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発明の名称 電力変換装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−74818(P2007−74818A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−258939(P2005−258939)
出願日 平成17年9月7日(2005.9.7)
代理人 【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
発明者 浦壁 隆浩 / 佐竹 彰 / 小林 勝 / 安西 清治
要約 課題
インバータが矩形波出力動作に移行した場合や、昇圧コンバータが非昇圧動作に移行した場合にも、DCリンクコンデンサへの流入電流が抑制され、小さなDCリンクコンデンサで安定したモータ駆動が実現できる小形な電力変換装置を得ることを目的としている。

解決手段
第1のインバータ4と昇圧コンバータ2とが駆動状態で第2のインバータ5が回生状態であるときに、第1のインバータ4が矩形波出力動作に移行した場合、
特許請求の範囲
【請求項1】
スイッチ素子のPWM動作で直流電源の電圧を昇圧する昇圧コンバータ、この昇圧コンバータの昇圧側端子に接続されたDCリンクコンデンサ、およびこのDCリンクコンデンサに接続されスイッチ素子のPWM動作でそれぞれの負荷との間で交流電力の授受(駆動および回生)を行う複数のインバータを備え、上記昇圧コンバータのPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号とを同期させて運転する電力変換装置において、
上記複数のインバータの一部が、上記キャリア信号の周期によるパルス出力動作から電圧指令信号の周期によるパルス出力を含む矩形波出力動作に移行した場合、上記昇圧コンバータのPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号との位相差を調整することにより、上記複数のインバータの残部と上記昇圧コンバータとから上記DCリンクコンデンサに流入するパルス電流和の実効値を抑制するようにしたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
上記インバータにおける上記矩形波出力動作への移行は、(上記電圧指令信号振幅値/上記キャリア信号ゼローピーク値)を変調率αと定義したとき、α>1の条件で判定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
上記昇圧コンバータのPWMキャリア信号の周波数を、上記インバータのPWMキャリア信号の周波数の2倍としたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
上記複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータのいずれか一方が駆動状態でいずれか他方が回生状態であるときに上記2台のインバータの一方が上記矩形波出力動作に移行した場合であって当該矩形波出力動作に移行したインバータと上記昇圧コンバータとが共に上記駆動または回生状態の場合、
上記パルス出力動作を行うインバータのパルス電流がゼロとなる期間の中心と、上記昇圧コンバータのパルス電流出力期間の中心とが一致するように上記位相差を調整するようにしたことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
上記昇圧コンバータおよび上記インバータのPWMキャリア信号が共に三角波の場合、上記昇圧コンバータのPWMキャリア信号におけるパルス電流出力期間の中心と一致する頂点と、上記インバータのPWMキャリア信号の山谷頂点とが一致するように上記位相差を調整するようにしたことを特徴とする請求項4記載の電力変換装置。
【請求項6】
上記インバータのPWMキャリア信号が三角波で上記昇圧コンバータのPWMキャリア信号がのこぎり波状である場合、予め、上記昇圧コンバータの昇圧比と上記DCリンクコンデンサに流入するパルス電流和の実効値が最小となる上記昇圧コンバータのPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号との位相差との関係特性を求めておき、上記関係特性を適用し実際の上記昇圧比に基づき上記位相差を求めるようにしたことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項7】
上記昇圧コンバータおよび上記インバータのPWMキャリア信号が共に三角波であり、
上記昇圧コンバータは、互いに並列接続され、上記インバータのPWMキャリア信号と同一の周波数で互いに180度位相をずらしたPWMキャリア信号で動作する第1と第2のコンバータ部から構成される2フェーズ昇圧コンバータであり、
上記複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータのいずれか一方が駆動状態でいずれか他方が回生状態であるときに上記2台のインバータの一方が上記矩形波出力動作に移行した場合であって当該矩形波出力動作に移行したインバータと上記昇圧コンバータとが共に上記駆動または回生状態の場合で、かつ上記昇圧コンバータの昇圧比β≧2の場合、
上記第1のコンバータ部のPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号との位相差を0度とし、上記第2のコンバータ部のPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号との位相差を180度としたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項8】
上記昇圧コンバータおよび上記インバータのPWMキャリア信号が共に三角波であり、
上記昇圧コンバータは、互いに並列接続され、上記インバータのPWMキャリア信号と同一の周波数で互いに180度位相をずらしたPWMキャリア信号で動作する第1と第2のコンバータ部から構成される2フェーズ昇圧コンバータであり、
上記複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータのいずれか一方が駆動状態でいずれか他方が回生状態であるときに上記インバータの一方が上記矩形波出力動作に移行した場合であって当該矩形波出力動作に移行したインバータと上記昇圧コンバータとが共に上記駆動または回生状態の場合で、かつ上記昇圧コンバータの昇圧比β<2の場合、
上記第1のコンバータ部のPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号との位相差を90度とし、上記第2のコンバータ部のPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号との位相差を270度としたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項9】
スイッチ素子のPWM動作で直流電源の電圧を昇圧する昇圧コンバータ、この昇圧コンバータの昇圧側端子に接続されたDCリンクコンデンサ、およびこのDCリンクコンデンサに接続されスイッチ素子のPWM動作でそれぞれの負荷との間で交流電力の授受(駆動および回生)を行う複数のインバータを備え、上記昇圧コンバータのPWMキャリア信号と上記インバータのPWMキャリア信号とを同期させて運転する電力変換装置において、
上記昇圧コンバータが、その入出力端子間を常時通電状態とする非昇圧動作に移行した場合、上記複数のインバータの一部のPWMキャリア信号と上記複数のインバータの残部のPWMキャリア信号との位相差を調整することにより、上記複数のインバータから上記DCリンクコンデンサに流入するパルス電流和の実効値を抑制するようにしたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
上記複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータが共に上記駆動または回生状態であって、上記2台のインバータのPWMキャリア信号の周波数が同一の場合、上記2台のインバータの一方のPWMキャリア信号と他方のPWMキャリア信号との位相差を90度としたことを特徴とする請求項9記載の電力変換装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源の電圧を昇圧する昇圧コンバータと、この昇圧コンバータに接続されたDCリンクコンデンサと、このDCリンクコンデンサに接続されそれぞれの負荷との間で交流電力の授受(駆動および回生)を行う複数のインバータとを備えた電力変換装置に係り、特に、上記DCリンクコンデンサに流入するパルス電流の実効値を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力変換装置では、DCリンクコンデンサの電流を最小化し装置を小形化するために、2つのインバータを駆動するためのキャリア信号を同期させ、位相を0度あるいは180度に設定したり、さらには、昇圧コンバータのキャリア信号もインバータのキャリア信号に同期させ、2つのインバータからのパルス電流と昇圧コンバータからのパルス電流とを相殺するような位相に設定している(例えば、特許文献1と2参照)。
【0003】
【特許文献1】特公平8−34695号公報(4頁右欄23行〜5頁右欄21行、図1〜4)
【特許文献2】特開2004−187468号公報(段落0017〜0076)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PWM(Pulse Width Modulation)制御のインバータは、そのキャリア信号の周期によるパルス出力動作を行う本来のPWM動作とは異なり、その電圧利用率を上げる目的で、電圧指令信号の周期によるパルス出力を含む矩形波出力動作を行う場合がある。
このような電力変換装置にあっては、一方のインバータがPWM方式による駆動から矩形波方式による駆動へ移行した場合、もう一方のインバータからのパルス電流と昇圧コンバータからのパルス電流が強めあうような位相関係になる(後述する実施の形態で更に詳しく説明する)ため、DCリンクコンデンサの電流が増大し、そのために容量の大きなコンデンサが必要になるといった課題や、DCリンクコンデンサの容量が小さな場合はインバータの入力電圧の変動が大きくなり、負荷であるモータ駆動電流を安定化させることができないといった課題があった。
【0005】
また、昇圧コンバータは、例えば、負荷であるモータの誘起電圧レベルが低い場合に、昇圧コンバータの高電圧側スイッチ素子を常時オンしてその入出力端子間を常時通電状態とする非昇圧動作モードをとる場合がある。
このように、昇圧コンバータが非昇圧動作モードに移行した場合、両モータで同時に駆動あるいは回生する場合、両インバータのキャリア信号の位相差を0度あるいは180度に設定していると、DCリンクコンデンサの電流が増大し(後述する実施の形態で更に詳しく説明する)、そのために容量の大きなコンデンサが必要になるといった課題や、DCリンクコンデンサの容量が小さな場合はインバータの入力電圧の変動が大きくなりモータ駆動電流を安定化させることができないといった課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、インバータが矩形波出力動作に移行した場合や、昇圧コンバータが非昇圧動作に移行した場合にも、DCリンクコンデンサへの流入電流が抑制され、小さなDCリンクコンデンサで安定したモータ駆動が実現できる小形な電力変換装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る電力変換装置は、スイッチ素子のPWM動作で直流電源の電圧を昇圧する昇圧コンバータ、この昇圧コンバータの昇圧側端子に接続されたDCリンクコンデンサ、およびこのDCリンクコンデンサに接続されスイッチ素子のPWM動作でそれぞれの負荷との間で交流電力の授受(駆動および回生)を行う複数のインバータを備え、昇圧コンバータのPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号とを同期させて運転する電力変換装置において、
複数のインバータの一部が、キャリア信号の周期によるパルス出力動作から電圧指令信号の周期によるパルス出力を含む矩形波出力動作に移行した場合、昇圧コンバータのPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号との位相差を調整することにより、複数のインバータの残部と昇圧コンバータとからDCリンクコンデンサに流入するパルス電流和の実効値を抑制するようにしたものである。
【0008】
また、第2の発明に係る電力変換装置は、スイッチ素子のPWM動作で直流電源の電圧を昇圧する昇圧コンバータ、この昇圧コンバータの昇圧側端子に接続されたDCリンクコンデンサ、およびこのDCリンクコンデンサに接続されスイッチ素子のPWM動作でそれぞれの負荷との間で交流電力の授受(駆動および回生)を行う複数のインバータを備え、昇圧コンバータのPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号とを同期させて運転する電力変換装置において、
昇圧コンバータが、その入出力端子間を常時通電状態とする非昇圧動作に移行した場合、複数のインバータの一部のPWMキャリア信号と複数のインバータの残部のPWMキャリア信号との位相差を調整することにより、複数のインバータからDCリンクコンデンサに流入するパルス電流和の実効値を抑制するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る電力変換装置においては、インバータの一部が矩形波出力動作に移行した場合にDCリンクコンデンサに流入するパルス電流の実効値を効果的に抑制して当該コンデンサの小型化が実現する。
【0010】
また、第2の発明に係る電力変換装置においては、昇圧コンバータが非昇圧動作に移行した場合にDCリンクコンデンサに流入するパルス電流の実効値を効果的に抑制して当該コンデンサの小型化が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を示す図である。直流電源であるバッテリ1の高電圧端子と昇圧コンバータ2の端子DCbhとが接続され、低電圧端子と昇圧コンバータ2の端子DCblとが接続されている。DCリンクコンデンサ3の一方の端子は、昇圧コンバータ2の端子DCpと第1のインバータ4の直流電圧端子INV1pと第2のインバータ5の端子INV2pとに接続され、もう一方の端子は、昇圧コンバータ2の端子DCnと第1のインバータ4の直流電圧端子INV1nと第2のインバータ5の端子INV2nとに接続されている。
負荷である第1のモータジェネレータ6は、発電機あるいは駆動モータとして動作し、その第1のモータジェネレータ6の3相ケーブルは、第1のインバータ4の交流端子INV1u、INV1v、INV1wにそれぞれ接続され、第2のモータジェネレータ7の3相ケーブルは、第2のインバータ5の交流端子INV2u、INV2v、INV2wにそれぞれ接続されている。
昇圧コンバータ2および第1のインバータ4、第2のインバータ5は、それぞれ、制御ユニット8により形成されるゲート信号により動作し、それぞれ、直流電圧の昇圧と、交流電力の授受(駆動および再生)を行う。
【0012】
図2に昇圧コンバータ2の回路構成を示す。直流電圧端子DCpとDCnとの間に配置されたスイッチ素子SH、SLの直列体と、バッテリ電圧端子DCbhとDCblとの間に配置された、入力電圧を平滑するためのコンデンサCinと、スイッチ素子の接続点と電圧端子DCbhとの間に設けられたチョークコイルLとから構成されている。スイッチ素子の直列体は、制御ユニット8から入力されるゲート信号により、電圧端子DCpとスイッチ素子の接続点との接続および電圧端子DCnと接続点との接続を制御している。それぞれのスイッチ素子は、半導体スイッチ素子(IGBT)とダイオードの並列接続体とからなっている。
【0013】
図3に第1、第2のインバータ4、5の回路構成を示す。図中、kは1か2を示し、1の場合は第1のインバータ4、2の場合は第2のインバータ5の構成要素を示す。それぞれの交流端子INVku、INVkv、INVkwと高圧側の直流電圧端子INVkpとの接続を制御する、高圧側スイッチ素子SuHk、SvHk、SwHkと、低圧側の直流電圧端子INVknとの接続を制御する、低圧側スイッチ素子SuLk、SvLk、SwLkとで構成されている。スイッチ素子は、半導体スイッチ素子(IGBT)とダイオードとの並列接続体となっている。それぞれのスイッチ素子は、制御ユニット8から入力されるゲート信号により駆動される。
【0014】
ここで、インバータ4、5および昇圧コンバータ2の動作について説明する。図4にインバータのPWM方式による動作波形を示す。図中には、インバータのキャリア信号波形、U相、V相、W相それぞれの基本波信号(電圧指示信号)波形(同図(a))、キャリア信号と基本波信号との比較演算に基づいて生成されるゲート信号(直流高電圧側スイッチ素子のゲート信号)波形(同図(b))、モータジェネレータ6、7のU相、V相、W相に流れる電流波形(同図(c))、およびインバータ4、5への入力電流波形(同図(d))が示されている。なお、直流低電圧側スイッチ素子のゲート信号は、高圧側スイッチ素子のゲート信号の反転信号となる。
【0015】
そして、キャリア信号と基本波信号との比較により形成されたゲート信号に基づいて各スイッチ素子がオンオフすることにより、印加電圧時間の変化を利用して、交流電圧端子には基本波信号と同様な形状の交流電圧が印加された状態と同じになる(交流電圧端子を見るとパルス状の電圧であるが、平均的な電圧として滑らかな交流電圧が印加されたようになる)。更に、基本波信号の振幅、位相を変化させることにより、モータジェネレータ6、7に流れる電流の大きさ、方向を自在に変化することができる。その結果として、インバータ4、5の直流電圧端子に流出入する電流は、図のようにパルス状の電流となる。
なお、インバータ4、5のキャリア信号のゼロ−ピーク値と基本波信号の振幅値との比(基本波振幅値/インバータキャリアゼロ−ピーク値)を変調率と呼ぶ。また、相電流と基本波信号との位相差をφとした場合のcosφを力率と呼ぶ。
【0016】
図5にインバータの矩形波方式による動作波形を示す。なお、この方式は、上述のPWM方式と比較して1周期当りの交流端子と直流端子との接続時間が長くなるため、モータジェネレータ6、7への平均的な印加電圧を大きくすることができるメリットがある。主に、モータジェネレータ6、7の高速回転域のモータ誘起電圧が大きな領域で、電流を大きくしたい場合に有効な方法である。
【0017】
図中には、U相、V相、W相のゲート信号(直流高電圧側スイッチ素子のゲート信号)波形(同図(a))、モータジェネレータ6、7のU相、V相、W相に流れる電流波形(同図(b))、およびインバータ4、5への入力電流波形(同図(c))が示されている。なお、直流低電圧側スイッチ素子のゲート信号は、高圧側スイッチ素子のゲート信号の反転信号となる。
図のように、ゲート信号に基づいた電圧がそれぞれの交流電圧端子に印加され、モータジェネレータ6、7の電流が制御される。その結果として、インバータ4、5の直流電圧端子に流入する電流は、図のように直流状の電流となる。
【0018】
図6に、矩形波方式の、図5とは異なる条件でのインバータ4、5の動作波形を示す。上述のPWM方式において、変調率を2(>1)に設定した場合である。図中、U相、V相、W相の基本波信号およびインバータキャリア信号波形(同図(a))、各相のゲート信号(直流高電圧側スイッチ素子のゲート信号)波形(同図(b))、モータジェネレータ6、7のU相、V相、W相に流れる電流波形(同図(c))、およびインバータ4、5への入力電流波形(同図(d))が示されている。
上記の矩形波方式(図5)と比較すると、ゲート信号が1パルスから3パルスになっていることがわかる。この矩形波方式は、モータジェネレータ6、7への平均的な印加電圧を低下させ、電流を上記矩形波方式よりも抑えたい場合に有効である。インバータ4、5の直流電圧端子に流入する電流は、上記矩形波方式と比較すると若干乱れは生じているが、直流状の電流となる。
【0019】
以上のように、図5に示したものは矩形波1パルスの場合、図6に示したものはPWM過変調矩形波の場合の動作波形である。更に、図6に示した変調率以上の条件においては、変調率が大きければ大きいほど、インバータ4、5の直流電圧端子の入出力電流は、図5に示した矩形波1パルスのそれと近い形状の直流状になる。また、1以上2未満の変調率条件においても、乱れは大きくなるが直流状の電流となる。また、PWM方式の延長線上の複数パルス矩形波方式の他に、あらかじめ決められたゲート信号パターンで動作させる複数パルス矩形波方式というものもある。
本願明細書においては、PWM動作のキャリア信号周期よりも長い、電圧指令信号(基本波信号)周期による矩形波パルス出力を含む、従って、図5、図6の場合を含む動作を、矩形波方式による動作、または、矩形波出力動作と定義する。
【0020】
図7に昇圧コンバータ2の駆動(昇圧)動作および回生(降圧)動作のPWM方式における動作波形を示す。図中、キャリア信号および電圧指示信号波形(同図(a))、各スイッチ素子のゲート信号波形(同図(b)(c))、DCp、DCn端子の電流波形(同図(d))を示す。電圧指示信号とキャリア信号とを比較することにより、低圧側スイッチ素子のゲート信号を形成する。高圧側スイッチ素子のゲート信号は、その反転信号となる。
そして、電圧指示信号を大きくすると、低電圧側スイッチ素子のオン時間が長くなり、直流端子DCp−DCn間電圧が大きくなる。スイッチ素子がオンオフすることにより、チョークコイルLへのエネルギ蓄積および放出を繰り返し、エネルギをバッテリ1からインバータ4、5へ、またはインバータ4、5からバッテリ1へと移行する。図に示したように、直流電圧端子DCp、DCnに流れる電流はパルス状になる。
【0021】
次に、本発明の実施の形態1の動作について説明する。本発明では、第1、第2のインバータ4、5、昇圧コンバータ2を駆動するためのキャリア信号の関係は、図8に示すように、A、B、Cの3つのモードからなる。そして、それぞれのモードは、表1に示すインバータ4、5、昇圧コンバータ2の動作状態により選択される。表1におけるインバータの駆動状態というのは、エネルギがDCリンクコンデンサ3からモータジェネレータ6、7へ移行している状態であり、回生状態というのは、モータジェネレータ6、7からDCリンクコンデンサ3へ移行している状態である。
また、昇圧コンバータ2の駆動状態というのは、バッテリ1からDCリンクコンデンサ3へエネルギが移行している状態であり、回生状態はその逆である。
【0022】
【表1】


【0023】
キャリア信号の関係について説明する。モードAは、特許文献2に記載されている1アーム式昇圧コンバータの場合の内容と同じものである。第1、第2のインバータ4、5のキャリア信号は同一とし、昇圧コンバータ2のキャリア信号は、周波数をインバータキャリア信号の2倍とし互いに同期させ、三角波の谷をインバータキャリアの山谷と一致させる位相関係としている(図8(a))。
また、後述するように(図10(b))、昇圧コンバータ2からの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの谷)とインバータ5からの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)とが一致するような位相の関係としている。
【0024】
モードBは、第1、第2のインバータ4、5のキャリア信号は同一とし、昇圧コンバータ2のキャリア信号は、周波数をインバータキャリア信号の2倍とし互いに同期させ、三角波の山をインバータキャリアの山谷と一致させる位相関係としている(図8(b))。
また、後述するように(図10(c))、昇圧コンバータ2からの電流のパルス電流出力期間の中心(キャリアの山)とインバータ5からの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)が一致するような位相の関係としている。
【0025】
モードCは、昇圧コンバータ2の高電圧側スイッチ素子を常時オンの動作状態にして非昇圧動作となる場合であって、第1のインバータ4のキャリア信号と第2のインバータ5のキャリア信号との周波数を同じとし、位相差が90度となるような関係としている(図8(c))。
また、後述するように(図11(b))、第1のインバータ4からの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)と第2のインバータ5からの電流のパルス電流出力期間の中心(キャリアの中心)とが一致するような位相の関係としている。
【0026】
モードBを選択する場合は、表1に示したように、昇圧コンバータ2はPWM方式、第1、第2のインバータ4、5のどちらか一方だけが矩形波方式、他方はPWM方式で駆動され、インバータの一方が駆動で他方が回生である動作状態のときであり、モードCを選択する場合は、昇圧コンバータ2の高電圧側スイッチ素子が常時オン、第1、第2のインバータ4、5両方ともPWM方式で駆動あるいは回生の動作状態のときである。従来技術と同じモードAを選択する場合は、上記以外の動作状態のときである。
【0027】
次に、本発明でモードBを採用した場合の効果を説明する。第1のインバータ4が矩形波方式でモータ駆動し、第2のインバータ5がPWM方式で回生し、昇圧コンバータ2がPWM方式で駆動(昇圧)する動作状態(表1の1)を例にとり説明する。図9に示す電流の流れる方向を正として説明する。
【0028】
図10に、モードAで第1、第2のインバータ4、5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードAの動作領域をモードAで動作する場合(a))、モードAで第1のインバータ4を矩形波、第2のインバータ5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードBの動作領域をモードAで動作する場合(b))、モードBで第1のインバータ4を矩形波、第2のインバータ5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードBの動作領域をモードBで動作する場合(c))の動作波形を示す。
図中、第1、第2のインバータ4、5、昇圧コンバータ2のキャリア信号、基本波信号、電圧指示信号、およびそれぞれのDCリンク部への入力電流、DCリンクコンデンサの電流を示している。
【0029】
図より、第1、第2インバータ4、5がPWMの動作状態ならば、モードAのキャリア信号で駆動すれば、第1のインバータ4のパルス電流と第2のインバータ5のパルス電流と昇圧コンバータ2のパルス電流とが足されたものが打ち消し合う位相関係となり、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は小さくなり(図中(a))、特許文献2で説明されている内容と同じとなる。
この状態で、第1のインバータ4が矩形波方式に移行すると、同図(b)に示すように、3者のパルス電流が打ち消し合うという関係が成立しなくなり、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は大きくなってしまう。この状態で、キャリア信号をモードBに切り替えると、第2のインバータ5、昇圧コンバータ2のパルス電流が交互に発生し、第1のインバータ4の直流的な電流を打ち消すような関係となるため、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は小さくなる(同図(c))。
【0030】
上記の説明から、第1、第2のインバータ4、5、昇圧コンバータ2の動作状態によっては、特許文献2で開示された方法ではDCリンクコンデンサ3の電流実効値が大きくなるが、昇圧コンバータ2からの電流のパルス電流出力期間の中心(キャリアの山)とインバータ5からの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)とが一致するような位相になるようにキャリア信号に変更することにより、DCリンクコンデンサ3の電流実効値を小さくすることが可能となることがわかる。
【0031】
以上、本発明の効果を、第1のインバータ4が矩形波方式でモータ駆動し、第2のインバータ5がPWM方式で回生し、昇圧コンバータ2がPWM方式で駆動(昇圧)する動作状態(表1の1)を例にして説明したが、第1のインバータ4と第2のインバータ5の動作を入れ替えた動作状態(表1の2)、第1のインバータ4が矩形波方式で回生し、第2のインバータ5がPWM方式でモータ駆動し、昇圧コンバータ2がPWM方式で回生(降圧)する動作状態(表1の3)、そして、この表1の3の動作状態に対し第1のインバータ4と第2のインバータ5の動作を入れ替えた動作状態(表1の4)においても、どちらか一方の直流的な電流をもう一方のインバータのパルス電流と昇圧コンバータのパルス電流で相殺するように動作するので、以上で説明したと同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、第3、第4、・・・と、複数の任意の台数のインバータを備えた電力変換装置においても、その内、少なくとも2台のインバータと昇圧コンバータの動作状態に以上で説明した関係があれば、それらインバータと昇圧コンバータに対して、昇圧コンバータからの電流のパルス電流出力期間の中心(キャリアの山)とインバータからの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)とが一致するような位相になるようにキャリア信号を設定することにより、DCリンクコンデンサ3の電流実効値を小さくすることが可能となる。
【0033】
次に、本発明のモードCを採用した場合の効果について説明する。昇圧コンバータ2の高電圧側スイッチ素子が常時オン状態で、第1、第2のインバータ4、5がPWM方式で駆動の動作状態の場合(表1の6)を例にとり説明する。図9に示す電流の流れる方向を正として説明する。
図11に、モードAで第1、第2のインバータ4、5はPWM方式で駆動、昇圧コンバータ2は高電圧側スイッチ素子を常時オン(キャリア信号は関係ない状態)とする動作状態の場合(図中(a))、および、その状態でモードCで第1、第2のインバータ4、5を駆動した場合(図中(b))の動作波形を示す。図中、第1、第2のインバータ4、5のキャリア信号、基本波信号、およびそれぞれのDCリンク部への入力電流、DCリンクコンデンサ3の電流を示している。
【0034】
この動作条件においてモードAで両インバータ4、5を駆動すると、図に示すように、第1のインバータ4のパルス電流と第2のインバータ5のパルス電流とが強め合うことになり、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は大きくなってしまう(図中(a))。この状態で、キャリア信号をモードCに切り替えると、第1のインバータ4、第2のインバータ5のパルス電流が交互に発生し、昇圧コンバータ2からDCリンク部へ供給される直流電流を打ち消すような関係となるため、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は小さくなる(図中(b))。
【0035】
昇圧コンバータ2の高電圧側スイッチ素子が常時オン状態で、第1、第2のインバータ4、5がPWM方式で駆動動作状態の場合、特許文献1、2で開示された方法では、DCリンクコンデンサ3の電流が大きくなるが、これに替わり、第1のインバータ4からの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)と第2のインバータ5からの電流のパルス電流出力期間の中心(キャリアの中心)とが一致するような位相の関係とすることにより、DCリンクコンデンサ3の電流を小さくすることが可能となることがわかる。
【0036】
以上、本発明の効果を、第1、第2のインバータ4、5が駆動動作状態を例にして説明したが、第1のインバータ4と第2のインバータ5が共に回生動作状態(表1の5)でも、各インバータ4、5のパルス電流が交互に発生し、昇圧コンバータ2の直流電流を打ち消すように動作するので、同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、第3、第4、・・・と、複数の任意の台数のインバータを備えた電力変換装置においても、その内、少なくとも2台のインバータと昇圧コンバータの動作状態に以上で説明した関係があれば、それらインバータに対して、一方のインバータからの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)ともう一方のインバータからの電流のパルス電流出力期間の中心(キャリアの中心)とが一致するような位相の関係とすることにより、DCリンクコンデンサ3の電流実効値を小さくすることが可能となる。
【0038】
次に、2台のインバータ4、5および昇圧コンバータ2を備えた電力変換装置において、各インバータおよび昇圧コンバータの各種動作状態を判別することにより、上述した、DCリンクコンデンサ3の電流実効値が小さくなる制御モードA,BまたはCのいずれかを選択する制御フローについて図12を参照して説明する。
先ず、表2に示すように、各機種の状態の種別を記号化する。
【0039】
【表2】


【0040】
インバータの動作が矩形波方式かPWM方式かは、PWM制御の変調率で判断するものとし、前者は、変調率>1の条件に対応し、後者は、変調率≦1の条件に対応するものとする。そして、表2(a)に示すように、この変調率>1の状態を「1」、変調率≦1の状態を「0」で表現し、第1および第2のインバータの変調率を、それぞれ「A」、「B」で表現するものとする。
次に、インバータおよび昇圧コンバータの駆動または回生の動作の状態は、表2(b)に示すように、駆動を「1」、回生を「0」で表現し、第1、第2のインバータおよび昇圧コンバータの動作の状態を、それぞれ「a」、「b」および「c」で表現するものとする。
更に、昇圧コンバータの高電圧側スイッチ素子が常時オン状態であるか否かの判断は、昇圧コンバータの昇圧比αが1以下であるか、1より大であるかで判断するものとする。
【0041】
以下、図12の各ステップを追って制御フローを説明する。ステップS1で昇圧比αを入力し、ステップ2で、α>1か否かを判断する。ステップS2でNOの場合、即ち、昇圧比αが1以下で、昇圧コンバータの高電圧側スイッチ素子が常時オンとなる非昇圧動作状態に相当する場合、ステップS3で、両インバータの動作の状態a,bを入力する。
次に、a,bそれぞれとそれぞれを反転した(1→0、または、0→1)ものとを乗算して加算したステップS4に示す加算値が0か否かを判断する。ステップS4でNOの場合、両インバータのいずれか一方が駆動、他方が回生の動作状態にあることに相当し、従来通り、モードAを選択する(ステップS5)。
ステップS4でYESの場合、両インバータが共に駆動、または回生の動作状態にあることに相当し、先の図11(b)に該当し、モードCを選択する(ステップS6)。
【0042】
ステップS2に戻り、この判断がYESの場合、即ち、昇圧コンバータがPWMのパルス出力動作に相当する場合、ステップS7で、両インバータの変調率の状態A,Bを入力する。
次に、A,Bそれぞれとそれぞれを反転した(1→0、または、0→1)ものとを乗算して加算したステップS8に示す加算値が1か否かを判断する。ステップS8でNOの場合、両インバータが共にPWM方式か矩形波方式であることに相当し、従来通り、モードAを選択する(ステップS9)。
ステップS8でYESの場合、両インバータのいずれか一方がPWM方式、他方が矩形波方式である場合、ステップS10で、両インバータの動作の状態a,bを入力する。
【0043】
次に、ステップS11に示す加算値が1か否かを判断する。ステップS11でNOの場合、両インバータが共に駆動または回生の動作状態にあることに相当し、従来通り、モードAを選択する(ステップS12)。
ステップS11でYESの場合、即ち、両インバータのいずれか一方が駆動、他方が回生の動作状態にある場合、ステップS13で第1のインバータの変調率の状態Aを入力する。
そして、ステップS14で、Aが1か否かを判断し、NOの場合、即ち、第1のインバータが変調率≦1、従って、PWM方式、第2のインバータが矩形波方式の場合、ステップS15で昇圧コンバータの動作の状態cを入力し、更に、ステップS16で、b=cか否かを判断する。ステップS16で、YESであれば、即ち、矩形波方式の第2のインバータと昇圧コンバータとが共に駆動または回生の動作状態にある場合は、先の図10(c)と同等のケースに該当し、モードBを選択する(ステップS17)。
【0044】
ステップS14に戻り、この判断がYESの場合、即ち、第1のインバータが変調率>1、従って、矩形波方式、第2のインバータがPWM方式の場合、ステップS18で昇圧コンバータの動作の状態cを入力し、更に、ステップS19で、a=cか否かを判断する。ステップS19で、YESであれば、即ち、矩形波方式の第1のインバータと昇圧コンバータとが共に駆動または回生の動作状態にある場合は、先の図10(c)に該当し、モードBを選択する(ステップS20)。
ステップS16またはS19で、NOの場合、従って、矩形波方式のインバータと昇圧コンバータとの動作の状態が異なる場合は、従来と同様であり、モードAを選択する(ステップS21)。
【0045】
以上の制御フローを適用することにより、常に、DCリンクコンデンサの電流実効値を小さく抑える制御が確実になされる。
【0046】
実施の形態2.
本発明における実施の形態2は、先の形態1と比べると昇圧コンバータの構成が異なる。図13に昇圧コンバータの構成を示す。この昇圧コンバータ2は、2フェーズ昇圧コンバータと呼ばれる。図2に示した昇圧コンバータにスイッチ素子SH2とSL2の直列体とその直列体の接続点に接続されたチョークコイルL2とで構成される第2のコンバータ部が追加された構成となっている。
チョークコイルL2の他方は電圧端子DCbhに接続され、スイッチ素子の直列体は、同様に電圧端子DCpおよびDCnに接続されている。
そして、第1のコンバータ部と第2のコンバータ部とは、制御ユニット8からのゲート信号により位相が180度ずれた状態で交互に動作する。電圧端子DCp、DCnに流れる電流は、各コンバータ部を駆動するゲート信号パルスの周波数の2倍の周波数のパルス電流となる。
【0047】
次に、本発明の実施の形態2の動作について説明する。動作状態とモードの関係については、先の表1に示す通りである。モードCでは、昇圧コンバータ2は、スイッチ素子が常時オンしているだけであるので、本実施の形態2においてもその動作は同じである。
一方、モードA、モードBのキャリア信号の関係は形態1と異なる。詳細は省略するが、特許文献2にも紹介されているように、2つのコンバータ部間のパルス電流の干渉を避ける目的で、昇圧コンバータの昇圧比(バッテリ電圧とDCリンク部の電圧の比)が2以上と2より小さな場合とでキャリア信号の関係を異ならせている。
図14に昇圧比が2以上の場合、図15に昇圧比が2未満の場合についてキャリア信号の関係を示す。
【0048】
次に、キャリア信号の関係について説明する。モードAは、特許文献2に記載されている2アーム式昇圧コンバータの場合の内容と同じものである。第1、第2のインバータ4、5のキャリア信号は同一とし、昇圧コンバータ2のキャリア信号は、周波数をインバータキャリア信号と同じとし同期させている。
昇圧比が2以上の場合(図14(a))、第1のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を90度とし、第2のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を270度としている。
昇圧比が2未満の場合(図15(a))、第1のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を0度とし、第2のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を180度としている。
【0049】
モードBは、第1、第2のインバータ4、5のキャリア信号は同一とし、昇圧コンバータ2のキャリア信号は、周波数をインバータキャリア信号と同じとし同期させている。
昇圧比が2以上の場合(図14(b))、第1のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を0度とし、第2のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を180度としている。
昇圧比が2未満の場合(図15(b))、第1のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を90度とし、第2のコンバータのキャリア信号は、インバータのキャリア信号との位相差を270度としている。
【0050】
次に、本発明の実施の形態2でモードBを採用した場合の効果を説明する。昇圧比2以上の条件において、第1のインバータ4が矩形波方式でモータ駆動し、第2のインバータ5がPWM方式で回生し、昇圧コンバータ2がPWM方式で駆動(昇圧)する動作状態(表1の1)を例にとり説明する。先と同様、図9に示す電流の流れる方向を正として説明する。
図16に、モードAで第1、第2のインバータ4、5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードAの動作領域をモードAで動作する場合(a))、モードAで第1のインバータ4を矩形波、第2のインバータ5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードBの動作領域をモードAで動作する場合(b))、モードBで第1のインバータ4を矩形波、第2のインバータ5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードBの動作領域をモードBで動作する場合(c))の動作波形を示す。
図中、第1、第2のインバータ4、5、昇圧コンバータ2のキャリア信号、基本波信号、電圧指示信号、およびそれぞれのDCリンク部への入力電流、DCリンクコンデンサの電流を示している。
【0051】
図より、第1、第2のインバータ4、5がPWMの動作状態ならば、モードAのキャリア信号で駆動すれば、第1のインバータ4のパルス電流と第2のインバータ5のパルス電流と昇圧コンバータ2のパルス電流とが足されたものが打ち消し合う位相関係となり、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は小さくなり(図中(a))、特許文献2で説明されている内容と同じとなる。
この状態で、第1のインバータ4が矩形波方式に移行すると、同図(b)に示すように、3者のパルス電流が打ち消し合うという関係が成立しなくなり、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は大きくなってしまう。この状態で、キャリア信号をモードBに切り替えると、第2のインバータ5、昇圧コンバータ2のパルス電流が交互に発生し、第1のインバータ4の直流的な電流を打ち消すような関係となるため、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は小さくなる(同図(c))。
【0052】
次に、昇圧比が2未満の場合について説明する。第1のインバータ4が矩形波方式でモータ駆動し、第2のインバータ5がPWM方式で回生し、昇圧コンバータ2がPWM方式で駆動(昇圧)する動作状態(表1の1)を例にとり説明する。
図17に、モードAで第1、第2のインバータ4、5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードAの動作領域をモードAで動作する場合(a))、モードAで第1のインバータ4を矩形波、第2のインバータ5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードBの動作領域をモードAで動作する場合(b))、モードBで第1のインバータ4を矩形波、第2のインバータ5をPWM、昇圧コンバータ2をPWMで動作させた場合(モードBの動作領域をモードBで動作する場合(c))の動作波形を示す。
図中、第1、第2のインバータ4、5、昇圧コンバータ2のキャリア信号、基本波信号、電圧指示信号、およびそれぞれのDCリンク部への入力電流、DCリンクコンデンサの電流を示している。
【0053】
図より、第1、第2のインバータ4、5がPWMの動作状態ならば、モードAのキャリア信号で駆動すれば、第1のインバータ4のパルス電流と第2のインバータ5のパルス電流と昇圧コンバータ2のパルス電流とが足されたものが打ち消し合う位相関係となり、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は小さくなり(図中(a))、特許文献2で説明されている内容と同じとなる。
この状態で、第1のインバータ4が矩形波方式に移行すると、同図(b)に示すように、3者のパルス電流が打ち消し合うという関係が成立しなくなり、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は大きくなってしまう。この状態で、キャリア信号をモードBに切り替えると、第2のインバータ5、昇圧コンバータ2のパルス電流が交互に発生し、第1のインバータ4の直流的な電流を打ち消すような関係となるため、DCリンクコンデンサ3の電流実効値は小さくなる(同図(c))。
【0054】
上記の説明から、第1、第2のインバータ4、5、昇圧コンバータ2の動作状態によっては、実施の形態1と同様に、特許文献2で開示された方法ではDCリンクコンデンサ3の電流実効値が大きくなるが、昇圧コンバータ2からの電流のパルス電流出力期間の中心とインバータ5からの電流のゼロ電流期間の中心が一致するような位相関係に変更することにより、DCリンクコンデンサ3の電流実効値を小さくすることが可能となることがわかる。
【0055】
以上、本発明の効果を、第1のインバータ4が矩形波方式でモータ駆動し、第2のインバータ5がPWM方式で回生し、昇圧コンバータ2がPWM方式で駆動(昇圧)する動作状態(表1の1)を例にして説明したが、表1に示したその他の動作についても同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、第3、第4、・・・と、複数の任意の台数のインバータを備えた電力変換装置においても、その内、少なくとも2台のインバータと昇圧コンバータの動作状態に以上で説明した関係があれば、それらインバータに対して、一方のインバータからの電流のゼロ電流期間の中心(キャリアの山谷)ともう一方のインバータからの電流のパルス電流出力期間の中心(キャリアの中心)とが一致するような位相の関係とすることにより、DCリンクコンデンサ3の電流実効値を小さくすることが可能となる。
【0057】
制御フローの説明は省略するが、例えば、上述の図12に示したものでモードBを選択した後、昇圧比が2以上と2未満とで、具体的な位相関係を図14〜17で説明した内容に切り替える制御動作とすればよい。
【0058】
実施の形態3.
先の形態例では、インバータのキャリア信号と昇圧コンバータのキャリア信号の形状は、共に、三角波形状の場合について述べた。本実施の形態3においては、インバータのキャリア信号の形状はそのままで、昇圧コンバータのキャリア信号の形状をのこぎり波形状とした場合について述べる。電力変換装置の構成は実施の形態1と同様である。
図18に両キャリア信号の形状を示す。実施の形態1と同様に、昇圧コンバータのキャリア信号の周波数は、インバータのキャリア信号の周波数の2倍となっている。インバータのキャリア信号1周期を100ステップとし、両キャリア信号の位相差をこのステップ数で表現する。
【0059】
先の実施の形態例では、インバータのキャリア信号と昇圧コンバータのキャリア信号とが共に三角波形状であったため、三角波信号間の山谷を一致させることで、インバータ4、5−DCリンクコンデンサ3間のパルス電流が流れるタイミングと昇圧コンバータ2−DCリンクコンデンサ3間のパルス電流が流れるタイミングを容易に一致させることができ、上述の方法でDCリンクコンデンサ3の電流を低減することができる。
しかし、本実施の形態のように、昇圧コンバータのキャリア信号がのこぎり波形状の場合、昇圧比(昇圧コンバータの電圧指令値)に依存して両パルス電流のタイミングにずれが生じるため、両キャリア信号の位相差を調節する必要がある。
【0060】
図19に、第1のインバータ4が矩形波方式(PWM方式で変調率が1以上)で駆動、第2のインバータ5がPWM方式で回生、昇圧コンバータ2がPWM方式で駆動の条件における、昇圧コンバータのキャリア信号とインバータのキャリア信号との位相差とDCリンクコンデンサ3の電流実効値(電流リプル)(相対値)の関係を示す。
図には、昇圧コンバータ2の昇圧比が1.5と2.5、第1のインバータ4の変調率が無限大(矩形波1パルス)、1.5、1、第2のインバータ5の変調率が0.2〜1の条件の計算結果が示されている。第1のインバータ4の力率は1、第2のインバータ5の力率は−1である。
図より、昇圧比2.5、第1のインバータ4の変調率1、第2のインバータ5の変調率0.2〜0.3の条件を除くと、昇圧比2.5の場合の最適位相は、第2のインバータ5の変調率に依らず10ステップとなり、昇圧比1.5の場合は16ステップとなることがわかる。他の条件も調べてみると同様なことが言えて、ほぼ全範囲の変調率条件において、図20に示すような昇圧比と最適な位相差との関係が存在する。
よって、本実施の形態3では、制御ユニット8において、昇圧比の条件に応じて、昇圧コンバータのキャリア信号とインバータのキャリア信号との位相差を調節している。
【0061】
言うまでもないが、この方法は、先の形態例で説明したモードBの動作モードに適用される。モードCは、元々、昇圧コンバータの電流が直流状となる場合であり、先の形態例の場合と同様である。
また、モードAの動作モードにおいては、両キャリアの最適な位相を見つけて動作させるか、インバータのキャリア信号の周波数と昇圧コンバータのキャリア信号の周波数とをほんの少しずらして、非同期で動作させている。非同期で動作させることにより、DCリンクコンデンサ3の電流は、同期させ位相を変化させた場合の最大値と最小値の中間的な値となる。
【0062】
また、以上では、1フェーズ式の昇圧コンバータについて述べたが、先の実施の形態2で説明した2フェーズ式の昇圧コンバータにおいても、キャリア信号をのこぎり波状にした場合、同様に、昇圧比の条件に応じて最適な位相を決めればよい。
【0063】
また、以上では、矩形波方式による動作は、PWM方式の延長線上ととらえ、その変調率が1以上の領域(過変調PWM動作)として説明した。しかし、この矩形波方式による動作は、過変調PWM動作の他に、電流センサからのモータジェネレータに流れる交流電流の情報や、モータジェネレータの回転位置センサからの周波数、位相の情報から、半周期当りのスイッチ素子のオンオフ回数、長さ、出力タイミングを決め、スイッチ素子のゲートを制御する方法によっても実現できる。
【0064】
また、この発明の各変形例において、インバータにおける矩形波出力動作への移行は、(電圧指令信号振幅値/キャリア信号ゼローピーク値)を変調率αと定義したとき、α>1の条件で判定するようにしたので、インバータの矩形波出力動作への移行が、簡便確実に判別出来る。
【0065】
また、昇圧コンバータのPWMキャリア信号の周波数を、インバータのPWMキャリア信号の周波数の2倍としたので、DCリンクコンデンサへ流入するパルス電流和の実効値を抑制するための制御が容易になし得る。
【0066】
また、複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータのいずれか一方が駆動状態でいずれか他方が回生状態であるときに2台のインバータの一方が矩形波出力動作に移行した場合であって当該矩形波出力動作に移行したインバータと昇圧コンバータとが共に駆動または回生状態の場合、パルス出力動作を行うインバータのパルス電流がゼロとなる期間の中心と、昇圧コンバータのパルス電流出力期間の中心とが一致するように位相差を調整するようにしたので、DCリンクコンデンサへ流入するパルス電流和の実効値が確実に抑制される。
【0067】
また、昇圧コンバータおよびインバータのPWMキャリア信号が共に三角波の場合、昇圧コンバータのPWMキャリア信号におけるパルス電流出力期間の中心と一致する頂点と、インバータのPWMキャリア信号の山谷頂点とが一致するように位相差を調整するようにしたので、DCリンクコンデンサへ流入するパルス電流和の実効値がより確実に抑制される。
【0068】
また、インバータのPWMキャリア信号が三角波で昇圧コンバータのPWMキャリア信号がのこぎり波状である場合、予め、昇圧コンバータの昇圧比とDCリンクコンデンサに流入するパルス電流和の実効値が最小となる昇圧コンバータのPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号との位相差との関係特性を求めておき、関係特性を適用し実際の昇圧比に基づき位相差を求めるようにしたので、昇圧コンバータのPWMキャリア信号にのこぎり波状の信号を採用した場合にも、DCリンクコンデンサへ流入するパルス電流和の実効値を抑制するための制御が可能となる。
【0069】
また、昇圧コンバータおよびインバータのPWMキャリア信号が共に三角波であり、昇圧コンバータは、互いに並列接続され、インバータのPWMキャリア信号と同一の周波数で互いに180度位相をずらしたPWMキャリア信号で動作する第1と第2のコンバータ部から構成される2フェーズ昇圧コンバータであり、複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータのいずれか一方が駆動状態でいずれか他方が回生状態であるときに2台のインバータの一方が矩形波出力動作に移行した場合であって当該矩形波出力動作に移行したインバータと昇圧コンバータとが共に駆動または回生状態の場合で、かつ昇圧コンバータの昇圧比β≧2の場合、第1のコンバータ部のPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号との位相差を0度とし、第2のコンバータ部のPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号との位相差を180度としたので、2フェーズ昇圧コンバータを採用した場合にも、DCリンクコンデンサへ流入するパルス電流和の実効値が確実に抑制される。
【0070】
また、昇圧コンバータおよびインバータのPWMキャリア信号が共に三角波であり、昇圧コンバータは、互いに並列接続され、インバータのPWMキャリア信号と同一の周波数で互いに180度位相をずらしたPWMキャリア信号で動作する第1と第2のコンバータ部から構成される2フェーズ昇圧コンバータであり、複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータのいずれか一方が駆動状態でいずれか他方が回生状態であるときにインバータの一方が矩形波出力動作に移行した場合であって当該矩形波出力動作に移行したインバータと昇圧コンバータとが共に駆動または回生状態の場合で、かつ昇圧コンバータの昇圧比β<2の場合、第1のコンバータ部のPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号との位相差を90度とし、第2のコンバータ部のPWMキャリア信号とインバータのPWMキャリア信号との位相差を270度としたので、2フェーズ昇圧コンバータを採用した場合にも、DCリンクコンデンサへ流入するパルス電流和の実効値が確実に抑制される。
【0071】
また、複数のインバータの内の少なくとも2台のインバータが共に駆動または回生状態であって、2台のインバータのPWMキャリア信号の周波数が同一の場合、2台のインバータの一方のPWMキャリア信号と他方のPWMキャリア信号との位相差を90度としたので、昇圧コンバータが非昇圧動作に移行した場合に、DCリンクコンデンサへ流入するパルス電流和の実効値が確実に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の電力変換装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1による電力変換装置を構成する昇圧コンバータ2を示す回路図である。
【図3】本発明の電力変換装置を構成するインバータ4、5を示す回路図である。
【図4】インバータのPWM方式動作時の波形を示す図である。
【図5】インバータの矩形波方式動作時の波形を示す図である。
【図6】変調率を2に設定した場合の、インバータの矩形波方式動作時の波形を示す図である。
【図7】昇圧コンバータ2のPWM方式動作時の波形を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるキャリア信号の関係を示す図である。
【図9】インバータ4、5、昇圧コンバータ2の電流の向きを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1におけるモードAとBのキャリア信号の関係とDCリンクコンデンサ電流の関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1におけるモードAとCのキャリア信号の関係とDCリンクコンデンサ電流の関係を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1における制御フローを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2による電力変換装置を構成する昇圧コンバータ2を示す回路図である。
【図14】本発明の実施の形態2における昇圧比2以上の場合のキャリア信号の関係を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態2における昇圧比2未満の場合のキャリア信号の関係を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態2の昇圧比が2以上の場合におけるモードAとBのキャリア信号の関係とDCリンクコンデンサ電流の関係を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2の昇圧比が2未満の場合におけるモードAとBのキャリア信号の関係とDCリンクコンデンサ電流の関係を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態3におけるキャリア信号の形状および関係を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態3におけるキャリア信号間の位相差とDCリンクコンデンサの電流実効値(リプル)(相対値)の関係を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態3における昇圧比と最適位相差との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 バッテリ、2 昇圧コンバータ、3 DCリンクコンデンサ、
4 第1のインバータ、5 第2のインバータ、6 第1のモータジェネレータ、
7 第2のモータジェネレータ、8 制御ユニット。




 

 


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