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発明の名称 直流モータの回転状態検出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−124865(P2007−124865A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−316847(P2005−316847)
出願日 平成17年10月31日(2005.10.31)
代理人 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
発明者 栗本 宗明 / 石川 仁司 / 繁原 英一郎 / 加藤 孝三 / 桑原 拓
要約 課題
モータの回転状態を適正に検出可能な回転状態検出装置を提供する。

解決手段
直流モータの回転状態に応じて出力される出力リップル電流から遮断周波数を演算する遮断周波数演算手段14と、演算された遮断周波数を設定遮断周波数に設定する遮断周波数設定手段15と、設定遮断周波数に従って高周波ノイズ成分を除去するフィルタ手段1と、高周波ノイズ成分が除去された後のリップル電流の波形を参照して直流モータの回転状態を検出する回転状態検出手段3とを備える回転状態検出装置が、直流モータが定常回転しているか否かを判定する回転状態判定手段16と、定常回転であれば、演算された遮断周波数を設定遮断周波数に設定することを遮断周波数設定手段15に対して許可し、定常回転でなければ、演算された遮断周波数を設定遮断周波数に設定することを遮断周波数設定手段15に対して許可しない遮断周波数更新手段17とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
直流モータの回転状態に応じて出力される出力リップル電流から、遮断周波数を演算する遮断周波数演算手段と、
前記遮断周波数演算手段によって演算された前記遮断周波数を設定遮断周波数に設定する遮断周波数設定手段と、
前記設定遮断周波数に従って、前記出力リップル電流から高周波ノイズ成分を除去するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段によって前記高周波ノイズ成分が除去された後のリップル電流の波形を参照して、前記直流モータの回転状態を検出する回転状態検出手段と、を備える直流モータの回転状態検出装置であって、
前記直流モータが定常回転しているか否かを判定する回転状態判定手段と、
前記設定遮断周波数を更新する遮断周波数更新手段と、を備え、
前記遮断周波数更新手段は、
前記回転状態判定手段が、前記直流モータが定常回転をしていないと判定したとき、前記遮断周波数演算手段によって演算された前記遮断周波数を前記設定遮断周波数に設定することを前記遮断周波数設定手段に対して許可し、
前記回転状態判定手段が、前記直流モータが定常回転をしていると判定したとき、前記遮断周波数演算手段によって演算された前記遮断周波数を前記設定遮断周波数に設定することを前記遮断周波数設定手段に対して許可しないように構成されている直流モータの回転状態検出装置。
【請求項2】
前記回転状態判定手段は、前記遮断周波数演算手段によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であるときに、前記直流モータが定常回転していると判定するように構成されている請求項1記載の直流モータの回転状態検出装置。
【請求項3】
前記回転状態判定手段は、前記遮断周波数演算手段によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であり、且つ、前記出力リップル電流の変化率が設定電流閾値未満であるときに、前記直流モータが定常回転していると判定するように構成されている請求項1記載の直流モータの回転状態検出装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流モータの回転状態を検出するための回転状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流モータによって駆動されるパワーシート装置やパワーウィンド装置を車両に搭載した場合、シート位置やウィンド位置、及び、動作量を正確に認識する必要がある。そのため、作動中の直流モータから出力される出力リップル電流のリップル数を計測して、直流モータの回転状態を検出することが行われている。但し、リップル電流には高周波(高調波)ノイズ成分が含まれているため、直流モータの回転状態を正確に検出するためには、スイッチト・キャパシタ・フィルタなどのフィルタ手段を用いて、フィルタ手段の遮断周波数よりも高周波側の上記高周波ノイズ成分を除去する必要がある。但し、リップル電流のリップル周波数は、直流モータの回転数が上昇すれば高くなり、回転数が降下すれば低くなる。そのため、常に「リップル周波数<遮断周波数」の状態を維持するためには、遮断周波数をリップル周波数に応じて変動させる必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の直流モータの回転状態検出装置は、上記直流モータから出力される出力リップル電流に含まれる高周波ノイズ成分を除去するための遮断周波数を演算する遮断周波数演算手段と、上記遮断周波数演算手段によって演算された上記遮断周波数を上記設定遮断周波数に設定する遮断周波数設定手段と、上記設定遮断周波数に従って、上記出力リップル電流から上記高周波ノイズ成分を除去するフィルタ手段と、上記フィルタ手段によって上記高周波ノイズ成分が除去された後のリップル電流の波形を参照して、上記直流モータの回転数を検出する回転状態検出手段とを備えている。
【0004】
このように特許文献1に記載の回転状態検出装置では、遮断周波数設定手段は、上記設定遮断周波数を、遮断周波数演算手段によって演算された遮断周波数で逐次更新するように構成されている。つまり、フィルタ手段の設定遮断周波数が、直流モータの回転状態に応じて可変である。その結果、例えば、直流モータの回転速度が上昇してリップル電流のリップル周波数が高くなったとしても、演算され、設定される設定遮断周波数が高くなり、上記高周波ノイズ成分を良好に遮断できるようになる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−9585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
直流モータから出力されるリップル電流には、上述した高周波ノイズ成分だけでなく、電源電圧の揺らぎに起因する低周波ノイズ成分も含まれている。図9は、本来のリップル電流に低周波ノイズ成分が重畳した状態で直流モータから出力される出力リップル電流の波形を示すグラフである。但し、簡略化のため、出力リップル電流に含まれる高周波ノイズ成分は図示していない。また、この出力リップル電流をフィルタ手段に通過させ、パルス化閾値で2値化したリップルパルス波形も示す。図9に示すように、期間:Taの間は低周波ノイズが下降傾向にあるので、出力リップル電流も減少傾向にある。そのため、出力リップル電流がパルス化閾値を上回るタイミングの周期は長くなり、図示するリップルパルス波形の周波数は低下傾向を示す。それ故、実際のリップル電流のリップル周波数には変化がないにも関わらず、遮断周波数演算手段で演算され、遮断周波数設定手段によって設定される設定遮断周波数は、徐々に低下することになる。
【0007】
図10は、フィルタ手段の遮断周波数と、リップル電流の周波数:faとの関係を示すグラフである。図示するように、フィルタ手段により、リップル電流は、設定遮断周波数以上では100%減衰し、設定遮断周波数未満でも僅かに減衰する。従って、図9の期間:Tbに示すように設定遮断周波数が減少すると、実際のリップル電流のリップル周波数:faには変化がないにも関わらず、そのリップル電流の周波数にもフィルタ手段の影響が及び、リップル電流が減衰する(つまり、リップル電流の振幅が減少する)ことになる。例えば、設定遮断周波数がfAであるときにはリップル電流(周波数:faで一定)は減衰しないが、上述のように低周波ノイズ成分の存在に起因して設定遮断周波数がfBに減少すると、リップル電流は僅かに減衰してしまう。
【0008】
このようなリップル電流の減衰が発生すると、図9に示すように、期間:Tcにおいて出力リップル電流がパルス化閾値と交差せず、完全に上回る期間が生じてしまう。つまり、出力リップル電流がパルス化閾値を上回る期間が長くなり、リップルパルス波形の周波数は低下するので、遮断周波数設定手段によって設定される設定遮断周波数は、更に低下することになる。そして、最終的には設定遮断周波数が低周波ノイズ成分の周波数に設定される可能性がある。
【0009】
このように、直流モータが定常回転して、リップル電流の周波数も安定しているにも拘わらず、低周波ノイズ成分の存在と、設定遮断周波数が継続的に更新され続けるというアクティブフィルタ手段の特性により、リップルパルス波形の周波数を正確に導出できなくなる。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リップル電流のリップル周波数を正確に導出して、直流モータの回転状態を適正に検出可能な回転状態検出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る直流モータの回転状態検出装置の特徴構成は、直流モータの回転状態に応じて出力される出力リップル電流から、遮断周波数を演算する遮断周波数演算手段と、
前記遮断周波数演算手段によって演算された前記遮断周波数を設定遮断周波数に設定する遮断周波数設定手段と、
前記設定遮断周波数に従って、前記出力リップル電流から高周波ノイズ成分を除去するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段によって前記高周波ノイズ成分が除去された後のリップル電流の波形を参照して、前記直流モータの回転状態を検出する回転状態検出手段と、を備える直流モータの回転状態検出装置であって、
前記直流モータが定常回転しているか否かを判定する回転状態判定手段と、
前記設定遮断周波数を更新する遮断周波数更新手段と、を備え、
前記遮断周波数更新手段は、
前記回転状態判定手段が、前記直流モータが定常回転をしていないと判定したとき、前記遮断周波数演算手段によって演算された前記遮断周波数を前記設定遮断周波数に設定することを前記遮断周波数設定手段に対して許可し、
前記回転状態判定手段が、前記直流モータが定常回転をしていると判定したとき、前記遮断周波数演算手段によって演算された前記遮断周波数を前記設定遮断周波数に設定することを前記遮断周波数設定手段に対して許可しないように構成されている点にある。
但し、直流モータが定常回転している状態とは、モータ回転数の変化率が一定範囲内で動作している状態を指し、直流モータの始動時における加速状態及び停止時における減速状態を除いた安定状態のことである。そのため、直流モータが定常回転している状態では、直流モータからのリップル電流のリップル周波数の変化率も一定範囲内に維持されると考えてよい。
【0012】
上記特徴構成によれば、遮断周波数更新手段は、直流モータが定常回転しているか否かの判定結果に基づいて、演算された遮断周波数を設定遮断周波数に設定することを許可するのか(つまり、設定遮断周波数を可変にするのか)、又は、演算された遮断周波数を設定遮断周波数に設定することを許可しないのか(つまり、設定遮断周波数を固定するのか)を変更する。つまり、直流モータが定常回転をして、リップル電流の周波数が安定していれば、フィルタ手段の設定遮断周波数が更新停止されて、設定遮断周波数が維持されることになる。その結果、設定遮断周波数が継続的に更新され続けるという従来の回転状態検出装置において問題となっていた、設定遮断周波数がリップル電流のリップル周波数よりも低周波側へ誤って設定され、最終的には低周波ノイズ成分の周波数に設定される可能性がある、という課題を解決できる。
従って、設定遮断周波数がリップル周波数よりも高周波側へ設定された状態を維持して、リップル電流のリップル周波数を正確に導出可能な状態にすることで、直流モータの回転状態を適正に検出可能な回転状態検出装置を提供できる。
【0013】
本発明に係る回転状態検出装置の別の特徴構成は、前記回転状態判定手段は、前記遮断周波数演算手段によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であるときに、前記直流モータが定常回転していると判定するように構成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、直流モータの回転数が安定していれば、演算される遮断周波数も安定して、その変化率は小さくなるので、演算される遮断周波数に基づいて、直流モータが定常回転している状態を適切に判定できる。
【0015】
本発明に係る回転状態検出装置の別の特徴構成は、前記回転状態判定手段は、前記遮断周波数演算手段によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であり、且つ、前記出力リップル電流の変化率が設定電流閾値未満であるときに、前記直流モータが定常回転していると判定するように構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、直流モータの回転数が安定していれば、演算される遮断周波数も安定して、その変化率は小さくなり、且つ、出力リップル電流も安定して、その変化率も小さくなるので、演算される遮断周波数及び出力リップル電流に基づいて、直流モータが定常回転している状態を適切に判定できる。言い換えると、遮断周波数及び出力リップル電流の何れか一方が各閾値以上になれば、他方が閾値未満であっても、直流モータが定常回転していないと判定できる。このように、複数の判定基準を用いた判定を行っているので、直流モータが定常回転しているか否かを迅速且つ正確に判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る直流モータの回転状態検出装置について説明する。
図1は、車両に搭載されるパワーシート装置やパワーウィンド装置などを駆動する直流モータMの回転状態検出装置の構成を示す図である。図示するように、本発明に係る回転状態検出装置は、直流モータMから出力される出力リップル電流の特性に基づいて、直流モータMの回転状態(例えば、回転数、加速度など)を検出できる。具体的には、回転状態検出装置は、設定遮断周波数に従って、直流モータMから出力されるリップル電流に含まれる高周波ノイズ成分を除去するスイッチト・キャパシタ・フィルタ1と、スイッチト・キャパシタ・フィルタ1によって高周波ノイズ成分が除去されたリップル電流を、パルス波形に整形してリップルパルスを出力するリップルパルス整形回路2と、そのリップルパルス波形を参照して、直流モータMの回転状態を検出する回転状態検出回路3とを備える。
また、本発明の回転状態検出装置では、スイッチト・キャパシタ・フィルタ1において用いられる上記設定遮断周波数は、電子制御ユニットECUにおいて逐次設定されるように構成されている。
【0018】
図2は、電子制御ユニットECUの構成を説明する機能ブロック図である。電子制御ユニットECUは、演算回路10と、後述する入力信号を受け付けて演算回路10に提供するA/DコンバータAD1、AD2、AD3と、上記リップルパルスのパルス周波数やパルス数をカウントして演算回路10に提供するカウンタ5とを備える。A/DコンバータAD1には、電源(+B)の電圧Vbが分圧抵抗で所定の値(v1)に分圧されて入力され、A/DコンバータAD2には、直流モータMの下流側の電圧(v2)が入力され、A/DコンバータAD3には、定電圧Vccが2組の分圧抵抗で夫々所定の値(v4,v5)に分圧されて入力されるように構成されている。上記電圧v2は、直流モータMの出力リップル電流に対応している。後述するように、演算回路10は、実リップル周波数演算手段12と、フィードバック量演算手段13と、最大リップル周波数演算手段11と、遮断周波数演算手段14と、遮断周波数設定手段15と、回転状態判定手段16と、遮断周波数更新手段17との機能を実現する。
以上のように、上記スイッチト・キャパシタ・フィルタ1は本発明の「フィルタ手段」に相当し、上記回転状態検出回路3は本発明の「回転状態検出手段」に相当する。
【0019】
以下に、上記各手段の機能の概略を説明する。
実リップル周波数演算手段12は、リップルパルス整形回路2が出力するリップルパルスを周波数変換して実リップル周波数を演算するように構成されている。
フィードバック量演算手段13は、実リップル周波数演算手段12が演算した実リップル周波数に基づきフィードバック量を設定するように構成されている。
最大リップル周波数演算手段11は、直流モータMの回転状態に応じて出力される出力リップル電流の最大リップル周波数を演算するように構成されている。
遮断周波数演算手段14は、最大リップル周波数演算手段11が演算した最大リップル周波数と実リップル周波数演算手段12が演算した実リップル周波数との差に応じて遮断周波数を演算するように構成されている。
回転状態判定手段16は、直流モータMが定常回転しているか否かを判定するように構成されている。また、遮断周波数更新手段17は、回転状態判定手段16が、直流モータMが定常回転をしていないと判定したとき、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数を設定遮断周波数に更新設定することを遮断周波数設定手段15に対して許可し、回転状態判定手段16が、直流モータMが定常回転をしていると判定したとき、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数を設定遮断周波数に更新設定することを遮断周波数設定手段15に対して許可しないように構成されている。
遮断周波数設定手段15は、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数を前記設定遮断周波数に更新設定して、その設定遮断周波数をスイッチト・キャパシタ・フィルタ1に提供するように構成されている。但し、上述したように遮断周波数設定手段15は、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数が設定遮断周波数に設定されることが許可されたときには、演算された遮断周波数を新たに設定遮断周波数に更新設定し、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数が設定遮断周波数に設定されることが許可されていないときには、新たに設定遮断周波数を設定せず、既に設定されている設定遮断周波数を更新せずに使用する。
【0020】
以下に、直流モータMが作動しているときの回転状態検出装置の動作について説明する。
直流モータMが作動しているとき、整流子(図示せず)がブラシを通過する際にコイル(図示せず)に流れる電流が変化し、リップル電流が出力される。従って、リップルパルス整形回路2においてリップル電流をパルス波形に整形してリップルパルスに変換すれば、回転状態検出回路3は、そのリップルパルス波形を参照して、直流モータMの回転状態(例えば、回転数、加速度など)を検出できる。但し、リップル電流には高周波のノイズ成分が含まれるため、予め設定遮断周波数を有するフィルタ手段を通過させてノイズ除去を行った上で、リップルパルスに変換する必要がある。また、この高周波ノイズ成分の周波数は直流モータMの回転数変化などによって逐次変化するため、上記設定遮断周波数も逐次変化させる必要がある。
【0021】
そこで、本発明に係る直流モータMの回転状態検出装置では、上記回転状態検出回路3において直流モータMの回転状態を検出するのと並行して、リップルパルス整形回路2から出力されるリップルパルス波形を上記カウンタ5にフィードバック入力し、そのフィードバック入力に基づいて上記設定遮断周波数を逐次更新しているのである。このとき、直流モータMが定常回転しているならば、つまり、リップルパルス周波数が安定しているならば、リップルパルス周波数と高周波ノイズの周波数との間にあるべき上記設定遮断周波数を新たに設定して更新する必要は無い。従って、本発明に係る直流モータMの回転状態検出装置では、遮断周波数設定手段15に対して、直流モータMが定常回転していないとき、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数が設定遮断周波数に更新設定されることを許可し、直流モータMが定常回転しているとき、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数が設定遮断周波数に更新設定されることを許可しない判定を行う遮断周波数更新手段17を備えているのである。
【0022】
図2に示すように、遮断周波数演算手段14は、直流モータMが回転作動しているときスイッチト・キャパシタ・フィルタ1において用いられる遮断周波数:y10を演算する。具体的には、遮断周波数演算手段14は、最大リップル周波数演算手段11によって演算される最大リップル周波数:y4と、フィードバック量演算手段13によって演算されるフィードバック量:y9とによって上記遮断周波数:y10を演算する。下記式のように、遮断周波数:y10は、最大リップル周波数:y4とフィードバック量:y9との差の定数倍(本実施形態では1.2倍)の値に演算される。
そして、遮断周波数演算手段14によって導出された遮断周波数:y10は、後段の遮断周波数設定手段15に提供される。
【0023】
y10=1.2×(y4−y9)
【0024】
また、上記最大リップル周波数:y4は、あるモータ電流においてモータが回転しているとき、出力されるリップル電流のリップル周波数の取り得る値の最大値のことである。図3に示すように、リップルパルスの周波数(リップル周波数):fと直流モータMに流れる電流:iとの関係は、y=−56i+594で表され、リップルパルスの周波数(リップル周波数):fは、破線で囲まれた範囲で変動する。従って、リップルパルスの周波数(リップル周波数):fの最大値は、以下のように演算導出される。
【0025】
まず、A/DコンバータAD1を介して入力する電源電圧に対応した電圧:v1、A/DコンバータAD2を介して入力する直流モータMの出力リップル電流に対応した電圧:v2が求められる。また、A/DコンバータAD3を介して入力する参照電圧(v4,v5)が求められる。そして、各A/DコンバータAD1〜AD3の分解能(5V/8bit)で各電圧が入力されることを考慮すると、以下のように換算される。
【0026】
y1=v1/(5/255)
y2=v2/(5/255)
y12=v4/(5/255)
y13=v5/(5/255)
【0027】
そして、これら入力された値に基づき、最大リップル周波数演算手段11は、y3=(y1/y12)−(y2×y13)を求め(但し、y12=2.525、y13=7.472)、更に最大リップル周波数演算手段11は、y3×(5/255)の値を、
に基づいてリップル周波数の最大値たる最大リップル周波数:y4に変換する。即ち、y4=500×y3×(5/255)が演算される。尚、500等の値は最終的に直流モータMの特性に合わせるための値であり、直流モータM等の仕様によって異なる値が設定される。
【0028】
更に、上記フィードバック量:y9は、前回のフィードバック量:y9に対して、後述するフィードバック調整量:y8を加算したものである(つまり、y9=y9+y8)。このフィードバック調整量:y8は、前回の遮断周波数:y10の基準値(y10/1.2)から実リップル周波数:y7を減算した差の12.5%の値であり、下記式で表される。
【0029】
y8=(y10/1.2−y7)×0.125
【0030】
また更に、上記実リップル周波数:y7は、カウンタ5により、リップルパルスの各パルスのエッジ間をクロック周波数fck(例えば、1MHz)によってカウントし、そのカウント数:y6=(1/f)/(1/fck)を、図5を参照して周波数変換したものである。
上述した各周波数の値の関係をグラフに示すと図6のようになる。
【0031】
y7=1/(y6×(1/fck))
【0032】
図7は、遮断周波数更新手段17が実行する遮断周波数更新制御のフローチャートである。
この遮断周波数更新判定制御において、遮断周波数更新手段17は、回転状態判定手段16が、直流モータMが定常回転していないと判定したとき、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数が設定遮断周波数に更新設定されることを遮断周波数設定手段15に対して許可し、回転状態判定手段16が、直流モータMが定常回転していると判定したとき、遮断周波数演算手段14によって演算された遮断周波数が設定遮断周波数に更新設定されることを遮断周波数設定手段15に対して許可しない判定を行う。具体的には、本実施形態では、回転状態判定手段16は、遮断周波数演算手段14によって逐次演算される遮断周波数が安定していれば直流モータMが定常回転しているという判定する。
【0033】
図7のステップ#2において回転状態判定手段16は、直流モータMが定常回転しているか否かを判定する目的で、遮断周波数演算手段14によって演算される遮断周波数が安定しているか否かを判定する。例えば、上記フィードバック量演算手段13によって演算されるフィードバック量の変化率が設定フィードバック量閾値未満であれば、遮断周波数演算手段14によって演算される遮断周波数の変化率も設定周波数閾値未満となるので、遮断周波数が安定している(つまり、直流モータMが定常回転している)と判定できる。
これら設定フィードバック量閾値及び設定周波数閾値は、直流モータMの始動時における加速状態及び停止時における減速状態において導出され得る上記フィードバック量の変化率及び上記遮断周波数の変化率に相当する。よって、導出されたフィードバック量の変化率が設定フィードバック量閾値未満であれば(つまり、導出された遮断周波数が設定周波数閾値未満であれば)、遮断周波数は安定しているといえる。
以上のように、本実施形態において回転状態判定手段16は、遮断周波数演算手段14によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であるときに、直流モータMが定常回転していると判定するように構成されている。
【0034】
遮断周波数更新手段17は、遮断周波数が安定している場合(ステップ#2において「Yes」の場合)にはステップ#3に移行して、設定遮断周波数が既に固定されているか否かを判定する。そして、ステップ#3において遮断周波数更新手段17は、設定遮断周波数が未だ固定されていない場合にはステップ#4に移行して、演算された遮断周波数が設定遮断周波数に更新設定されることを遮断周波数設定手段15に対して許可しない判定を行う。その結果、遮断周波数設定手段15がその時点で記憶している設定遮断周波数を固定する。つまり、遮断周波数設定手段15は、遮断周波数演算手段14において演算された遮断周波数が入力されたとしても、以後は、設定遮断周波数の更新を許可しない。よって、設定遮断周波数が固定されている間は、遮断周波数設定手段15からクロック出力回路4に提供される設定遮断周波数は一定値である。
他方で、遮断周波数更新手段17は、ステップ#3において設定遮断周波数が既に固定されていると判定した場合には、図7の遮断周波数更新判定制御の初めにリターンする。
【0035】
また、遮断周波数更新手段17は、ステップ#2において遮断周波数が安定していないと判定された場合(ステップ#2において「No」の場合)にはステップ#5に移行して、新たな設定遮断周波数の設定を遮断周波数設定手段15に対して許可する。そして、遮断周波数設定手段15は、遮断周波数演算手段14において演算された新たな遮断周波数を次の設定遮断周波数に更新設定して、クロック出力回路4に提供する。
【0036】
クロック出力回路4は、設定遮断周波数:y10に定数(本実施形態では100)を乗じてSCF駆動クロック:y11(=y10×100)を導出し、これによってスイッチト・キャパシタ・フィルタ1の実際の遮断周波数が調整される。
【0037】
以上のように、本実施形態では、逐次演算される遮断周波数が安定していれば直流モータMが定常回転しているという判定が行われる。そして、遮断周波数が安定しているときには設定遮断周波数が固定され、遮断周波数が安定していないときには設定遮断周波数が可変に設定される。つまり、遮断周波数が安定していれば(つまり、直流モータが定常回転をしていれば)設定遮断周波数が更新停止されて、設定遮断周波数が一定値で維持されることになる。その結果、設定遮断周波数が継続的に更新され続けるという従来の回転状態検出装置において問題となっていた、直流モータMが定常回転しているにも拘わらず、設定遮断周波数がリップル電流のリップル周波数よりも低周波側へ誤って設定され、最終的には低周波ノイズ成分の周波数に設定される可能性がある、という課題を本実施形態の回転状態検出装置では解決できている。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態の回転状態検出装置は、回転状態判定手段16が、遮断周波数演算手段14によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であり、且つ、直流モータMの出力リップル電流の変化率が設定電流閾値未満であるときに、直流モータMが定常回転していると判定するように構成されている点で、上記第1実施形態と異なっている。
以下に、図8を参照して第2実施形態の遮断周波数更新手段17が実行する遮断周波数更新判定制御のフローチャートについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。具体的には、図8に示す第2実施形態の遮断周波数更新判定制御は、図7に示した遮断周波数更新判定制御のステップ#2に先立って、リップル電流が安定しているか否かを判定するステップ#1を実施する点に特徴がある。
【0039】
具体的には、図8のステップ#1において回転状態判定手段16は、リップル電流が安定しているか否かを判定する。このリップル電流は、図2に示すように、直流モータMの出力リップル電流であり、直流モータMの出力リップル電流に対応した電圧(v2)で代替できる。例えば、リップル電流の変化率が設定電流閾値未満であれば、リップル電流が安定していると判定できる。上記設定電流閾値は、直流モータMの始動時における加速状態及び停止時における減速状態において導出され得る上記リップル電流の変化率に相当する。
そして、導出されたリップル電流の変化率が設定電流閾値未満であれば、直流モータMが定常回転している可能性がある。他方で、リップル電流の変化率が設定電流閾値以上であれば、直流モータMは加速状態又は減速状態にあり、定常回転はしていない。
【0040】
そして、遮断周波数更新手段17は、リップル電流が安定している場合にはステップ#2に移行する。他方で、遮断周波数更新手段17は、リップル電流が安定していない場合にはステップ#5に移行して、新たな設定遮断周波数の設定を遮断周波数設定手段15に対して許可する。その結果、遮断周波数設定手段15は、遮断周波数演算手段14において演算された新たな遮断周波数を次の設定遮断周波数に更新設定して、クロック出力回路4に提供する。
【0041】
但し、リップル電流が安定していても、直流モータMが定常回転していないこともある。例えば、直流モータMの負荷が増加し、且つ、回転数が減少しているとき、リップル電流が安定していることがある。
そこで本実施形態では、ステップ#1においてリップル電流が安定していると判定されたとしても、ステップ#2において回転状態判定手段16は、上記第1実施形態と同様に、直流モータMが定常回転しているか否かを判定するために、遮断周波数演算手段14によって演算される遮断周波数は安定しているか否かを判定する。そして、回転状態判定手段16は、遮断周波数演算手段14によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であれば、遮断周波数は安定している(つまり、直流モータMが定常回転している)と判定する。
その後、遮断周波数更新手段17は、ステップ#3の判定において設定遮断周波数が未だ固定されていない場合にはステップ#4に移行し、設定遮断周波数を固定する。
他方で、遮断周波数更新手段17は、遮断周波数が安定していない場合にはステップ#5に移行して、設定遮断周波数を可変にする。
【0042】
つまり、本実施形態において回転状態判定手段16は、遮断周波数演算手段14によって演算される遮断周波数の変化率が設定周波数閾値未満であり、且つ、出力リップル電流の変化率が設定電流閾値未満であるときに、直流モータMが定常回転していると判定するように構成されている。
以上のように、第2実施形態では、リップル電流が安定しているか否かを判定することで、直流モータMが定常回転しているか否かの判定が確実に行えるようにしている。また、ある時点で設定遮断周波数が固定されていても、リップル電流が安定していないと判定されると、遮断周波数演算手段14において演算された遮断周波数が安定しているか否かの判定を行わなくても、即座に設定遮断周波数を可変に設定できるのである。
【0043】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、直流モータMが定常回転しているか否かを判定するとき、演算される遮断周波数の変化率及び出力リップル電流の変化率を用いる例について説明したが、他の値に基づいて直流モータMが定常回転しているか否かを判定してもよい。例えば、回転状態判定手段16へ、図2に示したリップルパルス整形回路2から出力されるリップルパルス波形を入力するように改変してもよい。この場合、回転状態判定手段16は、リップルパルス波形を参照して導出される直流モータMの回転数が一定範囲内で安定していれば、直流モータMが定常回転していると判定することになる。
また図2では、回転状態判定手段16は、フィードバック量演算手段13から出力されるフィードバック量の変化率を、遮断周波数演算手段14において演算される遮断周波数の変化率に相当する量と見なすように構成されているが、遮断周波数演算手段14で演算された遮断周波数を回転状態判定手段16に対して出力するように改変してもよい。この場合、回転状態判定手段16は、遮断周波数演算手段14によって実際に演算された遮断周波数の変化率に基づいて、遮断周波数が安定しているか否かの判定を行うことになる。
【0044】
<2>
上記実施形態の図7及び図8に示したフローチャートにおいて、各判定の順序を入れ換えてもよい。例えば、図7のフローチャートにおいて、ステップ#3とステップ#2の順序を入れ換えてもよい。同様に、図8のフローチャートにおいて、ステップ#1、#2、#3の順序を入れ換えてもよい。
【0045】
<3>
上記実施形態において、設定遮断周波数を固定した状態から可変に変更するときと、及び、設定遮断周波数を可変にした状態から固定に変更するときとで、各閾値(上記設定周波数閾値、上記設定フィードバック量閾値、上記設定電流閾値)を異ならせてもよい。そうすることで、設定遮断周波数の固定状態と可変状態とが各閾値を境として頻繁に入れ替わらないようにできる。
【0046】
<4>
上記実施形態では、本発明の回転状態検出装置を、車両に搭載されるパワーシート装置やパワーウィンド装置などを駆動する直流モータMの回転状態を検出するために利用できることを説明したが、直流モータで駆動する様々な装置に対して利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】直流モータの回転状態検出装置の構成を示す図
【図2】電子制御ユニットの構成を説明する機能ブロック図
【図3】直流モータの電流−周波数特性の一例を示すグラフ
【図4】直流モータの出力を周波数に変換するときの特性の一例を示すグラフ
【図5】カウンタによるカウント値を周波数に変換するときの特性の一例を示すグラフ
【図6】最大リップル周波数、実リップル周波数及びフィードバック量の関係を示すグラフ
【図7】第1実施形態の遮断周波数更新判定制御のフローチャート
【図8】第2実施形態の遮断周波数更新判定制御のフローチャート
【図9】本来のリップル電流に低周波ノイズ成分が重畳した状態で直流モータから出力される出力リップル電流の波形、及び、リップルパルスの波形を示すグラフ
【図10】フィルタ手段の遮断周波数と、リップル電流の周波数との関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0048】
1 スイッチト・キャパシタ・フィルタ(フィルタ手段)
3 回転状態検出回路(回転状態検出手段)
14 遮断周波数演算手段
15 遮断周波数設定手段
16 回転状態判定手段
17 遮断周波数更新手段
M 直流モータ




 

 


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