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発明の名称 負荷駆動システムの故障検出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−60762(P2007−60762A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−241258(P2005−241258)
出願日 平成17年8月23日(2005.8.23)
代理人 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
発明者 松岡 尚吾
要約 課題
負荷あるいは負荷接続線の異常(断線、地絡、天絡)や、負荷への給電あるいは遮断を行なう駆動手段のアーム素子のオン故障などを、負荷への通電を開始する以前に検出可能な負荷駆動システムの故障検出装置を提供する。

解決手段
直流電源10の正極と負荷11の一端との間に接続された上アーム駆動手段2aおよび上記直流電源の負極と上記負荷の他端との間に接続された下アーム駆動手段2bを有し、上記各駆動手段をオンオフ制御することにより上記負荷に供給する電圧または電流を制御する負荷駆動システムにおいて、上記上アーム駆動手段2aおよび下アーム駆動手段2bにそれぞれ並列接続された抵抗素子3a、3bと、上記負荷端子のいずれか一方または両方の端子電圧を監視することにより、上記負荷または負荷への配線を含む負荷駆動システムの異常を検出する負荷状態異常検出手段4とを備えた構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
直流電源の正極と負荷の一端との間に接続された上アーム駆動手段および上記直流電源の負極と上記負荷の他端との間に接続された下アーム駆動手段を有し、上記各駆動手段をオンオフ制御することにより上記負荷に供給する電圧または電流を制御する負荷駆動システムにおいて、上記上アーム駆動手段および下アーム駆動手段にそれぞれ並列接続された抵抗素子と、上記負荷端子のいずれか一方または両方の端子電圧を監視することにより、上記負荷または負荷への配線を含む負荷駆動システムの異常を検出する負荷状態異常検出手段とを備えた負荷駆動システムの故障検出装置。
【請求項2】
半導体素子からなる上アーム素子と下アーム素子とを直列接続した第1の駆動手段と、半導体素子からなる上アーム素子と下アーム素子とを直列接続した第2の駆動手段とを直流電源に並列接続すると共に、第1の駆動手段の上アーム素子と下アーム素子との接続点および第2の駆動手段の上アーム素子と下アーム素子との接続点間に負荷を接続し、上記各半導体素子をオンオフ制御することにより上記負荷に供給する電圧または電流を制御する負荷駆動システムにおいて、第1の駆動手段の上アーム素子および第2の駆動手段の下アーム素子にそれぞれ並列接続された抵抗素子と、上記負荷端子のいずれか一方または両方の端子電圧を監視することにより、上記負荷または負荷への配線を含む負荷駆動システムの異常を検出する負荷状態異常検出手段とを備えた負荷駆動システムの故障検出装置。
【請求項3】
半導体素子からなる上アーム素子と下アーム素子とを直列接続した3つ以上の駆動手段をそれぞれ直流電源に並列接続すると共に、各駆動手段の上アーム素子と下アーム素子との接続点に多相結線負荷の各相端子をそれぞれ接続し、上記各半導体素子をオンオフ制御することにより上記多相結線負荷に供給する電圧または電流を制御する負荷駆動システムにおいて、上記各駆動手段のうち1つまたは全てではない複数の駆動手段の上アーム素子に並列接続された上位抵抗素子と、上記上位抵抗素子が接続されていない駆動手段の下アーム素子に並列接続された下位抵抗素子と、上記多相結線負荷のいずれか1つまたは複数の相の端子電圧を監視することにより、上記多相結線負荷または多相結線負荷への配線を含む負荷駆動システムの異常を検出する負荷状態異常検出手段とを備えた負荷駆動システムの故障検出装置。
【請求項4】
上記駆動手段の上アーム素子および下アーム素子に並列接続された抵抗素子の抵抗値は、上記駆動手段のオフ時における直流等価抵抗値よりも十分に小さく、かつ負荷または多相結線負荷の端子間直流等価抵抗値よりも十分に大きな値とされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の負荷駆動システムの故障検出装置。
【請求項5】
上記駆動手段が全てオフ状態における上記負荷または多相結線負荷の端子電圧を利用して故障の有無を判断するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の負荷駆動システムの故障検出装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は負荷駆動システムにおける負荷および負荷接続状態の異常を検出する故障検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の負荷駆動システム、例えば電動機駆動装置においては、電動機駆動手段として4個のFET(電界効果トランジスタ)からなるブリッジ回路を構成すると共に、このブリッジ回路の1つのFETのソースと別のFETのドレインとを接続してアームを構成する少なくとも2個のFETにそれぞれ並列接続され、FETのオン故障時の抵抗値に比べて十分大きな抵抗値を有する高抵抗と、ブリッジ回路の出力端子間に接続された電動機の電圧を検出する電圧検出手段とからなる故障検出手段とを備え、上記高抵抗を設けることによって、電動機の両端子における電圧値がFETのオン故障時に変化するため、電動機の端子電圧を検出することによってFETのオン故障を判定するようにしていた。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、多相交流電動機の相数と同数で、それぞれ等しいインピーダンス値を有するインピーダンス素子の一端を基準中性点に接続すると共に、各インピーダンス素子の他端をそれぞれ上記多相交流電動機の各相コイルに接続し、インピーダンス素子の基準中性点と、上記多相交流電動機の各相コイルが接続された中性点との間の電位差を検出し、この電位差が所定のしきい値電圧を超えた場合は上記各相コイルに異常ありと判定するようにしていた。(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3034508号公報
【特許文献2】特開平6−311783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に示された方式では、アームを構成する少なくとも2個のFETにそれぞれ抵抗素子が接続され、負荷(電動機)の端子電圧が電源電位もしくは接地電位となるようなショート故障モード(駆動素子短絡、端子地絡、端子天絡)を検出可能なように構成されているため、負荷端子電圧の変化が無いような負荷あるいは負荷接続線のオープン故障モード(断線)は検出できないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2に示された方式では、多相交流電動機の中性点電位とインピーダンス素子によって形成される基準中性点電位とを比較し、その電位差の大きさによって異常を検知する方法であるため、電動機が回転し各相電圧が発生している必要がある。従って、停止状態から負荷への通電を開始する初期段階において、通電しても問題ないかどうかを判定するような場合には適用することができず、負荷が地絡、天絡などの故障状態にある場合には大電流が流れてしまう恐れがあるという問題点があった。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたものであり、負荷あるいは負荷接続線の異常(断線、地絡、天絡)や、負荷への給電あるいは遮断を行なう上述のFETからなる駆動手段のオン故障などを、負荷への通電を開始する以前に検出することができる負荷駆動システムの故障検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る負荷駆動システムの故障検出装置は、直流電源の正極と負荷の一端との間に接続された上アーム駆動手段および上記直流電源の負極と上記負荷の他端との間に接続された下アーム駆動手段を有し、上記各駆動手段をオンオフ制御することにより上記負荷に供給する電圧または電流を制御する負荷駆動システムにおいて、上記上アーム駆動手段および下アーム駆動手段にそれぞれ並列接続された抵抗素子と、上記負荷端子のいずれか一方または両方の端子電圧を監視することにより、上記負荷または負荷への配線を含む負荷駆動システムの異常を検出する負荷状態異常検出手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る負荷駆動システムの故障検出装置は上記のように構成され、駆動手段が全てオフの期間に負荷のそれぞれの端子に発生する電位の確定手段の一つとして、負荷および負荷接続線を利用しているため、負荷の端子電位が強制的に固定される天絡、地絡、および駆動素子のオン故障などに加え、負荷あるいは負荷接続線の断線故障も明確に検出することが可能となる。
【0010】
また、駆動手段オフ時の異常検出を可能としたことにより、負荷が地絡または天絡した状態での負荷への給電、あるいは駆動手段がオン故障した状態での駆動手段の作動をさせる必要がなく、安全かつ迅速な異常検出が可能となる。
【0011】
特に、予防安全の観点から鉄道車両や自動車などに搭載された回転電機に代表される多相結線負荷の駆動システムに対しては、負荷の接続状態異常検出や駆動手段の故障検出には低コストでの高機能化が強く求められており、この発明は好適な異常検出システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。
図1は、実施の形態1の構成の一例を示す回路図である。負荷駆動システム1は、例えばFET等の半導体素子により構成された上アーム駆動手段2aと、同じくFET等の半導体素子により構成された下アーム駆動手段2bを持ち、各駆動手段の一端はバッテリ等の直流電源10に接続され、他端は電動機等の負荷11に接続されている。
【0013】
また、上アーム駆動手段2aと並列に抵抗素子3aが接続され、下アーム駆動手段2bと並列に抵抗素子3bが接続されており、各駆動手段2aおよび2bをオン/オフ制御することにより、負荷11への給電あるいは遮断を行なうようにされている。さらに、各駆動手段2aおよび2bの他端には後述する負荷状態異常検出手段4が接続されている。
【0014】
図示の負荷駆動システムにおいて、例えば直流電源10の電圧をE(V)とし、負荷11の直流等価抵抗値をR11(Ω)、上アーム素子2aのオフ時直流等価抵抗値をR2A(Ω)、下アーム素子2bのオフ時直流等価抵抗値をR2B(Ω)、抵抗素子3aの抵抗値をR3A(Ω)、抵抗素子3bの抵抗値をR3B(Ω)とすると、配線抵抗が無視できるほど十分に小さいと仮定した場合の負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はそれぞれ次に示す式(1)(2)で表すことができる。
【0015】
【数1】


【0016】
ここで、R2A≫R3A、R2B≫R3B、かつR3A≫R11、R3B≫R11となるように、R3AおよびR3Bを選定すれば、R2A,R2BおよびR11は無視することができる。さらに、ここでは説明を容易にするために、R3A=R3Bとする。
これらの前提条件にもとづいて式(1)(2)を見直すと、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はそれぞれ次に示す式(1A)(2A)のように簡略化される。
【0017】
【数2】


【0018】
実施の形態1による負荷駆動システムの異常検出においては、後述する通り正常な場合と正常でない場合とで負荷端子電圧の変化幅が大きくなるようにすると共に、これによって判別が容易になることを基本とし、厳密な数値を規定することを絶対必要条件としないので、以下の説明では上述した前提条件のもとに簡略化して説明する。
【0019】
先ず、負荷11あるいは負荷接続線が断線している場合、負荷端子電圧V1(V)は、R2A≫R3A、R2B≫R3Bの前提条件によって電源電圧E(V)にほぼ等しくなる。V2(V)はV1(V)と同じ理由からほぼ接地電圧(ここではゼロ(V)とする)となる。
V1≒E …(1B)
V2≒0 …(2B)
【0020】
次に、負荷11あるいは負荷接続線が地絡している場合、詳しくは負荷11が正常に接続された状態で、負荷あるいは負荷接続線などの一部が接地電位となった場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ接地電圧となる。
V1≒0 …(1C)
V2≒0 …(2C)
【0021】
また、負荷11あるいは負荷接続線が天絡している場合、詳しくは負荷11が正常に接続された状態で、負荷あるいは負荷接続線などの一部が電源電位Eとなった場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ電源電圧となる。
V1≒E …(1D)
V2≒E …(2D)
【0022】
さらに、負荷11が正常に接続された状態で上アーム駆動手段2aがオン故障している場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ電源電圧となる。
V1≒E …(1E)
V2≒E …(2E)
【0023】
さらにまた、負荷11が正常に接続された状態で下アーム駆動手段2bがオン故障している場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ接地電位となる。
V1≒0 …(1F)
V2≒0 …(2F)
【0024】
以上の式(1A)(2A)乃至(1F)(2F)の結果を一覧表としたものが図2である。この図に示すように、正常時と異常時におけるV1、V2それぞれの数値の違いは明らかであり、なおかつ正常時と異常時の電圧差が大きいことにより誤検出の可能性を大きく低減することができ、異常時を明確に判別することができる。
【0025】
加えて、負荷接続線が断線した状態での負荷側地絡あるいは端子側地絡、負荷側天絡あるいは端子側天絡、上アーム素子または下アーム素子のオン故障時の全ての組合せにおいても上記と同様に正常でないことが判別できる。ここでは上記例示で結果導出は容易であるので、具体的な説明は省略する。
さらに、上述した全ての場合においてV1あるいはV2のうち、いずれか一方の電圧を監視するだけでも正常でないことを判別することができる。
【0026】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図にもとづいて説明する。図3は、実施の形態2の構成の一例を示す回路図である。実施の形態2の負荷駆動システム1は、FET等の半導体素子からなる上アーム素子2aと、同じくFET等の半導体素子からなる下アーム素子2bとを直列接続した第1の駆動手段と、FET等の半導体素子からなる上アーム素子2cと、同じくFET等の半導体素子からなる下アーム素子2dとを直列接続した第2の駆動手段とをバッテリ等の直流電源10に接続すると共に、第1の駆動手段の上アーム素子2aと下アーム素子2bとの接続点および第2の駆動手段の上アーム素子2cと下アーム素子2dとの接続点間に負荷11および負荷状態異常検出手段4を接続している。
【0027】
また、第1の駆動手段の上アーム素子2aと並列に抵抗素子3aを接続すると共に、第2の駆動手段の下アーム素子2dと並列に抵抗素子3bを接続しており、第1および第2の駆動手段の上アーム素子および下アーム素子をオン/オフ制御することにより、負荷11への給電あるいは遮断を行なうようにされている。
【0028】
図3の負荷駆動システムにおいて、例えば直流電源10の電圧をE(V)とし、負荷11の直流等価抵抗値をR11(Ω)、第1、第2の駆動手段の各アーム素子2a乃至2dのオフ時直流等価抵抗値をR2A(Ω)乃至R2D(Ω)、抵抗素子3aの抵抗値をR3A(Ω)、抵抗素子3bの抵抗値をR3B(Ω)とし、配線抵抗が無視できるほど十分に小さいと仮定する。
【0029】
また、実施の形態1と同様の前提条件を設定すると、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はそれぞれ次に示す式(3A)(4A)で表すことができる。
【0030】
【数3】


【0031】
先ず、負荷11あるいは負荷接続線が断線している場合、V1(V)は電源電圧E(V)にほぼ等しくなり、V2(V)はほぼ接地電圧(ここではゼロ(V)とする)となる。
V1≒E …(3B)
V2≒0 …(4B)
【0032】
次に、負荷11あるいは負荷接続線が地絡している場合、詳しくは負荷11が正常に接続された状態で、負荷あるいは負荷接続線などの一部が接地電位となった場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ接地電圧となる。
V1≒0 …(3C)
V2≒0 …(4C)
【0033】
また、負荷11あるいは負荷接続線が天絡している場合、詳しくは負荷11が正常に接続された状態で、負荷あるいは負荷接続線などの一部が電源電位Eとなった場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ電源電圧となる。
V1≒E …(3D)
V2≒E …(4D)
【0034】
さらに、負荷11が正常に接続された状態で第1の駆動手段の上アーム素子2aあるいは第2の駆動手段の上アーム素子2cの一方、あるいは両方がオン故障している場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ電源電圧となる。
V1≒E …(3E)
V2≒E …(4E)
【0035】
さらにまた、負荷11が正常に接続された状態で第1の駆動手段の下アーム素子2bあるいは第2の駆動手段の下アーム素子2dの一方、あるいは両方がオン故障している場合、負荷端子電圧V1(V)およびV2(V)はほぼ接地電位となる。
V1≒0 …(3F)
V2≒0 …(4F)
【0036】
以上の式(3A)(4A)乃至(3F)(4F)の結果を一覧表としたものが図4である。この図に示すように、FET等の半導体素子をHブリッジ接続した負荷駆動システムにおいても、正常時と異常時におけるV1、V2それぞれの数値の違いは明らかであり、なおかつ正常時と異常時の電圧差が大きいことにより誤検出の可能性を大きく低減することができ、異常時を明確に判断することができる。
【0037】
加えて、負荷接続線が断線した状態での負荷側地絡あるいは端子側地絡、負荷側天絡あるいは端子側天絡、第1、第2の駆動手段の各アーム素子のオン故障時の全ての組合せにおいても上記と同様に正常でないことが判別できる。ここでは上記例示で結果導出は容易であるので、具体的な説明は省略する。
【0038】
さらに、上述した全ての場合においてV1あるいはV2のうち、いずれか一方の電圧を監視するだけでも正常でないことを判別することができる。
【0039】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3を図にもとづいて説明する。図5は、実施の形態3の構成の一例を示す回路図である。実施の形態3の負荷駆動システム1はFET等の半導体素子からなる上アーム素子2aと同じくFET等の半導体素子からなる下アーム素子2bとを直列接続した第1の駆動手段と、第1の駆動手段と同様に構成された上アーム素子2cと下アーム素子2dとを直列接続した第2の駆動手段と、第1の駆動手段と同様に構成された上アーム素子2eと下アーム素子2fとを直列接続した第3の駆動手段とをそれぞれバッテリ等の直流電源10に並列接続すると共に、各駆動手段の上アーム素子と下アーム素子との接続点に多相結線負荷11の各相端子および負荷状態異常検出手段4を接続している。
【0040】
また、各駆動手段のうち、1つまたは全てではない複数の駆動手段の上アーム素子と並列に上位抵抗素子を接続し、上位抵抗素子が接続されていない駆動手段の下アーム素子と並列に下位抵抗素子を接続している。図5の例では第1および第2の駆動手段の上アーム素子2a、2cにそれぞれ上位抵抗素子3a、3bを並列接続し、第3の駆動手段の下アーム素子2fに下位抵抗素子3cを並列接続しており、各駆動手段の上アーム素子および下アーム素子2a乃至2fをオン/オフ制御することにより、多相結線負荷11への給電あるいは遮断を行なうようにされている。
【0041】
図5の負荷駆動システムにおける多相結線負荷11は、三相交流回転機に代表されるようなY結線あるいはデルタ結線などが想定される。すなわち、負荷11の各相端子間はゼロΩ(短絡)を含む低インピーダンスで結合されていることを意味し、特定の機器や結線方法に限定されるものではない。
【0042】
図5の負荷駆動システムにおいても、例えば直流電源10の電圧をE(V)とし、多相結線負荷11の直流等価抵抗値をR11(Ω)、第1〜第3の駆動手段の各アーム素子2a乃至2fのオフ時直流等価抵抗値をR2A(Ω)乃至R2F(Ω)、抵抗素子3aの抵抗値をR3A(Ω)、抵抗素子3bの抵抗値をR3B(Ω)、抵抗素子3Cの抵抗値をR3C(Ω)とし、配線抵抗が無視できるほど十分に小さいと仮定する。
【0043】
また、実施の形態1と同様の前提条件を設定すると、負荷端子電圧V1(V)、V2(V)、V3(V)はそれぞれ次に示す式(5A)(6A)(7A)で表すことができる。
ただし、実施の形態3においては、説明を容易にするために、上述した前提条件に加えて、R3A=2×R3C、R3B=2×R3Cの前提条件を付加する。
【0044】
【数4】


【0045】
先ず、多相結線負荷11あるいは負荷接続線のうち、抵抗素子3aに接続されるラインの一部が分断され、抵抗素子3bおよび3cに接続されるラインが正常に接続されたままである断線形態の場合、V1(V)は電源電圧E(V)にほぼ等しくなり、V2(V)とV3(V)はほぼR3BとR3Cの比で分圧された電圧となる。
【0046】
【数5】


【0047】
次に、多相結線負荷11あるいは負荷接続線のうち、抵抗素子3bに接続されるラインの一部が分断され、抵抗素子3aおよび3cに接続されるラインが正常に接続されたままである断線形態の場合、V2(V)はほぼ電源電圧E(V)に等しくなり、V1(V)とV3(V)はほぼR3AとR3Cの比で分圧された電圧となる。
【0048】
【数6】


【0049】
また、多相結線負荷11あるいは負荷接続線のうち、抵抗素子3cに接続されるラインの一部が分断され、抵抗素子3aおよび3bに接続されるラインが正常に接続されたままである断線形態の場合、V3(V)はほぼ接地電圧(ここではゼロ(V)とする)に等しくなり、V1(V)とV2(V)はほぼ電源電圧E(V)となる。
V1≒E …(5D)
V2≒E …(6D)
V3≒0 …(7D)
【0050】
さらに、多相結線負荷11あるいは負荷接続線が地絡している場合、詳しくは多相結線負荷11が正常に接続された状態で、多相結線負荷あるいは負荷接続線などの一部が接地電位となった場合、負荷端子電圧V1(V)、V2(V)、V3(V)はほぼ接地電圧となる。
V1≒0 …(5E)
V2≒0 …(6E)
V3≒0 …(7E)
【0051】
さらにまた、多相結線負荷11あるいは負荷接続線が天絡している場合、詳しくは多相結線負荷11が正常に接続された状態で、多相結線負荷あるいは負荷接続線などの一部が電源電位となった場合、負荷端子電圧V1(V)、V2(V)、V3(V)はほぼ電源電圧となる。
V1≒E …(5F)
V2≒E …(6F)
V3≒E …(7F)
【0052】
また、多相結線負荷11が正常に接続された状態で第1、第2、第3の駆動手段の上アーム素子2a、2c、2eの1つあるいは複数がオン故障している場合、負荷端子電圧V1(V)、V2(V)、V3(V)はほぼ電源電圧となる。
V1≒E …(5G)
V2≒E …(6G)
V3≒E …(7G)
【0053】
さらに、多相結線負荷11が正常に接続された状態で第1、第2、第3の駆動手段の下アーム素子2b、2d、2fの1つあるいは複数がオン故障している場合、負荷端子電圧V1(V)、V2(V)、V3(V)はほぼ接地電位となる。
V1≒0 …(5H)
V2≒0 …(6H)
V3≒0 …(7H)
【0054】
以上の式(5A)(6A)(7A)乃至(5H)(6H)(7H)の結果を一覧表としたものが図6である。この図に示すように、FET等の半導体素子を三相ブリッジ接続した負荷駆動システムにおいても、正常時と異常時の違いは明らかであり、明確に判別することができる。
【0055】
加えて、負荷接続線が断線した状態での負荷側地絡あるいは端子側地絡、負荷側天絡あるいは端子側天絡、駆動手段のアーム素子のオン故障の全ての組合せにおいても上記と同様に正常でないことが判別できる。ここでは上記例示で結果導出は容易であるので、具体的な説明は省略する。
【0056】
さらに、上述した全ての場合においてV1乃至V3のうち、いずれか1つの電圧を監視するだけでも正常でないことを判別することができる。
【0057】
ところで、上述した各実施の形態において、負荷に流れる電流値を計測する目的で電気接続配線上に1つあるいは複数のシャント抵抗が配設され、電源の正負両極側から負荷駆動システムを見た時にシャント抵抗を含む直列回路を形成する場合がある。いずれの実施の形態においても直流電源の負極電位(接地電位)を基準に負荷端子電圧V1(V)あるいはV2(V)を計測した場合は、上アーム素子と並列接続された抵抗素子および下アーム素子と並列接続された抵抗素子とシャント抵抗とが直列回路を形成していれば、シャント抵抗値が電圧分圧比に影響する恐れがあると考えられる。
【0058】
しかしながら、アーム素子の直流等価抵抗値は一般的なスイッチング素子、例えばMOSFETでは数十MΩ以上であり、負荷11の直流等価抵抗値は数Ω以下であり、選定されるであろう抵抗素子3a乃至3cの抵抗値は数十kΩ〜数百kΩとなることが想定されるため、一般的なシャント抵抗(数Ω以下)であれば、シャント抵抗値を無視することに何ら問題はなく、上述した結果は不変である。
【0059】
なお、実施の形態2において、第2の駆動手段の上アーム素子2cと抵抗素子3aとを並列接続した場合には、第1の駆動手段の下アーム素子2bに抵抗素子3bを並列接続することになる。この場合においても上述した実施の形態2と同様に正常でないことが判別可能である。ここでは上記例示で結果導出は容易であるので、具体的な説明は省略する。
【0060】
また、実施の形態3において、図7に示すように、第1の駆動手段の上アーム素子2aと並列に抵抗素子3aを接続し、第2、第3の駆動手段の下アーム素子2dおよび2fにそれぞれ抵抗素子3b、3cを並列接続してもよい。この場合には、R3B=2×R3A、R3C=2×R3Aと前提条件を変更することにより、正常時の負荷端子電圧は次の通りとなる。
【0061】
【数7】


【0062】
異常時の発生電圧の説明は省略するが、上述の説明と同様の演算により図8に示す通りとなり、正常でないことを容易に判別することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の実施の形態1の構成の一例を示す回路図である。
【図2】実施の形態1における正常時と異常時の検出電圧の一例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2の構成の一例を示す回路図である。
【図4】実施の形態2における正常時と異常時の検出電圧の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態3の構成の一例を示す回路図である。
【図6】実施の形態3における正常時と異常時の検出電圧の一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3における他の実施例の構成を示す回路図である。
【図8】図7の実施例における正常時と異常時の検出電圧の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 負荷駆動システム、 2a〜2f アーム素子、 3a〜3c 抵抗素子、
4 負荷状態異常検出手段、 10 直流電源、 11 負荷。




 

 


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