(指令値の生成方法)に適用することができると共に、簡単な方法で入力電流や出力電圧の歪み等を低減するようにした信頼性の高い制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、交流電源と負荷との間に接続された複数の双方向スイッチを備え、出力電圧指令に応じたPWM制御により前記双方向スイッチをスイッチングして多相交流電圧を任意の大きさ、周波数の多相交流電圧に直接変換する交流交流直接変換器において、
前記直接変換器の入力電圧を検出する手段と、
前記直接変換器の負荷電流を検出する手段と、
前記入力電圧及び出力電圧指令を用いて前記双方向スイッチのオンオフ時間比率指令値を演算する手段と、
前記直接変換器における電源短絡及び負荷端開放を防止するための転流シーケンスにより発生する転流誤差時間比率をキャリア周期、転流時間及び前記負荷電流の極性から演算し、前記転流誤差時間比率により前記オンオフ時間比率指令値を補正して最終的なオンオフ時間比率指令値を求める補正手段と、
この補正手段による補正後のオンオフ時間比率指令値を転流シーケンスに付加してPWMパルスを発生する手段と、を備えたものである。
【0019】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した交流交流直接変換器の制御装置において、
同一の負荷側出力端子に接続される双方向スイッチのうち、電源の最大電圧相に接続される双方向スイッチと電源の最小電圧相に接続される双方向スイッチとのオンオフ時間比率指令値を前記補正手段により補正するものである。
【0020】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した交流交流直接変換器の制御装置において、
同一の負荷側出力端子に接続される双方向スイッチのうち、電源の最大電圧相または最小電圧相の何れかに接続される双方向スイッチがキャリア1周期の全期間にわたりオフしているときに、請求項2により求めた当該双方向スイッチに対する前記転流誤差時間比率を電源の中間電圧相に接続される双方向スイッチに振り替えてそのオンオフ時間比率指令値を補正するものである。
【0021】
請求項4に記載した発明は、請求項2に記載した交流交流直接変換器の制御装置において、
同一の負荷側出力端子に接続される双方向スイッチのうち、電源の最大電圧相または最小電圧相の何れかに接続される双方向スイッチがキャリア1周期の全期間にわたりオンしているときに、すべての双方向スイッチに対する前記転流誤差時間比率(すなわち、前記補正手段における補正量)をゼロにするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、電源短絡及び負荷端開放を防止するための転流シーケンスにより発生する転流誤差時間比率を演算し、この転流誤差時間比率を用いて双方向スイッチに対するオンオフ時間比率指令値を補正することで、直接変換器の出力電圧誤差及び入力電流誤差を同時に補正することができる。
これにより、出力電圧の制御精度を悪化させることなく、負荷側に電動機を接続した場合でもトルクリプルや回転むらを発生させるおそれがない。また、入力電流制御精度を悪化させることもないので、直接変換器の入力側に接続されている他の機器の損傷や誤動作が防止される。
従って、本発明によれば、交流交流直接変換器の出力電圧、入力電流を何れも高精度に制御可能な信頼性の高い制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明の原理について説明する。
スイッチング素子のオンオフ時間比率は、キャリア比較方式PWM制御におけるキャリア1周期に対するスイッチング素子のオン時間の比率である。すなわち、オンオフ時間比率が1のときは、キャリア1周期の全期間にわたってスイッチング素子がオンし続け、逆に0のときは、キャリア1周期の全期間にわたってスイッチング素子がオフし続けることを意味する。
【0024】
マトリクスコンバータでは、どのような制御を行ってもキャリア1周期中に負荷側1相(ここでは説明を容易にするため、U相とする)に現れる電圧は電源側各相の最大電圧、中間電圧、最小電圧の何れかであり、電源側の最大電圧相とU相との間に接続されている双方向スイッチのオンオフ時間比率をDmax、同じく中間電圧相とU相との間の双方向スイッチのオンオフ時間比率をDmid、最小電圧相とU相との間の双方向スイッチのオンオフ時間比率をDminとすると、これらの間には数式2の関係が成り立つ。
【0025】
【数2】


【0026】
ここで、図9にならって、電源電圧の最大相をR相、中間相をS相、最小相をT相としてキャリア1周期あたりのスイッチングを例にとり、転流シーケンスによる誤差の時間比率について説明する。
【0027】
図3は、キャリア周期TにおけるマトリクスコンバータのPWMパルス例を示している。PWMパルスは、R,S,T相のオンオフ時間比率指令値(図3におけるR,S,T相の各パルス指令)に基づいてオン時間が決定され、R相→S相→T相→S相→R相の順に転流するものとする。図3の囲み線a〜dまたはa’〜d’に示すように、キャリア1周期中に4回の転流動作が存在している。なお、転流シーケンスは入力電圧極性に基づいて作成しており、各スイッチング素子は、従来技術として前述した(1)〜(4)の順序でオン、オフする。
【0028】
いま、R,S,T相のオンオフ時間比率指令値をそれぞれDru,Dsu,Dtuとすると、R相のオン時間の指令値Tru、S相のオン時間の指令値Tsu、T相のオン時間の指令値Ttuは、それぞれ数式3によって表される。
【0029】
【数3】


【0030】
上記の数式3は、キャリア周期Tが一定であれば、オン時間はオンオフ時間比率に比例することを示している。
図3における囲み線a〜d内の転流動作(U相電流i>0の場合)について説明すると、前述したように電源短絡及び負荷端開放を防止するための転流シーケンスにより、それぞれの囲み線における転流動作、及び、U相に現れる実際の電圧からみたパルス指令の変化は、次のようになる。
【0031】
a.R相からS相への転流であり、R相パルス指令が転流時間Tだけ延び、S相パルス指令がTだけ縮んだのと等価になる。
b.S相からT相への転流であり、S相パルス指令が転流時間Tだけ延び、T相パルス指令がTだけ縮んだのと等価になる。
c.T相からS相への転流であり、T相パルス指令が転流時間T×2だけ延び、S相パルス指令がT×2だけ縮んだのと等価になる。
d.S相からR相への転流であり、S相パルス指令が転流時間T×2だけ延び、R相パルス指令がT×2だけ縮んだのと等価になる。
以上より、キャリア1周期で見ると、R,S,T相それぞれの双方向スイッチの実際のオン時間Tru,Tsu,Ttuは、数式4となる。
【0032】
【数4】


【0033】
数式4から明らかなように、R相のオン時間Truは指令値TruからTだけ削られ、T相のオン時間Ttuは指令値TtuよりTだけ延びるが、S相のオン時間Tについて見ると、キャリア1周期では誤差(転流時間T)がキャンセルされて指令値Tsu通りになることが分かる。
一方、図3における囲み線a’〜d’内の転流動作(U相電流i<0の場合)を解析すると、R,S,T相それぞれの双方向スイッチの実際のオン時間Tru,Tsu,Tは数式5のようになる。
【0034】
【数5】


【0035】
数式4,5より、U相電流i(負荷電流)の正負に関わらずS相のオン時間Tsuは誤差がキャンセルされ、R相及びT相のオン時間Tru,Ttuは、負荷電流の極性によって誤差の時間が削られるか、延びることになる。
前述した数式3より、オンオフ時間比率は、キャリア周期一定の条件ではオン時間に比例するため、数式4、数式5における誤差Tをなくすためには、オンオフ時間比率指令値を数式6のようにそれぞれ補正すればよい。
なお、数式6において、D×sign(i)を転流誤差時間比率(=D’)と定義すると、本実施形態においては、元のオンオフ時間比率指令値(例えばDru)を転流誤差時間比率D’を用いて補正することにより最終的なオンオフ時間比率指令値(例えばDru**)を生成し、この指令値をPWM発生手段8に与えるものである。
【0036】
【数6】


【0037】
数式6により補正したオンオフ時間比率に転流シーケンスを付加すると、双方向スイッチの実際のオン時間Tru,Tsu,Ttuは、負荷電流が正のときに数式7のようになる。
【0038】
【数7】


【0039】
また、負荷電流が負のときには数式8のようになる。
【0040】
【数8】


【0041】
なお、上記数式7,8において、数式3より、Tru**=Dru**×T,Tsu=Dsu**×T,Ttu**=Dtu**×Tである。
数式7,8により、実際のオン時間は元の指令値通りになるため、出力電圧及び入力電流を指令通りに制御することができる。すなわち本発明は、数式6に従って各相の双方向スイッチのオンオフ時間比率指令値を補正することにより実際のオン時間をそれぞれ補正し、出力電圧及び入力電流を指令通りに制御するものである。
【0042】
一方、特許文献2に係る従来技術では、一例として出力電圧指令値を数式1の誤差ΔVにより補正した出力電圧指令値(V−ΔV)を用いて各相のオンオフ時間比率指令値を演算するが、その際、例えばR相−S相間で転流する場合には、出力電圧指令値を入力電流指令値I(0.5≦I≦1)の比率に応じてR相とS相とに分配する。すなわち、各相のオンオフ時間比率指令値は、数式9のようになる。
【0043】
【数9】


【0044】
数式9においては、数式6により本来補正を行わなくてもよいS相のオンオフ時間比率指令値Dsu**に誤差すなわち補正電圧ΔVが現れていることが分かる。従って、S相の補正量は適切ではなく、S相の双方向スイッチのオンオフ時間に誤差が含まれるため、入力電流指令値I通りの電流がS相に流れないこととなる。
【0045】
本発明は上記の不都合を解消するものであり、図1は請求項1,2に係る本発明の第1実施形態のブロック図を示している。
図1において、1は交流電源、2は交流交流直接変換器としてのマトリクスコンバータ、3は交流電動機等の負荷である。
【0046】
一方、制御装置の構成、動作は次のとおりである。
入力電圧検出手段4はマトリクスコンバータ2の入力電圧を検出し、この情報はオンオフ時間比率演算手段6における入力電流指令値の演算とPWM発生手段8における転流シーケンスの作成に用いられる。負荷電流検出手段5はマトリクスコンバータ2の出力電流を検出し、オンオフ時間比率補正手段7に出力する。
【0047】
オンオフ時間比率演算手段6は、入力電流指令値、出力電圧指令値及び入力電圧の大小関係から、マトリクスコンバータ2の入力側のR相、S相、T相と出力側の一相、例えばU相との間にそれぞれ接続される双方向スイッチ(図9におけるS,S,S)のオンオフ時間比率を演算し、これらを指令値として出力する。ここで、オンオフ時間比率指令値は、電源側の最大電圧相とU相との間の双方向スイッチに対する電源最大相オンオフ時間比率指令値、中間電圧相とU相との間の双方向スイッチに対する電源中間相オンオフ時間比率指令値、最小電圧相とU相との間の双方向スイッチに対する電源最小相オンオフ時間比率指令値からなる。
【0048】
オンオフ時間補正手段7は、オンオフ時間比率演算手段6により演算されたオンオフ時間比率指令値をそれぞれ補正し、PWM発生手段8は、補正後のオンオフ時間比率指令値に基づいてPWMパルスを生成し、入力電圧の極性に応じた転流シーケンスを付加してマトリクスコンバータ2の双方向スイッチに対する点弧信号を出力する。
【0049】
次に、図2は上記オンオフ時間比率補正手段7の構成図である。
オンオフ時間比率補正手段7では、転流時間Tとキャリア周期Tと負荷電流iとから、数式6における転流誤差時間比率D’(=D×sign(i))を演算する。なお、図2における符号検出手段71、除算手段72及び乗算手段73は転流誤差時間比率D’を求めるための演算手段である。
【0050】
前記同様に電源の各相電圧の大小関係がR>S>Tであるとすると、演算された転流誤差時間比率D’は、数式6に示した如く、図2の加算手段74により最大相のオンオフ時間比率指令値Druに加算されて最終的な指令値Dru**となり、かつ、加算手段75により最小相のオンオフ時間比率指令値Dtuから減算されて最終的な指令値D**となると共に、中間相のオンオフ時間比率指令値Dsuについては、転流誤差時間比率D’を加減算することなく元の値が最終的な指令値Dsu**としてPWM発生手段8に出力される。
このため、前述した数式7,8により、負荷電流の極性が正負何れの場合にも各双方向スイッチに対する実際のオン時間は指令値通りになり、出力電圧及び入力電流を各指令通りに制御することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、PWM発生手段8において転流シーケンスを入力電圧の極性情報に基づいて作成しているが、負荷電流の極性情報に基づく場合でも数式6における符号関数sign(i)の出力を反転させればそのまま適用可能である。簡単に説明すると、負荷電流の極性情報に基づく場合は、R相からS相に転流させる場合に次のような転流シーケンスになる。
【0052】
すなわち、初期状態では、Sruがオン、Surがオン、Ssuがオフ、Susがオフとすると、負荷電流i>0のときに以下の順序で各スイッチング素子を動作させる。
(1)Surオフ
(2)Ssuオン
(3)Sruオフ
(4)Susオン
つまり、負荷電流の極性情報に基づいた転流シーケンスは入力電圧情報に基づく場合と順序が全く逆になるため、誤差時間の削れ方も逆になるが、数式6における符号関数sign(i)の出力を反転させれば、入力電圧情報に基づいて転流シーケンスを作成する場合と同様に指令値通りの出力電圧、入力電流を得ることができる。
【0053】
次いで、図4は請求項3,4に係る本発明の第2実施形態におけるオンオフ時間比率補正手段7の構成図である。この実施形態と図2との相違点は、図4のオンオフ時間比率補正手段7が時間比率補正選択手段77を有しており、その出力を最大相、最小相、中間相のオンオフ時間比率指令値に加算手段74〜76にてそれぞれ加算するようにした点である。
【0054】
以下、第2実施形態の原理について説明する。
図5は、キャリア1周期の全期間にわたり最大相(例えばR相)の双方向スイッチがスイッチングを行わずに、中間相と最小相との間でスイッチングを行った場合のPWMパルス例を示している。このスイッチングは、出力電圧が低い領域において、スイッチング回数を低減して効率向上とノイズの低減に有効な方法であり、本発明者による特願2005−181341等に用いられている。
【0055】
図5において、第1実施形態と同様に負荷電流iが正のときの囲み線a,bにおける転流動作、及び、U相に現れる実際の電圧からみたパルス指令の変化は、次のようになる。
a.S相からT相への転流であり、S相パルス指令が転流時間Tだけ延び、T相パルス指令がTだけ縮んだのと等価になる。
b.T相からS相への転流であり、T相パルス指令が転流時間T×2だけ延び、S相パルス指令がT×2だけ縮んだのと等価になる。
なお、R相はスイッチングを行わないため誤差は発生しない。
従って、キャリア1周期におけるR,S,T相それぞれの双方向スイッチの実際のオン時間は、数式10となる。
【0056】
【数10】


【0057】
一方、負荷電流が負のときは、囲み線a’,b’における転流動作、及び、U相に現れる実際の電圧からみたパルス指令の変化は、次のようになる。
a’.S相からT相への転流であり、S相パルス指令がT×2だけ延び、T相パルス指令がT×2だけ縮んだのと等価になる。
b’.T相からS相への転流であり、T相パルス指令がTだけ延び、S相パルス指令がTだけ縮んだのと等価になる。
また、前記同様にR相はスイッチングを行わないため、誤差は発生しない。
従って、キャリア1周期におけるR,S,T相それぞれの双方向スイッチの実際のオン時間は、数式11となる。
【0058】
【数11】


【0059】
数式10,11に基づき、前述した数式6に相当するオンオフ時間比率指令値の補正式は、数式12となる。
【0060】
【数12】


【0061】
ここで、数式6と数式12とを比較すると、スイッチングを行わない最大相(R相)の数式6における補正量を中間相(S相)に振り替えて補正すれば、オンオフ時間比率が指令値通りになるため、出力電圧及び入力電流を指令通りに制御することができる。
同様に、最小相(T相)がスイッチングを行わない場合は、数式13のように、最小相(T相)の数式6における補正量を中間相(S相)に振り替えて補正すればよい。
【0062】
【数13】


【0063】
次に、図6は図4における時間比率補正選択手段77の動作を示すフローチャートであり、上述したようにスイッチングを行わない電圧相に応じて転流誤差時間比率D’の最大値Dmax、中間値Dmid、最小値Dminを出力し、これらを最大相、中間相、最小相のオンオフ時間比率指令値にそれぞれ加算するための動作を示すものである。
【0064】
まず、第1実施形態と同様に、転流誤差時間比率D’を演算する(ステップS1)。次に、補正する前の電源最大相(R相)のオンオフ時間比率指令値Druがゼロであれば(S2 YES)、R相についてはスイッチングを行わないため、数式12による補正を行う。すなわち、Dmax=0、Dmid=D’、Dmin=−D’を出力してそれぞれ加算手段74,76,75に入力する(S3)。
【0065】
また、Druがゼロでなく(S2 NO)、電源最小相(T相)のオンオフ時間比率指令値Dtuがゼロの場合は(S4 YES)、T相についてはスイッチングを行わないため、数式13による補正を行う。
すなわち、Dmax=D’、Dmid=−D’、Dmin=0を出力してそれぞれ加算手段74,76,75に入力する(S5)。
【0066】
上記以外の場合、つまりDtuがゼロでない場合は(S4 NO)、数式6による補正を行う(S6)。なお、中間相の双方向スイッチがスイッチングを行わない場合は、最大相及び最小相の双方向スイッチによるスイッチングになるため、数式6に基づいて補正すればよい(S6)ことはいうまでもない。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、何れかの電源相に接続された双方向スイッチがスイッチングを行わない場合でも指令通りのオンオフ時間比率を得ることができ、これによって出力電圧及び入力電流を指令通りに制御できることが分かる。
【0068】
次いで、図7は時間比率補正選択手段77の別の動作を示すフローチャートである。
このフローチャートは、何れかの電源相の双方向スイッチがキャリア1周期の全期間にわたりオンしている場合の補正動作に関するものである。
【0069】
ある電源相の双方向スイッチがキャリア1周期にわたってオンの場合は、他の電源相の双方向スイッチは全てオフであるためスイッチングは一切行われない。従って、数式12や数式13を用いてオンオフ時間比率指令値を補正すると過補償になってしまう。
そこで、転流誤差時間比率D’を演算し(ステップS11)、電源最大相または最小相のオンオフ時間比率指令値が1の場合は(S12 YES、またはS14 YES)、Dmax,Dmid,Dminを何れもゼロにして補正を行わないようにし(S13,S15)、それ以外の場合は図6に基づいてDmax,Dmid,Dminを求めることにより(S14 NO,S16)、加算手段74,76,75を介してオンオフ時間比率指令値をそれぞれ補正する。
【0070】
以上述べたように、電源最大相、中間相または最小相のオンオフ時間比率指令値を選択的に補正することにより、全てのスイッチングのパターンにおいて直接変換器の出力電圧のみならず入力電流も最適に補正することが可能である。
【0071】
なお、前述した数式6において、補正に用いる時間比率Dはキャリア周期Tと転流時間Tとの比からなる一定値としたが、スイッチング信号の遅延やスイッチング素子のオン電圧降下等に起因して補正量が一定値にならない場合もある。その際には、数式14に示すように、T/Tに上記の誤差を考慮した補正係数kを乗じて時間比率Dを求め、この時間比率Dを数式6,数式12,数式13に適用すればよい。
【0072】
【数14】


【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1におけるオンオフ時間比率補正手段の構成図である。
【図3】キャリア周期TにおけるマトリクスコンバータのPWMパルス例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るオンオフ時間比率補正手段の構成図である。
【図5】第2実施形態におけるマトリクスコンバータのPWMパルス例を示す図である。
【図6】図4における時間比率補正選択手段の動作を示すフローチャートである。
【図7】図4における時間比率補正選択手段の別の動作を示すフローチャートである。
【図8】インバータの負荷側一相分の回路モデルを示す図である。
【図9】マトリクスコンバータの負荷側一相分の回路モデルを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1:交流電源
2:マトリクスコンバータ
3:負荷
4:入力電圧検出手段
5:負荷電流検出手段
6:オンオフ時間比率演算手段
7:オンオフ時間比率補正手段
71:符号検出手段
72:除算手段
73:乗算手段
74,75,76:加算手段
77:時間比率補正選択手段
8:PWM発生手段
,S,S:双方向スイッチ
ru,Sur,Ssu,Sus,Stu,Sut:半導体スイッチング素子





 

 


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