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発明の名称 スライド構造体用の給電装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−151377(P2007−151377A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2006−55889(P2006−55889)
出願日 平成18年3月2日(2006.3.2)
代理人 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
発明者 木須 直己 / 西島 正隆
要約 課題
スライド構造体側に大きなスペースをとることなく省スペースでコンパクトに搭載できる給電装置を提供する。

解決手段
ワイヤハーネス2の垂下部3の一端側をスライド構造体31側に固定するハーネス固定部4と、垂下部の他端側を保持する固定部材5と、固定部材に水平方向首振り自在に設けられ、垂下部を周方向捩り自在とし、垂下部に続くハーネス部分を固定構造体側に導出させる首振り部材6とを備えるスライド構造体用の給電装置1を基本する。固定部材5に代えて揺動部材5’を用いたり、垂下部3をケース22内に収容し、ケースにガイドレール23を水平に設け、揺動部材5”をガイドレールにスライド自在に係合させてもよい。ガイドレール43を円弧状に形成し、揺動部材43を常に水平となるように回動自在とし、揺動部材43を揺動杆44で支持させてもよい。
特許請求の範囲
【請求項1】
ワイヤハーネスの垂下部の一端側をスライド構造体側に固定するハーネス固定部と、該垂下部の他端側を保持し、該スライド構造体側に固定された固定部材と、該固定部材に水平方向首振り自在に設けられ、該垂下部を周方向に捩り自在とし、該垂下部に続くハーネス部分を固定構造体側に導出させる首振り部材とを備えることを特徴とするスライド構造体用の給電装置。
【請求項2】
ワイヤハーネスの垂下部の一端側をスライド構造体側に固定するハーネス固定部と、該垂下部の他端側を保持する揺動部材と、該揺動部材に水平方向首振り自在に設けられ、該垂下部を周方向捩り自在とし、該垂下部に続くハーネス部分を固定構造体側に導出させる首振り部材とを備えることを特徴とするスライド構造体用の給電装置。
【請求項3】
前記揺動部材をスライド自在に係合させるガイドレールを備えることを特徴とする請求項2記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項4】
前記ガイドレールが円弧状に形成されたことを特徴とする請求項3記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項5】
前記ガイドレールに対して前記揺動部材が水平に位置するように回動自在に支持されたことを特徴とする請求項4記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項6】
前記揺動部材に一端側を連結し、他端側を前記スライド構造体側に揺動自在に支持させた揺動杆を備えることを特徴とする請求項4又は5記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項7】
前記垂下部や前記揺動部材を収容するケースを備えることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項8】
前記スライド構造体の閉じ時に、前記ハーネス部分を挿通させる保護チューブがほぼ真直に配索され、該スライド構造体の開き時に該保護チューブが屈曲することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項9】
前記首振り部材が角度規制部で首振り角度を180゜以下に規制されたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項10】
前記ハーネス部分を挿通させる保護チューブを固定構造体側に固定するハーネス固定具を備え、該ハーネス固定具が、前記スライド構造体の全開時に該保護チューブを湾曲状に沿わせるガイド面を有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置。
【請求項11】
前記保護チューブが平形の蛇腹チューブであり、該平形の蛇腹チューブが断面縦長に配索されたことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のスライドドア等のスライド構造体に搭載され、スライド構造体の補機等に常時給電を行うためのスライド構造体用の給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図17〜図18は従来のスライドドア用の給電装置の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
このスライドドア用の給電装置61は、自動車のスライドドア62に設けられた横長のガイド部材63と、ガイド部材63のレール部にスライド自在に係合したスライダ64と、スライダ64に垂直な軸部で水平方向に揺動自在に支持された首振り部材65(図18)と、ガイド部材63の内側に略U字状に屈曲して配索され、首振り部材65から車両ボディ(図示せず)にかけて屈曲自在に配索されたキャタピラ状のハーネス外装部材66とを備えるものである。
【0004】
スライドドア62と車両ボディとの間(渡り部)において外装部材66はチューブ67で覆われている。外装部材66とスライダ64の内側に複数本の電線(ワイヤハーネス)68(図18)が挿通されている。
【0005】
図17の状態からスライドドア62を矢印A方向(車両後方)に開くことで、スライダ64がガイド部材63に沿って前方に相対移動しつつ、ワイヤハーネス68が外装部材66と共にガイド部材63内で略J字状に伸長する。スライドドア62の開閉に伴ってワイヤハーネス68が外装部材66と共に伸縮することで、ハーネス余長が吸収される。
【特許文献1】特開2003−25850号公報(図2,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のスライドドア用の給電装置61にあっては、スライドドア62に対して横長に配置されるために、他の電装品や補機等のレイアウトの自由度が制限されるといった懸念があった。また、スライドドア62の開閉時にスライダ64から首振り部材65にかけてワイヤハーネス68が略V字状に屈曲するために、ワイヤハーネス68の屈曲部68aに大きな曲げ応力が作用し、ワイヤハーネス68の耐久性が低下しかねないという懸念があった。また、キャタピラ状の外装部材66を必要とするために、ハーネス配索構造が高コスト化するという懸念もあった。
【0007】
なお、上記した各懸念点は自動車のスライドドア62に限らず、例えば自動車以外の車両等のスライドドアや加工機械等のスライドドア等といったスライド構造体に上記給電装置を適用した場合にも生じ得るものである。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、スライド構造体側に大きなスペースをとることなく省スペースでコンパクトに搭載でき、また、スライド構造体の開閉に伴うワイヤハーネス等の耐久性を高めることができ、しかも安価な構造のスライド構造体用の給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るスライド構造体用の給電装置は、ワイヤハーネスの垂下部の一端側をスライド構造体側に固定するハーネス固定部と、該垂下部の他端側を保持し、該スライド構造体側に固定された固定部材と、該固定部材に水平方向首振り自在に設けられ、該垂下部を周方向に捩り自在とし、該垂下部に続くハーネス部分を固定構造体側に導出させる首振り部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、スライド構造体の前後方向の開閉に伴って、首振り部材が固定部材を支点として前後に首振りしつつ、ワイヤハーネス(複数本の電線)の垂下部が周方向に捩れることで、首振り部材を中心としたワイヤハーネスの揺動が吸収される。垂下部に続くハーネス部分(例えばワイヤハーネスを挿通させた保護チューブ)は固定構造体側のハーネス支持具を支点に水平方向に屈曲して余長を吸収する。すなわち、スライド構造体を前方へスライドさせて全閉した際に、ワイヤハーネスの垂下部は固定部材と一体的に後方へ移動しつつ時計回りに捩れ、垂下部に続くハーネス部分は固定構造体側のハーネス固定部(例えばハーネス固定具)を支点にほぼ真直に伸びる。また、スライド構造体を後方へスライドさせて全開した際に、垂下部は固定部材と一体的に前方へ移動しつつ反時計回りに捩れ、垂下部に続くハーネス部分は固定構造体側のハーネス固定部を支点に水平方向に屈曲する。
【0011】
請求項2に係るスライド構造体用の給電装置は、ワイヤハーネスの垂下部の一端側をスライド構造体側に固定するハーネス固定部と、該垂下部の他端側を保持する揺動部材と、該揺動部材に水平方向首振り自在に設けられ、該垂下部を周方向捩り自在とし、該垂下部に続くハーネス部分を固定構造体側に導出させる首振り部材とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成により、スライド構造体の前後方向の開閉に伴って、ワイヤハーネス(複数本の電線)の垂下部がハーネス固定部を支点に揺動部材と一体的に前後に揺動つつ、首振り部材が前後に首振りして、垂下部が周方向に捩れて余長吸収する。垂下部に続くハーネス部分(例えばワイヤハーネスを挿通させた保護チューブ)は固定構造体側のハーネス固定部(例えばハーネス固定具)を支点に水平方向に屈曲して余長吸収する。すなわち、スライド構造体を前方へスライドさせて全閉した際に、ワイヤハーネスの垂下部は揺動部材と一体的に後方へ揺動しつつ時計回りに捩れ、垂下部に続くハーネス部分は固定構造体側のハーネス固定部を支点にほぼ真直に伸びる。また、スライド構造体を後方へスライドさせて全開した際に、垂下部は揺動部材と一体的に前方へ揺動しつつ反時計回りに捩れ、垂下部に続くハーネス部分は固定構造体側のハーネス固定部を支点に水平方向に屈曲する。
【0013】
請求項3に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項2記載のスライド構造体用の給電装置において、前記揺動部材をスライド自在に係合させるガイドレールを備えることを特徴とする。
【0014】
上記構成により、スライド構造体の開閉に伴って、揺動部材(スライダ)が例えば水平なガイドレールに沿って前後に水平移動(揺動)する。ワイヤハーネスの垂下部は前後の揺動位置で真直に伸び、中央の揺動位置で弛んで少し屈曲する。ガイドレールとスライダと首振り部材とが一つの組立体となって給電装置を構成する。
【0015】
請求項4に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項3記載のスライド構造体用の給電装置において、前記ガイドレールが円弧状に形成されたことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、スライド構造体の開閉時に伴って、揺動部材が円弧状のガイドレールに沿って円弧状の軌跡で揺動しつつ、ワイヤハーネスの垂下部がガイドレールの全長に渡って短縮(圧縮される)ことなく一定ないしほぼ一定の長さで揺動する。これにより、揺動部材がガイドレールに押し付けられることがなくなり(垂下部が短縮された場合はその反発力で揺動部材がガイドレールに押し付けられる)、揺動部材が低摩擦でガイドレールを摺動する。ガイドレールの円弧の方向は垂下部の揺動軌跡の方向である。ガイドレールの屈曲半径はハーネス固定部を支点とした垂下部の揺動軌跡にほぼ等しいことが好ましい。
【0017】
請求項5に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項4記載のスライド構造体用の給電装置において、前記ガイドレールに対して前記揺動部材が水平に位置するように回動自在に支持されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成により、スライド構造体の開閉時に揺動部材がガイドレールに沿って円弧状の軌跡で揺動した際に、揺動部材の姿勢が常に一定であるから、揺動部材から固定構造体側に導出されたハーネス部分やその外周の保護チューブに捩り力が加わることがなく(揺動部材が円弧状の軌跡に沿って単に移動した場合は、揺動部材が常に円弧中心すなわちハーネス固定部の方向を向くように回動してしまう)、スライド構造体の開閉時にハーネス部分やその外周の保護チューブが小さな力でスムーズに屈曲する。
【0019】
請求項6に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項4又は5記載のスライド構造体用の給電装置において、前記揺動部材に一端側を連結し、他端側を前記スライド構造体側に揺動自在に支持させた揺動杆を備えることを特徴とする。
【0020】
上記構成により、揺動部材とワイヤハーネスの垂下部が揺動杆と一体に振り子式にスムーズに揺動する。揺動杆の揺動軌跡は円弧状のガイドレールに沿う揺動部材の移動軌跡に等しい。
【0021】
請求項7に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項2〜6の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置において、前記垂下部や前記揺動部材を収容するケースを備えることを特徴とする。
【0022】
上記構成により、スライド構造体の開閉に伴って、揺動部材がケース内でガイドレールに沿って前後に移動する。ケースがスライド構造体に固定され、例えばハーネス固定部はケースの上壁等に設けられる。少なくともケースとガイドレールとスライダと首振り部材とが一つの組立体となって給電装置を構成する。
【0023】
請求項8に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項1〜7の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置において、前記スライド構造体の閉じ時に、前記ハーネス部分を挿通させる保護チューブがほぼ真直に配索され、該スライド構造体の開き時に該保護チューブが屈曲することを特徴とする。
【0024】
上記構成により、前述の如く、スライド構造体を前方へスライドさせて全閉した際に、
ワイヤハーネスの垂下部が固定部材又は揺動部材と一体的に後方へ移動しつつ時計回りに捩れ、スライド構造体と固定構造体との間で、垂下部に続くハーネス部分(例えばワイヤハーネスを挿通させた保護チューブ)が固定構造体側のハーネス固定部(例えばハーネス固定具)を支点にほぼ真直に伸びる。また、スライド構造体を後方へスライドさせて全開した際に、垂下部が固定部材又は揺動部材と一体的に前方へ移動しつつ反時計回りに捩れ、スライド構造体と固定構造体との間で、垂下部に続くハーネス部分が固定構造体側のハーネス固定部を支点に水平方向に略U字状からJ字状に比較的大きな半径で屈曲する。例えば保護チューブとして合成樹脂製のコルゲートチューブ(蛇腹チューブ)を外装した場合には、コルゲートチューブの反発力でワイヤハーネスの屈曲半径が大きく確保される。
【0025】
請求項9に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項1〜8の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置において、前記首振り部材が角度規制部で首振り角度を180゜以下に規制されたことを特徴とする。
【0026】
上記構成により、スライド構造体の全閉時に首振り部材が第一の角度規制部に当接してスライド構造体側への(時計回りの)それ以上の回動が規制され、その状態でスライド構造体が開かれることで、首振り部材がスムーズに固定構造体側へ(反時計回りに)回動し、ワイヤハーネスがS字状に折れ曲がることなくスムーズに略U字状に屈曲する。また、スライド構造体の全開時に首振り部材が第二の角度規制部に当接してスライド構造体側への(反時計回りの)それ以上の回動が規制され、その状態でスライド構造体が閉じられることで、首振り部材がスムーズに固定構造体側へ(時計回りに)回動し、ワイヤハーネスがS字状に折れ曲がることなくスムーズに略U字状に屈曲する。第一,第二の角度規制部は何れか一方を設けてもよく両方設けてもよい。
【0027】
請求項10に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項1〜9の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置において、前記ハーネス部分を挿通させる保護チューブを固定構造体側に固定するハーネス固定具を備え、該ハーネス固定具が、前記スライド構造体の全開時に該保護チューブを湾曲状に沿わせるガイド面を有することを特徴とする。
【0028】
上記構成により、スライド構造体の全開時に、ハーネス部分を挿通させた保護チューブがハーネス固定具の湾曲状のガイド面に沿って比較的大きな半径で屈曲する。
【0029】
請求項11に係るスライド構造体用の給電装置は、請求項1〜10の何れかに記載のスライド構造体用の給電装置において、前記保護チューブが平形の蛇腹チューブであり、該平形の蛇腹チューブが断面縦長に配索されたことを特徴とする。
【0030】
上記構成により、スライド構造体の開閉時に、断面縦長に配置された平形の蛇腹チューブが水平方向すなわち蛇腹チューブの短径方向に小さな力で折れ曲がり等なく大きな半径でスムーズに屈曲する。蛇腹チューブとしては例えば合成樹脂製のコルゲートチューブが好適である。コルゲートチューブは周方向の凹溝と凸条をチューブ長手方向に交互に配列して成るものであり、良好な屈曲性を有する。
【発明の効果】
【0031】
請求項1記載の発明によれば、固定部材を不動とし、ワイヤハーネスの垂下部の周方向の捩れ動作でスライド構造体の移動とそれに伴うワイヤハーネスの余長を吸収するようにしたことで、垂下部の短縮化と相俟ってスライド構造体側の給電装置の構造をコンパクト化することができる。これにより、スライド構造体側の他の補機等のレイアウトの自由度が高まり、設計が容易化する。また、ワイヤハーネスが垂下部から固定構造体側にほぼ90゜程度の大きな角度で屈曲配索されるから、屈曲部に過大な応力がかからず、ワイヤハーネスの耐久性が向上する。また、スライド構造体と固定構造体との間(渡り部)でワイヤハーネスが水平方向に屈曲することで、従来の高価なキャタピラ状の外装部材が不要となり、安価な保護チューブを用いることでハーネス配索構造が低コスト化される。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、ワイヤハーネスの垂下部の前後方向の揺動と周方向の捩れ動作とでワイヤハーネスの余長を吸収するようにしたことで、垂下部の長さと揺動部材の揺動ストロークとを短縮化できて、スライド構造体側の給電装置の構造をコンパクト化することができる。これにより、スライド構造体側の他の補機等のレイアウトの自由度が高まり、設計が容易化する。また、ワイヤハーネスが垂下部から固定構造体側にほぼ90゜程度の大きな角度で屈曲配索されるから、屈曲部に過大な応力がかからず、ワイヤハーネスの耐久性が向上する。また、スライド構造体と固定構造体との間(渡り部)でワイヤハーネスが水平方向に屈曲することで、従来の高価なキャタピラ状の外装部材が不要となり、安価な保護チューブを用いることでハーネス配索構造が低コスト化される。
【0033】
請求項3記載の発明によれば、ガイドレールに沿って揺動部材がスムーズ且つ確実に進退移動を行うことで、ワイヤハーネスの移動や屈曲が正確化され、常時給電の信頼性が向上する。また、短い垂下部と短いガイドレールとで十分な余長吸収を行えるから、ケースがコンパクト化され、スライド構造体側の補機等のレイアウトの自由度が高まる。
【0034】
請求項4記載の発明によれば、揺動部材とガイドレールとの摺動摩擦が低減されるから、ガイドレールに沿う揺動部材の移動が小さな力でスムーズに行われ、スライド構造体の開閉操作性が向上すると共に、揺動部材とガイドレールの摩耗が防止されて耐久性が向上する。
【0035】
請求項5記載の発明によれば、揺動部材が揺動時に常に一定の姿勢を維持するから、揺動部材から固定構造体にかけてのハーネス部分やその保護チューブに捩り力が作用せず、これらの耐久性が向上すると共に、スライド構造体の開閉時のハーネス部分の屈曲性が高まり、開閉操作性が向上する。
【0036】
請求項6記載の発明によれば、揺動部材が揺動杆に支持されつつ円弧状のガイドレールに沿ってスムーズに摺動することで、揺動部材の移動が引っ掛かり等なく正確に行われ、ワイヤハーネスの余長吸収性が向上する。
【0037】
請求項7記載の発明によれば、ケースをスライド構造体に組み付けることで、給電装置の組付が効率良く行われ、組付作業性が向上する。また、揺動部材等がケースで外部との干渉や塵の付着等なく安全に保護されて、常時給電の信頼性が高まる。
【0038】
請求項8記載の発明によれば、スライド構造体と固定構造体との間で、ハーネス部分を挿通させた保護チューブが水平方向に比較的大きな半径で略U字状ないしJ字状に屈曲するから、ワイヤハーネスの屈曲耐久性が向上する。
【0039】
請求項9記載の発明によれば、スライド構造体の開閉初期において首振り部材の首振り動作が確実に行われるから、ハーネス部分を挿通させた保護チューブの折れ曲がりが防止されて耐久性が向上する。また、ハーネス部分を挿通させた保護チューブが正確な軌跡で確実に屈曲するから、従来の高価なキャタピラ状の外装部材が不要となり、ハーネス配索構造が低コスト化される。
【0040】
請求項10記載の発明によれば、スライド構造体の全開時に、ハーネス部分を挿通させた保護チューブがハーネス固定具の湾曲状のガイド面に沿って比較的大きな半径で屈曲することで、ハーネス部分とその保護チューブの屈曲耐久性が向上する。
【0041】
請求項11記載の発明によれば、ハーネス部分を挿通させた平形の蛇腹チューブが平形方向に折れ曲がり等なくスムーズに屈曲することで、蛇腹チューブの屈曲耐久性が向上すると共に、スライド構造体の開閉操作が小さな力でスムーズに行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1〜図2は、本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第一の実施形態を示すものである。
【0043】
このスライド構造体用の給電装置1は、ワイヤハーネス(複数本の電線)2の垂下部3を垂直に配索した状態で自動車のスライドドア(スライド構造体)側に固定する合成樹脂ないし金属製のハーネス固定部4と、垂下部3に続いて配設された合成樹脂製の固定部材5と、固定部材5に水平方向揺動自在に軸支された合成樹脂製の首振り部材6とを備えるものである。
【0044】
本例のハーネス固定部4は、ワイヤハーネス2の電線部分を挟持した状態でドアパネル等にボルトや係止クリップ等で固定する湾曲板状のクランプである。ハーネス固定部4はこれに限らず、ワイヤハーネス2の垂下部3の上端側をドアパネル側又はドアトリム側に垂直方向に固定しておくものであれば、バンドであっても粘着テープであっても何でも構わない。ハーネス固定部4から固定部材5にかけて本例のワイヤハーネス2の垂下部3は複数本の電線として露出した状態で配索されている。
【0045】
固定部材5は、上部側に垂直なハーネス挿通孔8を有し、ハーネス挿通孔8の下側に首振り部材6を水平方向揺動自在に支持する空間(水平な溝)9を有している。空間9は車両前後方向に開口し(開口を符号9aで示す)、上下の水平な壁部10,11と背側の垂直な壁部12とで横凹字状に囲まれて構成されている。垂直なハーネス挿通孔8は中央から車両幅方向(左右方向)に分割可能で(分割面を符号13で示す)、図1で手前側の上壁部10aを分離した状態でハーネス挿通孔8にワイヤハーネス2を挿通可能となっている。固定部材5は例えばスライドドアのドアパネル又はドアトリムの内側面等にブラケット19でねじ止め固定されている。
【0046】
首振り部材6は固定部材5のハーネス挿通孔8と同心に中空環状の軸部(図示せず)を有し、軸部は固定部材5の上下の壁部10,11の内面の環状の溝部(図示せず)に回動自在に係合している。あるいは、固定部材5の上下の壁部10,11の内面にハーネス挿通孔8と同心に中空環状の軸部(図示せず)を突設し、軸部を首振り部材6の上下の壁面の環状の溝部(図示せず)に回動自在に係合させてもよい。
【0047】
首振り部材6は環状の軸部の内側に同心の垂直なハーネス挿通孔(図示せず)を有し、ハーネス挿通孔は固定部材5のハーネス挿通孔8に同心に連通し、垂直なハーネス挿通孔は首振り部材6の水平なハーネス挿通孔14に連通して続いている。垂直なハーネス挿通孔は断面円形に形成され、水平なハーネス挿通孔14は後述のコルゲートチューブ(蛇腹チューブ)15に対応して断面縦長の平形ないし長円形状に形成されている。
【0048】
首振り部材6は上下に分割可能に形成され、分割した状態でハーネス挿通孔にワイヤハーネス2を挿通可能であり、上下の分割首振り部材はボルト又は係止爪と係合凹部等の係止手段で相互に固定される。首振り部材6の先端6aは車両ボディ(固定構造体)側を向き、車両ボディの前後方向に首振り自在である。
【0049】
首振り部材6の水平なハーネス挿通孔14内には合成樹脂製の保護チューブ(外装部材)であるコルゲートチューブ(蛇腹チューブ)15の一端部が保持固定される。コルゲートチューブ15は周方向の凹溝と凸条(図示せず)とをチューブ長手方向に交互に配列したもので、良好な屈曲性を有する既存のものである。首振り部材6の水平なハーネス挿通孔14の内周面にリブ(図示せず)が突設され、リブに断面長円形のコルゲートチューブ15の凹溝が係合固定されている。断面円形のコルゲートチューブを用いた場合は、リブでコルゲートチューブ15が周方向回動自在に保持される。
【0050】
コルゲートチューブ15の他端部は車両ボディ側のハーネス固定具16に首振り部材6におけると同様のリブ(図示せず)で固定され、ワイヤハーネス2がハーネス固定具16から複数本の電線部分17として車両ボディ側(電源側)のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ等で接続される。
【0051】
ハーネス固定具16は複数のボルト等で車両ボディに不動に固定される。ハーネス固定具16については後述の第三の実施形態で詳細に説明する。ワイヤハーネス2は首振り部材6からハーネス固定具16にかけて水平に配索される。ワイヤハーネス2はコルゲートチューブ15を含んだ総称としてもよく、車両ボディ側のハーネス固定具16を含んでス
ライド構造体用の給電装置1と総称してもよい。
【0052】
図1の状態はスライドドア(図示せず)を前方に閉じた全閉状態であり、スライドドアに固定されたハーネス固定部4と固定部材5とがスライドドアと一体に前方に移動し、それに伴って首振り部材6が上下の軸部(図示せず)を支点に斜め後方に揺動しつつ、ハーネス固定部4と首振り部材6との間でワイヤハーネス2の垂下部3が矢印Bの如く周方向(図1で時計回り)に捩れて、首振り部材6の揺動を吸収し、且つワイヤハーネス2の水平部(コルゲートチューブ部分)15は首振り部材6と車両ボディ側のハーネス固定具16との間で後方に引っ張られてほぼ真直に伸びている。
【0053】
図1のドア閉状態からスライドドアを後方にスライドさせて開く(全開させる)ことで、図2の如く、ハーネス固定部4と固定部材5とがスライドドアと一体に後方へ移動し、それに伴って首振り部材6が軸部を支点に斜め前方に揺動しつつ、ハーネス固定部4と首振り部材6との間でワイヤハーネス2の垂下部3が矢印B’の如く周方向(図2で反時計回り)に捩れて、首振り部材6の揺動を吸収し、且つワイヤハーネス2の水平部15が前向きに湾曲しつつ車両ボディ側のハーネス固定具16を支点に略U字ないしJ字状に屈曲する。
【0054】
ワイヤハーネスの垂下部3の長さは例えば20〜30cm程度と短くてよい。ワイヤハーネス2の垂下部3を短く形成し、スライドドアの開閉に伴って垂下部を周方向に捩れ動作させ、且つ固定部材5を支点に首振り部材6を前後(スライドドア開閉方向)に揺動自在とし、それに伴ってワイヤハーネス2の水平部15を水平方向に略U字ないしJ字状に屈曲自在とした構成によって、コンパクトな給電構造でスライドドアの開閉に対処することができる。
【0055】
図3〜図4は、本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第二の実施形態を示すものである。
【0056】
このスライド構造体用の給電装置1’は、ワイヤハーネス(複数本の電線)2の垂下部3を垂直に配索した状態で自動車のスライドドア(スライド構造体)側に固定する合成樹脂ないし金属製のハーネス固定部4と、垂下部3に続いて配設された合成樹脂製の振り子式の揺動部材5’と、揺動部材5’に水平方向揺動自在に軸支された合成樹脂製の首振り部材6とを備えるものである。揺動部材5’は第一の実施形態の固定部材5からブラケット19を廃除したものである。
【0057】
本例のハーネス固定部4は、ワイヤハーネス2の電線部分を挟持した状態でドアパネル等にボルトや係止クリップ等で固定する湾曲板状のクランプである。ハーネス固定部4はこれに限らず、ワイヤハーネス2の垂下部3の上端側をドアパネル側又はドアトリム側に垂直方向に固定しておくものであれば、バンドであっても粘着テープであっても何でも構わない。
【0058】
ハーネス固定部4から揺動部材5’にかけて本例のワイヤハーネス2の垂下部3は複数本の電線として露出した状態で配索されている。垂下部3の捩り動作の邪魔にならない程度に垂下部3の長手方向中間部をテープ巻き等の結束手段7で結束ないし緩く束ねてもよい。
【0059】
揺動部材5’は、上部側に垂直なハーネス挿通孔8を有し、ハーネス挿通孔8の下側に首振り部材6を水平方向揺動自在に支持する空間(水平な溝)9を有している。空間9は車両前後方向に開口し(開口を符号9aで示す)、上下の水平な壁部10,11と背側の垂直な壁部12とで横凹字状に囲まれて構成されている。垂直なハーネス挿通孔8は中央
から車両幅方向(左右方向)に分割可能で(分割面を符号13で示す)、図3で手前側の上壁部10aを分離した状態でハーネス挿通孔8にワイヤハーネス2を挿通可能となっている。揺動部材5’は例えばスライドドアのドアパネル又はドアトリムの内側面に沿って車両前後方向に揺動(進退)自在に配置される。
【0060】
首振り部材6は揺動部材5’のハーネス挿通孔8と同心に中空環状の軸部(図示せず)を有し、軸部は揺動部材5’の上下の壁部10,11の内面の環状の溝部(図示せず)に回動自在に係合している。あるいは、揺動部材5’の上下の壁部10,11の内面にハーネス挿通孔8と同心に中空環状の軸部(図示せず)を突設し、軸部を首振り部材6の上下の壁面の環状の溝部(図示せず)に回動自在に係合させてもよい。
【0061】
首振り部材6は環状の軸部の内側に同心の垂直なハーネス挿通孔(図示せず)を有し、ハーネス挿通孔は揺動部材5’のハーネス挿通孔8に同心に連通し、垂直なハーネス挿通孔は首振り部材6の水平なハーネス挿通孔14に連通して続いている。垂直なハーネス挿通孔は断面円形に形成され、水平なハーネス挿通孔14は後述のコルゲートチューブ(蛇腹チューブ)15に対応して断面縦長の平形ないし長円形状に形成されている。
【0062】
首振り部材6は上下に分割可能に形成され、分割した状態でハーネス挿通孔にワイヤハーネス2を挿通可能であり、上下の分割首振り部材はボルト又は係止爪と係合凹部等の係止手段で相互に固定される。首振り部材6の先端6aは車両ボディ(固定構造体)側を向き、車両ボディの前後方向に首振り自在である。
【0063】
首振り部材6の水平なハーネス挿通孔14内には合成樹脂製の保護チューブ(外装部材)であるコルゲートチューブ(蛇腹チューブ)15の一端部が保持固定される。コルゲートチューブ15は周方向の凹溝と凸条(図示せず)とをチューブ長手方向に交互に配列したもので、良好な屈曲性を有する既存のものである。首振り部材6の水平なハーネス挿通孔14の内周面にリブ(図示せず)が突設され、リブに断面長円形のコルゲートチューブ15の凹溝が係合固定されている。断面円形のコルゲートチューブを用いた場合は、リブでコルゲートチューブ15が周方向回動自在に保持される。
【0064】
コルゲートチューブ15の他端部は車両ボディ側のハーネス固定具16に首振り部材6におけると同様のリブ(図示せず)で固定され、ワイヤハーネス2がハーネス固定具16から複数本の電線部分17として車両ボディ側(電源側)のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ等で接続される。
【0065】
ハーネス固定具16は複数のボルト等で車両ボディに不動に固定される。ハーネス固定具16については後述の第三の実施形態で詳細に説明する。ワイヤハーネス2は首振り部材6からハーネス固定具16にかけて水平に配索される。ワイヤハーネス2はコルゲートチューブ15を含んだ総称としてもよく、車両ボディ側のハーネス固定具16を含んでスライド構造体用の給電装置1’と総称してもよい。
【0066】
図3の状態はスライドドア(図示せず)を前方に閉じた全閉状態であり、スライドドアに固定されたハーネス固定部4を支点にワイヤハーネス2の垂下部3が後方に振れて傾斜した状態で支持され、垂下部3に続く揺動部材5’も垂下部3と一体的に後方に移動し、首振り部材6は上下の軸部(図示せず)を支点に斜め後方に揺動し、ワイヤハーネス2の水平部(コルゲートチューブ部分)15は首振り部材6と車両ボディ側のハーネス固定具16との間で後方に引っ張られてほぼ真直に伸びている。
【0067】
揺動部材5’はスライドドアの閉じ動作に伴って車両ボディ側のハーネス固定具16を支点にワイヤハーネス2の水平部15で後方に引っ張られて移動する。ハーネス固定部4
はスライドドアと一体に移動し、揺動部材5’はワイヤハーネス2の垂下部3を介してスライドドアと一体的に移動し、首振り部材6は揺動部材5’と一体に移動する。
【0068】
図3のドア閉状態からスライドドアを後方にスライドさせて開く(全開させる)ことで、図4の如く、ハーネス固定部4がスライドドアと一体に後方へ移動しつつ、ワイヤハーネス2の垂下部3がハーネス固定部4を支点に前方に振れて傾斜し、揺動部材5’が垂下部3と共に前方へ移動し、首振り部材6が軸部を支点に斜め前方に揺動し、ワイヤハーネス2の水平部15が前向きに湾曲しつつ車両ボディ側のハーネス固定具16を支点に略U字ないしJ字状に屈曲する。揺動部材5’は首振り部材6を介してワイヤハーネス2の水平部(コルゲートチューブ部分)15の剛性(弾性的な復元力)で前方へ移動した状態に保持される。
【0069】
図3のスライドドアの全閉時から図4のスライドドアの全開時にかけてワイヤハーネス2の垂下部3は首振り部材6との間で(揺動部材5’のハーネス挿通孔8内と首振り部材6の垂直なハーネス挿通孔内のハーネス部分18を含めて)周方向に捩れて、首振り部材6の揺動をスムーズに吸収する(ハーネス余長を吸収する)。
【0070】
ワイヤハーネス2の垂下部3はスライドドアの全閉時と全開時とでほぼ同じ角度で前後に揺動する。この揺動角度は例えば±20゜〜30゜程度と小さなものである。垂下部3の長さは例えば20〜30cm程度と短いものである。このようにコンパクトな構造でスライドドアの開閉に対処することができる。これは、ワイヤハーネス2の垂下部3を周方向に捩れ自在で且つ前後(スライドドア開閉方向)に揺動自在とし、且つ揺動部材5’を支点に首振り部材6を前後に揺動自在として、ワイヤハーネス2の水平部15を水平方向に略U字ないしJ字状に屈曲自在とした構成によるものである。
【0071】
図5〜図6は、本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第三の実施形態を示すものである。
【0072】
このスライド構造体用の給電装置21は上記図3〜図4のスライド構造体用の給電装置1’において、揺動部材5’をスライダ5”としてケース22内でガイドレール23にスライド自在に係合させ、ケース22の上壁24側をハーネス固定部4’としたものであり、他の構成は図3〜図4の構成と同様である。図3〜図4と同様の構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0073】
図5,図6の如く、ケース22は合成樹脂ないし金属で矩形状(略正方形状)に形成され、水平な上壁24と垂直な両側壁25と背面壁27と正面壁(図示を省略)とで構成され、背面壁27が下方に延長され、背面壁27の延長部27aの内面にガイドレール23が水平に設けられ、ガイドレール23に揺動部材であるスライダ5”がスライド自在に係合し、スライダ(揺動部材)5”に首振り部材6が軸部(図示せず)で水平方向揺動自在に支持されている。
【0074】
ワイヤハーネス2は、垂下部3の上端がケース22の上壁24側で支持固定され、垂下部3はケース2内でスライダ5”と一体に車両前後方向に揺動自在であり、垂下部3に続くハーネス部分(電線部分)18はスライダ5”の垂直なハーネス挿通孔8と首振り部材6の垂直から水平に続くハーネス挿通孔14(図6)とを経て首振り部材6から保護チューブであるコルゲートチューブ(蛇腹チューブ)15の内側を通って車両ボディ(固定構造体)側のハーネス固定具16(図3参照)に続いている。
【0075】
ケース22の上壁24の円形のハーネス挿通孔28は例えばケース本体の上壁24とカバーの上壁24とに対称に形成された各スリット孔29のラップ部によって形成される。
上壁24側のハーネス固定部4’は例えば図7に一例を示す如く上壁24のハーネス挿通孔28に嵌合するゴム等の弾性部材であってもよく、あるいはワイヤハーネス2の垂下部3をテープやバンド等で固定するためのケース22と一体の垂直な突板(図示せず)であってもよい。
【0076】
図5,図6でガイドレール23はケース22の内幅一杯に配置され、スライダ5”の上壁10の正面側の部分10aと背面側の部分10bとが左右に分割されて、ガイドレール23を挟むようにスライド自在に保持している。なお、スライダ5”とガイドレール23の係合構造はこれ以外にも必要に応じて適宜設定可能である。スライダ5”の上壁10に垂直な背壁12が続き、背壁12に水平な下壁11が続き、上壁10と背壁12と下壁11との間に横凹字状の溝(空間)9が形成され、溝9はケース22の下側に露出し、溝9内に首振り部材6が外部に露出した状態で軸部で揺動自在に支持されている。
【0077】
前例同様にワイヤハーネス2の垂下部3の長さは短く、ケース22の高さ及び横幅及び厚さ寸法は小さくコンパクトなものである。ケース22はボルトや係止クリップ等の固定手段でスライドドア(スライド構造体)の垂直なパネルに固定される。
【0078】
図7の如く、スライドドアの開閉に伴ってスライダ5”がガイドレール23に沿って進退しつつ、ワイヤハーネス2の垂下部3がケース22内で上側のハーネス固定部4’を支点に前後に揺動し、且つ垂下部3が周方向に捩られる。図7で左側の鎖線はドア全閉時、右側の実線はドア全開時の状態を示す。右側の鎖線はワイヤハーネス2の水平部15の垂れ下がりを防止するために、首振り部材6の筒状部6bを水平に延長した形態例を示している。延長筒状部6bの長さは図6でコルゲートチューブ(15)が首振り部材6の先端6aから真直に伸びる範囲に限られる。この構造は図3の実施形態においても適用可能である。
【0079】
図8はスライドドアの全閉状態の平面図を示しており、スライドドア31はガイドローラ(図示せず)の付いた上下のブラケット30で車両ボディにスライド自在に支持され、給電装置21のケース22はスライドドア31の前半側に固定され、スライダ5”はケース22の後端側に位置し、首振り部材6は基端側を軸部32で支持された状態で先端6a側を少し斜め後方(車両ボディ33内側)に向けて位置し、ワイヤハーネス2の水平部(コルゲートチューブ部分)15は首振り部材6から車両ボディ33内に少し突出しつつ滑らかに湾曲して(湾曲部を符号15aで示す)、車両ボディ側のハーネス固定具16に続いている。
【0080】
図8の円内の拡大図に示す如く、スライダ5”の背壁12の下半部には首振り部材6の揺動角度θを規制するためのストッパ突部(角度規制部)34が軸部32と後端5aとの間で設けられており、ドア全閉時に首振り部材6のドア寄りの面6bがストッパ突部34に当接して首振り部材6が少し車両ボディ内側を向いた状態で停止する。
【0081】
この角度規制によって、スライドドア31の開き操作を開始した際に、首振り部材6が図8で反時計回りにスムーズに回動して、図9のドア開き途中におけるワイヤハーネス2の水平部15の略U字状の屈曲(屈曲部を15bで示す)がスムーズ且つ確実に行われる。これにより、既存の安価なコルゲートチューブ(15)のみでワイヤハーネス2を一定の軌跡で屈曲させることができ、従来のキャタピラ状の高価な外装部材が不要となる。
【0082】
図8の円内の拡大図に鎖線で示す如くスライダ5”の背壁12にもう一つのストッパ突部(第二のストッパ突部)35を第一のストッパ突部34と前後対称に設けることで、図10のドア全開時における首振り部材6の回動角度θ’を規制して、ドア全開時からスライドドア31を閉じる際の首振り部材6の回動をスムーズに開始させることができる。ス
トッパ突部34,35は後側(第一のストッパ突部34)のみ、あるいは前側(第二のストッパ突部35)のみを設けた場合でも有効である。何れか一方又は両方のストッパ突部34,35で首振り部材6の首振り角度が180゜以下に規制される。
【0083】
スライドドア31は図9の開き途中において車両ボディ33から外側に離間し、ワイヤハーネス2の水平部3は比較的大きな半径(符号15bの部分)で略U字状に屈曲する。図10のドア全開状態でワイヤハーネス2の水平部15は比較的大きな屈曲半径を保ちつつ略J字状に屈曲する。
【0084】
車両ボディ側のハーネス固定具16は不動に固定されており、図8のドア閉じ時から図9のドア半開時にかけてハーネス固定具16からワイヤハーネス2の水平部15が前方に真直に伸び、図10のドア全閉時に円内の拡大図に示す如く、ハーネス固定具16のハーネス挿通孔36の前端でドア寄りの部分に形成された湾曲状のガイド面37に沿ってワイヤハーネス2の水平部15がスムーズに比較的大きな半径で湾曲して(湾曲部を符号15cで示す)ドア側の首振り部6に向けて導出される。断面湾曲状のガイド面37によってワイヤハーネス2の水平部15の折れ曲がりが防止され、屈曲耐久性が向上する。
【0085】
図11にも示す如く、ハーネス固定具16は合成樹脂で略矩形筒状に形成され、前端側の開口38のドア側に対向する部分が大きく切欠され(切欠開口部を符号38aで示す)、切欠開口部38aの内側に湾曲状のガイド面37が形成され、ガイド面37は図10の拡大図の如く真直なハーネス挿通孔36に接線方向に続いている。ハーネス挿通孔36の内面にはコルゲートチューブ(15)の凹溝に係合するリブ39が形成され、ハーネス固定具16を例えば上下に分割式とすることで、コルゲートチューブ(15)がハーネス固定具16内に組み付けられる。
【0086】
図8のストッパ突部34,35や図10〜図11のハーネス固定具16の構成は上記図1〜図4の各実施形態においても適用可能である。また、図8〜図10のスライドドア31への給電装置21の配置やワイヤハーネス2の配索形態は図1〜図4の各実施形態においても同様に適用されるものである。
【0087】
図12〜図16は、本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第四の実施形態を示すものである。
【0088】
図12,図13の如く、このスライド構造体用の給電装置41は、円弧状に湾曲した横方向の金属製ないし合成樹脂製のガイドレール42と、ガイドレール42にスライド自在に係合する揺動部材としてのスライダ43と、スライダ43に水平方向首振り自在に係合した首振り部材6と、スライダ43を円弧状のガイドレール42に沿って揺動させる縦方向の振り子軸である揺動杆44とを備えたものである。
【0089】
揺動杆44は金属材又は合成樹脂材で細長板状に形成され、上下両端部にそれぞれ支持用の円形の孔部45,46を有している。上側の孔部45は図14の如く、例えばスライドドアのインナパネルや車両パネル等といった取付側31にボルト等の軸部47で揺動自在に支持される。
【0090】
図12,図14〜図16の如く、下側の孔部46はガイドレール42の円弧状の長孔48に沿って位置し、孔部46にはローラ49が軸部材50の水平な軸部51で回転自在に支持され、ローラ49はガイドレール内に回転自在に位置し、軸部51は孔部46と長孔48を貫通してローラ49の中心の軸受孔53aに係合し、ローラ49は軸部51に例えばCリング等の保持手段(図示せず)で回転自在に保持され、軸部材50の板部52はスライダ43の背面にねじ等で固定される。
【0091】
揺動杆44の上下の孔部45,46の間の距離は円弧状のガイドレール42の中央の長孔48の曲率半径に等しく、揺動杆44の揺動軌跡は円弧状のガイドレール42とその長孔48の形状と一致している。図12の如く、ガイドレール42は正面側の壁部54と、上下の円弧状に湾曲した壁部55と、上下の壁部55に直交した一対の鍔状の背面側の壁部56(図14)とを有し、正面の壁部55の高さ方向中央に長孔48が形成されている。ローラ49は上下の壁部55の内面に沿って回転自在に摺接する。
【0092】
ローラ49の円筒状の軸受部53は軸部材50の軸部51に回転自在に係合し、ローラ49に対して軸部材50と、軸部材50を固定したスライダ43が回動自在となっている。軸受部53は長孔48にスライド且つ回動自在に係合し、揺動杆44の下側の孔部46に回動自在に係合し、軸部51は揺動杆44に接することなく孔部46を貫通して軸受部53の孔部53aに回動自在に係合している。これによって、図15の鎖線の如く、スライダ43がガイドレール42の左右両端部において揺動杆44と別体に回動して水平に位置可能である。
【0093】
図14〜図16の如く、ワイヤハーネス(複数本の電線)2の垂下部3は揺動杆44に沿って垂直に配索され、且つ揺動杆44の上端寄りの部分にテープやバンド等の結束手段(ハーネス固定部)57で固定され、且つ揺動杆44の下端側でスライダ43の上壁10のハーネス挿通孔8から首振り部材6を経て車両ボディ側に水平に配索される。ハーネス挿通孔8は上拡がりにテーパ状に形成されて、垂下部3の揺動杆側への屈曲(傾斜)やガイドレール長手方向の揺動をスムーズに行わせる。
【0094】
ワイヤハーネス2が揺動杆44に固定されることで、例えばワイヤハーネス製造時のハーネス長さのばらつきがある場合でも、垂下部3が揺動杆44に常に一定の長さで配索固定されるから、ハーネス長さのばらつきの影響を受けずに垂下部3が圧縮力や引張力を受けることなく揺動杆44と一体にスムーズに揺動する。
【0095】
ガイドレール42は例えばスライドドア31のインナパネル等に固定されたり、あるいは図5の実施形態と同様にケース内に配設される。ケース(図5の符号22と同様のもの)を用いる場合、揺動杆44の上端部がケース(22)の背壁(27)にボルト等で揺動自在に支持され、且つ垂下部3が揺動杆44に固定されるから、図5のケース22の上壁24のハーネス固定部4’は不要となる。ケース(22)はスライドドア31のインナパネル等に固定される。
【0096】
スライダ43や首振り部材6やワイヤハーネス2の基本構造は図5の実施形態と概ね同様であるので、図5と同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0097】
図12の如く、スライダ43は上壁10と下壁11と背壁12とで略コの字状に形成され、内側空間に首振り部材6を軸部58(図14)で首振り自在に係合させている。背壁12に軸部材50が固定されている。図14の如く、上壁10のハーネス挿通孔(孔部)8は上下分割式の首振り部材6の直交方向のハーネス挿通孔(孔部)14に続き、挿通孔14に保護チューブであるコルゲートチューブ15の端部が保持固定され、電線部分である垂下部3の下側部分は首振り部材内で屈曲しつつコルゲートチューブ15に挿通されている。
【0098】
図15において、スライドドア31(図16)の全閉時(図15で右側にスライドドアを移動した際)にワイヤハーネス2の水平部(コルゲートチューブ部分)15が車両ボディ側のハーネス固定具(図3の符号16参照)を支点に後方(図15で左側)に引っ張られつつ、図5の左側の鎖線の如くワイヤハーネス2の垂下部3が揺動杆44と共に揺動し、スライドドア31の全開時に水平部15が前方(図15で右側)に引っ張られつつ、図5の右側の鎖線の如く垂下部3が揺動杆44と共に揺動し、スライドドア31の半開時に実線の如く垂下部3が揺動杆44と共に垂直に位置する。
【0099】
何れの状態においてもスライダ43が円弧状のガイドレール42に沿って揺動するから、ワイヤハーネス2の垂下部3の長さは常に一定に維持される。例えば前記図5の実施形態においては、スライドドア31の半開時にスライダ5”が水平なガイドレール23の中間部に位置し、垂下部3が垂直に位置した際に、垂下部3の長さが少し短縮(圧縮)され、その圧縮力でスライダ5”がガイドレール23に下向きに押し付けられ、スライダ5”とガイドレール23との間に有害ではないにせよ摩擦抵抗を生じることが懸念される。
【0100】
図15の実施形態によればその心配が解消されて、常に低い摺動抵抗でスライダ43がガイドレール42を摺動するから、スライダ43やガイドレール42の摩耗が極めて小さく抑えられると共に、小さな力でスムーズなスライダ43のスライド操作が可能となる。ワイヤハーネス2の垂下部3が短縮(圧縮)されないから、垂下部3の捩れ動作によるスライダ43の移動吸収性が向上すると共に、垂下部3の耐久性が向上する。
【0101】
また、図15の如くスライドドア31の開閉時(垂下部3の揺動時)にスライダ32が常に水平に位置するから、ワイヤハーネス2の車両ボディ側へかけての部分である水平部(コルゲートチューブ)15の捩れが防止され、コルゲートチューブ15の捩れに起因する首振り部材6の首振り摩擦抵抗の増加が防止されて、水平部15の屈曲動作(図6参照)がスムーズに行われ、且つコルゲートチューブ15の屈曲耐久性も向上する。
【0102】
なお、上記第四の実施形態においては、揺動杆44として長板を使用したが、長板に代えて長棒等を用いることも可能である。揺動杆44にローラ49を一体的に設け、ガイドレール42の側部開口(図示せず)からローラ49をガイドレール内に進入させることも可能である。
【0103】
また、揺動杆44を廃除(廃止)して、ガイドレール42とスライダ43と首振り部材6とで給電装置を構成することも可能である。この場合、図5の実施形態と同様に、スライドドアの開閉に伴ってスライダ43が円弧状のガイドレール42に沿って摺動しつつ、ワイヤハーネス2の垂下部3が上側のハーネス固定部(図1の符号4等参照)を支点に同一長さで揺動する。
【0104】
また、回転自在なローラ49に代えて、ガイドレール42にスライド自在な円弧状のスライド係合部(図示せず)を用い、このスライド係合部にスライダ43の軸部51を軸周方向回動自在に係合させることも可能である。円弧状のガイドレール42の曲率半径はスライドドア31のスライド量等に応じて適時設定される。
【0105】
また、第四の実施形態に、図8〜図11で示したストッパ突部(角度規制部材)34,35やハーネス固定具16やそのガイド面37の構造を適用することも有効である。ハーネス固定具16は広い意味で車両ボディ側のハーネス固定部と呼称してもよい。
【0106】
また、上記図1〜図16に示す各実施形態においては、ワイヤハーネス2の垂下部3の上端側をハーネス固定部4,57で固定し、垂下部3の下端側を固定部材5(図1)や揺動部材5’(図3)やスライダ5”,43(図5,図12)で保持したが、例えば上記各給電装置1,1’,21,41を上下逆に配置し、垂下部3の下端側をハーネス固定部4,57で固定し、垂下部3の上端側を固定部材5(図1)や揺動部材5’(図3)やスライダ5”,43(図5,図12)で保持することも可能である。
【0107】
また、ハーネス保護チューブ15として、蛇腹チューブ以外のもの、例えば合成樹脂製の網状チューブや、周面の平坦ないし比較的平坦な樹脂チューブや、ウレタンやゴム等の弾性的なチューブ等を用いることも可能である。また、蛇腹チューブとして、合成樹脂製のコルゲートチューブ以外にゴム製の蛇腹チューブ等を用いることも可能である。蛇腹の形状はコルゲートチューブのような断面矩形波状に限らず、断面山型状や波形状等であってもよい。
【0108】
また、上記各実施形態においては、自動車のスライドドア31に給電装置を搭載した例を示したが、自動車以外の車両のスライドドアや車両以外の加工機械等のスライドドア等といったスライド構造体においても上記各実施形態の給電装置を適用可能である。スライドドア31をスライド構造体と呼称した場合、車両ボディ33や加工機械のボディ等は固定構造体と呼称される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第一の実施形態を示すスライド構造体閉じ時の斜視図である。
【図2】同じく給電装置を示すスライド構造体開き時の斜視図である。
【図3】本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第二の実施形態を示すスライド構造体閉じ時の斜視図である。
【図4】同じく給電装置を示すスライド構造体開き時の斜視図である。
【図5】本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第三の実施形態を示すスライド構造体閉じ時の斜視図である。
【図6】同じく給電装置を示すスライド構造体開き時の斜視図である。
【図7】同じく給電装置を説明的に示す正面図である。
【図8】同じく給電装置を搭載したスライド構造体の閉じ時のワイヤハーネス形態を示す平面図(円内は拡大図)である。
【図9】同じくスライド構造体の半開時のワイヤハーネス形態を示す平面図である。
【図10】同じくスライド構造体の全開時のワイヤハーネス形態を示す平面図(円内は拡大図)である。
【図11】車両ボディ側に搭載されるハーネス固定具の一形態を示す斜視図である。
【図12】本発明に係るスライド構造体用の給電装置の第四の実施形態を示す分解斜視図である。
【図13】同じく給電装置のスライダとガイドレールの係合状態を示す斜視図である。
【図14】同じくスライダとガイドレールの係合状態を示す縦断面図である。
【図15】同じく給電装置の動作を示す正面図である。
【図16】同じく給電装置を示す側面図である。
【図17】従来のスライド構造体用の給電装置の一形態を示す斜視図である。
【図18】同じく従来の給電装置の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0110】
1,1’,21,41 給電装置
2 ワイヤハーネス
3 垂下部
4,4’,57 ハーネス固定部
5 固定部材
5’ 揺動部材
5”,43 スライダ(揺動部材)
6 首振り部材
15 コルゲートチューブ(保護チューブ)
16 ハーネス固定具
22 ケース
23,42 ガイドレール
31 スライドドア(スライド構造体)
34,35 ストッパ突部(角度規制部)
37 ガイド面
44 揺動杆




 

 


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