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インバータ - 株式会社豊田中央研究所
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発明の名称 インバータ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−124842(P2007−124842A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−315704(P2005−315704)
出願日 平成17年10月31日(2005.10.31)
代理人 【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
発明者 近藤 春義 / 上杉 勉 / 加地 徹 / 杉本 雅裕
要約 課題
双方向性スイッチング素子を有するインバータの電力損失を低減させること。

解決手段
デッドタイム管理部105は、1対の半導体スイッチング素子が両方同時にOFF状態となるデッドタイムの長さを各相毎に、電流IU ,IV ,IW の向き及び中点電圧VMU,VMV,VMWに基づいて適応制御する。例えば、負荷10にU相の電流IU が半導体スイッチング素子SWUHから給電されている場合、先ず素子SWUHがOFF状態になるように、ゲートドライバ106を介してそのゲート電圧を操作し、同時に中点電圧VMUを測定する。その後、デッドタイムの期間内であっても中点電圧VMUの低下が始まれば、素子SWUHのOFF状態への変化が完了したと見做すことが出来るので、その時点で低電位側のスイッチング素子SWULがON状態になるようにそのゲート電圧を操作する。
特許請求の範囲
【請求項1】
開閉制御対象となる被制御電流路にON状態において双方向に電流を流すことが可能な双方向性の半導体スイッチング素子を有し、前記被制御電流路が直列に接続された1対の前記半導体スイッチング素子が各相毎に具備されたインバータにおいて、
前記1対の前記半導体スイッチング素子の接続点の電圧を各相毎に測定する中点電圧測定手段と、
各相の電流の向きを検出する電流検出手段と、
前記1対の前記半導体スイッチング素子が両方同時にOFF状態となるデッドタイムの長さを各相毎に、前記電流の向き及び前記電圧に基づいて適応制御するデッドタイム管理手段と
を有し、
前記デッドタイム管理手段は、
前記1対の一方の前記半導体スイッチング素子をON状態からOFF状態に切り替えるためのOFF指令信号を出力した時点からの前記電圧の上昇または降下が、所定の閾値(>0)を超える変位量を示した時点で、前記1対の他方の前記半導体スイッチング素子をOFF状態からON状態に切り替えるためのON指令信号を出力する
ことを特徴とするインバータ。
【請求項2】
前記デッドタイム管理手段は、
前記変位量が、使用する直流電源電圧の1割以上2割以下の値に至った時点で、前記ON指令信号を出力すべきと判定する
第1の電圧昇降判定手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ。
【請求項3】
前記デッドタイム管理手段は、
前記変位量が、前記半導体スイッチング素子の導通時の電圧降下量の2倍以上の値に至った時点で、前記ON指令信号を出力すべきと判定する
第2の電圧昇降判定手段を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインバータ。
【請求項4】
前記デッドタイム管理手段は、
前記デッドタイムの長さの上限値を規定するための期間計量手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のインバータ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータの構成に関し、特に電力損失を低減するための手段に関する。
本発明は、インバータにおける電力損失の低減と、インバータの主回路の構成の簡素化に大いに有用なものである。
【背景技術】
【0002】
(技術的背景)
電動機などの誘導性負荷を対象とした従来のインバータ技術においては、スイッチング素子に対して並列にフライホイールダイオードを接続することが必要不可欠であると考えられており、主回路にフライホイールダイオードを持たないインバータが実現できたという報告は未だかつてない。この理由は、電動機などでは、電気回路に大きなインダクタンスを有することから、電流を変化させようとする時に、電圧(=電流の時間微分値とインダクタンスとの積)が端子間に発生するからである。
【0003】
仮に、電動機を負荷とするインバータ回路において、スイッチング素子にフライホイールダイオードの並列接続を有しない回路が有ったとして、ショートスルー電流を防止する為にデッドタイムが設けられていたとする。すると、あるアームの一方のスイッチング素子が非導通状態になったままで、他方のスイッチング素子を導通状態から非導通状態に切り替えることになる。この両状態の切り替えに掛ける時間を短くしようとすればするほど電動機電流の時間微分値が大きくなり、電動機の端子間に発生する電圧が大きくなる。この電動機端子間発生電圧はインバータアームの中点に掛かってくる。そして、この電動機端子間発生電圧が大きくなり過ぎれば、インバータの主回路を構成するスイッチング素子の耐圧を超えてしまって、スイッチング素子がブレークダウンし永久破壊に至る可能性も生じる。
【0004】
一方、電動機を負荷とするインバータ回路が、スイッチング素子に対して並列にフライホイールダイオードを有する場合を考える。この時、ショートスルー電流を防止する為にデッドタイムが設けられていたとすると、あるアームの一方のスイッチング素子が非導通状態になったまま、他方のスイッチング素子を導通状態から非導通状態に切り替えることになる。
したがって、この場合には、電動機の端子間に発生する電圧によってフライホイールダイオードに順方向電圧が印加され回生的電流が流れ、これによって、電動機電流の時間微分値が小さくなり、その結果、電動機の端子間に発生する電圧が小さくなる。このように、電動機を負荷とするインバータ回路において、スイッチング素子に対して並列にフライホイールダイオードを設ければ、電動機端子間発生電圧が小さくなるのでスイッチング素子の耐圧を超えることがなく、スイッチング素子がブレークダウンせず、永久破壊が起こる心配も払拭することができる。これが、インバータ回路ではスイッチング素子にフライホイールダイオードの並列接続をすることが必須と考えられている理由である。
【0005】
(本願に最も近い従来技術)
ところで、例えばユニポーラ型の半導体などから形成される双方向性のスイッチング素子では、そのon状態の際に、正負両方向に電流を流すことができる。この様な半導体スイッチング素子には、接合型スイッチング素子の場合のような一定の比較的大きなon電圧は存在せず、その導通時電圧降下量(on電圧)は、比較的小さなon抵抗と電流との積で決まる。
【0006】
一方、同じ半導体素材を用いた素子であってもフライホイールダイオードの場合には、これらは一般に、ショットキー接合型、PN接合型、またはPIN接合型の何れかのダイオードであるため、それを流れる電流とon電圧との関係は概ね指数関数的になっている。そして、この指数関数的な特性は、第1次近似としては電流の大小によらず一定のon電圧があるものと見ても概ね差し支えない。
これに対し、上記の様な双方向性の半導体スイッチング素子の場合には、素子が基本的に抵抗変調型になっているため、これらのスイッチング素子には、上記の接合型素子のような一定のon電圧は存在せず、したがって上記の様に、その導通時電圧降下(on電圧)はon抵抗と電流との積で決まるのである。
【0007】
このため、負荷から直流電源に向って流れる電流(以下、これを「回生的電流」と言う)が双方向性スイッチング素子に流れる割合を多くすることにより、回生的電流がon電圧の高いフライホイールダイオードばかりに流れる場合よりも、電力損失を大幅に低減させることができる。
このように、スイッチング素子を双方向性スイッチング素子で構成したインバータには、基本的に回生的電流に起因する電力損失が小さいという特長が見られる。
【非特許文献1】トランジスタ技術、2004年3月号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電源短絡状態に起因するシュートスルー電流の発生を防止するために設けられるデッドタイムの期間中においては、高電位側と低電位側の両方のスイッチング素子が同時にoff状態になるため、上記の回生的電流はスイッチング素子の側には分流できなくなる。即ち、デッドタイムの期間中においては、回生的電流は専らon電圧の高いフライホイールダイオードに流れるので、この時には、やはり上記と同様に、回生的電流によるon損失の問題が現われる。
【0009】
また、フライホイールダイオードに、上記の回生的電流を流すと、フライホイールダイオードへの印加電圧が順方向から逆方向に反転してから短い時間の間に、逆向きの電流(即ち、周知の逆方向リカバリ電流)が流れる。このフライホイールダイオードに流れる逆方向リカバリ電流は、対を成す他方の半導体スイッチング素子を通じた電源短絡状態を一時的に誘発するため、これによって、大きなスイッチング損失が発生する。
そして、この時、フライホイールダイオードに流れる回生的電流が大きいほど逆方向リカバリ電流も大きくなる。したがって、デッドタイムの短い時間内といえどもフライホイールダイオードに流れる回生的電流が大きいと、それに応じて逆方向リカバリ電流も大きくなるため、無視できない電力損失増加につながる。また、上記の電源短絡状態によって、その短絡経路上の半導体スイッチング素子に大きな負担が掛かる場合があるため、これらの観点についても信頼性や耐久性に配慮した設計を行う必要が生じる。
【0010】
また、最近ではインバータに対する高温動作性が強く求められるようになってきており、例えば、GaN結晶を使った半導体スイッチング素子やGaN結晶を使ったダイオードをインバータの主回路に用いる場合などを考えると、現行の120℃前後を大きく上回る250℃前後の高温動作環境がインバータの設計条件として想定され得る時代になりつつある。しかしながら、この様な高温指向の回路構成に従うと、フライホイールダイオードに例えばSiなどから成る接合型ダイオードを採用していた従来の回路構成に比べて、フライホイールダイオードのon電圧が著しく高くなってしまう。このため、回生的電流に伴う上記のon損失の問題は、今後ますます深刻な問題に発展する恐れがある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、双方向性の半導体スイッチング素子を有するインバータにおいて、電力損失を更に低減させることである。
また、本発明のその他の目的は、インバータの小形化と低コスト化である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、開閉制御対象となる被制御電流路にON状態において双方向に電流を流すことが可能な双方向性の半導体スイッチング素子を有し、その被制御電流路が直列に接続された1対の半導体スイッチング素子が各相毎に具備されたインバータにおいて、上記の1対の半導体スイッチング素子の接続点の電圧を各相毎に測定する中点電圧測定手段と、各相の電流の向きを検出する電流検出手段と、上記の1対の半導体スイッチング素子が両方同時にOFF状態となるデッドタイムの長さを各相毎に、上記の電流の向き及び上記の電圧に基づいて適応制御するデッドタイム管理手段とを設け、このデッドタイム管理手段において、上記の1対の一方の半導体スイッチング素子をON状態からOFF状態に切り替えるためのOFF指令信号を出力した時点からの上記の電圧の上昇または降下が、所定の閾値(>0)を超える変位量を示した時点で、その1対の他方の半導体スイッチング素子をOFF状態からON状態に切り替えるためのON指令信号を出力することである。
【0013】
ただし、上記の相は、何相設けても良い。本発明は、単相または任意相数の複相インバータに適用することができる。また、上記の電流検出手段は、各相の電流の向きが検出可能な手段であればよく、必ずしも電流値を正確に求める手段である必要はない。
また、用いる直流電源の直流電圧は任意でよい。例えばGaNなどのワイドバンドギャップの半導体を用いて構成された高耐圧で、on抵抗の低い半導体スイッチング素子を使用すれば、本発明に基づいて、数百ボルト程度以上の比較的高い電源電圧のインバータを製造することも十分に可能である。
【0014】
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段のデッドタイム管理手段において、使用する直流電源電圧の1割以上2割以下の値に、上記の変位量が至った時点で、上記のON指令信号を出力すべきと判定する第1の電圧昇降判定手段を設けることである。
ただし、この閾値は、用いる半導体スイッチング素子の特性や負荷の特性や電源電圧や或いはインバータの相数などに応じて、最適化することができる。
【0015】
また、本発明の第3の手段は、上記の第1又は第2の手段のデッドタイム管理手段において、半導体スイッチング素子の導通時の電圧降下量の2倍以上の値に、上記の変位量が至った時点で、上記のON指令信号を出力すべきと判定する第2の電圧昇降判定手段を設けることである。
ただし、より望ましくは、半導体スイッチング素子の導通時の電圧降下量の約4倍〜8倍程度の値に、上記の変位量が至った時点で、上記のON指令信号を出力すると良い。この閾値は、用いる半導体スイッチング素子の特性や負荷の特性や電源電圧や或いはインバータの相数などに応じて、最適化することができる。
【0016】
また、本発明の第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段のデッドタイム管理手段において、デッドタイムの長さの上限値を規定するための期間計量手段を設けることである。
この様な期間計量手段は、例えばコンピュータのタイマや、或いはコンピュータのダイナミックステップカウンタなどを用いて構成することができる。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、デッドタイムの期間内であっても、上記のデッドタイム管理手段の適応制御に基づいて、従来構成においては専らフライホイールダイオードを流れていた回生的電流の総てを半導体スイッチング素子に流すことができる。また、これによって、フライホイールダイオードをインバータの主回路の回路構成から排除することが可能となる。
【0018】
この場合、回生的電流のフライホイールダイオードに流れる分がなくなる代わりに、全回生的電流が半導体スイッチング素子に流れるので、半導体スイッチング素子の回生的電流によるon損失が新たに発生するようになる。しかし、半導体スイッチング素子で発生するon損失は、従来のフライホイールダイオードで発生していたon損失よりも大幅に低減されるので、その結果、インバータの損失を大幅に低減できるようになる。また、適切なデッドタイムの設定により、電源短絡状態に起因するシュートスルー電流の発生も同時に効果的に防止することができる。
【0019】
また、本発明の第1の手段によれば、フライホイールダイオード自体が排除できるので、フライホイールダイオードへの印加電圧が順方向から逆方向に反転した時に流れる逆方向リカバリ電流自体をも全面的に排除することができる。このため、本発明の第1の手段によれば、逆方向リカバリ電流に起因していたスイッチング損失も、確実に排除することができる。
また、本発明の第1の手段によれば、フライホイールダイオード自体が排除できるので、装置の小形化と低コスト化を確実に実現することができる。
【0020】
また、デッドタイムを管理するに際しては、上記の1対の半導体スイッチング素子の両方のOFF状態がちょうど実現された時点で、それまでOFF状態であった方の半導体スイッチング素子に対してON指令信号が出力されることが望ましいが、本発明の第2または第3の手段に従えば、その様な望ましいタイミングで上記のON指令信号が出力される様に、対応する上記の各閾値をそれぞれ最適に設定することができる。
したがって、本発明の第2または第3の手段によれば、従来よりも電力損失が少なく効率の高いインバータを最適かつ確実に実現することができる。また、上記の閾値が最適化されることにより、半導体スイッチング素子に対する負担が軽減されるため、インバータの信頼性と耐久性を確保することができる。
【0021】
また、本発明の第4の手段によれば、ノイズなどによる測定誤差や誤検出があった場合にも、確実にデッドタイムを完了させることができる。このため、より信頼性の高いインバータを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1に本実施例1のインバータ100の回路図を、また、図2にこのインバータ100の制御ブロック図を示す。このインバータ100の主回路101を構成する6つの半導体スイッチング素子SWUH,SWVH,SWWH,SWUL,SWVL,SWWLは、何れもGaN−HEMT(High Electron Mobility Transistor )即ち、GaN系のFET(電界効果トランジスタ)から構成されており、その被制御電流路が直列に接続された1対の半導体スイッチング素子が、3相モータ10の各相(U相、V相、W相)毎に具備されている。各相の各1対の半導体スイッチング素子の接続点のことを以下、中点と呼び、各相(U相、V相、W相)の各中点の電圧のことを以下、それぞれ中点電圧VMU,中点電圧VMV,中点電圧VMWと呼ぶ。インバータ100の出力、即ち、3相モータ10に流れる各相の電流IU ,IV ,IW は、これらの中点電圧の高低を適時に切り替え操作することによって、制御することができる。
【0024】
なお、インバータ100と負荷(3相モータ10)との間には、ローパスフィルタを設けても良い。また、ここでは、インバータ100のPWM回路のチョッパ制御における矩形波の周波数は、凡そ数kHz〜数十kHz程度を想定し、また、負荷に通電すべき交流の周波数は、10〜240Hz程度を想定している。
【0025】
各相中点電圧測定部102は、上記の中点電圧VMU,VMV,VMWをそれぞれ随時測定する。また、各相電流測定部103は、各相の電流IU ,IV ,IW をそれぞれ随時測定する。各相中点電圧高低指令信号発生部104は、PWM回路から構成されており、各相毎に、上記の中点電圧の指令値をそれぞれ出力する。以下、この指令値のことを高低指令信号Sと呼ぶ。
【0026】
デッドタイム管理部105は、本発明の請求項1のデッドタイムを管理手段に相当する部分であり、上記の1対の半導体スイッチング素子が両方同時にOFF状態となるデッドタイムの長さを各相毎に、上記の電流IU ,IV ,IW の向き及び上記の中点電圧VMU,VMV,VMWに基づいて適応制御する。この部分は、ハードウェア(電気回路)で構成しても良いし、コンピュータ上で動作するソフトウェアで構成しても良い。
また、ゲートドライバ106は、デッドタイム管理部105が発行するコマンド(所定の指令信号)に従って、上記の各半導体スイッチング素子の個々のゲートをON状態またはOFF状態に制御する。
【0027】
以下、図3を用いて、上記のインバータ100におけるインバータでデッドタイム期間内の回生的電流を総て半導体スイッチング素子に流す為に行なう半導体スイッチング素子のゲート制御の論理を示す。このゲート制御は、上記の高低指令信号Sによって与えられる各中点電圧の操作方向と、各相の負荷電流の方向(正,負)とで4つのケース(表1のケース1〜4)に分けてそれぞれ実行することができる。
【0028】
なお、表1では、インバータ100から負荷(3相モータ10)に向かう方向の電流を正電流としている。また、以下のゲート制御の論理に関する記述は各相共通であるので、以下、本図3の第1相をU相と仮定して説明する。
【表1】


【0029】
(ケース1)
中点電圧操作方向 : 高⇒低
負荷電流 : 正
この場合の操作(ゲート制御)は、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがON状態であったものを、低電位側の半導体スイッチング素子SWULがON状態になるように切り替える操作である。
【0030】
ここでは、先ず高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがOFF状態になるように、ゲートドライバ106を介してそのゲート電圧を操作し(:高電位側SWオフ操作a1)、同時に中点電圧VMUを測定する(:中点電圧低下判定b1)。いわゆるデッドタイムの期間内であっても中点電圧VMUの低下が始まれば、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHのOFF状態への変化が完了したと見做すことが出来るので、その時点で低電位側の半導体スイッチング素子SWULがON状態になるように、ゲートドライバ106を介してそのゲート電圧を操作する(:低電位側SWオン操作e1)。
【0031】
この時の中点電圧VMUの低下の目安としては、電源電圧の約1〜2割程度に設定するのが適当である。こうすることにより、高電位側及び低電位側の半導体スイッチング素子の双方(SWUH,SWUL)が同時にOFF状態になる時間(デッドタイム期間)を短縮することができ、かつ、低電位側の半導体スイッチング素子SWULが導通した際には、負荷電流IU は低電位側の半導体スイッチング素子SWULを通して負荷(3相モータ10)に供給される。
そして、この処理方式により、電源短絡状態に起因するシュートスルー電流の発生を防止できる。また、従来のフライホイールダイオードを設けていないので、前述の従来の逆方向リカバリ電流に起因する電源短絡状態の発生が防止され、その分の損失が抑制される。
【0032】
なお、図3中のデッドタイム期間計量c1,c2,c3,c4は、本発明の期間計量手段を構成するものであり、ノイズなどによる測定誤差や誤検出があった場合にも、この期間計量作用によって確実にデッドタイムを完了させることができる。図3中のOR判定d1,d2,d3,d4は、中点電圧判定処理(b1,b2,b3,b4)またはデッドタイム期間計量(c1,c2,c3,c4)の何れかからのタイミング判定結果を採用する論理演算処理または論理和回路からなる。ただし、一方を採用した時点で、他方は次回の当該プログラム起動時まで無視されるか、または次回の当該プログラム起動時まで動作しなくなる。
【0033】
(ケース2)
中点電圧操作方向 : 高⇒低
負荷電流 : 負
この場合の操作(ゲート制御)も、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがON状態であったものを、低電位側の半導体スイッチング素子SWULがON状態になるように切り替える操作である。
【0034】
ここでは、先ず高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがOFF状態になるようにゲート電圧を操作し(:高電位側SWオフ操作a2)、同時に中点電圧VMUを測定する(:中点電圧上昇判定b2)。この場合には負荷電流が負なので高電位側の半導体スイッチング素子SWUHに回生的電流が流れていた。そして、この回生的電流が流れていた状態から高電位側の半導体スイッチング素子SWUHをOFF状態にするので、OFF状態にされた時点から中点電圧VMUが上昇し始める。それ故、いわゆるデッドタイムの期間内であっても中点電圧VMUの上昇が始まれば高電位側の半導体スイッチング素子SWUHのOFF状態への変化が完了したと見做すことが出来る。そして、その上昇が検出された時に、低電位側の半導体スイッチング素子SWULがON状態になるようにゲート電圧を操作する(:低電位側SWオン操作e2)。
【0035】
この時の中点電圧VMUの上昇の目安としては、半導体スイッチング素子の導通時電圧降下(on電圧)の数倍程度に設定するのが適当である。こうすることにより、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがOFF状態になった後、短時間内に低電位側の半導体スイッチング素子SWULを導通させることができ、その結果、回生的電流(負の負荷電流)が、低電位側の半導体スイッチング素子SWULを通して、円滑に流れ続けることが出来る。
【0036】
そして、この処理方式により、電源短絡状態に起因するシュートスルー電流の発生を防止しつつ、従来方式においては具備されていたフライホイールダイオードの高いon電圧による大きなon損失の発生を抑制できる。また、フライホイールダイオード自体が設置されていないことにより、前述の従来の逆方向リカバリ電流がなくなり、それに起因する電源短絡状態の発生が防止され、その分のスイッチング損失も抑制される。
【0037】
(ケース3)
中点電圧操作方向 : 低⇒高
負荷電流 : 正
この場合の操作(ゲート制御)は、低電位側の半導体スイッチング素子SWULがON状態であったものを、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがON状態になるように切り替える操作である。
【0038】
ここでは、先ず低電位側の半導体スイッチング素子SWULがOFF状態になるようにゲート電圧を操作し(:低電位側SWオフ操作a3)、同時に中点電圧VMUを測定する(:中点電圧下降判定b3)。この場合には負荷電流IU が正なので低電位側の半導体スイッチング素子SWULに回生的電流(IU )が流れていた。回生的電流が流れていた状態から低電位側の半導体スイッチング素子SWULをOFF状態にするので、中点電圧VMUが下降する。このため、いわゆるデッドタイムの期間内であっても中点電圧VMUの下降が始まれば低電位側の半導体スイッチング素子SWULのOFF状態への変化が完了したと見做すことが出来る。そこで、この中点電圧VMUの下降が始まった時点で、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがON状態になるように、ゲートドライバ106を介してゲート電圧を操作する(:高電位側SWオン操作e3)。
【0039】
中点電圧VMUの低下の目安としては、半導体スイッチング素子の導通時電圧降下(on電圧)の数倍程度に設定するのが適当である。こうすることにより、低電位側の半導体スイッチング素子SWULがOFF状態になってから短い時間内に高電位側の半導体スイッチング素子SWUHが導通し、負荷電流IU は高電位側の半導体スイッチング素子SWUHを通して負荷に対して円滑に供給される。
【0040】
そして、この処理方式により、電源短絡状態に起因するシュートスルー電流の発生を防止しつつ、従来方式においては具備されていたフライホイールダイオードの高いon電圧による大きなon損失の発生を抑制できる。また、フライホイールダイオード自体が設置されていないことにより、前述の従来の逆方向リカバリ電流がなくなり、それに起因する電源短絡状態の発生が防止され、その分のスイッチング損失も抑制される。
【0041】
(ケース4)
中点電圧操作方向 : 低⇒高
負荷電流 : 負
この場合の操作(ゲート制御)も、低電位側の半導体スイッチング素子SWULがON状態であったものを、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがON状態になるように切り替える操作である。
【0042】
ここでは、先ず低電位側の半導体スイッチング素子SWULがOFF状態になるようにゲート電圧を操作し(:低電位側SWオフ操作a4)、同時に中点電圧VMUを測定する(:中点電圧上昇判定b4)。いわゆるデッドタイムの期間内であっても中点電圧VMUの上昇が始まれば 低電位側の半導体スイッチング素子SWULのOFF状態への変化が完了したと見做すことが出来るので、その時、高電位側の半導体スイッチング素子SWUHがON状態になるように、ゲートドライバ106を介してゲート電圧を操作する(:高電位側SWオン操作e4)。
【0043】
中点電圧VMUの上昇の目安としては、電源電圧の約1〜2割程度に設定するのが適当である。こうすることにより、低電位側の半導体スイッチング素子SWULがOFF状態になってから短時間内に高電位側の半導体スイッチング素子SWUHが導通し、回生的電流IU は高電位側の半導体スイッチング素子SWUHを通して、円滑に流れ続けることが出来る。
【0044】
そして、この処理方式により、電源短絡状態に起因するシュートスルー電流の発生を防止しつつ、従来方式においては具備されていたフライホイールダイオードの高いon電圧による大きなon損失の発生を抑制できる。また、フライホイールダイオード自体が設置されていないことにより、前述の従来の逆方向リカバリ電流がなくなり、それに起因する電源短絡状態の発生が防止され、その分のスイッチング損失も抑制される。
【0045】
以上のゲート制御の論理(ゲート操作)を具体的に実行するための制御手順を図4に例示する。なお、以上のゲート制御の論理に関する記述は各相共通であるので、以下でも、図3の第1相をU相と仮定して説明する。
図4のプログラム200は、図3のデッドタイム管理部105の第1相分の処理を実行するためのものである。ここでは、前述の高低指令信号Sを以下の2ビットの信号で定義する。
(高低指令信号S)
S = 00 : 高⇒低(SWUHがON状態であったものを、
SWULがON状態になるように切り替える操作指令)
S = 10 : 低⇒高(SWULがON状態であったものを、
SWUHがON状態になるように切り替える操作指令)
【0046】
プログラム200は、これらの切り替え操作が必要になった時点で、前述の各相中点電圧高低指令信号発生部104から起動される。その時、まず、最初のステップ210では、U相における現在の電流IU を各相電流測定部103から入力する。次に、ステップ220では、その電流IU の向きを判定し、IU <0ならばステップ225へ、そうでなければステップ230へ処理を移す。
【0047】
ステップ225では、以下の様に定義される論理和演算用の2ビットのマスクパターンmpと、上記の高低指令信号Sとの論理和を各ビット対応に演算して、その結果を変数Kに格納する。この変数Kは、プログラム200の作業領域の一つとして使用する2ビットの変数である。
(マスクパターン)
mp : 01
この結果、表1に示した様に変数Kには、上記のケース1〜4の各場合毎に、次の内容が格納される。そして、以上の処理(ステップ210〜225)によって、図3のケース分け部1050を実現することができる。
(1)ケース1の場合 : K=0
(2)ケース2の場合 : K=1
(3)ケース3の場合 : K=2
(4)ケース4の場合 : K=3
【0048】
ステップ230では、各相中点電圧測定部102から中点電圧VMUを入力し、次のステップ235では、その値を変数V0 に退避する。ステップ240では、タイマーから現在時刻tを読み取りその値を変数T0 に退避する。これらの退避処理(ステップ230〜240)は、デッドタイム期間の開始時点におけるその初期状態を記憶しておくためのものであり、これらの退避処理によって、図3の「初期状態保存」i1,i2,i3,i4の各制御処理を同時に実現することができる。
【0049】
次に、ステップ245では、以下の表2に示す内容に従って、指令AU(K)を実行する。この指令AU(K)(0≦K≦3)は、所定の記憶領域上に配列の形式で記憶されているもので、そこには、上記の変数Kに対応する所定の各処理を示す各指令コード(格納コード)がそれぞれ保持されている。これにより、例えば、K=0の場合には、指令コードAU(0)が選択されて、半導体スイッチング素子SWUHをOFF状態にする操作が、ゲートドライバ106を介して実行される。
【0050】
【表2】


なお、この処理は、図3の「オフ操作」a1,a2,a3,a4の各制御処理に相当している。
【0051】
次に、ステップ250では、各相中点電圧測定部102から中点電圧VMUを入力する。そして、ステップ255では、次式(1)に示す判定処理1を行い、この関係が成り立てばステップ265へ、そうでなければステップ260へ処理を移す。
(判定処理1)
|VMU−V0 |>D(K) …(1)
ただし、ここで、閾値D(K)は、所定の記憶領域に配列の形式で以下の様に定義しておくものとする。
(配列D(K)の定義)
D(0)=α (αは、電源電圧の15%の値)
D(1)=β (βは、SWUHの通電時の電圧降下量の4倍の値)
D(2)=β
D(3)=α
なお、この処理(ステップ250〜255)は、図3の中点電圧に関する判定処理b1,b2,b3,b4に相当している。言い換えれば、この様な配列の定義によって、本発明の第1の電圧昇降判定手段と第2の電圧昇降判定手段とが、ステップ255によって同時に実現されている。
【0052】
次に、ステップ260では、次式(2)に示す判定処理2を行い、この関係が成り立てばステップ265へ、そうでなければステップ250へ処理を移す。
(判定処理2)
t−T0 >ΔT …(2)
ただし、ここで、ΔTはデッドタイムの長さの上限値を規定する閾値であり、例えば約3μ〜5μsec程度で良い。また、例えば上記の閾値D(K)などと同様にして、各ケース毎にそれぞれ個別に定義しても良い。
なお、本発明の期間計量手段に相当する図3のデッドタイム期間計量c1,c2,c3,c4は、上記のステップ240とステップ260によって構成されており、デッドタイムの長さの上限値を規定する図3のOR判定d1,d2,d3,d4は、ステップ255とステップ260との組み合わせによって実現されている。
【0053】
最後に、ステップ265では、上記の表2に示す内容に従って、指令BU(K)を実行する。この指令BU(K)(0≦K≦3)は、所定の記憶領域上に配列の形式で記憶されているもので、そこには、上記の変数Kに対応する所定の各処理を示す各指令コード(格納コード)がそれぞれ保持されている。これにより、例えば、K=0の場合には、指令コードBU(0)が選択されて、半導体スイッチング素子SWULをON状態にする操作が、ゲートドライバ106を介して実行される。
なお、この処理は、図3のオフ操作e1,e2,e3,e4に相当している。
【0054】
以上の制御手順に従えば、前述のゲート制御の論理(ゲート操作)を具体的に実行することができる。また、以上の制御手順は各相共通であるので、その他の相についても上記の第1相(U相)と同様に制御することができる。そして、これらの制御により、電源短絡状態に起因するシュートスルー電流の発生を防止しつつ、従来方式においては具備されていたフライホイールダイオードの高いon電圧による大きなon損失の発生を抑制できる。また、フライホイールダイオード自体が設置されていないことにより、前述の従来の逆方向リカバリ電流がなくなり、それに起因する電源短絡状態の発生が防止され、その分のスイッチング損失も抑制される。
【0055】
また、インバータの主要構成となる双方向性の半導体スイッチング素子として、ワイドバンドギャップ半導体により構成された高耐圧でon抵抗の低い半導体スイッチング素子を用いれば、数百ボルト程度以上の比較的高い電源電圧のインバータを低損失で実現することも可能となる。また、出力の相数は、主回路101の構成に応じて任意に増減させることもできる。また、先にも言及した様に、これらの制御処理は、勿論ハードウェアで実現しても良い。
【0056】
例えば以上の様に、本発明によれば、双方向電流制御の可能なスイッチング素子を用いて構成したインバータにおいて、フライホイールダイオードの並列接続をせずに、インバータアームの一方のスイッチング素子を導通状態から非導通状態に切り替える時に遅滞無く他方のスイッチング素子を非導通状態から導通状態に切り替えることにより、回生的電流をスイッチング素子に流すことができる。そして、この様な制御方式に従えば、ショートスルー電流の発生防止と、電動機電流の時間微分値を小さく抑制することの双方を両立することができる。
また、この発明により、フライホイールダイオードを省くことが可能になることから、本発明に基づくインバータにおいては、高価な主回路素子数の半減が可能となり、これによって、インバータコストの大幅低減を図ることができる。
【0057】
〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の実施例1では、主回路に用いる各半導体スイッチング素子には、浮遊ダイオードが寄生していないが、用いる半導体スイッチング素子には、故意に設けられる通常のフライホイールダイオードと略同等の作用を奏する浮遊ダイオードが、意図しなくとも寄生している場合がある。しかしながら、本発明は、その様な浮遊ダイオードの寄生を甘受できないものではなく、その様な半導体スイッチング素子を使用したインバータにおいても、本発明に基づいて上記の実施例1と略同等の作用・効果を得ることができる。
しかし、少なくとも、逆方向リカバリ電流を排除することによってスイッチング損失を削減する観点や、回生的電流に伴うon損失を削減する観点から言えば、その様な浮遊ダイオードは、極力各半導体スイッチング素子に寄生していないことが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のインバータでは、その主回路用として双方向性の半導体スイッチング素子を用いるが、本発明の損失低減技術は、電源電圧の高低に関わらず有効な技術である。即ち、本発明は、数十ボルト程度の比較的低い電源電圧のインバータのみに限定的に適用すべきものではなく、本発明は、そうした低い電源電圧のインバータから数百ボルト程度以上の比較的高い電源電圧のインバータの損失低減にも好適である。
したがって、本発明は、インバータ制御電動機を用いている広範な産業界に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1のインバータ100の回路図
【図2】実施例1のインバータ100の制御ブロック図
【図3】デッドタイム管理部105の制御ブロック図
【図4】デッドタイム管理部105の制御手順を例示するフローチャート
【符号の説明】
【0060】
100 : インバータ
101 : 主回路
102 : 各相中点電圧測定部
103 : 各相電流測定部
104 : 各相中点電圧高低指令信号発生部
105 : デッドタイム管理部
106 : ゲートドライバ




 

 


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