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発明の名称 リンク式可動体のハーネス配索構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−181265(P2007−181265A)
公開日 平成19年7月12日(2007.7.12)
出願番号 特願2005−374691(P2005−374691)
出願日 平成17年12月27日(2005.12.27)
代理人 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
発明者 佐藤 邦彦 / 上原 建彦
要約 課題
自動車ドア等の可動体におけるワイヤハーネスの余長の管理ポイントを低減させて、常時給電の信頼性を高める。

解決手段
可動体1をリンクアーム2で固定体4に回動自在に支持させ、リンクアームに沿ってワイヤハーネス14を固定体から可動体に配索し、リンクアームの一端と可動体との間でワイヤハーネスを弛みなく固定し、リンクアームの他端から固定体にワイヤハーネスを屈曲自在に配索し、可動体開閉時のワイヤハーネスの余長を可動体側以外の部分で発生させ、余長をワイヤハーネスの屈曲で吸収させる。例えば、リンクアーム2にハーネスプロテクタを設け、ワイヤハーネスをハーネスプロテクタ内で屈曲させて余長吸収させる。リンクアーム2の一端と可動体との間でワイヤハーネスを可動体側の首振り部18に水平に固定した。
特許請求の範囲
【請求項1】
可動体をリンクアームで固定体に回動自在に支持させ、該リンクアームに沿ってワイヤハーネスを該固定体から該可動体に配索し、該リンクアームの一端と該可動体との間で該ワイヤハーネスを弛みなく固定し、該リンクアームの他端から該固定体に該ワイヤハーネスを屈曲自在に配索し、可動体開閉時の該ワイヤハーネスの余長を該可動体側以外の部分で発生させ、該余長を該ワイヤハーネスの屈曲で吸収させることを特徴とするリンク式可動体のハーネス配索構造。
【請求項2】
前記リンクアームにハーネスプロテクタを設け、前記ワイヤハーネスを該ハーネスプロテクタ内で屈曲させて前記余長を吸収させることを特徴とする請求項1記載のリンク式可動体のハーネス配索構造。
【請求項3】
前記リンクアームにスライドプロテクタを設け、該スライドプロテクタに前記ワイヤハーネスを配索固定し、可動体開閉時の可動体と固定体との間のハーネス余長を該スライドプロテクタで該固定体側に送り出し、該固定体側で該ワイヤハーネスを屈曲させて余長吸収させることを特徴とする請求項1記載のリンク式可動体のハーネス配索構造。
【請求項4】
前記可動体側で前記ワイヤハーネスに垂直な立ち上げ部を形成し、可動体開閉時に該立ち上げ部を周方向に捩らせることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のリンク式可動体のハーネス配索構造。
【請求項5】
前記リンクアームの一端と前記可動体との間で前記ワイヤハーネスを可動体側の首振り部に水平に固定したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のリンク式可動体のハーネス配索構造。
【請求項6】
前記首振り部が可撓性であることを特徴とする請求項5記載のリンク式可動体のハーネス配索構造。
【請求項7】
前記可動体がドアであり、前記固定体が車両ボディであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のリンク式可動体のハーネス配索構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体として例えば自動車のドアをリンクで開閉自在に支持し、リンクに沿って給電用のワイヤハーネスを配索するリンク式可動体のハーネス配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のリンク式可動体のハーネス配索構造の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
このリンク式可動体はリンク式ドア62であり、ドア62は略L字状の一本の支持アーム71で車両ボディ70にスイング自在に支持されたものである。支持アーム71はドア62の自重を支えるべく、高い剛性を有している。
【0004】
支持アーム71とは別に前後一対のリンクアーム65,66が平行に設けられ、各リンクアーム65,66の基端は車両ボディ70に回動自在に軸支され、各リンクアーム65,66の先端はスライダ64に回動自在に軸支され、スライダ64はドア側の水平なガイドレール63にスライド自在に係合している。
【0005】
ハーネス支持構造として、車両ボディ側からワイヤハーネス68が前側のリンクアーム66の外側面に沿って配索され、ホルダ72でリンクアーム66に固定され、ドア側のガイドレール内のスライダ64に続くキャタピラ状の外装部材69に沿って略U字ないしJ字状に屈曲しつつドア内に導入されて、ドア内の補機や電装品に接続されている。図6で向かって右側が車両前側である。
【0006】
補機等としては、例えばパワーウィンドモータやドアロックユニット、スピーカ、ドア開閉駆動装置等が挙げられる。これらの補機に常時給電を行うべく、ドア62の開閉ストロークを吸収する機構としてリンクアーム65,66とガイドレール63とスライダ64と外装部材69が採用されている。外装部材69はガイドレール63の下側の収容ケース67で受けられている。
【0007】
ドア62の全閉時に、支持アーム71やリンクアーム65,66は前方に伸長し、スライダ64はガイドレール63の前端側に移動し、ワイヤハーネス68の一方は外装部材69の屈曲動作で収容ケース67内に収容される。ワイヤハーネス68はリンクアーム66と共に回動する。
【0008】
ドア62の全開時に、リンクアーム65,66は図6のドア半開状態を維持し、支持アーム71が後方に伸長し、スライダ64がガイドレール63の後端側に移動し、ワイヤハーネス68は外装部材69と共に後方へ長く引き出される。
【特許文献1】特開平10−175483号公報(図5,図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のリンク式可動体のハーネス配索構造にあっては、支持アーム71の他に一対のリンクアーム65,66を必要とするために、構造が複雑化、高コスト化するという問題があった。また、ワイヤハーネス68の余長吸収を行うべく、ガイドレール63やスライダ64やキャタピラ式の外装部材69等を必要とするために、これによっても構造が複雑化、高コスト化するという問題があった。さらに、ドア62を開閉した際に、リンクアーム66の基端側(車両ボディ70側)でワイヤハーネス68が弛んだり引っ張られたりするために、ドア側での余長吸収に加えて、車両ボディ側においてもワイヤハーネス68がリンクアーム66等に噛み込んだりしないように配慮しなければならず(ドア側と車両ボディ側との両方に管理ポイントがあるため)、常時給電を確実に行わせるための設計や管理等が大変であるという問題があった。
【0010】
なお、可動体として自動車のドア以外のドアやその他の可動体を用いた場合においても、上記リンク式可動体のハーネス配索構造を適用した場合には、上記同様の問題を生じる懸念があった。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑み、構造を簡単且つ低コスト化すると共に、ワイヤハーネスの余長の管理ポイントを低減させて、常時給電の信頼性を高めることのできるリンク式可動体のハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るリンク式可動体のハーネス配索構造は、可動体をリンクアームで固定体に回動自在に支持させ、該リンクアームに沿ってワイヤハーネスを該固定体から該可動体に配索し、該リンクアームの一端と該可動体との間で該ワイヤハーネスを弛みなく固定し、該リンクアームの他端から該固定体に該ワイヤハーネスを屈曲自在に配索し、可動体開閉時の該ワイヤハーネスの余長を該可動体側以外の部分で発生させ、該余長を該ワイヤハーネスの屈曲で吸収させることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、可動体がリンクアームのみで固定体に支持され、リンクアームが可動体の支持とワイヤハーネスの配索経路との両方を荷担する。そして、可動体側においてワイヤハーネスが弛みの発生なくしっかりと固定され、可動体開閉時のリンクアームの揺動に伴って発生したハーネス余長は、例えばリンクアームに沿うハーネス部分の屈曲動作や、固定体側におけるワイヤハーネスの屈曲動作で吸収される。このようにして、ワイヤハーネスの余長の管理ポイントが固定体側のみに限定される。リンクアームの揺動に伴うハーネス余長の発生は、リンクアームの軸中心とワイヤハーネスの配索中心との位置ずれや、固定体に対する可動体開閉時のワイヤハーネスの位置の相違等に起因する。
【0014】
請求項2に係るリンク式可動体のハーネス配索構造は、請求項1記載のリンク式可動体のハーネス配索構造において、前記リンクアームにハーネスプロテクタを設け、前記ワイヤハーネスを該ハーネスプロテクタ内で屈曲させて前記余長を吸収させることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、可動体の開閉に伴って、ワイヤハーネスの可動体側で本来であれば生じようとする余長(ワイヤハーネスは可動体側で弛みなくしっかり固定されているので、可動体側では余長は発生しない)が、ハーネスプロテクタ内で発生し、ハーネスプロテクタ内で余長部が波状等に屈曲することで吸収される。ハーネスプロテクタ内で全ての余長が吸収されなくてもよく、その場合は固定体側においてワイヤハーネスが屈曲することで余長吸収される。ハーネスプロテクタとしては既存の矩形筒状のプロテクタを使用し、リンクアームに係止クリップやボルト等で固定させる。
【0016】
請求項3に係るリンク式可動体のハーネス配索構造は、請求項1記載のリンク式可動体のハーネス配索構造において、前記リンクアームにスライドプロテクタを設け、該スライドプロテクタに前記ワイヤハーネスを配索固定し、可動体開閉時の可動体と固定体との間のハーネス余長を該スライドプロテクタで該固定体側に送り出し、該固定体側で該ワイヤハーネスを屈曲させて余長吸収させることを特徴とする。
【0017】
上記構成により、可動体の開閉に伴って、ワイヤハーネスの可動体側で本来であれば生じようとする余長(ワイヤハーネスは可動体側で弛みなくしっかり固定されているので、可動体側では余長は発生しない)が、スライドプロテクタのスライド動作で固定体側にスムーズ且つ確実に送り出されて、固定体側のワイヤハーネスの屈曲部に加算される。これにより、固定体側のみでの余長の発生と吸収とが確実に行われる。スライドプロテクタとしては、例えばアウタプロテクタとインナプロテクタで構成され、アウタプロテクタがリンクアームに固定され、インナプロテクタにワイヤハーネスが固定され、インナプロテクタがアウタプロテクタ内にスライド自在に係合する形態のもの等を使用可能である。
【0018】
請求項4に係るリンク式可動体のハーネス配索構造は、請求項1〜3の何れかに記載のリンク式可動体のハーネス配索構造において、前記可動体側で前記ワイヤハーネスに垂直な立ち上げ部を形成し、可動体開閉時に該立ち上げ部を周方向に捩らせることを特徴とする。
【0019】
上記構成により、しっかりと固定された可動体側のワイヤハーネスが立ち上げ部の捩り動作で可動体開閉時のアームリンクの揺動(回動)に伴う歪みを吸収する。立ち上げ部は可動体側のプロテクタに沿って配索されることが好ましい。立ち上げ部は下端側が拘束されず、上端側が可動体側のプロテクタ又は可動体パネル(プロテクタを用いない場合)に固定される。請求項1記載の発明の場合は、リンクアームから水平に導出されたハーネス部分が直に垂直な立ち上げ部に続く。請求項2記載の発明の場合は、ハーネスプロテクタから水平に導出されたハーネス部分が直に垂直な立ち上げ部に続く。請求項3記載の発明の場合は、スライドプロテクタから水平に導出されたハーネス部分が直に垂直な立ち上げ部に続く。
【0020】
請求項5に係るリンク式可動体のハーネス配索構造は、請求項1〜4の何れかに記載のリンク式可動体のハーネス配索構造において、前記リンクアームの一端と前記可動体との間で前記ワイヤハーネスを可動体側の首振り部に水平に固定したことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、可動体開閉時のリンクアームの揺動に伴って可動体側の首振り部がワイヤハーネスの水平部分と一体的に揺動する。揺動時に首振り部におけるワイヤハーネスの水平部分の長さは不変であり、首振り部はワイヤハーネスの水平部分を余長なくしっかりと保持する。ワイヤハーネスの水平部分は立ち上げ部に続く。首振り部は可動体側のハーネスプロテクタに一体に設けられることが好ましい。
【0022】
請求項6に係るリンク式可動体のハーネス配索構造は、請求項5記載のリンク式可動体のハーネス配索構造において、前記首振り部が可撓性であることを特徴とする。
【0023】
上記構成により、可動体開閉時に可撓性の首振り部がワイヤハーネスと共に柔軟に屈曲しつつ、リンクアーム側や固定体側にワイヤハーネスの余長部をスムーズに送り出す。首振り部はワイヤハーネスの水平部分と共に比較的大きな屈曲半径でスムーズに屈曲し、ワイヤハーネスの小さな屈曲半径での折れ曲がりを阻止する。可撓性の首振り部は薄板状であることが、樹脂成形性やワイヤハーネスの固定性の点から好ましい。
【0024】
請求項7に係るリンク式可動体のハーネス配索構造は、請求項1〜6の何れかに記載のリンク式可動体のハーネス配索構造において、前記可動体がドアであり、前記固定体が車両ボディであることを特徴とする。
【0025】
上記構成により、上記請求項1〜6の何れかに記載されたリンク式可動体のハーネス配索構造において、可動体をドアに、固定体を車両ボディにそれぞれ置き換えた形態として上記同様の作用効果が奏される。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明によれば、リンクアームのみで可動体の支持とワイヤハーネスの配索経路との両方を担うことで、構造が簡素化・低コスト化されると共に、ワイヤハーネスの余長の発生部位を可動体側以外の部分に限定することで、余長の発生を考慮した車両の設計が容易化する。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、可動体側に発生しようとするハーネス余長がハーネスプロテクタ内で発生及び吸収されることで、余長の発生を考慮した車両の設計が一層容易化する。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、可動体側に発生しようとするハーネス余長がスライドプロテクタで固定体側に送り出されて、固定体側のみで確実にハーネス余長の発生と吸収とが行われることで、余長の発生を考慮した車両の設計が一層容易化する。また、可動体側に較べて固定体側には余長吸収のためのスペースに余裕があることで、上記効果が促進され、さらに、ワイヤハーネスの余長の発生に伴うワイヤハーネスの自由状態(非拘束状態)における屈曲部位が一箇所に限定されることで、屈曲に伴うワイヤハーネスの傷み等の懸念が減少され、常時給電の信頼性が向上する。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、可動体開閉時のリンクアームの揺動に伴って可動体側のワイヤハーネスが捩れることで、可動体側のワイヤハーネスの余長が不要となり、可動体側以外の部分(リンクアームに沿う部分や固定体側の部分)で確実に余長を発生吸収させることができ、請求項1〜3記載の発明の効果が促進される。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、リンクアームの揺動に伴って首振り部がワイヤハーネスを常に一定の長さで保持しつつ揺動するから、可動体側における余長の発生が確実に防止され、請求項1〜4記載の発明の効果が促進される。
【0031】
請求項6記載の発明によれば、可撓性の首振り部で可動体側のワイヤハーネスが比較的大きな屈曲半径で揺動自在に支持されることで、可動体側での余長の発生が防止されつつワイヤハーネスの屈曲耐久性が向上する。
【0032】
請求項7記載の発明によれば、車両ボディからリンク式ドアまでのワイヤハーネスの配索に伴う設計コストや管理コスト等が低減され、車両コストの低減が可能になると共に、ドアの開閉に伴うワイヤハーネスの耐久性が高まり、ドア内の補機への常時給電の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、本発明に係るリンク式可動体のハーネス配索構造の一実施形態の概要例を示すものである。
【0034】
このリンク式可動体は自動車のリンク式ドア1であり、リンク式ドア1はリンクアーム2で固定体である車両ボディ4にスイング(回動)自在に支持されている。リンクアーム2は鉄やアルミ合金等の金属材で高い強度及び剛性を存して形成されている。なお、リンクアーム2の上方に対向して他のリンクアーム(図示せず)を設けたり、リンクアーム2の前又は後に平行に他のリンクアーム(図示せず)を設けたり、あるいはリンクアーム2とは別にガイドレール(図示せず)でドア1を支持したりすることも可能である。
【0035】
リンクアーム2の先端部はドア(可動体)側のリンクブラケット5に軸部7で回動自在に支持され、リンクアーム2の基端部は車両ボディ側のリンクブラケット6に軸部7で回動自在に支持されている。車両ボディ(固定体)側のリンクブラケット6はロッカパネル8の内側に配置されている。前後一対の平行なリンクアームを用いる場合は、一対のリンクアームは左右一対の長いリンクブラケットで連結される。
【0036】
図1で向かって左側が車両前側、右側が車両後側である。図1で実線がドア1の全開状態、鎖線がドア1の全閉状態をそれぞれ示している。ドア1の全開時にリンクアーム2は車両ボディ4の外側に突出して斜め後方に延び、ドア1の前側に乗降用の開口9が形成され、ドア1と車両ボディ4との間に渡り空間10が形成され、ドア1の全閉時にリンクアーム2は前側に倒れ、ドア1と車両ボディ4は密着する。ドア1の開閉時にリンクアーム2は揺動し、各リンクブラケット5,6は常に平行に位置する。
【0037】
リンクアーム2の外側面(前側の側面)に合成樹脂製のスライドプロテクタ11が水平に配設されている。スライドプロテクタ11は矩形筒状のアウタプロテクタ12と、アウタプロテクタ12よりも一廻り幅狭なインナプロテクタ13とで構成され、アウタプロテクタ12がドア寄りに位置してリンクアーム2に不動に固定され、インナプロテクタ13が車両ボディ寄りに位置して、アウタプロテクタ12内をスライド自在となっている。
【0038】
スライドプロテクタ内にワイヤハーネス(複数本の丸型絶縁電線)14が挿通され、アウタプロテクタ12の先端からワイヤハーネス14の一方の部分14aがドア1側に導出され、インナプロテクタ13の先端からワイヤハーネス14の他方の部分が車両ボディ4側に導出されている。ワイヤハーネス14はインナプロテクタ13に固定されており、アウタプロテクタ12には固定されていない。
【0039】
ワイヤハーネス14の一方の部分14aは、例えば図2に示すドア側のハーネスプロテクタ15に沿って垂直に立ち上げられ(立ち上げ部を14a1で示す)、さらに図1の横長のプロテクタ16に沿って水平に配索されつつ(水平部を符号14a2で示す)、プロテクタ16の上部から垂直に導出されて、弾性の防水グロメット17を経てドアインナパネル1aの内側に配索されている。両プロテクタ15,16は一体に樹脂成形してもよい。
【0040】
図2のプロテクタ15は合成樹脂を材料として、水平方向に突出した可撓性の首振り部18と、首振り部18に直交して上向きに延びる垂直板部19と、垂直板部19の上部に設けられたドア固定用の係止クリップ20とを備えている。首振り部18の主体部は薄板状に形成され、板厚方向が水平方向に一致し、板幅方向が垂直方向に一致している。首振り部18を可撓板部又は可撓部と呼称してもよい。
【0041】
ワイヤハーネス14の一方の部分14aは首振り部18の先端の厚肉の板部21側にテープ巻きやバンド等で水平に固定され、90゜方向に屈曲されつつ垂直板部19に沿って立ち上げられている(立ち上げ部を符号14a1で示す)。厚肉の板部21は可撓性ではない。ドア1の開閉に伴って、図2(a)(b)の如くワイヤハーネス14が首振り部18と一体的に首振り動作を行うと共に、垂直板部19に沿う立ち上げ部14a1が周方向に捩れ動作を行って、リンクアーム2の回動に対応する(回動に伴うハーネス撓みを吸収する)。図2のプロテクタ15においてワイヤハーネス14は弛みなくしっかりと固定され、ドア開閉に伴う余長を何ら発生することがない。
【0042】
図1において、ワイヤハーネス14の他方の部分14bはスライドプロテクタ11から車両ボディ4のロッカパネル8に沿って余長をもって前向きに水平に配索され、ロッカパネル8の孔部22から車両ボディ内に配索され、孔部22において弾性の防水グロメット23で保持され、スライドプロテクタ11から防水グロメット23までの間で合成樹脂製の屈曲自在な保護チューブ(コルゲートチューブ)24で保護されている。
【0043】
スライドプロテクタ11はドア1の全開時に伸長し、ドア1の全閉時に圧縮される。スライドプロテクタ11の伸長に伴ってワイヤハーネス14はドア側から車両ボディ側に押し出され、車両ボディ側にハーネス余長が集中する。
【0044】
この動作は、後述の図4にも示す如く、ドア全閉時にドア側のプロテクタ15からスライドプロテクタ11までの間でワイヤハーネス14の水平部14a2が軸部7の外側を略U字状に大きく迂回し、ドア全開時に迂回した部分14a3がほぼ直線的に伸ばされてスライドプロテクタ内に進入することに起因する。また、スライドプロテクタ11がリンクアーム2,3の軸中心から車両ボディ側のハーネス固定点寄りに偏心して配置され、ドア全閉時のスライドプロテクタ11が車両ボディ側のハーネス固定点に近づくことにも起因する。ハーネス固定点は例えばグロメット23の部分あるいはコルゲートチューブ24をロッカパネル8に固定した部分(符号25の付近)のことである。
【0045】
ワイヤハーネス14の他方の部分14bは、ドア1の全開時にスライドプロテクタ11からロッカパネル8にかけて実線の如く大きな半径でなだらかに屈曲し、ドア1の全閉時にスライドプロテクタ11からロッカパネル8にかけて鎖線の如く比較的小さな半径で折り返されつつ屈曲し(屈曲部を符号26で示す)、それによってハーネス余長を吸収する。
【0046】
このように、ワイヤハーネス14をドア側において固定しつつプロテクタ15の首振り部18で揺動自在に支持し、車両ボディ側においてのみワイヤハーネス14の余長を発生及び吸収させるようにしたから、余長の管理ポイントが一箇所(車両ボディ側)に絞られ、常時給電を確実に行わせるための設計や管理が容易化され、常時給電の信頼性が向上する。
【0047】
図3〜図4は、本発明に係るリンク式可動体のハーネス配索構造の一実施形態の詳細例を示すものである。この詳細例は基本的に図1の概要例と同様であり、図1と同様の構成作用部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
図3は、図1とは前後を逆にして作図したドア(可動体)全開状態の平面図、図4は同じくドア全閉状態の平面図であり、車両ボディ(固定体)4のロッカパネル8が断面略コの字状に水平方向に形成され、ドア1のインナパネル1a(一部を示す)がドア底部1bから垂直に立ち上げられている。
【0049】
ワイヤハーネス14はロッカパネル8の水平な溝部27からリンクアーム2側のスライドプロテクタ11を通ってドア側のプロテクタ部分15(図1)で揺動自在に固定されつつ捩り自在に立ち上げられて(立ち上げ部を符号14a1で示す)、インナパネル1aに沿って配索されている。インナパネル1aにはドアトリム(図示せず)が装着され、プロテクタ部分15はインナパネル1とドアトリムとの間に位置する。
【0050】
ロッカパネル8の溝部27内にヒンジブラケット6が配置固定され、ワイヤハーネス14はスライドプロテクタ11から溝部27内を通ってロッカパネル8の孔部32から車両ボディ内に配索され、孔部32において弾性の防水グロメット33で防水されている。
【0051】
リンクアーム2は剛性の高い金属材で例えば矩形筒状に形成され、車両ボディ4へのドア1の支持と、車両ボディ4からドア1へのワイヤハーネス14の配索との両方の役目を果たしている。リンクアーム2は軸部7で左右のリンクブラケット5,6に回動自在に支持されている。一例としてリンクアーム2の揺動角度は120゜程度である。
【0052】
リンクアーム2の前側面にスライドプロテクタ11が配設されている。なお、スライドプロテクタ11をリンクアーム2の後壁面又は上壁面又は下壁面に配置することも可能である。スライドプロテクタ11をリンクアーム2の後壁面に配置する場合は、ワイヤハーネス14をリンクブラケット6とリンクアーム2との間の隙間から導出させることが好ましい。スライドプロテクタ11をリンクアーム2の前壁面に配置したのは、ワイヤハーネス14をロッカパネル8に沿って前側に導出させるためである。
【0053】
図5にスライドプロテクタ11の一形態を示す如く、アウタプロテクタ12は、矩形筒状部40と、先端側(ドア側)の湾曲状のガイド部41と、基端側のインナ導入用の幅広部42とで構成され、インナプロテクタ13は、矩形筒状部43と、その先端側(車両ボディ側)のハーネス固定板(ガイド板)44と、基端側のハーネス固定板45とで構成されている。固定板44,45にワイヤハーネスがテープ巻き等で固定される。アウタプロテクタ12にはワイヤハーネス14は固定されない。固定板44,45の何れか一方を廃除することも可能である。
【0054】
アウタプロテクタ12がリンクアーム2(図3)に一体の係止クリップ等で固定され、インナプロテクタ13はアウタプロテクタ内をリンクアーム2の長手方向に進退自在である。係止クリップ(図示せず)は支柱部の先端に一対の傾斜状の爪部を設け、爪部をリンクアームの孔部に係合させる既存のものである。アウタプロテクタ12に対するインナプロテクタ13の長さは適宜設定可能であるが、スライド動作をスムーズに行わせるためには、両プロテクタ12,13を同程度の長さにすることが好ましい。
【0055】
図3において、スライドプロテクタ11からドア側に導出されたワイヤハーネス部分14aは、ハーネスプロテクタ47の可撓性の首振り部18(図2)の先端側の固定板21(図2)にテープ巻き等で水平に固定され、プロテクタ47内でほぼ垂直に立ち上げられて(立ち上げ部を符号14a1で示す)、プロテクタ47に沿って後方に水平に、且つ水平から垂直に立ち上げられてドアインナパネル1aに配索されている。
【0056】
プロテクタ47は、車両ボディ4に向けて水平に突出した薄板状の首振り部18と、首振り部18に続く略クランク形状の樋状部とで構成されるプロテクタ本体と、樋状部のハーネス挿通開口を塞ぎ、樋状部に係止手段で係止される板状のカバーとで構成されている。樋状部は上下の垂直部(垂直なプロテクタ部分)15,54と中間の水平部(水平なプロテクタ部分)16とで構成され、上側の垂直部54は傾斜部で水平部16に続き、首振り部18は下側の垂直部15の内側の側壁にほぼ同一面で続いている。
【0057】
上側の垂直部54に続く固定板にワイヤハーネス14(図3)がテープ巻き等で固定され、ドアインナパネル1aの溝部内に嵌合した弾性の貫通レスグロメット17(図1)で防水されている。カバーは中間の水平部16と上側の垂直部54との開口を塞いで、ワイヤハーネス14を樋状部内に保持する。プロテクタ47はドアインナパネル1aに表面実装される貫通レスプロテクタである。
【0058】
図3の如く、ドア1に断面コの字状のリンクブラケット5が固定され、ドア側のプロテクタ47の中間の水平部16がリンクブラケット5の上壁面に配置されて、係止クリップ58等でドアインナパネル1aに固定され、下側の垂直部15(図1)がリンクアーム2の軸部7(図4)よりも前側で前側のリンクアーム2に沿ってリンクブラケット5の内側に位置し、上側の垂直部54がリンクブラケット5の上方で縦に延びている。
【0059】
図3のドア全開時に、ワイヤハーネス14はドア側のプロテクタ47で固定されつつ、プロテクタ47の可撓性の首振り部18(図2)で前向きに首を振った状態に支持され、スライドプロテクタ11でリンクアーム2に沿って斜め前方に真直に配索され、スライドプロテクタ11からロッカパネル8にかけて大きな屈曲半径で滑らかに湾曲している。ワイヤハーネス14がロッカパネル8側に引っ張られることで、スライドプロテクタ11は長く伸びている。
【0060】
図3のドア全開から図4の如くドア1を前方に閉じることで、ワイヤハーネス14はドア側のプロテクタ47で固定されつつ、軸部7の前方においてプロテクタ47の首振り部18で後向きに首を振った状態に支持され、ハーネス水平部14a2が外側に迂回した状態に屈曲し(迂回部を符号14a3で示す)、スライドプロテクタ11内でワイヤハーネス14はリンクアーム2に沿って斜め後向きに位置する。
【0061】
ハーネス水平部14a2が外側に迂回し、ハーネス立ち上げ部14a1からアウタプロテクタ12の先端41aの位置が遠ざかり、且つインナプロテクタ13が図3のドア全開時よりもロッカパネル側に近づいたことで、ワイヤハーネス14がインナプロテクタ13との間で長手方向に圧縮され、インナプロテクタ13がアウタプロテクタ12内に進入して、スライドプロテクタ11が短縮されつつ、ワイヤハーネス14が略U字ないしJ字状に折り返して屈曲される(屈曲部を符号26で示す)。このワイヤハーネス14の屈曲動作でワイヤハーネス14の余長が吸収される。
【0062】
図4のドア全閉状態から図3のドア全開状態に至る間で、ワイヤハーネス14の迂回部14a3が伸ばされ、アウタプロテクタ12の先端41aがハーネス立ち上げ部14a1に近づき、且つスライドプロテクタ11が車両ボディ側から遠ざかることで、ワイヤハーネス14がスライドプロテクタ11から車両ボディ側に繰り出され且つ引き出されつつ大きな屈曲半径でハーネス部分14cが無理なくなだらかに湾曲して余長吸収される。
【0063】
このように、ワイヤハーネス14をドア側において固定しつつプロテクタ47の首振り部18で揺動自在に支持し、車両ボディ側においてのみワイヤハーネス14の余長を発生及び吸収させるようにしたから、余長の管理ポイントが一箇所に絞られ、常時給電を確実に行わせるための設計や管理が容易化され、常時給電の信頼性が向上する。
【0064】
上記実施形態においてはスライドプロテクタ11を用いたが、第二の実施形態として、スライドプロテクタ11を廃除し、矩形筒状の一本のハーネスプロテクタ(図示せず)を用い、ハーネスプロテクタ内にワイヤハーネス14を波状等に屈曲させて収容することで、スライドプロテクタ11の伸縮動作の代わりとすることが可能である。この場合、ワイヤハーネス14は、ドア(可動体)1の全開時にプロテクタ内で直線的に伸長し、ドア1の全閉時にプロテクタ内で波状ないし螺旋状等に屈曲する。
【0065】
また、上記実施形態においてはスライドプロテクタ11としてアウタプロテクタ12とインナプロテクタ13を伸縮自在に係合させたが、例えばリンクアーム2に沿ってレール(図示せず)を設け、レールに一本の筒状のスライドプロテクタをスライド自在に係合させ、スライドプロテクタにワイヤハーネス14を挿通且つ固定することも可能である。
【0066】
また、上記実施形態においては、車両ボディ(固定体)のロッカパネル側においてワイヤハーネスを露出させた状態で配索したが、このワイヤハーネスの露出部分(符号14cで代用)にコルゲートチューブを装着したり、あるいは弾性の防水グロメットや首振り式のプロテクタ(図示せず)を装着することも可能である。
【0067】
また、ドア(可動体)側のプロテクタ47は、ワイヤハーネス14を余長の発生なくしっかりと固定するものであれば、形状は適宜設定可能である。また、プロテクタ47の首振り部18は板状に限らず棒状等であってもよく、スライドプロテクタ11から導出されたワイヤハーネス部分14aを水平ないしほぼ水平に支持且つ固定して、ドア開閉時にワイヤハーネス14の立ち上げ部14a1を支点にハーネス部分14aを等しい長さで前後に揺動させ(ワイヤハーネス14は首振り部18に固定されているから、揺動時に首振り部18におけるハーネス部分14aの長さは常に一定である)、且つ立ち上げ部14a1をスムーズに捩り動作させるようにするものであれば、可撓性のものでなくともよい。首振り部18をプロテクタ15,47とは別体にドア1のインナパネル1a等に設けることも可能である。
【0068】
また、プロテクタ47の首振り部18を廃除して、プロテクタ47内でワイヤハーネス14の立ち上げ部14a1を捩り動作可能に支持させることも可能である。この場合、例えば立ち上げ部14a1はプロテクタ47の垂直部15よりも狭い筒状の垂直部内に収容され、立ち上げ部14a1の下側に続くワイヤハーネス14の水平部分14a2(図4)が、プロテクタ47の垂直部の下部に設けた狭い開口からスライドプロテクタ11側に導出されるようにすることが好ましい。
【0069】
また、リンク式可動体として自動車のリンク式ドア以外に、電車や機関車等のリンク式ドアや、加工機械や検査装置等のリンク式ドアやリンク式カバー等に上記リンク式可動体のハーネス配索構造を適用することも可能である。この場合、電車や機関車等の車両ボディや加工機械の機械ボディや検査装置の装置ボディ等が固定体と呼称される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係るリンク式可動体のハーネス配索構造の概要例を示す斜視図である。
【図2】(a)(b)は同じくハーネス配索構造で使用する可動体側のプロテクタの一例を作用的に示す斜視図である。
【図3】同じくリンク式可動体のハーネス配索構造の詳細例を示す可動体全開状態の平面図である。
【図4】同じくリンク式可動体のハーネス配索構造の詳細例を示す可動体全閉状態の平面図である。
【図5】ハーネス配索構造で使用するスライドプロテクタの一例を示す分解斜視図である。
【図6】従来のリンク式可動体のハーネス配索構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1 ドア(可動体)
2 リンクアーム
4 車両ボディ(固定体)
11 スライドプロテクタ
14 ワイヤハーネス
14a1 立ち上げ部
18 首振り部




 

 


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