米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 発電 -> 三菱電機株式会社

発明の名称 車両用回転電機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−68299(P2007−68299A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−249548(P2005−249548)
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
代理人 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照
発明者 上原 伸哲 / 大串 哲朗 / 浅尾 淑人 / 磯田 仁志
要約 課題
この発明は、薄板状のフィンに代えて断面円形の通風孔をヒートシンクに形成して、ヒートシンクの放熱性能を向上させ、優れた冷却性を有する小型の車両用回転電機を得る。

解決手段
断面円形の多数の通風孔30aが孔方向を互いに平行とし、かつ、素子取付面13aと平行として吸気側開孔面13bから排気側開孔面13cに至るようにヒートシンク13に穿設されている。このヒートシンク13は、吸気側開孔面13bを吸気孔2aに相対して、かつ、通風孔30aの孔方向を冷却風の流れ方向Aに一致させて配設されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
ケースの内部にシャフトを介して回転自在に配設された回転子と、上記ケースの内部に上記回転子の外周を取り囲むように配設された固定子と、ヒートシンクの素子取付面に取り付けられ、上記回転子の回転を電気的に制御する発熱素子と、上記ケースに穿設された吸気孔および排気孔と、上記回転子の軸方向端面に固着され、該回転子とともに回転して上記吸気孔から上記ケース内に吸気し、上記排気孔から上記ケース外に排気する冷却風の流れを生成するファンとを備えた車両用回転電機において、
断面円形の多数の通風孔が孔方向を互いに平行とし、かつ、上記素子取付面と平行として吸気側開孔面から排気側開孔面に至るように上記ヒートシンクに穿設されており、
上記ヒートシンクが、上記吸気側開孔面を上記吸気孔に相対して、かつ、上記通風孔の孔方向を上記冷却風の流れ方向に一致させて配設されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
冷却風導入壁が、上記吸気孔から吸気された上記冷却風を上記吸気側開孔面に案内するように配設されていることを特徴とする請求項1記載の車両用回転電機。
【請求項3】
リブが上記吸気側開孔面と対向するように上記吸気孔を横切って上記ケースに設けられ、上記リブと対向する上記通風孔の径が、上記吸気孔と対向する上記通風孔の径より大きく形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用回転電機。
【請求項4】
上記発熱素子は、上記ヒートシンクの吸気側および排気側開孔面以外の一つの上記素子取付面に取り付けられ、上記通風孔が、孔方向と直交する上記ヒートシンクの断面上に千鳥状に配列して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用回転電機。
【請求項5】
上記発熱素子は、上記ヒートシンクの吸気側および排気側開孔面以外の少なくとも二つの上記素子取付面に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用回転電機。
【請求項6】
上記発熱素子が、上記ヒートシンクの吸気側および排気側開孔面以外の一つの上記素子取付面に取り付けられ、上記通風孔はその径が上記素子取付面と垂直な方向に離れるほど大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用回転電機。
【請求項7】
上記発熱素子が、上記ヒートシンクの吸気側および排気側開孔面以外の一つの上記素子取付面に取り付けられ、上記通風孔は隣り合う通風孔間の間隔が上記素子取付面と垂直な方向に離れるほど短くなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用回転電機。
【請求項8】
上記ヒートシンクは、孔方向と直交する断面積が冷却風の流れ方向の上流側に対して下流側を大きくするように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用回転電機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のエンジンに取り付けられる車両用回転電機に関し、特に発熱素子に取り付けられ、発熱素子で発生される熱を効果的に放熱するヒートシンクの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用回転電機は、アルミニウム製のフロントブラケットとリアブラケットとからなるケースと、このケースにベアリングを介して回転自在に配設されたシャフトと、このシャフトに固定されてケース内に収容された回転子と、この回転子の両端面に固定されたファンと、回転子を囲繞するようにケースの内壁面に固定された固定子と、シャフトのリア側に固定され、回転子に電流を供給するスリップリングと、このスリップリングに摺動するようにケース内に配設された一対のブラシと、このブラシを収納するブラシホルダと、固定子に電気的に接続され、固定子で生じた交流を直流に整流する整流器と、ブラシホルダに取り付けられたヒートシンクと、このヒートシンクに接着され固定子で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、整流器およびレギュレータは、回転電機が発電運転している間は常に発熱している。そのため、ヒートシンクは、複数の薄板状のフィンがベース面の裏面から突設して複数配列されて形成され、整流器およびレギュレータがそのベース面に取り付けられている。
そして、回転電機の運転状態において、回転子が回転駆動される。この回転子の回転に連動してファンが回転され、冷却風が生成される。ファンにより生成された冷却風がヒートシンクに通風される。そして、冷却風がフィン間を通過し、フィンと冷却風との間で熱交換され、整流器およびレギュレータで発生した熱が取り去られる。これにより、整流器およびレギュレータの温度が一定に維持され、回転電機が正常に動作する。
【0004】
【特許文献1】特許第3527516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の車両用回転電機では、ヒートシンクを用いて整流器およびレギュレータを冷却させている。このヒートシンクの単位面積当たりの放熱特性を向上させることは、回転電機の動作の安定化につながるとともに、ヒートシンクの小型化、引いては回転電機の小型化に寄与する。
しかし、ヒートシンクは、薄板状のフィンをベース面の裏面に多数配列して形成されているので、フィンの加工上の制約から、放熱特性の向上には限界があった。
【0006】
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、薄板状のフィンに代えて断面円形の通風孔をヒートシンクに形成して、ヒートシンクの放熱性能を向上させ、優れた冷却性を有する小型の車両用回転電機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による車両用回転電機は、ケースの内部にシャフトを介して回転自在に配設された回転子と、上記ケースの内部に上記回転子の外周を取り囲むように配設された固定子と、ヒートシンクの素子取付面に取り付けられ、上記回転子の回転を電気的に制御する発熱素子と、上記ケースに穿設された吸気孔および排気孔と、上記回転子の軸方向端面に固着され、該回転子とともに回転して上記吸気孔から上記ケース内に吸気し、上記排気孔から上記ケース外に排気する冷却風の流れを生成するファンとを備えている。そして、断面円形の多数の通風孔が孔方向を互いに平行とし、かつ、上記素子取付面と平行として吸気側開孔面から排気側開孔面に至るように上記ヒートシンクに穿設されている。さらに、上記ヒートシンクが、上記吸気側開孔面を上記吸気孔に相対して、かつ、上記通風孔の孔方向を上記冷却風の流れ方向に一致させて配設されている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、多数の断面円形の通風孔が孔方向を互いに平行としてヒートシンクに穿設されているので、薄板状のフィンに比べて、放熱面積および熱伝達率を大きくでき、放熱性能が向上される。そこで、整流器やレギュレータの過度の温度上昇が抑えられ、回転電機の安定した動作を実現できる。さらに、単位面積当たりの放熱特性が向上されるので、ヒートシンクの小型化が図られ、回転電機の小型化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を示す縦断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクの構成を説明する斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクの放熱特性を説明する図である。なお、図1中、矢印Aは冷却風の流れを示している。
【0010】
図1において、車両用交流発電機は、それぞれ略椀形状のアルミニウム製のフロントブラケット1とリアブラケット2とからなるケース3と、このケース3に回転自在に支持されたシャフト4と、ケース3のフロント側に延出するシャフト4の端部に固着されたプーリ5と、シャフト4に固定されてケース3内に収容された回転子6と、この回転子6の軸方向の両端面に固定されたファン7と、回転子6の外周を囲繞するようにケース3の内壁面に固定された固定子8と、シャフト4のリア側に固定され、回転子6に電流を供給するスリップリング9と、このスリップリング9に摺動するようにケース3内に配設された一対のブラシ10と、このブラシ10を収納するブラシホルダ11と、固定子8に電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12と、ブラシホルダ11に取り付けられたヒートシンク15と、このヒートシンク15に接着され固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ14と、を備えている。
【0011】
車両用交流発電機においては、整流器12およびレギュレータ14は、発電中は常に発熱している。そして、整流器12およびレギュレータ14の温度が過度に上昇すると、車両用交流発電機の動作が不安定になることから、ヒートシンク13,15が整流器12およびレギュレータ14に取り付けられ、整流器12およびレギュレータ14の温度を適切な値に保っている。
そして、リアブラケット2には吸気孔2aおよび排気孔2bが多数穿設されている。そして、ファン7が回転駆動されると、外気が吸気孔aからリアブラケット2内に吸気され、リアブラケット2内を流通した後、排気孔2bからリアブラケット2外に排気される冷却風の流れが生成される。この冷却風とヒートシンク13,15との間で熱交換が行われ、整流器12およびレギュレータ14が冷却される。
【0012】
ここで、ヒートシンク13(15)は、図2に示されるように、例えば銅、アルミニウムなどを用いて直方体に作製された金属部材であり、その一面が素子取付面13a(15a)となっている。そして、多数の円形の通風孔30aが、孔方向を素子取付面13a(15a)と平行として、かつ、互いに平行として、ヒートシンク13(15)の素子取付面13a(15a)を挟んで相対する吸気側開孔面13b(15b)から排気側開孔面13c(15c)に貫通するように形成されている。これらの通風孔30aは、同一の直径を有し、孔方向と直交する断面内に千鳥状に配列されている。
【0013】
このように構成されたヒートシンク13,15は、整流器12を構成するダイオードやレギュレータ14を構成するICチップなどの発熱素子である半導体素子16をその素子取付面13a,15aに取り付け、吸気側開孔面13b(15b)を吸気孔2aに相対して、通風孔30aの孔方向を冷却風の流れ方向に略一致させてケース3内に設置される。例えば、整流器12を構成する半導体素子16、即ちダイオードが素子取付面13aに取り付けられたヒートシンク13は、吸気側開孔面13bを吸気孔2aに相対して、通風孔30aの孔方向をシャフト4の軸心と平行となるように設置されている。また、レギュレータ14を構成する半導体素子16、即ちICチップが素子取付面15aに取り付けられたヒートシンク15は、吸気側開孔面15bを吸気孔2aに相対して、通風孔30aの孔方向をシャフト4の軸心と直交し、かつ、シャフト4の軸心に向かうように設置されている。そして、冷却風導入壁17が、リアブラケット2の内壁面からヒートシンク13,15の吸気側開孔面13b、15bの近傍まで延設され、リアブラケット2の吸気孔2aから吸気された空気をヒートシンク13,15の通風孔30aに導くようになっている。
【0014】
このように構成された車両用交流発電機では、動作中、回転子6が回転駆動され、ファン7が回転子6に回転に連動して回転される。これにより、例えばリア側では、図1中矢印Aで示されるように、外気がリアブラケット2に穿設された吸気孔2aから吸気され、冷却風導入壁17に案内されてヒートシンク13,15の吸気側開孔面13b、15bまで流れ、通風孔30a内に流入する。そして、冷却風(外気)は、ヒートシンク13,15の通風孔30a内を流通する。この時、冷却風は、通風孔30aの内壁との間で強制対流熱伝達による熱交換を行い、半導体素子16の熱が冷却風に吸熱される。そして、通風孔30a内を流通した空気は、シャフト4に軸に沿って流れ、その後ファン7により遠心方向に曲げられ、固定子8のコイルエンドを通って排気孔2bから排出される。
【0015】
つぎに、通風孔30aを有するヒートシンク13の放熱性能について薄板状フィン29aを有する従来のヒートシンク29と比較して説明する。
一般に、ヒートシンクの放熱能力(放熱量:Q)は、放熱面積A、ヒートシンクと冷媒(例えば、空気)との温度差ΔT、ヒートシンクと冷媒との間の強制対流熱伝達率hとすると、Q=A×h×ΔTで表される。つまり、ΔTを固定して考えると、ヒートシンクの放熱性能は、放熱面積(A)あるいはヒートシンクと冷媒との間の強制対流熱伝達率(h)を増加させることで向上されることがわかる。
【0016】
まず、放熱面積について考える。
放熱面積に関して、ヒートシンク13と従来のヒートシンク29とを比較する。図3に示されるように、隙間D、高さN×Dの薄板状フィン29a間に直径Dの円をN個積み重ねる。N個の円における(全周長/全面積)を計算すると、4/Dとなる。一方、薄板状フィン29a間の空間(長方形)における(全周長/全面積)を計算すると、2×(N+1)/(N×D)となる。両者を比較すると、N>1の場合には、円の方が(全周長/全面積)の値が大きい。ヒートシンクに置き換えて考えると、(全周長/全面積)は(通風孔あるいは薄板状フィンの総内表面積)/(ヒートシンクの断面積)の指標であると言える。つまり、円の場合の(全周長/全面積)が薄板状フィンの場合より大きいということは、同一断面積のヒートシンクでは、断面円形の通風孔30aを有するヒートシンク13は、薄板状フィン29aを有するヒートシンク29より、放熱面積を大きくすることができることを意味する。
【0017】
ついで、熱伝達率について考える。
一般に、管内部の単位面積当たりの伝熱性能(熱伝達率)は、管径が小さくなるほど大きくなる。図3に示されるように、矩形溝と、溝と同程度の大きさの径をもつ通風孔とを考えた場合、水力学的な管径(等価直径)は、小径の方が小さくなる。つまり、通風孔30aの内表面の熱伝達率の方が高いと言える。
【0018】
このように、通風孔30aを有するヒートシンク13と薄板状フィン29aを有する従来のヒートシンク29とを同容積で比較した場合、ヒートシンク13は、従来のヒートシンク29より優れた放熱性能を有することが言える。また、ヒートシンク13と同様に構成されているヒートシンク15も、従来のヒートシンク29より優れた放熱性能を有することが言える。
【0019】
この実施の形態1によれば、断面円形の多数の通風孔30aが孔方向を素子取付面13a,15aと平行とし、かつ、孔方向を互いに平行としてヒートシンク13,15に形成されているので、ヒートシンク13,15の放熱性能を高めることができる。そこで、整流器12およびレギュレータ14の温度が過度に上昇することがなく、安定して動作する車両用交流発電機を実現できる。さらに、ヒートシンク13,15の単位容積当たりの放熱性能が向上できるので、ヒートシンク13,15の小型化が図られ、ひいては車両用交流発電機の小型化を図ることができる。
【0020】
また、通風孔30aが冷却風の流れ方向に直交する断面内で千鳥状に配列されているので、通風孔30aの径が同じならば、同一の断面積内で形成される通風孔30aの数を多くすることができる。そこで、通風孔30aの個数が増えることにより、通風孔30aの内表面積、つまりヒートシンク13,15の放熱面積が増加し、単位容積当たりの放熱性能を向上させることができる。
また、半導体素子16がヒートシンク13,15の相対する吸気側開孔面13b、15bおよび排気側開孔面13c、15cを除く一つの面(素子取付面13a,15a)に取り付けられているので、発熱体である複数の半導体素子16が比較的近接して配置される。そこで、複数の半導体素子16の電気的配線などが合理化でき、車両用交流発電機の小型化を図ることができる。
【0021】
ここで、ケース3内は、種々の部品が配設されており、それらの部品のレイアウトの都合上、ヒートシンク13,15の周囲には空間が空くこともある。薄板状フィン29aを有する従来のヒートシンク29では、フィン29a間に流入した冷却風は、ヒートシンク29の周囲に空間が空いていなければ、そのままフィン29a間を流れる。しかし、ヒートシンク29の周囲に空間が空いており、その空間の流れの圧損抵抗がフィン29a間の流れの圧損抵抗よりも小さい場合には、フィン29a間に流入した冷却風は、フィン29a間から空間に流れ出てしまう。これにより、フィン29a間を流れる冷却風の風量が減少してしまい、ヒートシンク29が所定の放熱性能を発揮できなくなる恐れがあった。
【0022】
しかし、冷却風導入壁17がリアブラケット2の内壁面からヒートシンク13,15の吸気側開孔面13b、15bの近傍まで延設されているので、冷却風導入壁17とヒートシンク13,15の吸気側開孔面13b、15bとの隙間の流れの圧損抵抗は、通風孔30a内の流れの圧損抵抗よりも十分に大きくなる。そこで、冷却風導入壁17に案内されて吸気側開孔面13b、15bまで流れてきた冷却風は、冷却風導入壁17と吸気側開孔面13b、15bとの隙間から空間側に流れ出ることなく通風孔30aに流入する。さらに、通風孔30aは吸入側および排気側開孔面13b、15bを除いてヒートシンク13,15の周囲から隔離されているので、吸入側から通風孔30aに流入した冷却風は、途中でヒートシンク13,15の周囲に流れ出ることなく、通風孔30a内を流通して排気側開孔面13c、15cから流出する。これにより、吸気孔2aから吸入された冷却風が効果的に熱交換に利用され、従来のヒートシンク29に比べて、放熱効率が高められるので、整流器12およびレギュレータ14の温度が過度に上昇することがなく、安定して動作する車両用交流発電機を実現できる。
【0023】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを開孔面側から見た端面図である。
【0024】
図4において、半導体素子16は、直方体に形成されているヒートシンク13の吸気側開孔面13bおよび排気側開孔面13cを除く4つの面に取り付けられている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0025】
多数の通風孔30aが、孔方向を素子取付面13aと平行として、かつ、互いに平行として、ヒートシンク13の素子取付面13aを挟んで相対する吸気側開孔面13bから排気側開孔面13cに貫通するように形成されている。これらの通風孔30aは、孔方向と直交する断面内に千鳥状に配列されている。そこで、通風孔30aの孔方向(冷却風の流れ方向)に直交する断面内の熱伝導による熱の流れはほぼ等方的となり、ヒートシンク13の相対する吸気側開孔面13bおよび排気側開孔面13cを除く他の4つの面を素子取付面13aとすることができる。
なお、ヒートシンク13と同様に構成されているヒートシンク15も、ヒートシンク15の相対する吸気側開孔面15bおよび排気側開孔面15cを除く他の4つの面を素子取付面15aとすることができる。
【0026】
一方、従来のヒートシンク29では、素子取付面がベース面に限られているので、半導体素子16の数が多くなると、ベース面を大きくする必要があり、ヒートシンク29が大型化してしまう。
【0027】
この実施の形態2では、ヒートシンク13,15の上記特性を利用して、半導体素子16をヒートシンク13、15の相対する吸気側開孔面13b、15bおよび排気側開孔面13c、15cを除く他の4つの面に取り付けるようにしているので、ヒートシンク13、15の大型化を抑えて多数個の半導体素子16を取り付けることができる。そこで、ケース3内の限られた空間内でのヒートシンク13,15の占める容積を最小限に抑え、車両用交流発電機の小型化を実現できる。
【0028】
なお、上記実施の形態2では、半導体素子16を4つの素子取付面に取り付けるものとしているが、半導体素子16を2つ以上の素子取付面に取り付けるようにすれば、1つの取付面に取り付ける場合に比べ、ヒートシンクの小型化が図られる。
【0029】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを開孔面側から見た端面図である。
【0030】
図5において、ヒートシンク13Aでは、断面円形の多数の通風孔30bが、孔方向を素子取付面13aと平行として、かつ、互いに平行として、素子取付面13aを挟んで相対する吸気側開孔面13bから排気側開孔面に貫通するように形成されている。これらの通風孔30bは、その直径が、素子取付面13aから離反する程大きくなるように形成されている。さらに、孔方向と直交する断面における通風孔30bの占める割合、即ち空隙率が、通風孔30bの径の大小に拘わらず、全面で一定となるように、隣り合う通風孔30b間の距離が調整されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0031】
ここで、同一径の通風孔30aが均一に形成されたヒートシンク13においては、半導体素子16で発生した熱は、熱伝導によりヒートシンク13を伝わりながら、通風孔30a内を流通する空気との対流熱伝達により取り去られる。この時、半導体素子16から離れたヒートシンク13の部分は、近接した部分に比べて、熱伝導で伝わる距離が長いので、温度が低下しやすい。そこで、当該部分では、通風孔30a内を流通する空気との温度差が小さくなるため、対流熱伝達により取り去られる熱量が減少し、当該部分の放熱性能が低下する。
【0032】
この実施の形態3では、孔方向と直交する断面の全面における空隙率を一定にしたまま、通風孔30bの直径を素子取付面13aから離れるほど大きくしているので、全体の放熱能力への寄与が小さい素子取付面13aから離れた部分の放熱性能が小さくなるが、圧力損失が低減される。そして、圧力損失が減ることにより、ヒートシンク13Aを通過する冷却風の風量が増加する。これにより、放熱性能への寄与が大きい素子取付面13aに近接した部分の放熱能力が向上し、全体としてヒートシンク13Aの放熱能力を向上させることができる。
従って、ヒートシンク13Aを用いることにより、整流器12およびレギュレータ14の温度が過度に上昇することがなく、より安定して動作する車両用交流発電機を実現できる。
【0033】
なお、上記実施の形態3では、通風孔30bの直径が素子取付面13aから離反する程大きくなるように通風孔30bを形成するものとしているが、通風孔30aの直径を同じくして、隣り合う通風孔30a間の距離が素子取付面13aから離反する程短くなるように通風孔30aを形成するようにしてもよい。
【0034】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを素子取付面側から見た上面図、図7はこの発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを開孔面側から見た端面図である。
【0035】
図6および図7において、ヒートシンク13Bでは、多数の通風孔30aが、孔方向を素子取付面13aと平行として、かつ、互いに平行として、素子取付面13aを挟んで相対する吸気側開孔面13bから排気側開孔面13cに貫通するように形成されている。これらの通風孔30aは、同一の直径を有し、孔方向と直交する断面内に千鳥状に配列されている。さらに、ヒートシンク13Bは、冷却風の流れ方向の中央から下流側の部分における孔方向と直交する断面積が、冷却風の流れ方向Aの中央から上流側の部分より大きく形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0036】
ここで、同一径の通風孔30aが均一に形成されたヒートシンク13において、半導体素子16が冷却風の流れ方向Aに1列に並んで素子取付面13a上に取り付けられている場合、通風孔30a内を流通する冷却風は、冷却風の流れ方向の上流側でヒートシンク13と熱交換して温度上昇して下流側に流れる。つまり、通風孔30a内を流れる冷却風の温度は、下流側ほど高くなる。そこで、下流側ではヒートシンク13と温度の高い冷却風とが熱交換することになり、下流側の半導体素子16の温度が上流側の半導体素子16より高くなる。そのため、上流側と下流側とで半導体素子16の温度に偏りが生じる恐れがある。
【0037】
この実施の形態4では、冷却風の流れ方向の中央から下流側の部分における孔方向と直交する断面積が、冷却風の流れ方向の中央から上流側の部分より大きく形成されているので、ヒートシンク13Bの冷却風の通過断面積は下流側が上流側より大きくなっている。
上流側における断面積(総通風孔内表面積)を小さく、下流側における断面積(総通風孔内表面積)を大きくすることは、上流側での流れの圧力損失が減り、ヒートシンク13Bを通過する冷却風の風量が増加する。そして、下流側では、冷却風の風量および総通風孔内表面積が増えた分、冷却性能が向上する。そこで、上流側と下流側とで半導体素子16の温度に偏りが生じなくなる。このように、限られたヒートシンク容積において、冷却風の流れ方向に配列された半導体素子16の温度が均一となるように冷却することができる。
【0038】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機をリア側から見た端面図である。
【0039】
図8において、吸気孔2aがヒートシンク13Cの吸気側開孔面13bと相対してリアブラケット2Aに設けられ、リブ18が吸気孔2aを横切って、かつ、吸気側開孔面13bと相対するようにリアブラケット2Aに設けられている。また、ヒートシンク13Cは、ヒートシンク13と同様に、例えば銅、アルミニウムなどを用いて直方体に作製された金属部材であり、その一面が素子取付面13aとなっている。そして、断面円形の多数の通風孔30a,30cが、孔方向を素子取付面13aと平行として、かつ、互いに平行として、ヒートシンク13Cの素子取付面13aを挟んで相対する吸気側開孔面13bから排気側開孔面に貫通するように形成されている。これらの通風孔30a,30cは、孔方向と直交する断面内に千鳥状に配列されている。また、リブ18と相対する領域における通風孔30cは、その直径を他の領域における通風孔30aより大きく形成されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0040】
この実施の形態5によれば、リブ18が吸気孔2aを横切ってリアブラケット2Aに設けられているので、吸気孔2a周りのリアブラケット2Aの機械的強度が大きくなり、信頼性の高い車両用交流発電機を提供できる。
【0041】
ここで、同一径の通風孔30aが均一に形成されたヒートシンク13において、リブ18が吸気側開孔面13bに対応して配設されている場合、リブ18と重なる部分の通風孔30aでは、リブ18が冷却風の流れの圧力損失となり、リブ18と重ならない部分の通風孔30aと比較して、冷却風が流入しにくくなる。そのため、ヒートシンク13,15のリブ18と重なる部分の放熱性能が他の部分より悪くなり、整流器12およびレギュレータ14を均一に冷却できなくなる恐れがある。
【0042】
この実施の形態5では、リブ18と相対する領域における通風孔30cの直径が他の領域における通風孔30aの直径より大きくなっているので、流れの圧力損失が他の領域より低減し、冷却風が通風孔30cに流入しやすくなる。そこで、リブ18を設けることによる通風孔30a,30cを通過する冷却風の風量の偏りが解消され、ヒートシンク13Cの放熱性能を均一化することができる。
【0043】
実施の形態6.
図9はこの発明の実施の形態6に係る車両用交流電動発電機を示す縦断面図、図10はこの発明の実施の形態6に係る車両用交流電動発電機をリア側から見た端面図である。
【0044】
図9および図10において、車両用交流電動発電機は、それぞれ略椀形状のアルミニウム製のフロントブラケット1およびリアブラケット2と、フロントブラケット1およびリアブラケット2に回転自在に支持されたシャフト4と、ケース3のフロント側に延出するシャフト4の端部に固着されたプーリ5と、シャフト4に固定されてフロントブラケット1およびリアブラケット2内に収容された回転子6と、この回転子6の軸方向の両端面に固定されたファン7と、回転子6を囲繞するようにフロントブラケット1およびリアブラケット2の内壁面に固定された固定子8とを備えている。そして、スリップリング9が、リアブラケット2のリア側に延出するシャフト4の端部に固定され、一対のブラシ10がブラシホルダ11に収納されてスリップリング9に摺動するようにリアブラケット2の軸方向のリア側外方に配設されている。
【0045】
また、パワー素子ユニット19がリアブラケット2の軸方向のリア側外方に配設されている。パワー素子ユニット19は、発電素子である複数のスイッチング素子20を備えている。そして、複数のスイッチング素子20は、ヒートシンク13の素子取付面13a上に取り付けられている。また、お椀状のインサートケース21がブラシホルダ11およびパワー素子ユニット19を覆うようにリア側外方からリアブラケット2に取り付けられている。そして、制御回路が組み込まれた制御回路基板22がインサートケース21の制御回路基板収納部21a内に収納され、さらにカバー23が制御回路基板収納部21aを塞口するようにインサートケース21に取り付けられている。
【0046】
また、ケース吸気孔21bがヒートシンク13の吸気側開孔面13bに相対するようにインサートケース21に穿設され、冷却風導入壁17がインサートケース21の内壁面からヒートシンク13の吸気側開孔面13bの近傍まで延設されている。
なお、フロントブラケット1およびインサートケース21がケースに相当する。
【0047】
このように構成された車両用交流電動発電機では、車両のエンジンの始動時には、スイッチング素子20がON/OFF制御され、交流電流が固定子8の固定子巻線に供給され、界磁電流が回転子6の界磁コイルに供給される。これにより、回転子6が回転駆動され、シャフト4の回転力がプーリ5およびベルト(図示せず)を介してエンジンの出力軸に伝達され、エンジンが始動される。
エンジンが始動されると、エンジンの回転力がベルトおよびプーリ5を介してシャフト4に伝達され、シャフト4が回転される。そして、界磁電流がブラシ10およびスリップリング9を介して界磁コイルに供給されると、界磁コイルが励磁されて電磁石となる。この状態で、回転子6が固定子8内を回転することにより、固定子巻線に順次交流電流が誘起される。そして、スイッチング素子20がON/OFF制御されて、この三相の交流電流が直流電流に整流され、バッテリが充電される。
【0048】
このスイッチング素子20はON/OFF制御される際に、熱を発生する。この車両用交流電動発電機が正常に動作するためには、スイッチング素子20で発生した熱を取り去る必要がある。
そして、車両用交流電動発電機の動作中、回転子6が回転駆動され、ファン7が回転子6に回転に連動して回転される。これにより、例えばリア側では、図9中矢印Aで示されるように、外気がケース吸気孔21bから吸気され、冷却風導入壁17に案内されてヒートシンク13の通風孔開孔面まで流れ、通風孔30a内に流入する。そして、冷却風(外気)は、ヒートシンク13の通風孔30a内を流通する。この時、冷却風は、通風孔30aの内壁との間で強制対流熱伝達による熱交換を行い、スイッチング素子20の熱が冷却風に吸熱される。そして、通風孔30a内を流通した冷却風は、吸気孔2aを通ってリアブラケット2内に流入し、ついでファン7により遠心方向に曲げられ、固定子8のコイルエンドを通って排気孔2bから排出される。
【0049】
この実施の形態6では、ヒートシンク13には、上記実施の形態1と同様に、多数の通風孔30aが孔方向を素子取付面13aと平行とし、かつ、孔方向を互いに平行として形成されているので、薄板状フィン29aを有する従来のヒートシンク29に比べて、ヒートシンク13の放熱性能を高めることができる。そこで、このヒートシンク13を用いてスイッチング素子20の熱を取り去っているので、放熱性に優れた制御装置一体型の車両用交流電動発電機を実現できる。
また、この実施の形態6においても、ヒートシンク13の単位容積当たりの放熱性能が向上できるので、ヒートシンク13の小型化が図られ、ひいては車両用交流電動発電機の小型化を図ることができる。
【0050】
また、通風孔30aが冷却風の流れ方向に直交する断面内で千鳥状に配列されているので、上記実施の形態1と同様に、単位容積当たりの放熱性能を向上させることができる。
また、冷却風導入壁17がインサートケース21の内壁面からヒートシンク13の吸気側開孔面13bの近傍まで延設されているので、ケース吸気孔21bから吸入された冷却風が効果的に熱交換に利用され、スイッチング素子20の温度が過度に上昇することがなく、安定して動作する車両用交流電動発電機を実現できる。
【0051】
なお、上記各実施の形態では、車両用回転電機として車両用交流発電機および車両用電動発電機に適用するものとして説明しているが、本発明は、車両用回転電機として車両用交流電動機に適用しても同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を示す縦断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクの構成を説明する斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクの放熱特性を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを開孔面側から見た端面図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを開孔面側から見た端面図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを素子取付面側から見た上面図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機におけるヒートシンクを開孔面側から見た端面図である。
【図8】この発明の実施の形態5に係る車両用交流発電機をリア側から見た端面図である。
【図9】この発明の実施の形態6に係る車両用交流電動発電機を示す縦断面図である。
【図10】この発明の実施の形態6に係る車両用交流電動発電機をリア側から見た端面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 フロントブラケット、2 リアブラケット、2a 吸気孔、2b 排気孔、3 ケース、4 シャフト、6 回転子、7 ファン、8 固定子、13,13A、13B、13C、15 ヒートシンク、13a,15a 素子取付面、13b、15b 吸気側開孔面、13c、15c 排気側開孔面、16 半導体素子(発熱素子)、17 冷却風導入壁、18 リブ、20 スイッチング素子(発熱素子)、21 インサートケース(ケース)、21b ケース吸気孔、30a、30b、30c 通風孔、A 冷却風の流れ方向。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013