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電力系統脱調予測装置 - 三菱電機株式会社
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発明の名称 電力系統脱調予測装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−60870(P2007−60870A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−246105(P2005−246105)
出願日 平成17年8月26日(2005.8.26)
代理人 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照
発明者 関 建平
要約 課題
脱調予測ができるとともに確実に脱調中心を特定することのできる電力系統脱調予測装置を提供する。

解決手段
電力系統脱調予測装置は、少なくとも1つの発電機と母線とを含むとともに上記母線が連絡線を介して接続されることにより連系されている複数の電力系統における上記発電機の脱調を予測する電力系統脱調予測装置にあって、上記連絡線の一端に接続された上記母線の電圧と上記連絡線から該母線に流れる電流とから上記一端に連系された上記発電機がそのまま運転を継続したとき脱調に至ることを予測する。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも1つの発電機と母線とを含むとともに上記母線が連絡線を介して接続されることにより連系されている複数の電力系統における上記発電機の脱調を予測する電力系統脱調予測装置にあって、
上記連絡線の一端に接続された上記母線の電圧と上記連絡線から該母線に流れる電流とから上記一端に連系された上記発電機がそのまま運転を継続したとき脱調に至ることを予測することを特徴とする電力系統脱調予測装置。
【請求項2】
基準波の1周期のN(Nは正の整数)分の1の周期で上記母線の電圧と上記連絡線から該母線に流れる電流とを計測する電圧・電流計測手段と、
上記電圧と上記電流とを計測した各タイミングにおいて、自らのタイミングを含む過去のN個のタイミングにおける計測された上記電圧および上記電流から自らのタイミングにおける電圧実効値および電流実効値を求める電圧実効値・電流実効値算出手段と、
上記電圧と上記電流とを計測した各タイミングにおいて、自らのタイミングを含む過去のN個のタイミングにおける計測された上記電圧および上記電流から
【数1】


(但し、vAre、vBre、vCreは自らのタイミングを含む過去のN個のタイミングにおける計測された各電圧、iAre、iBre、iCreは自らのタイミングを含む過去のN個のタイミングにおける計測された各電流、Pは自らのタイミングにおける算出された有効電力)
に従って上記各タイミングにおける上記連絡線から該母線に流れる有効電力を算出し、
【数2】


(但し、V、V、Vは自らのタイミングにおける算出された相毎の電圧実効値、I、I、Iは自らのタイミングにおける算出された相毎の電流実効値、Qは自らのタイミングにおける算出された無効電力)
に従って上記各タイミングにおける上記連絡線から該母線に流れる無効電力を算出する有効電力・無効電力算出手段と、
上記電圧と上記電流とを計測した各タイミングにおいて、上記無効電力と上記有効電力とから
【数3】


(但し、θは自らのタイミングにおける該母線の電圧と上記連絡線から該母線に流れる電流との位相差)
に従って上記各タイミングにおける該母線の電圧と上記連絡線から該母線に流れる電流との位相差を算出する電圧電流間位相差算出手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載する電力系統脱調予測装置。
【請求項3】
上記電圧と上記電流とを計測した各タイミングにおいて、
【数4】


(但し、Vは自らのタイミングにおける算出された電圧実効値、Iは自らのタイミングにおける算出された電流実効値、Xは上記連絡線のリアクタンス、δは自らのタイミングにおける算出された上記連絡線の両端間の位相差)
に従って上記各タイミングにおける上記連絡線の両端間の位相差を算出する母線間位相差算出手段を有することを特徴とする請求項2に記載する電力系統脱調予測装置。
【請求項4】
上記連絡線の両端間の位相差に関する1階微分および2階微分がそれぞれ零を超え、且つ上記連絡線から上記一端に流れる有効電力に関する1階微分が零未満であるとともに上記連絡線から上記一端に流れる電流と同位相の中心電圧が所定の閾値より小さいという4つの条件のすべてを同時に予め定められた回数満足したとき、上記一端に連系された上記発電機がそのまま運転を継続したとき脱調に至るとともに上記連絡線に脱調中心が現れると予測することを特徴とする請求項3に記載する電力系統脱調予測装置。
【請求項5】
脱調に至ると予測したとき電力系統の安定度を制御する装置に対して安定度向上対策を上記電力系統に施すように指令することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載する電力系統脱調予測装置。
【請求項6】
上記電力系統に安定度向上対策を施した後で再度脱調に至ると予測したとき上記連絡線を遮断するように遮断器に指令することを特徴とする請求項5に記載する電力系統脱調予測装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力系統の連系線の両端の発電機群の間に生じる脱調を予測する電力系統脱調予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力系統の脱調検出装置は、電力系統の連系線の電圧および電流を取込むアナログ・デジタル変換装置と、その電圧および電流を基に、判断時点までの所定区間の電圧および電流の平均値を求める平均値算出手段と、その電圧および電流の平均値の最大値および最小値を求めて記憶しておく最大・最小判定記憶手段と、その電圧と電流とから位相差を算出する位相差演算手段と、位相差が90度を超えたと判断した場合に、測定電圧の平均値が記憶しておいた電圧の平均値の最小値を中心した一定の範囲で、測定電流の平均値が記憶しておいた電流の平均値の最大値を中心とした一定の範囲であったときに、脱調と判断する脱調判定手段とを備えたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−194863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の脱調検出装置は、連系線の両端における電圧の位相差が180度を超えて発電機がすでに脱調に至ったときに、一端における電圧と一端に流れる電流の位相差が90度を超えたことを検出するので、発電機を系統から脱離することしかできないという問題がある。
また、一端から脱調ローカスの生じる箇所までのリアクタンスを一端における電圧と電流から求めて、連系線の単位長さのリアクタンスを用いて一端から脱調ローカスの生じる箇所までの距離を求めるので、脱調中心の判定が困難であるという問題がある。
また、電力系統の母線間の位相差を考慮していないために、誤判定が行われやすいという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、脱調予測ができるとともに確実に脱調中心を特定することのできる電力系統脱調予測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる電力系統脱調予測装置は、少なくとも1つの発電機と母線とを含むとともに上記母線が連絡線を介して接続されることにより連系されている複数の電力系統における上記発電機の脱調を予測する電力系統脱調予測装置にあって、上記連絡線の一端に接続された上記母線の電圧と上記連絡線から該母線に流れる電流とから上記一端に連系された上記発電機がそのまま運転を継続したとき脱調に至ることを予測する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係わる電力系統脱調予測装置の効果は、上記連絡線の一端に接続された上記母線の電圧と上記連絡線から該母線に流れる電流とから算出される母線間位相差、有効電力の時系列的な傾向と中心電圧がそのまま運転を続けると脱調に至ってしまうという分岐点としての不安定平衡点を超えたときの条件をすべて満足したとき脱調に至ると予測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明に係わる電力系統脱調予測装置が採用している脱調予測の原理を説明する。
まず1台の発電機が無限大母線に連系しているときの発電機が脱調に至る様子を説明する。図1は、1機無限大母線系統に接続される発電機の内部電圧の位相角δと電気的出力Peとの関係を示すP−δ曲線図である。内部電圧の位相角δは、無限大母線の電圧の位相角をゼロとしたときの値である。
1機無限大母線系統に接続されている発電機の運動方程式は式(1)により表される。
【0009】
【数1】


【0010】
但し、Pmは発電機の機械的入力、Peは発電機の電気的出力、δは発電機の内部電圧の位相角、Mは発電機の慣性定数である。
発電機の運転点は、事故などに係わって系統擾乱がある場合、P−δ曲線に沿って移動する。図1のC点は不安定平衡点である。そして、発電機の運転点が、不安定平衡点C点より位相角δが大きな側に移ると、そのままの運転を続けると運転点が逆に戻ることができずに発電機は加速して脱調に至っていく。
そして、発電機の運転点がC点より位相角の大きな側に移る条件は3つある。
第1の条件は、位相角δが増大していることであり、式(2)に示されるように、発電機の位相角δの1階微分が零を超えていることである。
第2の条件は、電気的出力Peが機械的入力Pm未満にあることであり、式(1)の左辺のMは正の実数であるので、式(3)に示されるように、発電機の位相角δの2階微分が零を超えていることである。
第3の条件は、発電機の電気的出力Peが減少傾向にあることであり、式(4)に示されるように、発電機の電気的出力Peの1階微分が零未満であることである。
【0011】
【数2】


【0012】
このように1機無限大母線系統の発電機では、上述の3つの条件がすべて満足したとき、そのまま運転を続けると脱調(発電機の内部電圧の位相角δが180度を超える)に至ることを運転点が不安定平衡点C点を超えることにより予測できる。
そして、これらの関係を図2に示すような2つの電力系統(A系統1aとB系統1b)が連絡線2により連系されている場合について検討する。図2は、2つの電力系統が連絡線により連系されている様子を示す図である。この場合、A系統1aの発電機3の内部電圧の位相角は、上述の1機無限大母線系統の場合と同様に、上述の3つの条件を満足するときこの発電機3はそのまま運転を続けると脱調に至ると予測できる。連絡線2がA系統1aのM母線4aとB系統1bのN母線4bとを連系しているとき、M母線4aの電圧とN母線4bの電圧の位相差δおよび連絡線2を経由してM母線4aに流れる有効電力Pに関する上述の3つの条件は維持されている。そして、その連絡線2に脱調中心が来ることを判別すれば、A系統1aに連系する発電機3がそのまま運転を続けると脱調に至ると予測することができる。
【0013】
そこで、発電機3の脱調を予測するために、M母線4aの電圧とN母線4bの電圧の位相差δおよび連絡線2を経由してM母線4aに流れる有効電力Pを求めて、上述の条件を満足するか否かを判断すれば良い。
そして、スパイラルベクトル理論に基づいてN母線4bにおける電圧v(t)は、式(5)のように表される。但し、VはM母線4aの電圧実効値、ωは回転ベクトルの角速度、Iは連絡線2を流れる電流実効値、θはM母線4aの電圧と連絡線2を流れる電流との位相差、XMNは連絡線2のインピーダンスである。
【0014】
【数3】


【0015】
そして、時間tを零とし、M母線4aの電圧の位相を零とすると、式(5)は式(6)として表される。この式(6)をN母線4bの電圧実数瞬時値vNreと電圧虚数瞬時値vNimに分けて式(7)、式(8)のように表される。
【0016】
【数4】


【0017】
そこで、M母線4aの電圧の位相を零としているので、M母線4aの電圧とN母線4bの電圧との位相差δは、式(9)のように表される。
【0018】
【数5】


【0019】
また、脱調中心が連絡線2に入るか否かを検出するための第4の条件は、図3に示すように連絡線2の電流Iと同じ位相θの電圧として定義される中心電圧Vが予め定める閾値より小さいことである。図3は、複素数平面上に回転ベクトルを表した図である。
このようにM母線4aの電圧の位相とN母線4bの電圧の位相の位相差δ、連絡線2からM母線4aに流れる有効電力Pおよび中心電圧Vを求めて、第1の条件乃至第4の条件をすべて満足するとき、発電機3をそのまま運転すると脱調に至ると予測できる。
【0020】
実施の形態1.
次に、この発明の実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置について説明する。この電力系統脱調予測装置10は、図4に示すような連絡線2で連系されている一方の電力系統1aのM母線4aで測定された値を用いて発電機G3の脱調を予測し、遮断器9を開放する。図4は、実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置を配備した電力系統である。
また、M母線4aの電圧は、デジタル電圧出力端子を有する電圧計7で計測され、連絡線2を流れる電流は、デジタル電流出力端子を有する計器用変流器8で計測されて電力系統脱調予測装置10に入力される。
【0021】
実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置10は、図5に示すように、所定のタイミングごとにM母線4aの電圧実数瞬時値と連絡線2からM母線4aに流れる電流実数瞬時値とを計測する電圧・電流計測手段11、計測された電圧実数瞬時値および電流実数瞬時値をデジタルの電圧実数瞬時値およびデジタルの電流実数瞬時値に変換するA/D変換手段12を有する。
【0022】
さらに、電力系統脱調予測装置10は、所定のタイミングごとにデジタルの電圧実数瞬時値およびデジタルの電流実数瞬時値を記憶する記憶手段13、所定のタイミングごとにデジタルの電圧実数瞬時値から電圧実効値、デジタルの電流実数瞬時値から電流実効値を算出する電圧・電流実効値算出手段14、所定のタイミングごとにデジタルの電圧実数瞬時値およびデジタルの電流実数瞬時値から有効電力、電圧実効値と電流実効値と有効電力から無効電力を算出する有効電力・無効電力算出手段15、所定のタイミングごとに有効電力と無効電力とからM母線4aの電圧と連絡線2からM母線4aに流れる電流との電圧電流間位相差を算出する電圧電流間位相差算出手段16、所定のタイミングごとに電圧実効値と電流実効値とM母線4aの電圧と連絡線2からM母線4aに流れる電流との位相差と予め定められたインピーダンスとからM母線4aの電圧とN母線4bの電圧との母線間位相差を算出する母線間位相差算出手段17を有する。
【0023】
さらに、電力系統脱調予測装置10は、母線間位相差から母線間位相差1階微分を算出する母線間位相差1階微分算出手段18、母線間位相差1階微分から母線間2階微分を算出する母線間位相差2階微分算出手段19、有効電力から有効電力1階微分を算出する有効電力1階微分算出手段20、電圧実効値と電圧電流間位相差から中心電圧を算出する中心電圧算出手段21、母線間位相差1階微分と母線間位相差2階微分と有効電力1階微分と中心電圧がすべて条件を満たしているとき脱調に至ると予測する脱調予測手段22、脱調と予測されたときデジタル開極操作指令を送信する系統分離指令手段23を有する。
【0024】
さらに、電力系統脱調予測装置10は、デジタル開極操作指令を受信する遮断器操作指令受信手段24、デジタルな開閉極操作指令を対象機器に送信する遮断器操作実施手段25を有する。
【0025】
さらに、記憶手段13、電圧・電流実効値算出手段14、有効電力・無効電力算出手段15、電圧電流間位相差算出手段16、母線間位相差算出手段17、母線間位相差1階微分算出手段18、母線間位相差2階微分算出手段19、有効電力1階微分算出手段20、中心電圧算出手段21、脱調予測手段22、系統分離指令手段23は、コンピュータによって構成されている。コンピュータは、CPU、RAM、ROMおよびインタフェース回路を有している。
また、遮断器操作指令受信手段24と遮断器操作実施手段25は、デジタル量処理ユニットからなる。
【0026】
次に、実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置10により脱調を予測する手順を図6を参照して説明する。
電圧実数瞬時値、電流実数瞬時値を計測する時点(以下、計測タイミングと称す。)は、サンプリング周期を定めることにより決まる。サンプリング周期は電力系統の基準波の1周期をN(Nは正の整数)等分できる値であればよい。基準波の1周期は、電気角度で表して2π(ラジアン)である。例えば、基準波の電気角度π/6、π/12、π/24、π/48などをサンプリング周期にあらかじめ設定する。
【0027】
基準波の周波数fは、50Hzとし、基準波の1周期を12等分できるπ/6をサンプリング周期とする。刻み幅Δt(秒)は0.00166666667秒となる。kは計測タイミングの順番を表し、基準波の1周期では1から12となる。計測タイミングk=1とk=2の間で基準波電気角度30度回転する。
【0028】
ステップ101で、計測タイミング毎に、電圧・電流計測手段11は測定対象のM母線4aの電圧と連絡線2からM母線4aに流れる電流を計測する。計測タイミングのうちの任意のタイミングをkで表す。このタイミングの1回前のタイミングを(k−1)で、次のタイミングを(k+1)で表す。次に、A/D変換手段12は、アナログ信号である計測した電圧および電流をデジタル電圧信号およびデジタル電流信号にA/D変換する。この値を記憶手段13に記憶する。M母線の電圧瞬時値vMA(k)、vMB(k)、v(k)を複素数平面上の原点0を中心に反時計方向に回転する電圧回転ベクトルで表現したとき、この計測した電圧は、電圧実数瞬時値vAre(k)、vBre(k)、vre(k)である。連絡線2からM母線4aに流れる電流瞬時値i(k)、i(k)、i(k)を複素数平面上の原点0を中心に反時計方向に回転する電流回転ベクトルで表現したとき、この計測した電流は、電流実数瞬時値iAre(k)、iBre(k)、iCre(k)である。
【0029】
ステップ102で、電圧・電流実効値算出手段14が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、自らのタイミングを含む、自らのタイミングから過去の12個のタイミングで計測された電圧から、基準波の1周期の間の電圧実効値V(k)、V(k)、V(k)を式(10)〜式(12)から電圧実数瞬時値vAre、vBre、vCrを用いて算出する。それから、M母線4aの電圧実効値V(k)を式(13)から電圧実効値V(k)、V(k)、V(k)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0030】
【数6】


【0031】
また、電圧・電流実効値算出手段14が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、自らのタイミングを含む、自らのタイミングから過去の12個のタイミングで計測された電流から、基準波の1周期の間の電流実効値I(k)、I(k)、I(k)を式(14)〜式(16)から電流実数瞬時値iAre、iBre、iCreを用いて算出する。それから、連絡線2からM母線4aに流れる電流実効値I(k)を式(17)から電流実効値I(k)、I(k)、I(k)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0032】
【数7】


【0033】
ステップ103で、有効電力・無効電力算出手段15が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、連絡線2からM母線4aに流れる有効電力P(k)を式(18)から電圧実数瞬時値vAre(k)、vBre(k)、vCre(k)と電流実数瞬時値iAre(k)、iBre(k)、iCre(k)とを用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
また、有効電力・無効電力算出手段15が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、連絡線2からM母線4aに流れる無効電力Q(k)を式(19)から電圧実効値V(k)、V(k)、V(k)、電流実効値I(k)、I(k)、I(k)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0034】
【数8】


【0035】
ステップ104で、電圧電流間位相差算出手段16が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、M母線4aの電圧と連絡線2を流れる電流との位相差θ(k)(ラジアン)を式(20)から有効電力P(k)と無効電力Q(k)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0036】
【数9】


【0037】
ステップ105で、母線間位相差算出手段17が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、M母線4aの電圧とN母線4bの電圧との位相差δ(k)(ラジアン)を式(21)から電圧実効値V(k)、電流実効値I(k)、位相差θ(k)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。なお、XMNは、予め求められているM母線とN母線間のリアクタンスである。
【0038】
【数10】


【0039】
ステップ106で、母線間位相差1階微分算出手段18が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、母線間位相差1階微分ω(k)を式(22)から計測タイミングkと(k−1)における母線間位相差δ(k)、δ(k−1)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0040】
【数11】


【0041】
ステップ107で、母線間位相差2階微分算出手段19が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、母線間位相差2階微分α(k)を式(23)から計測タイミングkと(k−1)における母線間位相差1階微分ω(k)、ω(k−1)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0042】
【数12】


【0043】
ステップ108で、有効電力1階微分算出手段20が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、線路有効電力1階微分P’(k)を式(24)から計測タイミングkと(k−1)における有効電力P(k)、P(k−1)を用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0044】
【数13】


【0045】
ステップ109で、中心電圧算出手段21が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、中心電圧V(k)を式(25)から電圧実効値V(k)と位相差θ(k)とを用いて算出する。この値を記憶手段13に記憶する。
【0046】
【数14】


【0047】
ステップ110で、脱調予測手段22が、計測タイミングのそれぞれのタイミングにおいて、母線間位相差1階微分ω(k)、母線間位相差2階微分α(k)、有効電力1階微分P’(k)および中心電圧V(k)が同時に式(26)〜式(29)の関係を満足しているとき、発電機3の運転をそのままにすると脱調に至ると予測する。なお、VSETは、例えば0.3PUのように予め定められた設定値である。
ステップ111で、脱調予測手段22が発電機3が脱調に至ると予測したとき系統分離指令手段23が、デジタル量処理ユニットに開放操作指令を送信する。
【0048】
【数15】


【0049】
ステップ112で、デジタル量処理ユニットは開放操作指令を受信すると、該当する遮断器9を開放し、連絡線2を遮断する。
【0050】
このような電力系統脱調予測装置10は、自端情報すなわちM母線4aの電圧とN母線4bにM母線4aを連系する連絡線2からM母線4aに流れる電流との実数瞬時値からM母線4aとN母線4bとの電圧の位相差、連絡線2を流れる有効電力および中心電圧を算出し、算出されたこれらの値の時系列的な傾向がM母線4a側につながる発電機3がそのまま運転したとしたら脱調に至ってしまい、戻ることのできない分岐点を超えたことを示したとき当該連絡線2に脱調中心が表れると予測することができる。
【0051】
また、計測された母線4aの電圧と連絡線2から母線4aに流れる電流とを実数瞬時値としてスパイラルベクトル理論に基づいて有効電力が求められるので、非常に安定している電圧と電流間の位相差を算出することができる。
【0052】
また、連絡線4の一端で得られた電圧実効値、電流実効値およびM母線4aの電圧と連絡線2からM母線4aに流れる電流との位相差を用いてスパイラルベクトル理論の回転ベクトル方程式によりN母線4bの電圧が求められるので、連絡線2の一端の情報だけで他端の情報を得ることができる。
【0053】
なお、電圧実効値V(k)、電流実効値I(k)、有効電力P(k)、無効電力Q(k)は、三相に亘って求めているが、一相だけに関して求めてもよい。
【0054】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係わる電力系統脱調予測装置を配備して脱調の予測をシミュレーションしたEAST10モデル系統である。
この発明の実施の形態2に係わる電力系統脱調予測装置は、電気学会の電力系統解析標準モデルの1つであるEAST10モデル系統の11母線に設置されている。すなわち、11母線が自端であり、他の21母線との連絡線が11連絡線であり、11母線につながっている発電機が発電機G1である。
そして、点Aにおいて三相短絡事故が発生し、70ms後に復旧したときのEAST10モデル系統の変化をシミュレーションする。このとき、比較のためにモデル系統に含まれる発電機G1〜G10の内部電圧の位相角を計測すると、図8に示すように、11母線につながっている発電機G1が0.9秒後に脱調していることが分かる。なお、図示しないが、他の発電機は脱調しなかった。
【0055】
11母線に配置された電力系統脱調予測装置10は、11母線の電圧と11連絡線の電流との実数瞬時値を計測し、それから実施の形態1と同様にして11母線と21母線の電圧の母線間位相差、母線間位相差1階微分、母線間位相差2階微分を求める。その結果をそれぞれ図9〜図11に示す。
また、電力系統脱調予測装置10は、11母線の電圧と11連絡線の電流との実数瞬時値を計測し、基準波の1サイクルの実数瞬時値を用いて電圧実効値と電流実効値を算出し、実施の形態1と同様にして11母線に11連絡線から流れる有効電力を算出し、有効電力1階微分を求める。その結果を図12に示す。
また、電力系統脱調予測装置10は、電圧実効値と11母線の電圧と11連絡線から11母線に流れる電流の電圧電流間位相差とを用いて、電圧実効値と電圧電流間位相差の余弦との積からなる中心電圧を求める。その結果を図13に示す。
このようにして求められた母線間位相差1階微分、母線間位相差2階微分、有効電力1階微分、中心電圧に関して式(26)〜式(29)を満足するか否かを図14に示すように判断する。そして、4つの条件が満足したとき発電機G1はこのまま運転すると脱調に至ると予測し11母線を系統から解列する。
【0056】
このシミュレーションによれば発電機G1に対する脱調予測が0.53秒で行うことができ、特許文献1の脱調を検出する方法により1.03秒掛かるのに対比して0.5秒も早期に脱調を予測できる。
【0057】
実施の形態3.
実施の形態1に係わる発電機は電力系統に対して同期を失い内部電圧の位相角が単調に発散する発電機を例に挙げて、脱調を予測する4つの条件のすべてを同時に満足したとき発電機が脱調に至ると予測している。
しかし、発電機の中には制動トルク係数が負で、内部電圧の位相角が複数回振動してから発散する発電機がある。このような発電機に連系している母線の場合、脱調を予測する4つの条件のすべてを同時に所定の回数だけ満足したとき、発電機がそのまま運転を継続すると脱調に至ると予測する。
【0058】
このような電力系統脱調予測装置は、脱調を予測する4つの条件のすべてを同時に所定の回数だけ満足したとき脱調に至ると予測するので、発電機の内部電圧の位相角が複数回振動してから発散する発電機に対しても正確に脱調を予測できる。
【0059】
実施の形態4.
図15は、この発明の実施の形態4に係わる電力系統脱調予測装置が配備された電力系統の構成図である。図16は、実施の形態4に係わる電力系統脱調予測装置の機能ブロック図である。
実施の形態4に係わる電力系統は、図15に示すように、A系統に2台の発電機3a、3bが連系されており、発電機3a、3bと母線4aとの間に遮断器9b、9cが介設されていることが実施の形態1に係わる電力系統と異なりその他は同様である。このように2台の発電機3a、3bが連系されていると、遮断器9b、9cを遮断することにより電力系統の安定度を制御することができる。なお、電力系統の安定度を制御する装置として遮断器9b、9cを例に挙げて以下説明するが、制動抵抗器、高速バルブ制御装置、超高速励磁装置、直列コンデンサなど電力系統の安定度を制御できるものであればこの発明に適用することができる。
【0060】
また、実施の形態4に係わる電力系統脱調予測装置10Bは、図16に示すように、実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置10に安定度制御手段30が追加されており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態4に係わる安定度制御手段30は、脱調予測手段22が発電機3a、3bを1つの発電機と見なして脱調に至ると予測したとき、一方の発電機3bを母線4aから解列することにより不安定平衡点を大きな位相側に移して発電機3aの内部電圧の位相角を不安定平衡点より小さい位相側に来るようにする。このように発電機3bを一台解列することにより、他の発電機3aが脱調に至ることを防止することができる。
【0061】
また、実施の形態4に係わる電力系統脱調予測装置10Bは、安定度制御手段30により電力系統の安定度を制御した後で再度脱調を予測する4つの条件のすべてを同時に満足したとき、遮断器9aを遮断することにより、A系統1aをB系統1bから解列する。
【0062】
このような電力系統脱調予測装置10Bは、脱調と予測したときに電力系統の安定度を制御する装置に対して安定度向上対策を電力系統に施すように指令するので、系統分離を避けることができる。
【0063】
また、一旦安定度向上対策を電力系統に施した後でも脱調に至ると予測したとき系統分離を指令するので、発電機が脱調する前に系統分離を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】1機無限大母線系統に接続される発電機の内部電圧の位相角δと電気的出力Peとの関係を示すP−δ曲線図である。
【図2】2つの電力系統が連絡線により連系されている様子を示す図である。
【図3】複素数平面上に回転ベクトルを表した図である。
【図4】実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置を配備した電力系統である。
【図5】実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置の機能ブロック図である。
【図6】実施の形態1に係わる電力系統脱調予測装置により脱調を予測する手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係わる電力系統脱調予測装置を配備して脱調の予測をシミュレーションしたEAST10モデル系統である。
【図8】図7の発電機G1の内部電圧の位相角の推移を示す図である。
【図9】図7の11母線と21母線との間の位相差の推移を示す図である。
【図10】図9の位相差の1階微分の推移を示す図である。
【図11】図9の位相差の2階微分の推移を示す図である。
【図12】図7の11連絡線から11母線に流れる有効電力の1階微分の推移を示す図である。
【図13】中心電圧の推移を示す図である。
【図14】脱調を予測する4つの条件を満足している様子を示す図である。
【図15】実施の形態4に係わる電力系統脱調予測装置を配備した電力系統である。
【図16】実施の形態4に係わる電力系統脱調予測装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
1a、1b 電力系統、2 連絡線、3、3a、3b 発電機、4a、4b 母線、7 電圧計、8 計器用変流器、9、9a、9b、9c 遮断器、10、10b 電力系統脱調予測装置、11 電圧・電流計測手段、12 A/D変換手段、13 記憶手段、14 電圧・電流実効値算出手段、15 有効電力・無効電力算出手段、16 電圧電流間位相差算出手段、17 母線間位相差算出手段、18 母線間位相差1階微分算出手段、19 母線間位相差2階微分算出手段、20 有効電力1階微分算出手段、21 中心電圧算出手段、22 脱調予測手段、23 系統分離指令手段、24 遮断器操作指令受信手段、25 遮断器操作実施手段、30 安定度制御手段。




 

 


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