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発明の名称 ブラシレスモータの駆動装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−252135(P2007−252135A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−74613(P2006−74613)
出願日 平成18年3月17日(2006.3.17)
代理人 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
発明者 倉地 耕平 / ▲かく▼元 宗斉
要約 課題
ブラシレスモータをオーバーラップ通電すると共に、PWM制御することによって駆動する場合に、放射ノイズを抑制すると共に、良好にモータ消費電流の測定を可能とするブラシレスモータの駆動装置を提供する。

解決手段
変調パルスP0によりパルス幅変調された通電信号を複数相のステータコイルの各相ごとに切り替えると共に、励磁された一つの相の始期と終期とを他の相と重複させて通電するブラシレスモータの駆動装置であって、以下を備える。変調パルスP0としての第一変調パルスP1を生成するパルス生成手段7と、第一変調パルスP1を移相して変調パルスP0としての第二変調パルスP2を生成するパルス移相手段8と、重複して通電される2つの相の通電信号を互いに異なる変調パルスP0である第一変調パルスP1と第二変調パルスP2とで変調する変調手段10とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
変調パルスによりパルス幅変調された通電信号を複数相のステータコイルの各相ごとに切り替えると共に、励磁された一つの相の始期と終期とを他の相と重複させて通電するブラシレスモータの駆動装置であって、
前記変調パルスとしての第一変調パルスを生成するパルス生成手段と、
前記第一変調パルスを移相して前記変調パルスとしての第二変調パルスを生成するパルス移相手段と、
重複して通電される一方の相の前記通電信号は前記第一変調パルスに基づいて変調し、他方の相の前記通電信号は前記第二変調パルスに基づいて変調する変調手段と、を備えるブラシレスモータの駆動装置。
【請求項2】
前記パルス移相手段は、前記第一変調パルスを前記第一変調パルスの1/2周期移相する請求項1に記載のブラシレスモータの駆動装置。
【請求項3】
前記パルス移相手段は、前記第一変調パルスを前記第一変調パルスの1周期中のハイ側又はロウ側の何れかのパルス幅分移相する請求項1に記載のブラシレスモータの駆動装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、変調パルスによりパルス幅変調された通電信号を複数相のステータコイルの各相ごとに切り替えると共に、励磁された一つの相の始期と終期とを他の相と重複させて通電するブラシレスモータの駆動装置に関する
【背景技術】
【0002】
回転運動型の電動アクチュエータであるモータは、種々の機器に組み込まれ、数多く利用されている。車載用途においても、オイルポンプやウォーターポンプ、パワーステアリング装置、シート、ドアなどの駆動にモータが利用されている。電磁モータの一つであるブラシレスモータは、ブラシと整流子とによる機械的接触構造を持たず、駆動回路(インバータ)によって整流を行い、回転磁界を発生させる。機械的接触構造を有しないので長寿命が期待でき、駆動回路に与える信号によって比較的容易に速度制御が可能なブラシレスモータの需要は高まっている。
【0003】
3相駆動のモータにおいて、3相それぞれの電気角が120度ずつ異なるように切り替えて通電する3相120度矩形波通電方式は、代表的な駆動方式としてよく用いられる。この方式は、制御が容易ではあるが、電流の切り替え時にトルクリップルと呼ばれるトルクの不均衡を生じる。
下記に出典を示す特許文献1には、トルクリップルを低減するために、いわゆるオーバーラップ通電を行う技術が記載されている。オーバーラップ通電とは、励磁された一つの相の始期と終期とが、他相と重複する通電方式である。例えば、U相、V相、W相の3相で駆動されるモータにおいて、U相からV相へと通電が切り替わる際に、両相が同時に同極性に通電される。つまり、U相のプラス(マイナス)方向の通電が終了される前に、V相のプラス(マイナス)方向の通電が開始される。一時的に隣接する2相が重複して同極性に励磁されつつ、U相からV相への転流(切り替え)が行われる。
【0004】
また、モータに与えるエネルギーの制御が容易で、モータの速度制御が容易なために、ブラシレスモータの駆動にはPWM(パルス幅変調)制御がよく用いられる(例えば、下記特許文献2参照。)。上述した3相120度矩形波通電の場合はもちろん、オーバーラップ通電の場合にも、PWM制御が用いられることが多い。PWM制御は、パルスのデューティー比によって各相に供給するエネルギー(電流)を制御する。そのため、各相(U、V、W相)に流れる電流の波形もPWM波形に応じたパルス波形となる。オーバーラップ通電の場合には、2つの相に流れる電流の波形が同じタイミングで変化するパルス波形となる。つまり、オーバーラップ通電しない場合と比べて、瞬時地(ピーク値)としては概ね2倍の電流が流れることになる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−274623号公報(第3−5段落、第17−28段落、第3図、第8図)
【特許文献2】特許第3308680号公報(第16、17段落、第8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パルス波形は、複数の周波数成分(主周波数とその高調波成分)との合成波であり、特に高調波成分は放射ノイズの発生源となる。オーバーラップ通電の場合には、上述したように電流値のピーク値が概ね2倍となるので、ノイズの強さのピーク値もほぼ2倍となる。モータの駆動に起因するノイズは、エネルギーが大きいため、他の回路などに影響を与える可能性が高く、できるだけそのピーク値が小さく抑制されることが望ましい。
【0007】
また、モータのトルクを把握することは、当該モータによって駆動される機器の制御にとって重要である。トルクは、モータの消費電流と電圧とから定められるモータ固有の関係式によって表すことが可能である。消費電流は、精度は高くないが最も簡潔には、駆動回路のグラウンド側とグラウンドとの間に直列に接続されたシャント抵抗(shunt resistor)の両端電圧を測定することによって得ることができる。オーバーラップ期間では、PWM制御によってパルス状に生じるシャント抵抗両端の電圧波形の振幅も大きくなる。また、オーバーラップ期間と非オーバーラップ期間とで、シャント抵抗両端の電圧波形の振幅が大きく異なる。従って、モータの負荷(消費電流)を求める回路が複雑化する。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ブラシレスモータをオーバーラップ通電すると共に、PWM制御することによって駆動する場合に、放射ノイズを抑制すると共に、良好にモータ消費電流の測定を可能とするブラシレスモータの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るブラシレスモータの駆動装置は、変調パルスによりパルス幅変調された通電信号を複数相のステータコイルの各相ごとに切り替えると共に、励磁された一つの相の始期と終期とを他の相と重複させて通電するものであって、下記構成を備える。
即ち、前記変調パルスとしての第一変調パルスを生成するパルス生成手段と、前記第一変調パルスを移相して前記変調パルスとしての第二変調パルスを生成するパルス移相手段と、重複して通電される一方の相の前記通電信号は前記第一変調パルスに基づいて変調し、他方の相の前記通電信号は前記第二変調パルスに基づいて変調する変調手段と、を備えて構成される点を特徴とする。
【0010】
上記特徴構成によれば、パルス生成手段によって生成された第一変調パルスが移相されて、第一変調パルスとは位相のずれた第二変調パルスが生成される。そして、オーバーラップ通電される2つの相は、互いに異なる変調パルスで変調される。従って、オーバーラップ通電される2つの相に流れる電流の波形は、同じタイミングで変化するパルス波形とはならない。また、これらのパルス波形に重なる部分が生じていても、重なった部分は、グラウンドレベルからの変位ではなく、何れか一方の波高値から両者が合算された波高値までの変位となる。変位幅が小さくなるので、パルス波形の立ち上がりや立下りに発生する放射ノイズ(特に高調波ノイズ)のエネルギー(ピーク値)が減少する。
【0011】
変調パルスが、互いに位相の異なる2つの変調パルス(第一及び第二変調パルス)に分離されるため、パルス信号の立ち上がり及び立ち下がりのポイントは、2倍に増加する。つまり、放射ノイズが発生する周期は半分となり、放射ノイズの量は増加する。しかし、放射ノイズによる他の回路への影響は、その量よりも、大きさ、つまり瞬時のエネルギーに大きく依存する。放射ノイズの量と大きさとを積分したエネルギー量は、ほぼ等価であるが、瞬時のエネルギーである放射ノイズのピーク値は約半分に減少する。従って、放射ノイズが他の回路へ与える影響は大きく抑制される。
【0012】
また、変調パルスのデューティー比や、移相幅によっては、第一変調パルスと第二変調パルスとの有効期間が全く重複しないようにすることができる。この場合には、高調波ノイズのピーク値を抑制できるだけでなく、例えばシャント抵抗を用いた電流検出の回路などの構成も簡略化できる。
このように、本特徴構成によって、放射ノイズを抑制すると共に、良好にモータ消費電流の測定を可能とするブラシレスモータの駆動装置を提供することができる。
【0013】
さらに、本発明に係るブラシレスモータの駆動装置は、前記パルス移相手段が、前記第一変調パルスを前記第一変調パルスの1/2周期移相することを特徴とすることができる。
【0014】
この特徴構成によれば、第一変調パルスが、第一変調パルスの1/2周期移相されて、第二変調パルスが生成される。第一変調パルスのデューティー比が50%以下の場合には、第一変調パルスと第二変調パルスとは、有効期間に全く重複部分を有さない。
従って、上述したように、放射ノイズを抑制することができ、さらに例えばシャント抵抗を用いた電流検出の回路などの構成も簡略化できる。
第一変調パルスのデューティー比が50%を超える場合には、上述したように、オーバーラップ通電される2つの相に流れるパルス状の電流波形に重なる部分が生じる。しかし、少なくとも同じタイミングで変化するパルス波形とはならない。また、重なった部分は、上述したように、変位幅が小さくなるので、パルス波形の立ち上がりや立下りに発生する放射ノイズ(特に高調波ノイズ)が抑制される。
【0015】
また、本発明に係るブラシレスモータの駆動装置は、前記パルス移相手段が、前記第一変調パルスを前記第一変調パルスの1周期中のハイ側又はロウ側の何れかのパルス幅分移相することを特徴とすることができる。
【0016】
この特徴構成によれば、第一変調パルスが、第一変調パルスのパルス幅分移相されて、第二変調パルスが生成される。
第一変調パルスの変化点と第二変調パルスの変化点とは、少なくとも周期中の1ケ所で共通する。この共通の変化点において一方が立ち上がりの場合には、他方は立下りであるから、この変化点において発生する放射ノイズは互いに位相が180度反転したものとなる。従って、両変調パルスの変化点において発生する放射ノイズのエネルギーが相殺されて、放射ノイズが抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るブラシレスモータの駆動装置の構成を模式的に示す回路ブロック図である。図2は、図1に示した制御手段2の構成例を模式的に示すブロック図である。図3は、図1のインバータ1の駆動信号とステータコイルの端子電圧との関係を示す波形図である。
図1に示すように、ブラシレスモータ20は、永久磁石型のロータ22と、このロータ22に回転力を与えるための磁界を発生させる複数相のステータコイルを有するステータ21とを備える。本例では、ロータ22は、N極とS極とがそれぞれ2極ずつ、ロータ22の回転角度(機械角)で90度ずつ異ならされて配置された4極構造である。ステータ21は、U相、V相、W相の3相のステータコイル21U、21V、21Wを備える。ステータコイル21U〜21Wの一端は、電気的な中性点となる一点で共通に接続され、Y(スター)結線されている。他端は、後述するインバータ1に接続される。
【0018】
図1に示すように、直流電源Bから供給される電源電圧は、制御手段2によって制御されるインバータ1を介して、ステータコイル21U〜21Wに供給される。デカップリングコンデンサCは、インバータ1の電源電圧安定用のコンデンサである。シャント抵抗R3は、3相のステータコイル21U〜21Wに流れる電流の合計値としての電源電流を検出するもので、後述する電流検出手段12を構成する。
【0019】
インバータ1は、電源−グラウンド間、即ち、直流電源Bのプラス側とマイナス側との間に、2つのスイッチング素子を直列に接続し、これを3回線並列したブリッジ回路として構成されている。本例では、スイッチング素子にパワーMOSFET(以下、適宜単にFETと略称する。)が用いられている。電源側にはハイサイドスイッチとしてpチャネル型FET1a、1b、1cが、グラウンド側にはロウサイドスイッチとしてnチャネル型FET1d、1e、1fが用いられている。各FET1a〜1fには、フライホイール(Fly Wheel)ダイオードFD(以下、適宜単にダイオードと略称する。)が内蔵されている(フリーホイール(Free Wheel)ダイオードとも称す。)。もちろん、パワートランジスタなど、他の素子を用いて構成してもよいし、昇圧回路などを備えて全てnチャネル型を用いて構成してもよい。
【0020】
上述したステータコイル21U、21V、21Wの他端は、直列接続されるpチャネル型FET1a〜1cと、nチャネル型FET1d〜1fの接続点に接続される。即ち、FET1aと1dとの接続点にステータコイル21Uが、FET1bと1eとの接続点にステータコイル21Vが、FET1cと1fとの接続点にステータコイル21Wが、接続される。
【0021】
コンパレータ3U、3V、3Wは、位置検出手段3を構成するもので、ステータコイル21U〜21Wの端子電圧VU、VV、VWと基準電圧Zとを比較判定する。基準電圧Zは、電源電圧とグラウンドとの間を同じ抵抗値を有する抵抗器R1とR2とで分圧することにより与えられる。基準電圧Zは、電源電圧の1/2の電圧値を有して、上述した3相のステータコイル21U〜21Wの中性点に相当する仮想中性点となる。
コンパレータ3U〜3Wは、ステータコイル21U〜21Wの端子電圧VU〜VWが、電気的な中性点に相当する仮想中性点に対して高電位であるか低電位であるかを判定する。コンパレータ3U〜3Wの出力である位置検出信号SU、SV、SWは、2値化(デジタル化)された信号となって制御手段2へ入力される。
【0022】
図2に示すように、制御手段2は、位置判定手段4と通電信号形成手段5とを有している。
位置判定手段4は、コンパレータ3U〜3Wと共に位置検出手段3を構成するものである。入力された位置検出信号SU〜SWに基づいて、ロータ22の回転位置を検出する。
通電信号形成手段5は、位置判定手段4の検出結果(位置検出手段3の検出結果)に基づいて、ステータコイル21U〜21Wへの通電を切り替える通電信号PU、NU、PV、NV、PW、NWをインバータ1へ出力する。
【0023】
図3には、pチャネル型FETの通電信号PU、PV、PWの元信号と、nチャネル型FETの通電信号NU、NV、NWとが、ステータコイル21U〜21Wの端子電圧VU〜VWと共に示されている。
後述するように、インバータ1はパルス幅変調(PWM)制御される。PWM制御には、ハイサイドスイッチだけをPWM制御する上側PWM方式と、ロウサイドスイッチと共にPWM制御する上下交互PWM方式とがある。本例では、上側PWM方式を用いる例を挙げて説明する。通電信号の元信号PU0、PV0、PW0は、通電信号PU、PV、PWがPWM変調される前の信号である。
【0024】
3相Y結線のステータコイル21U〜21Wを有するブラシレスモータ20を120度2相励磁方式で駆動する場合、原則として常に1相が余ることになる。各コイルに流れる電流の方向は正負両方向あるので、通電状態は3相×2方向で6状態ある。電気角の1周期(360度)の間に、6状態があるので、1状態(図3の符号T0)は電気角で60度である。各相は、正負両方向に120度ずつ通電されるので、電気角の1周期中に2状態(60度+60度=120度)、非通電状態が存在する。
非通電状態である間、他相の通電によってロータ22は回転を続けるので、電磁誘導により非通電状態の相には誘導起電力が生じる。誘導起電力により、非通電状態の60度の間に、ステータコイル21U〜21Wの端子電圧VU〜VWは、電気的中性点を挟んで電流の正負の方向が反転する。ステータコイル21U〜21Wの端子電圧VU〜VWは、1状態の半分の30度近辺で電気的な中性点を通過することとなる。誘導起電力を利用したセンサレス型のブラシレスモータ20では、この中性点を通過するタイミングによって、ロータの回転位置を検出する。
【0025】
本例では、図3に示すように、ステータコイル21U〜21Wの端子電圧VU〜VWが、端子電圧VU〜VWが基準電圧Zを通過する通過点(クロスポイント)が、コンパレータ3U〜3Wによって検出される。
クロスポイントが検出されると、所定の待機期間T1をおいて、6種類の通電信号PU〜PW(元信号PU0〜PW0)、NU〜NWの内、何れか該当する通電信号をアクティブにする。待機期間T1は、ブラシレスモータ20の進み角が0度の場合、上述したように電気角として30度である。通電信号PU〜PW(元信号PU0〜PW0)は、それぞれpチャネル型のFET1a〜1cを駆動するもので、ロウアクティブ(Low active)の信号である。通電信号NU、NV、NWは、それぞれnチャネル型のFET1d〜1fを駆動するもので、ハイアクティブ(High active)である。
【0026】
ところで、励磁されていた相への通電が切り替えられても、その相に発生していた磁束にはその状態を維持しようとする性質がある。このため、磁束による逆起電力によって、この相にはしばらくフライホイール電流が流し続けられる。このフライホイール電流は、フライホイールダイオードFDによって還流される。
このため、端子電圧VU〜VWには、逆起電力、即ちフライホイール電流に起因するノイズFが重畳されている。このノイズFも、コンパレータ3U〜3Wによって2値化される。しかし、このノイズFは、通電信号の切り替え時に発生することが明らかである。従って、例えば待機時間T1よりも終点が遅いマスク期間などを設けて、ノイズFによる端子電圧VU〜VWの変化を検出しないようにすれば問題ない。
【0027】
図4は、図3に示した上側PWM方式によりPWM変調した駆動信号PU、NUとステータコイル21Uの端子電圧VUとの関係を示す波形図である。
図4に示すように、通電状態にあるU相のステータコイル21Uの端子電圧VUは、PWM制御のパルスに同期して、パルス状の波形を示す。図示は省略するが、通電時にステータコイル21Uに流れる電流の波形も概ね同様である。
【0028】
図5は、オーバーラップ通電を説明する波形図である。図5に示すように、クロスポイントを検出すると、待機時間T1を経過することなく通電信号をアクティブにする。これにより、切り替え前にアクティブとなっている他相の通電信号の終期と、切り替えられた相の始期とがオーバーラップする。
【0029】
図6は、オーバーラップ通電を行った場合のステータコイル21Uと21Vとの電流と、モータ電流との関係を示す波形図である。PWM変調され、オーバーラップしてアクティブとなった通電信号PU、PVにより、ステータコイル21U、21Vには、例えば図4に示したような電流波形IU、IVが現れる。ブラシレスモータ20全体に流れる電流、即ちシャント抵抗R3を流れる電流は、電流波形(検出信号IM)のように、重複した部分が突出して大きなものとなる。つまり、オーバーラップ通電しない場合と比べて、瞬時地(ピーク値)としては概ね2倍の電流が流れることになる。
【0030】
そこで、本発明では、重複して通電される一方の相の通電信号の変調パルスと、他方の相の変調パルスとの位相を異なるものとした。
図7は、ステータコイル21Uの通電信号PUを第一変調パルスP1で変調し、ステータコイル21Vの通電信号PVを第二変調パルスP2で変調し、両通電信号をオーバーラップさせた場合の例である。第一変調パルスP1の周期T2と、第二変調パルスP2の周期T3とは、同一であり、デューティー比TA:TBも同一である。従って、第二変調パルスP2は、第一変調パルスP1が、所定の位相T4だけ移相されたものである。
ここで、所定の位相T4を、例えば、第一変調パルスP1の1/2周期とすることができる。図7のように、第一変調パルスP1のデューティー比が50%以下の場合には、第一変調パルスP1と第二変調パルスP2とは、有効期間TAに全く重複部分を有さない。
【0031】
ここで、再び図2を参照し、図7に示した波形を実現するための制御手段2の構成について説明する。
上述したように、制御手段2は、ロータ22の回転位置を検出する位置判定手段4と、通電信号PU、NU、PV、NV、PW、NWをインバータ1へ出力する通電信号形成手段5とを有している。
通電信号形成手段5は、通電信号生成手段6と、パルス生成手段7と、パルス移相手段8と、パルス選択手段9と、変調手段10とを備えている。
【0032】
通電信号PUなどの元となる信号は、通電信号生成手段6で生成される。そして、変調手段10において、インバータ1を駆動する最終形態の通電信号に形成されて出力される。本例では、上側PWM方式を採用しているので、ハイサイドスイッチとしてのpチャネルFET1a〜1cを駆動する通電信号PU、PV、PWの3つのみが変調される。つまり、合成部10U、10V、10Wにおいて、通電信号の元信号PU0、PV0、PW0が変調信号P0と合成される。
【0033】
パルス生成手段7は、変調パルスP0としての第一変調パルスP1を生成する。パルス移相手段8は、第一変調パルスP1を移相して変調パルスP0としての第二変調パルスP2を生成する。例えば、パルス移相手段8は、上述したように、第一変調パルスP1を第一変調パルスP1の1/2周期移相する。
パルス選択手段9は、オーバーラップ通電される2つの相が互いに異なる変調パルスで変調されるように、第一変調パルスP1と第二変調パルスP2とを選択して合成部10U〜10Wに出力する。この選択は、例えば下記に示すように通電相の切り替えごとに、周回される。
【0034】
(1) U相:P1 V相:P2
(2) V相:P2 W相:P1
(3) U相:P2 W相:P1
(4) U相:P2 V相:P1
(5) V相:P1 W相:P2
(6) U相:P1 W相:P2
【0035】
このようにして、変調手段10は、重複して通電される一方の相の通電信号を第一変調パルスP1に基づいて変調し、他方の相の通電信号を第二変調パルスP2に基づいて変調する。つまり、オーバーラップ通電される2つの相を互いに異なる変調パルスP0で変調する。
【0036】
ところで、図4や図6に示したように、PWM制御されて励磁されるステータコイル21U〜21Wの端子電圧VU〜VWや、消費電流の検出信号IMも、パルス状の波形となる。従って、端子電圧VU〜VWや、消費電流の検出信号IMの値は、変調パルスP0に同期したタイミングで読み取られる必要がある。
図8は、オーバーラップしていない場合の、読み取りタイミング、つまりストローブポイントSPを模式的に示した波形図である。変調信号P0によって変調された通電信号PU〜PWの作用によって、端子電圧VU〜VWや、消費電流の検出信号IMも、パルス状の波形となるが、変化点には波形の乱れがある。つまり、スイッチングにより急峻な変化が発生するため、オーバーシュートやアンダーシュートが発生する。また、変化のタイミングは変調パルスP0に同期するが、回路(素子や配線)の伝播遅延により、位相は変調パルスP0よりも遅れる(図8のT5)。そこで、変調パルスP0の有効期間の終端を基準として所定期間T6後にストローブポイントSPが設けられる。
【0037】
本発明においては、変調パルスP0が複数種類存在するため、図8に示したように単純なストローブポイントSPでは不足する。図9に示すように、2相の通電がオーバーラップする期間では、2種類の変調パルスを基準としたストローブポイントSPを設ける必要がある。図9に示した例では、第一変調パルスP1の有効期間の終端から所定期間T7、第二変調パルスの有効期間の終端から所定期間T8後にストローブポイントSPを設定している。
【0038】
尚、移相の幅T4に関しては、図10に示すように設定することも可能である。つまり、パルス移相手段8が、第一変調パルスP1を第一変調パルスP1の1周期中のハイ側(TB)又はロウ側(TA)の何れかのパルス幅分移相するようにしてもよい。
この移相方法を用いれば、第一変調パルスP1の変化点と第二変調パルスP2の変化点とは、少なくとも周期T2の中の1ケ所で共通する。この共通の変化点において一方が立ち上がりの場合には、他方は立下りであるから、この変化点において発生する放射ノイズは互いに位相が180度反転したものとなる。従って、両変調パルスの変化点において発生する放射ノイズのエネルギーは相殺される。
【0039】
上述したストローブポイントSPとの関係では、オーバーラップ期間のストローブポイントSPが均等になる点で、1/2周期移相する方法が優れている。回路構成なども簡潔にできる可能性が高い。
しかし、変調パルスP0のデューティー比が50%を超える場合には、1/2周期移相する方法に比べて、この第一変調パルスP1のパルス幅分移相する方法が有利な点がある。これについて、図11を参照して以下に説明する。
【0040】
図11(a)は、デューティー比が50%を超える変調パルスP1を1/2周期移相して変調パルスP2を生成した場合の波形図である。この場合、第一変調パルスP1及び第二変調パルスP2の有効期間TAの始期と終期との両方に重複部分TC及びTDが生じる。このため、端子電圧VU〜VWや、消費電流の検出信号IMに対するストローブポイントSPを1周期T2の間に4つ設ける必要が生じる。
図11(b)は、デューティー比が50%を超える変調パルスP1を有効期間TAのパルス幅分移相して変調パルスP2を生成した場合の波形図である。この場合、第一変調パルスP1の有効期間TAの始期と、第二変調パルスP2の有効期間TAの終期とにのみ、重複部分TEが生じる。このため、端子電圧VU〜VWや、消費電流の検出信号IMに対するストローブポイントSPは1周期T2の間に3つ設けるのみでよい。
【0041】
このように、移相の方法には、一長一短があるため、ブラシレスモータの使用形態などに応じて適宜採用することが望ましい。もちろん、一つの装置において、両方の方法に対応し、変調パルスP0のデューティー比などに応じて、選択可能にしてもよい。
何れにせよ本発明の基本的な思想である、オーバーラップ通電される2つの相の通電信号を互いに異なる変調パルスで変調することにより、本発明に至った目的が達成される。つまり、本発明によって、ブラシレスモータをオーバーラップ通電すると共に、PWM制御することによって駆動する場合に、放射ノイズを抑制すると共に、良好にモータ消費電流の測定を可能とするブラシレスモータの駆動装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るブラシレスモータの駆動装置の構成を模式的に示す回路ブロック図
【図2】図1の制御手段の構成を模式的に示すブロック図
【図3】図1のインバータの駆動信号とステータコイルの端子電圧との関係を示す波形図
【図4】PWM変調された駆動信号とステータコイルの端子電圧との関係を示す波形図
【図5】オーバーラップ通電を説明する波形図
【図6】オーバーラップ通電を行った場合のステータコイルの電流とモータ電流との関係を示す波形図
【図7】図2の制御手段によるPWM制御を説明する波形図
【図8】PWM制御の変調パルスとステータコイル端子電圧検出、モータ電流検出の検出ポイントとの関係を示す波形図
【図9】図7に示すPWM制御を行った場合の変調パルスとステータコイル端子電圧検出、モータ電流検出の検出ポイントとの関係を示す波形図
【図10】図2の制御手段によるPWM制御の他の例を説明する波形図
【図11】図10に示すPWM制御の効果を説明する波形図
【符号の説明】
【0043】
7:パルス生成手段
8:パルス移相手段
10:変調手段
20:ブラシレスモータ
21U、21V、21W:ステータコイル
IM:モータ電流
PU0、PV0、PW0:生成時の通電信号
PU、PV、PW:pチャネルFETの通電信号
NU、NV、NW:pチャネルFETの通電信号
P0:変調パルス
P1:第一変調パルス
P2:第二変調パルス




 

 


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