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発明の名称 ハーネス用回転クランプとそれを用いたハーネス配索構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−159217(P2007−159217A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−348798(P2005−348798)
出願日 平成17年12月2日(2005.12.2)
代理人 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
発明者 木暮 直人
要約 課題
ワイヤハーネスと近傍の部材との干渉を防止して、ワイヤハーネスの耐久性と常時給電の信頼性を向上させる。

解決手段
ワイヤハーネス43を保持するインナクランプ57と、インナクランプを回動自在に支持するアウタクランプ4とを備えるハーネス用回転クランプ1で、インナクランプ57を一方向に回動自在とし、一方向とは直交する他方向へのインナクランプの回動を抑止した。スライド構造体41から固定構造体47側のハーネス用回転クランプ1にワイヤハーネス43を揺動自在に配索し、ワイヤハーネスの揺動方向を一方向と一致させ、他方向に位置する部材72とワイヤハーネスとの干渉を防止した。ワイヤハーネスの平形の保護チューブ64’の短径方向を一方向と一致させ、長径方向を他方向と一致させた。
特許請求の範囲
【請求項1】
ワイヤハーネスを保持するインナクランプと、該インナクランプを回動自在に支持するアウタクランプとを備えるハーネス用回転クランプにおいて、前記インナクランプを一方向に回動自在とし、該一方向とは直交する他方向への該インナクランプの回動を抑止したことを特徴とするハーネス用回転クランプ。
【請求項2】
前記インナクランプが前記アウタクランプに一対の凸部と一対の凹部との係合で回動自在に支持されたことを特徴とする請求項1記載のハーネス用回転クランプ。
【請求項3】
前記凹部と前記凸部との間に隙間が設けられ、前記インナクランプが前記他方向に少し回動可能であることを特徴とする請求項2記載のハーネス用回転クランプ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のハーネス用回転クランプを用いたハーネス配索構造であって、スライド構造体から固定構造体側の該ハーネス用回転クランプに前記ワイヤハーネスを揺動自在に配索し、該ワイヤハーネスの揺動方向を前記一方向と一致させ、前記他方向に位置する部材と該ワイヤハーネスとの干渉を防止したことを特徴とするハーネス用回転クランプを用いたハーネス配索構造。
【請求項5】
前記ワイヤハーネスの平形の保護チューブの短径方向を前記一方向と一致させ、長径方向を前記他方向と一致させたことを特徴とする請求項4記載のハーネス用回転クランプを用いたハーネス配索構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のスライドドア等に車両ボディ等から常時給電を行うべくワイヤハーネスを揺動自在に配索させるためのハーネス用回転クランプとそれを用いたハーネス配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4〜図5は、従来の自動車のスライドドア用の給電装置とそのハーネス配索構造の一形態を示すものである(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この給電装置50は、スライドドア41に縦置きに搭載される合成樹脂製のプロテクタ42と、プロテクタ内でワイヤハーネス43を上向きに屈曲させた状態に付勢する板ばね44と、車両ボディ47側に設置され、ワイヤハーネス43を周方向回動自在に支持する回転クランプ51とを備えたものである。
【0004】
プロテクタ42はベースとカバー(図示せず)とで構成され、ベースは垂直な基板部52と基板部52の外周の周壁53とを備え、基板部52に対向してカバーを組み付けた状態で下端側にハーネス導出用の横長の開口45が形成される。
【0005】
プロテクタ42の前側の開口54からワイヤハーネス43の一方の部分43aがスライドドア側に配索されて、ドア側の補機等にコネクタ接続され、ワイヤハーネス43の他方の部分43bがスライドドア41と車両ボディ47との間(渡り部ないし渡り空間)46を経て車両ボディ47のステップ部48の近傍でハーネス用回転クランプ(以下単に回転クランプと呼称する)51で支持され、回転クランプ51を経た位置で車両ボディ側(電源側)のワイヤハーネス(図示せず)とコネクタ接続されて、スライドドア41への常時給電が可能となっている。
【0006】
図4はスライドドア41の閉じ(全閉)状態、図5はスライドドア41の開き(半開)状態をそれぞれ示しており、図4の閉じ状態でワイヤハーネス43はプロテクタ内の板ばね44の付勢力に抗して回転クランプ51を支点に後方に引っ張られ、図5の半開状態でプロテクタ42が回転クランプ51に最接近することで、ワイヤハーネス43が垂れ下がろうとするが、板ばね44がワイヤハーネス43を上向きに付勢して垂れ下がりを阻止する。これにより、スライドドア41と車両ボディ47との間へのワイヤハーネス43の挟み込み等が防止される。
【0007】
図5の半開状態から更にスライドドア41を後方へスライドさせることで、ワイヤハーネス43が板ばね44の付勢力に抗して回転クランプ51を支点に前方に引っ張られる。なお、スライドドア41は全閉から開き始めた時点で車両ボディ47のガイドレール(図示せず)の湾曲部に沿って車両ボディ47から外側に離間する。
【0008】
図6〜図7は、従来のハーネス用回転クランプとそれを用いたハーネス配索構造の形態例を示すものである(特許文献2参照)。図6と図7のハーネス用回転クランプ51は先端側のラッパ状のハーネスガイド壁55の有無の点で相違するが、同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0009】
本例の回転クランプ51は、上下に分割可能な(図6で分割面を符号60で示す)略矩形筒状のアウタクランプ56と、アウタクランプ内に回転自在に収容される略球状(丸型)のインナクランプ57とで構成されている。アウタクランプ56は中央寄りの位置に断面円弧状の前後のインナ支持面58を有し、前後のインナ支持面58の間に断面円弧状の幅広の溝部59を有している。溝部59は周方向(アウタクランプ周方向)にも延長されている。
【0010】
インナクランプ57は径方向(ハーネス径方向)に二分割可能に形成され、外周面61の中央に一対の突起62を対称に有している。突起62が溝部59に前後上下に移動自在に係合している。ここで「前後」とはハーネス挿通方向のことである。
【0011】
インナクランプ57のハーネス挿通孔63の内周には、ワイヤハーネス43の外周の保護チューブである合成樹脂製のコルゲートチューブ64の凹溝65に係合するリブ67が突設されている。コルゲートチューブ64は周方向の凹溝65と凸条66をチューブ長手方向に交互に蛇腹状に配列して良好な屈曲性を付与したものである。図6においてコルゲートチューブ64は回転クランプ51で終端し(インナクランプ57でコルゲートチューブ64の端部を保持され)、インナクランプ57から車両ボディ内に複数本の絶縁被覆電線68が導出される。
【0012】
図6においてプロテクタ42(符号69はベース、70はカバーを示す)の横長の下部開口45から導出されたワイヤハーネス43はインナクランプ57で保持され、インナクランプ57はアウタクランプ56に回転自在に支持されている。アウタクランプ56はブラケット71(図6)で車両ボディ47に固定されている。
【0013】
図4〜図5のようなスライドドア41の開閉に伴って、スライドドア41と車両ボディ47との間でワイヤハーネス43が車両前後方向に揺動しつつ、インナクランプ57がワイヤハーネス43と一体的にハーネス周方向に回動してワイヤハーネス43の捩れを吸収する。
【特許文献1】特開2001−354085号公報(図4,図7)
【特許文献2】特開2004−282879号公報(図1〜図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来のハーネス用回転クランプ51とそれを用いたハーネス配索構造にあっては、インナクランプ57からスライドドア側に導出されたワイヤハーネス43の外周のコルゲートチューブ64が、スライドドア41の開閉に伴ってインナクランプ57を支点に矢印θ1のように大きな角度で自由に揺動するために、例えばインナクランプ57の近傍に防水用のウェザストリップ72や部品や構造物等といった部材を配置した場合に、その部材72にコルゲートチューブ64が干渉してコルゲートチューブ64すなわちワイヤハーネス43が傷み兼ねないという懸念があった。
【0015】
本発明は、上記した点に鑑み、ワイヤハーネスと近傍の部材との干渉を防止して、ワイヤハーネスの耐久性と常時給電の信頼性を向上させることのできるハーネス用回転クランプとそれを用いたハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るハーネス用回転クランプは、ワイヤハーネスを保持するインナクランプと、該インナクランプを回動自在に支持するアウタクランプとを備えるハーネス用回転クランプにおいて、前記インナクランプを一方向に回動自在とし、該一方向とは直交する他方向への該インナクランプの回動を抑止したことを特徴とする。
【0017】
上記構成により、インナクランプから導出されたワイヤハーネスが一方向に大きな角度で揺動し、他方向には揺動不能か小さな角度で少し揺動する程度となる。一方向とは例えばX−X’方向で他方向とはY−Y’方向のことである。例えば、車両ボディ等の固定構造体側のインナクランプから導出されたワイヤハーネスがスライドドア等のスライド構造体側に配索された場合、スライド構造体の開閉動作に伴ってワイヤハーネスが一方向に揺動し、他方向への揺動(移動)が抑止され、それにより、ハーネス用回転クランプの近傍で他方向に配置された部材(干渉対象物)にワイヤハーネスが干渉することが防止される。ワイヤハーネスは保護チューブを含んでもよく、保護チューブのないものであってもよい。
【0018】
請求項2に係るハーネス用回転クランプは、請求項1記載のハーネス用回転クランプにおいて、前記インナクランプが前記アウタクランプに一対の凸部と一対の凹部との係合で回動自在に支持されたことを特徴とする。
【0019】
上記構成により、例えばインナクランプの一対の凸部がアウタクランプの一対の凹部に回動自在に係合し、あるいはインナクランプの一対の凹部にアウタクランプの一対の凸部に回動自在に係合する。一対の凸部の軸線方向と直交する方向(一方向)にインナクランプが回動自在で且つワイヤハーネスが揺動自在となる。凹部と凸部とは隙間なく(ガタ付きなく)係合してもよく、隙間を存して係合してもよい。凸部と凹部との間の隙間の大きさを適宜設定することで、他方向へのインナクランプの回動及びワイヤハーネスの揺動が可能となる。凸部と凹部は断面円形であることが好ましい。
【0020】
請求項3に係るハーネス用回転クランプは、請求項2記載のハーネス用回転クランプにおいて、前記凹部と前記凸部との間に隙間が設けられ、前記インナクランプが前記他方向に少し回動可能であることを特徴とする。
【0021】
上記構成により、インナクランプとアウタクランプとの係合(支持構造)にゆとりが生じ、アウタクランプに対してインナクランプが引っ掛かり等なくスムーズに一方向に回動自在となる。また、例えば、スライド構造体が開閉方向に移動するに伴って、スライド構造体との間でワイヤハーネスが引っ張られたり緩んだりした際に、インナクランプが他方向に少し回動しつつワイヤハーネスが他方向に僅かに揺動することで、ワイヤハーネスにかかる引張や曲げ等の応力が低減される。
【0022】
請求項4に係るハーネス用回転クランプを用いたハーネス配索構造は、請求項1〜3の何れかに記載のハーネス用回転クランプを用いたハーネス配索構造であって、スライド構造体から固定構造体側の該ハーネス用回転クランプに前記ワイヤハーネスを揺動自在に配索し、該ワイヤハーネスの揺動方向を前記一方向と一致させ、前記他方向に位置する部材と該ワイヤハーネスとの干渉を防止したことを特徴とする。
【0023】
上記構成により、車両ボディ等の固定構造体側のインナクランプから導出されたワイヤハーネスがスライドドア等のスライド構造体側に配索され、スライド構造体の開閉動作に伴ってワイヤハーネスが一方向に揺動し、他方向への揺動(移動)が抑止され、それにより、ハーネス用回転クランプの近傍で他方向に配置された部材(干渉対象物)にワイヤハーネスが干渉することが防止される。また、スライド構造体が開閉方向に移動するに伴って、スライド構造体との間でワイヤハーネスが引っ張られたり緩んだりした際に、インナクランプが他方向に少し回動しつつワイヤハーネスが他方向に僅かに揺動することで、ワイヤハーネスにかかる引張や曲げ等の応力が低減される。
【0024】
請求項5に係るハーネス用回転クランプを用いたハーネス配索構造は、請求項4記載のハーネス用回転クランプを用いたハーネス配索構造において、前記ワイヤハーネスの平形の保護チューブの短径方向を前記一方向と一致させ、長径方向を前記他方向と一致させたことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、スライド構造体の開閉時にワイヤハーネスが一方向(X−X’方向)に揺動する際に、ハーネス用回転クランプの周壁と保護チューブの短径部との間にハーネス揺動方向の大きな隙間が生じているから、保護チューブと回転クランプの周壁(側壁)との干渉や、側方に配置された部材(干渉対象物)との干渉が防止される。また、保護チューブは長径方向に屈曲しにくい(短径方向には屈曲しやすい)から、長径方向(他方向すなわちY−Y’方向)への自重での垂れ下がりが極力抑えられ、保護チューブと回転クランプの周壁(下壁)との間に大きな隙間が生じ、保護チューブと回転クランプの周壁(下壁)との干渉や、下方に配置された部材(干渉対象物)との干渉が一層確実に防止される。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明によれば、インナクランプから導出されたワイヤハーネスが一方向のみに大きく揺動自在であるから、他方向に位置する干渉対象物とワイヤハーネスの干渉を防止することができ、それによってワイヤハーネスの耐久性と常時給電の信頼性が向上する。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、凸部と凹部という簡単な係合構造でインナクランプをアウタクランプに確実に回動自在に支持させることができると共に、インナクランプのスムーズな回動すなわちワイヤハーネスのスムーズな揺動が可能となり、常時給電の信頼性が向上する。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、ワイヤハーネスを一方向に揺動自在とし、他方向にも若干揺動可能としたことで、一方向への揺動時にワイヤハーネスに作用する応力が緩和され、ワイヤハーネスの耐久性が一層向上し、常時給電の信頼性が一層向上する。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、固定構造体側のハーネス用回転クランプから導出されたワイヤハーネスが一方向のみに大きく揺動自在であるから、スライド構造体の開閉動作時に、他方向に位置する干渉対象物とワイヤハーネスの干渉を防止することができ、それによってワイヤハーネスの耐久性とスライド構造体への常時給電の信頼性が向上する。また、スライド構造体の開閉動作に伴ってワイヤハーネスを一方向に揺動自在とし、他方向にも若干揺動可能とすることで、一方向への揺動時にワイヤハーネスに作用する応力が緩和され、ワイヤハーネスの耐久性が一層向上し、スライド構造体への常時給電の信頼性が一層向上する。
【0030】
請求項5記載の発明によれば、保護チューブが長径方向に屈曲しにくいから、下方の干渉対象物との干渉が確実に防止されると共に、揺動する際に保護チューブの短径方向と回転クランプの周壁との間に大きな隙間があるので、周壁との干渉も防止され、これらにより、ワイヤハーネスの耐久性が一層向上し、スライド構造体への常時給電の信頼性が一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1〜図3は、本発明に係るハーネス用回転クランプとそれを用いたハーネス配索構造の一実施形態を示すものである。従来と同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0032】
図1において、符号42はスライドドア(スライド構造体)側の従来同様の給電装置のプロテクタ、1は車両ボディ(固定構造体)側のハーネス用回転クランプ、72は、回転クランプ1の近傍における車両ボディ側の部材(干渉対象物)である防水用のウェザストリップをそれぞれ示している。
【0033】
回転クランプ1は合成樹脂を材料として、従来同様の略球状(丸型)のインナクランプ57と、インナクランプ57の外周面61の一対の単円柱状の突起(軸部又は凸部)62を従来よりも極めて小さい揺動角度θ2で係合させる断面円形の一対の対向する穴部(凹部)2を内周面3に有するアウタクランプ4とで構成されている。
【0034】
インナクランプ57は上下に分割可能で、円形又は長円形(平形)のハーネス挿通孔63を同心に有し、挿通孔63の内周面に、ワイヤハーネス43のコルゲートチューブ64の凹溝65に係合するリブ(突部)67を有している。インナクランプ57の前後端(開口端)73は平面状に切欠されている。インナクランプ(上下の分割インナクランプ)57を分割した(開いた)状態でリブ67にコルゲートチューブ64の凹溝65を係合させ、両分割インナクランプを閉じて例えば係止爪と係合溝等といった係止手段で相互に係止させることで、略球状のインナクランプ内にワイヤハーネス43が保持される。
【0035】
インナクランプ57の外周面(球面)61の中央の上下に一対の突起(軸部)62が一直線(軸線)上に対称に配置されている。突起62はインナクランプ57と一体に樹脂成形されることが好ましい。
【0036】
アウタクランプ4は、略矩形筒状の周壁5と、周壁5の長手方向中央寄りで内側に一体に設けられた厚肉のインナ保持壁6とを備え、インナ保持壁6の断面円弧状の前後に長い内周面3がインナ支持面として作用する。インナ支持面3の内径はインナクランプ57の外径よりも若干大きく設定されている。
【0037】
インナ支持面3の中央の上下に一対の穴部2が設けられ、穴部2の内径はインナクランプ57の突起62の外径よりも若干大きく設定されている。一対の突起62を結ぶ上下方向の軸線Mを中心としてインナクランプ57がインナ支持面3に沿って左右(車両前後方向)に回動(揺動)自在で、且つ上下に従来よりも極めて僅かな角度θ2で揺動自在である。
【0038】
角度θ2の大きさ突起62の外径と穴部2の内径との径差を変えることで自在に設定可能であるが、あくまでもコルゲートチューブ64の下面64aが回転クランプ1の下側近傍の部材(本例でウェザストリップ)72に干渉しない角度に設定される。
【0039】
従来の図7の形態ではアウタクランプ56の開口内端74にコルゲートチューブ64の下面64aが接しているが、図1で角度θ2を小さく設定したことで、アウタクランプ4とコルゲートチューブ64との干渉とそれに伴うコルゲートチューブ64の摺動摩耗も防止される。突起62と穴部2との径差を極めて小さく設定して、インナクランプ57(コルゲートチューブ64)の上下方向の揺動を全くなくすことも可能である。
【0040】
図4,図5のようなスライドドア41の開閉に伴って、プロテクタ42がスライドドア41と一体に進退しつつ、スライドドア41と車両ボディ47との間でワイヤハーネス(コルゲートチューブ部分)43が車両前後方向に揺動し、同時にインナクランプ57が上下の一対の突起62を中心に車両前後方向(スライドドア41の開閉方向)に回動する。
【0041】
図4のスライドドア41の全閉時や図5のスライドドア41の半開からさらに全開にした状態で、ワイヤハーネス43は車両前後方向に引っ張られ、インナクランプ57は突起62と穴部2との径差で図1の矢印Aの如く上向きに少し回動して引張力を吸収する。また、図5のスライドドア41の半開時にワイヤハーネス43が弛もうとした際に、インナクランプ57が突起62と穴部2との径差で図1の矢印Aの如く下向きに少し回動して、図1の回転クランプ1の近傍でのワイヤハーネス43の屈曲(屈曲部を符号64bで示す)を大きな半径でスムーズに行わせる。これらにより、インナクランプ57が上下に全く回動しない場合よりも、ワイヤハーネス43の耐久性が向上する。
【0042】
図1の回転クランプ1においてはコルゲートチューブ43として断面円形のものでも断面長円形(平形)のものでも使用可能であるが、図2〜図3では、回転クランプ1にワイヤハーネス43の断面長円形(平形)のコルゲートチューブ(保護チューブ)64’を保持させる形態例を示す。図2〜図3で図1と同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図2(a)(b)の如く、断面長円形(平形)のコルゲートチューブ64’の長径D1の方向を上下方向すなわちインナクランプ57の上下一対の突起62の軸線Mの方向に一致させて、コルゲートチューブ64’をインナクランプ57に保持させる(固定する)。
【0044】
インナクランプ57には上下方向すなわち一対の突起62の軸線方向に長径方向を一致させた断面長円形状のハーネス挿通孔63がインナクランプ57の円形の外周面(球面)61と同心に設けられている。ハーネス挿通孔63の内周面には、コルゲートチューブ64’の凹溝65に係合するリブ67(図1)が設けられている。
【0045】
インナクランプ57にワイヤハーネス43を挿通保持させた状態で、コルゲートチューブ64’の下面64a’とアウタクランプ4の周壁(下壁)5の下側開口端74との間には大きな隙間Sが構成される。これはインナクランプ57が上下の突起62を支点に上下方向(矢印A方向)に殆ど回動しない状態でアウタクランプ4に保持されているからに他ならない。この大きな隙間Sによって図1の回転クランプ1の下側の部材(干渉対象物)72にコルゲートチューブ64’が干渉する心配が解消される。
【0046】
図2(b)においてもコルゲートチューブ64’は図1のようにインナクランプ57から自重で斜め下向きに屈曲した状態(図1の屈曲部64bの形態)に支持されるが、断面長円形(平形)のコルゲートチューブ64’の屈曲しにくい長径方向が上下方向に一致しているから、コルゲートチューブ64’の屈曲半径が大きく規定され、垂れ下がりが最小限に抑えられる。
【0047】
図3(a)(b)の如く、回転クランプ1を図2とは90゜反転した位置(横断面)で見た場合に、断面長円形のコルゲートチューブ64’の短径D2の方向が一対の突起62の軸線方向とは90゜直交する方向に一致し、コルゲートチューブ64’の側面とアウタクランプ4の周壁(側壁)5の開口端74’との間に大きな隙間S’が構成される。アウタクランプ4の周壁5を断面略正方形の筒状とした場合、図2(b)の隙間Sよりも図3(b)の隙間S’の方がコルゲートチューブ64’の長径D1と短径D2との差分だけ大きくなる。
【0048】
この大きな隙間S’によって、図3(c)の如く、スライドドア41の開閉時にワイヤハーネス43(コルゲートチューブ64’)が車両前後方向に大きく揺動しても、コルゲートチューブ64’がアウタクランプ4の側壁5の開口内端74’に強く干渉することが確実に防止され、コルゲートチューブ64’の耐久性が向上する。
【0049】
なお、上記各実施形態においては、アウタクランプ4の周壁5をストレートな形状としたが、例えば周壁5の開口側を外向きに湾曲させて従来(図6)のようなラッパ状のハーネスガイド壁とすることも可能である。
【0050】
また、上記各実施形態においては、球面状の外周面61を有するインナクランプ57を用いたが、例えばラグビーボール状等のような非球面の外周面(縦断面は円形)を有するインナクランプ(この場合、上下の突起62は長径方向に配置される)や、矩形状等の外周面を有して上下の突起(軸部)62で一廻り大きいアウタクランプに水平方向回動自在に支持される矩形状等のインナクランプ(図示せず)を用いることも可能である。
【0051】
また、上記各実施形態においては、突起62をインナクランプ57に設け、突起62を係合させる穴部2をアウタクランプ4に設けたが、これとは逆に、突起62をアウタクランプ4に内向きに設け、穴部2をインナクランプ57の外周面61に設けることも可能である。また、一方の突起62と他方の穴部2をインナクランプ57に設け、他方の突起62と一方の穴部2をアウタクランプ4に設けることも可能である。また、上記各実施形態においては、穴部2として有底のものを形成したが、アウタクランプ4を貫通する穴部(図示せず)を形成することも可能である。
【0052】
また、上記各実施形態においては、スライドドア41と車両ボディ47との間におけるワイヤハーネス43の保護チューブとして蛇腹状のコルゲートチューブ64を用いたが、コルゲートチューブ64に代えて合成樹脂製の網状のチューブや表面の平坦な合成樹脂製のビニルチューブやウレタンチューブ等(図示せず)を用いることも可能である。この場合、インナクランプ57への保護チューブの固定手段としては、例えばリブ67に代えて鋭利な突起を保護チューブに貫通させたり、あるいは保護チューブをインナクランプ57に接着や溶着等の手段で固定することが可能である。
【0053】
また、上記各実施形態においては、図4の如くスライドドア側のプロテクタ42内にワイヤハーネス43を略山型状に屈曲させて収容して板ばね44で上向きに付勢した給電装置50に適用したが、例えば、湾曲状や矩形状等のプロテクタ内にワイヤハーネスを略ループ状やリール巻き状に屈曲配索したり、プロテクタ内にワイヤハーネスを上から下に垂下させて振り子式に揺動させたり、板ばね44に代える巻きばねやコイルばね等の他の弾性部材を使用したり、弾性部材を省略してワイヤハーネス自体の屈曲反発力(弾性)を利用したりすることも可能である。
【0054】
また、上記各実施形態においては、プロテクタ42を縦置きに配置したが、低背なプロテクタ(図示せず)をスライドドア内に横置きに配置したり、あるいはスライドドア41ではなく車両ボディ側にプロテクタを横置き等に配置し、回転クランプ1を車両ボディ側ではなくスライドドア側に配置することも可能である。また、プロテクタ42を省略してワイヤハーネス43をスライドドア等に直接的に配索することも可能である。
【0055】
また、自動車以外の車両のスライドドアや車両以外の工作機械や検査機械等のスライドドアから車両ボディや機械フレーム本体等に給電用のワイヤハーネスを配索した形態において、上記各実施形態の回転クランプ1とそれを用いたハーネス配索構造を採用することも可能である。スライドドア等をスライド構造物と呼称し、車両ボディ等を固定構造物と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る回転クランプとそれを用いたハーネス配索構造の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】(a)は断面長円形の保護チューブを保持するインナクランプを示す正面図、(b)は断面長円形の保護チューブを挿通保持させた回転クランプを示す縦断面図である。
【図3】(a)は図2(a)を90゜反転した位置から見た正面図、(b)は図2(b)を90゜反転した位置から見た横断面図、(c)は図3(b)のワイヤハーネスを左右に揺動させた状態の横断面図である。
【図4】従来のスライドドアの給電装置におけるハーネス配索構造の一形態を示すスライドドア閉じ時の斜視図である。
【図5】同じく従来のハーネス配索構造を示すスライドドア開き時の斜視図である。
【図6】従来の回転クランプを用いたハーネス配索構造を示す要部外観斜視図である。
【図7】従来の回転クランプを用いたハーネス配索構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ハーネス用回転クランプ
2 穴部(凹部)
4 アウタクランプ
41 スライドドア(スライド構造体)
43 ワイヤハーネス
47 車両ボディ(固定構造体)
57 インナクランプ
62 突起(凸部)
64,64’ コルゲートチューブ(保護チューブ)
72 部材(干渉対象物)
1 長径
2 短径




 

 


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