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発明の名称 内燃機関の制御装置および電動機の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−104855(P2007−104855A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−294762(P2005−294762)
出願日 平成17年10月7日(2005.10.7)
代理人 【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
発明者 飯田 達雄
要約 課題
適切な温度推定を実行し、その温度に基づいて種々の制御を行なう内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。

解決手段
電動機の補助を受けて過給圧を調整する過給器を備えた内燃機関の制御装置であって、前記電動機の制御を行なうためのパラメータであり、温度依存性が異なり、相互に相関関係を有する複数のパラメータのうち、該温度依存性の小さいパラメータを検出する検出手段と、前記検出された温度依存性の小さいパラメータに基づいて、前記相関関係を利用して、前記電動機および/または該電動機の回転子の温度を推定する温度推定手段と、前記推定された温度に基づいて、前記電動機を制御する制御手段とを備えた内燃機関の制御装置とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
電動機の補助を受けて過給圧を調整する過給器を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記電動機の制御を行なうためのパラメータであり、温度依存性が異なり、相互に相関関係を有する複数のパラメータのうち、該温度依存性の小さいパラメータを検出する検出手段と、
前記検出された温度依存性の小さいパラメータに基づいて、前記相関関係を利用して、前記電動機および/または該電動機の回転子の温度を推定する温度推定手段と、
前記推定された温度に基づいて、前記電動機を制御する制御手段と、
を備えた内燃機関の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置であって、
前記検出手段は、前記内燃機関に係わる外力によって前記電動機が空転しているタイミングで、前記温度依存性の小さいパラメータを検出する内燃機関の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置であって、
前記検出手段は、前記温度依存性の小さいパラメータとして、前記電動機に生じる誘起電圧および該電動機の回転数を検出する内燃機関の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関の制御装置であって、
前記電動機は、回転子に永久磁石を有する電動機であり、
前記温度推定手段は、前記回転子の温度として、前記永久磁石の温度を推定する
内燃機関の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の制御装置であって、
前記温度推定手段は、前記誘起電圧および前記回転数と、前記永久磁石の温度特性である磁石温度係数との関係を示したマップを備え、該マップを用いて前記温度を推定する内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置であって、
前記制御手段は、前記推定された温度を基に前記過給器の補助が可能な出力値および期間を算出し、該算出された出力値および期間に基づいて前記電動機を制御する内燃機関の制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内燃機関の制御装置であって、
前記制御手段は、前記補助が可能な出力値を前記電動機の性能から設定される最大の出力値に設定し、当該出力値で補助が可能な期間を算出し、該出力値および期間に基づいて前記電動機を制御する内燃機関の制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の内燃機関の制御装置であって、さらに、
前記内燃機関の運転状態として、少なくともアクセル開度を検出する運転状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記補助が可能な出力値を前記検出された運転状態に対応して設定し、当該出力値で補助が可能な期間を算出し、該出力値および期間に基づいて前記電動機を制御する
内燃機関の制御装置。
【請求項9】
請求項6に記載の内燃機関の制御装置であって、さらに、
前記内燃機関の運転状態として、少なくともアクセル開度を検出する運転状態検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記算出された出力値での前記電動機の運転が前記算出された期間を経過する際に、前記運転状態に基づいて過給要求の有無を判断し、
前記過給要求があると判断した場合には、前記電動機の制御を抑制し、前記内燃機関の制御に関連する所定量を変更して該内燃機関の出力を増大する
内燃機関の制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の内燃機関の制御装置であって、
前記制御手段は、前記内燃機関の制御に関連する所定量として、前記内燃機関の吸入空気量および燃料噴射量を変更し、該内燃機関の空燃比を変更する制御を行なう内燃機関の制御装置。
【請求項11】
請求項9に記載の内燃機関の制御装置であって、
前記運転状態検出手段は、前記内燃機関に備えられ、吸入空気量を調整する電子スロットルの開度を検出する手段を有し、
前記制御手段は、前記電動機の制御を中止すると共に、前記電子スロットルの開度に余裕があるか否かを判断し、該開度に余裕がある場合には、前記内燃機関の制御に関連する所定量として、当該開度を増大する
内燃機関の制御装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の内燃機関の制御装置であって、
前記制御手段は、
前記電動機の回転子に備えた永久磁石の磁力に応じて、該回転子の位置を検出し、
前記推定された温度に基づいて、前記検出のタイミングを補正し、
前記補正された検出のタイミングを基に、前記電動機への通電を実行する
内燃機関の制御装置。
【請求項13】
内燃機関の過給器を補助する電動機の制御装置であって、
前記電動機の制御を行なうためのパラメータであり、温度依存性が異なり、相互に相関関係を有する複数のパラメータのうち、該温度依存性の小さいパラメータを検出する検出手段と、
前記検出された温度依存性の小さいパラメータに基づいて、前記相関関係を利用して、前記電動機および/または該電動機の回転子の温度を推定する温度推定手段と、
前記推定された温度に基づいて、前記電動機を制御する制御手段と、
を備えた電動機の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機付きの過給器を備えた内燃機関の制御に関し、詳しくは、電動機の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関により多く空気を押し込んで出力を向上するため、排ガスのエネルギを利用した過給器のタービンシャフトの回転を補助(アシスト)する電動機がある。こうした電動機は、内燃機関からの高温の排ガスにさらされると共に、十数万から二十数万rpmもの高速で回転するため電動機自身の発熱もあり、高温環境下で使用されることとなる。
【0003】
電動機は、周囲温度の変化と共にその特性が変化する。これは、電動機を構成する永久磁石や巻線の特性、つまり、磁束密度や抵抗が温度に強く影響される(つまり、温度依存性が大きい)ためである。例えば、電動機の周囲温度が高温になると、永久磁石の磁束密度は低下し、巻線の抵抗は増大する。その結果、電動機のトルクなど、出力特性が低下することとなる。こうした電動機の特性の変化に適切に対応して、電動機を制御するためには、電動機(特に回転子)の温度変化を把握する必要がある。
【0004】
従来から、電動機の温度変化を推定する種々の技術が検討されている。例えば、下記特許文献1には、電流,電圧,抵抗,回転速度と磁束に基づいて電動機の温度変化を推定し、これを用いて電動機を制御する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−186800号公報
【特許文献2】特開2004−201425号公報
【特許文献3】特開平9−28100号公報
【0006】
こうした過給器のアシスト用電動機では、より高精度の制御を行なうために、電動機や回転子の温度を適切に把握することが望まれていた。
【0007】
なお、電動機の固定子側に温度センサを設け、その検出値から回転子側の温度を推定することも考えられるが、アシスト用電動機として採用する場合には、排ガスの熱的影響が著しく、推定した温度は大きな誤差を含むため、回転子側の適切な温度推定は困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、適切な温度推定を実行し、その温度に基づいて種々の制御を行なう内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内燃機関の制御装置は、上記課題を鑑み、以下の手法を採った。すなわち、電動機の補助を受けて過給圧を調整する過給器を備えた内燃機関の制御装置であって、前記電動機の制御を行なうためのパラメータであり、温度依存性が異なり、相互に相関関係を有する複数のパラメータのうち、該温度依存性の小さいパラメータを検出する検出手段と、前記検出された温度依存性の小さいパラメータに基づいて、前記相関関係を利用して、前記電動機および/または該電動機の回転子の温度を推定する温度推定手段と、前記推定された温度に基づいて、前記電動機を制御する制御手段とを備えたことを要旨としている。
【0010】
本発明の内燃機関の制御装置によれば、温度依存性の異なる複数のパラメータのうち、温度依存性の小さいパラメータを検出し、これを用いて電動機、回転子の温度を推定する。温度依存性の小さいパラメータを用いることで、電動機、回転子の温度推定を適切に行なうことができる。その結果、適切な推定温度に基づく内燃機関の制御を実行でき、高精度の制御を行なうことができる。
【0011】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の検出手段は、前記内燃機関に係わる外力によって前記電動機が空転しているタイミングで、前記温度依存性の小さいパラメータを検出するものとすることができる。
【0012】
かかる内燃機関の制御装置によれば、電動機が空転するタイミング、つまり、電動機への通電を行なわず、電動機を制御していないタイミングで、温度依存性の小さいパラメータを検出する。したがって、通電などの影響を受けずに、容易にパラメータを検出することができる。
【0013】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の検出手段は、前記温度依存性の小さいパラメータとして、前記電動機に生じる誘起電圧および該電動機の回転数を検出するものとすることができる。
【0014】
かかる内燃機関の制御装置によれば、誘起電圧および回転数を検出し、これらを用いて温度を推定する。2つの検出値に基づいて温度の推定を行なうため、比較的容易に温度推定を実行することができる。また、電動機の空転時に検出を行なう場合には、誘起電圧を簡単に(直接的に)検出することができる。
【0015】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置において、前記電動機は、回転子に永久磁石を有する電動機であり、前記温度推定手段は、前記回転子の温度として、前記永久磁石の温度を推定するものとしても良い。
【0016】
かかる内燃機関の制御装置によれば、回転子の温度として、永久磁石の温度を推定し、これに基づいて電動機を制御する。つまり、温度の影響を受けやすい永久磁石の現状の温度を適切に把握することができる。したがって、温度の影響を考慮した高精度の制御を行なうことができる。
【0017】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の温度推定手段は、前記誘起電圧および前記回転数と、前記永久磁石の温度特性である磁石温度係数との関係を示したマップを備え、該マップを用いて前記温度を推定するものとしても良い。こうすることで、予め用意したマップから、容易に温度の推定を行なうことができる。
【0018】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の制御手段は、前記推定された温度を基に前記過給器の補助が可能な出力値および期間を算出し、該算出された出力値および期間に基づいて前記電動機を制御するものとすることができる。
【0019】
かかる内燃機関の制御装置によれば、現状の温度を推定することで、電動機の温度性能から、過給器を補助できる出力値および期間を算出し、これらに基づいて電動機を制御できる。つまり、電動機に過度な熱的負担をかけることなく、適切は温度範囲で電動機を運転することができる。したがって、信頼性の高い内燃機関の制御装置を構築することができる。
【0020】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の制御手段は、前記補助が可能な出力値を前記電動機の性能から設定される最大の出力値に設定し、当該出力値で補助が可能な期間を算出し、該出力値および期間に基づいて前記電動機を制御するものとしても良い。こうすることで、最大出力値で運転できる期間が算出され、期間に基づく制御を行なうことができる。
【0021】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置は、さらに、前記内燃機関の運転状態として、少なくともアクセル開度を検出する運転状態検出手段を備え、前記制御手段は、前記補助が可能な出力値を前記検出された運転状態に対応して設定し、当該出力値で補助が可能な期間を算出し、該出力値および期間に基づいて前記電動機を制御するものとしても良い。
【0022】
かかる内燃機関の制御装置によれば、アクセル開度に代表される運転状態に対応して、電動機の出力値を設定し、その出力値で運転できる期間が算出され、期間に基づく制御を行なうことができる。
【0023】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置は、さらに、前記内燃機関の運転状態として、少なくともアクセル開度を検出する運転状態検出手段を備え、前記制御手段は、前記算出された出力値での前記電動機の運転が前記算出された期間を経過する際に、前記運転状態に基づいて過給要求の有無を判断し、前記過給要求があると判断した場合には、前記電動機の制御を抑制し、前記内燃機関の制御に関連する所定量を変更して該内燃機関の出力を増大するものとすることができる。
【0024】
かかる内燃機関の制御装置によれば、推定温度を考慮して算出した電動機の運転期間を経過する際、過給要求がある場合には、電動機の制御を抑制し、内燃機関の出力を増大させる制御を行なう。したがって、適切は温度範囲で電動機を運転することができる。また、内燃機関側の制御によって、過給要求に対応した適切な制御を行なうことができる。
【0025】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の制御手段は、前記内燃機関の制御に関連する所定量として、前記内燃機関の吸入空気量および燃料噴射量を変更し、該内燃機関の空燃比を変更するものとしても良い。一般的に、リーン側で運転されている内燃機関の空燃比を、燃料噴射量を増大したリッチ側に変更することで、内燃機関の出力を増大させることができる。
【0026】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の運転状態検出手段は、前記内燃機関に備えられ、吸入空気量を調整する電子スロットルの開度を検出する手段を有し、前記制御手段は、前記電動機の制御を中止すると共に、前記電子スロットルの開度に余裕があるか否かを判断し、該開度に余裕がある場合には、前記内燃機関の制御に関連する所定量として、当該開度を増大するものとしても良い。こうすることで、吸入空気量を増量することができ、内燃機関の出力を増大させることができる。
【0027】
上記の構成を有する内燃機関の制御装置の制御手段は、前記電動機の回転子に備えた永久磁石の磁力に応じて、該回転子の位置を検出し、前記推定された温度に基づいて、前記検出のタイミングを補正し、前記補正された検出のタイミングを基に、前記電動機への通電を実行するものとすることができる。
【0028】
一般に、回転子の位置検出は永久磁石の磁力に基づくため、位置検出のタイミングは、温度により磁力が変化するとその影響を受けることとなる。上記の内燃機関の制御装置によれば、回転子の位置の検出タイミングを、推定された温度に基づいて補正する。したがって、温度が上昇しても、適切なタイミングで電動機への通電を実行することができ、電動機の効率低下を抑えることができる。
【0029】
本発明の電動機の制御装置は、内燃機関の過給器を補助する電動機の制御装置であって、前記電動機の制御を行なうためのパラメータであり、温度依存性が異なり、相互に相関関係を有する複数のパラメータのうち、該温度依存性の小さいパラメータを検出する検出手段と、前記検出された温度依存性の小さいパラメータに基づいて、前記相関関係を利用して、前記電動機および/または該電動機の回転子の温度を推定する温度推定手段と、前記推定された温度に基づいて、前記電動機を制御する制御手段とを備えたことを要旨としている。
【0030】
本発明の電動機の制御装置によれば、温度依存性の小さいパラメータを用いることで、電動機、回転子の温度推定を適切に行なうことができる。その結果、適切な推定温度に基づく電動機の制御を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.システムの全体構成:
B.温度推定:
C.第1の内燃機関の制御:
D.第2の内燃機関の制御:
E.第2の内燃機関の制御の変形例:
F.第3の内燃機関の制御:
G.変形例:
【0032】
A.システムの全体構成:
図1は、本発明の一実施例としての内燃機関の制御装置を含むシステムの概略構成を示す説明図である。図示するように、このシステム10は、主に、内燃機関20(以下、エンジン20と呼ぶ),エンジン20に圧縮空気を過給する過給器30(以下、ターボチャージャ30と呼ぶ),エンジン20に空気を供給する吸気配管40,エンジン20からの排気を排出する排気配管50,エンジン20全体を制御するエンジンECU90などから構成され、車両に搭載されている。
【0033】
エンジン20は、気筒内に燃料を直接噴射する直噴タイプのガソリンエンジンである。エンジン20は、吸気配管40を通過する空気を吸気弁21の開弁によって気筒内に吸入し、これをピストン23で圧縮してインジェクタ25から噴射される燃料との混合気を形成し、これを点火プラグ26の着火により燃焼させる。この燃焼行程により、ピストン23が気筒内を下降して、クランクシャフト27を回転させる。燃料行程後、エンジン20は、排気弁22の開弁によって気筒内の排ガスを排気配管50へ排出する。なお、排気配管50には触媒55が設けられており、触媒55の作用で浄化された排ガスが図示しないマフラなどを介して、外部に排出されている。
【0034】
このエンジン20は、インジェクタ25からの燃料噴射により点火プラグ26の近傍に濃混合気を形成して燃料させるため、少ない燃料量で運転できると共に、ターボチャージャ30により気筒内に多量の空気を吸入する。つまり、このエンジン20は、空燃比がリーン側で(いわゆる希薄燃料で)運転され、燃料消費量を抑えて運転される。なお、クランクシャフト27近傍にはクランク角センサ29が備えてあり、クランクシャフト角を検出している。この検出値は、エンジンECU90に出力される。
【0035】
クランクシャフト27の近傍には、オルタネータ70が配置されている。オルタネータ70は、クランクシャフト27と連結し、クランクシャフト27の動力により回転する。オルタネータ70は、低圧バッテリ72,DC/DCコンバータ73を介した高圧バッテリ75と電気的に接続しており、オルタネータ70で発電した電力の一部は低圧バッテリ72(12V)および高圧バッテリ75(36V)に充電されている。なお、DC/DCコンバータ73や高圧バッテリ75は、必ずしも必要ではない。例えば、モータ性能当により、他の発電機から直接給電するシステムや、低電圧(車両の既存の電源電圧)を利用するシステムを用いるものであっても良い。
【0036】
ターボチャージャ30は、吸気配管40と排気配管50との間に配置され、吸気配管40側のコンプレッサホイール31、排気配管50側のタービンホイール32、両ホイールを連結するタービンシャフト33などを備えている。このターボチャージャ30は、エンジン20から排出される排ガスのエネルギにより、タービンシャフト33を回転させることで圧縮空気をエンジン20に過給している。
【0037】
このタービンシャフト33と同軸上には、電動機60(以下、モータ60と呼ぶ)が配置されている。このモータ60は、タービンシャフト33と連結して、所定のタイミングでタービンシャフト33の回転を補助(アシスト)する。例えば、エンジン20回転が低速であるため排ガスのエネルギが小さく、十分な過給ができない場合には、排ガスのエネルギに加えて、モータ60の出力によりタービンシャフト33を回転させる。こうしたモータ60によるアシストを行なうことで、過給の指令から効果が現れるまでの経過時間であるターボラグを解消し、車両の低速トルクを向上することができる。
【0038】
なお、モータ60は、後述するモータECU100や駆動回路110と電気的に接続しており、エンジンECU90から車両の加速要求を受けたモータECU100が、所定の駆動信号を駆動回路110に出力することで、回転駆動する。つまり、モータ60は、加速要求を受けた場合に駆動し、それ以外の場合にはタービンシャフト33により空転している。
【0039】
エンジン20に接続される吸気配管40には、空気の流れの上流から順に、エアクリーナ41,ターボチャージャ60のコンプレッサホイール31,インタークーラ44,吸入する空気量を調整する電子スロットルバルブ45,サージタンク46などが配置されている。外部から取り込まれる空気は、エアクリーナ41で浄化され、コンプレッサホイール31により圧縮され、インタークーラ44により冷却されて、サージタンク46を経てエンジン20に供給される。
【0040】
インタークーラ44とエアクリーナ41との間には、吸気配管40のバイパス路43が設けられ、バイパス路43のインタークーラ44側にはエアバイパスバルブ49が備えられている。エアバイパスバルブ49は、開閉弁を備え、車両の減速時などに開弁し、コンプレッサホイール31により過給される空気のうち、過剰分をバイパス路43へ逃がしている。なお、図示は省略するが、排気配管50側にも、タービンホイール32を迂回するバイパス路が設けられており、バイパス路の入口近傍に設けたウェイストゲートバルブにより、タービンホイール32側へ流れる排ガスの量を調整している。
【0041】
エアフロメータ42は、エアクリーナ41の下流に設けられ、吸入空気量Qを検出する。また、圧力センサ47および温度センサ48は、サージタンク46に設けられ、吸気配管40の吸気圧力P(ターボチャージャ30による過給圧)、吸気温度Tを、それぞれ検出している。こうして検出された吸入空気量Q,吸気圧力P,吸気温度Tや、上述のクランク角、さらにはアクセルポジションセンサ80からのアクセル開度などは、エンジンECU90に出力される。
【0042】
エンジンECU90は、こうした検出値からエンジン20の運転状態を把握し、各種アクチュエータを制御する。例えば、インジェクタ25に燃料噴射の指令を出力し、電子スロットルバルブ45にスロットル開度を調整する指令を出力し、エアバイパスバルブ49に開度調整の指令を出力し、モータECU100に車両の加速要求を出力している。
【0043】
こうしたシステム10に使用されるモータ60は、回転子に永久磁石を備えたブラシレスDCモータである。つまり、この回転子を覆う固定子側に巻線(コイル)を有し、固定子側に回転磁界を形成することで、所定の回転トルクを発生する。このモータ60は、駆動回路110と電気的に接続されており、駆動回路110を介した三相交流により駆動する。駆動回路110は、高圧バッテリ75と電気的に接続されており、高圧バッテリ75からの直流電力の供給を受け、これを交流電力に変換する。すなわち、駆動回路110は、インバータ回路である。
【0044】
図2は、モータ60の駆動回路110を中心とするモータ60の回路構成を示す説明図である。図示するように、モータ60の固定子はU相,V相,W相の3つのコイルを備えており、駆動回路110は、U,V,Wの各相に対応するスイッチング素子(S1,S2)、(S3,S4)、(S5,S6)と、各スイッチング素子に対応した還流ダイオードDとから構成されている。つまり、モータ60の各相コイルは、2つのスイッチング素子と2つの還流ダイオードDを一組とする回路により制御される。各組の回路の両端には高圧バッテリ75の電源電圧が印加されている。
【0045】
こうした構成の駆動回路110に電気的に接続するモータECU100は、所定のタイミングで各スイッチング素子をON,OFFさせて、モータ60全体を制御する。
【0046】
具体的には、モータECU100は、各スイッチング素子のON,OFF操作を制御することで、モータ60のU,V,Wの各相コイルへの電流とその方向を順番に切替える。こうして固定子に流す電流を制御することで、固定子に回転磁界を発生させている。なお、本実施例では、各相に流す電流を120度の区間で区切る120通電方式により電流の制御が行なわれている。
【0047】
モータ60には、U相,V相,W相のそれぞれに対応する3つの磁極センサ65が設けられている。この磁極センサ65は、ホール素子を利用して回転子の位置を検出するホールセンサである。この磁極センサ65は、回転子が所定位置まで回転して、永久磁石の磁束が閾値を超えると所定電圧(ホール電圧)を発生させる。
【0048】
モータECU100は、磁極センサ65からの出力を受けて、回転子の位置を検出し、適切なタイミングで各相コイルに通電を行なう。なお、本実施例では、モータECU100は、磁極センサ65の出力からモータ60の回転数を算出しているが、磁極センサ65の出力によらず誘起電圧を利用して回転数を算出するものであっても良い。
【0049】
また、モータ60と駆動回路110との間には、電圧センサ68が備えてあり、モータ60の電圧を検出する。検出された電圧は、モータECU100に出力される。本実施例のモータ60は、上記の通りターボチャージャ30のアシスト用であり、タービンシャフト33と連結されているため、モータ60への通電を行なわない状態であっても、モータ60は所定の回転数で空転している。つまり、モータ60は、外力としての排ガスのエネルギによって発電機として作用し、その際、各相コイルには誘起電圧が発生する。モータECU100は、空転時の電圧センサ68の出力値から、モータ60が発生する誘起電圧を検出している。
【0050】
本実施例のモータECU100は、モータ60空転時に検出した誘起電圧と、モータ60回転数とから、現状のモータ60の回転子の温度(つまり、永久磁石の温度)を推定し、推定した温度から、モータ60でタービンシャフト33の回転をアシストできる時間(連続駆動の可能な時間)を算出し、この時間内でモータ60を駆動する制御を行なう。そして、モータECU100は、エンジンECU90と協働して、モータ60の運転を制御しつつ、内燃機関全体を制御する。つまり、モータECU100,駆動回路110,エンジンECU90,各種センサおよび各種アクチュエータによって、本発明の内燃機関の制御装置が形成される。以下、内燃機関の制御装置における具体的な制御の説明に先立って、まず、温度推定の手法について説明する。
【0051】
B.温度推定:
図3は、内燃機関の制御装置を含むシステム10を備えた車両におけるターボチャージャ30の作動パターンの一例である。図中、横軸は、車両の運転時間を、縦軸はターボチャージャ30の回転数(ここではターボ回転数と呼ぶ)を、それぞれ示している。上述のように、本実施例のターボチャージャ30のアシスト用モータ60は、常時、通電されているのではなく、加速要求があった場合にのみ、通電される。つまり、図3に示すように、ターボ回転数が急激に上昇しているタイミング(図中の破線領域)で、加速要求があり、モータ60に通電が行なわれている。なお、加速要求は、エンジンECU90にて、アクセル開度に基づいて判断されている。本実施例では、こうした加速要求が来る前の誘起電圧と回転数とを用いて、永久磁石の温度を推定する。
【0052】
図4は、誘起電圧と回転数との関係を示す説明図である。図中の縦軸は誘起電圧を、横軸は回転数を、それぞれ示している。図示するように、電動機の発電作用として、誘起電圧は回転数に比例する。この比例関係を示す比例定数(発電定数や逆起電力定数と呼ばれる)は、電動機固有の定数であるが、永久磁石の磁束密度に関連して定まるため、永久磁石の温度によって変化する。すなわち、温度の増大と共に、比例定数の傾きは小さくなる。本実施例では、この比例定数を磁石温度係数と呼ぶ。
【0053】
本実施例では、モータ60に対して、誘起電圧と回転数と、磁石温度係数との関係を予め実験等で求めてマップとして備え、検出した誘起電圧と回転数とから永久磁石の温度を推定する。つまり、モータ60を制御するためのパラメータであって、温度依存性の異なるパラメータである誘起電圧,回転数,比例定数うち、温度依存性の小さい誘起電圧と回転数とを検出し、温度依存性の高い磁束密度を介して温度を推定する。こうすることで適切な温度の推定を行なうことができる。以下に、こうした温度推定を用いた内燃機関の制御について説明する。
【0054】
C.第1の内燃機関の制御:
図5は、第1の内燃機関の制御としての処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、エンジン20の始動と共に実行される処理であり、モータ60を制御するモータECU100と、エンジン20全体を制御するエンジンECU90との協働により実行される。
【0055】
処理を開始すると、モータECU100は、モータ60の誘起電圧と回転数とを検出する(ステップS500)。具体的には、電圧センサ68および磁極センサ65の出力値に基づいて誘起電圧および回転数を検出している。なお、このステップでは、排ガスのエネルギによる外力を受けてモータ60が回転している状態(モータ60への非通電の状態)であるため、電圧センサ68により誘起電圧を直接測定することができる。
【0056】
続いて、モータECU100は、エンジンECU90からの加速要求の有無を判断する(ステップS510)。エンジンECU90は、アクセルポジションセンサ80によるアクセル開度の検出値を受けて、加速要求を判断する。具体的には、アクセル開度が所定の閾値を超える場合に、車両の加速要求があると判断している。こうして加速要求を判断したエンジンECU90は、モータECU100に加速要求の信号(つまり、モータ60の駆動指令)を出力する。なお、アクセル開度の変化量(微分値)が所定の閾値を超えた場合に、車両の加速要求が有ると判断するものとしても良い。また、以降のステップでは常時、加速要求の有無をモニターしている。
【0057】
ステップS510で、エンジンECU90からの加速要求が無い(No)と判断した場合には、ステップS500に戻り、誘起電圧、回転数の検出を継続する。
【0058】
他方、ステップS510で、エンジンECU90からの加速要求が有る(Yes)と判断した場合には、モータ60内、回転子の永久磁石の温度を推定(演算)する(ステップS520)。永久磁石の温度は、検出した誘起電圧と回転数とから、図4のマップを参照して推定される。なお、こうしたマップは、モータECU100内に予め記憶されている。
【0059】
モータECU100は、推定された現状の永久磁石の温度から、モータ60に通電してターボチャージャ30の回転をアシストできる期間である最大通電時間tmaxを演算する(ステップS530)。具体的には、推定された温度を初期温度とし、モータ60の性能上許容できる永久磁石の温度上昇分を算出し、温度上昇分から回転子(永久磁石)に加わるエネルギの許容分を把握する。そして、許容できるエネルギから、モータ60の最大出力により運転できる時間tmaxを算出する。なお、ここでは、加速要求と共に、モータ60は、最大出力で運転されるものとする。
【0060】
こうして許容できる通電時間tmaxを算出後、モータECU100は、モータ60への通電を開始する(ステップS540)。通電と共に、経過時間tのカウントを開始する(ステップS550)。
【0061】
続いて、モータECU100は、経過時間tが最大通電時間tmax以上であるか否か、または、加速要求が無くなったか否かを判断する(ステップS560)。このステップでは、最大通電時間の経過を判断すると共に、最大通電時間の経過前でも、例えばアクセルペダルが戻されて加速の必要が無くなっていないか否かの判断を行なっている。
【0062】
ステップS560で、経過時間tが最大通電時間tmax以上ではないと判断し、加速要求もある(No)と判断した場合には、ステップS550に戻り、経過時間tのカウントを継続する。
【0063】
他方、ステップS560で、経過時間tが最大通電時間tmax以上であると判断し、または、加速要求が無くなった(Yes)と判断した場合には、モータ60への通電を終了し(ステップS570)、NEXTに抜けて、一連の第1の内燃機関の制御処理を繰り返す。つまり、最大通電時間を経過した場合や、アクセルペダルが戻されて加速の必要が無くなった場合に、通電を終了する。
【0064】
以上の第1の内燃機関の制御処理によれば、誘起電圧、回転数を検出し、これらを用いて永久磁石の温度を推定する。温度依存性の小さいパラメータである誘起電圧、回転数を用いるため、適切な温度推定を行なうことができる。その結果、適切な推定温度に基づいてモータ60(内燃機関)を運転することができ、高精度の制御を行なうことができる。
【0065】
過給器のアシスト用のモータ60は、排ガスの影響を受け、高速回転で運転されるため、熱的に厳しい環境下で使用される。こうした厳しい環境下で使用されるモータ60に対し、現状の永久磁石の温度を適切に推定することで、許容温度以下での運転を実行することができる。つまり、熱的な過負荷をかけることなく、モータ60を運転でき、モータ60を過給器のアシスト用に備えた内燃機関全体のシステムの信頼性を向上することができる。
【0066】
また、第1の内燃機関の制御処理によれば、誘起電圧,回転数の検出を、モータ60に通電しないタイミング(排ガスによる空転時)に実行する。したがって、通電などの影響を受けずに、容易に誘導電圧を検出することができる。さらには、誘起電圧と回転数と磁石温度係数との関係を予めマップとして備えているため、マップを用いて容易に温度を推定することができる。
【0067】
なお、上記の内燃機関の制御では、モータ60駆動によるアシストの必要性をアクセル開度により判断し、アシストが必要な場合にまずモータ60(永久磁石)の温度を推定し、これに基づいて通電可能な時間を求め、モータ60を駆動するものとしたが、実際には、更に種々の要素を考慮してモータ60を駆動している。例えば、エンジンECU90の加速要求の判断は、アクセル開度に加えて、種々のセンサから判断したエンジン20回転数や負荷を考慮して、アシストの必要性を判断している。さらに、最大通電時間tmaxの算出における回転子(永久磁石)に加わるエネルギの許容分は、温度上昇分に加えて、モータ60の回転数を考慮して算出している。
【0068】
また、上記の制御処理では、モータECU100とエンジンECU90との協働により内燃機関の制御を行なうものとして説明したが、モータECU100単独で制御を行なうものとしても良い。この場合、アクセル開度の信号をモータECU100に入力して加速要求を判断するものとする。こうすることで、上記の制御処理は、過給器を補助する電動機の制御処理であると捉えることができ、モータECU100,駆動回路110,各種センサは、電動機の制御装置を構成することとなる。
【0069】
D.第2の内燃機関の制御:
図6は、第2の内燃機関の制御としての処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、第1の内燃機関の制御を実行するハード構成と同様のハード構成、すなわち、モータECU100とエンジンECU90との協働により実行される処理であり、モータ60の永久磁石の温度推定までは同様の処理により実行される。したがって、第1の内燃機関の制御と同一の処理については、図4と同一のステップ番号を付し、簡単に説明するものとする。
【0070】
処理を開始すると、モータECU100は、モータ60の誘起電圧と回転数とを検出し(ステップS500)、エンジンECU90からの加速要求の有無を判断する(ステップS510)。ステップS510で、エンジンECU90からの加速要求が無い(No)と判断した場合には、ステップS500に戻り、誘起電圧、回転数の検出を継続する。
【0071】
他方、ステップS510で、エンジンECU90からの加速要求が有る(Yes)と判断した場合には、回転子の永久磁石の温度を推定(演算)する(ステップS520)。モータECU100は、推定された現状の永久磁石の温度から、モータ60に通電してターボチャージャ30の回転をアシストできる最大通電時間tmaxを演算すると共に(ステップS530)、モータ60への通電を開始し(ステップS540)、経過時間tのカウントを開始する(ステップS550)。
【0072】
続いて、モータECU100は、経過時間tが最大通電時間tmax以上であるか否か、または、加速要求が無くなったか否かを判断する(ステップS560)。ステップS560で、経過時間tが最大通電時間tmax以上ではないと判断し、加速要求もある(No)と判断した場合には、ステップS550に戻り、経過時間tのカウントを継続する。
【0073】
他方、ステップS560で、経過時間tが最大通電時間tmax以上であると判断し、または、加速要求が無くなった(Yes)と判断した場合には、モータ60への通電を終了する(ステップS570)。モータ60への通電を終了したモータECU100は、モータ60駆動によるターボチャージャ30のアシストの終了をエンジンECU90に出力する。
【0074】
アシスト終了の信号を受けたエンジンECU90は、引き続き加速要求が有るか否かを判断する(ステップS680)。具体的には、最大通電時間tmaxの経過によるモータ60アシストの終了のタイミングで、引き続きアクセル開度が所定の閾値を超えている場合に、引き続きの加速要求があると判断している。
【0075】
ステップS680で、引き続きの加速要求はない(No)と判断した場合には、NEXTに抜けて、一連の処理を終了する。つまり、引き続きのアクセルペダルの踏み込み操作(車両の加速要求)がないと判断した場合には、モータ60駆動によるアシストで車両の加速要求は満たされたと考えられるため、一連の処理を終了する。
【0076】
他方、ステップS680で、引き続きの加速要求が有る(Yes)と判断した場合には、所定の期間、現状設定されているエンジンの空燃比を調整して出力を向上する空燃制御を実行し(ステップS690)、一連の処理を終了する。具体的には、予め設定された空燃比のマップに基づいて、希薄燃料で運転されているエンジン20の空燃比を、リーン側からリッチ側に変更する制御を実行する。この空燃制御により、電子スロットルバルブ45やインジェクタ25などが制御される。こうして所定期間、空燃処理を行なった後、一連の処理を終了している。
【0077】
図7は、第2の内燃機関の制御を実行した場合のモータ駆動のタイミングチャートの一例である。図示するように、時間経過と共に3つの加速要求信号があったとする。モータ60は、各加速要求信号の立上りのタイミングで通電される。この通電の直前の推定温度(T1〜T3)により、最大通電時間(tmax1〜tmax3)が設定される。なお、モータ60(回転子)の温度は、時間経過と共に徐々に上昇しているものとする。
【0078】
第1の加速要求信号の場合、温度T1から求めた最大通電時間tmax1が、加速要求信号の時間よりも長いため、加速要求信号の立下りのタイミングと共に、モータ60への通電は終了する。他方、第2,第3の加速要求信号の場合には、温度T2,T3から求めた最大通電時間tmax2,tmax3が、加速要求信号の時間よりも短いため、最大通電時間tmax2,tmax3に至ると共に、モータ60への通電は終了する。この場合、エンジン20側の空燃比(A/F)をリッチ側に制御して、残りの加速要求に対応している。
【0079】
以上の第2の内燃機関の制御処理によれば、第1の制御処理と同様、適切な推定温度によりモータ60を運転することができると共に、引き続きの加速要求に対応する。通常、燃費を考慮してリーン側の空燃比で運転されているエンジンは、リッチ側に空燃比を制御することで、エンジン出力を向上することができる。モータによるアシストが困難となる状況でも、引き続きの加速要求に対応することができ、車両性能を向上することができる。
【0080】
また、モータ運転によるアシスト後に、引き続きの加速要求があった場合でも、モータの運転は中止し、エンジン側の制御で対応する。したがって、許容温度範囲で適切にモータを使用することができる。その結果、信頼性の高い内燃機関の制御装置を構築することができる。
【0081】
E.第2の内燃機関の制御の変形例:
図8は、第2の内燃機関の制御の変形例としての処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、第2の内燃機関の制御処理とほぼ同様であり、モータを60によるアシスト終了後、引き続きの加速要求に対応してエンジン制御を実行するが、エンジン制御の内容が異なる。したがって、第2の内燃機関の制御と同一の処理については、図6と同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0082】
この処理では、第1,第2の内燃機関の制御と同様、検出した誘起電圧と回転数とから、永久磁石の温度を推定し、推定温度を基準にモータ60への通電時間を求め、この時間内でモータ60を運転する。モータ60への通電終了後、引き続きの加速要求の有無を判断し(ステップS680)、ステップS680で、引き続きの加速要求はない(No)と判断した場合には、NEXTに抜けて、一連の処理を終了する。
【0083】
他方、ステップS680で、引き続きの加速要求が有る(Yes)と判断した場合には、エンジンECU90は、電子スロットルバルブ45のスロットル開度に余裕が有るか否かを判断する(ステップS785)。エンジンECU90は、各種センサにより把握されるエンジン回転数やエンジン負荷に基づいて、スロットル開度を設定している。エンジンECU90は、設定した現状のスロットル開度について最大スロットル開度との差(つまり、余裕分が有るか否か)を求める。
【0084】
ステップS785で、スロットル開度に余裕がない(No)、つまり、スロットル開度が最大であると判断した場合には、NEXTに抜けて、一連の処理を終了する。
【0085】
他方、ステップS785で、スロットル開度に余裕がある(Yes)と判断した場合には、スロットル開度を増大する指令を出力して、エンジン20を所定期間運転し、NEXTに抜けて、一連の処理を終了する。なお、本実施例では、スロットル開度を全開とする指令を出力している。
【0086】
以上の制御処理によれば、第2の制御処理と同様、適切にモータ60を運転することができると共に、引き続きの加速要求に対応する。通常、スロットル開度を増大する制御を行なうことで、エンジン出力を向上することができる。モータによるアシストが困難となる状況でも、引き続き加速要求に対応することができ、車両性能を向上することができる。
【0087】
F.第3の内燃機関の制御:
図9は、第3の内燃機関の制御としての処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、温度推定を用いてモータ60の通電タイミングを補正する処理であり、エンジン20の始動と共に、モータECU100とエンジンECU90との協働により実行される。
【0088】
処理を開始すると、モータECU100は、モータ60の誘起電圧と回転数とを検出し(ステップS800)、エンジンECU90からの加速要求の有無を判断する(ステップS810)。ステップS810で、エンジンECU90からの加速要求が無い(No)と判断した場合には、ステップS800に戻り、誘起電圧、回転数の検出を継続する。
【0089】
他方、ステップS810で、エンジンECU90からの加速要求が有る(Yes)と判断した場合には、回転子の永久磁石の温度を推定(演算)する(ステップS820)。永久磁石の温度は、検出した誘起電圧と回転数と、図4のマップとを用いて推定される。ここまでの処理は、第1,第2の内燃機関の制御における温度推定と同様である。
【0090】
続いて、モータECU100は、推定した永久磁石の温度に基づいて、通電タイミングの補正量を算出する(ステップS830)。本実施例では、温度の影響を受けて変化する磁束密度と、通電タイミングの基準となる磁極センサ65の出力との関係を予め設定しておき、磁極センサ65の出力タイミングの基準タイミングからのずれ量を、補正量として算出する。
【0091】
図10は、温度の影響を受けて変化する磁束密度と、磁極センサ65の出力との関係を示す説明図である。図10の上段には、温度により変化する永久磁石の磁束密度の様子を、下段には、磁極センサ65(ホールセンサ)の出力タイミングの様子を、それぞれ示している。
【0092】
図示するように、温度依存性の大きい永久磁石の磁束密度の時間変化は、永久磁石の温度が高いほど、小さな振幅の波形となる。ここで、図示する高温時の波形を基準とし、その最大振幅を磁束密度B0すると、中温時の最大振幅である磁束密度B1は磁束密度B0よりも大きく、更に、低温時の最大振幅である磁束密度B2は磁束密度B1よりも大きくなる。
【0093】
こうした温度に依存する磁束密度の変化に対し、磁極センサ65であるホールセンサは所定の磁束密度の値でホール電圧を出力する。つまり、センサが反応するためのスレッシュレベルを固有値として備えている。すなわち、ホールセンサは、スレッシュレベルの磁束密度に至るタイミングで出力する。したがって、高温時の波形におけるホールセンサの出力タイミングを基準とすると、中温時にはそれよりも時間t1だけ進角し、低温時にはそれよりも時間t2だけ進角した出力タイミングとなる。
【0094】
本実施例では、こうした永久磁石の温度変化によるホールセンサの出力タイミングのずれ量(時間t1,t2)を予め設定しておき、これを参照することで、推定された永久磁石の温度から、ずれ量(補正量)を算出している。
【0095】
図9に戻り、補正量を算出後、モータECU100は、磁極センサ65による永久磁石の磁極の位置を検出すると共に、磁極センサ65の出力タイミングを算出した補正量により補正する(ステップS850)。例えば、図10の中温時に示したように、ずれ量が時間t1であれば、検出した磁極センサ65の出力タイミングを時間t1だけ遅角して補正する。
【0096】
モータECU100は、補正後(遅角後)のタイミングで、モータ60への通電処理を実行し(ステップS870)、一連の処理を終了する。具体的には、通電タイミングの補正と共に、図5の第1の内燃機関の制御で説明したアシスト可能な最大通電時間tmaxを求め、最大通電時間tmaxに至るまで、補正後のタイミングでモータ60を運転している。
【0097】
図11は、本実施例における通電タイミングの補正を実行した場合の電圧の変化の一例を示している。図11は、U相への通電タイミングの様子を示している。補正を行なわない場合には、破線で示すように、通電タイミングは温度の低下に伴って進角側へずれるが、補正を実行(遅角)することで、本来想定した適切な通電タイミングにおいて通電を実行し、モータ60の運転を制御することができる。
【0098】
以上の第3の内燃機関の制御によれば、温度変化によらず適切なタイミングで通電を行なうことができ、通電タイミングが想定からずれることによるモータ効率の低下を抑制することができる。
【0099】
G.変形例:
本実施例では、永久磁石の温度を推定し、これを認識してモータ制御を行なうものとしたが、必ずしも永久磁石の温度を認識する必要はない。換言すると、永久磁石の温度推定は間接的なものであっても良い。例えば、図4に示した誘起電圧と回転数との関係において、検出した誘起電圧と回転数とで図中にプロットされる点が、所定の領域に入る場合に、連続通電可能な期間(時間)を設定しておけば良い。こうすることで、直接的に温度推定を実行しなくても、適切なモータ制御(内燃機関の制御)を実行することができる。
【0100】
また、本実施例では、アシスト可能な最大通電時間tmaxの算出に際し、モータ60の最大出力を基準としたが、必ずしも最大出力を基準とする必要はない。例えば、アクセル開度に対応してモータ出力を可変とする制御を行なう場合には、現状のアクセル開度から定まるモータ出力を基準とし、その出力値で通電可能な時間(最大通電時間tmax)を算出すれば良い。アシストするモータ出力が最大出力よりも小さくて済むような場合には、最大通電時間を長く取ることができる。
【0101】
本実施例では、永久磁石の温度を推定し、永久磁石(回転子側)の許容温度に基づいてモータ60を制御するものとしたが、許容温度は、固定子側も含めたモータ全体の温度を基準として設定するものとしても良い。この場合、サーミスタなど直接的に温度を検出するセンサを固定子側に設け、本実施例により推定した回転子側の温度とセンサの検出値とを考慮して、モータ全体の温度を認識すれば良い。こうすることで、より一層、モータに関する温度推定の制度を向上し、適切な制御を行なうことができる。
【0102】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。本実施例では、過給器として、排ガスのエネルギによって回転するタービンホイール32を備えたターボチャージャ30を例としたが、過給器は、タービンホイールを備えない電動コンプレッサであっても良い。この場合でも、エンジン20の吸気のエネルギを外力として、コンプレッサホイール31が回転するため、同様の制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の内燃機関の制御装置を含むシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】モータ駆動回路を中心とするモータの回路構成を示す説明図である。
【図3】車両におけるターボチャージャの作動パターンの一例である。
【図4】誘起電圧と回転数との関係を示す説明図である。
【図5】第1の内燃機関の制御としての処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の内燃機関の制御としての処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第2の内燃機関の制御のモータ駆動のタイミングチャートの一例である。
【図8】第2の内燃機関の制御の変形例としての処理のフローチャートである。
【図9】第3の内燃機関の制御としての処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】磁束密度と磁極センサの出力との関係を示す説明図である。
【図11】通電タイミングの補正を実行した場合の電圧の変化の一例を示している。
【符号の説明】
【0104】
10…システム
20…エンジン
21…吸気弁
22…排気弁
23…ピストン
25…インジェクタ
26…点火プラグ
27…クランクシャフト
29…クランク角センサ
30…ターボチャージャ
31…コンプレッサホイール
32…タービンホイール
33…タービンシャフト
40…吸気配管
41…エアクリーナ
42…エアフロメータ
43…バイパス路
44…インタークーラ
45…電子スロットルバルブ
46…サージタンク
47…圧力センサ
48…温度センサ
49…エアバイパスバルブ
50…排気配管
55…触媒
60…モータ
65…磁極センサ
68…電圧センサ
70…オルタネータ
72…低圧バッテリ
73…DC/DCコンバータ
75…高圧バッテリ
80…アクセルポジションセンサ
90…エンジンECU
100…モータECU
110…駆動回路




 

 


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