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発明の名称 発電装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−110816(P2007−110816A)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
出願番号 特願2005−297967(P2005−297967)
出願日 平成17年10月12日(2005.10.12)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 山田 賢一
要約 課題
熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換すること。

解決手段
この発電装置100は、内燃機関1に取り付けられるものである。発電装置100は、往復運動を電気エネルギに変換する発電手段10により発電する。発電手段10の入力軸12は、ブラケット8を介して内燃機関1に取り付けられている。これによって、ブラケット8から内燃機関1の振動が、発電手段10へ入力される。そして、発電手段10へ入力された内燃機関1の振動は、発電手段10で直接電力エネルギに変換される。
特許請求の範囲
【請求項1】
磁界を変化させる磁界変化手段と、
前記磁界変化手段による磁界の変化によって誘導起電力を発生するコイルと、を含んで構成される発電手段を備え、
前記磁界変化手段又は前記コイルの少なくとも一方が熱機関に取り付けられて、前記熱機関の振動により前記コイルに対して前記磁界変化手段が相対的に往復運動して、前記コイルが誘導電流を発生することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記熱機関の振動は、
前記熱機関と前記発電手段との間に設けられ、かつ、前記熱機関に対しては第1結合軸を中心に回転可能に結合される伝達腕を介して前記磁界変化手段又は前記コイルへ伝達されるとともに、
前記伝達腕には、前記発電手段を支持する発電手段支持部材が第2結合軸を介して回転可能に結合され、さらに、
前記第2結合軸と、前記磁界変化手段又は前記コイルに対する前記伝達腕の取付部との距離は、前記第2結合軸と前記第1結合軸との距離よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記磁界変化手段又は前記コイルのいずれか一方が前記熱機関に取り付けられるとともに、他方は前記熱機関の搭載対象に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
磁界変化手段及び前記コイルが前記熱機関に取り付けられるとともに、前記熱機関の運転に用いる機関回転数の範囲内で、前記発電手段が共振することを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項5】
前記熱機関は、往復運動部分と、この往復運動部分の往復運動を回転運動に変換する運動方向変換部分とを備え、
前記コイルに対する前記磁界変化手段の相対的な往復運動の方向は、前記運動方向変換部分の回転中心軸と非平行であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発電装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱機関の振動を電気エネルギに変換する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のサスペンション装置に組み込まれた発電機であって、ばね上部材の、ばねした部材に対する振動を高い効率で電気エネルギに変換する技術が開示されている。また、特許文献2には、サスペンションのストロークにともなって発電する発電機が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−55033号公報
【特許文献2】特開平4−126614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1や特許文献2では、車両が備えるサスペンションの動きを利用して発電する技術は開示されているが、車両に搭載される内燃機関が発生する振動を電気エネルギに変換する技術は開示されていない。また、内燃機関が発生する振動の振幅は小さいため、内燃機関の振動を効率よく電気エネルギに変換する必要がある。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換できる発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る発電装置は、磁界を変化させる磁界変化手段と、前記磁界変化手段による磁界の変化によって誘導起電力を発生するコイルと、を含んで構成される発電手段を備え、前記磁界変化手段又は前記コイルの少なくとも一方が熱機関に取り付けられて、前記熱機関の振動により前記コイルに対して前記磁界変化手段が相対的に往復運動して、前記コイルが誘導電流を発生することを特徴とする。
【0006】
この発電装置は、往復運動を電気エネルギに変換する発電手段を用いて、熱機関が発生する振動によって発電する。このような構成によって、熱機関の振動を回転運動等に変換することなく、直接電気エネルギに変換できるので、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することができる。
【0007】
次の本発明に係る発電装置は、前記発電装置において、前記熱機関の振動は、前記熱機関と前記発電手段との間に設けられ、かつ、前記熱機関に対しては第1結合軸を中心に回転可能に結合される伝達腕を介して前記磁界変化手段又は前記コイルへ伝達されるとともに、前記伝達腕には、前記発電手段を支持する発電手段支持部材が第2結合軸を介して回転可能に結合され、さらに、前記第2結合軸と、前記磁界変化手段又は前記コイルに対する前記伝達腕の取付部との距離は、前記第2結合軸と前記第1結合軸との距離よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
次の本発明に係る発電装置は、前記発電装置において、前記磁界変化手段又は前記コイルのいずれか一方が前記熱機関に取り付けられるとともに、他方は前記熱機関の搭載対象に取り付けられることを特徴とする。
【0009】
次の本発明に係る発電装置は、前記発電装置において、磁界変化手段及び前記コイルが前記熱機関に取り付けられるとともに、前記熱機関の運転に用いる機関回転数の範囲内で、前記発電手段が共振することを特徴とする。
【0010】
次の本発明に係る発電装置は、前記発電装置において、前記熱機関は、往復運動部分と、この往復運動部分の往復運動を回転運動に変換する運動方向変換部分とを備え、前記コイルに対する前記磁界変化手段の相対的な往復運動の方向は、前記運動方向変換部分の回転中心軸と非平行であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る発電装置は、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
(実施形態1)
実施形態1は、往復直線運動を電気エネルギに変換する発電手段を用いて、熱機関が発生する振動により発電する点に特徴がある。実施形態1では、発電手段を熱機関のみへ取り付ける構成を説明する。以下の説明においては、熱機関としていわゆるレシプロ式の熱機関を例として説明するが、いわゆるロータリーエンジンに対しても以下の実施形態に開示する構成を適用することができる。
【0014】
図1は、実施形態1に係る発電装置の構成例を示す説明図である。この実施形態に係る発電装置100は、少なくとも発電手段10を備えて構成される。発電手段10は、往復直線運動を電気エネルギに変換する、リニア式の発電機である。発電手段10は、そのケース11から突出する入力軸12にブラケット8が取り付けられ、このブラケット8は熱機関である内燃機関1に取り付けられる。これによって、発電手段10は、取付手段であるブラケット8を介して内燃機関1に取り付けられる。なお、内燃機関1に取り付ける発電手段10の個数は1個に限られるものではなく、複数の発電手段10を内燃機関1に取り付けてもよい。
【0015】
この実施形態に係る内燃機関1は、シリンダ2内をピストン3が往復運動する、いわゆるレシプロ式の内燃機関である。なお、内燃機関に限らず、スターリングエンジンのようなレシプロ式の外燃機関に対しても、この実施形態に係る構成を適用できる。ピストン3は、内燃機関1が備える往復運動部分であり、シリンダ2内で空気と燃料との混合気が燃焼することにより、シリンダ2内を往復運動する。ここで、ピストン3の往復運動の方向は、図1中の矢印P方向であり、シリンダ2の中心軸(シリンダ軸)Zsと平行である。
【0016】
ピストン3の往復運動は、コネクティングロッド4を介して、クランクケース6に格納されるクランク軸5へ伝達される。そして、ピストン3の往復運動は、クランク軸5によって回転運動に変換されて、内燃機関1の出力として取り出される。ここで、クランク軸5は、回転中心軸Zrを中心として回転する。このように、クランク軸5は、内燃機関1の往復運動部分であるピストン3の往復運動を回転運動に変換する、運動方向変換部分として機能する。
【0017】
内燃機関1はレシプロ式であり、シリンダ2内における空気と燃料との混合気の燃焼に起因して振動が発生する。例えば、内燃機関1がピストン3とシリンダ2とを4個ずつ備える、いわゆる4気筒の内燃機関で、かつピストン3が4ストロークして1回の熱サイクルが終了する(以下4ストローク機関という)場合、クランク軸5が360度回転する間に、2回の燃焼が起こる。これによって、クランク軸5が360度回転する間に2回の振動が発生する。ここで、内燃機関1の機関回転数をNE(回転/秒)とし、前記燃焼に起因する振動の周波数(振動周波数)をf(Hz)とすると、f=2×NEとなる。すなわち、振動周波数fは、内燃機関1の機関回転数NEに比例する。
【0018】
なお、振動周波数fは、内燃機関1がレシプロ式である場合には、シリンダ数、及び1回の熱サイクルが終了する際におけるピストン3のストロークによって変化する。例えば、内燃機関1が4ストローク機関であって6個のシリンダを備える場合、振動周波数fは、f=3×NEとなる。また、ピストン3が2ストロークして1回の熱サイクルが終了する(以下2ストローク機関という)内燃機関であり、かつ4個のシリンダを備える場合、振動周波数fは、f=4×NEとなる。
【0019】
この実施形態に係る発電装置100では、リニア式の発電手段10を内燃機関1に取り付け、内燃機関1の燃焼に起因して発生する振動を、電気エネルギに変換する。発電手段10は、入力軸12を往復運動させることで発電するものである。ここで、図1中の矢印Sが、発電手段10に対する入力方向を示す。この実施形態において、内燃機関1の燃焼に起因する振動を効果的に電気エネルギに変換するため、ピストン3の往復運動の方向Pと、リニア式の発電手段10に対する入力方向Sとを平行にしている。これによって、内燃機関1の燃焼に起因して発生する振動のエネルギをより有効に利用できる。
【0020】
図2、図3は、実施形態1に係る発電手段の一例を示す説明図である。この発電手段10は、磁界変化手段である可動コア15と、磁界変化手段による磁界の変化によって誘導電流を発生するコイル14とを含んで構成される。可動コア15は、例えば、ケイ素鋼等の高導磁率材料の薄板を積層して構成される。そして、可動コア15は、入力軸12に取り付けられており、入力軸12から入力される内燃機関1の振動により往復運動する。可動コア15に対する入力方向、及び可動コア15の往復運動方向は、図2、図3の矢印S方向である。この実施形態において、図3に示すように、可動コア15は、発電手段10のケースに対して板ばね17を介して支持されているが、板ばね17によって可動コア15を支持する構成としなくともよい。
【0021】
コイル14は2分割されており、その間に可動コア15が配置される。コイル14は、ケイ素鋼等の高導磁率材料の薄板を積層してコア13に巻き付けられるように構成されている。また、この発電手段10では、コア13に取り付けられた第1永久磁石16Aと第2永久磁石16Bとで可動コア15が挟まれるようになっている。このような構成によって、可動コア15は、第1及び第2永久磁石16A、16Bが発生する磁力によって支持される。第1永久磁石16AのN極16N1と第2永久磁石16BのS極16S2とは、可動コア15を挟んで対向配置されており、また、第2永久磁石16AのS極16S1と第2永久磁石16BのN極16N2とは、可動コア15を挟んで対向配置されている。
【0022】
高導磁率材料で構成される可動コア15が図2の矢印S方向に往復運動すると、第1永久磁石16Aと第2永久磁石16Bとによって形成される磁界が変化する。すなわち、可動コア15の位置によって、第1永久磁石16Aと第2永久磁石16Bとによって形成される磁束に偏りが発生する。コイル14は、第1永久磁石16Aと第2永久磁石16Bとによって形成される磁界の中に置かれているため、可動コア15の往復運動によってコイル14を貫く磁束が変化する。その結果、電磁誘導によってコイル14には誘導起電力が発生して、コイル14の端子T_A、T_B間には誘導電流が流れる。これによって、この発電手段10は、往復運動を電気エネルギに変換することができる。
【0023】
なお、この実施形態では、可動コア15に内燃機関1が取り付けられ、内燃機関1の振動が可動コア15へ伝達される。これによって、可動コア15がコイル14に対して相対的に往復運動することによってコイル14を貫く磁束が変化し、電磁誘導によってコイル14の端子T_A、T_B間には誘導電流が流れる。この方式に限られず、コイル14に内燃機関1を取り付けて、内燃機関1の振動をコイル14へ伝達し、これによって、可動コア15をコイル14に対して相対的に往復運動させて、電磁誘導により誘導起電力を発生させてもよい。すなわち、可動コア15又はコイル14の少なくとも一方が内燃機関1に取り付けられて、内燃機関1の振動によってコイル14に対して可動コア15が相対的に往復運動するように構成する。そして、内燃機関1の振動によってコイル14を貫く磁束を変化させて電磁誘導によって誘導起電力を発生させることができればよい。
【0024】
図1に示すように、発電手段10は、内燃機関1が備えるピストン3の往復運動の方向Pと、発電手段10に対する入力方向Sとが平行になるように、内燃機関1に取り付けられている。内燃機関1が運転を開始して、内燃機関1の燃焼に起因する振動が発電手段10の入力軸12へ入力されると、コイル14に対して可動コア15が相対的に往復運動して、コイル14の端子T_A、T_B間には、電磁誘導によって発生する誘導起電力により誘導電流が流れる。これによって、この実施形態に係る発電装置100が備える発電手段10は、内燃機関1が発生する振動により発電することができる。そして、この発電装置100は、内燃機関1の振動を回転運動等に変換することなく、直接電気エネルギに変換できるので、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することができる。
【0025】
図4は、実施形態1に係る発電手段の他の例を示す説明図である。この発電装置100aが備える発電手段10aは、磁界変化手段である可動コア15aと、コイル14aとを含んで構成される。可動コア15aは、永久磁石で構成されており、入力軸12a及びブラケット8aを介して内燃機関1に取り付けられる。内燃機関1が備えるピストンの往復運動により、可動コア15aも往復運動する。ここで、可動コア15aの往復運動の方向Sは、ピストンの往復運動の方向Pと平行になっている。また、コイル14aの巻き方向は、可動コア15の往復運動の方向Sと平行である。
【0026】
このような構成により、内燃機関1が運転を開始して、内燃機関1の燃焼に起因する振動が発電手段10aの入力軸12aへ入力されると、可動コア15aが往復運動して、コイル14aを貫く磁束が変化する。その結果、電磁誘導によって、コイル14aの端子T_A、T_B間には誘導電流が流れる。これによって、この発電手段10aは、往復運動を電気エネルギに変換することができる。そして、この発電装置100aは、内燃機関1の振動を回転運動等に変換することなく、直接電気エネルギに変換できるので、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することができる。
【0027】
上記発電手段10、10aは、いずれも可動コア15、15aに内燃機関1の振動が入力される形式であるが、コイル14、14a側に内燃機関1の振動を入力するようにしてもよい。また、この実施形態では、2種類の発電手段10、10aを例として説明したが、この実施形態に係る発電装置に適用できる発電手段は、上記2種類に限られるものではない。次に、発電装置100等の共振周波数の設定について説明する。
【0028】
図5−1は、発電手段の振幅と内燃機関の機関回転数との関係を示す説明図である。図5−2は、発電手段の発電量と内燃機関の機関回転数との関係を示す説明図である。上記発電装置100等が備える発電手段10等は、その共振周波数frにおいて、可動コア15等とコイル14等との振幅差Aが最も大きくなるため、発電効率を高くすることができる。ここで、内燃機関1の運転中において、機関回転数NEは、アイドリング回転数NEiから最高回転数NEhまで変化する。
【0029】
内燃機関1の運転中に用いられる機関回転数NEの範囲(NEi〜NEh)内において、発電手段10等の振動系が共振するように発電手段10等の共振周波数(少なくとも一次の共振周波数)frを設定することが好ましい。このようにすると、内燃機関1の運転中において、発電手段10等からさらに効率よく発電させることができる。ここで、振動系とは、発電手段10等の振動する部分(振動部分、可動コア15や板ばね17等)や、それを支えるばね(磁気ばねや空気ばね等も含む)等の要素で構成される系をいう。
【0030】
図5−1に示す例では、内燃機関1の機関回転数NEがアイドリング回転数NEiから中速回転数NEmの間における機関回転数NErで、発電手段10等の振動系が共振するように発電手段10等の共振周波数frを設定してある。なお、発電手段10等へ入力される内燃機関1の振動周波数fは上述したように機関回転数NEに比例するので、比例定数を求めることによって前記振動周波数fを求めることができる。
【0031】
このようにすれば、内燃機関1の機関回転数がNEr近傍で可動コア15等とコイル14等との振幅差Aが大きくなり、その結果、図5−2に示すように発電手段10等の発電量Qが大きくなる。内燃機関1の運転中において最も多く使用される機関回転数NEの近傍に発電手段10等の共振周波数frを設定すれば、発電効率の高い領域で発電手段10を使用できる期間が多くなるので好ましい。このとき、複数の発電手段10等を内燃機関1に取り付けて、それぞれの発電手段10等の共振周波数frを異ならせてもよい。このようにすると、内燃機関1の機関回転数NEが変化した場合には、異なる発電手段10等に共振状態で発電させることができる。これによって、内燃機関1の機関回転数NEの広い範囲にわたり、発電効率の高い領域で発電手段10を使用できる機関回転数の範囲が拡大するので好ましい。
【0032】
発電手段10等の共振周波数frは、発電手段10等の振動部分の等価質量M、及びばねのばね定数kを用いて、式(1)のように表される。
fr=2×π×√(k/M)
なお、等価質量Mは、振動部分の振動方向に存在する空気の質量を考慮したものであり、通常、振動部分の振動方向に存在する空気の質量よりも、前記振動部分の質量の方が支配的となる。
【0033】
例えば、図3に示す発電手段10において、発電手段の振動部分はケース11、コイル14、コア13、板ばね17、第1及び第2永久磁石16A、16Bとなる。発電手段10において、ばね17のばね定数をk、ケース11、コイル14、コア13、板ばね17、第1及び第2永久磁石16A、16Bの等価質量の和をM1とする。このとき、発電手段10の共振周波数frは、fr=2×π×√(k/M1)で概算することができる。
【0034】
この共振周波数frが、内燃機関1の運転中に用いられる機関回転数NEの範囲(NEi〜NEh)内に入るように、発電手段10の振動部分の質量や、ばね定数を設定する。なお、発電手段10の共振周波数frは、発電手段10の振動部分に内燃機関1の補機類を取り付けることにより調整してもよい。次に、発電手段の取り付け方向について説明する。
【0035】
図6−1、図6−2は、発電手段の取り付け方向を示す説明図である。図6−1、図6−2には、図2、図3で説明した発電手段10の取り付け例を示す。なお、発電手段を表す符号「10」の後のアルファベットは、発電手段10の取り付け位置を区別するためのものである。
【0036】
上述したように、発電手段10に対する入力方向Sは、内燃機関1が備えるピストン3(図1参照)の往復運動の方向Sに対して平行とすることが好ましい(図6−1の発電手段10A、図6−2の発電手段10C)。しかし、これに限られず、例えば、図6−1の発電手段10Bのように、内燃機関1が備えるクランク軸5の回転中心軸Zrの周囲に発電手段10を配置することができる。内燃機関1の燃焼によりピストンが往復運動することで、ピストン3とクランク軸とを結ぶコネクティングロッド4(図1参照)の揺動が発生する。そして、クランク軸5の回転中心軸Zrの周りには、コネクティングロッド4の揺動に起因する振動が発生する。したがって、クランク軸の周りに発電手段10を取り付ければ、この振動を電気エネルギに変換できる。
【0037】
また、図6−2に示すように、発電手段10Dに対する入力方向S、すなわち、コイル14に対する可動コア15の相対的な往復運動方向が、内燃機関1が備えるクランク軸5の回転中心軸Zrに対して傾斜するようにしてもよい。このとき、内燃機関1が備えるクランク軸5の回転中心軸Zrに対する発電手段10Dへの入力方向Sの傾き角度θは、0度又は180度以外の値となる。すなわち、発電手段10Dに対する入力方向Sとクランク軸5の回転中心軸Zrとが非平行となるように、発電手段10Dを内燃機関1に取り付ければよい。傾き角度θがこのような範囲であれば、内燃機関1が備えるピストンの往復運動の方向Sの成分が、発電手段10へ入力されるので、内燃機関1の燃焼に起因する振動を電気エネルギに変換できる。前記傾き角度θは、発電手段10の動際スペース等を考慮して、前記範囲で適宜設定することができるが、前記傾き角度θは、内燃機関1の振動をより有効に利用するという観点から、90度に近くすることが好ましい。
【0038】
(変形例)
この変形例は、上記実施形態と略同様の構成であるが、熱機関の振動の振幅を増幅して発電手段に入力する点が異なる。他の構成は上記実施形態と同様である。内燃機関等の熱機関においては、燃焼に起因する振動の慣性力は大きいが、振動の振幅が小さい。したがって、後述する機構を用いて、熱機関で発生する振動の振幅を増幅して発電手段へ入力することにより、小さい振幅であってもさらに効率よく発電するようにしている。
【0039】
図7は、実施形態1の変形例に係る発電装置の構成を示す説明図である。この変形例に係る発電装置100bは、発電手段10と、熱機関である内燃機関1が発生する振動の振幅を増幅する機能を有する取付ブラケット20とを含んで構成される。取付ブラケット20は、内燃機関1に固定される支持体21と、内燃機関1の振動を発電手段10に入力する第1伝達腕23A及び第2伝達腕23Bと、第1及び第2伝達腕23A、23Bへ取り付けられる発電手段支持部材22とを含んで構成される。
【0040】
第1伝達腕23A及び第2伝達腕23Bは、それぞれの第1端部23At1、23Bt1が、第1結合軸RA1、RB1によって支持体21へ結合されている。そして、第1伝達腕23A及び第2伝達腕23Bは、それぞれ、第1結合軸RA1、RB1を中心として回転可能になっている。なお、第1結合軸の添え字A、Bは、それぞれ第1伝達腕23Aの第1結合軸、第2伝達腕23Bの第1結合軸であることを示す。
【0041】
第1伝達腕23Aの第2端部23At2及び第2伝達腕23Bの第2端部23Bt2は、発電手段10の入力軸12に取り付けられて、内燃機関1の振動を入力軸12へ伝達する。発電手段10の入力軸12は、発電手段10のケース11の両端から突出しており、第1伝達腕23Aと第2伝達腕23Bとで入力軸12の両端部が挟み込まれるようになっている。
【0042】
発電手段10は、ケース11を介して発電手段支持部材22に取り付けられ、これに支持される。この変形例において、発電手段支持部材22は、発電手段10が取り付けられる発電手段取付部22Aと、第1伝達腕23A及び第2伝達腕23Bにピン結合される伝達腕結合部22Bとで構成される。この変形例において、発電手段取付部22Aと伝達腕結合部22Bとは略直交して一体化されている。ここで、ピン結合とは、軸を中心に自在な回転が可能な結合構造をいう。
【0043】
伝達腕結合部22Bの第1端部22t_A、及び伝達腕結合部22Bの第2端部22t_Bは、それぞれ第2結合軸RA2、RB2よって、第1伝達腕23A、第2伝達腕23Bにピン結合されている。なお、第2結合軸の添え字A、Bは、それぞれ、第1伝達腕23Aと発電手段支持部材22の伝達腕結合部22Bとを結合する第2結合軸、第2伝達腕23Bと発電手段支持部材22の伝達腕結合部22Bとを結合する第2結合軸であることを示す。このような構成により、第1伝達腕23A及び第2伝達腕23Bは、第1結合軸RA1、第2結合軸RB1を中心として、平行に揺動する。
【0044】
発電手段10の入力軸12は、図2、図3に示すように磁界変化手段である可動コア15に取り付けられている。図7に示すように、第1伝達腕23Aにおいて、第2結合軸RA2と発電手段10の入力軸12(すなわち可動コア15に対する第1伝達腕23Aの取付部)との距離L1は、第1結合軸RA1と第2結合軸RA2との距離L2よりも大きくなっている。第2伝達腕23Bにおいても同様である。ここで、第1結合軸RA1及び第2結合軸RA2は、軸の中心を基準として距離を測るものとする。
【0045】
このような構成により、第1及び第2伝達腕23A、23Bの第1端部23At1、23Bt1における第1結合軸RA1、RB1に変位Y1を与えた場合、第1及び第2伝達腕23A、23Bは、第2結合軸RA2、RB2を支点として回転する。上述したように、L1>L2なので、第1及び第2伝達腕23A、23Bの第2端部23At2、23Bt2の変位は、てこの原理によって拡大され、その大きさY2は、Y1×(L1/L2)となる。
【0046】
これによって、支持体21から、第1結合軸RA1、RB1を介して第1及び第2伝達腕23A、23Bの第1端部23At1、23Bt1に入力される内燃機関1の振動の振幅は、第1及び第2伝達腕23A、23Bの第2端部23At2、23Bt2においては、(L1/L2)倍に拡大される。このように、この変形例に係る発電装置100bが備える取付ブラケット20の振動伝達機構によれば、内燃機関1で発生する振幅の小さい振動を増幅して発電手段10へ伝達して、さらに効率よく発電することができる。ここで、内燃機関1の振動増幅による発電効率の向上という観点からは、上記L1とL2との比L1/L2は5以上とすることが好ましい。
【0047】
この発電装置100bにおいても、内燃機関1の運転中に用いられる機関回転数NEの範囲内において、発電装置100bの振動系が共振するように発電装置100bの共振周波数frを設定すれば、振幅増幅効果との相乗効果によってより効率よく発電できる。この発電装置100bの共振周波数frを設定するにあたっては、内燃機関1の振動によって振動する部分の質量及びばね定数を考慮する。
【0048】
発電手段10の等価質量をM1、発電手段10のばね定数(第1永久磁石16A等による磁気ばねや板ばね17、図3参照)をkとする。また、第1伝達腕23Aの等価質量をM2、第2伝達腕23Bの等価質量をM3、伝達腕結合部22Bの等価質量をM4とする。なお、第1伝達腕23Aや第2伝達腕23Bは第1結合軸RA1、RB1を中心として揺動運動するため、第1伝達腕23A等の長さを考慮に入れて等価質量M2等を決定する。このとき、発電装置100bの共振周波数frは、式(1)から、fr=2×π×√(k/(M1+M2+M3+M4))で概算することができる。
【0049】
以上、この実施形態及びその変形例では、往復運動を電気エネルギに変換する発電手段を用いて、熱機関が発生する振動により発電する。これによって、熱機関の振動を回転運動等に変換することなく、直接電気エネルギに変換できるので、運動方向を変更することによる機械的損失はほとんど発生しない。その結果、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することができる。また、熱機関の振動を電気エネルギに変換することにより、熱機関の振動を低減させることができる。その結果、熱機関の発生する振動や騒音が低減するので、この熱機関が搭載される車両は、防振材や、遮音材等の使用量を低減できるので、軽量化、コスト低減を図ることができる。そして、軽量化により燃料消費の低減も期待できる。さらに、この実施形態及びその変形例では、往復運動を電気エネルギに変換する発電手段を含む発電装置を熱機関のみへ取り付けるので、取り付けの自由度が向上する。
【0050】
なお、実施形態1及びその変形例の構成と同様の構成を備えるものは、実施形態1及びその変形例と同様の作用、効果を奏する。また、実施形態1及びその変形例で開示した構成は、以下の実施形態においても適宜適用できる。
【0051】
(実施形態2)
実施形態2は、往復運動を電気エネルギに変換する発電手段を用いて、熱機関が発生する振動により発電する点は実施形態1と同様であるが、発電手段が備える磁界変化手段又はコイルのいずれか一方を熱機関に取り付け、他方を熱機関の搭載対象に取り付ける点が異なる。他の構成は実施形態1と同様である。
【0052】
図8−1は、実施形態2に係る発電装置の構成例を示す説明図である。この実施形態に係る発電装置100cは、発電手段10と、取付手段であるブラケット8とを含んで構成される。発電手段10は、往復直線運動を電気エネルギに変換する、リニア式の発電機である。発電手段10は、そのケース11から突出する入力軸12にブラケット8が取り付けられ、このブラケット8は内燃機関1に取り付けられる。これによって、発電手段10は、取付手段であるブラケット8を介して内燃機関1に取り付けられる。
【0053】
内燃機関1が運転を開始し、ピストンが図8−1の矢印P方向に往復運動すると、内燃機関1の振動は、ブラケット8を介して発電手段10の入力軸12へ伝達される。これによって、入力軸12は、内燃機関1の振動と同じ周期で、図8−1の矢印S方向に往復運動する。
【0054】
ここで、発電手段10の構成は、実施形態1で説明した発電手段10(図2、図3参照)と同様である。入力軸12には可動コア15が取り付けられており(図2、図3)、また、ケース11にはコイル14やコア13等が取り付けられる。この実施形態において、ケース11は、内燃機関1の搭載対象である車両のシャーシ7に取り付けられる。したがって、コイル14やコア13等と内燃機関1との相対的な位置関係は、シャーシ7と内燃機関1との相対的な位置関係と一致する。
【0055】
内燃機関1の運転により内燃機関1が振動すると、内燃機関1とシャーシ7との相対的な位置関係は、内燃機関1の振動の周期で変化する。したがって、内燃機関1とともに振動する可動コア15と、シャーシ7に取り付けられるコイル14やコア13等との相対的な位置関係も、内燃機関1の振動の周期で変化する。これによって、この実施形態に係る発電装置100cが備える発電手段10は、内燃機関1が発生する振動により発電することができる。また、この発電装置100cは、内燃機関1の振動を回転運動等に変換することなく、直接電気エネルギに変換できるので、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することができる。
【0056】
なお、この例では、発電手段10の入力軸12に取り付けられる可動コア15(磁界変化手段)が内燃機関1へ取り付けられ、ケース11を介してコイル14が内燃機関1の搭載対象である車両のシャーシ7へ取り付けられるが、発電手段10の取り付け態様はこれに限られるものではない。例えば、コイル14を内燃機関1に取り付け、磁界変化手段である可動コア15を内燃機関1の搭載対象である車両のシャーシ7に取り付けてもよい。すなわち、磁界変化手段である可動コア15又はコイル14のいずれか一方が内燃機関1に取り付けられ、他方は内燃機関1の搭載対象である車両のシャーシ7に取り付けられていればよい。
【0057】
図8−2は、実施形態2の変形例に係る発電装置の構成を示す説明図である。この発電装置100dは、実施形態1の変形例に係る発電装置100b(図7参照)において、発電手段10が備える可動コア15(図2、3参照)を内燃機関1に取り付ける。そして、発電手段10のケース11に固定されるコイル14(図2、3参照)を、取り付け部7Sを介して内燃機関1の搭載対象である車両のシャーシ7に取り付ける。
【0058】
この発電装置100dにおいても、内燃機関1とともに振動する発電手段10の可動コア15と、シャーシ7に取り付けられるコイル14やコア13等との相対的な位置関係が、内燃機関1の振動の周期で変化する。これによって、この変形例に係る発電装置100dが備える発電手段10は、内燃機関1が発生する振動により発電することができる。また、この発電装置100dは、内燃機関1の振動を回転運動等に変換することなく、直接電気エネルギに変換できるので、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することができる。
【0059】
また、この発電装置100dが備える発電手段10は、内燃機関1が発生する振動の振幅を増幅する機能を有する取付ブラケット20を介して内燃機関1に取り付けられる。これによって、実施形態1の変形例に係る発電装置100b(図7参照)と同様に、内燃機関1で発生する振幅の小さい振動を増幅して発電手段10へ伝達して、効率よく発電することができる。
【0060】
図9は、発電手段の発電量と内燃機関の機関回転数との関係を示す説明図である。この実施形態及びその変形例に係る発電装置100c、100dでは、発電手段10の可動コア15(磁界変化手段)が内燃機関1に取り付けられるとともに、コイル14は内燃機関1の搭載対象である車両に取り付けられる。このため、内燃機関1の機関回転数NEが増加するにしたがって、すなわち、内燃機関1の振動(振動周波数f)が増加するにしたがって、発電手段10の発電量Qは増加する。その結果、内燃機関1の機関回転数NEによらず、広い機関回転数の範囲で発電手段10が発電することができる。
【0061】
以上、この実施形態及びその変形例では、往復運動を電気エネルギに変換する発電手段を用いて、熱機関が発生する振動により発電する。これによって、熱機関の振動を回転運動等に変換することなく、直接電気エネルギに変換できるので、運動方向を変更することによる機械的損失はほとんど発生しない。その結果、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することができる。また、この実施形態及びその変形例では、発電手段が備える磁界変化手段又はコイルのいずれか一方を熱機関に取り付け、他方を熱機関の搭載対象に取り付ける。これによって、熱機関の機関回転数によらず、広い機関回転数の範囲で発電手段が発電することができる。さらに、発電手段は、熱機関の振動を電気エネルギに変換することにより、熱機関の振動を低減させることができるので、熱機関と、その搭載対象との間に発電手段を介在させ、これを内燃機関1の振動吸収手段として用いることもできる。なお、実施形態1及びその変形例の構成と同様の構成を備えるものは、実施形態1及びその変形例と同様の作用、効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係る発電装置は、振動により発電することに有用であり、特に、熱機関の振動を効率よく電気エネルギに変換することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態1に係る発電装置の構成例を示す説明図である。
【図2】実施形態1に係る発電手段の一例を示す説明図である。
【図3】実施形態1に係る発電手段の一例を示す説明図である。
【図4】実施形態1に係る発電手段の他の例を示す説明図である。
【図5−1】発電手段の振幅と内燃機関の機関回転数との関係を示す説明図である。
【図5−2】発電手段の発電量と内燃機関の機関回転数との関係を示す説明図である。
【図6−1】発電手段の取り付け方向を示す説明図である。
【図6−2】発電手段の取り付け方向を示す説明図である。
【図7】実施形態1の変形例に係る発電装置の構成を示す説明図である。
【図8−1】実施形態2に係る発電装置の構成例を示す説明図である。
【図8−2】実施形態2の変形例に係る発電装置の構成を示す説明図である。
【図9】発電手段の発電量と内燃機関の機関回転数との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1 内燃機関
2 シリンダ
3 ピストン
4 コネクティングロッド
5 クランク軸
7 シャーシ
8、8a ブラケット
10、10a、10A、10B、10C、10D 発電手段
11 ケース
12、12a 入力軸
13 コア
14、14a コイル
15、15a 可動コア
16A 第1永久磁石
16B 第2永久磁石
20 取付ブラケット
21 支持体
22 発電手段支持部材
22A 発電手段取付部
22B 伝達腕結合部
23A 第1伝達腕
23B 第2伝達腕
100、100a、100b、100c、100d 発電装置
A1、RB1 第1結合軸
A2、RB2 第2結合軸




 

 


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