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発明の名称 ハイブリッド励磁回転電機、及びハイブリッド励磁回転電機を備えた車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−124755(P2007−124755A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−311142(P2005−311142)
出願日 平成17年10月26日(2005.10.26)
代理人 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
発明者 有田 秀哲 / 井上 正哉 / 浅尾 淑人 / 山本 恒宣
要約 課題
従来のハイブリッド励磁回転電機は、永久磁石を大きくしてその寄与分を大きくすればトルクは増大するが、発電機として使用するとき高速回転領域において界磁電流を逆転させても主磁束を十分弱めることができず、出力電圧が所定値以上に上昇してしまう。

解決手段
この発明によるハイブリッド回転電機は、多相Y結線された固定子巻線12と、回転子軸3にその周方向に所定の間隔を介して固定され固定子1の内周面に空隙4を介して対向する複数の回転子磁極21〜28と、前記各々の回転子磁極の前記周方向のほぼ中央部に固定され且つ前記回転子軸の半径方向に着磁された複数の永久磁石51〜58と、前記夫々の回転子磁極に巻回された複数の界磁巻線61〜64とを有するものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
多相Y結線された固定子巻線を備えた固定子と、回転子軸にその周方向に所定の間隔を介して固定され前記固定子の内周面に空隙を介して対向する複数の回転子磁極と、前記各々の回転子磁極の前記周方向のほぼ中央部に固定され且つ前記回転子軸の半径方向に着磁された複数の永久磁石と、前記夫々の回転子磁極に巻回された複数の界磁巻線とを有することを特徴とするハイブリッド励磁回転電機。
【請求項2】
前記永久磁石は、前記回転子磁極に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド励磁回転電機。
【請求項3】
前記永久磁石は、前記回転子磁極に設けられた凹溝に挿入され且つ前記空隙に対して表面が露出していることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド励磁回転電機。
【請求項4】
前記夫々の回転子磁極の相互間に、前記周方向に着磁された極間永久磁石を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリッド励磁回転電機。
【請求項5】
前記固定子巻線は、極ピッチに対する巻線ピッチが84%の短節巻であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハイブリッド励磁回転電機。
【請求項6】
前記固定子巻線は3相または6相のY結線された巻線で構成され、前記回転子磁極は少なくとも8極であり、前記永久磁石は希土類元素を含む材料を用いて構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハイブリッド励磁回転電機。
【請求項7】
前記固定子巻線の中性点は、半導体素子を介してバッテリーに接続されていることを特徴とする請求項1〜6に記載のハイブリッド励磁回転電機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のハイブリッド励磁回転電機を備え、該ハイブリッド励磁回転電機を車両のエンジンにより駆動される発電機及び前記エンジンを始動させるエンジン始動用電動機として用いることを特徴とするハイブリッド励磁回転電機を備えた車両。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転子に永久磁石と界磁巻線とを備え、永久磁石と界磁巻線によりハイブリッド励磁される車両用等の回転電機、及びこのハイブリッド励磁回転電機を備えた車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転子に永久磁石を有する回転電機は、小型高トルクの発生が可能という利点があり近年種々の用途に採用されている。しかし、回転子に磁石を有することは、磁束量が固定されることになる。従がって、この回転電機を発電機として使用する場合、その出力電圧が回転速度に比例するため、車輌用発電機のように回転速度範囲が広い用途では出力電圧が大きく変化し、例えば14[V]の一定電圧で発電制御することが要求される車輌用発電機等には適用が困難である。
【0003】
そこで、従来の車輌用発電機としては、スリップリングを介し、円筒状の界磁巻線を用いて爪状磁極を励磁する構造により、界磁巻線への通電量で磁束量を制御可能とした、いわゆるランデル型同期機が一般に普及している。
【0004】
一方、車両用発電機に半導体スイッチング素子を接続して、発電機を始動用電動機として利用し、アイドリングストップ機能を得ようとすることが考えられている。ところが、従来の車輌用発電機を始動用電動機として使用する場合においては、エンジンを瞬時に再始動させるための始動トルクが不足している。この始動トルクを大きくするために、回転電機のサイズを大きくすることが考えられるが、ランデル型同期機には回転子の爪状磁極が遠心力によって変形するという機械的制約から、サイズの大きなものを製作することは困難である。
【0005】
そこで、別の従来例として、スリップリングによって給電される界磁巻線による励磁と永久磁石励磁の双方を有した回転界磁を持つハイブリッド励磁回転電機を車輌用発電電動機として用いることが提案されている。(例えば特許文献1参照)
【0006】
この特許文献1に示された回転電機は、従来の一般的な爪状磁極を有する車輌用発電機と同様に、界磁巻線に通電することで固定子巻き線に鎖交する磁束量の増減が可能な構造となっている。
【特許文献1】特開平11−289732
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エンジン瞬時始動のためには始動トルクの更なる向上が求められているが、従来の装置において一層高トルクを得るためには、永久磁石を大きくし、永久磁石の寄与分を大きくしていく必要がある。その結果、始動トルクは向上するものの、無負荷時の誘起電圧が上昇していき、主磁束を最大限弱めたとしても高速運転時には車輌の電源電圧を越えてしまい、発電制御が出来なくなる。そこで界磁電流を逆転させ、主磁束を弱めることが考えられるが、従来の回転電機の磁石配置では現実的に通電可能な界磁電流で逆励磁しても、車載電源相当に電圧を低下させるだけ主磁束を弱めることが困難である。
【0008】
また、従来の装置の構造において、例え永久磁束の基本波成分を界磁巻線の逆励磁で完全に弱めることができたとしても、界磁巻線の作る磁束波形と永久磁石の発生する磁束波形が異なり、それぞれ異なる高調波成分を有するため、電圧の高調波成分が残り、車載電源電圧を越える誘起電圧を生じる。
【0009】
以上のような背景から、従来の回転電機では、始動トルクの増大と弱め界磁による無負荷電圧抑制との両立が困難であるという課題があった。
この発明は、従来の装置における以上の様な課題を解決し、始動トルクの増大と弱め界磁による無負荷電圧抑制とを両立させることのできるハイブリッド励磁回転電機、及びハイブリッド励磁回転電機を備えた車両を得ることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるハイブリッド励磁回転電機は、多相Y結線された固定子巻線を備えた固定子と、回転子軸にその周方向に所定の間隔を介して固定され前記固定子の内周面に空隙を介して対向する複数の回転子磁極と、前記各々の回転子磁極の前記周方向のほぼ中央部に固定され且つ前記回転子軸の半径方向に着磁された複数の永久磁石と、前記夫々の回転子磁極に巻回された複数の界磁巻線とを有するものである。この発明に於いて多相とは、3相以上の相をいう。
【0011】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機は、前記永久磁石を、前記回転子磁極に埋め込むようにしたものである。
【0012】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機は、前記永久磁石を、前記回転子磁極に設けられた凹溝に挿入し且つ前記空隙に対して表面が露出しているようにしたものである。
【0013】
更に、この発明によるハイブリッド励磁回転電機は、前記夫々の回転子磁極の相互間に、前記回転子軸の周方向に着磁された極間永久磁石を設けたものである。
【0014】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機は、前記固定子巻線を、極ピッチに対する巻線ピッチが84%の短節巻としたものである。
【0015】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機は、固定子巻線は3相または6相のY結線された巻線で構成され、前記回転子磁極は少なくとも8極であり、前記永久磁石は希土類元素を含む材料を用いて構成されたものである。
【0016】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機は、固定子巻線の中性点が半導体素子を介してバッテリーに接続されているものである。
【0017】
更に、この発明によるハイブリッド励磁回転電機を備えた車両は、このように構成されたハイブリッド励磁回転電機を備え、該ハイブリッド励磁回転電機を車両のエンジンにより駆動される発電機及び前記エンジンを始動させるエンジン始動用電動機として用いるようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によるハイブリッド励磁回転電機によれば、多相Y結線された固定子巻線を備えた固定子と、回転子軸にその周方向に所定の間隔を介して固定され前記固定子の内周面に空隙を介して対向する複数の回転子磁極と、前記各々の回転子磁極の前記周方向のほぼ中央部に固定され且つ前記回転子軸の半径方向に着磁された複数の永久磁石と、前記夫々の回転子磁極に巻回された複数の界磁巻線とを有するので、回転子磁極の中心部は永久磁石の磁束により高い磁束密度が得られ、界磁巻線は回転子磁極の両端部の磁束を制御するだけで良いので大きな起磁力を必要とせず、始動トルクの増大と弱め界磁による無負荷電圧抑制とを両立させることのできるハイブリッド励磁回転電機を得ることができる。
【0019】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機によれば、前記永久磁石を、回転子磁極に埋め込むようにしたので、空隙側の磁石表面に回転子磁極の鉄心が位置することとなり、弱め界磁の効果がさらに大きくなり、発電機として、高速運転時の無負荷電圧の抑制、電動機として、高速運転が容易となる。
【0020】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機によれば、永久磁石を、回転子磁極に設けられた凹溝に挿入して固定し、且つ空隙に対して永久磁石の表面が露出するようにしたので、空隙側を磁石表面とすることで、磁石磁束の漏れが低減でき、より大きなトルクを得ることが可能である。
【0021】
更に、この発明によるハイブリッド励磁回転電機によれば、夫々の回転子磁極の相互間に回転子軸の周方向に着磁された極間永久磁石を設けたので、回転子内周側の磁気飽和が低減されて有効主磁束が大きくとれ、大きなトルクを得ることが出来る。
【0022】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機によれば、固定子巻線を、極ピッチに対する巻線ピッチが84%の短節巻としたので、高次高調波、特に比較的大きな5次高調波を低減することが可能となり無負荷誘起電圧を低減することができる。
【0023】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機によれば、前記のように構成されたハイブリッド励磁回転電機の固定子巻線を3相または6相のY結線された巻線で構成し、回転子磁極を少なくとも8極とし、且つ永久磁石を希土類を含む材料を用いて構成したので、多極化と、希土類を含む材料で形成された永久磁石の採用により、更に高始動トルクを得ることができ、且つ界磁巻線の逆方向通電による弱め界磁を行なっても減磁しにくく広い回転速度範囲で大出力の発電を行うことができる。
【0024】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機によれば、固定子巻線の中性点が半導体素子を介してバッテリーに接続されているので、高速回転時においても発電性能の飽和が緩和されるので、高出力を得ることができる。
【0025】
また、この発明によるハイブリッド励磁回転電機を備えた車両によれば、前記のように構成されたハイブリッド励磁回転電機を、車両のエンジンにより駆動される発電機及び前記エンジンを始動させるエンジン始動用電動機として用いるようにしたので、アイドリングストップからのエンジン始動が迅速であり、かつエンジン始動後は広い回転速度範囲で大出力の発電を行うことができる回転電機を備えた車両を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1による車両用のハイブリッド励磁回転電機の横断面図、図2は、固定子巻線の回路を示す説明図である。図1に於いて、固定子1は軸方向に同一形状の環状磁性板が積層された固定鉄心11を備え、その固定子鉄心11の内周部には48個のスロット111が形成されている。図1には示していないが、固定子鉄心11の48個のスロット111に、毎極毎相2の分布巻として3相Y結線された固定子巻線12が装着されている。尚、固定子巻線12は集中巻であっても良い。
【0027】
図2は固定子巻線12に関連する構成を示し、固定子巻線12は上記の通り3相Y結線されたU相巻線12U、V相巻線12V、W相巻線12Wを備えている。U相巻線12U、V相巻線12V、W相巻線12Wは、夫々平滑リアクトル13U、13V、13Wを介して、半導体素子からなる電力変換装置14の入力端に接続されている。電力変換装置14は、電圧調整器15を介してバッテリー16及び負荷17に接続されている。
【0028】
電力変換装置14は、ハイブリッド励磁回転電機が発電機として用いられるときはコンバータとして動作し、固定子巻線12により発電された三相電力を直流電力に変換し、ハイブリッド励磁回転電機がエンジン始動用電動機として用いられるときはインバータとして動作し、バッテリー16からの直流電力を3相交流電力に変換して固定子巻線12に供給するものである。
【0029】
回転子2は、回転子軸3の周面に機械角45度の間隔を介して固定された8極の回転子磁極21、22、23、24、25、26、27、28を備えている。これらの回転子磁極21〜28は、軸方向に多数の磁性板を積層した鉄心からなり、軸と直交する方向の断面形状が略T字状に形成されている。回転子磁極21〜28は、固定子鉄心11の内周部に空隙4を介して対向して配置されている。
【0030】
夫々の回転子磁極21〜28の周方向のほぼ中央部で且つ空隙4の近傍には、永久磁石51、52、53、54、55、56、57、58が埋め込まれている。これらの永久磁石51〜58は、夫々回転子2の半径方向に着磁されている。図1に示す矢印の方向は、夫々の永久磁石51〜58のN極側を示しており、夫々の永久磁石51〜58は交互に極性が反転するよう配置されている。これらの永久磁石51〜58は、例えばネオジウム、サマリウム等の希土類元素を含む材料で形成された希土類磁石で構成され、より強力な磁束を発生する。
【0031】
夫々の回転子磁極51〜58の基部には、環状の界磁巻線61、62、63、64が巻回され、これらの界磁巻線61〜64は、図示していないスリップリングを通して外部から界磁電流が供給され、例えば図示の方向に通電される。
【0032】
以上のように構成されたこの発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機において、図3の説明図に示すように、界磁巻線61〜64に通電しない場合は、永久磁石51〜58による磁束Φpだけで磁極を形成する。この場合、隣り合う永久磁石51〜58は交互に逆方向に着磁されているので、回転子2の表面磁束波形は、ほぼゼロ(回転子磁極間281)―S(大)(回転子磁極28)−ほぼゼロ(回転子磁極間211)―N(大)(回転子磁極21)−ほぼゼロ(回転子磁極間222)、が繰り返される。
【0033】
回転子磁極51による機械角度1極分P1の磁界解析により求めた空隙磁束波形を図4に示し、その空間周波数分析結果を図5に示す。図4から明らかなように、空隙磁束密度は回転子磁極21の周方向中央部、即ち永久磁石51が埋め込まれた部分で最も高く、その両側の鉄心部分から隣接する回転子磁極との間の空間部に至って0となる。また、この場合の空間周波数分析結果は、図5に示すように基本波成分、次いで第3次高調波成分、第5時高調波成分、第7次高調波成分等と続いている。
【0034】
次に、界磁巻線61〜64に、永久磁石51〜58の磁束が強まる方向に励磁電流を流した場合を説明すれば、図6に示すように、夫々の巻線界磁61〜64による磁束Φwが発生し、永久磁石51〜58の両端の磁束を打ち消してしまい、機械角度1極分P1の空隙磁束は図7に示すようにほぼ正弦波に近い形となる。従って、回転子2の表面磁束波形は、s(小)―S(大)−s(小)−N(小)―N(大)−N(小)、が繰り返される。この場合の空間周波数分析結果は、図8に示すように基本波成分が主体であり、第3次高調波成分、第5時高調波成分等が少し生じている。
【0035】
次に、界磁巻線61〜64に流す励磁電流の通電方向を反転して、永久磁石51〜58の磁束が弱まる方向に通電して行き、完全に基本波成分を相殺した場合について説明する。この場合は、永久磁石51〜58による磁束Φpと界磁巻線61〜64による磁束Φwが図9に示すように生じる。従って、例えば永久磁石51の両側に位置する回転子磁極21の表面ではS極となり、永久磁石21が位置する中央部の表面ではN極となる。この場合の機械角度1極分P1の空隙磁束の分布は図10に示す通りとなる。
【0036】
上記の場合の空間周波数分析結果は、図11に示すとおり基本は成分は完全に相殺されており、ほぼ第3次高調波成分のみとなる。しかし実施の形態1では固定子巻線12を3相Y結線としているので、線間での電位差を持たない。図11では僅かに第5次高調波成分が残っているが、これは例えば毎極毎相2の固定子巻線であれば、巻線ピッチを通常の6スロット(1極分相当)より短くして5スロットとすること、即ち固定子巻線の巻線ピッチを84%(5スロット/6スロット)の短節巻とすることで、第5次高調波成分の誘起電圧を低減することが可能となる。図12に固定子巻線12の巻線ピッチを、5スロットにしたときの誘起電圧E5と、6スロットにしたときの誘起電圧E6の周波数分析結果を示す。このように、界磁巻線による弱め界磁制御によって固定子巻線12の高調波成分の誘起電圧を低減することができる。
【0037】
以上に示した様に、本発明の実施の形態1によれば、永久磁石51〜58を界磁極として持ちながら、主磁束をほぼ0から従来型クローポール機の1.3〜1.5倍まで変化させることができる。無負荷時では従来型クローポール機のほぼ1.3倍の主磁束となる。主磁束がほぼ0から可変できることにより、発電機として使用する場合は、界磁電流を制御することで、全速度範囲で容易に発電量を制御することができる。一方、電動機として使用する場合においては、主磁束をほぼ0まで弱めることが出来ることから、逆起電力を抑制でき、高速回転までトルクを出すことができる。
【0038】
また、本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機は、回転子の突極性が高く、そのため大きなリラクタンストルクが得られるという効果がある。以下にこれを説明する。
図13に、回転子磁極21〜28の中心軸であるD軸を貫通するD軸磁路Fdと、回転子磁極間の中心軸であるQ軸を貫通するQ軸磁路Fq を矢印で示す。永久磁石51〜58の比透磁率は、ほぼ1であるが、回転子磁極21〜28を構成する鉄心の比透磁率は、100〜10000程度と高い。従って、永久磁石51〜58を貫通するD軸磁路Fdより、回転子磁極21〜28の鉄心だけで通過するQ軸磁路Fqを形成することが可能である。
【0039】
突極性がある回転電機のトルクは、一般に次式で表現されることが知られている。
T=Pn{(Ld−Lq)IdIq+ΦaIq} (式1)
但し、Pnは極対数、Ld、LqはD軸インダクタンス及びQ軸インダクタンス、Id、Iqは3相電流を2相に変換した場合のD軸電流及びQ軸電流、Φaは界磁巻線と永久磁石で作る磁束を示す。
【0040】
従って、D軸インダクタンスLdよりQ軸インダクタンスLqが大なる場合には、固定子巻線12への通電電流の相差角を進めることでトルクを増加させることができる。このように固定子を使った弱め界磁制御によって、−Idを印加することでトルクが増加する。この実施の形態1でのトルク増加の効果を磁界解析により検証した結果を図14に示す。
【0041】
図14に於いて、横軸は固定子巻線12への通電電流の相差角を示しており、固定子1の起磁力中心がQ軸にある位置を0度とし、そこから固定子巻線12への通電電流を進相させた場合の進相角度(電気角)とトルクの関係を示している。図14で示すように、固定子巻線12への通電電流を電気角で50度〜60度程度進相させることで、トルクが1.5倍程度増加させることができる。よって本発明の実施の形態1では高いトルクを有する回転電機を提供することができることがわかる。
【0042】
また、実施の形態1で用いる永久磁石51〜58は回転子磁極21〜28を形成する鉄心の内側に埋め込んでいることにより、永久磁石21〜28の空隙側に存在する鉄心にもQ軸磁束が流れるのでQ軸インダクタンスLqが大きくなり、トルクが増大すると同時に弱め界磁の効果をより高めることができる。
【0043】
尚、永久磁石51〜58の両側を楔状鉄心で固定し、夫々の永久磁石の表面を空隙側に露出させても良い。この場合、永久磁石の表面が空隙に露出しているので主磁束のピークが大きくなりトルクをより大きくすることができる。また永久磁石51〜58を回転子磁極21〜28の表面側により近く配置させるので永久磁石51〜58の内周側の回転子磁極21〜28の鉄心部が広くなり、Q軸磁束が通りやすくなり、Q軸インダクタンスが大きくなり弱め界磁の効果を高めることができる。
【0044】
実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機によれば、トルク増加のために、永久磁石の寄与分を大きくするのではなく、リラクタンストルク、すなわちD軸(磁極中心)よりQ軸(磁極間)に磁気的突極性が高い構造として、突極を吸引する力を利用可能な回転子構造となっている。
【0045】
従来装置では、回転子磁極に、界磁巻線で励磁する極と、永久磁石で励磁する極との双方があり、永久磁石のある極は突極性が多少あるものの、巻線のある位置では突極性はほとんどなく、回転子全体で見て平均すると磁気的突極性は高くない。しかし本発明の実施の形態1では、回転子の各回転子磁極を、軸と直交する方向の断面を概略T字形状とし、周方向のほぼ中央部に永久磁石を取付け、その両側に回転子磁極を構成する鉄心を設けた構造とすることにより、永久磁石両側の透磁率を高くした。その結果、回転子磁極のD軸よりQ軸のリアクタンスが大きくなり、突極性を持たせることにより、リラクタンストルクを有効に利用できる。
【0046】
また、本発明の実施の形態1では、リラクタンストルク作用を大きく利用でき、弱め界磁制御を行なった場合、D軸電流ゼロ制御に比べて30〜50%のトルク増加の効果が得られる。
【0047】
また、本発明の実施の形態1によれば、誘起電圧を抑制するため、界磁巻線により磁束を弱めた場合に発生する主な高調波成分は3次であり、固定子巻線のY結線と組み合わせることにより端子間に電位差を生じることがない。また、上記によっても端子電圧として発生する誘起電圧の5次、7次高調波成分に対しては固定子巻線に短節巻きを採用することでさらに低減することが可能である。
【0048】
本発明の実施の形態1による回転子磁極は、従来例と異なり、極毎に繰り返し対称であるので、電磁加振力が各極でバランスしており音が出にくい構造となっている。また、質量の配分も中心に対し対称であるので、機械的にも重量バランスにすぐれ、振動が生じにくいという効果が得られる。
【0049】
交流機における空隙磁束は、正弦波状の波形が理想的であるが、本発明の実施の形態1によれば、もっとも高い磁束密度が要求される回転子磁極の中央部に永久磁石を配置することにより正弦波状の磁束分布を得ることができる。界磁巻線の励磁による磁束は正弦波状磁束密度分布のピークでなくともよく、限られた界磁電流でも空隙における大きな振幅の正弦波磁束分布が得られる。
【0050】
実施の形態2
図15は本発明の実施の形態2の構成を示す説明図である。この実施の形態2では、図15に示すように夫々の回転子磁極21〜28の相互間、即ち極間のスペースに、回転子の周方向に着磁した極間永久磁石71〜72を配置したものである。極間永久磁石71〜78の着磁方向は交互に逆となっている。
【0051】
この実施の形態2によれば、図15に示すように極間永久磁石71〜78による磁束Φp1が追加されて磁束を強め空隙磁束密度をさらに大きくすることができる。また回転子磁極21〜28の永久磁石51〜58による主磁束Φpと方向が逆となるので、図15に斜線部で示す回転子の中心部分Aの磁気飽和を緩和することができる。
【0052】
従って回転子の回転子磁極21〜28を形成する鉄心の内周側の径を小さくすることができ、界磁巻線61〜64の巻回可能面積を大きくすることが出来、その結果、界磁起磁力を増やすことが可能となり、さらなる主磁束増加を期待することができ、始動トルク及び発電特に低回転での出力を大きくすることができる。或いは固定子巻線12の巻数を減らすことにより、始動トルクはそのままで、電動機出力及び発電出力を大きくすることができる。
【0053】
実施の形態3
本発明の実施の形態3は、実施の形態1又は2のハイブリッド励磁回転電機を、エンジンにより駆動されて発電する発電機として、及びエンジンの始動用電動機として用いるようにした車両である。
【0054】
通常、車両に搭載されるハイブリッド励磁回転電機は、回転子が車両のエンジンにより駆動されて発電機として使用し、また固定子巻線に3相交流電流を通電することで電動機として使用される。このような回転電機は、燃費効果改善のためにアイドリングストップを行うエンジンを搭載した車輌において、エンジンを迅速に始動するために、低回転速度域において高い始動トルクが求められると同時に、その出力軸で、最高回転速度2000r/min程度までと基底回転速度の10倍、或いはそれ以上の回転速度までエンジンを加速する必要があり、電動機として広範囲の弱め界磁制御を必要とする。
【0055】
また、発電機として使用される回転電機の固定子巻線にバッテリが接続され、このバッテリからラジオやライトなど他の車載機器への給電を行う場合には、エンジンの回転速度や発電負荷によってバッテリ両端の直流電圧が変化しないことを必要とする。
【0056】
本発明の実施の形態3による車両は、前述のように高始動トルクを有すると同時に回転子巻線である界磁巻線を使用した弱め界磁制御をすることで、主磁束をほぼ0から最大磁束量まで滑らかに変化でき、バッテリ或いは車載電気負荷に供給する、直流電圧の制御が可能であり、また、広い回転速度範囲で大きな発電出力を得ることができる車輌用回転電機を備える。
【0057】
回転子の界磁巻線への給電はスリップリングを介してブラシにより行う。ブラシ電流の電流値に上限を設けた場合、限られた巻線スペースで巻回可能な界磁巻線の巻数により界磁起磁力が制限される。一方、高始動トルクを得ようとすると電動機を多極設計とすることで電機子内径を大きくした設計が必要となる。実用的には8極以上の極数が必要である。
【0058】
ところが、図16に示すように、各極に界磁巻線を有する多極機に於いては極毎の界磁巻線の巻線スペースが小さくなり、巻き線可能な界磁巻数が少なくなり、その結果、界磁起磁力が減少し、磁束可変量が減少するという課題がある。図16に於いて、横軸は極数を示し、実線は界磁アンペアターン、破線はトルクを示す。図16から、極数は8〜20極程度が望ましいことがわかる。従って実施の形態3では8〜20極を適用範囲とすることが望ましい。
【0059】
本発明の回転電機の構造によれば、このように多極としても、磁束密度最大となる極中心部分に永久磁石を利用し、比較的小さな起磁力で磁束量が可変となる鉄心磁極両端部の磁束を制御しているため、多極化によって1極あたりの起磁力が小さくともよく、界磁の発熱を押さえて、高始動トルクに必要な正弦波磁界が得られる。
【0060】
また回転子の界磁巻線に逆方向に通電し逆励磁をした場合でも、界磁巻線で生じる永久磁石と逆方向の磁束は、回転子磁極の永久磁石の無い両端の鉄心部を通過するので、永久磁石を減磁させることが無い。従って、実施の形態3による車両によれば、高温では熱減磁し易い希土類永久磁石を回転子磁極に用いても、多極化による界磁巻線の発熱による回転子の温度上昇が低くなり、界磁巻線に逆方向通電して弱め界磁を行なっても熱減磁しにくいという特徴があるハイブリッド回転電機を用いるので、この回転電機をエンジンルームという高温環境下に設置しても回転電機の性能が熱により劣化することがない。
【0061】
実施の形態4
図17は本発明の実施の形態4に係るハイブリッド励磁回転電機の固定子巻線12の回路を示す説明図である。この実施の形態4では、電力変換装置14の出力側にダイオードである半導体素子18、19の直列接続体が接続され、この半導体素子18、19の直列接続点と3相Y結線された固定子巻線12の中性点とが接続されている。従がって、バッテリー16は半導体素子18、19と電圧調整器15を介して固定子巻線12の中性点に接続されている。その他の構成は実施の形態1、2と同様である。
【0062】
実施の形態4によるハイブリッド励磁回転電機によれば、半導体素子18、19の直列接続体を追加し、固定子巻線12の中性点を半導体素子18、19を介してバッテリー16に接続しており、固定子巻線12が発生する第3次高調波成分をバッテリー16の充電に有効利用している。
【0063】
通常、車両に搭載された回転電機を発電機として使用した場合、エンジンの回転数が高くなると、回転子の磁気飽和により発電特性が飽和する。しかしながら、この実施の形態4によれば、固定子巻線12の中性点が半導体素子18、19に接続されているので、高速回転領域で回転子の磁気飽和が緩和するような電流が流れるために大きくなる第3次高調波成分が発生し易くなり、その結果、高速回転領域に於ける回転子の磁気飽和が大きく緩和され発電特性の飽和が緩和される効果がある。
【0064】
図18は、半導体素子18、19と固定子巻線12の中性点とを接続する回路を追加した実施の形態4の場合と、その追加回路を有しない場合との発電電流の特性を比較したものであり、
図18から明らかなように、実施の形態4では発電特性の飽和が大きく緩和されていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機の横断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機の固定子巻線の回路を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図5】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図6】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図8】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するための説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図11】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図12】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図13】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するための説明図である。
【図14】本発明の実施の形態1によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【図15】本発明の実施の形態2によるハイブリッド励磁回転電機を説明するための説明図である。
【図16】本発明の実施の形態3によるハイブリッド励磁回転電機を備えた車両を説明するためのグラフである。
【図17】本発明の実施の形態4による固定子巻線の回路を示す説明図である。
【図18】本発明の実施の形態4によるハイブリッド励磁回転電機を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1 固定子
12 固定子巻線
13U U相巻線
13V V相巻線
13W W相巻線
14 電力変換装置
15 電圧調整器
16 バッテリー
17 負荷
18、19 半導体素子
2 回転子
21〜28 回転子磁極
3 回転子軸
4 空隙
51〜58 永久磁石
61〜64 界磁巻線
71〜78 極間永久磁石




 

 


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