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発明の名称 電力変換装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−124731(P2007−124731A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−309512(P2005−309512)
出願日 平成17年10月25日(2005.10.25)
代理人 【識別番号】100113077
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 省吾
発明者 菅 郁朗 / 民田 太一郎 / 川上 知之
要約 課題
交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得る。

解決手段
異なる電圧が入力される2個の3レベル単相出力インバータブリッジ3,4と、2個の3レベル単相出力インバータブリッジ3,4の出力端子を直列接続して出力される交流出力電圧の1周期を14以上の偶数である分割数2nで均等分割した時間毎に2個の3レベル単相出力インバータブリッジ3,4の出力電圧のレベルを切換える制御回路7とを備え、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジ3,4の各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
異なる電圧が入力される2個の3レベル単相出力インバータブリッジと、
前記2個の3レベル単相出力インバータブリッジの出力端子を直列接続して出力される交流出力電圧の1周期を14以上の偶数である分割数2nで均等分割した時間毎に前記2個の3レベル単相出力インバータブリッジの出力電圧のレベルを切換える制御手段とを備え、
前記分割数に応じて前記交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように前記2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の+、−および0の3レベルの組合せを、交流出力電圧の1周期の間に(+V1、0)、(―V1、+V2)、(0、+V2)、(+V1、+V2)、(0、+V2)、(―V1、+V2)、(+V1、0)、(―V1、0)、(+V1、―V2)、(0、―V2)、(―V1、―V2)、(0、―V2)、(+V1、―V2)、(―V1、0)の順序で、かつ、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間のm回分(m=n−6)となるように前記均等分割した時間毎に制御手段によって前記各々の出力電圧のレベルを切換えることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
所望の交流出力電圧の実効値Vrmsに対して式(1)を満たすように振幅V1と振幅比K(=V2/V1)とを設定することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【数1】


【請求項4】
分割数2nが14の場合には、振幅比Kは2.94以上、6.52以下の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
分割数2nが16の場合には、振幅比Kは2.79以上、5.91以下の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項6】
分割数2nが18の場合には、振幅比Kは2.57以上、5.29以下の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項7】
分割数2nが20の場合には、振幅比Kは2.33以上、4.86以下の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項8】
振幅比Kは、式(2)から導出された値の近傍の値であることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【数2】


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力変換装置においては、それぞれ絶縁された入力を持つ3レベルの出力が可能な3レベル単相出力インバータブリッジをn個備え、3レベル単相出力インバータブリッジの出力端子を直列接続した直列n段の単相出力が得られ、n個の3レベル単相出力インバータブリッジの各出力電圧の振幅V1、V2、V3およびVnの振幅比を、V1:V2:V3:・・・:Vn=1:2:4:・・・:2(n−1)とする電圧振幅比配分手段と、直列n段の電力変換装置に与える出力電圧指令に最も近い電圧をV2乃至Vnの出力電圧振幅を持つ3レベル単相出力インバータブリッジの出力電圧の組合せによって発生する指令電圧発生手段とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−89242号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電力変換装置では、それぞれ絶縁された入力を持つ3レベル出力が可能な3レベル単相出力インバータブリッジをn個備え、3レベル単相出力インバータブリッジの出力端子をn段直列接続していた。出力する電力が小さい場合などには、2個の3レベル単相出力インバータブリッジを直列接続する構成が用いられていた。しかしながら、2個の3レベル単相出力インバータブリッジを直列接続し、3レベル単相出力インバータブリッジの各出力電圧の振幅V1、V2の振幅比をV1:V2=1:2とする電圧振幅比配分では、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくできず、交流出力電圧の高調波成分を十分低減できない問題があった。また、交流出力電圧の高調波成分を減衰させるために大きな出力フィルタを備える必要があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得るものである。また、3レベル単相出力インバータブリッジのスイッチングの制御が簡易である電力変換装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電力変換装置は、異なる電圧が入力される2個の3レベル単相出力インバータブリッジと、2個の3レベル単相出力インバータブリッジの出力端子を直列接続して出力される交流出力電圧の1周期を14以上の偶数である分割数2nで均等分割した時間毎に2個の3レベル単相出力インバータブリッジの出力電圧のレベルを切換える制御手段とを備え、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る電力変換装置は、異なる電圧が入力される2個の3レベル単相出力インバータブリッジと、2個の3レベル単相出力インバータブリッジの出力端子を直列接続して出力される交流出力電圧の1周期を14以上の偶数である分割数2nで均等分割した時間毎に2個の3レベル単相出力インバータブリッジの出力電圧のレベルを切換える制御手段とを備え、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定したので、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得ることができる。また、制御が簡易である電力変換装置を得るものである。さらに、交流出力電圧の零クロス点が明確である電力変換装置を得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における電力変換装置の構成図を示すものである。図1において、入力電圧V1を有する第1の入力電源1に、+V1、0、−V1の3レベル出力が可能な第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3が接続され、入力電圧V2を有する第2の入力電源2に、+V2、0、−V2の3レベル出力が可能な第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4が接続されている。入力電圧V1と入力電圧V2とはV1<V2の関係にあり、2個の3レベル単相出力インバータブリッジである第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4には異なる電圧が入力される。第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力端子と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力端子とは、直列に接続されて直列2段の単相交流出力の電力変換器を構成している。
【0009】
第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3は、MOSFET(電界効果型トランジスタ)などのスイッチング素子3a,3b,3c,3dによって構成されており、第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4は、スイッチング素子4a,4b,4c,4dによって構成されている。第1の駆動回路5はスイッチング素子3a〜3dのオン、オフの制御を行い、第2の駆動回路6はスイッチング素子4a〜4dのオン、オフの制御を行う。第1の駆動回路5および第2の駆動回路6は、マイクロコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサなどで構成される制御回路7から駆動信号を受けてオン、オフの制御を行う。
【0010】
第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力端子と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力端子とを直列2段に接続した電力変換装置の出力端子8、9間に、所望の電圧実効値および所望の出力周波数を有する交流出力電圧を出力する。制御回路7は、交流出力電圧の1周期を14以上の偶数である分割数2nで均等分割した時間毎に、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の各々の出力電圧のレベルを切換える制御手段である。
【0011】
分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅V1と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧の振幅V2との振幅比を設定し、制御回路7から駆動信号を受けてスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのオン、オフの制御を行うことで、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧とが重畳された交流出力電圧を得ることができる。均等分割した時間毎にスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dを制御することによって、制御回路7での制御が非常に容易になり、マイクロコンピュータやデジタルシグナルプロセッサなどの処理負荷を軽減でき、制御回路7の簡略化が可能となる。
【0012】
図2は実施の形態1における交流出力電圧とスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えシーケンスとの関係を示す波形図である。図2(a)は出力端子8、9間に出力される所望の電圧実効値および所望の出力周波数を有する擬似正弦波出力の交流出力電圧の波形図である。所望の交流出力電圧の1周期を均等に14分割しており、例えば出力周波数50Hzの場合には1.4286ms毎に均等分割し、出力周波数60Hzの場合には1.1905ms毎に均等分割する。図2(b)は交流出力電圧を得るためのスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えのためのオン、オフ信号の一例であり、Highはオン信号、Lowはオフ信号である。
【0013】
図2(b)のスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えによって、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4との各々の出力電圧の+、−および0の3レベルの組合せを、交流出力電圧の1周期の間に(+V1、0)、(―V1、+V2)、(0、+V2)、(+V1、+V2)、(0、+V2)、(―V1、+V2)、(+V1、0)、(―V1、0)、(+V1、―V2)、(0、―V2)、(―V1、―V2)、(0、―V2)、(+V1、―V2)、(―V1、0)の順序で、かつ、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間のm回分(m=n−6)となるように均等分割した時間毎に、制御手段である制御回路7からの駆動信号によって各々の出力電圧のレベルを切換える。
【0014】
本実施の形態1では、分割数2nは14であり、n=7となるので、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間の1回分となるように均等分割した時間毎に制御手段である制御回路7からの駆動信号によって各々の出力電圧のレベルを切換えることになる。これによって、出力電圧は図2(a)に示すように、1周期の間に+V1、+V2−V1、+V2、+V1+V2、+V2、+V2−V1、+V1、−V1、−V2+V1、−V2、−V1−V2、−V2、−V2+V1、−V1と変化する。+V1から−V1までと−V1から+V1までとの変化時に電圧の零クロス点を通過し、零クロス点が一意に決まり、零クロス点が明確に定まる。零クロス点を信号に用いた負荷装置や位相制御を用いた負荷装置にも適応が可能である。
【0015】
図3は実施の形態1における振幅比と交流出力電圧の全高調波歪率との関係図である。第1の入力電源1の電圧V1と第2の入力電源2の電圧V2との電圧比V2/V1、すなわち、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅V1と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧の振幅V2との振幅比K(=V2/V1)は、図3に示すように交流出力電圧の全高調波歪率THDと関係があり、THDを最小にできる振幅比K(A点)が存在し、均等した分割数に応じて振幅比Kを決定することによってTHDを最小化することになる。なお、従来の技術ではV2/V1=2であった。しかしながら、本実施の形態のように、交流出力電圧を均等に14分割する場合には、V2/V1=2でTHDが最小とならず、V2/V1≠2とする必要がある。
【0016】
図4は実施の形態1における振幅比と交流出力電圧の基本波成分の大きさとの関係図である。基本波成分は、出力周波数が50Hzの場合には50Hz成分である。B点の振幅比Kにおいて基本波成分が最大となる。このB点と図3のA点とは同一となり、均等した分割数に対して一意的に決定できる。
【0017】
図5は実施の形態1における振幅比と標準偏差との関係図である。標準偏差は、所望の理想正弦波出力電圧と本実施の形態によって得られる出力電圧とから求められる。C点の振幅比Kにおいて標準偏差が最小となり、最も理想的な正弦波に近づけることができる。C点の振幅比Kは図3のA点および図4のB点と同じ値である。
【0018】
分割数2nとして、所望の交流出力電圧の実効値Vrmsに対して、擬似正弦波出力電圧の実効値と交流出力電圧の実効値Vrmsとを一致させる条件式である式(1)を満たすように振幅V1と振幅比K(=V2/V1)とを設定することによって、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。
【0019】
【数1】


【0020】
本実施の形態1では、分割数2nは14であり、n=7となるので、式(1)のnに7を代入した式(2)を満たすように振幅V1と、振幅V2または振幅比K(=V2/V1)とを設定することによって、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。
【0021】
【数2】


【0022】
図2(a)に示したような分割数14で均等に分割の場合には、図3〜図5に示したA〜C点での振幅比Kは、K=4.0567、すなわちV1:V2=1:4.0567であり、振幅比Kを4.1程度の値に設定することによって、交流出力電圧の全高調波歪率を最小にすると共に、基本波成分を最大にすることができる。実用的には、K=4.0567の近傍に設定することになる。出力にLCフィルタを設けて理想正弦波出力に近づける場合には、最も波形歪が小さいので、最もLCフィルタの小型軽量化を図ることができる。
【0023】
また、交流出力電圧の全高調波歪率を最小にしなくても、交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下であれば、波形歪を小さくすることができる。これによって、LCフィルタの小型軽量化を図ることができる。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+1%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+1%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを3.35≦K≦5.14の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+2%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+2%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを3.11≦K≦5.83の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+3%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+3%まで許容する場合には、振幅比Kを2.94≦K≦6.52の範囲に設定すれば良い。なお、従来の技術ではK=2であり、全く異なる振幅比が最適値であることがわかる。
【0024】
交流出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=4.0567の場合には、式(2)より交流出力電圧の所望の実効値Vrmsと、2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける低電圧側、ここでは第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅V1との振幅比をVrms:V1=1:0.2973とすると、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。例えば、実効値100V出力では、V1=29.73V、実効値200V出力では、V1=59.47V、実効値220V出力では、V1=65.42V、実効値240V出力では、V1=71.36Vに設定したほうが良い。
【0025】
また、出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=4.0567の場合には、交流出力電圧の所望の実効値Vrmsと、2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける高電圧側の出力電圧の振幅V2との振幅比をVrms:V2=1:1.2063にすると、所望の実効値の出力電圧が容易に得られる。例えば、実効値100V出力では、V2=120.63V、実効値200V出力では、V2=241.25V、実効値220V出力では、V2=265.38V、実効値240V出力では、V2=289.50Vに設定したほうが良い。
【0026】
さらに、交流出力電圧の波高率((V1+V2)/Vrms)は、式(3)のようになるので、波高率が1.5036となるようにすれば、出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=4.0567とすることができる。
【0027】
【数3】


【0028】
以上のように、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定したので、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得ることができる。また、交流出力電圧の所望の実効値を容易に出力することができ、電力変換装置の制御を簡易にすることができる。さらに、交流出力電圧の零クロス点が明確に定まる効果がある。
【0029】
なお、実施の形態1では、2段の3レベル単相出力インバータブリッジ3、4の各出力電圧の振幅が、上段である第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧の振幅が大きい場合について説明した。しかしながら、下段である第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅が大きくても良く、上段の3レベル単相出力インバータブリッジと下段の3レベル単相出力インバータブリッジとを入れ換えても同様の効果を得ることができる。
【0030】
実施の形態2.
図6は、この発明を実施するための実施の形態2における出力電圧とスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えシーケンスとの関係を示す波形図である。本実施の形態における電力変換装置は、交流出力電圧の1周期の分割数および2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の+、−および0の3レベルの組合せ以外の構成は実施の形態1と同じである。
【0031】
本実施の形態2では、異なる電圧が入力される2個の3レベル単相出力インバータブリッジである第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4と、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力端子を直列接続して出力される交流出力電圧の1周期を分割数16で均等分割した時間毎に、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧のレベルを切換える制御手段である制御回路7とを備えている。
【0032】
図6(a)は出力端子8、9間に出力される所望の電圧実効値および所望の出力周波数を有する擬似正弦波出力の交流出力電圧の波形図である。所望の交流出力電圧の1周期を均等に16分割しており、例えば出力周波数50Hzの場合には1.25ms毎に均等分割し、出力周波数60Hzの場合には1.0417ms毎に均等分割する。図6(b)は交流出力電圧を得るためのスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えのためのオン、オフ信号の一例であり、Highはオン信号、Lowはオフ信号である。
【0033】
図6(b)のスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えによって、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4との各々の出力電圧の+、−および0の3レベルの組合せを、交流出力電圧の1周期の間に(+V1、0)、(―V1、+V2)、(0、+V2)、(+V1、+V2)、(0、+V2)、(―V1、+V2)、(+V1、0)、(―V1、0)、(+V1、―V2)、(0、―V2)、(―V1、―V2)、(0、―V2)、(+V1、―V2)、(―V1、0)の順序で、かつ、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間のm回分(m=n−6)となるように均等分割した時間毎に制御手段である制御回路7からの駆動信号によって各々の出力電圧のレベルを切換える。
【0034】
本実施の形態2では、分割数2nは16であり、n=8となるので、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間の2回分となるように均等分割した時間毎に制御手段である制御回路7からの駆動信号によって各々の出力電圧のレベルを切換えることになる。
【0035】
これによって、出力電圧は図6(a)に示すように、1周期の間に+V1、+V2−V1、+V2、+V1+V2、+V1+V2、+V2、+V2−V1、+V1、−V1、−V2+V1、−V2、−V1−V2、−V1−V2、−V2、−V2+V1、−V1と変化する。+V1から−V1までと−V1から+V1までとの変化時に電圧の零クロス点を通過し、零クロス点が一意に決まり、明確に定まる。
【0036】
実施の形態1と同様に、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4とにおける各出力電圧の振幅V1、V2の振幅比K(=V2/V1)は、交流出力電圧の全高調波歪率THDと関係があり、THDを最小にできる振幅比K(A点)が存在し、均等した分割数に応じて2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける振幅比Kを決定することによってTHDを最小化することになる。また、交流出力電圧の基本波成分と関係があり、基本波成分が最大となる振幅比K(B点)が存在し、さらに、所望の理想正弦波出力電圧と本実施の形態によって得られる出力電圧とから求められる標準偏差とも関係があり、標準偏差が最小となる振幅比K(C点)が存在する。C点はA点およびB点と同じ値である。
【0037】
本実施の形態2では、分割数2nは16であり、n=8となるので、式(1)のnに8を代入した式(4)を満たすように振幅V1と、振幅V2または振幅比K(=V2/V1)とを設定することによって、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。
【0038】
【数4】


【0039】
図6(a)に示したような分割数16で均等に分割の場合には、図3〜図5に示したA〜C点での振幅比Kは、K=3.8172、すなわちV1:V2=1:3.8172であり、振幅比Kを3.8程度の値に設定することによって、出力電圧の全高調波歪率を最小にすると共に、基本波成分を最大にすることができる。実用的には、K=3.8172の近傍に設定することになる。出力にLCフィルタを設けて理想正弦波出力に近づける場合には、最も波形歪が小さいので、最もLCフィルタの小型軽量化を図ることができる。
【0040】
また、交流出力電圧の全高調波歪率を最小にしなくても、交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下であれば、波形歪を小さくすることができる。これによって、LCフィルタの小型軽量化を図ることができる。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+1%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+1%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを3.17≦K≦4.76の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+2%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+2%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを2.95≦K≦5.33の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+3%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+3%まで許容する場合には、振幅比Kを2.79≦K≦5.91の範囲に設定すれば良い。なお、従来の技術ではK=2であり、全く異なる振幅比が最適値であることがわかる。
【0041】
交流出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=3.8172の場合には、式(4)より交流出力電圧の所望の実効値Vrmsと、2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける低電圧側、ここでは第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅V1との振幅比をVrms:V1=1:0.2926とすると、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。例えば、実効値100V出力では、V1=29.26V、実効値200V出力では、V1=58.53V、実効値220V出力では、V1=64.38V、実効値240V出力では、V1=70.23Vに設定したほうが良い。
【0042】
また、出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=3.8172の場合には、交流出力電圧の所望の実効値Vrmsと、2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける高電圧側の出力電圧の振幅V2との振幅比をVrms:V2=1:1.1170にすると、所望の実効値の出力電圧が容易に得られる。例えば、実効値100V出力では、V2=111.70V、実効値200V出力では、V2=223.40V、実効値220V出力では、V2=245.74V、実効値240V出力では、V2=268.08Vに設定したほうが良い。したがって、分割数を14とした場合に比べて、V2の電圧を低くすることができる。
【0043】
さらに、交流出力電圧の波高率は、式(5)のようになるので、波高率が1.4096となるようにすれば、出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=3.8172とすることができる。
【0044】
【数5】


【0045】
以上のように、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定したので、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得ることができる。また、交流出力電圧の所望の実効値を容易に出力することができ、電力変換装置の制御を簡易にすることができる。さらに、交流出力電圧の零クロス点が明確に定まる効果がある。
【0046】
なお、実施の形態2では、2段の3レベル単相出力インバータブリッジ3、4の各出力電圧の振幅が、上段である第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧の振幅が大きい場合について説明した。しかしながら、下段である第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅が大きくても良く、上段の3レベル単相出力インバータブリッジと下段の3レベル単相出力インバータブリッジとを入れ換えても同様の効果を得ることができる。
【0047】
実施の形態3.
図7は、この発明を実施するための実施の形態3における出力電圧とスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えシーケンスとの関係を示す波形図である。本実施の形態における電力変換装置は、交流出力電圧の1周期の分割数および2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の+、−および0の3レベルの組合せ以外の構成は実施の形態1と同じである。
【0048】
本実施の形態3では、異なる電圧が入力される2個の3レベル単相出力インバータブリッジである第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4と、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力端子を直列接続して出力される交流出力電圧の1周期を分割数18で均等分割した時間毎に、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3および第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧のレベルを切換える制御手段である制御回路7とを備えている。
【0049】
図7(a)は出力端子8、9間に出力される所望の電圧実効値および所望の出力周波数を有する擬似正弦波出力の交流出力電圧の波形図である。所望の交流出力電圧の1周期を均等に18分割しており、例えば出力周波数50Hzの場合には1.1111ms毎に均等分割し、出力周波数60Hzの場合には0.9259ms毎に均等分割する。図7(b)は交流出力電圧を得るためのスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えのためのオン、オフ信号の一例であり、Highはオン信号、Lowはオフ信号である。
【0050】
図7(b)のスイッチング素子3a〜3d、4a〜4dのスイッチ切換えによって、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4との各々の出力電圧の+、−および0の3レベルの組合せを、交流出力電圧の1周期の間に(+V1、0)、(―V1、+V2)、(0、+V2)、(+V1、+V2)、(0、+V2)、(―V1、+V2)、(+V1、0)、(―V1、0)、(+V1、―V2)、(0、―V2)、(―V1、―V2)、(0、―V2)、(+V1、―V2)、(―V1、0)の順序で、かつ、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間のm回分(m=n−6)となるように均等分割した時間毎に制御手段である制御回路7からの駆動信号によって各々の出力電圧のレベルを切換える。
【0051】
本実施の形態3では、分割数2nは18であり、n=9となるので、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間の3回分となるように均等分割した時間毎に制御手段である制御回路7からの駆動信号によって各々の出力電圧のレベルを切換えることになる。
【0052】
これによって、出力電圧は図7(a)に示すように、1周期の間に+V1、+V2−V1、+V2、+V1+V2、+V1+V2、+V1+V2、+V2、+V2−V1、+V1、−V1、−V2+V1、−V2、−V1−V2、−V1−V2、−V1−V2、−V2、−V2+V1、−V1と変化する。+V1から−V1までと−V1から+V1までとの変化時に電圧の零クロス点を通過し、零クロス点が一意に決まり、明確に定まる。
【0053】
実施の形態1と同様に、第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3と第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4とにおける各出力電圧の振幅V1、V2の振幅比K(=V2/V1)は、交流出力電圧の全高調波歪率THDと関係があり、THDを最小にできる振幅比K(A点)が存在し、均等した分割数に応じて2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける振幅比Kを決定することによってTHDを最小化することになる。また、交流出力電圧の基本波成分と関係があり、基本波成分が最大となる振幅比K(B点)が存在し、さらに、所望の理想正弦波出力電圧と本実施の形態によって得られる出力電圧とから求められる標準偏差とも関係があり、標準偏差が最小となる振幅比K(C点)が存在する。C点はA点およびB点と同じ値である。
【0054】
本実施の形態3では、分割数2nは18であり、n=9となるので、式(1)のnに9を代入した式(6)を満たすように振幅V1と、振幅V2または振幅比K(=V2/V1)とを設定することによって、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。
【0055】
【数6】


【0056】
図7(a)に示したような分割数18で均等に分割の場合には、図3〜図5に示したA〜C点での振幅比Kは、K=3.5039、すなわちV1:V2=1:3.5039であり、振幅比Kを3.5程度の値に設定することによって、出力電圧の全高調波歪率を最小にすると共に、基本波成分を最大にすることができる。実用的には、K=3.5039の近傍に設定することになる。出力にLCフィルタを設けて理想正弦波出力に近づける場合には、最も波形歪が小さいので、最もLCフィルタの小型軽量化を図ることができる。
【0057】
また、交流出力電圧の全高調波歪率を最小にしなくても、交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下であれば、波形歪を小さくすることができる。これによって、LCフィルタの小型軽量化を図ることができる。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+1%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+1%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを2.92≦K≦4.32の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+2%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+2%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを2.72≦K≦4.81の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+3%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+3%まで許容する場合には、振幅比Kを2.57≦K≦5.29の範囲に設定すれば良い。なお、従来の技術ではK=2であり、全く異なる振幅比が最適値であることがわかる。
【0058】
交流出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=3.5039の場合には、式(6)より交流出力電圧の所望の実効値Vrmsと、2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける低電圧側、ここでは第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅V1との振幅比をVrms:V1=1:0.3001とすると、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。例えば、実効値100V出力では、V1=30.01V、実効値200V出力では、V1=60.01V、実効値220V出力では、V1=66.02V、実効値240V出力では、V1=72.02Vに設定したほうが良い。
【0059】
また、出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=3.5039の場合には、交流出力電圧の所望の実効値Vrmsと、2段の3レベル単相出力インバータブリッジにおける高電圧側の出力電圧の振幅V2との振幅比をVrms:V2=1:1.0514にすると、所望の実効値の出力電圧が容易に得られる。例えば、実効値100V出力では、V2=105.14V、実効値200V出力では、V2=210.29V、実効値220V出力では、V2=231.32V、実効値240V出力では、V2=252.35Vに設定したほうが良い。したがって、分割数を14または16とした場合に比べて、V2の電圧を低くすることができる。
【0060】
さらに、交流出力電圧の波高率は、式(7)のようになるので、波高率が1.3515となるようにすれば、出力電圧の全高調波歪率が最小で、基本波成分が最大となるK=3.5039とすることができる。
【0061】
【数7】


【0062】
以上のように、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定したので、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得ることができる。また、交流出力電圧の所望の実効値を容易に出力することができ、電力変換装置の制御を簡易にすることができる。さらに、交流出力電圧の零クロス点が明確に定まる効果がある。
【0063】
なお、実施の形態3では、2段の3レベル単相出力インバータブリッジ3、4の各出力電圧の振幅が、上段である第2の3レベル単相出力インバータブリッジ4の出力電圧の振幅が大きい場合について説明した。しかしながら、下段である第1の3レベル単相出力インバータブリッジ3の出力電圧の振幅が大きくても良く、上段の3レベル単相出力インバータブリッジと下段の3レベル単相出力インバータブリッジとを入れ換えても同様の効果を得ることができる。
【0064】
実施の形態4.
実施の形態3では分割数が18の場合について示したが、分割数を20とし、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間の4回分となるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0065】
本実施の形態4では、分割数2nは20であり、n=10となるので、式(1)のnに10を代入した式(8)を満たすように振幅V1と、振幅V2または振幅比K(=V2/V1)とを設定することによって、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。
【0066】
【数8】


【0067】
分割数20で均等に分割の場合には、振幅比K=3.2203、すなわちV1:V2=1:3.2203であり、振幅比Kを3.2程度の値に設定することによって、出力電圧の全高調波歪率を最小にすると共に、基本波成分を最大にすることができる。実用的には、K=3.2203の近傍に設定することになる。出力にLCフィルタを設けて理想正弦波出力に近づける場合には、最も波形歪が小さいので、最もLCフィルタの小型軽量化を図ることができる。
【0068】
また、交流出力電圧の全高調波歪率を最小にしなくても、交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下であれば、波形歪を小さくすることができる。これによって、LCフィルタの小型軽量化を図ることができる。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+1%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+1%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを2.67≦K≦3.97の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+2%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+2%まで歪率を許容する場合には、振幅比Kを2.48≦K≦4.43の範囲に設定すれば良い。全高調波歪率の所定値を全高調波歪率の最小値に+3%加えた値とする場合、つまり、全高調波歪率の最小値に対して+3%まで許容する場合には、振幅比Kを2.33≦K≦4.86の範囲に設定すれば良い。なお、従来の技術ではK=2であり、全く異なる振幅比が最適値であることがわかる。
【0069】
以上のように、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定したので、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得ることができる。また、交流出力電圧の所望の実効値を容易に出力することができ、電力変換装置の制御を簡易にすることができる。さらに、交流出力電圧の零クロス点が明確に定まる効果がある。
【0070】
実施の形態5.
分割数が2nで、(+V1、+V2)および(―V1、―V2)の組合せとなる時間をそれぞれ均等分割した時間のm回分(m=n−6)となるようにしても、実施の形態1〜4と同様の効果を得ることができる。
【0071】
分割数を2nとして、所望の交流出力電圧の実効値Vrmsに対して、式(1)を満たすように振幅V1と、振幅V2または振幅比K(=V2/V1)とを設定することによって、所望の実効値Vrmsを有する交流出力電圧が容易に得られる。分割数2nで均等に分割した場合には、出力電圧の全高調波歪率を最小にすると共に、基本波成分を最大にするためには、振幅比Kが式(9)を満たす値の近傍にあれば良い。
【0072】
【数9】


【0073】
式(9)を満たすように振幅比Kを設定することによって、交流出力電圧の全高調波歪率を最小にすると共に、基本波成分を最大にすることができるので、出力にLCフィルタを設けて理想正弦波出力に近づける場合には、最もLCフィルタの小型軽量化を図ることができる。また、交流出力電圧の全高調波歪率を最小にしなくても、交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下であれば、波形歪を小さくすることができる。実施の形態1〜4と同様に、全高調波歪率の最小値に対して+1%、+2%、または+3%の値を加えて全高調波歪率の所定値を設定し、それに応じた振幅比Kを設定すれば良い。
【0074】
以上のように、分割数に応じて交流出力電圧の全高調波歪率が所定値以下となるように2個の3レベル単相出力インバータブリッジの各々の出力電圧の振幅V1と振幅V2との振幅比を設定したので、交流出力電圧の全高調波歪率を小さくすると共に、基本波成分を大きくし、出力フィルタの小型軽量化が可能な電力変換装置を得ることができる。また、交流出力電圧の所望の実効値を容易に出力することができ、電力変換装置の制御を簡易にすることができる。さらに、交流出力電圧の零クロス点が明確に定まる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明の実施の形態1を示す電力変換装置の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における交流出力電圧とスイッチング素子のスイッチ切換えシーケンスとの関係を示す波形図である。
【図3】この発明の実施の形態1における振幅比と交流出力電圧の全高調波歪率との関係図である。
【図4】この発明の実施の形態1における振幅比と交流出力電圧の基本波成分の大きさとの関係図である。
【図5】この発明の実施の形態1における振幅比と標準偏差との関係図である。
【図6】この発明の実施の形態2における交流出力電圧とスイッチング素子のスイッチ切換えシーケンスとの関係を示す波形図である。
【図7】この発明の実施の形態3における交流出力電圧とスイッチング素子のスイッチ切換えシーケンスとの関係を示す波形図である。
【符号の説明】
【0076】
1,2 入力電源、3,4 3レベル単相インバータブリッジ、3a〜3d,4a〜4d スイッチング素子、 5,6 駆動回路、7 制御回路、 8,9 出力端子。




 

 


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