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発明の名称 電力変換装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−82274(P2007−82274A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−263128(P2005−263128)
出願日 平成17年9月12日(2005.9.12)
代理人 【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
発明者 佐竹 彰 / 浦壁 隆浩 / 安西 清治 / 小林 勝
要約 課題
直流電圧電源の出力電圧が制御可能であるという機能を有効に活かして、状況に応じた最適な運転を実現することができる電力変換装置を得ることを目的としている。

解決手段
三相電力変換器1と負荷2との損失の合計が最小となるように、最適な直流電圧指令VDC*と変調率kmodとを出力する最適電圧指令発生器7を備え、可変電圧電源4はその出力電圧が上記直流電圧指令VDC*に制御され、三相電力変換器1は上記変調率kmodでスイッチング制御される。
特許請求の範囲
【請求項1】
所定の直流電圧指令値に基づき出力電圧が制御可能な直流電圧電源、この直流電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換器、および出力電圧指令値に基づき上記電力変換器を所定の変調率で制御する制御装置を備えたものであって、
上記電力変換器と負荷とに発生する、予め設定された特性が、予め設定された所望の状態となるよう、上記直流電圧指令値と上記変調率とをそれぞれ上記直流電圧電源と制御装置とに出力する最適電圧指令発生器を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
上記最適電圧指令発生器は、上記電力変換器の出力電圧をパラメータとして上記直流電源電圧の直流電圧指令値と上記電力変換器の変調率との関係を予め求めたデータを有し、上記出力電圧指令値と変調率とを入力し上記データを適用することにより上記直流電圧指令値を出力する直流電圧指令発生器、上記変調率と上記直流電圧指令発生器からの直流電圧指令値とを入力し上記電力変換器と負荷との上記特性を演算する特性演算器、および上記特性演算器から入力した上記電力変換器と負荷との上記特性が上記所望の状態となるよう上記直流電圧指令発生器と特性演算器とに入力する変調率を調節する変調率調節器を備え、上記特性が上記所望の状態となったときの上記変調率調節器の出力である変調率を上記所定の変調率として上記制御装置に出力し、当該変調率を入力したときの上記直流電圧指令発生器の出力である直流電圧指令値を上記所定の直流電圧指令値として上記直流電圧電源に出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
上記電力変換器の出力電圧と出力周波数と出力電流とがそれぞれ所定の範囲で変化した場合における、上記特性が上記所望の状態となる直流電圧指令値と変調率とを予め請求項2に記載の上記最適電圧指令発生器で演算して記憶する最適電圧指令格納器を備え、上記電力変換器の運転時は、その出力電圧と出力周波数と出力電流とを入力として上記最適電圧指令格納器から読み出した上記直流電圧指令値と変調率とをそれぞれ上記直流電圧電源と制御装置とに出力するようにしたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
所定の直流電圧指令値に基づき出力電圧が制御可能な直流電圧電源、この直流電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換器、および出力電圧指令値に基づき上記電力変換器を上記交流電力の位相に同期した所定の同期パルス数でかつ所定の変調率で制御する制御装置を備えたものであって、
上記電力変換器と負荷とに発生する、予め設定された特性が、予め設定された所望の状態となるよう、上記直流電圧指令値と上記同期パルス数および上記変調率とをそれぞれ上記直流電圧電源と制御装置とに出力する最適電圧指令発生器を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
上記最適電圧指令発生器は、上記同期パルス数の予め設定された種別毎に、上記電力変換器の出力電圧をパラメータとして上記直流電源電圧の直流電圧指令値と上記電力変換器の変調率との関係を予め求めたデータを有し、上記出力電圧指令値と変調率とを入力し上記データを適用することにより上記直流電圧指令値を出力する直流電圧指令発生器、上記変調率と上記直流電圧指令発生器からの直流電圧指令値とを入力し上記電力変換器と負荷との上記特性を演算する特性演算器、および上記特性演算器から入力した上記電力変換器と負荷との上記特性が上記所望の状態となるよう上記直流電圧指令発生器と特性演算器とに入力する変調率を調節する変調率調節器を備え、上記特性が上記所望の状態となったときの上記変調率調節器の出力である変調率を当該同期パルス数制御のおける上記所定の変調率として出力し、当該変調率を入力したときの上記直流電圧指令発生器の出力である直流電圧指令値を上記当該同期パルス数制御における上記所定の直流電圧指令値として出力する同期パルス数別最適電圧指令発生器、および上記同期パルス数別最適電圧指令発生器からの各同期パルス数毎の上記状態を比較し、上記状態が最良である同期パルス数と当該同期パルス数に係る上記最適電圧指令発生器からの変調率とをそれぞれ上記所定の同期パルス数および上記所定の変調率として上記制御装置に出力し、上記当該同期パルス数に係る上記最適電圧指令発生器からの直流電圧指令値を上記所定の直流電圧指令値として上記直流電圧電源に出力する切替器を備えたことを特徴とする請求項4記載の電力変換装置。
【請求項6】
上記電力変換器の出力電圧と出力周波数と出力電流とがそれぞれ所定の範囲で変化した場合における、上記特性が上記所望の状態となる直流電圧指令値と同期パルス数と変調率とを予め請求項5に記載の上記最適電圧指令発生器で演算して記憶する最適電圧指令格納器を備え、上記電力変換器の運転時は、その出力電圧と出力周波数と出力電流とを入力として上記最適電圧指令格納器から読み出した上記直流電圧指令値と同期パルス数および変調率とをそれぞれ上記直流電圧電源と制御装置とに出力するようにしたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
上記予め設定された特性は、上記電力変換器と負荷とに発生する損失であり、上記予め設定された所望の状態は、上記電力変換器と負荷とに発生する損失の合計が最小となる状態であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電力変換装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の直流電圧指令値に基づき出力電圧が制御可能な直流電圧電源と、この直流電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換器と、出力電圧指令値に基づき電力変換器を所定の変調率で制御する制御装置とを備えた電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直流電圧電源からの電力を半導体素子のスイッチング動作により交流に変換する電力変換器の制御方式としては、PWM(パルス幅変調)により正弦波に近い電圧を発生するもの(以下、PWM方式または正弦波方式とも称する)と、120度通電のように矩形波電圧を発生するもの(以下、矩形波方式とも称する)とが知られている。
PWM方式では、電流波形に含まれる高調波成分(本来発生される交流周波数以外の周波数成分)が少ない反面、単位時間当たりの半導体素子のスイッチング回数が多いためスイッチング損失が大きい。また、矩形波方式は、スイッチング回数が少ない分スイッチング損失は少なく、また電圧に含まれる基本波成分の振幅がPWM方式に比べて大きいため電圧利用率を高めることが出来るが、高調波電流が多く発生する。
【0003】
これらの得失を組み合わせた方式として、PWM方式においてPWMキャリアより大きい振幅の指令値を入力して正弦波の振幅の大きい部分を飽和させた、いわゆる過変調駆動方式がある。この方式では、出力電圧指令ピーク値が直流電源電圧より低い場合は正弦波PWM方式により高調波電流を低減し、出力電圧指令ピーク値が直流電源電圧より高くなると過変調駆動を行って電源利用率を高める。さらに、このような過変調駆動を行う装置において直流電圧電源を昇圧回路により電圧可変とし、過変調駆動状態でさらに高い出力駆動電圧が必要になった場合、直流電源電圧を操作して出力電圧指令を制御する、いわゆるPAM動作を行う方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−333465号公報(段落0048〜0054、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、正弦波駆動と過変調駆動時との損失発生を考えてみると、正弦波駆動時には電力変換器ではスイッチング損失が比較的多く発生するが、出力される電圧に高調波成分が少ないために負荷(例えば、モータ)での損失は少ない。一方、過変調駆動時にはスイッチング回数が減少するのでスイッチング損失は比較的少なくなるが、電圧高調波成分が多いために負荷での損失は増大する。
一方、電力変換器の出力電圧の基本波成分振幅は、直流電源電圧と変調率(PWMキャリアと電圧指令の比で、この値が1以上の場合が過変調状態)により決定されるので、同じ振幅の電圧を、異なる直流電源電圧と変調率との組み合わせで出力することが可能である。この場合、例えば、直流電源電圧が低く変調率が大きい状態の場合は負荷側の損失が大きくなり、直流電源電圧が高く変調率が低い状態の場合は電力変換器側の損失が大きくなる。
このように、直流電源電圧と変調率との組み合わせを変えることにより、電力変換器と負荷とで発生する損失のバランス、および損失全体の大きさを操作することが出来る。
しかるに、従来の電力変換器の制御方式では、出力電圧指令の増加に対してまず変調率を大きくして正弦波PWM方式から過変調駆動に移行し、さらに高い出力駆動電圧が必要になった場合は直流電源電圧を上げる動作を行うものであり、運転状況に応じて変調率と直流電源電圧との両方を操作して、例えば、全体の損失が最小となる等の最適な運転を行うことが出来ないという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、直流電圧電源の出力電圧が制御可能であるという機能を有効に活かして、状況に応じた最適な運転を実現することができる電力変換装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る電力変換装置は、所定の直流電圧指令値に基づき出力電圧が制御可能な直流電圧電源、この直流電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換器、および出力電圧指令値に基づき電力変換器を所定の変調率で制御する制御装置を備えたものであって、
電力変換器と負荷とに発生する、予め設定された特性が、予め設定された所望の状態となるよう、直流電圧指令値と変調率とをそれぞれ直流電圧電源と制御装置とに出力する最適電圧指令発生器を備えたものである。
【0008】
また、第2の発明に係る電力変換装置は、所定の直流電圧指令値に基づき出力電圧が制御可能な直流電圧電源、この直流電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する電力変換器、および出力電圧指令値に基づき電力変換器を交流電力の位相に同期した所定の同期パルス数でかつ所定の変調率で制御する制御装置を備えたものであって、
電力変換器と負荷とに発生する、予め設定された特性が、予め設定された所望の状態となるよう、直流電圧指令値と同期パルス数および変調率とをそれぞれ直流電圧電源と制御装置とに出力する最適電圧指令発生器を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る電力変換装置では、電力変換器と負荷とに発生する、予め設定された特性、例えば、損失が、予め設定された所望の状態、例えば、両者の損失の合計が最小となるよう、直流電圧指令値と変調率とが設定される。
【0010】
また、第2の発明に係る電力変換装置は、電力変換器と負荷とに発生する、予め設定された特性、例えば、損失が、予め設定された所望の状態、例えば、両者の損失の合計が最小となるよう、直流電圧指令値と同期パルス数および変調率とが設定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置の基本的な構成を示す図であり、例として、三相電力変換器1が、例えば、電動機などの負荷2に対して絶対値v、周波数ωの三相交流電圧を印加して駆動する場合の構成を示したものである。
積分器6により周波数ωを積分して電圧位相θが求められ、負荷2に流れる電流は電流センサ5により検出される。絶対値v、位相θの電圧ベクトル指令に対して、スイッチング指令発生器3は、出力電圧が制御可能な直流電圧電源である可変電圧電源4への電圧指令VDC*、および三相電力変換器1のスイッチングを行うゲートパルス信号GP(三相の上下アーム駆動で計6つ)を出力する。このゲートパルス信号GPにより三相電力変換器1はスイッチング動作を行い、また同変換器1には可変電圧電源4より電圧指令VDC*に従った電圧の電力が供給されている。
【0012】
図2は、スイッチング指令発生器3の内部構成を示したものである。負荷電流iuvwは、座標変換器12において電圧位相θ上での極座標表示の値irθに変換される。最適電圧指令発生器7は、与えられた電圧絶対値vから、周波数ωと負荷電流irθとを参照して、最適な直流電源電圧VDC*と変調率kmodとを出力する。一方、電圧位相θは、座標変換器8に入力されて、振幅1の三相交流値v0uvwに変換される。乗算器9は、この三相交流値v0uvwに変調率kmodを乗じる。三角波発生器10は、PWMキャリア周波数で振幅1の三角波を発生しており、この三角波と乗算器9の出力とを比較器11で比較し、正負論理のパルスを作成することによりゲートパルス信号GPが生成される。
【0013】
図3は、最適電圧指令発生器7の内部構成を示したものである。直流電圧指令発生器13は、変調率がkmodの場合に電圧絶対値vに相当する基本波成分振幅を持つ電圧を出力するのに必要な直流電圧指令VDC*を求める。図4は、直流電圧指令発生器13に格納されているデータの一例である。図4より分かるように、一定電圧値において直流電源電圧VDC*は変調率kmodに対して単調減少になるので、電圧絶対値vと変調率kmodとを与えると直流電源電圧VDC*は一意に決定することが出来る。
なお、後述する説明で理解されるように、変調率調節器16から出力される変調率kmodが直流電圧指令発生器13にフィードバックされ、例えば、電力変換器1と負荷2とで発生する損失の合計が最小となる状態に収束した段階での変調率kmodを入力とする直流電圧指令発生器13の出力が、最終的に求めるべき直流電圧指令VDC*となる。
【0014】
変調率kmodと直流電源電圧VDC*は、負荷電流irθ、周波数ωとともに、特性演算器としての変換器損失モデル14および負荷損失モデル15に入力される。変換器損失モデル14および負荷損失モデル15には、予め測定された損失データが格納されており、与えられた条件で変換器1および負荷2に発生する損失の推定値Pinv,Ploadを出力する。変調率調節器16は、入力された損失推定値Pinv,Ploadを参照しながら、これらの損失が所望の状態となる、例えば、損失合計値Pinv+Ploadが最小となるように変調率kmodを調節する。なお、変換器損失モデル14が出力する損失データには、可変電圧電源4の損失を含めてもよい。
【0015】
例として、一定周波数、一定負荷電流で運転中の最適電圧指令発生器7の動作を説明する。入力された電圧絶対値vに対して、まず変調率kmodの初期値が設定され(あるいは前回の演算結果の変調率を初期値としてもよい)、直流電圧指令発生器13により直流電圧指令VDC*が求められ、変調率kmod、負荷電流irθ、周波数ωとともに変換器損失モデル14および負荷損失モデル15に入力される。
ある周波数ω、負荷電流irθでの変調率kmodと、変換器損失推定値Pinvおよび負荷損失推定値Ploadの関係の例を図5に示す。なお、電圧絶対値vが一定の場合、変調率kmodにより直流電圧指令VDC*は一意に決定されるので、損失の変化を調節するパラメータとしては変調率のみを考えればよい。
【0016】
図5に示すように、変換器損失推定値Pinvは、変調率kmodが大きくなるにつれて電源電圧が低くなるために減少し、変調率1以上ではスイッチング回数が減少するにつれて更に大きく減少する。これに対して負荷損失(モータなどの誘導性負荷を想定)は、変調率1までは電源電圧が低くなるにつれてPWMキャリア成分の高調波電流が減少するため負荷損失推定値Ploadは減少するが、変調率が1を超えると過変調電圧波形に含まれる高調波成分により電流高調波成分が増加するため、変調率の増加に対して損失は増加する。
【0017】
今、変調率調節器16が、その変調率kmodを調節する目標、即ち、請求項1では、所望の状態と表現している目標として、損失の合計を最小とすることを考える。変調率調節器16は、初期の変調率kmodより得られる損失推定値Pinv、Ploadの合計を記憶した後、変調率kmodを微小量Δkmodだけ増加させて同様の上記処理を行う。この変調率の微小量変化Δkmodにより得られる損失推定値Pinv、Ploadの合計が前回の損失より小さい場合、変調率調節器16はさらに変調率を微小量Δkmodだけ増加させて同様の上記処理を行う。逆に、もし損失の合計が前回より大きい場合、変調率調節器16は、今度は変調率を微小量Δkmodだけ減少させて同様の上記処理を行う。このような処理を繰り返し行うことにより、変調率kmodは最終的に損失推定値Pinv、Ploadの合計が最小となる値に収束し、この損失最小となる変調率kmodおよび直流電源電圧VDC*が最適電圧指令発生器7としての出力となる。
【0018】
なお、以上の説明では、最適電圧指令発生器7は、損失の合計が最小となるような直流電源電圧と変調率とを求めたが、所定の特性、所望の状態としてその他の特性、状態に従って直流電源電圧と変調率とを選択してもよい。
例えば、変換器1と負荷2とのそれぞれに温度計を設けておいて、変換器1と負荷2の内、温度的により余裕がある方に発生する損失が大きくなるよう、損失最小点からずれた状態の直流電源電圧と変調率とを選択してもよい。
さらに、直流電源電圧と変調率との選択の基準は、損失以外のパラメータについても存在しうる。例えば、変換器1および負荷2から発生する騒音、振動や電磁ノイズなども選択の基準となり得る。これらの損失以外の特性、パラメータを加えた最適化を行う方法としては、例えば、これらのパラメータによる得失を損失相当の値に換算して損失モデルに格納しておけばよい。例えば、騒音が大きくなる運転条件では実際の損失より大きな損失が発生するように損失モデルが動作するようにしておけば、損失と損失以外のパラメータのバランスを考慮して直流電源電圧と変調率とを選択することができる。
【0019】
なお、最適電圧指令発生器7内部での直流電源電圧と変調率との最適化動作は、必ずしも実際の運転中に行う必要はない。電圧絶対値に対して周波数および負荷電流が決まれば、最適な直流電源電圧と変調率とを求めることは可能であり、予め、電圧絶対値、周波数および負荷電流に対する最適な直流電源電圧と変調率とをテーブル化しておけば、運転中に最適電圧指令発生器7内部での最適化の処理を行うことなく、最適な直流電源電圧と変調率とを求めることが可能になる。これにより演算時間を短縮することが出来る。
【0020】
また、以上の説明では、所望の電圧絶対値と周波数を持つ三相交流電圧を出力するよう電力変換器1を制御する場合について説明したが、上位の制御系として電流制御やその他の制御が設けられてもよいことは言うまでもない。
【0021】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、可変電圧電源を備える電力変換装置において、電力変換器と負荷のそれぞれで発生する損失あるいはそれ以外の特性、パラメータを、所望の状態に最適化するような直流電源電圧と変調率とを選択しながら運転を行うことが出来るという効果がある。
【0022】
実施の形態2.
先の実施の形態1の図2では、その三角波発生器10は、一定のPWMキャリア周波数を発生するものとした、従って、特に、PWMキャリア周波数と電力変換器の出力周波数との同期をとらない、いわゆる非同期スイッチング方式を前提とした。しかるに、本願発明の主題は、これらスイッチング方式の種別に影響されるものではない。
この発明の実施の形態2における電力変換装置は、PWMキャリア周波数と電力変換器の出力周波数とが同期して変化する、いわゆる同期スイッチング方式の変力変換器に適用したものである。
同期スイッチング方式は、パルス数(キャリア周波数と出力周波数との比)が小さくなっても電流高調波成分の発生が比較的少なく、低キャリア周波数・高出力周波数の用途(モータの高速駆動など)に好適である。また、同期スイッチング方式は、電力変換器の出力周波数が十分低い場合には、非同期スイッチング(PWMキャリア周波数が出力周波数とは関係なく一定の方式)と比べて演算処理量が増大するわりにはメリットがないため、一般にはキャリア周波数が出力周波数の5倍以下の領域で非同期スイッチング方式と切り替えて使用され、同期パルス数としては高調波含有率を考慮して5、3、1が使用される。同期スイッチング方式においては、同期パルス数により出力可能な電圧基本波成分振幅が決定されるので、実施の形態1で変調率を調節した代わりに、同期パルス数を選択して損失の最適化を行う。
【0023】
本発明の実施の形態2においても、電力変換装置の基本的な構成は図1と同様である。
図6は、本発明の実施の形態2におけるスイッチング指令発生器3の内部構成を示したものである。負荷電流iuvwは、座標変換器12において電圧位相θ上での極座標表示の値irθに変換される。最適電圧・パルス指令発生器17は、与えられた電圧絶対値vから、周波数ωと負荷電流irθとを参照して、最適な直流電源電圧VDC*、同期スイッチングのパルス数Npulse、および変調率kmodを出力する。一方、電圧位相θは、座標変換器18に入力されて、振幅1の三相交流値v0uvwに変換される。乗算器23は、この三相交流値v0uvwに変調率kmodを乗じる。また、電圧位相θは、5、3、1パルスの同期キャリア波発生器20、21、22に入力され、振幅が1でそれぞれのパルス数の同期キャリア波が発生される。
キャリア波切替器19は、最適電圧・パルス指令発生器17からの同期パルス数Npulseに従い出力する同期キャリア波を切り替える。このキャリア波と乗算器23の出力とを比較器11で比較し、正負論理のパルスを作成することによりゲートパルス信号GPが生成される。
【0024】
図7は、最適電圧・パルス指令発生器17の内部構成を示したものである。電圧絶対値v、負荷電流irθ、周波数ωは、それぞれ1パルス用最適電圧指令発生器24、3パルス用最適電圧指令発生器25、5パルス用最適電圧指令発生器26に入力される。各パルス用最適電圧指令発生器24、25、26は、実施の形態1の図3に示したものと同じ構成であり、それぞれキャリア波が1、3、5パルスの同期スイッチングの場合において、特性として、ここでは損失が、所望の状態となるように調節した場合の直流電源電圧VDC*n(n=1,3,5)と変調率kmodn(n=1,3,5)、およびその場合の変換器損失推定値Pinvn(n=1,3,5)と負荷損失推定値Ploadn(n=1,3,5)とを出力する。
同期パルス数選択器27は、各最適電圧指令発生器24、25、26が出力する損失推定値Pinv,Ploadから、状態が最良、ここでは、損失が最も小さくなる同期パルス数Npluseを選択し、その同期パルス数によって切替器28を切り替え、最適電圧・パルス指令発生器17が出力する直流電源電圧VDC*と変調率kmodを決定する。
【0025】
なお、以上の説明では、最適電圧・パルス指令発生器17は、損失の合計が最小となるような直流電源電圧、同期パルス数、変調率の組み合わせを求めたが、実施の形態1同様に、その他の所定の特性、所望の状態に従ってこれらを選択してもよい。さらに、損失以外の特性、パラメータについても、実施の形態1同様にその影響を加味した損失モデルを用いることにより、損失と損失以外のパラメータのバランスを考慮して直流電源電圧、同期パルス数、変調率を選択することができる。また、実施の形態1同様、最適電圧・パルス指令発生器17内部での直流電源電圧、同期パルス数、変調率の最適化動作は前もって行ってテーブル化することが可能であることは言うまでもない。
【0026】
なお、以上の説明では非同期スイッチング方式との切り替えについては説明していないが、この発明は、これらの切り替えを行う場合にも適用可能である。
実際には、周波数を参照して非同期スイッチングと同期スイッチングとを切り替える、あるいは、最適電圧・パルス指令発生器17内部に非同期スイッチングについての最適な直流電源電圧と変調率、およびその場合の変換器損失推定値と負荷損失推定値とを出力するような最適電圧指令発生器を、1、3、5パルスの同期スイッチング用最適電圧指令発生器に並列に加え、運転状況によっては非同期スイッチングをも選択可能な構成にするなどの構成が考えられる。
【0027】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、可変電圧電源を備える電力変換装置において、電力変換器と負荷のそれぞれで発生する損失あるいはそれ以外の特性、パラメータを、所望の状態に最適化するような直流電源電圧、同期パルス数、変調率を選択しながら運転を行うことが出来るという効果がある。
【0028】
また、この発明の各変形例において、最適電圧指令発生器は、電力変換器の出力電圧をパラメータとして直流電源電圧の直流電圧指令値と電力変換器の変調率との関係を予め求めたデータを有し、出力電圧指令値と変調率とを入力しデータを適用することにより直流電圧指令値を出力する直流電圧指令発生器、変調率と直流電圧指令発生器からの直流電圧指令値とを入力し電力変換器と負荷との特性を演算する特性演算器、および特性演算器から入力した電力変換器と負荷との特性が所望の状態となるよう直流電圧指令発生器と特性演算器とに入力する変調率を調節する変調率調節器を備え、特性が所望の状態となったときの変調率調節器の出力である変調率を所定の変調率として制御装置に出力し、当該変調率を入力したときの直流電圧指令発生器の出力である直流電圧指令値を所定の直流電圧指令値として直流電圧電源に出力するようにしたので、電力変換器と負荷との特性が所望の状態となるよう、最適な変調率と直流電圧指令値とが確実に設定される。
【0029】
また、電力変換器の出力電圧と出力周波数と出力電流とがそれぞれ所定の範囲で変化した場合における、特性が所望の状態となる直流電圧指令値と変調率とを予め最適電圧指令発生器で演算して記憶する最適電圧指令格納器を備え、電力変換器の運転時は、その出力電圧と出力周波数と出力電流とを入力として最適電圧指令格納器から読み出した直流電圧指令値と変調率とをそれぞれ直流電圧電源と制御装置とに出力するようにしたので、最適な変調率と直流電圧指令値とを求める演算時間が短縮される。
【0030】
また、最適電圧指令発生器は、同期パルス数の予め設定された種別毎に、電力変換器の出力電圧をパラメータとして直流電源電圧の直流電圧指令値と電力変換器の変調率との関係を予め求めたデータを有し、出力電圧指令値と変調率とを入力しデータを適用することにより直流電圧指令値を出力する直流電圧指令発生器、変調率と直流電圧指令発生器からの直流電圧指令値とを入力し電力変換器と負荷との特性を演算する特性演算器、および特性演算器から入力した電力変換器と負荷との特性が所望の状態となるよう直流電圧指令発生器と特性演算器とに入力する変調率を調節する変調率調節器を備え、特性が所望の状態となったときの変調率調節器の出力である変調率を当該同期パルス数制御のおける所定の変調率として出力し、当該変調率を入力したときの直流電圧指令発生器の出力である直流電圧指令値を当該同期パルス数制御における所定の直流電圧指令値として出力する同期パルス数別最適電圧指令発生器、および同期パルス数別最適電圧指令発生器からの各同期パルス数毎の状態を比較し、状態が最良である同期パルス数と当該同期パルス数に係る最適電圧指令発生器からの変調率とをそれぞれ所定の同期パルス数および所定の変調率として制御装置に出力し、当該同期パルス数に係る最適電圧指令発生器からの直流電圧指令値を所定の直流電圧指令値として直流電圧電源に出力する切替器を備えたので、電力変換器と負荷との特性が所望の状態となるよう、最適な変調率、同期パルス数、直流電圧指令値が確実に設定される。
【0031】
また、電力変換器の出力電圧と出力周波数と出力電流とがそれぞれ所定の範囲で変化した場合における、特性が所望の状態となる直流電圧指令値と同期パルス数と変調率とを予め最適電圧指令発生器で演算して記憶する最適電圧指令格納器を備え、電力変換器の運転時は、その出力電圧と出力周波数と出力電流とを入力として最適電圧指令格納器から読み出した直流電圧指令値と同期パルス数および変調率とをそれぞれ直流電圧電源と制御装置とに出力するようにしたので、最適な変調率、同期パルス数、直流電圧指令値を求める演算時間が短縮される。
【0032】
また、予め設定された特性は、電力変換器と負荷とに発生する損失であり、予め設定された所望の状態は、電力変換器と負荷とに発生する損失の合計が最小となる状態であるので、負荷を含めた全体系の損失を最小とする経済的な運転を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本願発明は、電力変換器や負荷については、種々の形式、構成のものに適用でき、上述したと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施の形態1における電力変換装置の基本的な構成を示す図である。
【図2】図1のスイッチング指令発生器3の内部構成を示す図である。
【図3】図2の最適電圧指令発生器7の内部構成を示す図である。
【図4】電圧vをパラメータとした、直流電源電圧VDC*と変調率kmodとの関係を示す特性図である。
【図5】損失推定値Pinv、Ploadと変調率kmodとの関係を示す特性図である。
【図6】この発明の実施の形態2における電力変換装置のスイッチング指令発生器3の内部構成を示す図である。
【図7】図6の最適電圧・パルス指令発生器17の内部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 三相電力変換器、2 負荷、3 スイッチング指令発生器、4 可変電圧電源、
7 最適電圧指令発生器、10 三角波発生器、11 比較器、
13 直流電圧指令発生器、14 変換器損失モデル、15 負荷損失モデル、
16 変調率調節器、17 最適電圧・パルス指令発生器、19 キャリア波切替器、
20〜22 同期キャリア波発生器、24 1パルス用最適電圧指令発生器、
25 3パルス用最適電圧指令発生器、26 5パルス用最適電圧指令発生器、
27 同期パルス数選択器、28 切替器。




 

 


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