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発明の名称 回転電機の固定子およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−60824(P2007−60824A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−243910(P2005−243910)
出願日 平成17年8月25日(2005.8.25)
代理人 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照
発明者 東野 恭子 / 宮地 若木
要約 課題
この発明は、ワニス支持部材を設けても、回転子とのこすれなどの不具合を起こさず、ワニスが固定子鉄心の外径側の軸方向端部に付着しにくい回転電機の固定子およびその製造方法を得る。

解決手段
固定子8は、内周側に開口するスロット15aが周方向に複数形成された円環状の固定子鉄心15と、スロット15aに巻装された固定子巻線16とを備えている。そして、シート状のワニス支持部材24が、固定子巻線のコイルエンド群16rの最外径面に密接して、かつ、全周に渡って配設され、ワニスがコイルエンド群16rに内径側から塗布されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
内径側に開口するスロットが周方向に複数形成された円環状の固定子鉄心と、上記固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを備えた回転電機の固定子において、
シート状のワニス支持部材が、上記固定子巻線のコイルエンド群の最外径面に密接して、かつ、全周に渡って配設され、上記コイルエンド群の最内径面および軸端面が全周に渡って露出され、ワニスが上記コイルエンド群に塗布されていることを特徴とする回転電機の固定子。
【請求項2】
インシュレータが、上記固定子巻線を構成する素線のスロット収納部と上記スロット内壁面との間に介装され、かつ、該スロットから延出して該素線のコイルエンドの根元部を覆うように上記スロットのそれぞれに装着されており、
上記ワニス支持部材が、上記固定子鉄心の軸方向に関して、上記インシュレータの上記スロットからの延出端に隣接して配設されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
【請求項3】
上記素線が連続導体線であり、
上記固定子巻線は、上記連続導体線が上記固定子鉄心の軸方向一端面側の上記スロット外と軸方向他端面側の上記スロット外とで交互に折り返されて、所定スロット数毎の上記スロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように巻装された巻線を複数有し、
上記スロット外で折り返されてなる上記連続導体線のコイルエンドが、周方向に整然と配列されて上記コイルエンド群を構成していることを特徴とする請求項2記載の回転電機の固定子。
【請求項4】
冷却風通路が、周方向に隣接する上記インシュレータの上記スロットからの延出部間に、上記固定子鉄心の軸方向両端面に沿って内径端から外径端に至るように形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の回転電機の固定子。
【請求項5】
ワニスが円環状の固定子鉄心に巻装されている固定子巻線のコイルエンド群に塗布されている回転電機の固定子の製造方法であって、
上記固定子巻線を上記固定子鉄心に巻装する工程と、
シート状のワニス支持部材を上記コイルエンド群の最外径面に密接させて、かつ、全周に渡って配設する工程と、
上記固定子鉄心の軸心を水平として該固定子鉄心を配置し、該固定子鉄心を該軸心回りに回転させつつ、内径側からワニスを上記コイルエンド群に滴下する工程とを備えたことを特徴とする回転電機の固定子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用交流発電機などの回転電機の固定子およびその製造方法に関し、特に固定子鉄心の外径側の軸方向両端部にワニスの付着を抑えた固定子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用交流発電機の固定子は、内径側に開口するスロットが周方向に所定のピッチで配列された円筒状の固定子鉄心と、固定子鉄心に巻装される固定子巻線とを備え、固定子鉄心の外径側の軸方向両端部がフロント側ブラケットとリヤ側ブラケットとにより軸方向の両側から挟持されて取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。そして、ガラスエポキシ樹脂製の環状のワニス支持部材が固定子巻線のコイルエンド群の内径側に取り付けられ、ワニスが露出するコイルエンド群の外径側から滴下されている。そこで、ワニスがコイルエンド群の内径側に漏れ出すことがワニス支持部材により防止される。これにより、ワニスがコイルエンド群の内径側に漏れ出すことに起因して発生する、回転子が固定子鉄心に固着するなどの不具合が防止される。
【0003】
また、従来の固定子の製造方法では、ワニスが固定子鉄心の軸方向両端部の表面に付着しないように、コイルエンド群の外周部(外径側)に向かうようにエアーを吹き付けながらワニスを滴下していた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−187469号公報
【特許文献2】特開2004−194398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用交流発電機では、固定子の内径面と回転子の外径面との間には僅かな隙間しか存在していない。そこで、従来の車両用交流発電機の固定子のように、ワニス支持部材がコイルエンド群の内径側に環状に配設されている場合には、そのワニス支持部材に変形やめくれが生じると、回転子の回転動作に支障を来す恐れがあった。また、ワニスがコイルエンド群の外径側から滴下して塗布されるので、固定子支持部である固定子鉄心の外径側の軸方向両端部にもワニスが付着しやすい。そして、ワニスが固定子鉄心の外径側の軸方向両端部に付着すると、固定子支持部の平坦度が損なわれ、フロント側ブラケットとリヤ側ブラケットとにより軸方向の両側から固定子鉄心を挟持できなくなる恐れがあった。
【0006】
また、従来の固定子の製造方法では、コイルエンド群の外径側に向かうようにエアーを吹き付けながらワニスをコイルエンド群に滴下しているので、固定子鉄心の軸方向両端面に付着したワニスはエアーにより吹き飛ばされ、ワニスが固定子鉄心の外径側の軸方向両端部に付着することを防止できる。このワニスは、コイルエンド群を構成する導体線同士を固着するとともに、スロット内に侵入してスロット内の導体線をスロットに固着する機能を有する。しかしながら、エアーがワニスをコイルエンド群の外周側に吹き飛ばすことになるので、ワニスがコイルエンドの導体線を伝ってスロット内に侵入しにくくなる。その結果、ワニスを過度に滴下することになり、ワニスの使用効率が低下するという問題があった。また、ワニスがコイルエンド群から吹き飛ばされてエアーノズルや他の設備に付着するので、メンテナンスに手間とコストがかかるという問題もあった。
【0007】
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ワニス支持部材を設けても、回転子とのこすれなどの不具合を起こさず、ワニスが固定子鉄心の外径側の軸方向両端部に付着がしにくい回転電機の固定子を得ることを目的とする。
また、ワニスの使用効率を低下することなく、かつ、ワニスが固定子鉄心の外径側の軸方向両端部に付着することなくワニスを塗布できる回転電機の固定子の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、内径側に開口するスロットが周方向に複数形成された円環状の固定子鉄心と、上記固定子鉄心に巻装された固定子巻線とを備えた回転電機の固定子において、シート状のワニス支持部材が、上記固定子巻線のコイルエンド群の最外径面に密接して、かつ、全周に渡って配設され、上記コイルエンド群の最内径面および軸端面が全周に渡って露出され、ワニスが上記コイルエンド群に塗布されているものである。
また、この発明は、ワニスが円環状の固定子鉄心に巻装されている固定子巻線のコイルエンド群に塗布されている回転電機の固定子の製造方法であって、上記固定子巻線を上記固定子鉄心に巻装する工程と、シート状のワニス支持部材を上記コイルエンド群の最外径面に密接させて、かつ、全周に渡って配設する工程と、上記固定子鉄心の軸心を水平として該固定子鉄心を配置し、該固定子鉄心を該軸心回りに回転させつつ、内径側からワニスを上記コイルエンド群に滴下する工程とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ワニス支持部材がコイルエンド群の最外径面に密接して配設されているので、ワニス支持部材が変形しても回転子との干渉は起こらず、回転電機の動作性能を悪化させることはない。また、ワニスがワニス支持部材によりコイルエンド群から外径側に漏れ出るのが防止されるので、ワニスが、コイルエンドに沿って流れてスロット内に導かれ、固定子鉄心の外径側の軸方向両端部へのワニスの付着が抑制される。
また、ワニス支持部材がコイルエンド群の最外径面に密着して配設された後、固定子鉄心が軸心を水平として配設され、ワニスが内径側からコイルエンド群に滴下されるので、ワニスがコイルエンド群から外径側に漏れ出さず、コイルエンドに沿ってスロット内に流れ込み、固定子鉄心の外径側の軸方向両端部へのワニスの付着が抑制される。そして、ワニスの滴下時に、固定子鉄心が軸心を回転中心として回転しているので、コイルエンドに沿ってのスロット内にワニスの流れ込みが促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る固定子を搭載した車両用交流発電機を示す縦断面図である。
図1において、車両用交流発電機100は、アルミニウム製のフロント側ブラケット1およびリヤ側ブラケット2から構成されたケース3と、このケース3に回転自在に設けられ、一端部にプーリ4が固定されたシャフト6と、このシャフト6に固定されてケース3内に配設された回転子7と、この回転子7の軸方向両端部に固定されたファン5と、回転子7を包囲するようにケース3に固定された固定子8と、シャフト6の他端部に固定されて回転子7に電流を供給する一対のスリップリング9と、各スリップリング9の表面に摺動する一対のブラシ10と、このブラシ10を収容するブラシホルダ11と、固定子8に電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12と、ブラシホルダ11に嵌着されたヒートシンク17に取り付けられて、固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ18とを備えている。
【0011】
そして、回転子7は、電流を流して磁束を発生する界磁巻線13と、この界磁巻線13を覆うように設けられ、その磁束によって磁極が形成される一対のポールコア20,21とを備えている。一対のポールコア20、21は、鉄製で、それぞれ最外径面形状を略台形形状とする8個の爪状磁極22、23が外周縁部に周方向に等角ピッチで突設されてなり、これらの爪状磁極22、23を噛み合わせるように対向させてシャフト6に固着されている。
【0012】
ついで、固定子8の具体的な構成について、図2乃至図10を参照しつつ説明する。ここで、図2および図3はそれぞれこの発明の一実施の形態に係る固定子を示す斜視図および側面図、図4はこの発明の一実施の形態に係る固定子における固定子巻線の1相巻線を模式的に示すリヤ側端面図、図5はこの発明の一実施の形態に係る固定子の固定子巻線を構成する巻線アッセンブリを説明する図、図6は図5に示される巻線アッセンブリを構成する導体線を示す斜視図、図7は図5に示される巻線アッセンブリを構成する導体線の対を示す斜視図、図8および図9はそれぞれこの発明の一実施の形態に係る固定子鉄心のワニス塗布前の状態を示す斜視図および側面図、図10はこの発明の一実施の形態に係る固定子鉄心のワニス方法を説明する図である。なお、図4において、実線はリヤ側の配線を示し、点線はフロント側の配線を示し、黒丸は接合部を示している。
【0013】
固定子8は、図2および図3に示されるように、磁性鋼板の積層体からなる円筒状の固定子鉄心15と、固定子鉄心15に巻装された固定子巻線16とから構成されている。
固定子鉄心15には、内径側に開口するスロット15aが周方向に例えば96個形成されている。つまり、スロット15aは毎極毎相当たり2個の割合で形成されている。そして、インシュレータ19が各スロット15a内に装着され、固定子鉄心15と固定子巻線16との電気的絶縁を確実にしている。各インシュレータ19は、スロット15aの内壁面に沿うように、かつ、軸方向両端に所定量延出するようにスロット15aに装着されている。
また、ガラスエポキシ樹脂などからなるシート状のワニス支持部材24が、固定子巻線16のコイルエンド群16f、16rの最外径面に密接するように、かつ、コイルエンド群16f、16rの全周にわたって装着されている。そして、コイルエンド群16f、16rの軸端面および最内径面には、ワニス支持部材がなく、露出されている。さらに、ワニス25が後述するように内径側からコイルエンド群16f、16rに塗布されている。
また、固定子8は、固定子鉄心15の外径側の軸方向両端部をフロント側ブラケット1およびリヤ側ブラケット2により加圧挟持されて取り付けられ、爪状磁極22、23の外径面と固定子鉄心15の内径面との間に均一なエアギャップを形成している。
【0014】
つぎに、固定子巻線16の構造について説明する。
まず、固定子巻線16を構成する1相分の巻線構造について図4を参照しつつ説明する。ここで、説明の便宜上、導体線30のスロット15a内の収納位置を内径側から1番地、2番地、3番地、4番地とする。
a相巻線161は、それぞれ絶縁被覆された矩形断面の連続銅線からなる素線としての1本の導体線30で形成された第1乃至第4巻線31〜34から構成されている。そして、第1巻線31は、1本の導体線30をスロット番号1番から91番まで6スロット毎のスロット15aに、4番地と3番地とを交互に採るように波巻きして構成されている。また、第2巻線32は、1本の導体線30をスロット番号1番から91番まで6スロット毎のスロット15aに、3番地と4番地とを交互に採るように波巻きして構成されている。また、第3巻線33は、1本の導体線30をスロット番号1番から91番まで6スロット毎のスロット15aに、2番地と1番地とを交互に採るように波巻きして構成されている。また、第4巻線34は、1本の導体線30をスロット番号1番から91番まで6スロット毎のスロット15aに、1番地と2番地とを交互に採るように波巻きして構成されている。そして、各スロット15a内には、導体線30がインシュレータ19に囲繞されて矩形断面の長手方向を径方向に揃えて径方向に1列に4本並んで配列されている。
【0015】
そして、固定子鉄心15のリヤ側において、91番と1番とのスロット15aから延出する第1および第3巻線31、33の端部同士をTIG(Tungsten Inert Gas)溶接により接合する。つまり、第1巻線31の端部31aと第3巻線33の端部33bとを接合し、第1巻線31の端部31bと第3巻線33の端部33aとを接合し、2ターンの波巻き巻線とする。
また、固定子鉄心15のフロント側において、91番と1番とのスロット15aから延出する第2および第4巻線32、34の端部同士をTIG溶接により接合する。つまり、第2巻線32の端部32aと第4巻線34の端部34bとを接合し、第2巻線32の端部32bと第4巻線34の端部34aとを接合し、2ターンの波巻き巻線とする。
ついで、61番と67番とのスロット15aからリヤ側に延出する第2巻線32の導体線30の部位を切断し、67番と73番とのスロット15aから延出する第1巻線31の導体線30の部位を切断する。そして、61番のスロット15aの3番地から延出する第2巻線32の切断端32cと、67番のスロット15aの3番地から延出する第1巻線31の切断端31cとをTIG溶接により接合する。これにより、第1乃至第4巻線31〜34が直列に接続された4ターンの波巻き巻線(a相巻線161)が形成される。そして、67番のスロット15aの4番地から延出する第2巻線32の切断端32dと、73番のスロット15aの4番地から延出する第1巻線31の切断端31dとが、このa相巻線161の両端部となる。例えば、第1巻線31の切断端31dがa相巻線161の口出し線(O)となり、第2巻線32の切断端32dがa相巻線161の中性点(N)となる。
【0016】
図示していないが、同様にして、導体線30が巻装されるスロット15aを1スロットずつずらしてd相巻線、c相巻線、f相巻線、b相巻線およびe相巻線が形成される。そして、a相巻線161が1番、7番・・・91番のスロット群に巻装され、d相巻線が2番、8番・・・92番のスロット群に巻装され、c相巻線が3番、9番・・・93番のスロット群に巻装され、f相巻線が4番、10番・・・94番のスロット群に巻装され、b相巻線が5番、11番・・・95番のスロット群に巻装され、e相巻線が6番、12番・・・96番のスロット群に巻装されている。
【0017】
ここで、a相巻線、b相巻線およびc相巻線の中性点(N)を接続するY結線し、d相巻線、e相巻線およびf相巻線の中性点(N)を接続するY結線すれば、2組の三相交流巻線からなる固定子巻線16が構成される。
また、a相巻線とd相巻線とを直列に接続し、b相巻線とe相巻線とを直列に接続し、c相巻線とf相巻線とを直列に接続する。そして、直列に接続された3つの巻線をY結線すれば、1組の三相交流巻線からなる固定子巻線16が構成される。
なお、三相交流巻線は、Y結線に代えて、3つの相巻線をΔ結線してもよい。
【0018】
固定子巻線16は図5に示される巻線アッセンブリ40を用いて構成することができる。
この巻線アッセンブリ40は、1スロットピッチで平行に配列された12本の導体線30を、同時に同一平面上で雷状に折り畳んで作製される。
雷状に折り畳まれた各導体線30は、図6に示されるように、コイルエンド30aで連結された直線状のスロット収納部30bが6スロットピッチ(6P)で配列された平面上パターンに折り曲げ成形されている。そして、隣り合うスロット収納部30bが、コイルエンド30aにより、導体線30の幅(w)分ずらされている。
巻線アッセンブリ40は、このように折り曲げ成形された2本の導体線30を図7に示されるように6スロットピッチずらしてスロット収納部30bを重ねられて配列された導体線30の対が、1スロットピッチずつずらして6対配列されて構成されている。
【0019】
このように構成された巻線アッセンブリ40は、2層に重ねられて、インシュレータ19が各スロット15aに配設された固定子鉄心15に装着される。これにより、各導体線30は6スロット数毎のスロット15a内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように巻装され、図4における第1乃至第4巻線31〜34を構成する。そして、図4に示される結線方法に基づいて結線され、第1乃至第4巻線31〜34を直列に接続してなる4ターンの波巻き巻線からなるa相巻線161、b相巻線、c相巻線、d相巻線、e相巻線、f相巻線が構成される。これにより、図8および図9に示されるように、固定子巻線16が固定子鉄心15に装着された固定子8Aを得る。
【0020】
各コイルエンド30aは、スロット15aから軸方向に延出し、その後傾斜して周方向に伸び、ついで径方向内側(あるいは外側)に折り返され、ついで傾斜して周方向に延び、6スロット離れたスロット15aに軸方向から挿入される形状となっている。つまり、コイルエンド30aは、スロット15aから軸方向に延出する一対の根元部35と、径方向内側(あるいは外側)に折り返されたターン部36と、一対の根元部35とターン部36とを連結する一対の傾斜部37とから構成されている。そして、スロット15aに装着されたインシュレータ19は、固定子鉄心15の軸方向両端面からそれぞれ2mm程度延出し、コイルエンド30aの根元部35を覆っている。
【0021】
さらに、固定子鉄心15のリヤ側において、コイルエンド30aが2列となって周方向に1スロットピッチで整然と配列されてリヤ側コイルエンド群16rを構成している。また、固定子鉄心15のフロント側において、コイルエンド30aが2列となって周方向に1スロットピッチで整然と配列されてフロント側コイルエンド群16fを構成している。
【0022】
ついで、シート状のワニス支持部材24がコイルエンド群16f、16rの最外径面に密接するように、かつ、コイルエンド群16f、16rの全周にわたって装着される。この時、ワニス支持部材24は、コイルエンド30aの傾斜部37を覆うように配設されている。つまり、ワニス支持部材24の一端は、固定子鉄心15の軸方向に関して、インシュレータ19のスロット15aからの延出端と同位置となっている。
そして、固定子保持機構(図示せず)により固定子鉄心15をその軸心が水平となるように保持し、図10に示されるように、固定子鉄心15をその軸心を回転中心として回転させつつ、固定子巻線16の内径側からワニス25をコイルエンド群16f、16rに滴下する。
【0023】
コイルエンド群16f、16rに滴下されたワニス25は、コイルエンド30aを伝わってコイルエンド群16f、16r内に浸透する。そして、ワニス25は、コイルエンド30aを伝わって根元部35まで到達すると、インシュレータ19に案内されてスロット15a内に浸透する。この時、固定子鉄心15が軸心を中心として回転しているので、ワニス25がコイルエンド30aの根元部35間を通って固定子鉄心15の外径側に流れ出すことがない。そこで、ワニス25が固定子鉄心15の軸方向両端面に付着しにくく、特に固定子鉄心15の軸方向両端面の外径側には付着しない。
そして、ワニス25の塗布が終了すれば、ワニス25を加熱硬化し、図2および図3に示される固定子8を得る。
【0024】
このように、ワニス25が固定子鉄心15の軸方向両端面の外径側に付着していないので、固定子8は、固定子鉄心15の外径側の軸方向両端部(鉄心支持部)をフロント側ブラケット1およびリヤ側ブラケット2に密着させて取り付けられる。そこで、固定子8を実装した車両用交流発電機100がエンジンの振動を受けても、固定子8の支持強度が確保され、長期的に安定した固定子8の取り付け性を実現できる。
【0025】
インシュレータ19がコイルエンド30aの根元部35を覆うようにスロット15aから延出しているので、導体線30がスロット15aの軸方向両端の開口エッジと擦れて電気絶縁性が悪化するようなことも未然に防止される。
ワニス支持部材24がインシュレータ19のスロット15aからの延出端に隣接して配設されているので、ワニス25の塗布工程において、コイルエンド30aに沿って根元部35まで流れたワニス25は、ワニス支持部材24とインシュレータ19との間から外径側に漏れ出すことなく、インシュレータ19に案内されてスロット15a内に導かれる。そこで、ワニス25を過度に塗布することなく、十分な量のワニス25をスロット15a内に含浸させることができる。
【0026】
固定子巻線16が、導体線30を固定子鉄心15の軸方向一端面側のスロット外および他端面側のスロット外で交互に折り返されて、6スロット数毎のスロット15a内で内層と外層とを交互に採るように巻装された第1乃至第4巻線31〜34により構成されている。そして、コイルエンド30aが2列となって1スロットピッチで周方向に整然と配列されてコイルエンド群16f、16rを構成している。そこで、コイルエンド群16f、16rの最外径面は、凹凸のない滑らかな円筒面を形成するので、ワニス支持部材24は、コイルエンド群16f、16rの最外径面に均一に密着させて配設することができ、剥がれの発生も抑えられる。
【0027】
また、冷却風通路26が周方向に隣接するコイルエンド30aの根元部35間に固定子鉄心15の軸方向端面に沿って内径端から外径端に至るように径方向に連なって形成されている。そこで、車両用交流発電機100の動作時に、ファン5の回転駆動により内径側からコイルエンド群16f,16rに吹き付けられた冷却風は、冷却風通路26を通ってコイルエンド群16f、16r内を冷却して外径側に排出され、コイルエンド群16f、16rを効果的に冷却することができる。
【0028】
ワニス支持部材24がコイルエンド群16f、16rの外径側にのみ配設されている。そこで、コイルエンド群16f、16rの内径面がファン5の回転駆動により内径側からコイルエンド群16f,16rに吹き付けられる冷却風に曝され、コイルエンド群16f、16rを効果的に冷却することができる。また、仮にワニス支持部材24が変形し、或いはまくれても、固定側であるケース3とは干渉するものの、可動側である回転子7とは干渉することがないので、回転電機の動作性能を低下させることもない。
【0029】
また、ワニス支持部材24をコイルエンド群16f、16rの最外径面に密着させて、全周に渡って配設した後、固定子鉄心15をその軸心が水平となるように配設し、固定子鉄心15をその軸心を回転中心として回転しつつ、ワニス25をコイルエンド群16f、16rの内径側から滴下するようにしている。そこで、ワニス25がワニス支持部材24によりコイルエンド群16f、16rから外径側に漏れ出すことが防止されるので、ワニス25がコイルエンド群16f、16rから吹き飛ばされて他の設備に付着し、メンテナンスに手間およびコストがかかってしまうという従来の不具合も解消され、ワニス25が固定子鉄心15の外径側の軸方向両端面に付着することが抑制される。また、ワニス25がコイルエンド30aに沿って流れてスロット15a内に導かれるので、ワニス25を過度に塗布することなく、十分な量のワニス25をスロット15a内に含浸させることができる。さらに、ワニス滴下ノズル(図示せず)をコイルエンド群16f、16rの内径側に配置できるので、ワニス滴下ノズルをコイルエンド群16f、16rの外径側に配置する場合に比べ、製造装置の小型化が図られ、製造効率が向上される。
【0030】
なお、上記実施の形態では、車両用交流発電機について説明しているが、本発明は、交流電動機、交流電動発電機等の回転電機に適用しても同様の効果を奏する。
また、上記実施の形態では、コイルエンド30aが径方向に2列になって周方向に1スロットピッチで配列されているものとしているが、コイルエンド30aの径方向の列数は2列に限定されるものではなく、1列或いは3列以上でもよい。例えば、巻線アッセンブリ40を3層に重ねて固定子鉄心15に装着すれば、コイルエンド30aが3列になって周方向に1スロットピッチで配列されたコイルエンド群16f、16rが構成される。
【0031】
また、コイルエンド30aが径方向に複数列ある場合、コイルエンド30aの高さ(固定子鉄心15の軸方向端面からターン部36の頂部までの高さ)が内径側のコイルエンド30aほど高くなるようにしてもよい。この場合、コイルエンド群16f、16rの外形形状が椀状のフロント側ブラケット1およびリヤ側ブラケット2の内形形状に沿った形状となり、固定子巻線16とケース3との干渉を抑えて、固定子8をケース3に無理なく取り付けることができる。
【0032】
また、上記実施の形態では、ワニス支持部材24の一端が、固定子鉄心15の軸方向に関して、インシュレータ19のスロット15aからの延出端と同一高さ位置に配置されているものとしているが、ワニス支持部材24の一端が、インシュレータ19のスロット15aからの延出端に隣接するように配置されていればよい。つまり、ワニス支持部材24の一端が、固定子鉄心15の軸方向に関して、インシュレータ19のスロット15aからの延出端より僅かに高い位置に配置されていてもよい。この場合、ワニス支持部材24の一端とインシュレータ19のスロット15aからの延出端との間の隙間は、コイルエンド30aに沿って流れてきたワニス25がワニス支持部材24とインシュレータ19との隙間から外径側に漏れ出ることなくインシュレータ19内に流れるように設定する必要がある。また、ワニス支持部材24が、固定子鉄心15の軸方向に関して、インシュレータ19のスロット15aからの延出端と重なって配置されていてもよい。この場合、ワニス支持部材24の一端とインシュレータ19のスロット15aからの延出端との間の重なり量は、冷却風通路26が確保されるように設定する必要がある。
【0033】
また、固定子鉄心15のワニス塗布工程において、固定子鉄心15の内径面を把持して固定子鉄心15を回転するようにしても良いし、固定子鉄心15の外径面を把持して固定子鉄心15を回転するようにしても良い。そして、固定子鉄心15の外径面を把持する場合には、固定子鉄心15の内径側からワニス25を滴下するワニス滴下ノズルの自由度が増し、制御しやすくなる。
また、上記実施の形態では、固定子鉄心15の軸方向両端面は、軸方向と直交する平坦面に形成されているものとしているが、固定子鉄心15の軸方向両端部の外径側を切り欠いて小径部を形成し、その段差部を利用してフロント側ブラケット1およびリヤ側ブラケット2とにより固定子鉄心15を加圧挟持させるようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施の形態では、固定子巻線16の素線を連続銅線からなる導体線30を用いるものとしているが、導体線に代えてU字状の導体セグメントを用いてもよい。この場合においても、コイルエンドが2列となって周方向に1スロットピッチで整然と配列されてなるコイルエンド群を構成することができるので、ワニス支持部材24をコイルエンド群の最外径面に密接して配設することができ、同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態では、素線として矩形断面の導体線30を用いるものとしているが、導体線の断面形状は矩形に限定されるものではなく、円形断面であってもよい。また、素線として円形断面の導体線を用い、そのスロット収納部のみを矩形断面に成形するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の一実施の形態に係る固定子を搭載した車両用交流発電機を示す縦断面図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係る固定子を示す斜視図である。
【図3】この発明の一実施の形態に係る固定子を示す側面図である。
【図4】この発明の一実施の形態に係る固定子における固定子巻線の1相巻線を模式的に示すリヤ側端面図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係る固定子の固定子巻線を構成する巻線アッセンブリを説明する図である。
【図6】図5に示される巻線アッセンブリを構成する導体線を示す斜視図である。
【図7】図5に示される巻線アッセンブリを構成する導体線の対を示す斜視図である。
【図8】この発明の一実施の形態に係る固定子鉄心のワニス塗布前の状態を示す斜視図である。
【図9】この発明の一実施の形態に係る固定子鉄心のワニス塗布前の状態を示す側面図である。
【図10】この発明の一実施の形態に係る固定子鉄心のワニス方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
8 固定子、15 固定子鉄心、15a スロット、16 固定子巻線、16f フロント側コイルエンド群、16r リヤ側コイルエンド群、19 インシュレータ、24 ワニス支持部材、25 ワニス、26 冷却風通路、30 導体線(素線)、30a コイルエンド、30b スロット収納部、35 根元部、36 ターン部、37 傾斜部、40 巻線アッセンブリ。




 

 


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