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交流回転機の制御装置 - 三菱電機株式会社
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発明の名称 交流回転機の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−6664(P2007−6664A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−186152(P2005−186152)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
発明者 金原 義彦
要約 課題
位置或いは速度センサレス交流回転機にあって、円滑で安定した動作特性が得られる交流回転機の制御装置を得ることを目的としている。

解決手段
d、q軸電流検出値id,iqにそれぞれ電機子抵抗値Rを乗算して出力する第1、第2のゲイン演算器11、12、回転角速度指令ω*とそれぞれq、d軸推定磁束φq、φdとの積を出力する第1、第2の乗算器13、14、d軸電圧指令vd*に第1の乗算器13の出力を加算し第1のゲイン演算器11の出力を減算して出力する第1の加減算器15、q軸電圧指令vq*に第2の乗算器14の出力を加算し第2のゲイン演算器12の出力を減算して出力する第2の加減算器16、第1の加減算器15の出力の一次遅れ演算を行いd軸推定磁束φdを出力する第1のフィルタ17、および第2の加減算器16の出力の一次遅れ演算を行いq軸推定磁束φqを出力する第2のフィルタ18からなる総磁束推定器5を備えた。
特許請求の範囲
【請求項1】
三相の電力変換器の電圧で駆動される交流回転機、この交流回転機の各相電流を検出する電流検出器、回転角速度指令から位相θを演算する位相演算器、上記電流検出器からの各相電流検出値を上記位相演算器からの位相θに基づいて回転二軸座標上のd軸電流検出値とq軸電流検出値とに変換する三相/dq軸変換器、上記d、q軸電流検出値、上記回転角速度指令、回転二軸座標上のd、q軸電圧指令および上記交流回転機の電機子抵抗値に基づき回転二軸座標上のd軸推定磁束とq軸推定磁束とを演算する総磁束推定器、上記d軸推定磁束がd軸磁束指令に一致するように回転二軸座標上のd軸電流指令を演算するd軸磁束制御器、上記q軸推定磁束がq軸磁束指令に一致するように回転二軸座標上のq軸電流指令を演算するq軸磁束制御器、上記d、q軸電流検出値がそれぞれ上記d、q軸電流指令に一致するように上記回転二軸座標上のd、q軸電圧指令を演算する電流制御器、および上記d、q軸電圧指令を上記位相θに基づいて三相電圧指令に変換して上記電力変換器に出力するdq軸/三相変換器を備えた交流回転機の制御装置。
【請求項2】
上記総磁束推定器は、上記d軸電流検出値に上記電機子抵抗値を乗算して出力する第1のゲイン演算器、上記q軸電流検出値に上記電機子抵抗値を乗算して出力する第2のゲイン演算器、上記回転角速度指令と上記q軸推定磁束との積を出力する第1の乗算器、上記回転角速度指令と上記d軸推定磁束との積を出力する第2の乗算器、上記d軸電圧指令に上記第1の乗算器の出力を加算し上記第1のゲイン演算器の出力を減算して出力する第1の加減算器、上記q軸電圧指令に上記第2の乗算器の出力を減算し上記第2のゲイン演算器の出力を減算して出力する第2の加減算器、上記第1の加減算器の出力の一次遅れ演算を行い上記d軸推定磁束を出力する第1のフィルタ、および上記第2の加減算器の出力の一次遅れ演算を行い上記q軸推定磁束を出力する第2のフィルタを備えたことを特徴とする請求項1記載の交流回転機の制御装置。
【請求項3】
上記q軸磁束指令を零に設定することにより、総磁束の大きさを上記d軸磁束指令に保ち、上記総磁束の位相を上記回転角速度指令に基づく位相に一致させることを特徴とする請求項1または2に記載の交流回転機の制御装置。
【請求項4】
三相の電力変換器の電圧で駆動される交流回転機、この交流回転機の各相電流を検出する電流検出器、上記電流検出器からの各相電流検出値を推定位相θに基づいて回転二軸座標上のd軸電流検出値とq軸電流検出値とに変換する三相/dq軸変換器、上記d、q軸電流検出値、上記推定位相θ、回転二軸座標上のd、q軸電圧指令および上記交流回転機の電機子抵抗値に基づき推定総磁束の振幅と角速度と上記推定位相θとを演算する総磁束推定器、上記推定総磁束が総磁束振幅指令に一致するように回転二軸座標上のd軸電流指令を演算する総磁束制御器、上記推定総磁束の角速度が回転角速度指令に一致するように回転二軸座標上のq軸電流指令を演算する速度制御器、上記d、q軸電流検出値がそれぞれ上記d、q軸電流指令に一致するように上記回転二軸座標上のd、q軸電圧指令を演算する電流制御器、および上記d、q軸電圧指令を上記推定位相θに基づいて三相電圧指令に変換して上記電力変換器に出力するdq軸/三相変換器を備えた交流回転機の制御装置。
【請求項5】
上記総磁束推定器は、上記d軸電流検出値に上記電機子抵抗値を乗算して出力する第1のゲイン演算器、上記q軸電流検出値に上記電機子抵抗値を乗算して出力する第2のゲイン演算器、上記d軸電圧指令から上記第1のゲイン演算器の出力を減算して出力する第1の加減算器、上記q軸電圧指令から上記第2のゲイン演算器の出力を減算して出力する第2の加減算器、上記第1の加減算器の出力の一次遅れ演算を行い上記推定総磁束の振幅を出力するフィルタ、上記第2の加減算器の出力を上記推定総磁束の振幅で除算して上記推定総磁束の角速度を出力する除算器、および上記推定総磁束の角速度から上記推定位相θを演算する位相演算器を備えたことを特徴とする請求項4記載の交流回転機の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、速度センサ或いは位置センサを用いることなく交流回転機を可変速に駆動するための交流回転機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、例えば特許文献1の交流回転機の制御装置では、交流回転機の回転位置を演算するために、電機子電圧から、直列接続された電機子抵抗と電機子インダクタンスとに電機子電流を流した際に発生する降下電圧値を減じることにより得られる信号を演算する。
この信号に対し、直流ゲインが1の低域通過フィルタF(s)としてα/(s+α)を考え(1−F(s))/s=1/(s+α)なるフィルタを用意し、フィルタリング処理する。このフィルタリング処理した信号を残電圧値として得る。
この残電圧値は、回転子磁束を低域遮断フィルタs/(s+α)でフィルタリング処理した信号であることから、この残電圧値に基づき回転子位置を演算している。
【0003】
また、従来の、例えば特許文献2の交流回転機の制御装置は、基本的には一次磁束制御法により同期電動機を指令信号通りに駆動制御するものであり、電機子電流のγ軸成分とδ軸成分iγ、iδからd−q軸とγ−δ軸のずれの角度φ(偏角:φ=(δ−π/2))を推定し、偏角φを0にするような角周波数ω1で、かつ、τe=τe*となる電機子電流が流れるような電圧vγ*、vδ*に相当する三相交流電圧を出力するようにインバータ装置を動作させている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−094298号公報(5頁[数5]、図10)
【特許文献2】特開2002−186299号公報(5頁[0020]、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の位置或いは速度センサレス交流回転機の制御装置にあっては、回転子位置を推定するために、電機子抵抗値と電機子インダクタンス値とが必要となる。
ところで、交流回転機、特に同期機では、定格電流以下でも電流振幅によって磁気飽和が生じることが多く、電機子インダクタンス値がこの磁気飽和により大きく変化する。
この結果、制御対象とする回転子磁束が正確に得られず、円滑で安定した動作特性が得られないという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、円滑で安定した動作特性が得られる交流回転機の制御装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る交流回転機の制御装置は、三相の電力変換器の電圧で駆動される交流回転機、この交流回転機の各相電流を検出する電流検出器、回転角速度指令から位相θを演算する位相演算器、電流検出器からの各相電流検出値を位相演算器からの位相θに基づいて回転二軸座標上のd軸電流検出値とq軸電流検出値とに変換する三相/dq軸変換器、d、q軸電流検出値、回転角速度指令、回転二軸座標上のd、q軸電圧指令および交流回転機の電機子抵抗値に基づき回転二軸座標上のd軸推定磁束とq軸推定磁束とを演算する総磁束推定器、d軸推定磁束がd軸磁束指令に一致するように回転二軸座標上のd軸電流指令を演算するd軸磁束制御器、q軸推定磁束がq軸磁束指令に一致するように回転二軸座標上のq軸電流指令を演算するq軸磁束制御器、d、q軸電流検出値がそれぞれd、q軸電流指令に一致するように回転二軸座標上のd、q軸電圧指令を演算する電流制御器、およびd、q軸電圧指令を位相θに基づいて三相電圧指令に変換して電力変換器に出力するdq軸/三相変換器を備えたものである。
【0007】
第2の発明に係る交流回転機の制御装置は、三相の電力変換器の電圧で駆動される交流回転機、この交流回転機の各相電流を検出する電流検出器、電流検出器からの各相電流検出値を推定位相θに基づいて回転二軸座標上のd軸電流検出値とq軸電流検出値とに変換する三相/dq軸変換器、d、q軸電流検出値、推定位相θ、回転二軸座標上のd、q軸電圧指令および交流回転機の電機子抵抗値に基づき推定総磁束の振幅と角速度と推定位相θとを演算する総磁束推定器、推定総磁束が総磁束振幅指令に一致するように回転二軸座標上のd軸電流指令を演算する総磁束制御器、推定総磁束の角速度が回転角速度指令に一致するように回転二軸座標上のq軸電流指令を演算する速度制御器、d、q軸電流検出値がそれぞれd、q軸電流指令に一致するように回転二軸座標上のd、q軸電圧指令を演算する電流制御器、およびd、q軸電圧指令を推定位相θに基づいて三相電圧指令に変換して電力変換器に出力するdq軸/三相変換器を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明に係る交流回転機の制御装置にあっては、d、q軸電流検出値、回転角速度指令、回転二軸座標上のd、q軸電圧指令および交流回転機の電機子抵抗値により演算される回転二軸座標上のd、q軸推定磁束に基づき交流回転機の制御を行うようにしたので、磁気飽和で大きく変動する電機子インダクタンス値を使用する必要がなくなり、円滑で安定した動作特性が得られる。
【0009】
また、第2の発明に係る交流回転機の制御装置にあっては、d、q軸電流検出値、推定位相θ、回転二軸座標上のd、q軸電圧指令および交流回転機の電機子抵抗値により演算される推定総磁束の振幅と角速度と推定位相θとに基づき交流回転機の制御を行うようにしたので、磁気飽和で大きく変動する電機子インダクタンス値を使用する必要がなくなり、円滑で安定した動作特性が得られる。また、交流回転機がその負荷急変等により回転角速度が変動しても推定位相が角速度指令に拘わらずこの変動に追従し交流回転機の動作が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による交流回転機の制御装置を示す構成図である。電力変換器1は、同期機である交流回転機2に三相の電圧を印加する。電流検出器3は、交流回転機2に発生する相電流iu、ivを検出する。図1は、電流検出器3として、電力変換器1と交流回転機2とを接続する結線を流れる電流をCT等により検出するものを記載しているが、他の公知の手法を用いて、母線電流など電力変換器1内部に流れる電流を用いて相電流を検出しても良い。
iu+iv+iw=0の関係が成立するので、u、v2相分の検出電流からw相の電流を求めることができる。
【0011】
公知の通り、三相電圧或いは三相電流を回転直交二軸へ座標変換をする時に、制御座標軸が必要となるが、この制御座標軸の位相をθとする。三相/dq軸変換器4は、電流検出器3から得られた相電流iu、iv、iwを位相θの回転直交二軸(d−q軸)(以下、回転二軸座標と称するものとする)上のd軸電流(検出値)id、q軸電流(検出値)iqに座標変換する。
【0012】
総磁束推定器5は、d軸電流id、q軸電流iq、回転角速度指令ω*、回転二軸座標上のd軸電圧指令vd*、q軸電圧指令vq*に基づいて、回転二軸座標上のd軸推定磁束φd、q軸推定磁束φqを出力する。
なお、総磁束演算器5の内部構成については、図2により後段で詳述する。
【0013】
d軸磁束制御器6は、d軸磁束指令とd軸推定磁束との偏差を増幅してd軸電流指令を生成する。偏差の増幅方法は、比例でも積分でも良く、或いは比例積分でも良い。
q軸磁束制御器7は、q軸磁束指令とq軸推定磁束との偏差を増幅してq軸電流指令を生成する。偏差の増幅方法は、d軸磁束制御器6と同様に比例でも積分でも良く、或いは比例積分でも良い。
電流制御器8は、d軸電流指令とd軸電流検出値との偏差を増幅してd軸電圧指令vd*を出力すると同時に、q軸電流指令とq軸電流検出値との偏差を増幅してq軸電圧指令vq*を出力する。
位相演算器9は、回転角速度指令ω*を積分して位相θとして三相/dq軸変換器4とdq軸/三相変換器10とへ出力する。なお、本願明細書では、角速度をω(角周波数)と同義で使用するものとする。
dq軸/三相変換器10は、位相演算器9から得た位相θに基づいてd軸電圧指令とq軸電圧指令とを三相電圧指令に変換し、電力変換器1へ出力する。
【0014】
図2は、総磁束演算器5の構成を示すものである。
先ず、総磁束演算器5の演算原理について説明する。
交流回転機の電機子抵抗値をR、回転二軸座標上の総磁束をφd、φq、回転二軸座標上の電圧をvd、vq、回転二軸座標上の電流をid、iqと定義する。回転二軸座標が角周波数ωで回転している場合、総磁束φd、φqに関して(1)、(2)式が成り立つ。
【0015】
vd=R×id+d/dt(φd)−ω・φq … (1)
vq=R×iq+d/dt(φq)+ω・φd … (2)
【0016】
(1)、(2)式は、交流回転機一般に成り立つものであり、誘導機、同期機のいずれでも成立する。(1)、(2)式を整理すると(3)、(4)式を得る。
【0017】
d/dt(φd)=vd−R×id+ω・φq … (3)
d/dt(φq)=vq−R×iq−ω・φd … (4)
【0018】
(3)、(4)式において、ωの代わりに回転角速度指令ω*を、d軸電圧vd、q軸電圧vqの代わりにd軸電圧指令vd*、q軸電圧指令vq*、積分の代わりに任意のカットオフ角周波数ωc(≧0)[rad/s]の一次遅れフィルタを代入して整理すると(5)、(6)式を得る。
【0019】
φd=(vd*−R×id+ω*・φq)/(s+ωc) … (5)
φq=(vq*−R×iq−ω*・φd)/(s+ωc) … (6)
【0020】
ここで、sはラプラス演算子である。特に、ωc=0の時、(5)、(6)式は(7)、(8)式となり、d、q軸誘起電圧が得られる。
【0021】
d/dt(φd)=vd*−R×id+ω*・φq … (7)
d/dt(φq)=vq*−R×iq−ω*・φd … (8)
【0022】
後段でも触れるが、積分の代わりにカットオフ角周波数ωc(≧0)[rad/s]の一次遅れ演算をすると、カットオフ角周波数ωcより低い帯域のノイズを積分することを防止し、低速域の安定性が向上するという効果がある。
【0023】
続いて、図2の構成について説明する。
第1のゲイン演算器11は、d軸電流検出値idを電機子抵抗値であるR倍してd軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×id)を演算する。第2のゲイン演算器12は、q軸電流検出値iqを電機子抵抗値であるR倍してq軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×iq)を演算する。
第1の乗算器13は、q軸推定磁束φqと回転角速度指令ω*とを乗算して(ω*×φq)を出力する。第2の乗算器14は、d軸推定磁束φdと回転角速度指令ω*とを乗算して(ω*×φd)を出力する。
【0024】
第1の加減算器15は、d軸電圧指令vd*からd軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×id)を減算するとともに(ω*×φq)を加算してd軸推定磁束の時間微分d/dt(φd)を算出する。第2の加減算器16は、q軸電圧指令vq*からq軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×iq)を減算するとともに(ω*×φd)を減算してq軸推定磁束の時間微分d/dt(φq)を算出する。
【0025】
第1のフィルタ17は、加減算器15が出力するd/dt(φd)を入力とし、カットオフ角周波数ωc(≧0)[rad/s]の一次遅れ演算を行い、d軸推定磁束φdを出力する。第2のフィルタ18は、加減算器16が出力するd/dt(φq)を入力とし、カットオフ角周波数ωc(≧0)[rad/s]の一次遅れ演算を行い、q軸推定磁束φqを出力する。
【0026】
なお、加減算器15、16の出力を単純に積分するのではなく、フィルタ17、18を用いたカットオフ角周波数ωc(≧0)[rad/s]の一次遅れ演算を行うのは以下の理由による。
即ち、単なる積分器(1/s)とすると、角周波数が零に近づくとゲインが無限大に近づく。従って、仮に、完全な積分器で推定磁束を求めるものとすると、特に、角周波数が極低い領域、即ち、例えば、回転機始動直後の極低回転速度の領域では、入力信号にわずかな誤差があっても、フィルタの高いゲインのためその誤差が拡大されて出力され制御に支障を来す懸念がある。
【0027】
これに対し、フィルタ17、18の特性は、ラプラス演算子sをjω(jは虚数単位)に置換して考えると、入力信号の角周波数がカットオフ角周波数ωcより十分大きい周波数帯域では1/sに、カットオフ角周波数ωcより十分小さい周波数帯域では1/ωcに漸近することが分かる。
従って、カットオフ角周波数ωcは、以上のような観点から導入したもので、所定の低角周波数帯域において不要な誤差出力を未然に防止せんとするものである。
【0028】
制御方法としては、図1において、d軸磁束指令を任意の正数、q軸磁束指令を0で与えれば、q軸磁束がゼロになるように制御するので、総磁束の振幅Φ(=√(φd+φq))の値をd軸磁束指令に保ち、総磁束の位相を回転角速度指令に基づいた位相に一致させることが出来る。
【0029】
従来の交流回転機の制御装置は、回転子磁束の位相を制御軸にしていたため、回転子磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求める必要があった。回転子磁束の演算は、電流インダクタンスの値が必要であり、従って、位置検出器を用いない従来の交流回転機の制御装置は、電機子抵抗値とインダクタンス値が不可欠であった。しかし、インダクタンス値は磁気飽和に起因する電流依存性や突極性に起因する回転位置依存性があるので、正確な値の把握は容易ではない。
これに対し、この発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置は、総磁束の位相θを制御軸にするため、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求める。そして、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求めるためには、電圧から電機子抵抗に起因する電圧降下を減算するだけでよい。従って、インダクタンス値が不要である。その結果、インダクタンス値の磁気飽和に起因する電流依存性や突極性に起因する回転位置依存性に関係なく、所望の制御性能が得られるという効果が得られる。
【0030】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、d軸磁束指令を任意の正数、q軸磁束指令を0で与え、q軸磁束がゼロになるように制御することにより、総磁束の振幅Φ(=√(φd+φq))の値をd軸磁束指令に保ち、総磁束の位相を回転角速度指令に基づいた位相に一致させ、速度制御を行なった。
これに対し、この実施の形態2では、総磁束の振幅Φの値を総磁束振幅指令Φ*に保ち、総磁束の位相の変化率、即ち、総磁束の角速度が、回転角速度指令に一致するように制御を行なう。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態2による交流回転機の制御装置の構成を示す図である。図3においては、総磁束推定器5の代わりに総磁束推定器5aにより構成する。また、d軸電流指令は、総磁束振幅指令Φ*と推定総磁束Φとの偏差を増幅する総磁束制御器20により演算し、q軸電流指令は、回転角速度指令ω*と総磁束の推定角速度ω0との偏差を増幅する速度制御器21により演算する。図1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するもので個々の説明は重複するので省略する。
【0032】
図3のように、総磁束推定器5aが、推定総磁束Φと推定角速度ω0を出力し、総磁束制御器20と速度制御器21を設けたので、総磁束の振幅Φを総磁束振幅指令Φ*に保ち、総磁束の角速度ω0が、回転角速度指令ω*に一致した制御を行なうことができる。
【0033】
図4は、総磁束推定器5aの構成を示す図である。
先ず、総磁束演算器5aの演算原理について説明する。
先の実施の形態1に示した(5),(6)式に任意の角速度ωを代入したものを(9)、(10)式に示す。
【0034】
φd=(vd*−R×id+ω・φq)/(s+ωc) … (9)
φq=(vq*−R×iq−ω・φd)/(s+ωc) … (10)
【0035】
(9)、(10)式において、q軸推定磁束φqがゼロとなる角周波数ωは、(9)、(10)式にφq=0を代入して整理した(11)、(12)式によって得ることができる。
【0036】
φd=(vd*−R×id)/(s+ωc) … (11)
ω=(vq*−R×iq)/φd … (12)
【0037】
q軸推定磁束φqがゼロとなる角周波数をω0と定義する時、推定総磁束Φは、√(φd+φq)であることから(13)、(14)式が成り立つ。
【0038】
Φ=(vd*−R×id)/(s+ωc) … (13)
ω0=(vq*−R×iq)/Φ … (14)
【0039】
換言すると、(13)式に基づいて推定総磁束Φを演算し、(14)式によって得られた角速度ω0に同期して回転する回転二軸座標上で演算を行うことにより、回転二軸のd軸は推定総磁束と同位相となる。
【0040】
続いて、図4の構成について説明する。
第1のゲイン演算器31は、d軸電流検出値idを電機子抵抗値R倍してd軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×id)を演算する。第2のゲイン演算器32は、q軸電流検出値iqを電機子抵抗値R倍してq軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×iq)を演算する。
第1の加減算器33は、d軸電圧指令からd軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×id)を減算してd軸誘起電圧を算出する。第2の加減算器34は、q軸電圧指令からq軸の電機子抵抗に起因する電圧降下(R×iq)を減算してq軸誘起電圧を算出する。
【0041】
フィルタ35は、加減算器33が出力するd軸誘起電圧を入力とし、カットオフ角周波数ωc(≧0)[rad/s]の一次遅れ演算を行い、推定総磁束Φを出力する。除算器36は、加減算器34が出力するq軸誘起電圧をフィルタ35からの推定総磁束Φで除算し推定角速度ω0を出力する。
位相演算器37は、推定角速度ω0を積分して推定位相θを出力する。この推定位相θは、三相/dq軸変換器4とdq軸/三相変換器10へ出力される。
【0042】
この発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置は、推定角速度ω0を積分した総磁束の推定位相θを制御軸にするため、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求める。先の実施の形態1で述べたとおり、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求めるためには、電圧から電機子抵抗に起因する電圧降下を減算するだけでよい。従って、インダクタンス値が不要である。その結果、インダクタンス値の磁気飽和に起因する電流依存性や突極性に起因する回転位置依存性に関係なく、所望の制御性能が得られるという効果が得られる。
【0043】
以下では、交流回転機がその負荷急変等により回転角速度が変動した場合の特性について、実施の形態1の場合と比較して説明する。
図1に示した先の実施の形態1の構成では、q軸磁束制御器7によりq軸電流指令の生成を行うとともに、位相演算器9で回転角速度指令を積分して位相θを演算する。
交流回転機2の負荷トルクがステップ状に変化して交流回転機2の回転角速度が変動しても、回転角度指令が一定であると、位相演算器9が演算する位相θは交流回転機2の回転角速度の変動に追従できず、場合によっては脱調する可能性がある。
【0044】
これに対し、図3に示したこの実施の形態2の構成では、総磁束推定器5aが、d軸電圧指令、q軸電圧指令、d軸電流検出値、q軸電流検出値に基づいて推定位相θを出力するので、交流回転機2の負荷トルクがステップ状に変化して交流回転機2の回転角速度が変動する場合でも、回転角速度指令に拘わらず、推定位相θは、交流回転機2の回転角速度の変動に追従する。また、速度制御器21によりq軸電流指令の生成を行うので、回転角速度を回転角速度指令に一致させることができる。
以上のように、実施の形態2の構成により、交流回転機2の負荷トルクがステップ状に変化して交流回転機2の回転角速度が変動した場合でも、交流回転機2を安定に駆動できるという効果がある。
【0045】
また、この発明の各変形例において、総磁束推定器は、d軸電流検出値に電機子抵抗値を乗算して出力する第1のゲイン演算器、q軸電流検出値に電機子抵抗値を乗算して出力する第2のゲイン演算器、回転角速度指令とq軸推定磁束との積を出力する第1の乗算器、回転角速度指令とd軸推定磁束との積を出力する第2の乗算器、d軸電圧指令に第1の乗算器の出力を加算し第1のゲイン演算器の出力を減算して出力する第1の加減算器、q軸電圧指令に第2の乗算器の出力を減算し第2のゲイン演算器の出力を減算して出力する第2の加減算器、第1の加減算器の出力の一次遅れ演算を行いd軸推定磁束を出力する第1のフィルタ、および第2の加減算器の出力の一次遅れ演算を行いq軸推定磁束を出力する第2のフィルタを備えたので、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求めるのにインダクタンス値が不要となり、インダクタンス値の磁気飽和に起因する電流依存性や突極性に起因する回転位置依存性に関係なく、所望の制御性能が得られるという効果が得られる。
【0046】
また、q軸磁束指令を零に設定することにより、総磁束の大きさをd軸磁束指令に保ち、総磁束の位相を回転角速度指令に基づく位相に一致させるので、交流回転機の適切な制御が簡便な設定で実現する。
【0047】
また、総磁束推定器は、d軸電流検出値に電機子抵抗値を乗算して出力する第1のゲイン演算器、q軸電流検出値に電機子抵抗値を乗算して出力する第2のゲイン演算器、d軸電圧指令から第1のゲイン演算器の出力を減算して出力する第1の加減算器、q軸電圧指令から第2のゲイン演算器の出力を減算して出力する第2の加減算器、第1の加減算器の出力の一次遅れ演算を行い推定総磁束の振幅を出力するフィルタ、第2の加減算器の出力を推定総磁束の振幅で除算して推定総磁束の角速度を出力する除算器、および推定総磁束の角速度から推定位相θを演算する位相演算器を備えたので、総磁束に起因する誘起電圧ベクトルを求めるのにインダクタンス値が不要となり、インダクタンス値の磁気飽和に起因する電流依存性や突極性に起因する回転位置依存性に関係なく、所望の制御性能が得られるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明になる交流回転機の制御装置は、同期機、誘導機等各種回転機の制御に広く適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の実施の形態1における交流回転機の制御装置を示す構成図である。
【図2】図1の総磁束演算器5の内部構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2における交流回転機の制御装置を示す構成図である。
【図4】図3の総磁束演算器5aの内部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 電力変換器、2 交流回転機、3 電流検出器、4 三相/dq軸変換器、
5,5a 総磁束演算器、6 d軸磁束制御器、7 q軸磁束制御器、8 電流制御器、9,37 位相演算器、10 dq軸/三相変換器、11,31 第1のゲイン演算器、12,32 第2のゲイン演算器、13 第1の乗算器、14 第2の乗算器、
15,33 第1の加減算器、16,34 第2の加減算器、17 第1のフィルタ、
18 第2のフィルタ、20 総磁束制御器、21 速度制御器、35 フィルタ、
36 除算器。




 

 


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