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デジタル保護継電装置 - 三菱電機株式会社
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発明の名称 デジタル保護継電装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−14052(P2007−14052A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188133(P2005−188133)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
発明者 清水 利憲
要約 課題
監視信号成分除去用のデジタルフィルタによる演算遅れの影響を低減して保護継電動作の応答性を高めたデジタル保護継電装置を提供する。

解決手段
アナログ入力回路2から出力されるデジタル化後の現時点のデータとこれよりも所定期間前のデータとのレベル差を算出する差分演算部15と、この差分演算部15の出力に基づいてリレー演算を行う第1のリレー演算手段16と、上記デジタルデータに含まれる監視信号成分を除去するデジタルフィルタ19と、このデジタルフィルタ19の出力に基づいてリレー演算を行う第2のリレー演算手段20と、両リレー演算手段16,20の出力の論理和をトリップ信号として生成するオアゲート23とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
電力系統から取り込んだ電流、電圧などのアナログの交流信号に、これよりも高次の周波数の監視信号を重畳し、この重畳後の信号をデジタル化して出力するアナログ入力回路と、このアナログ入力回路から出力されるデジタルデータに含まれる監視信号成分を除去して系統事故の有無を判定するリレー演算を行うとともに、上記デジタルデータに含まれる監視信号成分を抽出して上記アナログ入力回路の健全性の評価を行うデジタル演算処理回路とを備えたデジタル保護継電装置において、
上記アナログ入力回路から出力されるデジタル化後の現時点のデータとこれよりも所定期間前のデータとのレベル差を算出する差分演算手段と、この差分演算手段の出力に基づいてリレー演算を行う第1のリレー演算手段と、上記デジタルデータに含まれる監視信号成分を除去するデジタルフィルタと、このデジタルフィルタの出力に基づいてリレー演算を行う第2のリレー演算手段と、上記第1,第2リレー演算手段の出力の論理和をとってこの論理和信号を遮断器をトリップするトリップ信号として生成する論理和手段と、を備えることを特徴とするデジタル保護継電装置。
【請求項2】
上記第1のリレー演算手段と上記論理和手段との間には、第1のリレー演算手段の出力を所定時間だけ遅延させて論理和手段に与える遅延手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のデジタル保護継電装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の事故発生の有無を判断して電力系統を保護するデジタル保護継電装置に係り、特には、アナログ入力回路の精度評価機能とリレー演算処理の高速化とを両立させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル保護継電装置は、電力系統から電流、電圧などの電気量を示すアナログの交流信号を所定周期でサンプリングしてデジタル化し、このデジタルデータに基づいてリレー演算(例えば、交流信号のレベルを基準値と比較判定するレベル検出等)を行って電力系統の事故の有無を判定する。そして、リレー演算の結果、電力系統に事故が発生したと判定した場合には、これに応じて遮断器をトリップさせるなどして電力系統を保護する。
【0003】
ところで、このようなデジタル保護継電装置は、リレー演算を行うための大半の部分をソフトウェアで実現しているために信頼性が高いという利点があるが、リレー演算を精度良く実行するためには、その前処理として、アナログの交流信号に含まれるノイズ等の高周波成分を除去するためのアナログフィルタや、アナログの交流信号をデジタル化するためのA/D変換器などを含むアナログ入力回路が必要となる。
【0004】
この場合、アナログ入力回路に含まれるアナログフィルタやA/D変換器は、演算増幅器、抵抗、コンデンサなどの回路素子を組み合わせて構成されているので、これらの回路素子は、経年劣化等に起因してその特性が変化し、結果的にアナログ入力回路の誤差が増大して性能が低下するおそれがある。
【0005】
そのため、従来技術では、電力系統の交流信号の周波数(50Hzあるいは60Hz)よりも高次の周波数(例えば、系統周波数の4倍の周波数)をもつ監視信号を交流信号に予め重畳入力し、デジタル変換後のデータからデジタルフィルタで監視信号成分を抽出した後、この抽出した監視信号のレベルを予め設定された警報値と比較し、監視信号のレベルが警報値よりも大きいときにはアナログ入力回路に不良があると判定し、この判定結果に応じて警報を発するなどしてアナログ入力回路の健全性を評価できるようしたものが提供されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
このように、電力系統で得られる交流信号に監視信号を重畳する方式を採用したデジタル保護継電装置は、アナログ入力回路の健全性を評価できる点で有益であるが、その反面、デジタル化した交流信号には監視信号成分が含まれているので、この監視信号成分が本来必要なリレー演算を行う際のノイズとなって電力系統の事故検出の障害となる。このため、従来は、リレー演算処理を行う前段部分に監視信号成分を除去するデジタルフィルタを設け、監視信号成分がリレー演算を行う際に悪影響を及ぼさないようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−23624号公報
【特許文献2】特開平9−257854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電力系統の保護を図る上で、デジタル保護継電装置は、事故発生を短時間の内に確実に検出して遮断器を迅速にトリップさせることが必要である。すなわち、デジタル保護継電動作の応答性の高いことが要求される。
【0009】
しかしながら、アナログ入力回路の健全性を評価するために電力系統で得られる交流信号に監視信号を重畳する方式を採用した従来のデジタル保護継電装置においては、本来必要なリレー演算を行う処理の前段に監視信号成分を除去するデジタルフィルタを実装しているので、このデジタルフィルタによる演算遅れ(一種の時定数)が存在し、このため、事故発生から遮断器を実際にトリップさせるまでの応答性の向上の妨げになるいといった問題がある。
【0010】
特に、デジタルフィルタとして、上記の監視信号成分を除去するだけでなく、電力系統の交流信号の周波数よりも高次の種々の周波数成分(例えば、系統周波数の2倍〜8倍の高調波成分)をもつ信号をできけるだけ多く除去しようとすると、それだけノイズ除去処理も複雑になるため、演算遅れが一層顕著になって応答性が劣化する。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、アナログ入力回路の健全性を評価できるという利点を損なわず、かつ、監視信号を除去するデジタルフィルタに起因した演算遅れの影響を可及的に低減して保護継電動作の応答性を高め、事故発生に応じて電力系統を迅速に遮断することができるデジタル保護継電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明では、電力系統から取り込んだ電流、電圧などのアナログの交流信号に、これよりも高次の周波数の監視信号を重畳し、この重畳後の信号をデジタル化して出力するアナログ入力回路と、このアナログ入力回路から出力されるデジタルデータに含まれる監視信号成分を除去して系統事故の有無を判定するリレー演算を行うとともに、上記デジタルデータに含まれる監視信号成分を抽出して上記アナログ入力回路の健全性の評価を行うデジタル演算処理回路とを備えたデジタル保護継電装置において、次の構成を採用している。
【0013】
すなわち、本発明では、上記アナログ入力回路から出力されるデジタル化後の現時点のデータとこれよりも所定期間前のデータとのレベル差を算出する差分演算手段と、この差分演算手段の出力に基づいてリレー演算を行う第1のリレー演算手段と、上記デジタルデータに含まれる監視信号成分を除去するデジタルフィルタと、このデジタルフィルタの出力に基づいてリレー演算を行う第2のリレー演算手段と、上記第1,第2リレー演算手段の出力の論理和をとってこの論理和信号を遮断器をトリップするトリップ信号として生成する論理和手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来と同様に、電力系統で得られる交流信号に監視信号を重畳する方式を採用しているので、アナログ入力回路の健全性の評価を行えるという利点を維持することができる。しかも、差分演算手段で現時点のデータとこれよりも所定期間前のデータとを差分演算してから、論理和手段においてこの差分演算後のリレー演算結果とデジタルフィルタで監視信号成分を除去した後のリレー演算結果との論理和をとり、この論理和の信号をトリップ信号として生成するため、従来のように、デジタルフィルタで監視信号成分を除去した後のリレー演算結果のみに基づいてトリップ信号を生成する場合に比べて、電力系統の事故発生に対して短時間の内にトリップ信号を生成することができる。このため、監視信号成分を除去するデジタルフィルタに起因した演算遅れの影響を可及的に低減することができ、従来よりも保護継電動作の応答性を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1におけるデジタル保護継電装置の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
このデジタル保護継電装置1は、アナログ入力回路2とデジタル演算処理回路3とを有する。
【0017】
アナログ入力回路2は、電力系統に対してその電流を検出する変流器(CT)4や電圧を検出する変成器(PD)5で得られるアナログの交流信号を電子回路で取り扱えるレベルに変換する各入力変換器7、電力系統の周波数よりも高次の周波数(例えば、系統周波数の4倍の周波数)を有する監視信号を発生する監視信号発生器8、入力変換器7でレベル変換された後の交流信号にそれぞれ監視信号を重畳する加算器9、変流器4や変成器5で検出される交流信号に含まれるノイズ等の高周波成分を除去するためのアナログフィルタ10、各アナログフィルタ10の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路11、各サンプルホールド回路11の出力のいずれか一方を選択して出力するマルチプレクサ12、および監視信号が重畳された交流信号をデジタルデータに変換するA/D変換器13を含む。
【0018】
一方、デジタル演算処理回路3は、実質的にはマイクロコンピュータ等からなり、所定の制御プログラムをインストールすることにより、差分演算手段としての差分演算処理部15、第1のリレー演算手段16、デジタルフィルタ19、第2のリレー演算手段20、論理和手段としてのオアゲート23、デジタルフィルタ25、および良否判定部26が構成されている。
【0019】
上記の差分演算処理部15は、デジタル化された後のデータについて、所定のサンプリング周期(例えば、交流信号の電気角で30゜に相当する周期)ごとに現時点のデータとこれより一定期間T前のデータとのレベル差を算出するものである。なお、この場合の一定期間Tは、本例では電力系統の交流信号の1周期分に相当する期間に設定されている。ただし、差分演算処理部15は、監視信号除去以外のフィルタを実装してもよい。
【0020】
また、第1のリレー演算手段16は、差分演算処理部15の出力に基づいてリレー演算を行うもので、実効値算出部17とレベル比較部18とからなる。ここに、実効値算出部17は、差分演算処理部15で差分演算処理されたデジタルデータから交流信号成分の実効値を算出するものであり、また、レベル比較部18は、この実効値算出部17で算出された交流信号成分の実効値を予め設定されたしきい値TAPと比較するものである。
【0021】
デジタルフィルタ19は、デジタルデータに含まれる監視信号成分を除去するもので、例えば非巡回式のデジタルフィルタで構成されている。
第2のリレー演算手段20は、デジタルフィルタ19の出力に基づいてリレー演算を行うもので、実効値算出部21とレベル比較部22とからなる。ここに、実効値算出部21は、デジタルフィルタ19で監視信号成分が除去された後のデジタルデータから交流信号成分の実効値を算出するものであり、また、レベル比較部22は、この実効値算出部21で算出された交流信号成分の実効値を予め設定されたしきい値と比較するものである。
【0022】
また、オアゲート23は、第1,第2の各リレー演算手段16,20を構成するレベル比較部18,22から出力される信号の論理和をとり、この論理和出力を図外の遮断器をトリップするトリップ信号として出力するものである。
【0023】
デジタルフィルタ25は、デジタルデータに含まれる監視信号成分を抽出するもので、例えば非巡回式のデジタルフィルタで構成されている。また、良否判定部26は、このデジタルフィルタ25で抽出された監視信号成分のレベルを予め設定された警報値と比較してアナログ入力回路2の精度の良否を判定するものである。
【0024】
次に、上記構成を備えたデジタル保護継電装置1の動作について、図2の波形図、および図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、デジタル演算処理回路2では、デジタル処理を行うので実際に取り扱うのは離散的なデータになるが、図2および図3では、説明の便宜上、連続波形として示している。
【0025】
電力系統に設けられた変流器4や変成器5で検出された電流、電圧の電気量をもつ各交流信号は、入力変換器7によって電子回路で取り扱えるレベルに変換されて加算器9に入力される。そして、加算器9において、監視信号発生器8から発生される電力系統の交流信号の周波数よりも高次の周波数(例えば、系統周波数の4倍の周波数)をもつ監視信号がこの交流信号に重畳される。
【0026】
監視信号が重畳された交流信号は、続いてアナログフィルタ10を通過することで外来ノイズ等の高周波成分が除去される。そして、このアナログフィルタ10の出力は、次段のサンプルホールド回路11によって一時的に保持された後、マルチプレクサ12によって各サンプルホールド回路11の出力のいずれか一方が選択されてA/D変換器13に入力される。A/D変換器13は、この監視信号が重畳された交流信号をデジタルデータに変換し、このデジタルデータをデジタル演算処理回路3に与える。
【0027】
差分演算処理部15は、デジタル変換後のデータについて、図2(a)に示すように、所定のサンプリング周期(例えば、交流信号の電気角で30゜に相当する周期)ごとに、現時点のデータとこれより一定期間T前のデータとのレベル差を算出する。この場合の一定期間Tは、本例では電力系統の交流信号の1周期分に相当する期間に対応するように予め設定されているので、現時点のデータとこれより一定期間T前のデータとのレベル差を算出したときには、図2(b)に示すように、デジタルデータに含まれる監視信号成分が除去されるとともに、デジタルデータに含まれる交流信号成分の内、当該処理回路15に入力された最初の一周期T分に相当するデータが抽出されることになる。
【0028】
次いで、実効値算出部17は、差分演算処理部15で差分演算処理されたデジタルデータから交流信号成分の実効値を算出する。続いて、レベル比較部18は、この実効値算出部17で算出された交流信号成分の実効値を予め設定されたしきい値TAPと比較する。
【0029】
ここで、電力系統の短絡などの系統事故が発生した場合、差分演算処理部15で差分演算処理して得られる交流信号成分のデータ波形は、例えば図3(a)の実線で示すようになり、次いで、実効値算出部17で算出される実効値のデータ波形は、図3(b)の実線で示すようになる。続いて、レベル比較部18において交流信号成分の実効値がしきい値TAPと比較されるが、短絡等の系統事故が発生した場合にはアナログの交流信号のレベルが増加するために、実効値も一定期間Taだけしきい値TAPを越えることになる。したがって、レベル比較部18からは、図3(c)に示すように、一定期間Taだけハイレベルとなる信号が出力される。
【0030】
一方、A/D変換器13の出力はデジタルフィルタ19にも入力されるので、デジタルフィルタ19は、デジタルデータに含まれる監視信号成分を除去する。その際、デジタルフィルタ19がフィルタ演算を行うために演算遅れが発生する。次いで、実効値算出部21は、デジタルフィルタ19で監視信号成分が除去された後のデジタルデータから交流信号成分の実効値を算出する。続いて、レベル比較部22は、この実効値算出部21で算出された交流信号成分の実効値を予め設定されたしきい値TAPと比較する。
【0031】
ここで、電力系統の短絡などの系統事故が発生した場合、デジタルフィルタ19で監視信号成分が除去された交流信号成分のデータ波形は、例えば図3(a)の破線で示すような連続波形となり、次いで、実効値算出部21で算出される実効値のデータ波形は、図3(b)の破線で示すようになる。この場合の実効値のデータ波形は、その前段のデジタルフィルタ19の演算遅れに起因して緩やかに上昇している。続いて、レベル比較部22において交流信号成分の実効値がしきい値TAPと比較されるが、系統事故が発生した場合、この実効値はしきい値TAPを越えることになる。したがって、レベル比較部22からは、図3(d)に示すように、しきい値TAPを越えた時点からハイレベルとなる信号が出力される。この場合、上述のごとく、実効値算出部21で算出される実効値の波形は、その前段のデジタルフィルタ19の演算遅れに起因して緩やかに上昇するため、このレベル比較部22から出力されるハイレベルの信号(図3(d))の出力タイミングは、他方のレベル比較部18から出力されるハイレベルの信号(図3(c))の出力タイミングよりもTbの期間だけ遅れている。
【0032】
そして、各レベル比較部18,22の出力は共にオアゲート23に与えられるので、オアゲート23は、両出力の論理和をとってこの論理和出力を図外の遮断器をトリップするトリップ信号として出力する。したがって、オアゲート23から出力されるトリップ信号は、図3(e)に示すように、一方のレベル比較部18から出力されるハイレベルの信号(図3(c))の出力タイミングで立ち上がり、その後、Ta期間が経過してもハイレベル期間が継続する信号となる。このため、従来のように、デジタルフィルタ19で監視信号成分を除去した後のリレー演算結果のみに基づいてトリップ信号を生成する場合(つまり、図3(d)の信号をトリップ信号とする場合)に比べて、電力系統の事故発生に対して短時間の内にトリップ信号を生成することができ、保護継電動作の応答性が高くなる。
【0033】
そして、オアゲート23から出力されるトリップ信号によって遮断器が動作して電力系統が遮断されると、当該装置1への交流信号入力がなくなるため、トリップ信号の発生も停止される。
【0034】
さらに、A/D変換器13の出力はデジタルフィルタ25にも入力されるので、デジタルフィルタ25は、デジタルデータに含まれる監視信号成分を抽出する。続いて、良否判定部26は、このデジタルフィルタ25で抽出された監視信号成分のレベルを予め設定された警報値と比較し、監視信号成分のレベルが警報値よりも大きいときにはアナログ入力回路2に不良があると判定し、この判定結果に応じて警報を発したり、あるいは判定結果を図示しない表示器などに表示する。これにより、アナログ入力回路2の健全性を評価することができる。
【0035】
このように、この実施の形態1のデジタル保護継電装置1によれば、従来と同様に、電力系統で得られる交流信号に監視信号を重畳する方式を採用しているので、アナログ入力回路2の健全性の評価を行えるという利点を維持することができる。
【0036】
しかも、この実施の形態1では、差分演算手段15で現時点のデータとこれよりも所定期間T前のデータとを差分演算してから第1のリレー演算手段16でリレー演算を行ってから、このリレー演算した結果とデジタルフィルタ19で監視信号成分を除去した後に第2のリレー演算手段20でリレー演算した結果との論理和をとり、この論理和の信号をトリップ信号として生成するため、従来のように、デジタルフィルタ19で監視信号成分を除去した後のリレー演算結果のみに基づいてトリップ信号を生成する場合に比べて、電力系統の事故発生に対して短時間の内にトリップ信号を生成することができる。その結果、監視信号を除去するデジタルフィルタ19に起因した演算遅れの影響を可及的に低減することができ、従来よりも保護継電動作の応答性を高めることが可能となる。
【0037】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2におけるデジタル保護継電装置1のデジタル演算処理回路2の構成の一部分を取り出して示すブロック図であり、図1に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0038】
この実施の形態2におけるデジタル保護継電装置の特徴は、第1のリレー演算手段16を構成するレベル比較部18と論理和手段であるオアゲート23との間に、レベル比較部18の出力を所定時間τだけ遅延させてオアゲート23に与える遅延手段24が設けられていることである。
【0039】
次に、この実施の形態2のデジタル保護継電装置1におけるデジタル演算処理回路2の動作、特に、遮断器をトリップするトリップ信号を発生させる部分の動作について、図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、この場合もデジタル処理を行うので実際に取り扱うのは離散的なデータになるが、図5では、説明の便宜上、連続波形として示している。
【0040】
いま、電力系統の短絡などの系統事故が発生した場合、差分演算処理部15で差分演算処理して得られる交流信号成分のデータ波形は、例えば図5(a)の実線で示すようになり、次いで、実効値算出部17で算出される実効値のデータ波形は、図5(b)の実線で示すようになる。続いて、レベル比較部18において交流信号成分の実効値がしきい値TAPと比較されるが、系統事故が発生した場合、この実効値は一定期間Taだけしきい値TAPを越えることになる。したがって、レベル比較部18からは、図5(c)に示すように、一定期間Taだけハイレベルとなる信号が出力される。ここまでの動作は、実施の形態1の場合と同じである。
【0041】
そして、この実施の形態2の場合、レベル比較部18の出力側には遅延手段24が設けられているので、レベル比較部18から出力される信号は、図5(d)に示すように、所定時間τだけ遅延される。そして、この遅延後の信号がオアゲート23に与えられる。
【0042】
一方、A/D変換器13の出力はデジタルフィルタ19にも入力されるので、デジタルフィルタ19は、デジタルデータに含まれる監視信号成分を除去する。デジタルフィルタ19で監視信号成分が除去された交流信号成分のデータ波形は、例えば図5(a)の破線で示すようになる。その際、デジタルフィルタ19がフィルタ演算を行うために演算遅れが発生する。特に、デジタルフィルタ19として、上記の監視信号成分を除去するだけでなく、電力系統の交流信号の周波数よりも高次の種々の周波数成分(例えば、系統周波数の2倍〜8倍の高調波成分)の信号も除去したい場合があり、このようなフィルタ特性をもたせようとすると、それだけフィルタ演算処理も複雑になって演算遅れが一層顕著になる。
【0043】
したがって、このようにフィルタ演算処理の遅れが顕著な場合、次段の実効値算出部21で算出される実効値のデータ波形は、図5(b)の破線で示すようになる。すなわち、他方の実効値算出部17で算出される実効値(実線)が期間Taの経過後にしきい値TAPよりも低下した後で、この実効値算出部21で算出される交流信号成分の実効値がしきい値TAPを越えることが起こり得る。このため、レベル比較部22からしきい値TAPを越えたときに出力されるハイレベル信号は、図5(e)に示すように、他方のレベル比較部18から出力されるハイレベルの信号(図5(c))の出力タイミングよりもTc(>Ta)の期間だけ遅れることになる。
【0044】
しかしながら、前述のごとく、レベル比較部18から出力される信号は、遅延手段24によって所定時間τだけ遅延されているので(図5(d)参照)、オアゲート23から出力されるトリップ信号は、図3(f)に示すように、遅延手段24から出力されるハイレベルの信号(図5(d))の出力タイミングで立ち上がり、その後、Ta期間が経過してもハイレベル期間が継続する信号となる。
【0045】
つまり、一方の実効値算出部17で算出される実効値の波形(実線)がしきい値TAPよりも低下した後に、他方の実効値算出部21で算出される実効値の波形(破線)がしきい値TAPを越えるような場合でも、遅延手段24を設けることによって、ハイレベルのトリップ信号が途中で中断することなく継続して出力される。しかも、従来のように、デジタルフィルタ19で監視信号成分を除去した後のリレー演算結果のみに基づいてトリップ信号を生成する場合(つまり、図5(e)の信号をトリップ信号とする場合)に比べて、電力系統の事故発生に対して短時間の内にトリップ信号を生成することができ、保護継電動作の応答性が高くなる。
【0046】
そして、オアゲート23から出力されるトリップ信号によって図外の遮断器が動作して電力系統が遮断されると、当該装置1への交流信号入力がなくなるため、トリップ信号の発生も停止される。
【0047】
なお、上記の実施の形態1,2では、差分演算処理部15において、差分演算を行う場合の対象となる前後のデータの期間Tとして、電力系統の交流信号の1周期分に対応させているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば交流信号の2周期あるいは3周期に相当する期間に対応させることも可能である。ただし、この期間Tが長くなるほどリレー演算を行うのに要する時間が長くかかり、事故検出精度が劣化するおそれがあるので、上記の期間Tとしては交流信号の1周期分に対応させるのが実際上は好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデジタル保護継電装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】同装置のデジタル演算処理回路、特に差分演算処理部における動作説明に供する波形図である。
【図3】同装置のデジタル演算処理回路の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2におけるデジタル保護継電装置のデジタル演算処理回路の一部分を取り出して示すブロック図である。
【図5】同装置のデジタル演算処理回路の動作説明に供するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 デジタル保護継電装置、2 アナログ入力回路、3 デジタル演算処理回路、
8 監視信号発生器、15 差分演算処理部(差分演算手段)、
16 第1のリレー演算手段、19 監視信号成分除去用のデジタルフィルタ、
20 第2のリレー演算手段、23 オアゲート(論理和手段)、24 遅延手段。




 

 


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