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発明の名称 電源システムおよびその制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−37226(P2007−37226A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−213793(P2005−213793)
出願日 平成17年7月25日(2005.7.25)
代理人 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
発明者 吉田 康夫
要約 課題
自然エネルギー利用電源による発生電力を安定に、有効利用できる、出力平滑化が可能な電源システムを提供する。

解決手段
この発明による電源システムは、自然エネルギーを用いて発電を行うとともに、その発生電力量の変動を出力予測機能によって予測する自然エネルギー利用電源(例えば風力発電システム20)と、励磁系制御並びにガバナ系制御(あるいは回転エネルギー制御)による出力調整が可能な出力調整設備(可変速水力発電システム10)とを含む構成であり、風力発電システム20の予測出力をスパイク状変動出力成分と中長周期変動出力成分に周波数分解し、スパイク状変動出力成分については可変速水力発電システム10の励磁系制御によって、中長周期変動出力成分については可変速水力発電システム10のガバナ制御によって出力調整を行い、電源システム全体の出力を平滑化する。
特許請求の範囲
【請求項1】
自然エネルギーを用いて発電を行うとともに、その発生電力量の変動を出力予測機能によって予測する自然エネルギー利用電源と、励磁系制御による出力調整、並びに、ガバナ系制御または回転エネルギー制御による出力調整が可能な出力調整設備とを含む電源システムであって、上記自然エネルギー利用電源の予測出力をスパイク状変動出力成分と中長周期変動出力成分に周波数分解し、上記スパイク状変動出力成分については上記出力調整設備の励磁系制御によって、上記中長周期変動出力成分については上記出力調整設備のガバナ制御または回転エネルギー制御によって出力調整を行い、上記電源システム全体の出力を平滑化することを特徴とする電源システム。
【請求項2】
上記自然エネルギー利用電源は、風向風速測定装置を用いてその発生電力量を予測する風力発電システムであり、上記出力調整設備は、可変速水力発電システムまたはフライホイールであることを特徴とする請求項1記載の電源システム。
【請求項3】
上記自然エネルギー利用電源は、天候監視カメラを用いて雲の動きを観測・画像解析することにより、その発生電力量を予測する太陽光発電システムであり、上記出力調整設備は、可変速水力発電システムまたはフライホイールであることを特徴とする請求項1記載の電源システム。
【請求項4】
上記電源システムに、燃料電池、ディーゼル発電システム、およびガスエンジンシステムのいずれかを電力変動補償装置として連系し、上記自然エネルギー利用電源の中長周期変動出力成分についての出力調整を行うか、または上記電源システムに、電力変動補償装置として二次電池を連系し、上記自然エネルギー利用電源のスパイク状変動出力成分または中長周期変動出力成分についての出力調整を行い、上記電源システム全体の出力を平滑化することを特徴とする請求項1記載の電源システム。
【請求項5】
上記自然エネルギー利用電源の発生電力量の変動を、天気予報等の長期的広域的な予測情報も含めて、長期から短期にわたる時間スケールで予測するとともに、上記電源システムおよび上記電源システムに連系された負荷等を含めた電力系統全体の経済負荷配分制御並びにAFC制御を併せて行うことを特徴とする請求項1または請求項4記載の電源システム。
【請求項6】
複数の電源設備よりなり、出力平滑化の制御単位となる発電設備群の中に、上記自然エネルギー利用電源が含まれる場合に、その変動電力を補償する上記出力調整設備も併せて含む構成とすることを特徴とする請求項1記載の電源システム。
【請求項7】
上記電源システムに連系される負荷の変動が予め判明している場合に、その負荷の変動出力を、スパイク状変動出力成分と中長周期変動出力成分に周波数分解し、上記スパイク状変動出力成分については上記出力調整設備の励磁系制御によって、上記中長周期変動出力成分については上記出力調整設備のガバナ系制御または回転エネルギー制御によって出力調整を行い、上記電源システム全体の出力を平滑化することを特徴とする請求項1記載の電源システム。
【請求項8】
上記自然エネルギー利用電源の出力変動を予測するための観測手段を、上記自然エネルギー利用電源とは異なる任意の場所に設置し、上記観測手段が得た情報を通信により上記出力予測機能側に伝送することを特徴とする請求項1記載の電源システム。
【請求項9】
自然エネルギーを用いて発電を行うとともに、その発生電力量の変動を出力予測機能によって予測する自然エネルギー利用電源と、励磁系制御による出力調整、並びに、ガバナ系制御あるいは回転エネルギー制御による出力調整が可能な出力調整設備とを含む電源システムにあって、上記自然エネルギー利用電源の予測出力を出力予測機能によって得るステップ、上記予測出力をスパイク状変動出力成分と中長周期変動出力成分に周波数分解するステップ、上記スパイク状変動出力成分については上記出力調整設備の励磁系制御によって、上記中長周期変動出力成分については上記出力調整設備のガバナ制御または回転エネルギー制御によって出力調整を行い、上記電源システム全体の出力を平滑化するステップを含む電源システムの制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電出力が変動する自然エネルギー等を利用する電源(自然エネルギー利用電源。)と、可変速水力発電システム等の出力調整が容易な電源(出力調整設備。)を組み合わせた、出力平滑化を図る電源システムおよびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、自然エネルギー利用電源の一つである風力発電システムを電力系統(または単に系統とする。)に直結して用いる場合は、次のように運転がなされていた。
系統の周波数変動や電圧変動等の許容範囲内で風力発電システムを運転する。あるいはその変動電力の平滑化用として風力発電の容量に匹敵する容量の蓄電池を併設して、出力変動に対応させる。上記の蓄電池の併用については、大規模なウィンドファーム等については、実証によりその効果が検証されているところである。
また、繰り返し充放電可能なフライホイール付き可変速発電機を設置して、系統または負荷に送る電力の平滑化を行っている先行事例がある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−258294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自然エネルギー等を利用する電源システムは、その入力が風や太陽光であるため、必然的にその発生電力が自然条件や天候条件に左右される。その発生電力変動分は、系統連系のためには、ディーゼル発電システムや二次電池等を用いて、変化量が少なくなる方向に抑える運用を行っていた。
しかし、ディーゼル発電システムの電力平滑化運転は、自然エネルギー利用電源の出力変動をとらえてからの後追い運転であった。そのため、出力変動分として系統に影響を与えないような状態とするためには、自然エネルギー利用電源の規模を大きくできないという問題があった。例えば、太陽光発電においては、1秒間に定格の10%変化することが観測されているが、これに対し、出力調整設備の一つであるガスエンジンは、1秒間に定格の5%の出力変化対応能力しかなく、出力変動に追従することができず、電源供給の安定維持が難しかった。
【0005】
また、風力発電システムまたは太陽光発電システムと、二次電池とを組み合わせる場合には、発生電力変動電源の変動分全体を補償できるように比較的大きな容量の二次電池を必要としていた。
さらに、弱系統に接続された自然エネルギー利用電源システムでは、系統が許容する変化範囲にその送出電力量の変化を抑える必要があり、その許容量を超える発生電力量については、自らの発生電力を抑制、或いは抵抗による熱消費等、何らかの手段で系統への送出電力の変化量を抑える必要があった。
この結果、送出電力量そのものが減少し、自然エネルギー等を利用する電源システムによる発生電力を必ずしも有効には利用できていなかった。
【0006】
また、特許文献1には、交流励磁のフライホイール発電機の例があるが、この事例は予め判明している負荷の消費電力パターンに対して、その変動を抑制しようというものであった。
自然エネルギー利用電源そのものの出力変動を予測し、その予測変動分を分析し、出力平滑化するという、本願(後述する。)のような考えは、従来の技術には見当たらない。
【0007】
この発明は、上述のような問題点を解消するためになされたもので、自然エネルギー利用電源による発生電力を有効に運用でき、電源システム全体としての電源供給を安定維持(出力平滑化)できるとともに、安価である電源システムおよびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係わる電源システムは、自然エネルギーを用いて発電を行うとともに、その発生電力量の変動を出力予測機能によって予測する自然エネルギー利用電源と、励磁系制御による出力調整、並びに、ガバナ系制御または回転エネルギー制御による出力調整が可能な出力調整設備とを含む電源システムであって、上記自然エネルギー利用電源の予測出力をスパイク状変動出力成分と中長周期変動出力成分に周波数分解し、上記スパイク状変動出力成分については上記出力調整設備の励磁系制御によって、上記中長周期変動出力成分については上記出力調整設備のガバナ制御または回転エネルギー制御によって出力調整を行い、上記電源システム全体の出力を平滑化するものである。
【0009】
また、この発明に係わる電源システムの制御方法は、自然エネルギーを用いて発電を行うとともに、その発生電力量の変動を出力予測機能によって予測する自然エネルギー利用電源と、励磁系制御による出力調整、並びに、ガバナ系制御あるいは回転エネルギー制御による出力調整が可能な出力調整設備とを含む電源システムにあって、上記自然エネルギー利用電源の予測出力を出力予測機能によって得るステップ、上記予測出力をスパイク状変動出力成分と中長周期変動出力成分に周波数分解するステップ、上記スパイク状変動出力成分については上記出力調整設備の励磁系制御によって、上記中長周期変動出力成分については上記出力調整設備のガバナ制御または回転エネルギー制御によって出力調整を行い、上記電源システム全体の出力を平滑化するステップを含むものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の電源システムおよびその制御方法によれば、自然エネルギー利用電源の出力変動を予測し、その予測出力をスパイク状変動出力成分と中長周期変動出力成分に周波数分解し、スパイク状変動出力成分については、連系される出力調整が容易な出力調整設備の励磁系制御によって、中長周期変動出力成分については出力調整設備のガバナ系制御または回転エネルギー制御によって出力調整を行い、自然エネルギー利用電源と出力調整設備を含む電源システム全体の出力を平滑化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
まず、この発明の概要について説明し、次に、詳細な発明の実施の形態について説明する。
自然エネルギーを利用する電源(自然エネルギー利用電源に相当する。)の一つである風力発電システムでは、例えば、以前に発明した技術である、レーザ式風向風速測定装置(出力予測機能を有する。)による予測制御手段(風車に向ってくる風にレーザ光を射出し、風と同期して流れているエアロゾルに当たって反射したレーザ光と射出レーザ光とのドップラー効果によって、エアロゾルすなわち風そのものの速度と方向を求める手段。特願2003−762950。)を用いれば、その予測された風況に対応した出力として、風力発電システムの発生電力をあらかじめ予測できる。なお、出力予測機能を持つ装置として上記のレーザ式風向風速測定装置を示したが、レーザ式以外の、他の予測手段によって風況を予測し、風力発電システムの発生電力を予測するという方法を採用しても良いことは言うまでもない。
【0012】
また、別の自然エネルギー利用電源である太陽光発電システムは、その発生電力量の変動を出力予測機能によって予測できる。太陽光発電システムでは、出力予測機能によって1年の任意の時刻に対して太陽高度を算出し、同太陽高度をベースとした上で、上空に向けた監視カメラで雲の動きを捉え、同雲の動きを画像解析することによって、太陽光発電パネルに当たる太陽光が、いつの時点で雲に遮られるか、あるいは逆にいつの時点で太陽照度が増すか等を割り出し、その結果として、日照量の変化を求めることが可能で、その日照量の変化割合から太陽光発電システムの発生電力変動分を予測することが可能である。
【0013】
一方、出力調整が容易で、単独運転時においても安定した発電出力が得られる電源(出力調整設備に相当する。)として可変速水力発電システムがある。この可変速水力発電システムでは、励磁量の増減により、発生電力(あるいは揚水運転の場合はポンプ入力。)の増減ができるほか、自身が保有する回転エネルギーを回転速度の増加または減少として作用させることにより、その回転速度の差分に相当するエネルギーを発生電力(あるいはポンプ入力。)に増減させる形で利用することができる。
【0014】
すなわち、上述の風力発電や太陽光発電において予測された発生電力の増減量に対応させて、可変速水力発電システムの発生電力(あるいはポンプ入力。)を発生電力変動電源の変動量増減に同期させて、且つ打ち消す方向にその出力制御(あるいはポンプ入力制御。)を行うことにより、電源システム全体の発生電力を平滑化することが可能となる。このような考えに基づき、次のような電源システムおよびその制御方法を提供する。
【0015】
図1に、この実施の形態1の電源システム構成図を示す。この実施の形態1においては、出力調整設備の例として可変速水力発電システム10を、自然エネルギー利用電源の例として風力発電システム20を、組合せとして選んだ場合について説明する。
図1に示すように、可変速水力発電システム10と風力発電システム20が、電力系統19の受電端母線に接続されている。なお、ここでは、負荷30も含めた構成を電力系統(または単に系統)19と称する。
【0016】
可変速水力発電システム10は、発電電動機(以下、単に発電機とする。交流磁形同期機。)11とこれに繋がる水車(あるいはポンプ水車)12、発電機11の回転子11a側に繋がる二次励磁装置13、二次励磁装置13に繋がる二次励磁変圧器14、発電機11の固定子11b側からの出力と、回転子11a側からの出力が伝達され、系統側へ接続される変圧器15を備えており、さらに発電機11の運転制御をするための、水車12に送る水量を調節するガバナ(調速機)16と、そのガバナ16の制御量に基づき水の流量を調節する案内羽根(ガイドベーン)17を備えている。さらに、二次励磁装置13とガバナ16に制御信号を送る可変速機変動出力抑制制御装置(以下、単に出力制御装置とする。)18を備えている。
【0017】
なお、可変速水力発電システムにおいて、揚水機能を持たせない単なる発電専用の簡単なシステムの場合には、単に11は発電機、12は水車となる。
【0018】
可変速水力発電システムでは、発生または消費する電力を制御する手段として発電運転、揚水運転ともに次の2つの制御機能がある。
(1)励磁系による制御:電気的な制御により電力変化を得るもので、瞬間的な電力変化を得たい時に使用する制御であり、次の2つの方法がある。
励磁系P制御(出力調整):二次励磁量の増減により瞬時に発生電力の増減を生ぜしめる運転。この制御によれば電気的応答で所要の出力パターンを得ることができる。
励磁系N制御(速度調整):二次励磁の磁束の軸をシフトすることにより、二次側(回転子側)を通じてその回転エネルギーの出し入れを行い、高効率運転となる速度に調整するもの。
(2)ガバナ系の案内羽根による制御:水車のガバナ制御により発生電力の増減を生ぜしめる運転。機械的な制御であるため、電気的制御である励磁系に比べると応答は遅い。これにも以下の二つの方法がある。
ガバナ系P制御(出力調整):所望の出力となるようにガバナ制御を行うもの。通常の水力発電の原理に同じである。
ガバナ系N制御(速度調整):案内羽根を通る水量に対応して最も効率の高い最適な回転速度を得るように行う制御。
【0019】
この可変速水力発電システム10の制御機能をまとめると図2のようになる。
図2内に示すように、励磁系制御とガバナ系制御(案内羽根制御)の組み合わせとして2方式があるが、これらを方式(1)と方式(2)として区別する。
方式(1):応答の速い励磁系で、先ず所望の回転速度を得、出力(あるいはポンプ入力)はガバナの案内羽根制御により追随させる方式。
方式(2):応答の速い励磁系で、先ず所望の出力パターンを発生せしめ、それに引き続きガバナの案内羽根制御で必要な回転速度に調整させる方式。
【0020】
図2に示すように、発電時制御においては、方式(1)では、本来水車出力が発電機出力に変わるべきところ、斜線部分を回転エネルギーとして蓄え、回転速度を上げるように制御している。また、方式(2)では、減速エネルギーの部分は電気出力に使われ、電気出力がフラットになった後、加速エネルギーが回転エネルギーに蓄えられるよう制御している。
また、揚水時制御においては、方式(1)では、電動機に入ってきたエネルギー増分については、これを回転速度を上げるために使い、電気入力に対しては本来ならばポンプ入力増となるが、この場合は回転速度上昇にエネルギーを吸収している。また、方式(2)では、電動機に入ってきたエネルギー増を最初は主としてポンプ入力として使い、ポンプ入力が所定の大きさになった後は回転速度の上昇に使うよう制御している。
【0021】
自然エネルギーを利用する風力発電システムや太陽光発電システムでは、その発生電力の変化が急激であるため、可変速水力発電システムとしては方式(2)を利用すれば、予測可能な自然エネルギー利用電源の変化を先取りで認識し、その変化に見合う逆の電力変化を可変速水力発電システムでまかなうことにより、電源システムの出力平滑化を図ることができる。
【0022】
また、揚水時運転においても、方式(1)と方式(2)の二つの方法があるが、発電制御と同じく、その発生電力の変化が急激な自然エネルギー利用電源の変動電力を平滑化するためには、方式(2)を利用することになる。
なお、可変速水力発電システムを揚水運転として用いる場合には、そのポンプ入力は、回転速度の3乗に比例して変化するため、回転速度の調整で大きな出力変動の抑制が可能となる。
【0023】
次に、図1の、自然エネルギー利用電源である風力発電システム20全体の構成を説明する。風力発電においては、風を風車21が受け、その風車21に直結される風車用の発電機22が発電を行う。この発電機22には電力変換器23a、23bが順次接続配置され、さらに電力変換器23bと系統19との間には変圧器24が設けられている。なお、電力変換器23a、23bは、同期機を用いる風力発電システムで使用されるもので、誘導機が系統19に直結される形式の風力発電システム20の場合にはこれらが不要となる場合がある。
【0024】
図1中に破線および矢印で情報ルートを示したように、風力発電システム20が具備する出力予測機能によって、風況を予測し、これに基づいて風力発電システム20の発電電力量を予測すると、そのデータが変動出力信号(単に出力信号とする。)25として可変速水力発電システム10の出力制御装置18に伝達される。
出力制御装置18において、風力発電システム20の予測出力量を周波数分解し、予測された電力量変化を平準化する方向に可変速水力発電システム10の出力を調整し、風力発電システム20と可変速水力発電システム10よりなる電源システム全体として出力が平滑化するように、可変速水力発電システム10側の二次励磁装置13へ制御信号26を送り、ガバナ16へ制御信号27を送る。
【0025】
上述したような風力発電システム20と可変速水力発電システム10の組合せにおいて、風力発電システム20の発生電力が図3(a)のようである場合を例示する。
ここで、例えば、以前に発明したレーザ式風向風速測定装置を用いて風力発電システム20前方の風況を観測し、風力発電システムの発生電力をあらかじめ予測することができたならば、その発生電力の変動に対し、図3(b)に示すように変化が短期スパイク状のもの(スパイク状変動、スパイク状変動出力成分に同じ。)(s)と、比較的中長周期の時間変化を呈するもの(比較的中長周期の変動、中長周期変動出力成分に同じ。)(w)とに分解することができる。このデータ処理(周波数分解)は、上述したように、例えば、出力制御装置18において行うものとする。図3(c)は、スパイク状変動(s)を取り除いた(w)成分を示している。
【0026】
この変動電源の出力を二つの成分(s、w。)に分解する手法について、図4の制御フロー図を用いて説明する。変動電源出力予測データ41の波形をもとに、平均値演算回路42において、5〜10秒程度のガバナ特性で対応できる中長周期(w)成分(中長周期変動出力成分に同じ。)43を求め、この成分に対応する制御信号27を求め、ガバナ系制御(ガイドベーン制御回路44。)に用いる。一方、もともとの変動電源出力予測データ41の波形と中長周期(w)成分との差分を求めると、符号45で示すデータにあるように、斜線部で示されるスパイク状(s)成分が得られる。このスパイク状(s)成分に対応して制御信号26を求め、二次励磁制御回路(二次励磁装置13内。)46へ送る。
【0027】
可変速水力発電システム10の発電運転の制御としては、上述したように励磁系制御とガバナ系制御がある。このうち、励磁系制御は電気的応答に基づき出力が増減でき、瞬時に応答を必要とする場合に用いられ、一方、ガバナ系制御は、回転速度の変化という機械的応答であるため、励磁系制御の応答に引き続く時間レンジで電力の増減を図る場合に用いられる。
なお、水力発電では、ガバナ系の応答は、一般的に5〜10秒位であるため、比較的中長周期成分(w)としては5〜10秒程度を目標に平滑化をすれば良く、一方、二次励磁制御の応答速度は、これよりはるかに速く、1秒以下(msecオーダ。)の変動にも対応することが可能である。
この励磁系制御が、図3、図4における(s)で示す短期スパイク状の変化を吸収し、ガバナ系制御が、同じく図3、図4における(w)で示す比較的中長周期の変動分を平滑化する役割を担う。
【0028】
この可変速水力発電システム10により風力発電システム20が発生する電力を平滑化する概念を図5に示す。図示するように、風力発電システム20の出力予測機能が予測する風車変動電源出力31(w成分に相当する。)に対し、可変速水力出力32は、電源システム全体の発電出力が一定値(合成出力33。)となるように出力調整がなされる。
このように、出力変動が大きな自然エネルギー利用電源に対し、可変速水力発電システム10を組合せて運転することにより、系統19に悪影響を与える変動出力分を打ち消すような運転ができる。従って、系統19がより多くの風力発電システム20の出力を受け入れ可能となるような電源システムの提供が可能となる。
【0029】
また、複数の電源設備からなり、出力平滑化の制御単位となる発電設備群(または系統を分割して考えた場合に、分割した1個の範囲。)を考えたときに、出力変動が大きい自然エネルギー利用電源を電源設備として含む場合は、その変動電力を補償する出力調整設備も併せて、その制御単位の中に含める構成とすることで、安定した電源供給が可能となる。
【0030】
なお、可変速水力発電システム10が揚水運転として機能した場合も同様であるが、この場合には周知のように、さらに水の位置エネルギーの形で大きなエネルギー貯蔵が可能である。すなわち、風力発電システムの余剰電力を使って、可変速水力発電システム10の揚水運転を行い、水を上にある上池の貯水場所に汲み上げ、発電運転に切り替わった後、負荷が電力を必要とするときに汲み上げた水を落下させ、発電に供することも可能である。
さらに、このような大きなエネルギー貯蔵あるいは放出の過程で、瞬時瞬時毎の脈動分を上述した励磁系制御、ガバナ系制御で平滑化し、系統19への発生電力を平滑化(平準化。)するように制御することも可能である。
【0031】
また、風力発電システム20の風況予測に用いるレーザ式風向風速測定装置(図示せず。)は、発電機22と同位置に配置する他、その地理的環境に適合させて、発電機22とは異なる任意の場所に設置し(発電機22と別置きにする。)、得られたデータを通信によって出力予測機能(制御系)側へ伝送することもでき、電源システム全体の出力平滑化制御に役立てることが可能となる。また、発電機22に対し、別置きと同位置の複数箇所で風況を観測することで、より正確な予測データを得ることができる。
【0032】
実施の形態2.
次に、自然エネルギー利用電源として、太陽光発電システムを含む電源システムの構成図を図6に示す。
太陽光発電システムの場合には、監視カメラにより雲の動きを捉え、事前にその日照度を予測することによって発電量を求め、同発電量の変化を打ち消すに見合った量の平滑化電力を可変速水力発電システムから与えることにより、系統がより多くの太陽光発電システムの出力を受け入れられるようにする電源システムを提供することができる。
この発生電力量の変動を予測できれば、その後の運用は、先述の実施の形態1において示した可変速水力発電システムと同じである。
【0033】
図6に示すように、太陽光発電システム100は、太陽電池100aとそれに繋がるパワコン100bを含む構成である。(このパワコンとは、パワー・コンディショナーの略称であり、太陽電池で発電した直流の電気を、電力会社から送電される電気と同じ交流に変換する機能と、系統との連系に関する保護を目的として設置するものであり、太陽電池の発電電力を最大限に効率良く取り出すことと、配電系統と安全に連系することが重要な機能となる装置を言う。)
さらに、太陽光発電システム100による発電量を予測するための設備として、上空の雲の流れを監視する天候監視カメラ200、同カメラ200によって撮像された雲画像を処理する画像処理部201、画像処理部201から送られた処理画像を基に、リアルタイムの雲の動きから照度を算出し、発生電力量を解析評価する発生電圧予測算出部300、発生電圧予測算出部300からの出力情報を得て、太陽光出力予測に基づく出力変動の補償分を算出するとともに、予測された太陽光発電出力をもとに予測制御を行う太陽光発電予測制御部400を備えている。この太陽光発電予測制御部400からの出力情報が可変速水力発電システム10側の可変速機変動出力抑制制御装置18に伝達され、ガバナ系制御、励磁系制御を行うことによって、太陽光発電システム100における発生電力量の変動を補償するように電力量を補い、電源システム全体としての出力を平滑化することが可能となる。
【0034】
なお、この太陽光発電システム100の天候監視カメラ200を、太陽電池100aとは異なる場所に設置して、天候を予測し、そのデータを制御系へ伝送するシステムとしても良い。
【0035】
実施の形態3.
先述した実施の形態1および実施の形態2では、それぞれ出力が予測可能な風力発電システムと可変速水力発電システムの単独システム同士の組合わせ、あるいは出力が予測可能な太陽光発電システムと可変速水力発電システムの単独システム同士の組合わせについて示したが、この実施の形態3では、複数機の自然エネルギー利用電源と、出力調整設備とを組み合せて、一つの制御単位とした場合の、電源システムについて説明する。
【0036】
図7に、出力調整設備である可変速水力発電システム10と、自然エネルギー利用電源である風力発電システム20および太陽光発電システム100を組合わせた電源システムを示す。このような多数の発電設備を統合して制御する場合は、処理するデータが多くなり、図7に示したように、系統19の出力情報をはじめ、太陽光発電システム100の予測出力情報および発電出力情報、風力発電システム20の予測出力情報および発電出力情報等が需給制御装置(または電力会社中央制御装置。)60に伝達され、この需給制御装置60において各種情報から可変速水力発電システム10側への電力制御信号を割り出し、このデータを可変速水力発電システム10の出力制御装置18に伝達し、出力調整を行う。
【0037】
図7に示した構成の電源システムにおいては、その発生電力量が予測可能な風力発電、太陽光発電等の分散電源システムの合計容量に比較して、可変速水力発電システムの容量が比較的大きく取れる場合には、風力発電、太陽光発電システム等の分散電源システムが複数からなる組み合わせに対して、一つの可変速水力発電システムを適用することも可能である。
【0038】
また、この場合には、自然エネルギー利用電源と可変速水力発電システムをマイクログリッドのように独立した電源構成として、全ての変動分を可変速水力発電システムで吸収平滑化することにより、自然エネルギー利用電源からの発生電力の全てを、供給電源に効率良く運用することができる。マイクログリッドとは、分散型電源と負荷を持つ小規模系統であり、既存の電力系統とは1点あるいは2点で連系され、複数の電源および熱源がIT関連技術を使って管理運営されている発電システムである。また、このマイクログリッドは、既存の電力系統が事故を発生した場合に、既存の電力系統から切り離されて独立して自立運転することも可能である。
【0039】
さらに、出力平滑化の制御単位となる発電設備群の中に、自然エネルギー利用電源が占める割合が大きくなる場合、特にその発生電力量の変動を、天気予報等の長期的広域的な予測情報も含めて、長期から短期にわたる時間スケールで予測し、その予測データを出力制御に活かすことで、計画的な電源システムの運用が可能となる。
また、上記のような予測制御と併せて、経済負荷配分制御(あるシステム、例えばマイクログリッド内の電熱需要に対して、各種制約のもとで経済性、環境性等を考慮した評価関数値が最小、すなわち特定の効果が最大となるように、電熱源ならびに電熱貯蔵設備を最適に制御する方式。)、AFC(Automatic Frequency Control)制御(自動周波数制御。周波数を一定に保つためにガバナ等を調整し、発電機の回転速度が一定となるように制御する。)を行うことで、電源システムの効率運転が可能となる。
【0040】
実施の形態4.
上述した実施の形態1〜3においては、可変速水力発電システムと、その出力を予測することが可能な独立電源のみを組合わせた電源システムを示したが、電源の構築としては、自然エネルギー利用電源(出力変動を伴う発電設備40。)のほか、他の任意の従来型電源との組合わせとすることも可能である。
この例を図8に示す。
図8に示すように、単機または複数の任意の従来型発電設備50が、電力系統19に連系されており、この従来型発電設備50は電源としては可制御なものであり、出力変動は生じない。また、系統19に連系された出力変動を伴う発電設備40から、変動出力予測量(出力変動を伴う発電設備40が風力発電システムである場合は、風車変動電源出力となる。)31が出力情報として需給制御装置60へ送られ、同様に従来型発電設備50からの出力情報51が、需給制御装置60へ送られ、需給制御装置60から可変速水力発電システム10の制御系へ出力指令52が送られるように情報ルートが構成されている。
【0041】
すなわち、図8では、既存の電力系統19に、出力変動を伴う発電設備40を導入する場合に、可変速水力発電システム10等の出力調整が容易な電源を組合わせた構成とすることによって、本発明に示す出力変動電源の出力予測を予め求め、その変動を抑制する方向に可変速水力発電システム10を運転し、従来と電力品質を変えることなく、出力変動電源の導入規模を拡大することが可能となることを示している。
【0042】
実施の形態5.
一般に、出力変動を伴う発電設備40の規模・数量が増加していった場合、出力調整が容易な電源として可変速水力発電システム等の規模が必ずしもマッチングするとは限らない。このような場合には、二次電池等の電力変動補償装置を追加連系し、スパイク状変動出力成分(負荷変化を含む出力成分。)または中長周期変動出力成分(負荷変化を含む出力成分。)に対する平滑化を受け持つ役割を持たせることが望ましい。電力変動補償装置としては、二次電池以外に、例えば燃料電池、ディーゼル発電システム、ガスエンジンシステム等を用いることが可能であり、これらの装置を用いる場合には、その特性上、中長周期変動出力成分に対する平滑化の役割を担わせることが適切である。
このような電源システムの構成図を図9に示す。先述した実施の形態4の電源システムに、電力変動補償装置として、例えば二次電池70を連系させ、この二次電池70の制御は需給制御装置60によって行う。
【0043】
すなわち、図9の例では、出力変動電源(出力変動を伴う発電設備40)の発生出力の予測量を求めつつ、系統システムにおける需給制御装置60は、平滑化すべき出力変動予測量の平滑化量のある部分を可変速水力発電システム10に担わせ、残りの変動分を二次電池70で平滑化するように指令を出すことにより、可変速水力発電システム10と二次電池70の両システムにより電源システム全体の出力変動を平滑化する形態を示している。
【0044】
この場合、二次電池70を、電力系統19に容易に連系あるいは非連係可能な適切な規模に分割配置することによって、二次電池70を効果的に運用、あるいは適切な配置を行うことが可能となる。電力変動補償装置は、単数を系統に連系する以外に、同種の装置を複数機、または異なる種類の装置を複数機、同じ系統に連系して用いることも可能である。
【0045】
実施の形態6.
先述した実施の形態5の構成(図9に相当する。)に加え、さらに、予め予測可能な変動負荷39が追加された構成の電源システムの構成例を図10に示す。
図10に示すように、予測可能な変動負荷39から需給制御装置60への変動出力予測値の情報ルートが追加された構成となっており、その他の構成および機能については、上述した実施の形態5に同じである。需給制御装置60では、予測可能な変動負荷39から伝達される変動出力予測値のデータと、出力変動を伴う発電設備40から需給制御装置60へ伝達される変動出力予測量31のデータとをあわせて、変動出力予測データ41(上述した実施の形態1の説明を参照のこと。)を得ることができ、このデータをもとに(w)、(s)成分等出力変動補償に必要となるデータを割り出し、出力調整設備(可変速水力発電システム10)および電力変動補償装置(二次電池70)へ出力指令52を出力するように動作する。なお、(w)、(s)成分を得るための周波数分解等のデータ処理は、上述の実施の形態1においては可変速水力発電システム10内の出力制御装置18において行うことを例示したが、連系される設備が多数の場合は、需給制御装置(または電力会社中央制御装置)60において、統合的にデータ処理を行い、制御するように運転することができる。
【0046】
実施の形態7.
上述した実施の形態1〜6では、出力調整が容易な電源として可変速水力発電システム10を示し、ガバナ系制御によって、予測出力の中長周期成分(w)(中長周期変動出力成分に同じ。)の変動を抑えることについて説明したが、出力調整設備としてフライホイールを用いる場合は、回転エネルギーの出し入れによる制御で(w)成分を打ち消すように出力を調整し、電源システム全体としての出力平滑化を図る。なお、フライホイールによる(s)成分を打ち消す励磁系制御は、可変速水力発電システムの場合と同様の電気的応答による制御となる。このように、出力変動電源に連系させる出力調整設備として、可変速水力発電システムの設備を設置することができない環境においては、フライホイールを適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態1による電源システムの構成図である。
【図2】可変速水力発電システムの制御機能を表として示した図である。
【図3】この発明の実施の形態1による予測出力の周波数分解を示した概念図である。
【図4】この発明の実施の形態1による電源システムの制御フロー図(一部分。)である。
【図5】この発明の実施の形態1による電源システムの出力平滑化の概念図である。
【図6】この発明の実施の形態2による電源システムの構成図である。
【図7】この発明の実施の形態3による電源システムの構成図である。
【図8】この発明の実施の形態4による電源システムの構成図である。
【図9】この発明の実施の形態5による電源システムの構成図である。
【図10】この発明の実施の形態6による電源システムの構成図である。
【符号の説明】
【0048】
10 可変速水力発電システム 11 発電電動機(発電機)
11a 回転子(円筒) 11b 固定子
12 ポンプ水車(水車) 13 二次励磁装置
14 二次励磁変圧器 15、24 変圧器
16 ガバナ 17 ガイドベーン(案内羽根)
18 可変速機変動出力抑制制御装置(出力制御装置)
19 電力系統(系統) 20 風力発電システム
21 風車 22 発電機
23a、23b 電力変換器 25 出力信号
26、27 制御信号 30 負荷
31 風車変動電源出力(変動出力予測量) 32 可変速水力出力
33 合成出力 39 予測可能な変動負荷
40 出力変動を伴う発電設備 41 変動電源出力予測データ
42 平均値演算回路 43 中長周期(w)成分
44 ガイドベーン制御回路 45 スパイク状(s)成分
46 二次励磁制御回路 50 従来型発電設備
51 出力情報 52 出力指令
60 需給制御装置 70 二次電池
100 太陽光発電システム 100a 太陽電池
100b パワコン 200 天候監視カメラ
201 画像処理部 300 発生電圧予測算出部
400 太陽光発電予測制御部。




 

 


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