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発明の名称 ワイヤハーネス保持構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−20385(P2007−20385A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2006−31401(P2006−31401)
出願日 平成18年2月8日(2006.2.8)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 塚本 真史 / 佐藤 邦彦 / 伊藤 雅寛
要約 課題
可動構造体のスライド移動に伴い発生するワイヤハーネスの余長を吸収することができ、小型で汎用性に優れたワイヤハーネスの保持構造を提供する。

解決手段
車両ボディと当該車両ボディにスライド移動可能に組付けられている車両用スライドシートとに跨って配索されたワイヤハーネス15を保持するワイヤハーネス保持構造は、シートにてワイヤハーネスの一部分を保持する可動側保持部16と、前記車両ボディにてワイヤハーネスの他の部分を保持するフロア行きコネクタと、を備え、可動側保持部が、軸部19および軸部と交差する方向に延びる腕部21を有し、ワイヤハーネスの一端部に外装されるプロテクタ17と、シートに固定され、プロテクタの軸部を回転可能に軸支する支持部材18と、を含み、ワイヤハーネスが、プロテクタの腕部からフロア行きコネクタに向けて導出され、シートのスライド移動に伴い可動側保持部の周りを旋回する。
特許請求の範囲
【請求項1】
固定構造体と当該固定構造体にスライド移動可能に組付けられている可動構造体とに跨って配索されたワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持構造であって、
前記可動構造体にて前記ワイヤハーネスの一部分を保持する可動側保持部と、前記固定構造体にて前記ワイヤハーネスの他の部分を保持する固定側保持部と、を備え、
前記可動側保持部が、軸部および当該軸部と交差する方向に延びる腕部を有して前記ワイヤハーネスの一端部に外装されるプロテクタと、前記可動構造体に固定されて前記プロテクタの軸部を回転可能に軸支する支持部材と、を含み、
前記ワイヤハーネスが、前記プロテクタの腕部から前記固定側保持部に向けて導出され、前記可動構造体のスライド移動に伴い前記可動側保持部の周りを旋回することを特徴とするワイヤハーネス保持構造。
【請求項2】
前記ワイヤハーネスが、メインワイヤハーネスとサブワイヤハーネスとからなり、
前記プロテクタが、2分割された前記軸部及び前記腕部をそれぞれ含み、前記メインワイヤハーネスに外装されるメインプロテクタと前記サブワイヤハーネスに外装されるサブプロテクタとからなり、
前記メインプロテクタが、その軸部分を前記支持部材に軸支され、
前記サブプロテクタが、その軸部分を前記メインプロテクタの前記軸部分を軸支する前記支持部材の軸孔に挿入させながら、前記メインプロテクタに組み付けられることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス保持構造。
【請求項3】
前記プロテクタの軸部から導出された前記ワイヤハーネスが、前記支持部材に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス保持構造。
【請求項4】
前記プロテクタを所定の回転方向に付勢する付勢手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
【請求項5】
前記プロテクタおよび前記支持部材に、互いに係合して当該軸部の回転角度を規制するリブがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
【請求項6】
前記ワイヤハーネスが前記固定側保持部の近傍において前記スライド移動方向と直交する方向に沿うように当該ワイヤハーネスを前記固定構造体に固定するクランプをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
【請求項7】
前記可動側保持部および前記固定側保持部が、前記可動構造体のスライド移動方向と直交する方向に離間して配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の車両ボディといった固定構造体と車両ボディに対してスライド移動するスライドシートやスライドドアといった可動構造体とに跨って配索されるワイヤハーネスの保持構造に関し、特に、可動構造体のスライド移動に伴って発生するワイヤハーネスの余長を吸収するためのワイヤハーネスの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品の中でもスライドシートやスライドドアは、車両ボディに対してスライド移動量が比較的大きな部位である。当該部位に電装品を装着するには、車両ボディとに跨ってワイヤハーネスを配索する必要があるが、ワイヤハーネスの収容性の点で難があった。
【0003】
例えば、近年人気のワンボックスカーに用いられているスライドシートは、スライド移動量が大きいため、図10に示すように、スライドシート5のスライド移動に伴いワイヤハーネス6には余長が発生し、ワイヤハーネス6の弛みに足を引っ掛けるなどの問題が生じ得る。
【0004】
そこで、スライドシートと車両ボディとの間に配索されたワイヤハーネスをスライドシートのスライド移動に応じて伸縮させるワイヤハーネスの保持構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示されたワイヤハーネスの保持構造は、図11に示すように、長手方向をスライドシートのスライド移動方向に平行に配されたプロテクタ1と、プロテクタ1の前端に設けられた固定側コネクタ2と、プロテクタ1の長手方向にスライド移動可能に当該プロテクタ1に係合し且つスライドシートに接続されるスライダ3とを備える。
【0006】
ワイヤハーネス4は、略U字形状に折り返されてプロテクタ1内に収納され、その一端を固定側コネクタ2に接続され、他端をスライダ3に接続される。スライダ3のスライド移動に伴い、ワイヤハーネス4はその折り返し部分をスライド移動方向に沿って前後に移動させながらプロテクタ1内で伸縮する。これにより、スライダ3のスライド移動に伴い発生するワイヤハーネス4の余長が吸収される。
【0007】
【特許文献1】特開平10−112922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されたワイヤハーネスの保持構造においては、固定側コネクタ2とスライダ3とは、スライダ3のスライド移動方向に整列されており、固定側コネクタ2から延びるワイヤハーネス4は、スライダ3の後方に引き回された後に、略U字形状に折り返されて後方からスライダ3に接続される。換言すれば、ワイヤハーネス4は、スライダ3から固定側コネクタ2に向けて、常にスライダ3の後方に導出される。
【0009】
そして、ワイヤハーネス4の折り返し部分での屈曲による損傷を回避するため、図12に示すワイヤハーネス4の最伸長状態において、折り返し部分の曲率半径を許容値以上に保つための余剰長さLがスライダ3の後方に確保される。
【0010】
このことは、ワイヤハーネスの保持構造の小型化に不利となる虞がある。即ち、電流容量が必要な一般電線(アース線)が併設されたものなどの太径のワイヤハーネスでは許容曲率半径が大きくなる傾向にあり、これに伴い余剰長さLも大きく設定する必要があるので、ワイヤハーネスの保持構造の小型化に不利となる虞がある。また、スライドシートのストロークやワイヤハーネスの曲率半径に合わせて車種毎に専用設計となり、汎用性に劣るという問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定構造体と可動構造体とに跨って配索されたワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持構造において、可動構造体のスライド移動に伴い発生するワイヤハーネスの余長を吸収することができ、小型で汎用性に優れたワイヤハーネスの保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、本発明に係る下記(1)〜(7)のワイヤハーネス保持構造により達成される。
【0013】
(1)固定構造体と当該固定構造体にスライド移動可能に組付けられている可動構造体とに跨って配索されたワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持構造であって、前記可動構造体にて前記ワイヤハーネスの一部分を保持する可動側保持部と、前記固定構造体にて前記ワイヤハーネスの他の部分を保持する固定側保持部と、を備え、前記可動側保持部が、軸部および当該軸部と交差する方向に延びる腕部を有して前記ワイヤハーネスの一端部に外装されるプロテクタと、前記可動構造体に固定されて前記プロテクタの軸部を回転可能に軸支する支持部材と、を含み、前記ワイヤハーネスが、前記プロテクタの腕部から前記固定側保持部に向けて導出され、前記可動構造体のスライド移動に伴い前記可動側保持部の周りを旋回することを特徴とするワイヤハーネス保持構造。
(2)前記ワイヤハーネスが、メインワイヤハーネスとサブワイヤハーネスとからなり、前記プロテクタが、2分割された前記軸部及び前記腕部をそれぞれ含み、前記メインワイヤハーネスに外装されるメインプロテクタと前記サブワイヤハーネスに外装されるサブプロテクタとからなり、前記メインプロテクタが、その軸部分を前記支持部材に軸支され、前記サブプロテクタが、その軸部分を前記メインプロテクタの前記軸部分を軸支する前記支持部材の軸孔に挿入させながら、前記メインプロテクタに組み付けられることを特徴とする上記(1)に記載のワイヤハーネス保持構造。
(3)前記プロテクタの軸部から導出された前記ワイヤハーネスが、前記支持部材に固定されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のワイヤハーネス保持構造。
(4)前記プロテクタを所定の回転方向に付勢する付勢手段をさらに備えたことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
(5)前記プロテクタおよび前記支持部材に、互いに係合して当該軸部の回転角度を規制するリブがそれぞれ設けられていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
(6)前記ワイヤハーネスが前記固定側保持部の近傍において前記スライド移動方向と直交する方向に沿うように当該ワイヤハーネスを前記固定構造体に固定するクランプをさらに備えたことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
(7)前記可動側保持部および前記固定側保持部が、前記可動構造体のスライド移動方向と直交する方向に離間して配置されることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のワイヤハーネス保持構造。
【0014】
上記(1)記載のワイヤハーネス保持構造によれば、プロテクタの腕部に保持されたワイヤハーネスは屈曲することなくプロテクタの軸部と交差する方向に延び、よって、プロテクタの腕部から導出されたワイヤハーネスは、軸部周りのプロテクタの回転に伴って、可動側保持部の周りを旋回する。そして、プロテクタの腕部から導出されたワイヤハーネスが可動構造体のスライド移動に伴って可動側保持部の周りを旋回することにより、可動構造体のスライド移動によって発生するワイヤハーネスの余長が吸収される。これにより、ワイヤハーネスを弛みなく配索することができる。
そして、ワイヤハーネスが旋回し、ワイヤハーネスの最伸長状態でワイヤハーネスの可動側保持部からの導出方向が固定側保持部に向くことにより、より短いワイヤハーネスで可動側保持部と固定側保持部との間を繋ぐことができる。これにより、ワイヤハーネス保持構造の小型化を図ることができる。
【0015】
上記(2)記載のワイヤハーネス保持構造によれば、ワイヤハーネスに外装されてこれを保持するプロテクタが、軸部と腕部とをそれぞれに含むメインプロテクタとサブプロテクタに2分割されており、軸部分を支持部材に軸支されたメインプロテクタにサブプロテクタが組み付けられる構成とされているから、メインプロテクタに保持されたメインワイヤハーネスとは別系統のサブワイヤハーネスを後工程で容易に追加することができる。
【0016】
上記(3)記載のワイヤハーネス保持構造によれば、プロテクタの腕部から導出されたワイヤハーネスの旋回に伴い、主に軸部に保持されているワイヤハーネスに捻転が生じる。これにより、ワイヤハーネスに作用する応力を緩和することができる。
【0017】
上記(4)および(5)記載のワイヤハーネス保持構造によれば、プロテクタが過度に回転してワイヤハーネスに弛みが生じることを規制することができる。
【0018】
上記(6)記載のワイヤハーネス保持構造によれば、ワイヤハーネスは、固定側保持部の近傍において、その一部をスライド移動方向と直交する方向に沿わせた状態に固定される。これにより、可動構造体のスライド移動方向と直交する方向に離間して配置された可動側保持部と固定側保持部との間で、ワイヤハーネスの挙動を安定させ、弛みの発生を抑制することができる。
【0019】
上記(7)記載のワイヤハーネス保持構造によれば、ワイヤハーネスの旋回による余長吸収能の範囲内で、スライド移動方向と直交する方向の可動側保持部および固定側保持部の離間距離を適宜調節することにより、スライド移動量の異なる種々の可動構造体に適用可能であり、汎用性に優れる。
【発明の効果】
【0020】
固定構造体と可動構造体とに跨って配索されたワイヤハーネスを保持するワイヤハーネス保持構造において、可動構造体のスライド移動に伴い発生するワイヤハーネスの余長を吸収することができ、小型で汎用性に優れたワイヤハーネスの保持構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を図を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態であって、ワイヤハーネス保持構造が適用された車両用スライドシートの斜視図、図2は図1に示すワイヤハーネス保持構造の可動側保持部の分解斜視図、図3は図2に示す可動側保持部の組み付け後の外観斜視図、図4は図1に示すワイヤハーネス保持構造の動作を説明する図であって、車両用スライドシートの底面側から見た平面図である。
【0022】
まず、車両用スライドシートのスライド移動構造から説明する。
図1に示すように、車両用スライドシート(可動構造体)10の底面には、車両ボディ(不図示)の前後方向に延びる一対のスライダ11,11が、シート10の幅方向に離間して平行に取り付けられており、各スライダ11の前端部は、一対のスライダ11,11間に横架された連結バー12によって互いに連結されている。
【0023】
そして、車両ボディのフロアには一対のガイドレール13,13が、一対のスライダ11,11に対応して、車両ボディの前後方向に延在している。各スライダ11が、対応するガイドレール13に沿って移動することで、シート10が、車両ボディの前後方向にスライド移動する。
【0024】
そして、車両ボディとシート10とに跨ってワイヤハーネス15が配索されており、本実施形態のワイヤハーネス保持構造は、シート10にてワイヤハーネス15を保持する可動側保持部16と、車両ボディにてワイヤハーネスを保持する固定側保持部と、を備えている。
【0025】
固定側保持部は、一方のガイドレール13の前端部内側に取り付けられたフロア行きコネクタ14とされており、ワイヤハーネス15の一端が接続されている。また、可動側保持部16は、連結バー12に取り付けられ、ワイヤハーネス15の一部分を保持している。
【0026】
図2および図3に示すように、可動側保持部16は、プロテクタ17と支持部材18とを含み、いずれも合成樹脂により形成されている。
【0027】
プロテクタ17は、周方向に一部破断した略円筒形状の軸部19および、軸部19の下端部に屈曲部20を介して連続し、軸部19に略直交する方向に延びる帯板状の腕部21を有しており、ワイヤハーネス15に外装されてワイヤハーネス15を折り曲げて保持する。尚、プロテクタ17は、腕部21においては、例えば粘着テープ等の結束部材30で束ねられるなどしてワイヤハーネス15と強固に固定されるが、軸部19においては、その内部でワイヤハーネス15が捻転可能な程度にワイヤハーネス15を把持する。
【0028】
支持部材18は、本体18aと分割体18bとに2分割されている。分割体18bは、その両側に一対の係止爪22,22が設けられており、各係止爪22を本体18aに設けられている一対の係止溝23,23にそれぞれ係合させて、本体18aに着脱自在に組み付けられる。本体18aおよび分割体18bの接合面には、断面半円形状で上下に延びる溝24a,24bがそれぞれ凹設されており、分割体18bが本体18aに組み付けられた状態で、溝24a,24bにより支持部材18を上下に貫通する貫通孔(軸孔)24が画成される。
【0029】
プロテクタ17の軸部19は、その軸線を上下に沿って配した状態に貫通孔24内に収容されている。支持部材18の貫通孔24は、プロテクタ17の軸部19よりも僅かに大径に形成されており、貫通孔24内に収容された軸部19は、貫通孔24内で回転可能とされている。軸部19周りにプロテクタ17が回転することにより、プロテクタ17の腕部21が軸部19周りに旋回し、腕部21に保持され、また、腕部21から導出されたワイヤハーネス15が、軸部19周りに旋回する。尚、プロテクタ17の軸部19の上下の端部には、貫通孔24からの軸部19の抜脱を阻止するように、支持部材18の貫通孔24の上下の開口縁部にそれぞれ係合する鍔部25,25が設けられている。
【0030】
支持部材18には、貫通孔24の上側の開口縁部に隣接する位置に支持片26が立設されている。プロテクタ17の軸部19から導出されたワイヤハーネス15は、例えば粘着テープ等の結束部材30で束ねられるなどして支持片26に強固に固定されている。このため、腕部21に保持され、また、腕部21から導出されたワイヤハーネス15の旋回に伴い、ワイヤハーネス15の主に軸部19に把持されている部分に捻転が生じる。
【0031】
また、可動側保持部16には、一端を支持部材18に設けられた突起28に掛止され、プロテクタ17の軸部19から導出されたワイヤハーネス15の先端部の外周を回り、他端をプロテクタ17の軸部19に設けられた突起29に掛止された状態に、渦巻きばね27が装着されている。渦巻きばね27は、プロテクタ17を所定の回転方向に付勢している。
【0032】
このように構成された可動側保持部16は、支持部材18に設けられたフック31を連結バー12に設けられた係止孔32(図4参照)に係合させることで、連結バー12に取り付けられている。尚、図4に示すように、係止孔32は、連結バー12の長手方向に所定の間隔をおいて複数設けられており、フック31を適宜な係止孔32に係合させることで、シート10の幅方向、即ち、シート10のスライド移動方向と直交する方向(尚、本実施形態においてはフロアに水平なシート10の幅方向であるが、本発明におけるスライド移動方向と直交する方向は、フロアに水平、垂直、およびそれらの合成をも含む)に沿ったフロア行きコネクタ14と可動側保持部16との離間距離を調節可能となっている。そして、ワイヤハーネス15は、プロテクタ17の腕部21から導出された側の端部をフロア行きコネクタ14に接続されている。
【0033】
次に、図4を参照して、上述のワイヤハーネス保持構造の動作を説明する。
図4(a)〜(d)は、順次、シート10が前方にスライド移動する様を示す。
【0034】
図4(a)に示す初期状態において、フロア行きコネクタ14は、シート10の幅方向に離間して、可動側保持部16の前方に位置している。プロテクタ17の腕部21は略前方に向けて延びている。
【0035】
図4(a)から図4(b)に示す状態にシート10が前方にスライド移動することによりフロア行きコネクタ14と可動側保持部16とが接近する。このため、ワイヤハーネス15に余長が発生してワイヤハーネス15が湾曲するが、ワイヤハーネス15の剛性(復元力)によりプロテクタ17にトルクが作用してプロテクタ17が回転する。そして、プロテクタ17の回転に伴い、プロテクタ17の腕部21によってワイヤハーネス15は旋回され、腕部21からの導出方向がプロテクタ17の軸部19周りに変化する。これにより、ワイヤハーネス15の余長が吸収される。
【0036】
ここで、ワイヤハーネス15の復元力がプロテクタ17の腕部21の延伸方向と平行に当該腕部21に作用した場合には、プロテクタ17にトルクは作用せず、プロテクタ17の回転が誘起されない。よって、本実施形態においては可動側保持部16に装着された渦巻きばね27により所定の回転方向(図中矢印A方向であって、腕部21の先端がフロア行きコネクタ14からシート10の幅方向に離間する回転方向)にプロテクタ17を付勢している。これにより、プロテクタ17の挙動が安定し、ひいてはワイヤハーネス15の挙動が安定する。尚、ワイヤハーネス15の復元力を高めるべく、ワイヤハーネス15にコルゲートチューブ等を外装するようにしてもよい。
【0037】
そして、図4(b)から図4(c),(d)に示す状態にシート10が前方にスライド移動すると、フロア行きコネクタ14と可動側保持部16とが離間する。すると、ワイヤハーネス15に引っ張られて、腕部21の先端がフロア行きコネクタ14に向くようにプロテクタ17が回転する。プロテクタ17が回転し、図4(d)に示すワイヤハーネス15の最伸長状態でプロテクタ17の腕部21の先端がフロア行きコネクタ14に向くことで、より短いワイヤハーネス15で可動側保持部16とフロア行きコネクタ14との間を繋ぐことができ、これにより、ワイヤハーネス保持構造の小型化が図られている。
【0038】
このとき、プロテクタ17の回転方向とは逆方向(図中矢印A方向)に渦巻きばね27がプロテクタ17を付勢しており、プロテクタ17が過度に回転してワイヤハーネス15に弛みが生じることが抑制されている。
【0039】
また、プロテクタ17の回転に伴い、ワイヤハーネス15の主にプロテクタ17の軸部19に把持されている部分に捻転が生じており、これにより、ワイヤハーネス15に加わる応力が緩和されている。
【0040】
また、ワイヤハーネス15は、フロア行きコネクタ14の近傍においてシート10の幅方向に沿うように、クランプ33によって車両ボディに固定されている。これにより、ワイヤハーネス15の挙動が安定し、且つ弛みの発生が規制されている。
【0041】
更に、可動側保持部16を構成するプロテクタ17及び支持部材18がいずれも合成樹脂製とされており、リサイクル性に優れる。また、支持部材18の本体18aに分割体18bが着脱自在に組み付けられており、解体時の作業性に優れる。
【0042】
次に、図5を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
図5は本発明の第2実施形態であって、ワイヤハーネス保持構造の可動側保持部の外観斜視図である。尚、上述した第1実施形態と共通する部材には同一または相当符号を付すことにより説明を省略する。
【0043】
図5に示すように、第2実施形態のワイヤハーネス保持構造は、上述した第1実施形態のワイヤハーネス保持構造の可動側保持部16において、プロテクタ17の軸部19の上側の鍔部25に、半径方向に突出する規制リブ34を設け、また、鍔部25が係合している支持部材18の貫通孔24の上側の開口縁部に、規制リブ34と同一周上に位置する規制リブ35を設けたものである。これにより、プロテクタ17の回転角度を規制し、プロテクタ17が過度に回転してワイヤハーネス15に弛みが生じることを抑制したものである。その他の構成及び作用効果は上述した第1実施形態と同様である。
【0044】
次に、図6〜図11を参照して本発明の第3実施形態を説明する。
図6は本発明の第3実施形態であって、ワイヤハーネス保持構造の可動側保持部の分解斜視図、図7は図6に示す可動側保持部の組み付け手順を説明する外観斜視図、図8は図6に示す可動側保持部の組み付け手順を説明する外観斜視図、図9は図6に示す可動側保持部の組み付け後の外観斜視図である。尚、上述した第1実施形態と共通する部材には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0045】
本実施形態のワイヤハーネス保持構造では、上述した第1実施形態のワイヤハーネス保持構造における可動側保持部16に替え、図9に示す可動側保持部56を備えている。可動側保持部56は、プロテクタ57と支持部材58とを含み、プロテクタ57及び支持部材58は、いずれも合成樹脂により形成されている。
【0046】
さらに図6を参照して、プロテクタ57は、円筒形状の軸部59と、軸部59の下端部に矩形筒状の屈曲部60を介して連続し、軸部59に略直交する方向に延びる矩形筒状の腕部61とを有し、全体として略L字形状に形成されている。このプロテクタ57は、L字の内縁側を構成するメインプロテクタ57aと外縁側を構成するサブプロテクタ57bとに2分割されている。
【0047】
メインプロテクタ57aは、中心角度θ≧180°をもって軸部59から分割された主軸部分59aと、屈曲部60及び腕部61の断面コ字形状の内縁部分60a,61aとを含んでおり、サブプロテクタ57bは、軸部59から主軸部分59aを除いた副軸部分59bと、屈曲部60及び腕部61の断面コ字形状の外縁部分60b,61bとを含んでいる。サブプロテクタ57bの腕部外縁部分61bには一組の係止爪68が設けられており、サブプロテクタ57bは、これら係止爪68をメインプロテクタ57aの腕部内縁部分61aに係合させ、それによりメインプロテクタ57aに組み付けられる。
【0048】
メインプロテクタ57aは、メインワイヤハーネス15aに外装されてこれを略L字形状に折り曲げて保持し、また、サブプロテクタ57bは、メインワイヤハーネス15aとは別系統のサブワイヤハーネス15bに外装されてこれを略L字形状に折り曲げて保持する。メインプロテクタ57aの腕部内縁部分61aの突端には支持片が突設されており、メインワイヤハーネス15aは、該支持片に例えば粘着テープ等の結束部材30で束ねられるなどして強固に固定される。同様に、サブプロテクタ57bの腕部外縁部分61bの突端にも支持片が突設されており、サブワイヤハーネス15bは、該支持片に例えば粘着テープ等の結束部材30で束ねられるなどして固定される。
【0049】
支持部材58は、プロテクタ57の軸部59を収容してこれを軸支する軸孔64を有しており、この軸孔64を画成している周壁には、該周壁を周方向に分断するスリット67が設けられている。この支持部材58は、軸孔64を画成している周壁をスリット67及び周方向の他の一箇所において分断してなる分割体58bと、この分割体58bを除く本体58aとで構成されている。分割体58bの分断面には係止片62が突設されており、分割体58bは、係止片62を本体58aの分断面に凹設された係止溝63に嵌入させ、それにより本体58aに組み付けられる。尚、図6において符号64a、64bで示すのは、本体58a又は分割体58bにそれぞれ凹設され、両者が互いに組み付けられた状態で軸孔64を画成する円弧溝である。
【0050】
支持部材58の軸孔64は、プロテクタ57の軸部59よりも僅かに大径に形成されており、軸孔64内に収容された軸部59は軸孔64内で回転可能である。軸部59周りにプロテクタ57が回転することにより、プロテクタ57の腕部61が軸部59周りに旋回し、腕部61から導出されたメインワイヤハーネス15a及びサブワイヤハーネス15bも共に軸部59周りに旋回する。
【0051】
メインプロテクタ57aの主軸部分59aは、その上下の端部に、軸孔64からの主軸部分59aの抜脱を阻止するように支持部材58の軸孔64の上下の開口縁部にそれぞれ係合する鍔部65aを有し、また、サブプロテクタ57bに含まれる副軸部分59bは、下端部のみに軸孔64の下側開口縁部に係合する鍔部65bを有している。
【0052】
このように構成された可動側保持部56の組み付け手順を図7〜図9を参照して説明する。
【0053】
まず、図7に示すように、プロテクタ57のメインプロテクタ57aをメインワイヤハーネス15aに外装しこれを略L字形状に折り曲げて保持する。そして、メインプロテクタ57aの主軸部分59aを支持部材58の本体58aの円弧溝64a内に配置し、本体58aに分割体58bを組み付ける。ここで、メインプロテクタ57aの主軸部分59aの中心角度θは180°以上であり、且つ主軸部分59aの上下両端部に設けられた鍔部65aは支持部材58の軸孔64の上下の開口縁部にそれぞれ係合しているので、主軸部分59aが軸孔64から抜け落ちることが防止されている。
【0054】
尚、支持部材58には、軸孔64の上側の開口縁部に隣接する位置に支持片66が立設されており、メインプロテクタ57aの主軸部分59aから導出されたメインワイヤハーネス15aを、例えば粘着テープ等の結束部材30で束ねられるなどして支持片66に固定する。このため、腕部61から導出されたメインワイヤハーネス15aの旋回に伴い、メインワイヤハーネス15aの主軸部分59aに配置されている部分に捻転が生じる。
【0055】
続いて、図8に示すように、プロテクタ57のサブプロテクタ57bをサブワイヤハーネス15bに外装しこれを略L字形状に折り曲げて保持する。そして、図9に示すように、サブプロテクタ57bの副軸部分59bから導出されているサブワイヤハーネス15bを支持部材58のスッリト67を通して軸孔64内に配置し、その後、支持部材58の下側から副軸部分59bを軸孔64に挿入させながら、係止爪68をメインプロテクタ57aの腕部内縁部分61aに係合させて、サブプロテクタ57bをメインプロテクタ57aに組み付ける。尚、サブワイヤハーネス15bも共に支持片66に固定するようにしてもよい。
【0056】
このように、メインプロテクタ57aに保持されたメインワイヤハーネス15aとは別系統のサブワイヤハーネス15bをサブプロテクタ57bで保持して後工程で容易に追加することができるから、例えば、異なる車種もしくは同一車種の異なるグレードにおいて共通するワイヤハーネスをメインワイヤハーネス15aとし、これをメインプロテクタ57aで保持して予め支持部材58に組み付けておき、車両組み立てラインにおいて、車種毎もしくはグレード毎に例えばシート調整回路、シートベルト回路、エアバック回路、等の異なる系統のワイヤハーネスをサブワイヤハーネス15bとして後工程で容易に追加することができ、よって、ワイヤハーネス保持構造の汎用性を拡大させることができる。その他の構成及び作用効果は上述した第1実施形態と同様である。
【0057】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0058】
例えば、上述した第1実施形態において、支持片26は、貫通孔24の軸方向に沿って延びるように支持部材18に立設されているが、これに限られず、支持片26を貫通孔24の軸方向と交差する方向に沿って延びるように支持部材18に設け、プロテクタ17の軸部19から導出されたワイヤハーネス15を屈曲させて当該支持片26に固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態であって、ワイヤハーネス保持構造が適用された車両用スライドシートの斜視図である。
【図2】図1に示すワイヤハーネス保持構造の可動側保持部の分解斜視図である。
【図3】図2に示す可動側保持部の組み付け後の外観斜視図である。
【図4】図1に示すワイヤハーネス保持構造の動作を説明する図であって、車両用スライドシートの底面側から見た平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態であって、ワイヤハーネス保持構造の可動側保持部の外観斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態であって、ワイヤハーネス保持構造の可動側保持部の分解斜視図である。
【図7】図6に示す可動側保持部の組み付け手順を説明する外観斜視図である。
【図8】図6に示す可動側保持部の組み付け手順を説明する外観斜視図である。
【図9】図6に示す可動側保持部の組み付け後の外観斜視図である。
【図10】スライドシートのスライド移動に伴いワイヤハーネスに余長が発生する状態を示す斜視図である。
【図11】従来のワイヤハーネス保持構造の分解斜視図である。
【図12】図11に示すワイヤハーネス保持構造の動作を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 車両用スライドシート(可動構造体)
14 フロア行きコネクタ(固定側保持部)
15 ワイヤハーネス
16 可動側保持部
17 プロテクタ
18 支持部材
19 軸部
21 腕部
24 貫通孔(軸孔)
27 渦巻きばね(付勢手段)
33 クランプ
34 規制リブ
35 規制リブ




 

 


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