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発明の名称 モータ駆動装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−129801(P2007−129801A)
公開日 平成19年5月24日(2007.5.24)
出願番号 特願2005−318504(P2005−318504)
出願日 平成17年11月1日(2005.11.1)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 中山 寛
要約 課題
インバータの過負荷を防止と動力性能の確保との両立が可能なモータ駆動装置を提供する。

解決手段
交流モータの過負荷状態が検出されると、制御装置は、所定期間dtおきに、断続的に最大トルクT_maxを出力するように交流モータを駆動制御する。これにより、交流モータの出力トルクTは、所定期間dtだけ最大トルクT_maxを示した後に連続可能トルクT_stdまで低下するのを繰り返す。このとき、制御装置は、交流モータが最大トルクT_maxを出力した回数をカウントし、カウント値が予め設定した所定の許容回数Nに達したと判断されると、最大トルクT_maxの断続的な出力を停止して、最大トルクから漸減させた出力トルクを断続的に出力させる。これにより、インバータの素子温度が許容温度Th_limに達しない範囲内で最大トルクT_maxが有効に利用されるため、モータの動力性能が確保される。
特許請求の範囲
【請求項1】
電源と、
前記電源から電力の供給を受けてモータを駆動する駆動回路と、
前記モータの出力が目標トルクに一致するように前記駆動回路を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記モータの回転数およびモータ駆動電流に基づいて、前記モータの過負荷状態を検出する過負荷状態検出部と、
前記モータの過負荷状態検出に応じて、前記モータの出力トルクを制限するモータ出力制限部とを含み、
前記モータ出力制限部は、前記モータが予め設定された所定の許容回数範囲内で、前記モータが出力可能な最大トルクを断続的に出力するように前記目標トルクを設定する、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記モータ出力制限部は、前記モータが所定期間おきに、かつ前記所定の許容回数範囲内で、前記モータが出力可能な最大トルクを出力するように前記目標トルクを設定する、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記モータ出力制限部は、前記駆動回路の温度が所定の許容値を超えないように前記許容回数を設定する、請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記モータ出力制限部は、前記モータが前記最大トルクを出力した回数が前記許容回数に達したと判断されると、前記モータの出力トルクが前記所定期間おきに、前記最大トルクから漸減するように前記目標トルクを設定する、請求項3に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記駆動回路は、複数のスイッチング素子のスイッチング操作により前記電源と前記モータとの間で電力変換を行なう電力変換器であり、
前記所定の期間は、前記最大トルクに対応するモータ駆動電流が前記複数のスイッチング素子のいずれかに継続して流れた場合に、前記いずれかのスイッチング素子の温度が所定の許容温度に達するまでの時間よりも短くなるように設定される、請求項4に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記駆動回路の初期温度を取得する初期温度取得手段をさらに含み、
前記モータ出力制限部は、取得された前記駆動回路の初期温度に応じて前記許容回数を調整する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記モータ出力制限部は、前記駆動回路の初期温度が相対的に高くなるに従って、前記許容回数が相対的に少なくなるように調整する、請求項6に記載のモータ駆動装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータ駆動装置に関し、特に、駆動回路を過熱から保護可能なモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境に配慮した自動車として、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が注目されている。ハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、インバータを介して直流電源により駆動されるモータを動力源とする自動車である。つまり、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
【0003】
また、電気自動車は、インバータを介して直流電源によって駆動されるモータを動力源とする自動車である。
【0004】
このようなハイブリッド自動車または電気自動車においては、走行用のモータが通常回転時には、インバータの各スイッチング素子には交流電流が流れる。ところが、脱輪等によってモータの回転子がロックされて停止状態となった場合、または超低速回転速度状態となった場合には、特定のスイッチング素子に大きな直流電流が流れ、その素子の熱損失が急激に増加することになる。
【0005】
このようなモータのロック時または超低速回転速度時におけるインバータの過負荷を防止する手段として、従来より、モータの出力トルクを制限することにより、インバータのスイッチング素子を流れる電流量を制限する技術が検討されている(たとえば特許文献1〜4参照)。
【0006】
しかしながら、走行用のモータにかかる出力トルク制限を適用した場合、出力トルクを直ちに低下させてしまうと、所望の車両駆動力が得られず、ロック状態または超低速回転速度状態から脱出できないという不具合が発生しうる。例えば登坂時にアクセルペダルの踏込み量不足などによって、走行用のモータがロック状態となった場合には、出力トルクを制限することによって車両のずり下がりが起きてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、たとえば特許文献1は、モータの出力トルクを急に低下させずにインバータの過負荷を防止することを図った電気自動車の過負荷防止装置を開示する。
【0008】
特許文献1によれば、電気自動車の過負荷防止装置は、スイッチング素子温度検出値に基づいて、各スイッチング素子の接合部温度を推定する温度推定手段と、通電中のスイッチング素子の接合部温度推定値に応じたトルク制限値を演算するトルク制限値演算手段と、モータの回転速度検出値が所定値よりも小さく、かつ、スイッチング素子の接合部温度推定値が所定値を超えたときに、トルク制限値によりトルク指令値を制限する指令値制限手段とを備える。
【0009】
トルク制限値演算手段は、モータの磁極位置に基づいて通電しているスイッチング素子を特定し、その通電中のスイッチング素子の接合部温度推定値に応じたトルク制限値を演算する。そして、指令値制限手段によりトルク指令値がトルク制限値以下に制限されると、トルク制限後の指令値に応じた出力電流となるように通電中のスイッチング素子の電流が制御される。
【0010】
そして、かかるトルク制限によって出力トルクが低下することにより、モータの通電相、すなわち、通電スイッチング素子が隣の相の素子に移ると、新しく通電相になったスイッチング素子のトルク制限値が演算される。このとき、新たに通電相になったスイッチング素子は今まで通電していなかったので接合部温度が低く、したがってトルク制限値が高い。そのため、出力トルクが増加に転じる。
【0011】
これによれば、各スイッチング素子ごとに接合部温度に応じてトルク指令値が制限されるので、モータロック時に急に出力トルクが低下することがない。その結果、乗員が違和感を覚えるのが防止される。
【特許文献1】特開平11−122703号公報
【特許文献2】特開平7−322401号公報
【特許文献3】特開平8−191503号公報
【特許文献4】特開2005−45863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の特許文献1によれば、トルク制限値演算手段および指令値制限手段は、モータの磁極位置が変化すること、すなわち、モータが回転することを前提とした制御を行なっている。そのため、モータの回転が完全に固定された場合においては、トルク指令値を、インバータに通電可能な最大電流を流したときに得られる最大トルクから、モータロック時にインバータの特定のスイッチング素子が連続的に許容できる最大直流電流を流したときのモータの出力トルク(以下、連続可能トルクとも称する)に単純に低下せざるを得ない。したがって、モータロック時の出力トルクが急激に低下することとなり、ロック状態から脱出するために必要な動力を確保できない可能性が生じる。
【0013】
また、トルク制限値演算手段は、モータの磁極位置に基づいて通電中のスイッチング素子を特定し、特定したスイッチング素子の接合部温度推定値に応じたトルク制限値を演算する構成であることから、制御内容が複雑になってしまうという問題がある。さらには、モータの磁極位置によって発生するトルクの大きさが異なることから、依然として車両の運転者に違和感を与えることを否めない。
【0014】
それゆえ、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、インバータの過負荷を防止と動力性能の確保との両立が可能なモータ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明によれば、モータ駆動装置は、電源と、電源から電力の供給を受けてモータを駆動する駆動回路と、モータの出力が目標トルクに一致するように駆動回路を制御する制御装置とを備える。制御装置は、モータの回転数およびモータ駆動電流に基づいて、モータの過負荷状態を検出する過負荷状態検出部と、モータの過負荷状態検出に応じて、モータの出力トルクを制限するモータ出力制限部とを含む。モータ出力制限部は、モータが予め設定された所定の許容回数範囲内で、モータが出力可能な最大トルクを断続的に出力するように目標トルクを設定する。
【0016】
上記のモータ駆動装置によれば、モータが過負荷状態の場合には、駆動回路の過熱が抑制される範囲内で、モータは出力可能な最大トルクを断続的に出力する。これにより、駆動回路の熱的保護を図りながら、モータの最大トルクを有効に利用することができる。その結果、モータの能力を最大限に発揮させて動力性能を確保することができる。
【0017】
好ましくは、モータ出力制限部は、モータが所定期間おきに、かつ所定の許容回数範囲内で、モータが出力可能な最大トルクを出力するように目標トルクを設定する。
【0018】
上記のモータ駆動装置によれば、モータが過負荷状態の場合には、モータは所定期間おきに最大トルクを出力する。これにより、簡易な制御構成のもとでモータの最大トルクを有効に利用することができる。
【0019】
好ましくは、モータ出力制限部は、駆動回路の温度が所定の許容値を超えないように許容回数を設定する。
【0020】
上記のモータ駆動装置によれば、モータが最大トルクの出力を許容される回数は、駆動回路の温度上昇を考慮して設定されるため、駆動回路の過熱を未然に防止して信頼性を向上することができる。
【0021】
好ましくは、モータ出力制限部は、モータが最大トルクを出力した回数が許容回数に達したと判断されると、モータの出力トルクが所定期間おきに、最大トルクから漸減するように目標トルクを設定する。
【0022】
上記のモータ駆動装置によれば、モータは、最大トルクを許容回数だけ出力した後は、出力トルクを最大トルクから段階的に減少させる。これにより、モータの能力を最大限に発揮させて動力性能を確保することができる。
【0023】
好ましくは、駆動回路は、複数のスイッチング素子のスイッチング操作により電源とモータとの間で電力変換を行なう電力変換器である。所定の期間は、最大トルクに対応するモータ駆動電流が複数のスイッチング素子のいずれかに継続して流れた場合に、いずれかのスイッチング素子の温度が所定の許容温度に達するまでの時間よりも短くなるように設定される。
【0024】
上記のモータ駆動装置によれば、インバータの特定のスイッチング素子の過熱を抑制しながら、モータの最大トルクを有効に利用することができる。
【0025】
好ましくは、制御装置は、駆動回路の初期温度を取得する初期温度取得手段をさらに含む。モータ出力制限部は、取得された駆動回路の初期温度に応じて許容回数を調整する。
【0026】
上記のモータ駆動装置によれば、駆動回路の過熱が確実に防止される限りにおいて、モータの最大トルクを最大限利用することができる。
【0027】
好ましくは、モータ出力制限部は、駆動回路の初期温度が相対的に高くなるに従って、許容回数が相対的に少なくなるように調整する。
【0028】
上記のモータ駆動装置によれば、駆動回路の温度が相対的に低いときには、モータはより多く最大トルクを出力することができる。したがって、モータの能力をより一層発揮させて動力性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、モータが過負荷状態の場合には、駆動回路の過熱が抑制される範囲内で、モータからは出力可能な最大トルクが断続的に出力される。これにより、駆動回路の熱的保護を図りながら、モータの最大トルクを有効に利用することができる。その結果、モータの能力を最大限に発揮させて動力性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0031】
図1は、この発明の実施の形態によるモータ駆動装置の概略ブロック図である。
図1を参照して、モータ駆動装置100は、直流電源Bと、電圧センサ10,11と、システムリレーSR1,SR2と、コンデンサC1,C2と、昇圧コンバータ12と、インバータ14と、電流センサ24と、温度センサ13と、回転数センサ20と、制御装置30とを備える。
【0032】
交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。また、交流モータM1は、エンジン(図示せず)にて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえばエンジン始動を行ない得るようなモータである。
【0033】
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、NPNトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
【0034】
リアクトルL1の一方端は直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端はNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との中間点、すなわち、NPNトランジスタQ1のエミッタとNPNトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。
【0035】
NPNトランジスタQ1,Q2は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。NPNトランジスタQ1のコレクタは電源ラインに接続され、NPNトランジスタQ2のエミッタはアースラインに接続される。また、各NPNトランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ配されている。
【0036】
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とからなる。U相アーム15、V相アーム16およびW相アーム17は、電源ラインとアースラインとの間に並列に設けられる。
【0037】
U相アーム15は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4からなる。V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6からなる。W相アーム17は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8からなる。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
【0038】
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通に接続されて構成される。U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
【0039】
なお、昇圧コンバータ12およびインバータ14にそれぞれ含まれるスイッチング素子は、NPNトランジスタQ1〜Q8に限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET等の他のパワー素子で構成しても良い。
【0040】
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオンなどの二次電池からなる。電圧センサ10は、直流電源Bから出力される電圧Vbを検出し、検出した電圧Vbを制御装置30へ出力する。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。より具体的には、システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からのH(論理ハイ)レベルの信号SEによりオンされ、制御装置30からのL(論理ロー)レベルの信号SEによりオフされる。
【0041】
コンデンサC1は、直流電源Bから供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧を昇圧コンバータ12へ供給する。
【0042】
昇圧コンバータ12は、コンデンサC1から供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWMCを受けると、信号PWMCによってNPNトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。
【0043】
また、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWMCを受けると、コンデンサC2を介してインバータ14から供給された直流電圧を降圧して直流電源Bへ供給する。
【0044】
コンデンサC2は、昇圧コンバータ12から出力された直流電圧を平滑化し、平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。
【0045】
電圧センサ11は、コンデンサC2の両端の電圧Vm(すなわち、インバータ14の入力電圧に相当する。以下同じ。)を検出し、その検出した電圧Vmを制御装置30へ出力する。
【0046】
温度センサ13は、インバータ14を冷却する冷却水の温度(以下、「インバータ冷却水温」とも称する。)Tivを検出し、その検出したインバータ冷却水温Tivを制御装置30へ出力する。
【0047】
インバータ14は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると、制御装置30からの信号PWMIに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定された要求トルクを発生するように駆動される。
【0048】
また、インバータ14は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMIに基づいて直流電圧に変換し、変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0049】
なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合との回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車速を減速(または加速を中止)させることを含む。
【0050】
電流センサ24は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流MCRTを制御装置30へ出力する。回転数センサ20は、交流モータM1のモータ回転数MRNを検出し、その検出したモータ回転数MRNを制御装置30へ出力する。
【0051】
制御装置30は、アクセルポジションセンサ40からアクセルペダルポジションAPを受け、シフトポジションセンサ42からシフトポジションSPを受け、ブレーキペダルポジションセンサ44からブレーキペダルポジションBPを受ける。さらに、制御装置30は、電圧センサ10から直流電圧Vbを受け、電圧センサ11から出力電圧Vmを受け、電流センサ24からモータ電流MCRTを受け、回転数センサ20からモータ回転数MRNを受け、温度センサ13からインバータ冷却水温Tivを受ける。
【0052】
制御装置30は、アクセルペダルポジションAP、シフトポジションSPおよびブレーキペダルポジションBPに基づいて、交流モータM1に要求される出力トルク(以下、要求トルクとも称する)T*を演算する。
【0053】
また、制御装置30は、モータ回転数MRNおよびモータ電流MCRTに基づいて、後述する方法により、交流モータM1の駆動状態を検出する。
【0054】
そして、制御装置30は、演算した要求トルクT*と検出した交流モータM1の駆動状態とに基づいて、交流モータM1を駆動するためのトルク指令値TRを設定する。
【0055】
そうすると、制御装置30は、設定したトルク指令値TR、出力電圧Vm、モータ電流MCRTに基づいて、後述する方法によりインバータ14が交流モータM1を駆動するときにインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御するための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。
【0056】
また、制御装置30は、インバータ14が交流モータM1を駆動するとき、直流電圧Vb、出力電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をスイッチング制御するための信号PWMCを生成し、生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0057】
さらに、制御装置30は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、出力電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRTに基づいて、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。この場合、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8は、信号PWMIによってスイッチング制御される。これにより、インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0058】
さらに、制御装置30は、回生制動時、直流電圧Vb,出力電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するための信号PWMCを生成し、生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
【0059】
図2は、図1における制御装置30の機能ブロック図である。
図2を参照して、制御装置30は、交流モータM1を駆動するためのトルク指令値TRを設定するトルク指令値設定手段32と、交流モータM1がトルク指令値TRによって指定されたトルクを出力するようにインバータ14および昇圧コンバータ12を駆動制御するモータトルク制御手段34とから構成される。
【0060】
具体的には、トルク指令値設定手段32は、要求トルク演算部301と、出力トルク制限部302と、駆動状態検出部310と、カウンタ308と、タイマ309とを含む。
【0061】
要求トルク演算部301は、アクセルポジションセンサ40からアクセルペダルポジションAPを受け、シフトポジションセンサ42からシフトポジションSPを受け、ブレーキペダルポジションセンサ44からブレーキペダルポジションBPを受ける。そして、要求トルク演算部301は、これらの入力信号に基づいて、交流モータM1の要求トルクT*を演算し、その演算した要求トルクT*を出力トルク制限部302へ出力する。
【0062】
駆動状態検出部310は、回転数センサ20からモータ回転数MRNを受け、電流センサ24からモータ電流MCRTを受ける。そして、駆動状態検出部310は、これらの入力信号に基づいて交流モータM1が過負荷状態であるか否かを判定し、その判定結果を出力トルク制限部302へ出力する。
【0063】
詳細には、駆動状態検出部310は、モータ回転数MRNが予め設定された所定の回転数を下回るときであって、かつモータ電流MCRTが所定の基準電流を超えた場合には、交流モータM1がインバータ14に過大な負荷を与える過負荷状態であると判定して、過負荷状態を示す信号OVLを生成して出力トルク制限部302へ出力する。
【0064】
なお、所定の回転数は、交流モータM1がロックされて停止状態または超低速回転状態にあることを検出するために、略零付近の回転数に設定される。また、所定の基準電流は、交流モータM1がロックされて停止状態または超低速回転状態にあるときには、インバータ14の特定のスイッチング素子には、交流モータM1が正常動作時に流れる交流電流の上限値を上回る直流電流が継続的に流れることを考慮して、交流電流の上限値よりも高い電流値に設定される。
【0065】
また、駆動状態検出部310は、モータ回転数MRNが所定の回転数以上のとき、および/または、モータ電流MCRTが所定の基準電流以下の場合には、交流モータM1が正常状態にあると判定して、正常状態を示す信号NORを生成して出力トルク制限部302へ出力する。
【0066】
出力トルク制限部302は、要求トルク演算部301から要求トルクT*を受け、駆動状態検出部310から信号NORまたはOVLを受けると、要求トルクT*および交流モータM1の駆動状態に基づいてトルク指令値TRを設定する。
【0067】
詳細には、出力トルク制限部302は、駆動状態検出部301からの信号NORにより交流モータM1が正常状態にあると判断されると、後述する出力トルクの制限を行なうことなく、要求トルクT*を、交流モータM1を駆動するためのトルク指令値TRとしてモータトルク制御手段34へ出力する。
【0068】
一方、出力トルク制限部302は、駆動状態検出部310からの信号OVLにより交流モータM1が過負荷状態にあると判断されると、以下に述べる方法に従って、交流モータM1の出力トルクが制限されるようにトルク指令値TRを設定し、その設定したトルク指令値TRをモータトルク制御手段34へ出力する。
【0069】
図3は、この発明の実施の形態における出力トルクの制限方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0070】
交流モータM1が過負荷状態にある場合には、出力トルク制限部302は、図3に示すように、交流モータM1が、交流モータM1の出力可能な最大トルク(以下、最大トルクとも称する)T_maxを断続的に出力するようにトルク指令値TRを設定する。
【0071】
詳細には、交流モータM1においては、通常、要求トルクに基づいて設定されたトルク指令値TRを、交流モータM1のd軸成分とq軸成分との電流指令に変換し、実際のモータ電流MCRTが電流指令と一致するようにPI(比例・積分)制御によってフィードバックをかける、いわゆる電流制御が行なわれる。このとき、要求トルクが大きくなるに従って、交流モータM1にはより高いモータ電流MCRTが流れる。そして、モータ電流MCRTが交流モータM1に通電可能な最大電流に達したとき、交流モータM1からは最大トルクT_maxが出力される。
【0072】
ここで、脱輪などによってモータがロック状態となった場合、交流モータM1を駆動制御するインバータ14の特定のスイッチング素子には、通常動作時に流れる交流電流を大きく上回る直流電流が集中して流れることになる。そのため、特定のスイッチング素子は、急激な素子温度の上昇により損傷する可能性がある。
【0073】
そのため、従来では、出力トルクを、交流モータM1の最大トルクから、特定のスイッチング素子が連続的に許容できる最大直流電流を流したときの交流モータM1の出力トルク(連続可能トルク)に低下させることで、特定のスイッチング素子の温度上昇を防止する方策が採られてきた。
【0074】
しかしながら、交流モータM1がロック状態になると、車両の運転者は、アクセルペダルをさらに踏み込むことによって車両駆動力を増加させてロック状態の脱出を試みる場合が生じる。このとき、先述のように出力トルクを直ちに低下させてしまうと、所望の車両駆動力が得られず、ロック状態から脱出できないという不具合が発生しうる。かかる不具合を防止するためには、交流モータM1の能力を活用して交流モータM1から最大トルクを積極的に出力させることが望ましい。
【0075】
その一方、交流モータM1から最大トルクを連続的に出力させた場合には、インバータ14の特定のスイッチング素子に過大な電流が継続して流れることによって素子温度が急激に上昇し、当該スイッチング素子を熱破壊させるおそれがある。
【0076】
そこで、この発明による出力トルク制限部302は、交流モータM1がインバータ14に過大な負荷を与える過負荷状態のときには、交流モータM1から最大トルクを断続的に出力させる構成とする。これにより、特定のスイッチング素子の急激な温度上昇を抑えながら、ロック状態脱出に必要な動力性能を確保することが可能となる。
【0077】
具体的には、図3において、時刻t=0に交流モータM1の過負荷状態が検出されると、出力トルク制限部302は、時刻t1から時刻t2までの所定の期間dt、交流モータM1が最大トルクT_maxを出力するように、交流モータM1を駆動するためのトルク指令値TRを設定する。これにより、出力トルクTは、所定の期間dtだけ最大トルクT_maxを示し、所定の期間dtが経過した時刻t2以降は、次第に低下する。
【0078】
なお、所定の期間dtは、最大トルクT_maxに対応するモータ電流MCRTが特定のスイッチング素子が継続して流れた場合に、当該素子の温度が許容温度に達するまでの時間よりも短くなるように設定される。具体的な設定方法としては、例えば、出力トルク制限部302が、電流センサ24からのモータ電流MCRTを所定の期間dtにわたって積算し、その電流積算値から所定の期間dt経過時点のインバータ14のスイッチング素子の温度を推定する。そして、推定した素子温度が許容温度を下回るように、所定の期間dtを制御するように構成することができる。
【0079】
もしくは、制御の容易化を図る観点から、モータが発生する動力と素子温度の上昇量とを考慮した一定期間に設定しても良い。なお、所定の期間dtは、タイマ309によって計時される。
【0080】
そして、出力トルクTが低下し、時刻t3において所定のしきい値T_stdに達したと判断されると、出力トルク制限部302は、再び、交流モータM1に所定の期間dtだけ最大トルクT_maxを出力させるようにトルク指令値TRを設定する。そして、所定の期間dtが経過したことに応じて、出力トルクTを再び所定のしきい値T_stdまで低下させる。なお、所定のしきい値T_stdは、交流モータM1の連続可能トルクに設定される。
【0081】
さらに、出力トルク制限部302は、交流モータM1に対して、以上の最大トルクT_maxの出力と出力トルクTの低下とを繰り返し行なわせるのに並行して、カウンタ308を用いて、交流モータM1が最大トルクT_maxを出力した回数をカウントする。そして、時刻tnにおいてカウンタ308のカウント値nが予め設定した所定の許容回数(図3ではN回(Nは2以上の自然数)に設定される)に達したと判断されると、出力トルク制限部302は、上述した最大トルクT_maxの断続的な出力を停止する。
【0082】
ここで、所定の許容回数Nは、予めインバータ14の特定のスイッチング素子の温度上昇を考慮して設定されて出力トルク制限部302内部の記憶領域に格納される。図3に示すように、インバータ14のスイッチング素子の温度は、出力トルクTの増加に応じてモータ電流MCRTが増加するに従って上昇し、出力トルクTの低下に応じてモータ電流MCRTが減少するに従って下降する。そして、出力トルク制限部302により最大トルクT_maxと連続可能トルクT_stdとの間で出力トルクTの増加および低下が繰り返されるのに従い、スイッチング素子の温度は、上昇と下降とを繰り返しながら徐々に高くなる。出力トルク制限部302は、スイッチング素子の温度に所定の許容温度Th_limを有しており、スイッチング素子の温度が許容温度Th_limに達しない範囲で、最大トルクT_maxの出力が最大限許容される許容回数を設定する。
【0083】
したがって、この発明によれば、スイッチング素子の温度が許容温度Th_limに達しない限りにおいて、交流モータM1に最大トルクT_maxを出力させることが可能となる。その結果、スイッチング素子の過熱を防止しながら、交流モータM1の能力を最大限に発揮させて動力性能を確保することができる。
【0084】
さらに、この発明による出力トルク制限部302は、最大トルクT_maxの出力回数が許容回数(図3ではN回)に達した後には、交流モータM1が最大トルクT_maxから漸減させたトルクを断続的に出力するようにトルク指令値TRを設定する構成とする。
【0085】
具体的には、図3の時刻tnにおいてカウント値n=Nに達すると、出力トルク制限部302は、交流モータM1が、最大トルクT_maxからΔTだけ減少させたトルクを所定の期間dtだけ出力するようにトルク指令値TRを設定する。そして、所定の期間dt経過後において出力トルクTが減少して所定のしきい値(連続可能トルク)T_stdに達すると、出力トルク制限部302は、直前の出力トルク(=T_max−ΔT)から、さらにΔTだけ減少させたトルク(=T_max−2・ΔT)を所定の期間dtだけ出力させる。このようにして、最大トルクT_maxが許容回数N出力された後には、交流モータM1からは、最大トルクT_maxからΔTずつ減少させたトルクが断続的に出力される。このときのスイッチング素子の温度は、緩やかに上昇と下降とを繰り返しながら、許容温度Th_limよりも低い所定の温度に収束する。
【0086】
このような構成とすることにより、交流モータM1からは、最大トルクT_maxが許容回数出力された後においても、最大トルクT_maxから徐々に低下させたトルクが出力され続ける。したがって、時刻tn以降に出力トルクTを最大トルクT_maxから直ちに低下させるのと比較して、交流モータM1の能力をより一層発揮させることが可能となる。その結果、動力性能の確保がさらに厚くなる。
【0087】
再び図2を参照して、モータトルク制御手段34は、出力トルク制限部302からトルク指令値TRを受けると、トルク指令値TRに指定されたトルクを出力するようにインバータ14および昇圧コンバータ12を駆動制御する。
【0088】
詳細には、モータトルク制御手段34は、モータ制御用相電圧演算部303と、インバータ用PWM信号変換部304と、インバータ入力電圧指令演算部305と、コンバータ用デューティ比演算部306と、コンバータ用PWM信号変換部307とを含む。
【0089】
モータ制御用相電圧演算部303は、昇圧コンバータ12の出力電圧Vm、すなわち、インバータ14の入力電圧を電圧センサ11から受け、モータ電流MCRTを電流センサ24から受け、トルク指令値TRを出力トルク制限部302から受ける。そして、モータ制御用相電圧演算部306は、トルク指令値TR1、モータ電流MCRTおよび出力電圧Vmに基づいて、交流モータM1の各相のコイルに印加する電圧を計算し、その計算した結果をインバータ用PWM信号変換部304へ出力する。
【0090】
インバータ用PWM信号変換部304は、モータ制御用相電圧演算部303から受けた計算結果に基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフする信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。このとき、インバータ用PWM信号変換部304は、先述の駆動状態検出部310において交流モータM1の過負荷状態が検出された場合には、所定の期間dtだけ生成した信号PWMIをインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
【0091】
これにより、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように、交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたトルクが出力される。
【0092】
また、交流モータM1が過負荷状態の場合には、交流モータM1からは、最大トルクT_maxが所定の期間dtおきに断続的に出力される。なお、最大トルクT_maxの出力回数が許容回数に達した後には、最大トルクT_maxを漸減させたトルクが所定の期間dtおきに断続的に出力される。
【0093】
インバータ入力電圧指令演算部305は、出力トルク制限部302からのトルク指令値TRと回転数センサ20からのモータ回転数MRNとに基づいて、インバータ入力電圧の最適値(目標値)、すなわち昇圧コンバータ12の電圧指令値Vdc_comを決定し、その決定した電圧指令値Vdc_comをコンバータ用デューティ比演算部306へ出力する。
【0094】
コンバータ用デューティ比演算部306は、インバータ入力電圧指令演算部305から電圧指令値Vdc_comを受け、電圧センサ10から直流電圧Vbを受けると、直流電圧Vbに基づいて、インバータ14の入力電圧Vmを電圧指令値Vdc_comに設定するためのデューティ比DRを演算する。そして、コンバータ用デューティ比演算部306は、その演算したデューティ比DRを、コンバータ用PWM信号変換部307へ出力する。
【0095】
コンバータ用PWM信号変換部307は、コンバータ用デューティ比演算部306からのデューティ比DRに基づいて昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWMCを生成し、その生成した信号PWMCを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0096】
図4は、この発明の実施の形態による出力トルク制限を説明するためのフローチャートである。
【0097】
図4を参照して、要求トルク演算部301は、各種センサ40,42,44からアクセルペダルポジションAP、ブレーキペダルポジションBPおよびシフトポジションSPが入力されると(ステップS01)、これらの入力信号に基づいて、交流モータM1の要求トルクT*を演算し、その演算した要求トルクT*を出力トルク制限部302へ出力する(ステップS02)。
【0098】
駆動状態検出部310は、モータ回転数MRNおよびモータ電流MCRTに基づいて交流モータM1が過負荷状態か否かを判定する(ステップS03)。このとき、駆動状態検出部310は、交流モータM1が過負荷状態であると判定されたことに応じて、信号OVLを生成して出力トルク制限部302へ出力する。一方、交流モータM1が正常状態であると判定されたことに応じて、信号NORを生成して出力トルク制限部302へ出力する。
【0099】
出力トルク制限部302は、信号OVLを受けると、図3にて説明した方法を従って、交流モータM1から最大トルクT_maxを許容回数Nだけ断続的に出力させるように、トルク指令値TRを設定する。
【0100】
具体的には、出力トルク制限部302は、信号OVLを受けるとカウンタ308のカウント値nをインクリメントして、n+1とする(ステップS04)。そして、出力トルク制限部302は、インクリメントさせたカウント値nが許容回数N以下であるか否かを判定する(ステップS05)。
【0101】
ステップS05にてカウント値nが許容回数N以下であると判定されると、出力トルク制限部302は、交流モータM1の最大トルクT_maxをトルク指令値TRとして所定の期間dt、モータトルク制御手段34へ出力する(ステップS06)。
【0102】
モータトルク制御手段34は、トルク指令値TRを受けると、トルク指令値TR、モータ電流MCRTおよび出力電圧Vmに基づいて、交流モータM1が最大トルクT_maxを出力するようにインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMIを生成する(ステップS08)。そして、その生成した信号PWMIを所定の期間dtだけインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する(ステップS09)。
【0103】
これにより、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、最大トルクT_maxを出力するように、交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、交流モータM1からはトルク指令値TRに応じたトルクが所定の期間dt出力される。
【0104】
そして、所定の期間dtが経過して出力トルクTが低下し、所定のしきい値(連続可能トルク)T_stdに達すると(ステップS10)、再びステップS03に戻り、交流モータM1が過負荷状態から脱したか否かが判定される。交流モータM1が未だ過負荷状態にあると判定されると、出力トルク制限部302は、ステップS04、S05へ進み、インクリメントしたカウント値nが許容回数N以下であるか否かを判定する。このとき、カウント値nが許容回数N以下と判定されると、出力トルク制限部302は、最大トルクT_maxをトルク指令値TRに設定する(ステップS06)。これにより、交流モータM1は、再び所定の期間dtだけ最大トルクT_maxを出力するように駆動制御される(ステップS08〜S010)。
【0105】
一方、カウント値nが許容回数Nを超えたと判定されると、出力トルク制限部302は、ステップS07へ進み、最大トルクT_maxをΔTだけ減少させたトルクT_max−ΔTを新たにトルク指令値TRとして設定する(ステップS07)。そして、ステップS08〜S010を実行することにより、交流モータM1からは、所定の期間dtだけ最大トルクT_maxよりもΔTだけ低いトルクが出力される。
【0106】
以上のステップS03〜S10に示す一連の動作は、交流モータM1が過負荷状態から脱するまで継続して行なわれる。そして、交流モータM1が過負荷状態から脱したと判定されると、出力トルク制限部302は、かかる出力トルクの制限を行なうことなく、要求トルクT*をトルク指令値TRとして出力する(ステップS11)。したがって、モータトルク制御手段34は、交流モータM1が要求トルクT*を出力するように、交流モータM1の各相に流す電流を制御する(ステップS12,S13)。その結果、交流モータM1からは運転者の操作に応じた要求トルクT*が出力される。
【0107】
[変更例]
ここで、交流モータM1から最大トルクT_maxの出力が許容される回数である許容回数Nは、上述したように、予めインバータ14の特定のスイッチング素子の温度上昇を考慮して設定されて出力トルク制限部302の記憶領域に格納される。
【0108】
この許容回数Nをインバータ14のスイッチング素子の初期温度に応じて可変とする構成とすれば、最大トルクT_maxをさらに有効に利用して、交流モータM1の動力性能を向上させることが可能となる。
【0109】
具体的には、出力トルク制限部32は、温度センサ13からのインバータ冷却水温Tivをモータ駆動装置100の雰囲気温度として検知する。そして、その検知したモータ駆動装置100の雰囲気温度を、インバータ14のスイッチング素子の初期温度として推定する。
【0110】
そして、出力トルク制限部302は、インバータ冷却水温Tiv、すなわちインバータ14のスイッチング素子の初期温度の推定値と、交流モータM1から最大トルクT_maxを出力可能な許容回数とにおいて、図5に示す関係を設定し、これをマップとして予め保持しておく。詳細には、図5を参照して、インバータ冷却水温Tivが高くなる程、すなわち、スイッチング素子の初期温度が高くなる程、許容回数Nはより少なくなるように設定される。そして、出力トルク制限部302は、温度センサ13からインバータ冷却水温Tivを受けると、保持したマップを参照して検出されたインバータ冷却水温Tivに対応する許容回数Nを決定する。
【0111】
このように、最大トルクT_maxの許容回数Nを、スイッチング素子の初期温度に応じて可変とすることにより、スイッチング素子の過熱を防止しながら、最大トルクT_maxをより有効に利用することが可能となる。すなわち、インバータ冷却水温Tivが相対的に低い場合、すなわち、スイッチング素子の初期温度が相対的に低いと推定される場合には、交流モータM1に対して、より多く回数最大トルクT_maxの出力を許容することにより、スイッチング素子の温度が許容温度Th_limに抑えながら、交流モータM1の動力性能をさらに向上することができる。
【0112】
一方、インバータ冷却水温Tivが相対的に高い場合、すなわち、スイッチング素子の初期温度が相対的に高いと推定される場合には、交流モータM1に対して、より少ない回数に最大トルクT_maxの出力を制限する。これにより、インバータ14のスイッチング素子の過熱を確実に防止しながら、可能な限り最大トルクT_maxを利用することが可能となる。
【0113】
図6は、この発明の実施の形態の変更例による出力トルク制限を説明するためのフローチャートである。なお、図6のフローチャートは、図4のフローチャートに対して、ステップS02とステップS03との間に、新たにステップS021を追加したものである。よって、重複するステップS01〜S13についての詳細な説明は繰り返さない。
【0114】
図6のステップS021を参照して、出力トルク制限部302は、要求トルク演算部301から要求トルクT*を受け、駆動状態検出部310から信号NORまたはOVLを受け、温度センサ13から検出されたインバータ冷却水温Tivを受ける。そして、出力トルク制限部302は、予め保持している図5のマップを参照して、インバータ冷却水温Tivに対応する最大トルクT_maxの許容回数Nを決定する。
【0115】
したがって、出力トルク制限部302は、ステップS03において交流モータM1の過負荷状態が検出されると、ステップS04〜S07に従って、決定した許容回数Nの範囲内で交流モータM1が最大トルクT_maxを出力するようにトルク指令値TRを設定する。そして、最大トルクT_maxの出力回数nが許容回数Nを超えたと判定されると、出力トルク制限部302は、出力トルクTを最大トルクT_maxから漸減させるようにトルク指令値TRを設定する。
【0116】
以上のように、この発明の実施の形態によれば、交流モータが過負荷状態のときには、インバータの特定のスイッチング素子の熱的保護が確保される限りにおいて、交流モータから最大トルクを出力させることができる。これによれば、特定のスイッチング素子の過熱を招来することなく、交流モータの能力を最大限に発揮させて動力性能を確保することができる。
【0117】
なお、この発明においては、出力トルク制限部302は「モータ出力制限部」を構成すし、駆動状態検出部310は「過負荷状態検出部」を構成する。
【0118】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0119】
この発明は、ハイブリッド自動車または電気自動車に搭載されるモータ駆動装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】この発明の実施の形態によるモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【図2】図1における制御装置の機能ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態における出力トルクの制限方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】この発明の実施の形態による出力トルク制限を説明するためのフローチャートである。
【図5】インバータ冷却水温と交流モータから最大トルクを出力可能な許容回数との関係を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態の変更例による出力トルク制限を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
10,11 電圧センサ、12 昇圧コンバータ、13 温度センサ、14 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、20 回転数センサ、24 電流センサ、30 制御装置、32 トルク指令値設定手段、34 モータトルク制御手段、40 アクセルポジションセンサ、42 シフトポジションセンサ、44 ブレーキペダルポジションセンサ、301 要求トルク演算部、302 出力トルク制限部、303 モータ制御用相電圧演算部、304 インバータ用PWM信号変換部、305 インバータ入力電圧指令演算部、306 コンバータ用デューティ比演算部、307 コンバータ用PWM信号変換部、308 カウンタ、309 タイマ、310 駆動状態検出部、100 モータ駆動装置、B 直流電源、SR1,SR2 システムリレー、Q1〜Q8 NPNトランジスタ、D1〜D8 ダイオード、C1,C2 コンデンサ、L1 インダクタ、M1 交流モータ。




 

 


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