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発明の名称 車載用電動機制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−104778(P2007−104778A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−289961(P2005−289961)
出願日 平成17年10月3日(2005.10.3)
代理人 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
発明者 小林 勝 / 安西 清治
要約 課題

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
直流電源と、該直流電源から供給される直流電力をスイッチング素子のスイッチングにより交流電力に変換して自動車に搭載された交流電動機に供給する電力変換器と、外部装置からの制御指令に基づいて前記スイッチングを制御して前記交流電動機を制御する電動機制御ユニットとを備えた車載用電動機制御装置であって、前記電動機制御ユニットは、前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の動作状況に基づいて前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の目標動作点を算出する目標動作点算出手段と、該目標動作点算出手段により算出した前記目標動作点及び該目標動作点への移行に関する情報を前記外部装置へ伝送し前記外部装置が前記情報に基づく制御指令を出力するよう誘導する電動機動作情報伝送手段と、前記外部装置から与えられる制御指令に基づいて演算したスッチング信号を前記スイッチング素子へ出力する制御演算部とを有することを特徴とする車載用電動機制御装置。
【請求項2】
前記目標動作点算出手段は、前記電力変換器及び前記交流電動機に発生する電力損失の何れか、又はそれらの総和が最小値となるよう目標動作点を算出することを特徴とする請求項1に記載の車載用電動機制御装置。
【請求項3】
前記目標動作点算出手段は、前記外部装置からの制御指令にしたがう動作条件の下で目標動作点を逐次更新するとともに、該更新した目標動作点により前記交流電動機を動作させるべく前記制御指令を補正する制御指令補正演算部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用電動機制御装置。
【請求項4】
直流電源と、該直流電源から供給される直流電力をスイッチング素子のスイッチングにより交流電力に変換して自動車に搭載された交流電動機に供給する電力変換器と、外部装置からの制御指令に基づいて前記スイッチングを制御して前記交流電動機を制御する電動機制御ユニットとを備えた車載用電動機制御装置であって、前記電力変換器は、前記交流電動機に流れる電流量を検出する電流検出器と、前記直流電源の出力を平滑化する平滑用コンデンサとを備え、前記電動機制御ユニットは、前記自動車が所定の性能低下をもたらすか否かを判定基準として前記車載電動機制御装置の構成部品の劣化を判定する劣化判定手段と、該劣化判定結果に基づいて前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の目標動作点を算出する目標動作点算出手段と、前記目標動作点及び目標動作点への移行に関する情報を前記外部装置へ伝送し前記外部装置が前記情報に基づく制御指令を出力するよう誘導する電動機動作情報伝送手段と、前記外部装置から与えられる制御指令に基づいて演算しスッチング信号を前記スイッチング素子へ出力する制御演算部とを有することを特徴とする車載用電動機制御装置。
【請求項5】
前記目標動作点算出手段は、前記外部装置からの前記制御指令に従う電動機動作条件を起点として前記構成部品の劣化の進行を防ぎ、若しくは前記自動車の性能低下を改善するよう、またはその双方をなすよう前記目標動作点を逐次更新するとともに、該更新した目標動作点により前記で交流電動機を動作させるべく前記制御指令を補正する制御指令補正演算部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の車載用電動機制御装置。
【請求項6】
前記目標動作点算出手段は、前記電力変換器及び前記交流電動機の電気的回路定数を用いた数理モデルに基づいて目標動作点の算出を行い、現在の目標動作点と次に算出する目標動作点における特定の指標値の偏差が所望の範囲内であるよう目標動作点を更新して出力するものであり、前記特定の指標値として、電力損失、電力変換器の電流、電圧、電力、温度及び電磁ノイズ、前記交流電動機の電流、電圧、電力、機械出力、トルク、回転速度、温度及び電磁ノイズ、前記直流電源の電流、電圧、電力及び温度のうち、少なくともいずれかを適用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車載用電動機制御装置。
【請求項7】
前記目標動作点算出手段は、前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の代表動作特性を用いて作成される基本ルックアップテーブルと前記電力変換器の電気的回路定数に関する第一の感度ルックアップテーブル及び前期交流電動機の電気的回路定数に関する第二の感度ルックアップテーブルとに基づいて目標動作点の算出を行い、現在の目標動作点と次に算出する目標動作点における特定の指標値の偏差が所望の範囲内であるよう目標動作点を更新して出力するものであり、前記特定の指標値として、電力損失、前記電力変換器の電流、電圧、電力、温度及び電磁ノイズ、前記交流電動機の電流、電圧、電力、機械出力、トルク、回転速度、温度及び電磁ノイズ、前記直流電源の電流、電圧、電力及び温度のうち、少なくともいずれかを適用することを特徴とする請求項1〜5に記載の車載用電動機制御装置。
【請求項8】
前記電力変換器及び前期交流電動機の電気的回路定数、及び、前記基本ルックアップテーブル、前記第一の感度ルックアップテーブル、前記第二の感度ルックアップテーブルは、前記車載用電動機制御装置及び前期交流電動機の動作状況に基づいて設定値がより適正なものとなるよう適宜修正されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の車載用電動機制御装置。
【請求項9】
前記電力変換器は、前記直流電源の電圧を昇降圧変換するDC-DCコンバータを含むことを特徴とする請求項1〜8に記載の車載用電動機制御装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載した交流電動機を制御する車載用電動機制御装置にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車載用電動機制御装置として、ベクトル制御法に従い交流電動機の制御を行う電動機制御装置において、交流電動機の回転子磁束ベクトルの方向の電流成分(以下、d軸電流成分と称する)とこれに直交する方向の電流成分(以下、q軸電流成分と称する)とからなる電流指令量を、交流電動機の出力トルク指令と回転速度とに基づいて予め作成した電流指令テーブルを参照して引き出し、この引き出した電流指令量と実際に交流電動機に流れる電流量とが一致するように電力変換器内のパワー素子をパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)制御してフィードバック制御を行うようにしたものがある。(特許文献1参照)
【0003】
この従来の装置における電流指令テーブルは、電動機制御装置及び交流電動機が所定の動作状況に有る場合のパラメータの代表値に基づいて、その定常特性を、予め実測により、あるいは特性算式への数値代入により算定して求め、この求めた定常特性から網目状に各動作点に対応する電流指令量を決定することで構成されている。ここで上記パラメータの具体例としては、交流電動機の巻線温度とそれに応じて変化する電機子抵抗値、回転子部分の磁石温度とそれに応じて変化する回転子磁束ベクトルの大きさ、電力変換器内パワー素子の抵抗値などがあり、そのパラメータの代表値として、電動機制御装置及び交流電動機が所定の動作状況にある場合の各動作点における定常状態での値を用いている。
【0004】
上記電流指令テーブルの入力変数は、電動機の出力トルク指令と回転速度であるが、更に交流電動機の端子電圧の最大値を変えた複数の電流指令テーブルを構成しておき、電力変換器の直流入力電圧に対応して参照する電流指令テーブルを選択する機能も有している。
【0005】
また同様な電流指令テーブルを用いる別の従来の車載用電動機制御装置として、電流指令テーブルを、d軸電流成分、q軸電流成分ではなく回転子磁束ベクトルの方向と電流指令ベクトルの方向がなす角、即ち電流位相角と、電流指令振幅とに分けて構成する形態のものもある。
【0006】
さらに別な従来の車載用電動機制御装置の例として、その構成部品の故障を異常として検知し動作を停止するものがある。(特許文献2参照)
この従来の装置は、電動機制御装置を電気自動車に適用したものであって、制御ユニットに伝達している電動機電流(相電流)の検出信号が途絶える異常が発生した場合にモータへの通電を停止し、車両が慣性力によって走行する状態へと移行させるようにしたものである。
【0007】
【特許文献1】特開2000ー32799号公報(図1〜8、第2〜6頁)
【特許文献2】特開平7ー87602号公報(図1、第2〜6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の車載用電動機制御装置は、外部装置からの電動機動作量の指示にしたがって電動機及び電動機制御装置が動作を行うものであり、その動作点は外部装置によって決定される構成であった。このため、交流電動機及び電動機制御装置で発生する電力損失を極力低減して動作させたい場合に、上記電力損失を低減させるための動作点に関する情報を外部装置に保有する必要があった。また、他の方法で動作点を選択し設定する場合であっても、外部装置内に上記交流電動機及び電動機制御装置の特性に関する情報を保有する必要があり、外部装置と、交流電動機及び電動機制御装置との間の組み合わせによって、外部装置の仕様を切替えなければならないなど煩雑であり外部装置のコスト低減に対する妨げとなっていた。
【0009】
また、上記交流電動機及び電動機制御装置の動作点は、電動機制御装置及び交流電動機が所定の動作状況にある場合の各パラメータの代表値に基づいて予め設定された電流指令テーブルにより定められるため、実際の動作状況によっては適切でない、あるいは、他にもっと適切な動作点が存在し得ることがある。即ち、電流指令テーブルを作成する際の動作状況として、当該動作点における交流電動機及び電動機制御装置の発熱と冷却が平衡する場合の電動機巻線温度と対応する電機子抵抗値を用いた場合には、実際の運転時の巻線温度が低い際に電機子抵抗値も低い値となり、交流電動機の電機子巻線に発生する銅損成分や交流電動機の端子電圧がテーブルを構成する際に想定する数値よりも低い値となってしまう。
【0010】
このことは、電機子抵抗値によっては適切な動作点が別に存在し得ることを示している。このため、実際の運転状況を反映して適切な動作点で運転したい場合には、種々のパラメータの変動にも対応すべく、さらにテーブル数を増やすか、各パラメータの代表値を用いて少数のテーブルを構成し、各パラメータの値に応じてテーブル参照値を補正して用いるといった対応が必要となる。
【0011】
また、電流指令テーブル作成時の所期の動作点と実運転時の動作点とが異なり得る要因としては、上記動作状況の変動因子、即ちパラメータの他に、電動機制御装置の構成部品の劣化による特性変動が挙げられる。ここで、自動車のシステムとして有意な性能の低下をもたらし得る車載用電動機制御装置の構成部品の劣化について詳しく述べれば、その劣化としては次の(1)〜(4)に述べるものが挙げられる。
【0012】
(1)先ず、電力変換半導体であるパワー素子(パワーチップ)にあっては、パワー素子が動作することによる発熱や、停止することによる放熱により、パワー素子が膨張、収縮を繰り返すこととなる。この時、半導体そのものであるパワー素子とパワー素子を支える支持部材との熱膨張率の差により、パワー素子が割れてしまい、部分的に使用不能領域が生じて特性が劣化してしまう場合がある。さらに、パワー素子を接合する半田にひびが入ることによって放熱特性が悪化してパワー素子の電気特性が劣化してしまう場合もある。
【0013】
(2)電流検出器としては、電流経路に抵抗値が既知の抵抗を挿入し、該抵抗の両端の電位差を測定して電流量を測定するシャント抵抗方式や、電流経路に電流が流れることによって発生する磁束を捉えてその磁束量に基づいて電流量を測定するホール素子方式などがあるが、シャント抵抗方式にあっては、自身に電流が流れて発熱することによる特性変動を避けるため、比較的小さな抵抗値の抵抗を設定し、相対的に微小な検出電圧を増幅して実用的な電流検出信号となすことから、信号の増幅過程のインタフェース回路での電子部品特性の変動が生じ易い。
【0014】
一方、ホール素子方式にあっては、ホール素子を磁束が貫通する際のホール効果によって発生するホール電圧を、電流量を表す信号としている。しかし、このホール素子方式の場合、電流経路を流れる電流量に起因して変化する磁束量に応じてホール素子を貫通する磁束が変化することから、電流を測定することができるものの、電流量以外の要因によっても貫通磁束量は増減してしまう。この電流量以外の要因としては、ホール素子と電流経路の相対位置関係や、鉄芯等の集磁材にホール素子を介挿する場合の空隙(ギャップ)の長さなどがある。ホール素子と電流経路の相対位置関係は、機械的取り付け位置が振動などにより経年変化してしまう場合が想定され、また、集磁材の空隙長は、集磁材そのものあるいは集磁材の支持構造の膨張収縮により変動し得る。また、微小なホール電圧信号を増幅して安定した信号とするためのインタフェース回路での電子部品特性変動によっても、電流検出器としての特性変動が生じ得る。
これらの電流検出器の劣化は、電流量対出力電圧の比であるゲイン成分や電流がゼロにおいて発生する出力電圧であるオフセット成分の変動等をもたらす。
【0015】
(3)パワー素子の温度を検出するための温度検出器としては、パワー素子の近傍にサーミスタを装着するサーミスタ形式や、パワー素子内部、パワー素子周縁部などにPN接合のダイオードを形成するサーマルダイオード形式のものがある。サーミスタ形式では、サーミスタ装着部の温度を略パワー素子の温度とし、温度によってサーミスタの抵抗値が変化することを利用してパワー素子の温度を検出する。このサーミスタ形式では、サーミスタの抵抗値変化を温度として認識可能な電圧信号に変換するインタフェース回路を設けることとなるが、このインタフェース回路の部品の特性変動によって温度検出性能の変化、即ちパワー素子温度検出器としての劣化が生じ得る。
【0016】
また、上記サーマルダイオード形式は、該ダイオードに所定の電流を流した上でダイオードの陽極、陰極間の電位差(ダイオードの順方向電圧降下)を検出し、この電位差に基づいてパワー素子の温度を検出するものである。これはダイオードのPN接合部の抵抗値が温度の関数となることから、このダイオードに所定の電流を流した際の順方向電圧降下量から温度を逆算できることを利用したものである。しかるに、所定の電流(望ましくは一定値)が、想定通りに流れず誤差を持つ場合に、温度検出性能が変化することとなる。また、このダイオード順方向電圧降下は微小な非線形電圧信号であるため、温度として認識可能な電圧信号として変換するインタフェース回路を設けることとなるが、サーミスタ形式と同様にインタフェース回路部品の特性変動によってパワー素子温度検出器としての劣化が生じ得る。
【0017】
(4)平滑用コンデンサとしては、アルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサなどがある。平滑用コンデンサは、その役割が電力変換器のパワー素子のスイッチングに起因する直流側電力の変動を平滑化する事にあるが、スイッチングによって電力の充放電が繰り返されるため、平滑用コンデンサには交流電流が流れることとなる。この時、その交流電流が交流電圧に対し90度位相進みとなるのが理想的な特性であるが、誘電余効の影響により電流の位相が上記理想的な位相より少し遅れるため、誘導損失が生じて電力が消費される。この誘導損失によって平滑用コンデンサは内部発熱し、電解質の特性悪化、静電容量の減少、漏れ電流の増加、耐電圧性低下といった劣化を引き起こす。また、電極の抵抗成分、誘電体の抵抗成分等による等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance)によっても平滑用コンデンサの特性は変化する。例えば電極の酸化進行、誘電体の経年変質などの抵抗値変化によって電気特性が変動するため、平滑用コンデンサとしての性能が劣化することとなる。
【0018】
このように、車載用電動機制御装置を構成する部品の中には、故障とは言えないまでも前述のように経年等での特性の変化、劣化によって自動車のシステムとして見過ごせない性能の低下を生じるものがある。
【0019】
従来の装置は、故障の発生により正常な性能を維持できなくなったことを検出して動作点を変更、動作範囲を制限するものの、自動車のシステムとして有意な性能の低下を防止するとの視点からは上記故障の発生を検出しておらず、車載用電動機制御装置が搭載された自動車の性能がどの程度低下するのかという観点に基づき、この性能低下の状態を検出してこれに対応した動作点で運転を行うというものではなかった。
【0020】
従って、従来の装置では、例えば車載用電動機制御装置を自動車動力として内燃機関動力と電動機動力を併用するハイブリッド自動車に適用した場合に、指示した所定の電動機出力目標量に対して実際の交流電動機の出力を一致させるための制御が、その制御装置を構成する部品の特性の変化や劣化によって十分に機能せず、燃費、乗り心地の悪化や内燃機関排出ガスの各成分の悪化、電磁ノイズの増加、騒音の増加などを引き起こすこととなる。
【0021】
また、そのような従来の電動機制御装置を、パワーステアリング装置の油圧ポンプ駆動源である交流電動機や車載空気調和機のコンプレッサ駆動源である電動機等の制御に適用す場合には、交流電動機の動作効率が低下して所定の動力量を得るための電力が増加して燃費の悪化やバッテリの消耗などを引き起こし、また副次的には排出ガスの各成分の悪化にもつながることになる。
【0022】
以上例示したように、車載用電動機制御装置は、故障に立ち至る迄にもその構成部品の劣化によって特性が変動し、この制御装置を自動車のシステムとしてみた場合の有意な性能の低下が引き起こされる。しかし、これを回避するために車載用電動機制御装置の構成部品の特性変動の発生を甚だしく押さえ込むことは、過度の品質確保、高額部材の採用、部品の選別による工程増加、歩留まりの低下、性能低下時の製品交換などにつながるため、製品コストの上昇を招くこととなり好ましくない。
【0023】
このため、構成部品の性能、品質の確保に関しては適切なコストを充当し一定の水準を達成しつつ、自動車のシステムとして有意な性能の低下が生じている場合に、これが改善されるよう、また、構成部品の劣化がさらに進行しないよう、電動機と電動機制御装置の動作点を変更することが望まれる。
【0024】
さらに、パラメータの値や車載用電動機制御装置の構成部品の特性変動に応じて動作点を変更する場合には、動作点の変更判断、及び変更先の把握をするために、パラメータ、構成部品の特性等を入力して算出を行う必要がある。ここで、動作点の変更判断、変更先の算出を電動機制御装置外の別な制御演算装置で行おうとすると、交流電動機及び電動機制御装置の仕様に基づくデータベースを外部の制御演算装置にて保有する必要が生じる。
この場合、外部の制御演算装置での演算内容は、交流電動機や電動機制御装置の仕様に応じて変更しなければならない。また、特に交流電動機及び電動機制御装置に対して、別な制御演算装置により多数の動作点の変更判断、及び変更先の算出を行おうとすると、多量の情報を取り扱うことから、高い演算処理能力が要求され、制御演算装置の価格が高価となるという問題点があった
【0025】
本発明は、このような従来の装置の課題を解決するためになされたものであり、外部装置からの動作量指示にしたがいつつ、そのときの電動機及び電動機制御装置の動作状況を反映して電動機制御装置内で目標動作点を算出し外部装置へ通知して、算出した目標動作点での動作へ移行するよう制御する車載用電動機制御装置を提供することを目的とする。
【0026】
また、本発明は、車載用電動機制御装置を構成する部品の劣化に起因する自動車システムとしての有意な性能の低下を検知しこれに基づいて目標動作点を算出しこの動作点での動作へ移行するよう制御する車載用電動機制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この発明による車載用電動機制御装置は、直流電源と、該直流電源から供給される直流電力をスイッチング素子のスイッチングにより交流電力に変換して自動車に搭載された交流電動機に供給する電力変換器と、外部装置からの制御指令に基づいて前記スイッチングを制御して前記交流電動機を制御する電動機制御ユニットとを備えた車載用電動機制御装置であって、前記電動機制御ユニットは、前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の動作状況に基づいて前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の目標動作点を算出する目標動作点算出手段と、該目標動作点算出手段により算出した前記目標動作点及び該目標動作点への移行に関する情報を前記外部装置へ伝送し前記外部装置が前記情報に基づく制御指令を出力するよう誘導する電動機動作情報伝送手段と、前記外部装置から与えられる制御指令に基づいて演算したスッチング信号を前記スイッチング素子へ出力する制御演算部とを有するものである。
【0028】
またこの発明による車載用電動機制御装置は、前記目標動作点算出手段を、前記電力変換器及び前記交流電動機に発生する電力損失の何れか、又はそれらの総和が最小値となるよう目標動作点を算出するよう構成したものである。
【0029】
更にこの発明による車載用電動機制御装置は、前記目標動作点算出手段を、前記外部装置からの制御指令にしたがう動作条件の下で目標動作点を逐次更新するとともに、該更新した目標動作点により前記交流電動機を動作させるべく前記制御指令を補正する制御指令補正演算部を備えるよう構成したものである。
【0030】
またこの発明による車載用電動機制御装置は、直流電源と、該直流電源から供給される直流電力をスイッチング素子のスイッチングにより交流電力に変換して自動車に搭載された交流電動機に供給する電力変換器と、外部装置からの制御指令に基づいて前記スイッチングを制御して前記交流電動機を制御する電動機制御ユニットとを備えた車載用電動機制御装置であって、前記電力変換器は、前記交流電動機に流れる電流量を検出する電流検出器と、前記直流電源の出力を平滑化する平滑用コンデンサとを備え、前記電動機制御ユニットは、前記自動車が所定の性能低下をもたらすか否かを判定基準として前記車載電動機制御装置の構成部品の劣化を判定する劣化判定手段と、該劣化判定結果に基づいて前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の目標動作点を算出する目標動作点算出手段と、前記目標動作点及び目標動作点への移行に関する情報を前記外部装置へ伝送し前記外部装置が前記情報に基づく制御指令を出力するよう誘導する電動機動作情報伝送手段と、前記外部装置から与えられる制御指令に基づいて演算しスッチング信号を前記スイッチング素子へ出力する制御演算部とを有するものである。
【0031】
またこの発明による車載用電動機制御装置は、前記目標動作点算出手段を、前記外部装置からの前記制御指令に従う電動機動作条件を起点として前記構成部品の劣化の進行を防ぎ、若しくは前記自動車の性能低下を改善するよう、またはその双方をなすよう前記目標動作点を逐次更新するとともに、該更新した目標動作点により前記で交流電動機を動作させるべく前記制御指令を補正する制御指令補正演算部を備えるよう構成したものである。
【0032】
更にこの発明による車載用電動機制御装置は、前記目標動作点算出手段を、前記電力変換器及び前記交流電動機の電気的回路定数を用いた数理モデルに基づいて目標動作点の算出を行い、現在の目標動作点と次に算出する目標動作点における特定の指標値の偏差が所望の範囲内であるよう目標動作点を更新して出力するものであり、前記特定の指標値として、電力損失、電力変換器の電流、電圧、電力、温度及び電磁ノイズ、前記交流電動機の電流、電圧、電力、機械出力、トルク、回転速度、温度及び電磁ノイズ、前記直流電源の電流、電圧、電力及び温度のうち、少なくともいずれかを適用するよう構成したものである。
【0033】
またこの発明による車載用電動機制御装置は、前記目標動作点算出手段を、前記車載用電動機制御装置及び前記交流電動機の代表動作特性を用いて作成される基本ルックアップテーブルと前記電力変換器の電気的回路定数に関する第一の感度ルックアップテーブル及び前期交流電動機の電気的回路定数に関する第二の感度ルックアップテーブルとに基づいて目標動作点の算出を行い、現在の目標動作点と次に算出する目標動作点における特定の指標値の偏差が所望の範囲内であるよう目標動作点を更新して出力するものであり、前記特定の指標値として、電力損失、前記電力変換器の電流、電圧、電力、温度及び電磁ノイズ、前記交流電動機の電流、電圧、電力、機械出力、トルク、回転速度、温度及び電磁ノイズ、前記直流電源の電流、電圧、電力及び温度のうち、少なくともいずれかを適用するよう構成したものである。
【0034】
更にこの発明による車載用電動機制御装置は、前記電力変換器及び前記交流電動機の電気的回路定数、及び、前記基本ルックアップテーブル、前記第一の感度ルックアップテーブル、前記第二の感度ルックアップテーブルを、前記車載用電動機制御装置及び前期交流電動機の動作状況に基づいて設定値がより適正なものとなるよう適宜修正するようにしたものである。
【0035】
またこの発明による車載用電動機制御装置は、前記電力変換器に、前記直流電源の電圧を昇降圧変換するDC-DCコンバータを含むものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、外部装置からの制御指令に基づく車載用電動機制御装置及び交流電動機の動作において、自律的に現動作点よりも適切な動作点を検索し、外部装置が同動作点にて動作するような制御指令を出力するよう情報を伝送して誘導する車載用電動機制御装置を提供できる。このため、外部装置側にて上記適切な動作点の検索を行わずともよく、交流電動機や車載用電動機制御装置との組み合わせによって外部装置の仕様を切替える必要がなくなるという効果を奏する。
【0037】
また、本発明によれば、外部装置からの制御指令にしたがいつつ、車載用電動機制御装置及び交流電動機の動作状況を反映して電力変換器、交流電動機に発生する電力損失を最小化する目標動作点を検索し、車載用電動機制御装置及び電動機がこの目標動作点で動作するように、外部装置が指示する制御指令を誘導する車載用電動機制御装置を提供することができる。
【0038】
さらに、本発明によれば、外部装置からの制御指令にしたがいつつ、車載用電動機制御装置及び交流電動機の動作状況を反映して車載用電動機制御装置内で自律的に目標動作点を算出しこの動作点で動作車載用電動機制御装置を提供することができる。
【0039】
さらに、本発明によれば、車載用電動機制御装置の構成部品の劣化に起因する自動車システムとしての有意な性能低下を検知し、その判定結果に基づいて目標動作点を算出し、車載用電動機制御装置及び交流電動機がこの算出した動作点で動作すべく外部装置が電動機の制御指令を出力するよう誘導する車載用電動機制御装置を提供することができる。
【0040】
また、本発明によれば、車載用電動機制御装置の構成部品の劣化に起因する自動車システムとしての有意な性能低下を検知し、これが改善されるよう、また、構成部品の劣化がさらに進行しないよう目標動作点を算出し、この動作点にて動作するよう制御指令を補正して制御する車載用電動機制御装置を提供することができる。また、目標動作点の更新により補正される補正後の電動機動作量、補正の要因、目標動作点の推移に関する情報を電動機動作量指示を与える外部装置へ伝送する機能を有しているので、電動機動作量が補正されていることを外部装置の電動機動作量指示算出部分で認識可能なことから、電動機動作量が補正されることを踏まえて電動機動作量指示算出プロセスを変更するなどの対応を取ることができるよう連携して動作可能な車載用電動機制御装置を提供することができる
【0041】
さらに、本発明によれば、目標動作点の算出を電力変換器及び交流電動機の電気的回路定数を用いた数理モデルに基づいて行うことにより、多数の入力変数の変化に対してもこれに適合して目標動作点を算出することができる。電力損失、電力変換器の電流、電圧、電力、温度及び電磁ノイズ、電動機の電流、電圧、電力、機械出力、トルク、回転速度、温度及び電磁ノイズ、直流電源の電流、電圧、電力及び温度を特定の指標として、現目標動作点と次に算出する目標動作点における指標値の偏差が所望の値以下であるよう設定されることで、目標動作点の変化、更新にて発生する上記指標値の急激な変化による悪影響や変化を発振源とする系の共振を防止しつつ目標動作点を自律的に逐次更新可能な車載用電動機制御装置を提供することができる。
【0042】
さらに、本発明によれば、交流電動機の目標動作点の算出にあたって、車載用電動機制御装置及び交流電動機の代表動作特性を用いて作成される基本ルックアップテーブルの参照値を土台として、電力変換器の電気的回路定数に関わる動作状況の変動に対してその変動因子を入力変数とする第一の感度ルックアップテーブルを参照し、また、交流電動機の電気的回路定数に関わる動作状況の変動に対して第二の感度ルックアップテーブルを参照し基本ルックアップテーブルに対する補正量を算出して補正するようにしたので、これら基本ルックアップテーブルと感度ルックアップテーブルの組み合わせによって、多数の入力変数の変化に対しても膨大な次元、データ容量のルックアップテーブルを用意することなくこれに適合して目標動作点を自律的に逐次更新可能な車載用電動機制御装置を提供することができる。
【0043】
また、本発明によれば、目標動作点の算出に用いる電力変換器及び交流電動機の電気的回路定数、基本ルックアップテーブル、第一の感度ルックアップテーブル、第二の感度ルックアップテーブルを適宜修正することから、電力変換器及び電動機の個体特有の特性に適応して目標動作点を設定することが可能な車載用電動機制御装置を提供することができる。また、車載用電動機制御装置の構成部品が劣化により特性変動し所期の状態へ復帰しない場合にも変動後の特性が保持されることを前提として電気的回路定数、ルックアップテーブルを修正することで、さらに的確な目標動作点を算出することができる。
【0044】
さらに、本発明によれば、車載用電動機制御装置が直流電源の電圧を昇降圧変換するDCーDCコンバータを含み、直流電源の電圧を昇降圧することからパルス振幅変調(Pulse Amplitude Modulation)の機能を用いた電動機制御を行う車載用電動機制御装置であっても、交流電動機及び車載用電動機制御装置の動作状況を反映して車載用電動機制御装置内で自律的に目標動作点を算出しこの動作点で動作する車載用電動機制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1による電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。
図1において、直流電源3は、電力変換器4を介して三相の交流電動機2に接続されている。交流電動機2は、同期電動機で構成され、車両の駆動原として用いられる。電力変換器4は、三相インバータ6と、三相インバータ6と直流電源3の間に位置する平滑用コンデンサ7と、三相インバータ6と交流電動機2の間の各相の電力線U、V、Wに配置された電流検出器16a、16b、16cとを備えている。
【0046】
三相インバータ6は、トランジスタ9a、9b、9c、9d、9e、9fとフライホイールダイオード10a、10b、10c、10d、10e、10fとを夫々逆並列に接続して構成したパワー素子の一単位を6個備え、また、これらのパワー素子の一単位を2個ずつ直列に接続して構成されるアームを3個備えている。これらの各アームの中間点は、交流電動機2の各相の電力線U、V、Wに夫々接続されている。三相インバータ6は、6個のトランジスタ9a〜9fをスイッチングすることにより、直流電力を交流電力に変換して交流電動機2を駆動し、或いは交流電動機2が発生する交流電力を直流電力に変換して交流電動機2を制動する。
【0047】
電動機制御ユニット5は、制御演算部20と、電流指令テーブル21と、目標動作点算出手段22と、電動機動作情報伝送手段23と、電動機制御の演算に用いる各入力情報の算出手段である直流電圧算出手段25と、電動機電流算出手段28と、交流電動機2に設けられた回転角検出器18の出力を入力とする回転角度速度算出手段30とを備えている。
【0048】
制御演算部20は、外部装置24からの電動機動作量指示241に基づいて周知のベクトル制御法などの電動機制御のための演算を行う。制御演算部20は、その演算の結果によりスイッチング信号を生成し、このスイッチング信号を三相インバータ6の各トランジスタ9a〜9fのゲートに与え、これらトランジスタを所定のタイミングで導通、または非導通とする。このトランジスタ9a〜9fのスイッチング動作によって、交流電動機2の電力線U、V、Wに印加される交流電圧、即ち電動機端子電圧が制御され、これによって交流電動機2の出力が制御される。
【0049】
制御演算部20における電動機制御の演算に用いる情報は、次のように電動機制御ユニット5へ入力される。即ち、直流電圧算出手段25は、平滑用コンデンサ7の低電位側電圧Nと高電位側電圧Pを検知してこの間の電位差を算出し、この電位差に対応する電気量信号を直流電圧Vdcとして電動機制御装置5へ入力する。また、電動機電流算出手段28は、電流検出器16a〜16cが夫々検出した交流電動機2のU相電流iu、V相電流iv、W相電流iwに対応する電気量信号を電動機電流iaとして電動機制御装置5へ入力する。
【0050】
回転角度速度算出手段30は、回転角検出器18からの回転信号を入力して交流電動機2の回転角度θに対応する電気量信号を算出し、また、角度の単位時間あたりの変化量から回転速度ωeに対応する電気量信号を算出し、これらの算出した電気量信号を電動機回転角度θ及び電動機回転速度ωeとして電動機制御装置5へ入力する。尚、直流電圧算出手段25、電動機電流算出手段28、及び回転角度速度算出手段30は、いずれも電気量信号を処理する電子部品からなるインタフェース回路を備えている。
【0051】
電動機制御ユニット5は次のように動作する。先ず、外部装置24から、交流電動機2に対する電動機動作量指示としてトルク指令τ*が与えられる。電流指令テーブル21は、トルク指令τ*と電動機回転速度ωeを入力し、テーブルを参照して d軸電流指令id0*、及びq軸電流指令iq0*からなる電流指令を出力する。d軸電流指令id0*、及びq軸電流指令iq0*は、制御演算部20にてベクトル制御法により電流制御の演算を行う場合の、回転子磁束ベクトル方向の電流目標量とこれに直交する方向の電流目標量である。即ち、電動機動作量指示のトルク指令τ*に従って、トルクが出力されるように電流目標量が設定される。
【0052】
電流指令テーブル21は、d軸電流指令用テーブルとq軸電流指令用テーブルから成り、これらのテーブルは、車載用電動機制御装置1及び交流電動機2が所定の動作状況に有る場合の代表値に基づいて、その定常特性から網目状に各動作点に対応する電流指令量を決定することで作成される。本実施例において所定の動作とは、各動作点において電力変換器4及び交流電動機2に発生する電力損失の総和を最小化する動作である。また、所定の動作状況下の代表値として電機子抵抗値、回転子磁束の大きさ、パワー素子の抵抗値などのパラメータに各動作点における定常状態での値を用いる。
【0053】
目標動作点算出手段22は、トルク指令τ*、電動機回転速度ωe、直流電圧Vdcが入力され、電力変換器4及び交流電動機2に発生する電力損失の総和を最小化するために適切な動作点を目標動作点候補として電流指令テーブル21から検索する。
【0054】
図2は、本実施の形態1における車載用電動機制御装置の目標動作点算出手段22の詳細な構成の一例を示す説明図である。
図2に於いて、目標動作点算出手段22は、電力変換器4への入力電力と、この入力電力から電力変換器4と交流電動機2で発生する電力損失の総和を差し引いた電力との比、即ち総合効率を、直流電圧VdcがV1、V2、V3、V4、V5である毎に記憶した総合効率テーブルを備えている。ただし、V1は車載用電動機制御装置1及び交流電動機2の動作時における直流電源3の動作範囲の下限電圧であり、V5は上限電圧である。V1、V2、V3、V4、V5には、それぞれV1<V2<V3<V4<V5の関係がある。
【0055】
各総合効率テーブルは、横軸を電動機回転速度ωe、縦軸を出力トルクτとして各動作点に対応する総合効率を要素として有している。総合効率は所定の刻み量毎の範囲で区分される。このとき、総合効率の区分範囲の境界線を結んでいくと、総合効率テーブルは図2に示されるような等高線図として表現されることとなる。図2において、総合効率の区分範囲はa、b、c、d、e、f、gに分かれており、それぞれg<f<e<d<c<b<aの関係がある。
【0056】
目標動作点算出手段22は、直流電圧Vdcの入力値から、この入力値を挟むように隣接する二枚の総合効率テーブルを選択する。ただし、直流電圧VdcがV1以下である場合は、二枚ともVdc=V1の総合効率テーブルを選択し、直流電圧VdcがV5以上である場合は、二枚ともVdc=V5の総合効率テーブルを選択する。選択した夫々二枚の総合効率テーブルにおいて、電動機回転速度がωe、出力トルクがτ*である現動作点pcに対し、次の(1)、(2)に示す二つの場合について目標動作点候補としてこれに関連する諸情報を算出する。
【0057】
(1) 同一出力トルクτ*の特性線上であって最も総合効率が高く、かつ、現電動機回転速度からの変化幅が最も小さい点(図2中の点p2)における、電動機回転速度ωe、総合効率η*、現動作点pcからの総合効率の増加量Δη*
(2)同一出力(トルクτ*と電動機回転速度ωeの積が一定)の特性線上であって最も総合
効率が高い領域での回転速度に関する中点(図2中の点pt)における、電動機回転速度ωet、出力トルクτt、総合効率ηt、現動作点pcからの総合効率の増加量Δηt
ただし、最も総合効率が高い領域が複数存在する場合は、現動作点から最も近い領域を選択する。
図2において、同一出力特性線上で最も総合効率が高い領域は、点pra1から点pra2の間であり、点pra1での回転速度ωera1と、点pra2での回転速度ωera2の中間値を目標動作点の電動機回転速度ωetとする。
【0058】
続いて、選択した二枚の総合効率テーブルそれぞれに対応して算出した上記(1)、(2)の目標動作点候補と関連する諸情報を、直流電圧値に応じて補間する。いま、直流電圧値をVdc_aとしてV1<Vdc_a<V2の関係にあるとすれば、この時の上記(1)に対応する目標動作点候補と関連する諸情報は次のように算出される。
[Vdc=V1の総合効率テーブル対応]:
電動機回転速度ωe*_V1、総合効率η*_V1、現動作点からの総合効率の増加量Δη*_V1
[Vdc=V2の総合効率テーブル対応]:
電動機回転速度ωe*_V2、総合効率η*_V2、現動作点からの総合効率の増加量Δη*_V2
【0059】
これらはそれぞれ、次式に従って補間演算される。
【数1】


【数2】


【数3】


【0060】
なお、上記(2)に対応する目標動作点候補及び関連する諸情報も、(式1)、(式2)、(式3)と同様形態で補間演算により電動機回転速度ωet_Vdc_a、出力トルクτt_Vdc_a、総合効率ηt_Vdc_a、現動作点からの総合効率の増加量Δηt_Vdc_aとして算出される。
ここで、Vdc=V1、V2、V3、V4、V5の総合効率テーブルの要素である総合効率は、直流電圧に関して互いに隣接するテーブル同士で急激な変化があったり不連続な状態があったりしないことを前提とする。急激な変化や不連続な状態が存在する場合は、上記の演算式にしたがっても適切な補間演算を行えないため、直流電圧Vdcの刻みを細かくし、総合効率テーブルの枚数を増やして対応する。
【0061】
目標動作点算出手段22は、さらに次の場合も目標動作点候補としてこれに関連する諸情報を算出し出力する。
(3) 同一出力トルクτ*、同一回転速度ωeであって、Vdc=V1、V2、V3、V4、V5の各総合効率テーブルの内で最も総合効率が高く、かつ、現直流電圧値Vdcからの変化量が最も小さい点における直流電圧Vdc_v、総合効率ηv、現動作点からの総合効率の増加量Δηv
【0062】
続いて、電動機動作情報伝送手段23は、目標動作点算出手段22から上記の(1)に対応する目標動作点候補及び関連する諸情報の直流電圧値に応じた補間演算結果(ωe*_Vdc_a、η*_Vdc_a、Δη*_Vdc_a)、上記の(2)に対応する目標動作点候補及び関連する諸情報の直流電圧値に応じた補間演算結果(ωet_Vdc_a、τt_Vdc_a、ηt_Vdc_a、Δηt_Vdc_a)、上記(3)に対応する目標動作点候補及び関連する諸情報(Vdc_v、ηv、Δηv)を入力し、情報の符号化(コーディング)、情報伝送部分の制御を行って、これらを外部装置24へ情報伝送する。
【0063】
外部装置24は、上記電動機動作情報伝送手段23から伝送された情報伝送結果を電動機動作量指示の設定材料として用い、電動機動作量指示を更新する。電動機動作情報伝送手段23からの通知項目は、それぞれ(1)同一トルク、同一直流電圧のもとで総合効率が最高となる回転速度、(2)同一出力、同一直流電圧のもとで総合効率が最高となる出力トルク、回転速度、(3)同一トルク、同一回転速度のもとで総合効率が最高となる直流電圧を、目標動作点候補として推奨するものである。外部装置24は、これら情報伝送結果からいずれかの目標動作点候補への移行を取捨選択するなど判断し、電動機動作量指示を設定する。
【0064】
制御演算部20の動作は次のようになる。
即ち、制御演算部20は、d軸電流指令id0*、q軸電流指令iq0*を入力し、これら電流指令値にしたがって動作するよう制御演算を行う。先ず、電動機電流算出手段28が出力する交流電動機2のU相、V相、W相の電流値iu、iv、iwと、回転角度速度算出手段30が出力する回転角度θを用いて、次式により実際値のd軸電流id、q軸電流iqを算出する。
【数4】


【0065】
なお、三相の平衡性から、(式4)の替わりに三相中の二相分を用いてd軸電流id、q軸電流iqを算出することもできる。例えばU相電流iuとV相電流ivを用いて次式により算出してもよい。
【数5】


【0066】
次にd軸電流指令id0*とd軸電流id、q軸電流指令iq0*とq軸電流iqを突き合わせて偏差を求め、それぞれ比例積分(PI)演算を行ってd軸電圧指令Vd*、q軸電圧指令Vq*を算出する。さらにq軸電流がd軸電圧指令に及ぼす干渉成分を演算して次式により補償する。
【数6】


【0067】
また、d軸電流がq軸電圧指令に及ぼす干渉成分と回転子磁束による速度起電力成分を演算し次式により補償する。
【数7】


ただし、Ldは自己インダクタンスのd軸成分、Lqは自己インダクタンスのq軸成分、Φは回転子磁束による電機子巻線の鎖交磁束であり、交流電動機2の特性によって定まる定数である。ωeは回転角度速度算出手段30が出力する電動機回転速度である。
【0068】
続いて、補正後のd軸電圧指令Vd*’、q軸電圧指令Vq*’と回転角度θを用いて、次式により電動機の端子電圧指令Va*(U相Vu*, V相Vv*, W相Vw*)を算出する。
【数8】


【0069】
次に、各相端子電圧指令Vu*、Vv*、Vw*を (直流電圧Vdc)/2で除して規格化する。規格化後の値は交流電動機2の回転周波数に一致して正弦波状に変化する。ここで、規格化後の値の最大値が変調率となる。これら規格化後の電圧指令値と振幅1で所定周波数(=スイッチング周波数)の搬送波とを大小比較し、その大小関係で表現されるパルス幅変調によってスイッチング信号を生成し、このスイッチング信号により三相インバータ6内のトランジスタ9a〜9fをスイッチング動作させる。
【0070】
以上説明したように、実施の形態1による車載用電動機制御装置によれば、外部装置24からの動作量指示にしたがいつつ、電力変換器4への入力電力に対する、入力電力から電力変換器4と交流電動機2での発生電力損失の総和を差し引いた電力の比、即ち総合効率が最高となるような動作点を目標動作点候補として算出し、電動機動作量指示を発する外部装置24へ情報伝送するようにしたので、当該外部装置24は、車載用電動機制御装置1及び交流電動機2の発生電力損失に関する詳細なデータを保有する必要がなく、車載用電動機制御装置1が自律的に算出する目標動作点候補を参考として電動機動作量指示を設定し、より適切な動作点にて車載用電動機制御装置1及び交流電動機2を動作させることが可能となる。
【0071】
なお、目標動作点候補の算出に際し、総合効率を要素に持つテーブルを用いたが、総合効率に替えて発生電力損失の総和を要素に持つテーブルを用いるものであってよい。
また、目標動作点候補とその算出方法は、上記に例示した方法とは別のものであってもよい。
【0072】
実施の形態2
図3は、本発明の実施の形態2による電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。
図3中、図1と同一の符号を付したものは、同一または相当部分を示しており、以下の説明では実施の形態1と同一部分の動作説明は適宜省略する。
図3において、電力変換器4の直流電源3側には昇降圧DCーDCコンバータ8が接続されており、電力変換器4内の三相インバータ6に対して直流電源3の出力電圧を昇圧若しくは降圧変換して印加する。昇降圧DCーDCコンバータ8は、トランジスタ13aとフライホイールダイオード14aとを逆並列に接続したもの、及びトランジスタ13bとフライホイールダイオード14bを逆並列に接続したものを、夫々パワー素子の一単位として備え、これらの二つのパワー素子を直列に接続して配置している。
【0073】
また、直流電源3とパワー素子の間にはコンデンサ11が並列に、チョークコイル12が直列に接続されている。昇降圧DCーDCコンバータ8の直流電源3側の端子電圧と、トランジスタ13a、13b及びフライホイールダイオード14a、14bの夫々の逆並列接続体からなるパワー素子の直列体を経た三相インバータ6側の端子電圧との比である昇降圧比は、トランジスタ13a、13bの導通、非導通を切替えることによって調整される。
【0074】
また、電力変換器4の交流電動機2側に接続された三相インバータ6のトランジスタ9a〜9fをスイッチング制御することにより、交流電動機2の電力線U、V、Wに印加する電圧(電動機端子電圧)を制御して直流電力と交流電力を相互に変換し交流電動機2を駆動または制動する。
【0075】
電動機制御ユニット5内には制御演算部20が設けられており、制御演算部20内で昇降圧DCーDCコンバータ8の昇降圧比の制御のための演算、及び公知のベクトル制御法などの電動機制御のための演算を行い、昇降圧DCーDCコンバータ8のトランジスタ13a、13b、及び三相インバータ6のトランジスタ9a〜9fを制御するためのスイッチング信号を生成する。
【0076】
また、電力変換器4には上記に加え、平滑用コンデンサ7の低電位側端子Nよりも直流電源3寄りで昇降圧DCーDCコンバータ8と三相インバータ6の間の低電位側電力経路上に直流母線電流検出器15が配置されている。また、三相インバータ6には、パワー素子の温度を検出するためのサーマルダイオード17a、17b、17cが設けられている。
【0077】
更に、電動機制御ユニット5には、電動機制御の演算に用いる各入力情報の算出手段として実施の形態1で述べた構成要素に加えて、上記サーマルダイオード17a、17b、17cからの信号により各パワー素子の温度を演算するパワー素子温度算出手段27a、27b、27c、後述する電動機巻線温度算出手段29、直流母線電流算出手段31、及び定電流回路26a、26b、26cが設けられている。
【0078】
電動機制御演算に用いる各入力情報は次のように算出される。
先ず、各サーマルダイオード17a、17b、17cに、これらに夫々対応して接続した定電流回路26a、26b、26cから所定電流を流し、この時の順方向電圧Vfを検知する。そして、ダイオードのPN接合部の温度に依存して順方向電圧Vfが変化することに基づき、パワー素子温度算出手段27a、27b、27cによりパワー素子温度を算出する。
【0079】
直流母線電流idcは、直流母線電流検出器15が検出した電気量信号を入力とする直流母線電流算出手段31から電流値として出力される。電動機巻線温度Tmtcoilは交流電動機2に取り付けられたサーミスタ19の抵抗値温度変化特性に基づいて、電動機巻線温度算出手段29内の抵抗分圧回路によって温度量信号に変換され温度値として算出される。これらのいずれの算出手段も、他の算出手段と同様に電気量信号を処理する電子回路からなるインタフェース回路を備えている。
【0080】
電動機制御ユニット5の動作は次のようになる。
先ず、実施の形態1の場合と同様に、電流指令テーブル21が、外部装置24から電動機の動作量指示として与えられるトルク指令τ*及び電動機回転速度ωeを入力し、保有するテーブルを参照してd軸電流指令id0*、q軸電流指令iq0*を出力する。目標動作点算出手段22は、電流指令テーブル21から出力されたd軸電流指令id0*、q軸電流指令iq0*を入力する。
【0081】
図4は、本実施の形態2における目標動作点算出手段22の詳細な構成を示すブロック図である。
図4において、目標動作点算出手段22は、電力変換器損失算出器40、電動機損失算出器41、加算器42、制御指令補正演算部43、力率算出手段44から構成される。
本実施の形態2において、目標動作点は車載用電動機制御装置1及び交流電動機2に発生する電力損失の和(=総電力損失)を最小化するものであり、目標動作点算出手段22は現動作点に対してさらに総電力損失が少ない動作点を逐次探索し動作点目標として更新、設定して行く。ここで、総電力損失が少ない動作点を探索するために、現動作点での総電力損失を見積もる。
【0082】
電力損失の見積りは、それぞれ電力変換器4の中の三相インバータ6の損失分と交流電動機2の損失分に分けて、電力変換器損失算出器40と電動機損失算出器41とにより行う。電力変換器損失算出器40は、トランジスタ損失算出部401、フライホイールダイオード損失算出部402、加算器403から構成される。トランジスタ損失算出部401は、三相インバータ6のトランジスタ9a〜9fの定常オン損失の特性とスイッチング(ターンオン、ターンオフ)損失の特性とを用いて、特性算式内の変数に現動作点での値を代入してトランジスタ損失を算出する。
【0083】
先ず、上記定常オン損失は、電気的特性から電動機電流の実効値ia、力率、トランジスタがオンし電流が流れる際のコレクタ(C)ーエミッタ(E)間の飽和時電圧Vce(sat)、トランジスタのオンデューティの関数となり、この関数式(モデル)を用いて算出する。飽和時電圧Vce(sat)は、どのようにトランジスタの半導体設計を行うかによって電動機電流iaとの間で凡そ特性が定まるが、トランジスタのオン抵抗値の関数でありトランジスタの温度によって変化する量である。このため、パワー素子温度Tjを入力してオン抵抗の変化に合わせて定常オン損失を算出する。また、電動機電流iaは、該当トランジスタ部分と、直列接続され同じアームを構成する相対パワー素子内のフライホイールダイオード部分とを介して流れ、どちら側がどの程度の電流を分担して流すのかは負荷である交流電動機2の力率によって変化する。これによってトランジスタのオンデューティも変化することから、力率算出手段44で力率を算出し、定常オン損失算出に用いる。
【0084】
ここで、電動機電流iaとd軸電流id、q軸電流iqの間には次式の関係がある。
【数9】


【0085】
力率算出手段44は、後述のd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*及び回転角度速度算出手段30から出力される回転角度θを用いて算出される電動機電流iaの位相と、制御演算部20で算出される電動機端子電圧指令Va*の位相との差から、これの余弦値を取って力率を算出し出力する。
【0086】
次にスイッチング損失は、ターンオン損失とターンオフ損失に分けられ、夫々、どのようにトランジスタの半導体設計を行うかによって定まるトランジスタ通過電流(電動機電流ia)対ターンオン損失特性線、トランジスタ通過電流(電動機電流ia)対ターンオフ損失特性線にしたがうスイッチング一回あたりの損失及び単位時間当たりのスイッチング回数によって求めることができる。このため、d軸電流指令id*、q軸電流指令iq*及びスイッチング周波数を入力してスイッチング損失を算出する。
【0087】
フライホイールダイオード損失算出部402は、フライホイールダイオード10a〜10fの定常損失の特性と逆回復損失の特性とを用いて、特性算式内の変数へ現動作点での値を代入してフライホイールダイオード部分の損失を算出する。
【0088】
フライホイールダイオード10a〜10fの定常損失は、トランジスタでの場合と同様に、電気的特性から電動機電流の実効値ia、力率、フライホイールダイオードに順方向電流が流れる際の順方向電圧降下Vf、導通デューティの関数となり、この関数式(モデル)を用いて算出する。順方向電圧降下Vfは、どのようにフライホイールダイオードの半導体設計を行うかによって電動機電流iaとの間で凡その特性が定まるが、半導体接合部の温度によって変化する順方向抵抗値の関数である。
【0089】
このため、パワー素子温度Tjを入力して順方向抵抗の変化に合わせて順方向電圧降下Vfの算出特性を調整する。また、導通デューティは上記の電動機電流iaをトランジスタ部分とフライホイールダイオード部分とで分担する分担率であり、電動機の力率によって変化することから力率算出手段44の出力する力率算出結果を適用する。これら入力値からフライホイールダイオード10a〜10fの定常損失を算出する。
【0090】
次に、逆回復損失は、どのようにフライホイールダイオードの半導体設計を行うかによって定まるダイオードの通過電流(電動機電流ia)対逆回復損失特性線にしたがうスイッチング一回あたりの損失、及び単位時間当たりのスイッチング回数によって求めることができる。逆回復損失モデルにd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*及びスイッチング周波数を入力して逆回復損失を算出する。
【0091】
以上の動作により、トランジスタ損失算出部401により定常オン損失とスイッチング損失からなるトランジスタ9a〜9fの損失が算出され、フライホイールダイオード損失算出部402により定常損失と逆回復損失からなるフライホイールダイオード10a〜10fの損失が算出される。加算器403により、上記両者の電力損失が加算されて、電力変換器4内の三相インバータ6部分に発生する電力損失が得られる。
【0092】
また、電動機損失算出器41により、交流電動機2に発生する電力損失を算出する。この電動機損失算出器41は、銅損算出部411、鉄損算出部412、高調波損失補正量算出部413、加算器414から構成される。
銅損算出部411は、交流電動機2に電流iaが流れることによって交流電動機2の電流経路の抵抗分で発生する銅損(=ジュール損)を算出する。銅損の特性は、電動機電流iaと電流経路の抵抗成分の関数として表される。電流経路の抵抗成分の大部分を電動機の電機子巻線の抵抗成分が占めており、この電機子巻線の抵抗は温度上昇によって増加する特性を持っている。
【0093】
これに対し、例えば常温25℃等の所定温度における電機子巻線抵抗値を予め計測してこれを基準値とし、実運転時の電動機巻線温度を用いて電機子巻線の抵抗値を推定することができる。これらのことから、d軸電流指令id*、q軸電流指令iq*から(式9)で計算される電動機電流iaと電動機巻線温度Tmtcoilを入力して銅損を高精度に算出する。
【0094】
次に、鉄損算出部412は、交流電動機2のうず電流損などを含む鉄損を算出する。鉄損は電動機電流iaと電動機回転速度ωeの関数であり、鉄損算出部412はこれらを入力して交流電動機2に固有の特性算定式に当てはめて鉄損を算出する。
【0095】
さらに、高調波損失補正量算出部413は、交流電動機2に流れる高調波成分の電流によって発生する損失を算出する。高調波成分電流は、電動機端子に印加する電圧の内、回転周波数と一致する周波数の基本波成分よりも高い周波数成分を印加することによって流れる電流成分であり、交流電動機2が出力するトルクとしては有効に寄与しない。このため、高調波成分電流による電力は損失にあたるため、交流電動機2で発生する電力損失の見積りにおいて、高調波成分により発生する電力損失分を補正するよう、電動機電流iaと電動機端子印加電圧に含まれる高調波成分の多寡を左右する要因となる変調率MRに基づいて高調波損失補正量を算出する。
【0096】
上記のように、銅損算出部411により銅損が算出され、鉄損算出部412により鉄損が算出され、高調波損失補正量算出部413により高調波成分による損失が算出される。これらは加算器414により加算されて、交流電動機2に発生する電力損失として算出される。
【0097】
以上により、現動作点において三相インバータ6で発生する電力損失が、電力変換器損失算出器40から出力され、交流電動機2で発生する電力損失が電動機損失算出器41から出力され、これらの出力が加算器42により加算されて総電力損失として見積もられる。
【0098】
次に、制御指令補正演算部43は、電流指令テーブル21が出力するd軸電流指令id0*、q軸電流指令iq0*、制御演算部20により算出される電動機端子電圧指令Va*、及び加算器42が出力する総電力損失を入力し、総電力損失を減少させる方向に各電流指令と直流電圧指令を補正して目標動作点を更新し、出力する。
【0099】
制御指令補正演算部43は、遅延器431、減算器432、d軸電流指令補正器433、q軸電流指令補正器434、直流電圧指令補正器435から構成されている。
総電力損失は、遅延器431と減算器432に伝達される。遅延器431は、離散時間的に目標動作点の更新を行う際の更新単位時間だけ総電力損失の情報伝達を遅延させる処理を行い、その出力は前回周期の目標動作点更新時における総電力損失である。減算器432は、現総電力損失から前回周期の総電力損失を減算し、これを総電力損失の変化量として、d軸電流指令補正器433、q軸電流指令補正器434、直流電圧指令補正器435へ出力する。
【0100】
図5は、d軸電流指令補正器433の詳細な構成を示すブロック図である。d軸電流指令補正器433は、不感帯演算器441、補正係数テーブル442、係数器443、積分器444、及び加算器445から構成されている。d軸電流指令補正器433の動作は次のようになる。
先ず減算器432が出力する総電力損失変化量を、不感帯演算器441が入力してゼロ近傍の微小な変化を除去し出力する。この出力を用いて補正係数テーブル442によりテーブルを参照して補正係数を得る。
【0101】
続いて、不感帯演算器441を通過した後の総電力損失変化量と補正係数が、係数器443により掛け合わされて積分器444に入力される。積分器444は、その入力を蓄積して出力し、その出力とd軸電流指令id0*が加算器445において加算され、補正後d軸電流指令id*となる。即ち、係数器443と積分器444からなる積分制御器によって、総電力損失を減少させる方向のd軸電流指令補正量を演算し、電流指令テーブル21が出力するd軸電流指令id0*を補正するよう動作する。
【0102】
図6は、q軸電流指令補正器434の詳細な構成を示すブロック図である。q軸電流指令補正器434は、不感帯演算器451、補正係数テーブル452、係数器453、積分器454、加算器455を備える。これらの夫々の構成要素は、上記d軸電流指令補正器433のものと相似であり同様な役割で動作する。即ち、係数器453と積分器454からなる積分制御器によって、総電力損失を減少させる方向のq軸電流指令補正量を演算し、さらに加算器455は、この補正量と電流指令テーブル21が出力するq軸電流指令iq0*とを加算して、補正後のq軸電流指令iq*として出力する。
【0103】
また、図7は、直流電圧指令補正器435の詳細な構成を示すブロック図である。直流電圧指令補正器435は、不感帯演算器461、補正係数テーブル462、係数器463、積分器464、加算器465、目標直流電圧演算部466から構成され、その動作は次のようになる。
【0104】
先ず、目標直流電圧演算部466は、電動機端子電圧指令Va*に基づいて、この電動機端子電圧指令Va*を昇降圧DCーDCコンバータ8と三相インバータ6の間の直流電圧目標量(=直流電圧指令Vdc0*)へ換算し出力する。この換算において直流電源3の出力電圧を下限設定値としつつ、次式にしたがうよう直流電圧指令Vdc0*を設定する。
【数10】


但し、Tcは、スイッチング周波数の逆数であるスイッチング周期であり、Tdは、トランジスタのスイッチングタイミングにディレイとして設ける短絡防止期間であり、三相インバータ6の二つのパワー素子の直列接続体であるアームにおいて内包する二つのトランジスタが、同時にオン状態となって貫通電流が流れてしまうのを防止するためのものである。(式10)のように直流電圧指令を設定することで、車載用電動機制御装置1は、変調率MRが凡そ1となるように、昇降圧DCーDCコンバータ8、三相インバータ6を動作させることとなる。
【0105】
次に不感帯演算器461が総電力損失変化量を入力してゼロ近傍の微小な変化を除去し、さらにこれを用いて補正係数テーブル462にてテーブルを参照し補正係数を得る。続いて、不感帯演算器461通過後の総電力損失変化量と補正係数テーブル462が出力する補正係数が係数器463で掛け合わされて積分器464に入力される。積分器464は入力を蓄積して出力し、その出力と目標直流電圧演算部466が出力する直流電圧指令Vdc0*が加算器465で加算され、補正後直流電圧指令Vdc*となる。
即ち、係数器463と積分器464からなる積分制御器によって総電力損失を減少させる方向の補正量を演算し、直流電圧指令を補正するよう動作する。
【0106】
以上の動作手順によって、制御指令補正演算部43は総電力損失を最小化すべく演算を行って、d軸電流指令、q軸電流指令、直流電圧指令を補正して出力する。これら各指令値を補正することは、目標の動作点を更新することに相当する。つまり、図4に示す電力変換器損失算出器40、電動機損失算出器41にて、現動作状況において発生している総電力損失を見積り、制御指令補正演算部43にて総電力損失が最小となるように目標動作点を逐次更新するよう動作することとなる。
【0107】
図3において、制御演算部20は、前述の各補正後のd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*、直流電圧指令Vdc*を入力し、これら目標値にしたがって動作するよう制御演算を行う。直流電圧の制御については、指令値Vdc*と直流電圧算出手段25が出力する実際値Vdcを突き合わせて比較し、比例(P)演算や比例積分(PI)演算の結果と搬送波との比較による所定スイッチング周波数でのPWMや、あるいは不感帯を持つ比較器であるヒステリシスコンパレータを用いた大小比較によってスイッチング信号を生成し、このスイッチング信号により昇降圧DCーDCコンバータ8内のトランジスタ13a、13bをスイッチング動作させる。
【0108】
d軸電流、q軸電流の制御については、実施の形態1に記載の場合と同様に演算を行ってスイッチング信号を生成し、このスイッチング信号により三相インバータ6内のトランジスタ9a〜9fをスイッチング動作させる。
【0109】
以上述べたように、本実施の形態2による車載用電動機制御装置によれば、外部装置24からの動作量指示にしたがいつつ、電力変換器4の三相インバータ6で発生する電力損失と電動機で発生する電力損失の総和を動作状況に対応して算出し、この総電力損失が最小化する方向へd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*、直流電圧指令Vdc*を補正する。これは、車載用電動機制御装置1と交流電動機2の当該時点での目標動作点を自律的に算出、更新するものであり、従来手法よりもさらに的確に損失最小化、最高効率化運転を行うことができる。
【0110】
なお、損失最小化の対象として昇降圧DCーDCコンバータ8での発生電力損失を含むよう、電力変換器損失算出器40によりトランジスタ13a、13b、フライホイールダイオード14a、14bの発生損失をも見積もるようにしてよい。また、電力変換器4で発生する電力損失、交流電動機2で発生する電力損失のいずれか、また、この内の特定の損失が最小化するように適宜設計変更してもよい。
【0111】
実施の形態3
図8は、本発明の実施の形態3による電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。
図8中、図1、図3と同一の符号を付したものは、同一または相当部分を示しており、これらは同様の役割、動作であるため、適宜説明を省略する。
図8において、電動機制御ユニット5は劣化判定手段32を備えている。また、電力変換器4は、平滑コンデンサ7からの情報を処理する平滑用コンデンサ情報処理手段33と、昇降圧DCーDCコンバータ8及び三相インバータ6の各パワー素子の情報を検知するパワー素子情報検知器34a〜34hと、これらのパワー素子情報検知器34a〜34hからの情報を処理するパワー素子情報処理手段35と、平滑用コンデンサ電流検出器36、及びサーミスタ37を備えている。
【0112】
本実施の形態3では、車載用電動機制御装置1が搭載された自動車が所定の性能低下をもたらすか否かを判定基準として、車載用電動機制御装置1の構成部品の劣化を劣化判定手段32により判定し、さらなる劣化の進行を防ぐべく、また、自動車の性能低下を改善すべく車載用電動機制御装置1及び交流電動機2が動作するよう目標動作点算出手段22により目標動作点を算出し、自律的に電流指令を補正して出力する。
【0113】
ここで、車載用電動機制御装置1を構成する部品において、異常や故障ではないものの、電動機制御装置1単体のみならず自動車システムとしてみた場合に有意な性能低下をもたらし得る代表的なものとして、トランジスタ9a〜9f、13a、13b,及びフライホイールダイオード10a〜10f、14a、14bからなるパワー素子、平滑用コンデンサ7、電流検出器16a〜16c、電動機電流算出手段28、サーマルダイオード17a〜17c、定電流回路26a〜26c、及びパワー素子温度算出手段27a〜27cのそれぞれの特性変動がある。
【0114】
これらの特性変動とこれに起因する自動車システムとしての性能低下は、次のように例示される。
[パワー素子の劣化]
パワー素子の劣化として、具体的にはパワーチップの割れ、パワーチップを接合する半田のひびによってパワーチップに部分的使用不能領域が発生してパワーチップのオン抵抗が増加し、劣化が進行したパワーチップと劣化していないパワーチップとで電気的特性が異なることで電気供給経路の平衡性が損われたり、オン抵抗の増加により発熱量が増加して放熱、冷却性能の許容値を超え、劣化進行度合いが加速するといった性能悪化が挙げられる。これらパワー素子の劣化によって、電動機の回転が滑らかに行われず出力トルクの変動が発生することや、大電流時にこれを検知してパワーチップのスイッチングを遮断する過電流保護が所定の設定値から誤差をもって動作してしまうことや、局所的な温度上昇によって過熱保護のための電動機出力制限動作が頻発して当初設計通りの連続的な運転を満足できなくなる、といった問題が発生する。
【0115】
[平滑用コンデンサの劣化]
平滑用コンデンサの劣化として、具体的には静電容量の減少、耐電圧性能の低下といったものが挙げられる。この平滑用コンデンサの劣化によって、平滑能力が低下して直流の電圧、電流リップルが増加し、電動機制御の安定性が損われたり、直流側電力供給経路の電磁ノイズの増加、即ち電磁妨害性(EMI)の悪化、バッテリなど直流電源へ電圧、電流リップルが伝わることによる直流電源そのものの劣化を引き起こす。また、耐電圧性能の低下は絶縁破壊に対する余裕の減少となる。一般的に予め耐電圧性能の低下を見越してマージンを持たせるよう電力変換器の直流動作電圧(系電圧)の設定が行われるが、マージン設定は、装置の容積、コストとのトレードオフ関係となるため、可能な限りマージンを削減することが望まれる。
【0116】
[電流検出器の劣化]
電流検出器の劣化として、具体的には振動によりホール素子の機械的取り付け位置が変化してしまうことでの電流経路との相対位置関係の変動や、集磁材そのものあるいは集磁材の支持構造の膨張収縮による集磁材空隙長の変動、信号の増幅過程のインタフェース回路での電子部品特性変動といったものが挙げられる。
これら電流検出器の劣化によって、電流量対出力電圧の比であるゲイン成分や電流がゼロにおいて発生する出力電圧であるオフセット成分の変動が発生する。電流検出器は電動機の制御性能に関して重要な役割を果たしており、ゲイン成分やオフセット成分の変動によって動作の平衡性が失われて出力トルク変動が発生したり、また電流波形の乱れが大きくなり大電流を検知してパワーチップのスイッチングを遮断する過電流保護が頻発する、所定の電動機出力目標量に対して実際の電動機出力が一致しないといった問題を起こす。
【0117】
[パワー素子温度検出器の劣化]
パワー素子温度検出器の劣化として、具体的にはインタフェース回路部品の特性変動といったものが挙げられる。
パワー素子温度検出器が劣化することで温度検出結果に誤差が生じ、実際のパワー素子温度に比べて温度検出結果が高く出力される場合には過熱保護のための電動機出力制限動作が頻発して当初設計通りの連続的な運転を満足できないという問題が発生する。一方、実際のパワー素子温度に比べて温度検出結果が低く出力される場合には、本来過熱保護が動作すべきパワー素子温度に達していても保護動作が行われず、パワー素子の劣化が進行したり、場合によっては破壊に至るおそれがある。また、パワー素子温度検出結果に基づいてパワー素子のON抵抗をテーブル参照するなどして算出し高精度な電動機制御に適用している場合などでは、温度検出結果の誤差によって制御精度が悪化することとなる。
【0118】
次に車載用電動機制御装置1の構成部品の劣化判定、及び、目標動作点の算出、更新設定の具体的な動作について説明する。
車両用電動機制御装置1の構成部品の劣化は、劣化判定手段32により判定される。図9は劣化判定手段32の詳細な構成を示すブロック図である。劣化判定手段32は、劣化判定基準テーブル321、パワー素子劣化判定部322、平滑用コンデンサ劣化判定部323、電流検出器劣化判定部324、パワー素子温度検出器劣化判定部325を有している。
【0119】
上記それぞれ劣化判定部322〜325での判定は、パワー素子情報処理手段35が出力するパワー素子情報、平滑用コンデンサ情報処理手段33が出力する平滑用コンデンサ情報、直流母線電流算出手段31が出力する直流母線電流、電動機電流算出手段28が出力する電動機電流、パワー素子温度算出手段27a〜27cが出力するパワー素子温度に対応する信号に基づいて行われる。
【0120】
ここで、パワー素子情報とは、トランジスタ9a〜9f、13a、13bの夫々と、フライホイールダイオード10a〜10f、14a、14bの夫々の逆並列接続体からなるパワー素子の端子間電位差やパワーチップ通過電流分流量を意味する。このパワー素子情報は、パワー素子毎に電力変換器4内に備えられるパワー素子情報検知器34a〜34hにより検出され、電動機制御ユニット5内のパワー素子情報処理手段35へ伝送されて処理される。
【0121】
また、平滑用コンデンサ情報とは、平滑用コンデンサ電流検出器36により検出される平滑用コンデンサ通過電流量、及びサーミスタ37により検出される平滑用コンデンサ温度、更には直流母線電流検出器15により検出される情報を意味する。平滑用コンデンサ電流検出器36及びサーミスタ37からの平滑用コンデンサ情報は、平滑用コンデンサ情報処理手段33により処理され、直流母線電流算出手段31により検出された情報は、直流母線電流算出手段31により直流母線電流idcとして算出される。
【0122】
各劣化判定部322〜325での判定は、劣化判定基準テーブル321に設定された劣化判定基準を基準として行われる。
図10は、劣化判定基準テーブル321の構成例を示す図である。劣化判定基準は、判定対象である各トランジスタ9a〜9f、13a、13b及び各フライホイールダイオード10a〜10f、14a、14bから成るパワー素子、平滑用コンデンサ7、電動機電流検出器16a〜16c、パワー素子温度検出器27a〜27cの各部品毎に、また、各部品におけるそれぞれの劣化判定種類毎に、当該車載用電動機制御装置1が搭載された自動車がシステムとして所定の性能劣化をもたらすか否かに基づいて設定される。
【0123】
次に、各トランジスタ9a〜9f、13a、13b及び各フライホイールダイオード10a〜10f、14a、14bから成るパワー素子、平滑用コンデンサ7、電動機電流検出器16a〜16c、パワー素子温度検出器27a〜27cの各部品における劣化判定方法について説明する。
【0124】
[パワー素子劣化判定]
パワー素子劣化判定部322での劣化判定は次のように行われる。先ず、パワー素子情報検知器34a〜34hにより、パワー素子を構成するトランジスタ9a〜9f、13a、13bのそれぞれのコレクターエミッタ間電圧Vce、ゲートーエミッタ間電圧Vge、コレクタ電流分流Icsが検出されパワー素子情報処理手段35を経てパワー素子劣化判定部322へ入力される。
【0125】
図11は、スイッチング信号によってトランジスタがスイッチオン、スイッチオフする際の動作波形を模式的に表した波形図であり、(a)はスイッチング信号、(b)はゲートーエミッタ間電圧Vge、(c)はコレクターエミッタ間電圧Vce、(d)はコレクタ電流Icの波形を夫々示す。いずれも横軸は共通の時間軸である。
【0126】
パワー素子が劣化している場合、その劣化は、トランジスタ9a〜9f、13a、13bのスイッチオン時に、コレクターエミッタ間飽和電圧Vce(sat)の増加、パワー素子のスイッチング反応時間の指標であるターンオン時間(ton)の増加、ターンオフ時間(toff)の増加という現象として現れる。ターンオン時間(ton)は、スイッチオン動作の際にゲートーエミッタ間電圧Vgeが最大振幅の10%に達した時間からコレクターエミッタ間電圧Vceがスイッチオン移行初期電圧の10%に達するまでの時間である。また、ターンオフ時間(toff)はスイッチオフ動作の際にゲートーエミッタ間電圧Vgeが最大振幅の90%に達した時間からコレクタ電流Icが減衰してスイッチオフ移行初期量の10%に達するまでの時間である。
【0127】
これらのことから、次の方法により劣化判定を行うことができる。
スイッチング信号のオン動作移行後、またはゲートーエミッタ間電圧Vgeの最大振幅到達後の所定時間(トランジスタが既にオンしているであろう時間)経過時点でのコレクターエミッタ間飽和電圧Vce(sat)を、判定基準値[Ref_Vce(sat)]と比較する。
スイッチオン動作によりゲートーエミッタ間電圧Vgeが立ち上がり、ゼロクロス時点から所定時間(ターンオン定格時間)経過時点でのコレクターエミッタ間電圧Vceを、判定基準値[Ref_Vce(ton)]と比較する。
スイッチオフ動作によりゲートーエミッタ間電圧Vgeが減衰を開始した時点から所定時間(ターンオフ定格時間)経過時点でのコレクタ電流分流Icsを判定基準値[Ref_Ics(toff)]と比較する。
【0128】
以上のように、パワー素子劣化判定部322はコレクターエミッタ間電圧Vce、ゲートーエミッタ間電圧Vge、コレクタ電流分流Ics、スイッチング信号に基づいてパワー素子の劣化判定を行い、判定結果を出力する。
【0129】
[平滑用コンデンサ劣化判定]
平滑用コンデンサ劣化判定部323での劣化判定は、次のように行われる。
先ず、図8に示す平滑用コンデンサ電流検出器36からの信号を用いて平滑用コンデンサ情報処理手段33から平滑用コンデンサ通過電流量ic_rplが出力され、直流母線電流検出器15からの信号を用いて直流母線電流算出手段31から直流母線電流量idcが検出される。また、サーミスタ37からの信号を用いて平滑用コンデンサ情報処理手段33から平滑用コンデンサ7の温度tem_Cが検出される。
【0130】
図12の(a)は、平滑用コンデンサ劣化判定部323の詳細な構成を示すブロック図である。この図に示すように、平滑用コンデンサ劣化判定部323は、実効値演算器501、低域通過フィルタ(LPF)502、振幅比演算器503、補正ゲインテーブル504、係数器505、比較器506から構成されている。
【0131】
先ず、実効値演算器501は、平滑用コンデンサ通過電流量idc_rplを入力して、その実効値を算出する。また、低域通過フィルタ502は、直流母線電流量idcを入力して、その低周波数域成分を濾波し出力する。つづいて、振幅比演算器503は、実効値演算器501からの平滑用コンデンサ通過電流量実効値と、低域通過フィルタ502からの直流母線電流量の低周波数域成分を入力して、その比を算出する。
【0132】
また、図12の(a)に示す補正ゲインテーブル504は、平滑用コンデンサ温度tem_Cを入力しテーブル参照により補正ゲインを出力する。係数器505は、振幅比演算器503の出力と補正ゲインテーブル504からの補正ゲインとを乗算して出力する。次に、比較器506により、係数器505の出力と平滑用コンデンサ劣化判定基準値との間の大小関係を比較して劣化判定が行われ、平滑用コンデンサ劣化判定基準値が係数器505の出力より小さい場合に劣化状態であると判定される。即ち、直流母線電流量と平滑用コンデンサ7のリップル電流量の比を平滑用コンデンサの温度により補正した後、平滑用コンデンサ劣化判定基準値と比較して劣化判定を行う。
【0133】
図12の(b)は、平滑用コンデンサ劣化判定部323の、別な様態での詳細な構成を示すブロック図で、減算器507、及び前述の実効値演算器501、低域通過フィルタ502により構成されたリップル抽出器508を備えている。その他は、図12の(a)に示したブロックと同じ働きをするものは同一の符号を付している。
【0134】
先ず、リップル抽出器508の低域通過フィルタ502は、直流母線電流量idcを入力して、その低周波数域成分を濾波し出力する。減算器507は、直流母線電流量idcから直流母線電流量に含まれる低周波数域成分を減算し直流母線電流リップル成分とする。実効値演算器501は、この直流母線電流リップル成分を入力して、その実効値を算出する。つづいて、振幅比演算器503は、直流母線電流リップル成分実効値と直流母線電流量の低周波数域成分を入力して、その比を算出する。
【0135】
また、補正ゲインテーブル504は、平滑用コンデンサ温度tem_Cを入力しテーブル参照により補正ゲインを出力する。以降、係数器505、比較器506の動作は、図12の(a)の場合と同様であるため説明を省略する。この図12の(b)での例は、直流母線電流量の低周波数域成分とリップル成分の比を平滑用コンデンサの温度により補正した後、劣化判定基準値と比較して劣化判定を行う。
【0136】
以上のように、平滑用コンデンサ劣化判定部323は、平滑用コンデンサ通過電流量、直流母線電流量、平滑用コンデンサ温度に基づいて、平滑用コンデンサ7の劣化判定を行い、判定結果を出力する。
なお、平滑用コンデンサ7の劣化判定の方法として、周知の他の方法を用いてもよく、本発明において劣化判定の方法が、前述した方法に限定されるものではない。
【0137】
[電流検出器劣化判定]
電流検出器劣化判定部324(図9)での劣化判定は、例えば次の原理に基づいて行われる。
交流電動機巻線電気特性の平衡性利用
(1)電動機多相巻線の電気特性が平衡(抵抗、自己インダクタンス、相互インダクタンス各成分が各相とも同量)しており、何れの相にも同等振幅の電流が流れる場合に、電流検出器16a〜16cからの各相電流量検出値の振幅が同等であるか否かに基づいて劣化判定を行う。スイッチング信号を矩形波1パルススイッチング法またはすべてオフ(フライホイールダイオード10a〜10fのみに電流が流れる全波整流状態)とすれば、安定した平衡電流が流れるため劣化判定の精度が高まる。
【0138】
(2)単一電流経路での複数電流検出器同時検出
交流電動機2が低回転速度で速度起電力が小さい場合(停止時など)に電流検出器16a〜16cが備えられた複数の経路に単一電流が流れるようパワー素子のスイッチングを組み合わせ、複数の電流検出器で同一電流量を検出し、その検出値の差異に基づいて劣化判定を行う。
例えば、三相の交流電動機2の制御を三相インバータ6で行う場合、三相を構成するU、V、W相の内、U相高電位(P)側トランジスタ9aとV相低電位(N)側トランジスタ9dとをスイッチオンし、その他のトランジスタ9b、9c、9e、9fをスイッチオフすれば、電流は高電位(P)側からトランジスタ9aを経て三相交流電動機のU相巻線を正方向に流れ入り、V相巻線を負方向に流れ出てトランジスタ9dを経て低電位(N)側へ帰還する。このとき電流検出器16aと16bは極性が異なる同一電流量を検出することとなるので、こ時の検出結果に相違があればいずれかの電流検出器に特性変動が生じていることとなる。パワー素子のスイッチングの組み合わせを適宜変更してこれら電流検出器の特性変動を詳細に確認して行くことができる。
【0139】
上記の(1)の場合は、各相検出電流の振幅の同等性を所定基準値と比較することで劣化判定を行い、(2)の場合は、スイッチングの組み合わせによる各相電流検出値同士の差異に基づいて所定基準値と比較することで劣化判定を行う。ここで、所定基準値は、電流検出器16a〜16c同士のバラツキ許容値にあたるが、交流電動機2の巻線の電気定数(抵抗、インダクタンス、誘起電圧定数)が既知であれば、電流検出器16a〜16cの特性変動を物理的絶対量として算出することも可能であり、基準値を物理的絶対量として個々の電流検出器16a〜16cの特性と比較して劣化判定を行うこともできる。以上のようにして電流検出器劣化判定部324は劣化判定を行い、判定結果を出力する。
【0140】
[パワー素子温度検出器劣化判定]
パワー素子温度検出器劣化判定部325(図9)での劣化判定は、例えば次のようにして行われる。
(1)車載用電動機制御装置1が充分放熱され、パワー素子の温度が周囲温度相当となった際の各パワー素子温度検出器どうしの検出結果の差異(バラツキ)を基準値と比較する。
(2)多相平衡状態運転時でパワー素子間の0スイッチング頻度、通過電流量が平衡している場合での各パワー素子温度検出器どうしの検出結果の差異(バラツキ)を基準値と比較する。
(3)所定基準時点(例えばパワー素子のスイッチング開始時点)からのパワー素子温度検出器の検出結果変化特性を、予め定められたパワー素子発熱放熱特性テーブルと比較してその差異を基準値と比較する。
【0141】
上記の(1)、(2)の場合での判定基準値は、パワー素子温度検出器同士のバラツキ許容値にあたるが、複数のパワー素子温度検出器からの検出値の多数決やその他統計的手法によって、検出結果の差異を物理的な(真の)温度からの誤差として算出することも可能である。このため、劣化判定基準値として温度誤差を設定して判定することも可能である。以上のようにパワー素子温度検出器劣化判定部325は劣化判定を行い、判定結果を出力する。
【0142】
以上のような動作によって、車載用電動機制御装置1の構成部品の劣化判定が行われる。ここで、図10に示される劣化判定基準テーブル321の各要素である劣化判定基準は、自動車システムの性能低下レベルに対応して値を定められる。例えば、車採用電動機制御装置1及び交流電動機2をハイブリッド自動車に適用する場合、車載用電動機制御装置1の構成部品が劣化して特性変動が生じると、内燃機関、電動機、変速機の連携が崩れて有意な性能低下が生じてしまう。低下する性能の例としては、燃費、トルク変動、乗り心地、内燃機関排出ガス各成分、電磁ノイズ、騒音などが挙げられる。
【0143】
また、ハイブリッド自動車は、使用地域によっては、排出ガスや燃費が法律や政策目標で定められた所定のレベルを満たす車両であることに着目して、導入が促進されている場合がある。このため上記の有意な性能低下が発生する場合に、この状態を検出してこれ以上の性能低下を防止し、改善することが重要である。例えば、乗り心地に関する性能低下に対して出力トルク変動を所定の範囲内に留めるべく劣化判定基準を設定する場合を考えると、出力トルク変動を起こす要因である電動機電流検出器のゲイン変動に関して出力トルク変動の許容範囲の境界に該当する変動値を求め、このゲイン変動値を劣化判定基準に設定するなどして対応することができる。
【0144】
次に、本実施の形態3に於ける劣化判定時に、自動車システムとしての性能低下を改善するよう目標動作点を逐次更新する動作について説明する。
図13は、平滑用コンデンサ7の劣化判定時に目標動作点を算出し制御指令値の補正を行う目標動作点算出手段22の詳細な構成を示すブロック図である。
図13に示される目標動作点算出手段22は、制御指令補正演算部43、力率算出手段44、平滑用コンデンサリップル電流ー力率特性テーブル51、及び減算器52から構成されている。また、制御指令補正演算部43は、係数器53、54、積分器55、56、及び加算器57、58から構成されている。
【0145】
平滑用コンデンサ7の劣化によって静電容量が減少している場合、平滑能力が低下して直流の電圧、電流リップルが増加し、電磁妨害性(EMI)が悪化するという性能低下を引き起こす。これを回避するため、平滑用コンデンサ7の劣化判定時に、直流の電圧、電流リップルが所定の範囲内に収まるような目標動作点を設定し、現行の動作点から目標動作点へ向けて移行するよう制御指令値を補正する。この制御指令値の補正は、動作点の力率を操作することに着目して行う。
【0146】
図14は、力率に対する平滑用コンデンサ7の通過電流の特性を説明する図である。図14の(a)から(d)において横軸は共通の時間軸であり、それぞれ同一の変調率で同一の電動機電流iaが流れている場合に、平滑用コンデンサ電流検出器36により検出される平滑用コンデンサ通過電流idc_rplとその平均値を図示したものである。図14の(a)は力率=+1.0での波形、(b)は力率=+0.8での波形、(c)は力率=+0.6での波形、(d)は力率=+0.4での波形を示している。これらの図から明らかなように、力率が低下するにしたがい、平滑用コンデンサ通過電流の平均値も低下している。
【0147】
力率が低下するということは、電動機に流れる電流の内、d軸成分(回転子磁束ベクトルの方向の電流成分)が増加し、q軸成分(回転子磁束ベクトルに直交する方向の電流成分)が減少する動きに相当し、q軸電流が減少するため電動機の出力トルクが減少する。出力トルク減少により電動機に入力する電力が減少することから、平滑用コンデンサ通過電流平均値も低下する。平均値を中央値として平滑用コンデンサ通過電流の波形を見ると、力率によって平均値からの電流変位量が異なる、即ちリップル電流の実効値が異なることが判る。以上のことから、同一の変調率、同一の電動機電流量であっても力率を操作することにより直流のリップル電流量を調整することが可能となる。
【0148】
これらに基づき、図13に示される目標動作点算出手段22は次のように動作する。
先ず、力率算出手段44は、d軸電流指令id*、q軸電流指令iq*及び回転角度θを用いて算出される電動機電流iaの位相と制御演算部20で算出される電動機端子電圧指令Va*の位相との差から、これの余弦値を取って力率を算出し出力する。
【0149】
また、平滑用コンデンサリップル電流ー力率特性テーブル51は、予め電磁妨害性能(EMI)と関連付けられて設定されるリップル電流許容量と、d軸電流指令id*、q軸電流指令iq*、変調率MRを入力する。テーブルは横軸を力率、縦軸を変調率とし、劣化したと判定される場合の静電容量において、電動機電流実効値iaの規格値に対して発生する平滑用コンデンサのリップル電流を、要素として網目状に記憶したものである。d軸電流指令id*、q軸電流指令iq*から(式9)で算出されるiaについて規格化係数を求め、テーブルに記憶した平滑用コンデンサのリップル電流に規格化係数を乗じたものが、現動作点における平滑用コンデンサのリップル電流となる。
【0150】
平滑用コンデンサリップル電流ー力率特性テーブル51では、縦軸の値を入力した変調率MR、リップル電流許容量を上記規格化係数で除したものを基準値とし、テーブルの要素がこの基準値を下回るポイントを横軸の力率方向について走査して、このポイントでの力率を目標力率として出力する。つづいて、減算器52は、この目標力率から力率算出手段44が出力する力率を減算して目標力率からの偏差を出力する。
【0151】
上記目標力率からの偏差は制御指令補正演算部43に入力され、それぞれ係数器53、54で係数倍される。積分器55は係数器53で係数倍された目標力率からの偏差を蓄積してその結果をd軸電流指令補正量となす。同様に積分器56は係数器54で係数倍された目標力率からの偏差を蓄積してその結果をq軸電流指令補正量とする。即ち、係数器53と積分器55は、d軸電流指令に関する積分制御器として動作し、係数器54と積分器56は、q軸電流指令に関する積分制御器として動作する。ただし、積分器55、56は平滑用コンデンサの劣化判定時にのみ積分動作を行い、劣化が発生していない場合は常に積分値をゼロに維持することで、各電流指令補正量がゼロとなるようにする。
【0152】
次に、加算器57により、d軸電流指令id0*と積分器55が出力するd軸電流指令補正量が加算され、補正後のd軸電流指令id*として制御指令補正演算部43から出力される。また、同様に加算器58により、q軸電流指令iq0*と積分器56が出力するq軸電流指令補正量が加算され、補正後のq軸電流指令iq*として出力される。
【0153】
図8の制御演算部20では、目標動作点算出手段22が出力する補正後d軸電流指令id*、補正後q軸電流指令iq*にしたがって、実施の形態1、実施の形態2と同様な手順により電動機制御演算を行い、スイッチング信号を生成する。また、電動機動作情報伝送手段23は、劣化判定手段32からの劣化情報、目標動作点算出手段22からの現動作点における力率と、目標力率、補正後d軸電流指令id*、補正後q軸電流指令iq*を入力し、電流指令からの補正後トルク指令の算出、情報の符号化(コーディング)、情報伝送部分の制御を行って、これらを外部装置24へ情報伝送する。
【0154】
以上説明したように本実施の形態3による車載用電動機制御装置によれば、車載用電動機制御装置1の構成部品の劣化に起因する自動車システムとしての有意な性能の低下を検知して、この性能低下が改善されるよう、また、劣化のさらなる進行を防ぐように自律的に目標動作点を設定し、目標動作点で交流電動機2及び車載用電動機制御装置1が動作すべく制御を行う。
【0155】
なお、本実施の形態3において、パワー素子、平滑用コンデンサ、電流検出器、パワー素子温度検出器の劣化判定方法を例示したが、各劣化判定部での劣化判定方法としてはこれらに限定されるものではない。例えば、各要素の動作特性を表す数理モデルにより非劣化時の特性(規範特性)と実特性を突き合わせて、その特性の偏差と劣化判定基準値を比較して劣化判定を行うものであってもよい。
さらに、本実施の形態3では、目標動作点算出、制御指令補正演算につき平滑用コンデンサの静電容量の劣化に関して例示したが、対象となる劣化はこれに限定されず、適宜、他の劣化現象に対する目標動作点算出、制御指令補正演算を組み合わせてよい。
【0156】
実施の形態4
図15は、実施の形態4による車載用電動機制御装置の目標動作点算出手段22の詳細な構成を示すブロック図である。
本実施の形態4による装置のシステムの全体構成は、目標動作点算出手段22が図15に示されるものであることを除いて図3に示される実施の形態2によるシステムの全体構成と同様であるため、以下の説明では、図3及び図15を参照し、構成、動作が異なる部分を主体に説明する。
【0157】
図3における目標動作点算出手段22は、図15に示すように、目標動作点算出手段22は、制御指令補正演算部43、特定指標変化量算出部61、減算器62、及びトランジスタ損失算出部401から構成されている。
この本実施の形態4における目標動作点算出手段22は、電力変換器4内のトランジスタ損失が所定の許容量を超過する場合にスイッチング周波数を低下させてトランジスタ損失を低減させるという目標動作点の逐次更新動作を行うものであり、電力変換器4及び交流電動機2で発生する電力損失を指標値とし、目標動作点の更新の際にこの指標値の変化量が所望の範囲内に収まるようスイッチング周波数の更新幅を制限するよう動作する。
【0158】
特定指標変化量算出部61は、上記指標値として電力変換器4及び交流電動機2で発生する電力損失を演算し、目標動作点の更新周期毎の変化量を出力するブロックであり、電力変換器損失算出器40、電動機損失算出器41、加算器42、力率算出手段44、遅延器431、減算器432、及び係数器611から構成されている。
【0159】
その動作として、先ず、d軸電流指令id*、q軸電流指令iq*、回転角度θ、電動機端子電圧指令Va*を力率算出手段44に入力し、力率を算出する。次に電力変換器損失算出器40へスイッチング周波数、パワー素子温度Tj、d軸電流指令id*、q軸電流指令iq*、力率を入力し、電力変換器4内の三相インバータ6で発生する電力損失を算出して出力する。また、電動機損失算出器41へ前述の(式9)により計算される電動機電流ia、電動機巻線温度Tmtcoil、電動機回転速度ωe、スイッチング周波数、変調率MRを入力し、交流電動機2で発生する電力損失を算出して出力する。電力変換器損失と電動機損失は加算器42により加算されて、総電力損失として出力される。
【0160】
続いて、減算器432は、上記総電力損失から遅延器431を通過した前回周期の目標動作点更新時における総電力損失を減算して総電力損失の変化量となし、さらに係数器611により係数倍して特定指標変化量算出部61から出力する。
【0161】
また、トランジスタ損失算出部401はd軸電流指令id*、q軸電流指令iq*、スイッチング周波数、パワー素子温度Tj、力率を入力し、定常ON損失とスイッチング損失からなるトランジスタ9での電力損失を算出し出力する。次に減算器62は、トランジスタ9の電力損失の許容量から上記算出済みの電力損失を減算し、その結果を制御指令補正演算部43へ出力する。
【0162】
次に、減算器62の減算結果は、制御指令補正演算部43へ入力される。制御指令補正演算部43は、スイッチング周波数設定テーブル63と変化量制限器64から構成される。
変化量制限器64は、減算器641、可変リミッタ642、加算器643、遅延器644から構成される。
【0163】
スイッチング周波数設定テーブル63は、減算器62の減算結果を入力し、記憶している特性データから対応するスイッチング周波数の目標量をテーブル参照して出力する。スイッチング周波数設定テーブル63は、現動作点におけるトランジスタの電力損失算出値よりも許容量の方が大きく、電力損失に余裕がある場合には、所定のスイッチング周波数を保持して動作し、一方、電力損失算出値が許容量を超過している場合には、その超過量に応じてスイッチング周波数を低下させて動作するようなスイッチング周波数の特性データを記憶している。
【0164】
続いて、減算器641は、上記スイッチング周波数の目標量から遅延器644を通過した前回の目標動作点更新周期におけるスイッチング周波数を減算し、スイッチング周波数の変化量として出力する。さらに、可変リミッタ642は、このスイッチング周波数の変化量を入力してその上下限値を制限して出力する。ここで、制限境界である上下限値は、特定指標変化量算出部61の出力によってその値が調整される。
【0165】
次に、加算器643により、可変リミッタ642を通過し上下限値を制限されたスイッチング周波数の変化量と遅延器644が出力する前回の目標動作点更新周期におけるスイッチング周波数とが加算され、補正後のスイッチング周波数(目標量)となって制御指令補正演算部43から出力される。ここで、変化量制限器64は、名称の通りスイッチング周波数の変化量を制限するよう動作し、また、その制限境界である上下限値を特定指標変化量算出部61が出力する指標値の変化度合いに応じて調整する。
【0166】
なお、図15に図示していないが、図3に示す電流指令テーブル21から出力されるd軸電流指令id0*、q軸電流指令iq0*は、目標動作点算出手段22内で補正処理を行わず、そのまま制御演算部20へ伝送される。制御演算部20はこれら電流指令量にしたがって電動機制御演算を行う。この時、パルス幅変調によるスイッチング信号を生成する際用いる搬送波の周波数を制御指令補正演算部43(図15)が出力する補正後のスイッチング周波数に設定し、上記目標動作点にしたがい動作させる。
【0167】
以上説明したように、本実施の形態4による車載用電動機制御装置によれば、電力変換器4及び交流電動機2で発生する電力損失を指標値として、この指標値の目標動作点更新周期毎の偏差(=指標値の変化量)が所望の範囲内に収まるように、目標動作点のパラメータであるスイッチング周波数を、その変化量を制限しつつ逐次更新し設定することができる。
【0168】
なお、本実施の形態4において、特定の指標値が電力変換器4及び交流電動機2で発生する電力損失であり、目標動作点算出の設定パラメータがスイッチング周波数である場合を例示したが、それぞれ特定の指標値、目標動作点算出のパラメータはこれらに限定されるものではない。また、本発明の具体的な実現形態は本実施の形態4に示したものに限定されない。
【0169】
実施の形態5
図16は、実施の形態5による車載用電動機制御装置における特定指標変化量算出部61の詳細な構成を示すブロック図である。
本実施の形態5は、特定指標変化量算出部61が図16に示されるものであることを除いて、図15に示される実施の形態4による目標動作点算出手段22と同じであるため、以下、動作が異なる部分について説明する。
【0170】
図16において、特定指標変化量算出部61は、力率算出手段44、基本ルックアップテーブル621、第一感度ルックアップテーブル622、第二感度ルックアップテーブル623、電力変換器損失補正合成手段631、電動機損失補正合成手段632、加算器633、634、遅延器431、減算器432、及び係数器611から構成される。
【0171】
本実施の形態5における特定指標変化量算出部61は、図15に示される実施の形態4による目標動作点算出手段22内の特定指標変化量算出手段61と同様に、電力変換器4で発生する電力損失と交流電動機2で発生する電力損失を算出して加算して総電力損失となし、目標動作点更新周期毎の総電力損失の偏差、即ち総電力損失の変化量を係数倍して出力するよう動作する。
【0172】
以下、特定指標変化量算出部61の詳細な動作を述べる。
先ず、電動機回転速度ωeと(式9)にしたがい、d軸電流idとq軸電流iqから求まる電動機電流iaが基本ルックアップテーブル621へ入力される。基本ルックアップテーブル621は、車載用電動機制御装置1及び交流電動機2が所定の動作状況に有る場合の代表値に基づいて、定常状態での電力変換器4と交流電動機2で発生する電力損失の総和、即ち総電力損失を予め実測、算定し、電動機回転速度ωeと電動機電流iaを座標軸として対応する動作点毎に上記総電力損失を要素に持つよう構成されている。基本ルックアップテーブル621は、入力した電動機回転速度ωeと電動機電流iaとに対応する動作点での総電力損失をテーブル参照して検索し出力する。
【0173】
次に、電力変換器4で発生する電力損失に関し、基本ルックアップテーブル621の要素である総電力損失の実測、算定時における電力変換器4の動作状況と、現運転状態での動作状況との差異によって生じる基本ルックアップテーブル621からの総電力損失の誤差成分を、第一感度ルックアップテーブル622により算出する。
第一感度ルックアップテーブル622は、パワー素子温度感度テーブル624、電力変換器部スイッチング周波数感度テーブル625、力率感度テーブル626から構成される。
【0174】
パワー素子温度感度テーブル624は、電動機電流ia、パワー素子温度Tj、スイッチング周波数、力率の関数で表される電力変換器部の電力損失のうち、スイッチング周波数、力率の値を基本ルックアップテーブル621作成時の所定の代表値と等しくし、電動機電流iaを入力変数とした場合の電力変換器部の電力損失量に対して、パワー素子温度が変化する際の電力変換器部の電力損失量の変化割合、即ち感度を記憶したものである。
【0175】
このパワー素子温度感度テーブル624は、電動機電流iaとパワー素子温度Tjが入力され、当該電動機電流iaにおいて上記基本ルックアップテーブル621作成時のパワー素子温度と現パワー素子温度が異なることによって生じる総電力損失の見積り誤差を算出する。
【0176】
同様にして、電力変換器部スイッチング周波数感度テーブル625は、パワー素子温度Tj、力率を一定値とし、電動機電流iaを入力変数とした場合の電力変換器部の電力損失量のスイッチング周波数に関する感度を記憶したものであり、基本ルックアップテーブル621作成時のスイッチング周波数と現スイッチング周波数が異なることによって生じる総電力損失の見積り誤差を算出する。
【0177】
また、力率感度テーブル626は、パワー素子温度、スイッチング周波数を一定値とし、電動機電流iaを入力変数とした場合の電力変換器部の電力損失量の力率に関する感度を記憶したものであり、基本ルックアップテーブル621作成時の力率と現力率が異なることによって生じる総電力損失の見積り誤差を算出する。
【0178】
上記のように、第一感度ルックアップテーブル622に、電動機電流ia、パワー素子温度Tj、スイッチング周波数、力率算出手段44が算出し出力する力率を夫々入力すると、パワー素子温度感度テーブル624からパワー素子温度Tjに関連した基本ルックアップテーブル621の出力する総電力損失に対する見積り誤差が出力され、電力変換器部スイッチング周波数感度テーブル625からスイッチング周波数に関連した基本ルックアップテーブル621の出力する総電力損失に対する見積り誤差が出力され、力率感度テーブル625から力率に関連した基本ルックアップテーブル621の出力する総電力損失に対する見積り誤差が出力夫々される。続いて、電力変換器損失補正合成手段631は、これら各電力損失見積り誤差がそれぞれ重み付けの後に足し合わせ、基本ルックアップテーブル621からの総電力損失に対する電力変換器部分の電力損失見積り補正量として出力する。
【0179】
次に、交流電動機2で発生する電力損失に関し、基本ルックアップテーブル621の要素である総電力損失の実測、算定時における交流電動機2の動作状況と、現運転状態での動作状況との差異によって生じる基本ルックアップテーブル621からの総電力損失の誤差成分を、第二感度ルックアップテーブル623により算出する。
第二感度ルックアップテーブル623は、電動機部スイッチング周波数感度テーブル627、電動機巻線温度感度テーブル628、変調率感度テーブル629から構成される。
【0180】
電動機部スイッチング周波数感度テーブル627は、電動機電流ia、電動機回転速度ωe、スイッチング周波数、電動機巻線温度Tmtcoil、変調率MRの関数で表される電動機部の電力損失のうち、電動機巻線温度Tmtcoil、変調率MRの値を基本ルックアップテーブル621作成時の所定の代表値と等しくし、電動機電流iaと電動機回転速度ωeを入力変数とした場合の電動機部電力損失量に対して、スイッチング周波数が変化する際の電動機部電力損失量の変化割合である感度を記憶したものである。
【0181】
この電動機部スイッチング周波数感度テーブル627は、電動機電流ia、電動機回転速度ωe、及びスイッチング周波数が入力され、当該電動機電流ia、電動機回転速度ωeに基づいて、基本ルックアップテーブル621作成時のスイッチング周波数と現スイッチング周波数が異なることによって生じる総電力損失の見積り誤差を算出する。
【0182】
同様にして、電動機巻線温度感度テーブル628は、スイッチング周波数、変調率MRを一定値とし、電動機電流ia、電動機回転速度ωeを入力変数とした場合の電動機部電力損失量の電動機巻線温度に関する感度を記憶したものであり、基本ルックアップテーブル621作成時の電動機巻線温度と現電動機巻線温度が異なることによって生じる総電力損失の見積り誤差を算出する。
【0183】
また、変調率感度テーブル629は、スイッチング周波数、電動機巻線温度Tmtcoilを一定値とし、電動機電流ia、電動機回転速度ωeを入力変数とした場合の電動機部電力損失量の変調率MRに関する感度を記憶したものであり、基本ルックアップテーブル621作成時の変調率と現変調率が異なることによって生じる総電力損失の見積り誤差を算出する。
【0184】
上記のように、第二感度ルックアップテーブル623に、電動機電流ia、電動機回転速度ωe、スイッチング周波数、電動機巻線温度Tmtcoil、変調率MRを入力すると、電動機部スイッチング周波数感度テーブル627からスイッチング周波数に関連した基本ルックアップテーブル621の出力する総電力損失に対する見積り誤差が出力され、電動機巻線温度感度テーブル628から電動機巻線温度に関連した基本ルックアップテーブル621の出力する総電力損失に対する見積り誤差が出力され、変調率感度テーブル629から変調率に関連した基本ルックアップテーブル621の出力する総電力損失に対する見積り誤差が出力される。続いて、電動機損失補正合成手段632は、これら各電力損失見積り誤差をそれぞれ重み付けの後に足し合わせ、基本ルックアップテーブル621からの総電力損失に対する電動機部分の電力損失見積り補正量として出力する。
【0185】
次に、電力変換器損失補正合成手段631の出力と電動機損失補正合成手段632の出力は、加算器633により足し合わされて総電力損失補正量となる。さらに、加算器634は、基本ルックアップテーブル621が出力する総電力損失に加算器633からの総電力損失補正量を足し合わせて補正し、現動作状況における総電力損失を算出する。続いて、減算器432は、上記総電力損失から遅延器432を通過した前回周期の目標動作点更新時における総電力損失を減算して総電力損失の変化量となし、さらに係数器611は、この総電力損失の変化量を係数倍して出力する。この係数器611の出力が、特定指標変化量算出部61の出力となる。
【0186】
以上説明した本実施の形態5による特定指標変化量算出部61の働きは、図15で示した実施の形態4における特定指標変化量算出部61の働きと同様である。特定指標変化量算出部61の出力を用いて可変リミッタ642の制限境界である上下限値が調整され、ひいては、電力変換器4及び交流電動機2で発生する電力損失の目標動作点更新周期毎の偏差が所望の範囲内に収まるように、目標動作点のパラメータであるスイッチング周波数を、その変化量を制限しつつ逐次更新し設定することとなる。
【0187】
実施の形態6
実施の形態6は、図15において、電力変換器損失算出器40、電動機損失算出器41により用いる電力変換器4及び交流電動機2の電気的回路定数を、車載用電動機制御装置1及び交流電動機2の動作状況に基づいて設定値がより適正なものとなるよう適宜修正するようにしたものである。
【0188】
電力変換器損失算出器40、及び電動機損失算出器41において、予め定められる所定の電気的回路定数を適用した特性算式を用いて電力損失を算出するが、電力変換器4あるいは交流電動機2の個体特有の特性として上記所定の電気的回路定数と異なる定数を有する場合、算出した電力損失には誤差が含まれることとなる。このため、個体特性に合致した電気的回路定数を求めて電力損失の特性算式に適用して修正すれば、電力損失の見積り誤差を低減し、目標動作点の算出に関わる性能が向上することとなり好適である。
【0189】
実施の形態7
実施の形態7は、図16において、基本ルックアップテーブル621、第一感度ルックアップテーブル622、第二感度ルックアップテーブル623を、車載用電動機制御装置1及び交流電動機2の動作状況に基づいて設定値がより適正なものとなるよう適宜修正するようにしたものである。
【0190】
基本ルックアップテーブル621、第一感度ルックアップテーブル622、第二感度ルックアップテーブル623は、電力変換器4及び交流電動機2が正常に動作し所期の性能を発する場合における電力損失の特性が記憶されている。ここで、例えば電力変換器4の構成部品に劣化が生じると実使用時の感度特性は上記各感度ルックアップテーブルに記憶されているものとは異なるものとなる。例えば電流検出器16a〜16cが劣化してゲイン変動が生じた場合には,d軸電流id、q軸電流iqに回転速度ωeに同期したリップルが発生するため、電流フィードバックの制御性能が変化し、変調率感度テーブル629に記憶される感度特性は実動作時の感度特性とは異なるものとなる。このため、上記劣化が判定された場合に、基本ルックアップテーブル621、第一感度ルックアップテーブル622、第二感度ルックアップテーブル623を、劣化後の電気的特性に対応した内容に修正する。
【0191】
実施の形態8
図17は、、実施の形態8による車載用電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。図17に於いて、図8と同一の符号を付したものは、同一または相当部分を示している。この実施の形態8は、実施の形態3と比較して、電流指令テーブル21から出力されるd軸電流指令id0*、q軸電流指令iq0*が目標動作点算出手段22による補正を受けないまま、制御演算部20に直接される点が異なる。
【0192】
この実施の形態8に於いて、劣化判定手段32は、車載用電動機制御装置1の構成部品の劣化を判定し、目標動作点算出手段22が、更なる劣化の進行を防ぐべく、また、自動車の有意な性能低下を改善すべく車載用電動機制御装置1及び交流電動機2が動作するよう目標動作点を算出する。続いて、電動機動作情報伝承手段23は、上記劣化判定の結果、及び、上記目標動作点を入力し、劣化や目標動作点に関する情報の符号化(コーデイング)、情報伝送部分の制御を行って、これらを外部装置24へ情報伝送する。
【0193】
これらの作用によって上記目標動作点にて動作すべく、外部装置24が電動機動作量指示241を出力するよう誘導することができる。また、例えば、外部装置24が電動機制御に関する以外の色々の車両動作情報を持ちつつ電動機動作量指示241を発している場合には、上記目標動作点と上記車両動作情報とを踏まえて電動機動作量指示算出プロセスを変更する等の対応をもって動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】本発明の実施の形態1による車載用電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1による車載用電動機制御装置の目標動作点算出手段の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態2による車載用電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2による車載用電動機制御装置の目標動作点算出手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2による車載用電動機制御装置のd軸電流指令補正器の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2による車載用電動機制御装置のq軸電流指令補正器の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態2による車載用電動機制御装置の直流電圧指令補正器の詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態3による車載用電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3による車載用電動機制御装置の劣化判定手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態3による車載用電動機制御装置の劣化判定基準テーブルの構成を示す説明図である。
【図11】本発明による車載用電動機制御装置の電力変換機のパワー素子を構成するトランジスタの動作波形を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3による車載用電動機制御装置の平滑用コンデンサ劣化判定部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態3による車載用電動機制御装置の目標動作点算出手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【図14】本発明による車載用電動機制御装置の平滑用コンデンサ通過電流の力率に対する特性を説明する波形図である。
【図15】本発明の実施の形態4による車載用電動機制御装置の目標動作点算出手段の詳細な構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態5による車載用電動機制御装置の特定指標変化量算出部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態8による車載用電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0195】
1 車載用電動機制御装置
2 交流電動機
3 直流電源
4 電力変換器
5 電動機制御ユニット
6 三相インバータ
7 平滑用コンデンサ
8 昇降圧DCーDCコンバータ
9a〜9f トランジスタ
10a〜10f フライホイールダイオード
11 コンデンサ
12 チョークコイル
13a、13b トランジスタ
14a、14b フライホイールダイオード
15 直流母線電流検出器
16a、16b、16c 電流検出器
17a、17b、17c サーマルダイオード
18 回転角検出器
19 サーミスタ
20 制御演算部
21 電流指令テーブル
22 目標動作点算出手段
23 電動機動作情報伝送手段
24 外部装置
25 直流電圧算出手段
26a、26b、26c 定電流回路
27a、27b、27c パワー素子温度算出手段
28 電動機電流算出手段
29 電動機巻線温度算出手段
30 回転角度速度算出手段
31 直流母線電流算出手段
32 劣化判定手段
33 平滑用コンデンサ情報処理手段
34a〜34h パワー素子情報検知器
35 パワー素子情報処理手段
36 平滑用コンデンサ電流検出器
37 サーミスタ
40 電力変換器損失算出器
41 電動機損失算出器
42 加算器
43 制御指令補正演算部
44 力率算出手段
51 平滑用コンデンサリップル電流ー力率特性テーブル
52 減算器
53、54 係数器
55、56 積分器
57、58 加算器
61 特定指標変化量算出部
62 減算器
63 スイッチング周波数設定テーブル
64 変化量制限器
321 劣化判定基準テーブル
322 パワー素子劣化判定部
323 平滑用コンデンサ劣化判定部
324 電流検出器劣化判定部
325 パワー素子温度検出器劣化判定部
401 トランジスタ損失算出部
402 フライホイールダイオード損失算出部
403 加算器
411 銅損算出部
412 鉄損算出部
413 高調波損失補正量算出部
414 加算器
431 遅延器
432 減算器
433 d軸電流指令補正器
434 q軸電流指令補正器
435 直流電圧指令補正器
441 不感帯演算器
442 補正係数テーブル
443 係数器
444 積分器
445 加算器
451 不感帯演算器
452 補正係数テーブル
453 係数器
454 積分器
455 加算器
461 不感帯演算器
462 補正係数テーブル
463 係数器
464 積分器
465 加算器
466 目標直流電圧演算部
501 実効値演算器
502 低域通過フィルタ(LPF)
503 振幅比演算器
504 補正ゲインテーブル
505 係数器
506 比較器
507 減算器
508 リップル抽出器
611 係数器
621 基本ルックアップテーブル
622 第一感度ルックアップテーブル
623 第二感度ルックアップテーブル
624 パワー素子温度感度テーブル
625 電力変換器部スイッチング周波数感度テーブル
626 力率感度テーブル
627 電動機部スイッチング周波数感度テーブル
628 電動機巻線温度感度テーブル
629 変調率感度テーブル
631 変換器損失補正合成手段
632 電動機損失補正合成手段
633、634 加算器
641 減算器
642 可変リミッタ
643 加算器
644 遅延器




 

 


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