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発明の名称 回転電機の固定子コイル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−104833(P2007−104833A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−293148(P2005−293148)
出願日 平成17年10月6日(2005.10.6)
代理人 【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
発明者 築地 真 / 竹重 博子 / 福田 匠
要約 課題
良好な樹脂含浸性を確保しつつ、対地主絶縁層の最外周の部分とコロナシールド層との境界部分にできるだけ空隙が発生しないようにして部分放電の発生を抑制し、信頼性の高い回転電機の固定子コイルを提供する。

解決手段
コイル導体4の周囲にマイカテープ10を多数回巻回して対地主絶縁層5が形成され、この対地主絶縁層5の外周に低抵抗のコロナシールド層6が形成され、対地主絶縁層5およびコロナシールド層6に対して熱硬化性の樹脂が含浸、硬化されており、かつ、対地主絶縁層5を構成するマイカテープ10の内、少なくとも最外周に位置してコロナシールド層6と接する側の面には無機材料を有する充填材13が塗布されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
コイル導体の外周にマイカテープを多数回巻回して対地主絶縁層が形成され、また、固定子鉄心のスロットに対応する箇所には上記対地主絶縁層の外周に低抵抗のコロナシールド層が形成され、上記対地主絶縁層およびコロナシールド層に対して樹脂が含浸、硬化されて構成されている回転電機の固定子コイルにおいて、
上記対地主絶縁層を構成する上記マイカテープの内、少なくとも最外周に位置して上記コロナシールド層と接する側の面には、無機材料を有する充填材が塗布されていることを特徴とする回転電機の固定子コイル。
【請求項2】
上記マイカテープは、マイカ層にバッキング材が一体的に接合され、かつ、このバッキング材が織布で構成されており、この織布のマイカ層との非接合側の面に上記充填材が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子コイル。
【請求項3】
上記充填材に使用する無機材料は、鱗片状のものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機の固定子コイル。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に使用される固定子コイルに係り、特には、高電圧回転電機の固定子コイルを構成するコイル導体の絶縁のために設けられ対地主絶縁層の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回転電機の固定子は、固定子鉄心のスロットに固定子コイルが収納されて構成される。特に、高電圧回転電機に使用される固定子コイルは、コイル導体の外周に対地主絶縁層が形成されている。また、固定子コイルのスロット装着箇所には、対地主絶縁層の外周に低抵抗のコロナシールド層が形成されている。そして、対地主絶縁層およびコロナシールド層の内部に空気が残存しないように、対地主絶縁層およびコロナシールド層に対して熱硬化性の樹脂が真空加圧等によって含浸された後、加熱硬化処理される。
【0003】
上記の対地主絶縁層は、コイル導体を固定子鉄心から絶縁するためのもので、従来、耐部分放電特性に優れたマイカテープを一部が重複するように多数回巻回して構成されている。この場合に使用されるマイカテープは、例えば、集成マイカ層に補強用のバッキング材を接着剤等で一体的に接合して構成されている。そして、バッキング材としては、ガラス繊維、あるいはポリエステルやポリアミド等の高分子繊維の織布または不織布などからなる。
【0004】
一方、上記のコロナシールド層は、固定子コイルをスロットに装着した際に、対地主絶縁層とスロットとの間の電位差によって部分放電が発生するのを防止するためのもので、従来、導電性テープを対地主絶縁層の周りに互いに一部重複するように巻き付けることにより構成されている。
【0005】
この場合に使用される導電性テープは、従来、例えばガラス繊維、あるいはポリエステルやポリアミド等の高分子繊維の織布または不織布に、カーボンやグラファイトなどの導電性材料の粉末またはファイバを樹脂に混入してなる塗料を塗布あるいは含浸したり、あるいはカーボン繊維を高分子繊維と一緒に漉いた混抄物などからなる。
【0006】
ところで、上述のように、固定子コイルを製造する際、対地主絶縁層およびコロナシールド層に対して熱硬化性の樹脂を含浸タンクに浸漬して含浸した後、この含浸樹脂を乾燥炉で加熱硬化するが、含浸タンクから固定子コイルを引き揚げた際に含浸樹脂の一部が固定子コイルから漏出したり、あるいは加熱硬化時の温度上昇により含浸樹脂の粘度が低下して流動し易くり、含浸樹脂の一部が固定子コイルから漏出することがある。その結果、対地主絶縁層の内部、あるいは対地主絶縁層とコロナシールド層との境界部分に空隙が発生することがある。そして、対地絶縁層の内部、あるいは対地絶縁層とコロナシールド層との境界部分に空隙が存在すると、運転中の高電圧によってこれらの空隙部分に放電が発生する。
【0007】
ここで、対地絶縁層の内部に空隙が生じても、その周りが耐部分放電特性に優れたマイカテープで囲まれているので、部分放電の影響は比較的軽微である。これに対して、対地主絶縁層とコロナシールド層との境界部分に存在する空隙に放電が発生すると、コロナシールド層に低抵抗性を付与するためのカーボンやグラファイト等の導電性材料が飛散し、その結果、コロナシールド層自体が消失してしまうことがある。すると、コロナシールド層のコロナシールド効果がなくなるため、対地主絶縁層と固定子鉄心との間でさらに大きな放電が発生して対地主絶縁層が損傷を受け、最終的に絶縁破壊を起こすなどの恐れがある。
【0008】
そこで、この対策として、従来技術では、高分子フィルム基材の一方面側に集成マイカ層を、他方面側に半導電性層をそれぞれ貼り合わせて一体形成してなる半導電性テープを使用し、この半導電性テープを半導電性層が外側になるようにして対地主絶縁層の周りに巻き付けることにより、コロナシールド層を形成するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0009】
上記特許文献1,2に記載されている構成の半導電性テープを用いてコロナシールド層を形成する場合には、集成マイカ層が耐部分放電特性に優れているので、部分放電の影響を低減できる。また、高分子フィルム基材は樹脂が透過しないので、含浸樹脂を加熱硬化する際に、含浸樹脂の一部が固定子コイルから漏出して対地主絶縁層とコロナシールド層との境界部分に空隙が形成されるなどの不具合発生をある程度まで低減することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平8−237916号公報
【特許文献2】特開2003−259589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1,2に記載されている構成のものは、次の課題がある。すなわち、半導電性テープの構成素材である高分子フィルム基材は、樹脂が透過しないのでコロナシールド層の表面からの樹脂の含浸経路が集成マイカ層からのみに限定されることになる。このため、コロナシールド層を経由して対地主絶縁層へ樹脂を含浸しづらく、含浸不良が発生する恐れがあるとともに、含浸処理時間が徒に長くなるなどの不具合を生じる。
【0012】
また、高分子フィルム基材は、引っ掻きや引き裂きに対する強度が弱いために、固定子コイルの製作作業時に損傷する恐れがあるなどの不具合もある。さらに、樹脂含浸性を高めるために、コロナシールド層を形成する際、半導電性テープを対地主絶縁層の周りに巻き付けるときの重複部分を少なくすることが考えられるが、そのようにすると、僅かな巻き付け位置の変動で隙間が生じる恐れがあり、コロナシールド層としての信頼性に欠けたものとなる。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、良好な樹脂含浸性を確保しつつ、対地主絶縁層の最外周の部分とコロナシールド層との境界部分に空隙が発生しないような対策を講じることにより部分放電の発生を抑制し、信頼性の高い回転電機の固定子コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明は、コイル導体の外周にマイカテープを多数回巻回して対地主絶縁層が形成され、また固定子鉄心のスロットに対応する箇所には対地主絶縁層の外周に低抵抗のコロナシールド層が形成され、上記対地主絶縁層およびコロナシールド層に対して熱硬化性樹脂が含浸、硬化されて構成されている回転電機の固定子コイルにおいて、次の構成を採用している。
【0015】
すなわち、本発明の固定子コイルは、上記対地主絶縁層を構成する上記マイカテープの内、少なくとも最外周に位置して上記コロナシールド層と接する側の面には、無機材料を有する充填材が塗布されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対地主絶縁層を構成するマイカテープの内の最外周に位置してコロナシールド層と接する側の面に、無機材料を有する充填材が塗布されている。この充填材には、無機材料をマイカテープに保持させる接着剤が含まれており、この接着剤として含浸樹脂と相溶する材料を用いる。このため、樹脂を含浸する際、最外周のマイカテープに塗布された充填材が含浸樹脂と混合して溶出する。このため、含浸樹脂と溶出した充填材との混合物の粘度が高くなって流動性が低下する。その結果、含浸タンクから固定子コイルを引き上げる際、あるいは加熱硬化時に含浸樹脂の温度が上昇しても、対地主絶縁層とコロナシールド層との境界部分に存在する樹脂が外部に流出するのが抑制され、その部分での空隙が形成されにくくなる。これにより、コロナシールド層直下の部分に放電が発生しなくなり、コロナシールド層が放電により消失するなどの不具合は生じず、長期にわたってコロナシールド効果を維持することができ、信頼性の高い回転電機の固定子コイルを提供することが可能になる。
【0017】
しかも、コロナシールド層や対地主絶縁層を構成するための素材には、特許文献1,2に記載されているような高分子フィルム基材は使用していないので、樹脂含浸性を損なうことがない。このため、含浸処理時間が徒に長くなったり、含浸不良が発生する恐れもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1において、回転電機を構成する固定子鉄心のスロットに固定子コイルを装着した状態の一部を示す斜視図、図2は固定子コイルを固定子鉄心のスロットに装着した状態の一部を示す断面図、図3は図2の符号Aで示す部分を拡大して模式的に示す断面図、図4は対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を示す断面図である。
【0019】
この実施の形態1において、固定子鉄心1に設けられているスロット2に固定子コイル3が収納されるとともに、固定子コイル3の端部はスロット2の外部に引き出されている。この固定子コイル3は、絶縁被覆された素線導体4aが複数本束ねられてなるコイル導体4を有し、このコイル導体4の外周に対地主絶縁層5が形成されている。
【0020】
また、固定子コイル3のスロット装着箇所には、対地主絶縁層5の外周に低抵抗のコロナシールド層6が形成されている。さらに、固定子コイル3のスロット2から突出した部分には、対地主絶縁層5を覆いかつコロナシールド層6と連接して高抵抗のコロナシールド層8が形成されている。また、対地主絶縁層5およびコロナシールド層6,8に対してエポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂が含浸、硬化されている。
【0021】
上記の対地主絶縁層5は、コイル導体4を固定子鉄心1から電気的に絶縁するためのもので、コイル導体4の外周に耐部分放電特性に優れたマイカテープ10を互いに一部重複するように多数回巻き付けて構成されている。なお、図3では、図示の都合上、マイカテープ10の巻き付け回数を実際よりも少なく示している。
【0022】
ここに、上記のマイカテープ10は、例えば、マイカ粉を抄造してなる集成マイカ層11と、ガラス繊維、あるいはポリエステルやポリアミド等の高分子繊維の織布または不織布からなる補強用のバッキング材12とを有し、両者11,12が接着剤等で一体的に接合されてなる。そして、コイル導体4に対して、集成マイカ層11よりもバッキング材12が外側になるようにし、かつマイカテープ10が互いに一部重複するように多数回巻き付けることにより対地主絶縁層5が形成されている。なお、集成マイカ層11の代わりに、剥がしマイカ層を用いることも可能である。
【0023】
しかも、この実施の形態1の特徴として、このように多数回巻き付けられたマイカテープ10の内、コロナシールド層6と接する最外周のマイカテープ10の外周面には、無機材料を有する充填材13が塗布されている。したがって、最外周のマイカテープ10については、図4に示すように、バッキング材12の上に充填材13が塗布された状態になっている。
【0024】
上記の充填材13は、例えば無機材料を樹脂と混合したり、その混合物の粘度があればさらに溶剤を混入し、これをコロナシールド層6と接する最外周のマイカテープ10の外周面に塗布することで形成される。また、充填材13に使用される無機材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化珪素、サイアロン、二三酸化鉄、三四酸化鉄、酸化チタン、炭化珪素、窒化アルミ、酸化アルミ、酸化マグネシウム、窒化珪素、窒化硼素、酸化ベリリウム、マイカ、ベーマイト、チタン酸塩、ガラス等の一般的な無機材料を適用することができる。
【0025】
一方、上記のコロナシールド層6は、固定子コイル3をスロット2に装着した際に、対地主絶縁層5とスロット2との間の電位差によって部分放電が発生するのを防止するためのもので、導電性テープ14を、対地主絶縁層5の周りに互いに一部重複するように巻き付けることにより構成されている。
【0026】
この場合の導電性テープ14は、従来と同様の構成であって、例えば、ガラス繊維あるいはポリエステル、ポリアミド等の高分子繊維の織布または不織布に、カーボンやグラファイト、鉄粉、酸化鉄などの導電性材料の粉末またはファイバを樹脂に混入してなる塗料を塗布あるいは含浸したり、あるいはカーボン繊維を高分子繊維と一緒に漉いた混抄物からなる。
【0027】
また、高抵抗のコロナシールド層8は、スロット2から引き出された固定子コイル3の低抵抗のコロナシールド層6端部の放電を防止するためのもので、従来と同様の構成のもが特別な制限なく使用することができる。なお、符号9は固定子コイル3がスロット2からはみ出すのを防止するためのコイル押さえである。
【0028】
上記構成の固定子コイル3を製造する際には、まず、絶縁被覆された素線導体4aを複数本束ねてコイル導体4を製作する。そして、コイル導体4の周囲にマイカテープ10をバッキング材12が外側になるようにし、かつマイカテープ10が互いに一部重複するように多数回(例えば、10〜15回)巻き付けて対地主絶縁層5を形成する。次いで、コロナシールド層6と接する最外周のマイカテープ10の外周面に充填材13を塗布する。なお、マイカテープ10をコイル導体4に巻き付ける前に、マイカテープ10の巻き付け終端部分に予め充填材13を塗布しておいてもよい。
【0029】
次に、スロット2に装着される部分に相当する箇所に導電性テープ14を互いに一部重複するようにして巻き付けることにより低抵抗のコロナシールド層6を形成する。また、固定子コイル3の端部にはこの低抵抗のコロナシールド層6と連接して高抵抗のコロナシールド層8を形成する。
【0030】
こうして形成された固定子コイル3を含浸タンクに入れ、エポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂を真空加圧して含浸する。そして、コロナシールド層6および対地主絶縁層5に十分に樹脂が含浸してから含浸タンクから取り出し、次に乾燥炉に入れて全体を加熱して硬化させる。
【0031】
前述のように、従来は、含浸タンクから固定子コイル3を引き上げる際に樹脂の一部が固定子コイル3から漏出したり、あるいは加熱硬化時に含浸樹脂の温度が上昇して粘度が低下して流動し易くなって樹脂の一部が固定子コイル3から漏出する。特に、対地主絶縁層5とコロナシールド層6との境界部分に含浸された樹脂が外部に漏出し易く、このため、マイカテープ10の最外周の巻き付け段差部18に空隙が形成され、その結果、運転中の高電圧によってこれらの空隙部分に放電が発生し、コロナシールド層6が消失するなどの不具合を生じる。
【0032】
これに対して、この実施の形態1では、対地主絶縁層5を構成するマイカテープ10の内の最外周に位置してコロナシールド層6と接する側の面に、無機材料を有する充填材13が塗布されているので、固定子コイル3を含浸タンクに入れて含浸する際に対地主絶縁層5とコロナシールド層6との境界部分にも樹脂が含浸される。このとき、最外周のマイカテープ10に塗布された充填材13が含浸樹脂と混合する。そのため、含浸樹脂と溶出した充填材13との混合物の粘度が高くなって流動性が低下する。これにより、含浸タンクから固定子コイル3を引き上げるときや、加熱硬化時に含浸樹脂の温度が上昇しても、対地主絶縁層5とコロナシールド層6との境界部分に存在する含浸樹脂が外部に漏出するのが抑制され、コロナシールド層6との境界部分に存在するマイカテープ10の巻き付け段差部18に空隙が形成されにくくなる。
【0033】
図5は、無機材料として酸化チタンを使用した充填材13を含浸樹脂と混合したときの、充填材13の混合比率と樹脂の粘度との関係を示す特性図である。同図から分かるように、充填材13の混合比率が増加するに伴い、粘度が急激に増加することが理解される。このように、充填材13の混合比率の増加に伴って含浸樹脂の粘度が増加すると、その流動性が低下するため、コロナシールド層6を通して含浸樹脂が外部に漏出し難くなる。
【0034】
図6は、コイル導体4にマイカテープ10を巻き付けて対地主絶縁層5を形成する際、充填材13を塗布したマイカテープ10を最外周に巻き付けた場合と、従来のように充填材13を使用しない場合とのそれぞれにおいて、対地主絶縁層5とコロナシールド層6との境界部分に発生する空隙の大きさと発生頻度との関係を調べた特性図である。
【0035】
同図から分かるように、充填材13を塗布したマイカテープ10を最外周に巻き付けた本発明の場合は、含浸樹脂の粘度が高くなって漏出が抑制されるために空隙が生じ難くなり、空隙の大きさと頻度のいずれも従来の場合に比べて小さくなっていることが理解される。
【0036】
このように、この実施の形態1では、充填材13を塗布したマイカテープ10を最外周に巻き付けて対地主絶縁層5を構成しているので、樹脂含浸の際にマイカテープ10に塗布された充填材13が含浸樹脂と混合して混合物の粘度が高くなる結果、含浸樹脂が外部に漏出するのが抑制される。そのため、コロナシールド層6との境界部分に存在するマイカテープ10の巻き付け段差部18に空隙が形成され難くなり、コロナシールド層6の直下の部分放電が発生しなくなる。これにより、コロナシールド層6が放電により消失するなどの不具合は生じず、長期にわたってコロナシールド効果を維持することができ、信頼性の高い回転電機の固定子コイル3を提供することが可能になる。
【0037】
しかも、対地主絶縁層5やコロナシールド層6を構成するための素材には、特許文献1,2に記載されているような高分子フィルム基材は使用していないので、樹脂含浸性を損なうことがない。このため、含浸処理時間が徒に長くなったり、含浸不良が発生する恐れもない。
【0038】
なお、上記の実施の形態1では、最外周のマイカテープ10のコロナシールド層6と接する側の面にのみ局部的に充填材13を塗布しているが、これに限らず、コイル導体4にマイカテープ10を巻き付ける前に、マイカテープ10の全長にわたって予め充填材13を塗布しておくこともできる。このようにすれば、対地主絶縁層5とコロナシールド層6との境界部分に空隙が発生するのを防止できるだけでなく、対地主絶縁層5の内部にも空隙が発生するのを防止できるため、運転中の高電圧による部分放電の発生をさらに一層抑制できて都合がよい。
【0039】
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2において、対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を示す断面図であり、図1ないし図3に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0040】
上記の実施の形態1では、対地主絶縁層5を構成するマイカテープ10の最外周に位置する部分のバッキング材12の上に充填材13が塗布された状態になっている。これに対して、この実施の形態2では、コイル導体4に対してバッキング材12よりも集成マイカ層11が外側になるようにして巻き付けられている。しかも、コロナシールド層6と接する最外周のマイカテープ10については、集成マイカ層11の外周面に充填材13が塗布された構成となっている。
【0041】
この実施の形態2の構成の場合にも、実施の形態1の場合と同様の作用効果を得ることができる。また、その他の構成については実施の形態1と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0042】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3において、対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を模式的に示す斜視図であり、図1ないし図3に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0043】
この実施の形態3の特徴は、対地主絶縁層5を構成するマイカテープ10のバッキング材12が、網目の荒い織布で構成されている。そして、マイカテープ10は、コイル導体4に対して集成マイカ層11よりもバッキング材12が外側になるようにして巻き付けられており、また、コロナシールド層6と接する最外周のマイカテープ10については、バッキング材12の外周側に充填材13が塗布されている。なお、バッキング材12として使用される織布の素材としては、実施の形態1の場合と同様、例えばガラス繊維、あるいはポリエステルやポリアミド等の高分子繊維を適用することができる。
【0044】
この実施の形態3のように、マイカテープ10のバッキング材12を網目の荒い織布で構成した場合には、バッキング材12に充填材13を塗布する際、充填材13を構成する無機材料がこの織布の網目の間に入り込んで担持される。このため、マイカテープ10の厚さが増加するのを抑制することができる。この場合、バッキング材12として0.025mm〜0.05mmの厚さのものを使用するとすれば、これに併せて無機材料の粒径は、0.025mm以下、望ましくは0.015mm以下の粒径のものを使用するのが好適である。
【0045】
ここで、マイカテープ10の厚さが全体に厚くなると、巻き付け段差18が大きくなるとともに、巻き付け時にしわが発生し易くなり、さらに、対地主絶縁層5全体の熱抵抗が大きくなって固定子コイル3の温度が上昇するなどの不具合を生じるが、この実施の形態3では、マイカテープ10の厚さの増加を抑えて従来と同等の厚さにできるので、これらの不具合発生を回避することができる。
その他の構成、ならびに作用効果については、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0046】
実施の形態4.
図9は、本発明の実施の形態4において、対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を模式的に示す斜視図、図10はその縦断面図である。なお、図1ないし図3に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0047】
この実施の形態4では、対地主絶縁層5を構成するマイカテープ10は、コイル導体4に対してバッキング材12よりも集成マイカ層11が外側になるようにして巻き付けられており、しかも、コロナシールド層6と接する最外周のマイカテープ10については、集成マイカ層11の外周面に鱗片状の無機材料を有する充填材13が塗布された構成となっている。このような鱗片状の無機材料としては、例えば、マイカの他、窒化ホウ素、二酸化珪素、ベーマイト、チタン酸塩、鱗片状ガラスフレークなどが適用される。
【0048】
この実施の形態4のように、充填材13の無機材料として鱗片状のものを使用すると、マイカテープ10の厚さが増加するのを抑制することができる。このため、実施の形態3の場合と同様、巻き付け段差18が大きくなったり、巻き付け時にしわが発生したり、さらに、対地主絶縁層5全体の熱抵抗が大きくなって固定子コイル3の温度が上昇するなどの不具合が生じるのを回避できるといった利点が得られる。
その他の構成、ならびに作用効果については、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態1において、回転電機を構成する固定子鉄心のスロットに固定子コイルを装着した状態の一部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1において、固定子コイルを固定子鉄心のスロットに装着した状態の一部を示す断面図である。
【図3】図2の符号Aで示す部分を拡大して模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1において、対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を示す断面図である。
【図5】無機材料として酸化チタンを使用した充填材を含浸樹脂と混合したときの、充填材の混合比率と樹脂の粘度との関係を示す特性図である。
【図6】コイル導体にマイカテープを巻き付けて対地主絶縁層を形成する際、充填材を塗布したマイカテープを最外周に巻き付けた場合と、従来のように充填材を使用しない場合とのそれぞれにおいて、対地主絶縁層とコロナシールド層との境界部分に発生する空隙の大きさと発生頻度との関係を調べた特性図である。
【図7】本発明の実施の形態2において、対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3において、対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を模式的に示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態4において、対地主絶縁層を構成するマイカテープの最外周に位置する部分を模式的に示す斜視図である。
【図10】同マイカテープの最外周に位置する部分を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 固定子鉄心、2 スロット、3 固定子コイル、4 コイル導体、
5 対地主絶縁層、6 コロナシールド層、10 マイカテープ、11 集成マイカ層、12 バッキング材、13 充填材、18 巻き付け段差部。




 

 


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