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発明の名称 交流電圧出力装置およびそれを備えたハイブリッド自動車
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−97285(P2007−97285A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−281663(P2005−281663)
出願日 平成17年9月28日(2005.9.28)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 及部 七郎斎 / 中村 誠 / 石川 哲浩 / 富樫 重則
要約 課題
中性点間に交流電圧を生成するための2つのインバータの電圧負担を変更することができる交流電圧出力装置を提供する。

解決手段
乗算部140から出力される商用交流電圧の参照値VacrをFB制御部142により補償した交流電圧指令は、乗算部144によりk(0≦k≦1)倍されて第1のインバータ制御部62へ出力され、残余分が第2のインバータ制御部63へ出力される。第1および第2のインバータ制御部62,63は、各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいてそれぞれ信号PWM1,PWM2を生成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、
星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、
前記第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、
前記第1および第2のインバータを制御するインバータ制御手段と、
前記第1の多相巻線の第1の中性点と前記第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成する交流電圧指令生成手段とを備え、
前記交流電圧指令生成手段は、前記交流電圧を発生するために前記第1および第2のインバータが負担する電圧の割合を示す電圧負担率に基づいて前記交流電圧指令を第1および第2の交流電圧指令に分配する分配手段を含み、
前記インバータ制御手段は、前記第1の多相交流電動機の各相電圧指令に前記第1の交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて前記第1のインバータを制御し、前記第2の多相交流電動機の各相電圧指令に前記第2の交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて前記第2のインバータを制御する、交流電圧出力装置。
【請求項2】
前記電圧負担率は、前記第1および第2の多相交流電動機の駆動負荷に応じて設定される、請求項1に記載の交流電圧出力装置。
【請求項3】
前記第1および第2の中性点間の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
前記交流電圧指令生成手段は、前記交流電圧の目標を示す参照電圧と前記電圧検出手段によって検出された電圧との偏差に基づいて補償量を算出し、その算出した補償量を用いて前記参照電圧を補償して前記交流電圧指令を生成するフィードバック演算部をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の交流電圧出力装置。
【請求項4】
星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、
星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、
前記第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、
前記第1および第2のインバータをそれぞれ制御する第1および第2のインバータ制御手段と、
前記第1の多相巻線の第1の中性点と前記第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成する交流電圧指令生成手段と、
前記第1および第2の中性点間の電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記交流電圧指令生成手段は、前記電圧検出手段によって検出された電圧の大きさの平均値とその平均値の目標を示す参照値との偏差に基づいて第1の補償量を算出し、その算出した第1の補償量を用いて前記参照値を補償した値に基づいて前記交流電圧指令を生成する第1のフィードバック演算部を含み、
前記第1のインバータ制御手段は、前記第1の多相交流電動機の各相電圧指令に基づいて前記第1のインバータを制御し、
前記第2のインバータ制御手段は、前記第2の多相交流電動機の各相電圧指令に前記交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて前記第2のインバータを制御する、交流電圧出力装置。
【請求項5】
前記交流電圧指令生成手段は、前記交流電圧の目標を示す参照電圧と前記電圧検出手段によって検出された電圧との偏差に基づいて第2の補償量を算出する第2のフィードバック演算部をさらに含み、
前記第1のインバータ制御手段は、前記第1の多相交流電動機の各相電圧指令に前記第2の補償量を重畳した電圧指令に基づいて前記第1のインバータを制御する、請求項4に記載の交流電圧出力装置。
【請求項6】
前記第1のインバータ制御手段および前記第2のフィードバック演算部は、第1の処理装置に実装され、
前記第2のインバータ制御手段および前記第1のフィードバック演算部は、第2の処理装置に実装される、請求項5に記載の交流電圧出力装置。
【請求項7】
星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、
星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、
前記第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、
前記第1および第2のインバータを制御するインバータ制御手段と、
前記第1の多相巻線の第1の中性点と前記第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成する交流電圧指令生成手段と、
前記第1および第2の中性点間の電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記交流電圧指令生成手段は、前記交流電圧の1周期前における、前記交流電圧の目標を示す参照電圧と前記電圧検出手段によって検出された電圧との偏差に基づいて、前記交流電圧の位相ごとに逐次第1の補償量を算出する繰返し制御部を含み、
前記インバータ制御手段は、前記第1または第2の多相交流電動機の各相電圧指令に前記交流電圧指令および前記第1の補償量を重畳した電圧指令に基づいて前記第1および第2のインバータを制御する、交流電圧出力装置。
【請求項8】
前記交流電圧の供給を受ける負荷に流される電流を検出する電流検出手段をさらに備え、
前記交流電圧指令生成手段は、前記電流検出手段によって検出された電流に基づいて第2の補償量を算出する負荷電流補償部をさらに含み、
前記インバータ制御手段は、前記第1または第2の多相交流電動機の各相電圧指令に前記交流電圧指令ならびに前記第1および第2の補償量を重畳した電圧指令に基づいて前記第1および第2のインバータを制御する、請求項7に記載の交流電圧出力装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の交流電圧出力装置と、
前記第1の多相交流電動機の回転軸にクランク軸が機械的に結合され、前記第1の多相交流電動機に回転力を付与可能な内燃機関と、
前記第2の多相交流電動機の回転軸に連結され、前記第2の多相交流電動機から駆動力を受ける駆動輪とを備えるハイブリッド自動車。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電圧出力装置およびそれを備えたハイブリッド自動車に関し、特に、商用電源としての交流電圧を発生して負荷装置へ出力可能な交流電圧出力装置およびそれを備えたハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)の有効利用を目的に、ハイブリッド自動車を電源設備として利用する試みがなされている。このようなハイブリッド自動車として、ハイブリッド自動車内で生成される直流電圧を商用交流電圧に変換する専用のインバータを備えたハイブリッド自動車が公知である。
【0003】
また、特許第2695083号公報(特許文献1)は、専用のインバータを備えることなく交流電圧を生成して外部装置へ供給可能な電動機駆動および動力処理装置を開示する。この電動機駆動および動力処理装置は、二次電池と、インバータIA,IBと、3相交流モータMA,MBと、制御ユニットとを備える。3相交流モータMA,MBは、Y結線された3相巻線CA,CBをそれぞれ含み、3相巻線CAの中性点NAおよび3相巻線CBの中性点NBには、EMIフィルターを介して入力/出力ポートが接続される。
【0004】
インバータIA,IBは、それぞれ3相交流モータMA,MBに対応して設けられ、それぞれ3相巻線CA,CBに接続される。そして、インバータIA,IBは、二次電池に並列に接続される。
【0005】
この電動機駆動および動力処理装置においては、インバータIA,IBは、中性点NA,NB間に正弦波の調整された交流電力を発生し、その発生した交流電力を入力/出力ポートに接続された外部装置へ出力することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2695083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許第2695083号公報に開示される電動機駆動および動力処理装置は、3相交流モータMA,MBを駆動しつつ中性点NA,NB間に交流電圧を発生することはできない。ここで、インバータでモータを駆動しつつ中性点間に交流電圧を生成する場合、インバータ入力電圧はモータ駆動分と交流電圧生成分とに用いられるので、モータを駆動しているインバータにおいてモータ駆動分および交流電圧生成分のいずれかまたは双方の電圧を確保できない事態が発生し得る。一方、交流電圧の生成については、2つのインバータで電圧負担を分担することができるので、モータ負荷に応じて2つのインバータの電圧負担を変更できることが望ましい。
【0007】
また、上記の特許第2695083号公報では、中性点NA,NB間に所望の交流電圧を発生する際の具体的なフィードバック制御方法については開示されていない。高信頼性が要求されるハイブリッド自動車においては、特に安定性の高いフィードバック制御が望まれる。また、各インバータにおける電圧の余裕度や処理装置の演算負荷などを考慮したうえで適切なフィードバック制御手法を選択することが望ましい。
【0008】
さらに、インバータのスイッチング制御においては、上アームおよび下アームが同時にオンされるのを防止するためのデッドタイムが一般に設けられているが、このデッドタイムの影響により、中性点間に生成される交流電圧の波形に歪みが発生する。特に、ハイブリッド自動車に用いられるような大電力のインバータでは、デッドタイムを長めに設定することが多く、中性点間に生成される交流電圧の波形の歪みはさらに顕著になる。上記の特許第2695083号公報では、このようなインバータのデッドタイムの影響による交流電圧の波形の歪みについては、何ら検討されていない。
【0009】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、中性点間に交流電圧を生成するための2つのインバータの電圧負担を変更することができる交流電圧出力装置を提供することである。
【0010】
また、この発明の別の目的は、安定性の高い交流電圧出力装置を提供することである。
また、この発明の別の目的は、各インバータにおける電圧の余裕度や処理装置の演算負荷などを考慮した適切なフィードバック制御を用いた交流電圧出力装置を提供することである。
【0011】
また、この発明の別の目的は、インバータのデットタイムの影響による交流電圧の波形の歪みを抑制することができる交流電圧出力装置を提供することである。
【0012】
また、この発明の別の目的は、中性点間に交流電圧を生成するための2つのインバータの電圧負担を変更することができる交流電圧出力装置を備えたハイブリッド自動車を提供することである。
【0013】
また、この発明の別の目的は、安定性の高い交流電圧出力装置を備えたハイブリッド自動車を提供することである。
【0014】
また、この発明の別の目的は、適切なフィードバック制御を用いた交流電圧出力装置を備えたハイブリッド自動車を提供することである。
【0015】
また、この発明の別の目的は、インバータのデットタイムの影響による交流電圧の波形の歪みを抑制することができる交流電圧出力装置を備えたハイブリッド自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明によれば、交流電圧出力装置は、星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、第1および第2のインバータを制御するインバータ制御手段と、第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成する交流電圧指令生成手段とを備える。交流電圧指令生成手段は、交流電圧を発生するために第1および第2のインバータが負担する電圧の割合を示す電圧負担率に基づいて交流電圧指令を第1および第2の交流電圧指令に分配する分配手段を含む。インバータ制御手段は、第1の多相交流電動機の各相電圧指令に第1の交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて第1のインバータを制御し、第2の多相交流電動機の各相電圧指令に第2の交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて第2のインバータを制御する。
【0017】
この発明による交流電圧出力装置においては、第1および第2のインバータは、第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧(たとえば商用交流電圧)を発生させる。交流電圧を発生するための交流電圧指令は、分配手段により所定の電圧負担率に基づいて第1および第2のインバータに分配され、第1および第2のインバータは、その電圧負担率に基づいて交流電圧生成分の電圧を負担する。
【0018】
したがって、この発明による交流電圧出力装置によれば、分配手段における電圧負担率を変更することにより、第1および第2の中性点間に交流電圧を生成するための第1および第2のインバータの電圧負担を変更することができる。
【0019】
好ましくは、電圧負担率は、第1および第2の多相交流電動機の駆動負荷に応じて設定される。
【0020】
この交流電圧出力装置においては、第1および第2の多相交流電動機の駆動負荷に応じた電圧負担率で第1および第2のインバータが交流電圧生成分の電圧を負担する。したがって、この交流電圧出力装置によれば、第1および第2のインバータのいずれかに電圧負担が集中するのを回避することができる。
【0021】
好ましくは、交流電圧出力装置は、第1および第2の中性点間の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備える。交流電圧指令生成手段は、交流電圧の目標を示す参照電圧と電圧検出手段によって検出された電圧との偏差に基づいて補償量を算出し、かつ、その算出した補償量を用いて参照電圧を補償して交流電圧指令を生成するフィードバック演算部をさらに含む。
【0022】
この交流電圧出力装置においては、電圧検出手段によって検出された第1および第2の中性点間の電圧を用いて、第1および第2の中性点間に発生する交流電圧が参照電圧にフィードバック制御される。したがって、この交流電圧出力装置によれば、歪みの小さい交流電圧を得ることができる。
【0023】
また、この発明によれば、交流電圧出力装置は、星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、第1および第2のインバータをそれぞれ制御する第1および第2のインバータ制御手段と、第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成する交流電圧指令生成手段と、第1および第2の中性点間の電圧を検出する電圧検出手段とを備える。交流電圧指令生成手段は、電圧検出手段によって検出された電圧の大きさの平均値とその平均値の目標を示す参照値との偏差に基づいて第1の補償量を算出し、かつ、その算出した第1の補償量を用いて参照値を補償した値に基づいて交流電圧指令を生成する第1のフィードバック演算部を含む。第1のインバータ制御手段は、第1の多相交流電動機の各相電圧指令に基づいて第1のインバータを制御する。第2のインバータ制御手段は、第2の多相交流電動機の各相電圧指令に交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて第2のインバータを制御する。
【0024】
この発明による交流電圧出力装置においては、第1および第2のインバータは、第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧(たとえば商用交流電圧)を発生させる。ここで、第1のフィードバック演算部は、第1および第2の中性点間に発生する交流電圧の大きさの平均値をその平均値の目標を示す参照値にフィードバック制御する。
【0025】
したがって、この発明による交流電圧出力装置によれば、第1および第2の中性点間に発生する交流電圧の瞬時値に基づいてフィードバック制御する場合に比べて制御の応答性を低くすることができ、制御の安定性を向上させることができる。
【0026】
好ましくは、交流電圧指令生成手段は、交流電圧の目標を示す参照電圧と電圧検出手段によって検出された電圧との偏差に基づいて第2の補償量を算出する第2のフィードバック演算部をさらに含む。第1のインバータ制御手段は、第1の多相交流電動機の各相電圧指令に第2の補償量を重畳した電圧指令に基づいて第1のインバータを制御する。
【0027】
この交流電圧出力装置においては、第1および第2の中性点間に発生する交流電圧の平均値に基づいてフィードバック制御する第1のフィードバック演算部により大きな偏差が取り除かれ、交流電圧の瞬時値に基づいてフィードバック制御する第2のフィードバック演算部により、第1のフィードバック演算部では取りきれない微小な偏差が取り除かれる。このような機能分担により、第1のフィードバック演算部による第1の補償量は、第2のフィードバック演算部による第2の補償量よりも多くなる。ここで、第1の多相交流電動機を駆動しつつ(第2の多相交流電動機は停止)第1および第2の中性点間に交流電圧を生成することを想定し、電圧に余裕がある第2のインバータに対応する第2のインバータ制御手段に対して第1の補償量が出力され、電圧に余裕がない第1のインバータに対応する第1のインバータ制御手段に対して第2の補償量が出力される。
【0028】
したがって、この交流電圧出力装置によれば、交流電圧生成時における第1および第2の多相交流電動機の負荷を考慮した適切なフィードバック制御が実現される。
【0029】
好ましくは、第1のインバータ制御手段および第2のフィードバック演算部は、第1の処理装置に実装される。第2のインバータ制御手段および第1のフィードバック演算部は、第2の処理装置に実装される。
【0030】
したがって、この交流電圧出力装置によれば、第1および第2の処理装置で演算負荷を適切に分担することができる。
【0031】
また、この発明によれば、交流電圧出力装置は、星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、第1および第2のインバータを制御するインバータ制御手段と、第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成する交流電圧指令生成手段と、第1および第2の中性点間の電圧を検出する電圧検出手段とを備える。交流電圧指令生成手段は、交流電圧の1周期前における、交流電圧の目標を示す参照電圧と電圧検出手段によって検出された電圧との偏差に基づいて、交流電圧の位相ごとに逐次第1の補償量を算出する繰返し制御部を含む。インバータ制御手段は、第1または第2の多相交流電動機の各相電圧指令に交流電圧指令および第1の補償量を重畳した電圧指令に基づいて第1および第2のインバータを制御する。
【0032】
この発明による交流電圧出力装置においては、第1および第2のインバータは、第1の多相巻線の第1の中性点と第2の多相巻線の第2の中性点との間に交流電圧(たとえば商用交流電圧)を発生させる。ここで、第1および第2のインバータのデッドタイムの影響により、特に交流電圧のゼロクロス点近傍で周期的な外乱が発生するところ、この交流電圧出力装置では、繰返し制御部により、交流電圧の1周期前の偏差に基づいて位相ごとにフィードバック制御が繰返し実行される。
【0033】
したがって、この発明による交流電圧出力装置によれば、第1および第2のインバータのデットタイムの影響による交流電圧の波形の歪みを抑制することができる。
【0034】
好ましくは、交流電圧出力装置は、交流電圧の供給を受ける負荷に流される電流を検出する電流検出手段をさらに備える。交流電圧指令生成手段は、電流検出手段によって検出された電流に基づいて第2の補償量を算出する負荷電流補償部をさらに含む。インバータ制御手段は、第1または第2の多相交流電動機の各相電圧指令に交流電圧指令ならびに第1および第2の補償量を重畳した電圧指令に基づいて第1および第2のインバータを制御する。
【0035】
この交流電圧出力装置においては、繰返し制御部によるフィードバック制御は、交流電圧の1周期分のむだ時間を有するので、繰返し制御部による制御のみでは、急激な負荷変動による交流電圧の波形の歪みを抑制できない。そこで、この交流電圧出力装置では、負荷電流補償部により、電流検出手段によって検出された負荷電流に基づくフィードバック制御が実行される。したがって、この交流電圧出力装置によれば、急激な負荷変動による交流電圧の波形の歪みを抑制することができる。
【0036】
また、この発明によれば、ハイブリッド自動車は、上述したいずれかの交流電圧出力装置と、第1の多相交流電動機の回転軸にクランク軸が機械的に結合され、第1の多相交流電動機に回転力を付与可能な内燃機関と、第2の多相交流電動機の回転軸に連結され、第2の多相交流電動機から駆動力を受ける駆動輪とを備える。
【0037】
この発明によるハイブリッド自動車においては、上述したいずれかの交流電圧出力装置が備えられる。したがって、この発明によるハイブリッド自動車によれば、ハイブリッド自動車を電源設備として利用することができる。また、交流電圧を生成するための専用のインバータを備える必要がないので、ハイブリッド自動車に特に要求される小型化や低コスト化、軽量化(低燃費化)などを阻害することはない。
【発明の効果】
【0038】
この発明によれば、分配手段における電圧負担率を変更することにより、第1および第2の中性点間に交流電圧を生成するための第1および第2のインバータの電圧負担を変更することができる。
【0039】
また、交流電圧の大きさの平均値をその参照値にフィードバック制御する第1のフィードバック演算部を設けたので、交流電圧を生成するための制御を高安定化することができる。
【0040】
さらに、第1のフィードバック演算部を第2のインバータ制御手段と組合わせ、第2のフィードバック演算部を第1のインバータ制御手段と組合わせることにより、負荷を考慮した適切なフィードバック制御を実現することができる。
【0041】
また、さらに、繰返し制御部により、インバータのデッドタイムの影響により周期的に発生する外乱を効果的に抑制することができる。また、負荷電流補償部をさらに備えることにより、急峻な負荷変動による交流電圧の歪みを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0043】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による交流電圧出力装置100の全体ブロック図である。図1を参照して、この交流電圧出力装置100は、蓄電装置Bと、昇圧コンバータ10と、インバータ20,30と、モータジェネレータMG1,MG2と、制御装置60と、コンデンサC1,C2と、電源ラインPL1,PL2と、接地ラインSLと、U相ラインUL1,UL2と、V相ラインVL1,VL2と、W相ラインWL1,WL2と、電圧センサ70,72と、電流センサ80,82とを備える。また、交流電圧出力装置100は、AC出力ラインACL1,ACL2と、コンデンサC3と、ACポート40と、コネクタ50とをさらに備える。
【0044】
この交流電圧出力装置100は、車両に搭載され、たとえばエンジンENGおよびモータジェネレータMG2を動力源とするハイブリッド自動車に搭載される。そして、モータジェネレータMG1は、エンジンENGと連結され、エンジンENGの始動を行ない得るモータとして動作し、かつ、エンジンENGによって駆動される発電機として動作するものとしてハイブリッド自動車に組込まれる。モータジェネレータMG2は、駆動輪DWと連結され、駆動輪DWを駆動するモータとしてハイブリッド自動車に組込まれる。
【0045】
蓄電装置Bの正極は、電源ラインPL1に接続され、蓄電装置Bの負極は、接地ラインSLに接続される。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間に接続される。
【0046】
昇圧コンバータ10は、リアクトルLと、npn型トランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。npn型トランジスタQ1,Q2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列に接続される。各npn型トランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。そして、リアクトルLの一端は、npn型トランジスタQ1,Q2の接続点に接続され、その他端は、電源ラインPL1に接続される。
【0047】
なお、上記のnpn型トランジスタおよび以下の本明細書中のnpn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができ、また、npn型トランジスタに代えてパワーMOSFET(metal oxide semiconductor field-effect transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
【0048】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に接続される。インバータ20は、U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26を含む。U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。U相アーム22は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ11,Q12からなり、V相アーム24は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ13,Q14からなり、W相アーム26は、直列に接続されたnpn型トランジスタQ15,Q16からなる。各npn型トランジスタQ11〜Q16のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD11〜D16がそれぞれ接続される。
【0049】
モータジェネレータMG1は、3相コイル12をステータコイルとして含む。3相コイル12を形成する各相コイルの一端は、互いに接続されて中性点N1を形成し、各相コイルの他端は、インバータ20の各相アームにおける各npn型トランジスタの接続点にそれぞれ接続される。
【0050】
インバータ30は、U相アーム32、V相アーム34およびW相アーム36を含む。モータジェネレータMG2は、3相コイル14をステータコイルとして含む。インバータ30およびモータジェネレータMG2の構成は、それぞれインバータ20およびモータジェネレータMG1と同様である。
【0051】
AC出力ラインACL1の一端は、中性点N1に接続され、その他端は、ACポート40に接続される。AC出力ラインACL2の一端は、中性点N2に接続され、その他端は、ACポート40に接続される。コンデンサC3は、AC出力ラインACL1とAC出力ラインACL2との間に接続される。そして、ACポート40は、AC出力ラインACL1,ACL2とコネクタ50との間に配設される。
【0052】
蓄電装置Bは、充放電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池からなる。蓄電装置Bは、直流電力を昇圧コンバータ10へ出力する。また、蓄電装置Bは、昇圧コンバータ10によって充電される。なお、蓄電装置Bとして、大容量のキャパシタや燃料電池(Fuel Cell)を用いてもよい。
【0053】
電圧センサ70は、蓄電装置Bの電圧Vbを検出し、その検出した電圧Vbを制御装置60へ出力する。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。
【0054】
昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、蓄電装置Bから受ける直流電圧をリアクトルLを用いて昇圧し、その昇圧した昇圧電圧を電源ラインPL2に供給する。具体的には、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、npn型トランジスタQ2のスイッチング動作に応じて流れる電流をリアクトルLに磁場エネルギーとして蓄積することによって蓄電装置Bからの直流電圧を昇圧する。そして、昇圧コンバータ10は、その昇圧した昇圧電圧をnpn型トランジスタQ2がオフされたタイミングに同期してダイオードD1を介して電源ラインPL2へ出力する。また、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、電源ラインPL2から供給される直流電圧を降圧して蓄電装置Bを充電する。
【0055】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。電圧センサ72は、コンデンサC2の端子間電圧、すなわち接地ラインSLに対する電源ラインPL2の電圧Vdcを検出し、その検出した電圧Vdcを制御装置60へ出力する。
【0056】
インバータ20は、制御装置60からの信号PWM1に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を3相交流電圧に変換し、その変換した3相交流電圧をモータジェネレータMG1へ出力する。また、インバータ20は、エンジンENGからの出力を受けてモータジェネレータMG1が発電した3相交流電圧を制御装置60からの信号PWM1に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。
【0057】
インバータ30は、制御装置60からの信号PWM2に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を3相交流電圧に変換し、その変換した3相交流電圧をモータジェネレータMG2へ出力する。また、インバータ30は、車両の回生制動時、駆動輪DWからの回転力を受けてモータジェネレータMG2が発電した3相交流電圧を制御装置60からの信号PWM2に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。
【0058】
なお、ここで言う回生制動とは、車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0059】
ここで、コネクタ50に接続される負荷装置(図示せず、以下同じ。)への商用交流電圧の出力が要求されると、インバータ20,30は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させる。すなわち、インバータ20は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させるように、制御装置60からの制御信号PWM1に基づいて中性点N1の電位を制御し、インバータ30は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させるように、制御装置60からの制御信号PWM2に基づいて中性点N2の電位を制御する。
【0060】
モータジェネレータMG1,MG2の各々は、3相交流電動機であり、たとえばIPM(Interior Permanent Magnet)型3相交流同期電動機から成る。モータジェネレータMG1は、エンジンENGと連結され、エンジンENGの出力を用いて3相交流電圧を発生し、その発生した3相交流電圧をインバータ20へ出力する。また、モータジェネレータMG1は、インバータ20から受ける3相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジンENGの始動を行なう。モータジェネレータMG2は、車両の駆動輪DWと連結され、インバータ30から受ける3相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータMG2は、車両の回生制動時、3相交流電圧を発生してインバータ30へ出力する。
【0061】
コンデンサC3は、コネクタ50に接続される負荷装置へのリップルの影響を除去する。ACポート40は、AC出力ラインACL1,ACL2とコネクタ50との接続/切離しを行なうリレーと、AC出力ラインACL1,ACL2間に発生する交流電圧およびAC出力ラインACL1,ACL2に流される交流電流をそれぞれ検出するための電圧センサおよび電流センサとを含む(いずれも図示せず)。ACポート40は、制御装置60から出力許可指令ENを受けるとリレーをオンさせ、コネクタ50をAC出力ラインACL1,ACL2と電気的に接続する。また、ACポート40は、AC出力ラインACL1,ACL2間の電圧Vacおよびコネクタ50に接続された負荷装置へ供給される電流Iacを検出し、その検出した電圧Vacおよび電流Iacを制御装置60へ出力する。
【0062】
コネクタ50は、中性点N1,N2間に発生した商用交流電圧を外部の負荷装置へ出力するための出力端子であり、各電気機器の電源プラグなどが接続される。
【0063】
電流センサ80は、モータジェネレータMG1に流れるモータ電流I1を検出し、その検出したモータ電流I1を制御装置60へ出力する。電流センサ82は、モータジェネレータMG2に流れるモータ電流I2を検出し、その検出したモータ電流I2を制御装置60へ出力する。
【0064】
制御装置60は、図示されないECU(Electronic Control Unit)から出力されるモータジェネレータMG1,MG2のトルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数ω1,ω2、電圧センサ70からの電圧Vbならびに電圧センサ72からの電圧Vdcに基づいて、昇圧コンバータ10を駆動するための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ10へ出力する。
【0065】
また、制御装置60は、電圧Vdc、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1および電流センサ80からのモータ電流I1に基づいて、モータジェネレータMG1を駆動するための信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ20へ出力する。さらに、制御装置60は、電圧Vdc、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2および電流センサ82からのモータ電流I2に基づいて、モータジェネレータMG2を駆動するための信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ30へ出力する。
【0066】
ここで、制御装置60は、コネクタ50に接続される負荷装置への商用交流電圧の出力を要求するH(論理ハイ)レベルの信号ACをECUから受けると、中性点N1,N2間に商用交流電圧が発生するように、インバータ20の上アームのnpn型トランジスタQ11,Q13,Q15と下アームのnpn型トランジスタQ12,Q14,Q16とのスイッチングデューティーの総和を制御しつつ信号PWM1を生成し、インバータ30の上アームのnpn型トランジスタQ21,Q23,Q25と下アームのnpn型トランジスタQ22,Q24,Q26とのスイッチングデューティーの総和を制御しつつ信号PWM2を生成する。なお、制御の詳細については、後ほど説明する。そして、制御装置60は、出力許可指令ENをACポート40へ出力する。
【0067】
図2は、図1に示した制御装置60の機能ブロック図である。図2を参照して、制御装置60は、コンバータ制御部61と、第1のインバータ制御部62と、第2のインバータ制御部63と、AC出力制御部64とを含む。コンバータ制御部61は、電圧Vb,Vdc、トルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数ω1,ω2に基づいて、昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ10へ出力する。
【0068】
第1のインバータ制御部62は、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1、モータ電流I1およびモータ回転数ω1、ならびに電圧Vdcに基づいて、インバータ20のnpn型トランジスタQ11〜Q16をオン/オフするための信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ20へ出力する。
【0069】
ここで、第1のインバータ制御部62は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成するための交流電圧指令をAC出力制御部64から受けているとき、その受けた交流電圧指令に基づいてインバータ20の上アームおよび下アームのスイッチングデューティーの総和を変化させつつ信号PWM1を生成する。
【0070】
第2のインバータ制御部63は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2、モータ電流I2およびモータ回転数ω2、ならびに電圧Vdcに基づいて、インバータ30のnpn型トランジスタQ21〜Q26をオン/オフするための信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ30へ出力する。
【0071】
ここで、第2のインバータ制御部63は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成するための交流電圧指令をAC出力制御部64から受けているとき、その受けた交流電圧指令に基づいてインバータ30の上アームおよび下アームのスイッチングデューティーの総和を変化させつつ信号PWM2を生成する。
【0072】
AC出力制御部64は、信号ACに基づいて、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生するか否かを判定する。ここで、信号ACは、たとえば、図示されないAC出力スイッチの操作に応じて論理レベルが変化する信号であり、Hレベルの信号ACは、コネクタ50に接続される負荷装置への商用交流電圧の出力を要求する信号である。
【0073】
そして、AC出力制御部64は、Hレベルの信号ACを受けているとき、ACポート40において検出された電圧Vacを用いて、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成し、その生成した交流電圧指令を第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力する。また、AC出力制御部64は、Hレベルの信号ACを受けているとき、出力許可指令ENをACポート40へ出力する。
【0074】
図3は、図2に示したコンバータ制御部61の機能ブロック図である。図3を参照して、コンバータ制御部61は、インバータ入力電圧指令演算部92と、フィードバック電圧指令演算部94と、デューティー比演算部96と、PWM信号変換部98とを含む。
【0075】
インバータ入力電圧指令演算部92は、トルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数ω1,ω2に基づいてインバータ入力電圧の最適値(目標値)すなわち電圧指令Vdc_comを演算し、その演算した電圧指令Vdc_comをフィードバック電圧指令演算部94へ出力する。
【0076】
フィードバック電圧指令演算部94は、電圧センサ72によって検出される電圧Vdcと、インバータ入力電圧指令演算部92からの電圧指令Vdc_comとに基づいて、電圧Vdcを電圧指令Vdc_comに制御するためのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbを演算し、その演算したフィードバック電圧指令Vdc_com_fbをデューティー比演算部96へ出力する。
【0077】
デューティー比演算部96は、電圧センサ70からの電圧Vbと、フィードバック電圧指令演算部94からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbとに基づいて、電圧Vdcを電圧指令Vdc_comに制御するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比をPWM信号変換部98へ出力する。
【0078】
PWM信号変換部98は、デューティー比演算部96から受けたデューティー比に基づいて、昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2をオン/オフするためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号を信号PWCとして昇圧コンバータ10のnpn型トランジスタQ1,Q2へ出力する。
【0079】
なお、昇圧コンバータ10の下アームのnpn型トランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルLにおける電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上アームのnpn型トランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインPL2の電圧が下がる。そこで、npn型トランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインPL2の電圧を蓄電装置Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御することができる。
【0080】
図4は、図2に示した第1および第2のインバータ制御部62,63ならびにAC出力制御部64の詳細な機能ブロック図である。図4を参照して、第1のインバータ制御部62は、電流変換部102と、MG1電流指令演算部104と、PI制御部106,108と、変換部110と、PWM信号生成部114とから成る。
【0081】
電流変換部102は、モータジェネレータMG1のモータ回転数ω1を用いて、電流センサ80によって検出されたU相電流Iu1およびV相電流Iv1をd軸電流Id1およびq軸電流Iq1に変換する。MG1電流指令演算部104は、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1に基づいて、d,q軸におけるモータジェネレータMG1の電流指令Id1r,Iq1rを算出する。
【0082】
PI制御部106は、電流変換部102からのd軸電流Id1とMG1電流指令演算部104からの電流指令Id1rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部110へ出力する。PI制御部108は、電流変換部102からのq軸電流Iq1とMG1電流指令演算部104からの電流指令Iq1rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部110へ出力する。
【0083】
変換部110は、モータ回転数ω1を用いて、PI制御部106,108からそれぞれ受けるd,q軸上の電圧指令をU,V,W各相電圧指令に変換する。
【0084】
PWM信号生成部114は、変換部110からのU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を重畳した電圧指令および電圧センサ72からの電圧Vdcに基づいて、インバータ20に対応するPWM信号Pu1,Pv1,Pw1を生成し、その生成したPWM信号Pu1,Pv1,Pw1を信号PWM1としてインバータ20へ出力する。
【0085】
なお、変換部110からのモータジェネレータMG1のU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を一律に重畳させることは、その交流電圧指令に基づいてインバータ20の上アームおよび下アームのスイッチングデューティーの総和を変化させることに対応する。
【0086】
第2のインバータ制御部63は、電流変換部122と、MG2電流指令演算部124と、PI制御部126,128と、変換部130と、PWM信号生成部134とから成る。電流変換部122は、モータジェネレータMG2のモータ回転数ω2を用いて、電流センサ82によって検出されたU相電流Iu2およびV相電流Iv2をd軸電流Id2およびq軸電流Iq2に変換する。MG2電流指令演算部124は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2に基づいて、d,q軸におけるモータジェネレータMG2の電流指令Id2r,Iq2rを算出する。
【0087】
PI制御部126は、電流変換部122からのd軸電流Id2とMG2電流指令演算部124からの電流指令Id2rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部130へ出力する。PI制御部128は、電流変換部122からのq軸電流Iq2とMG2電流指令演算部124からの電流指令Iq2rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部130へ出力する。
【0088】
変換部130は、モータ回転数ω2を用いて、PI制御部126,128からそれぞれ受けるd,q軸上の電圧指令をU,V,W各相電圧指令に変換する。
【0089】
PWM信号生成部134は、変換部130からのモータジェネレータMG2の各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を重畳した電圧指令および電圧Vdcに基づいて、インバータ30に対応するPWM信号Pu2,Pv2,Pw2を生成し、その生成したPWM信号Pu2,Pv2,Pw2を信号PWM2としてインバータ30へ出力する。
【0090】
なお、変換部130からのモータジェネレータMG2のU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を一律に重畳させることは、その交流電圧指令に基づいてインバータ30の上アームおよび下アームのスイッチングデューティーの総和を変化させることに対応する。
【0091】
AC出力制御部64は、乗算部140,144と、FB制御部142と、減算部146とから成る。乗算部140は、中性点N1,N2間に発生する商用交流電圧の波高値Vr√2に正弦波信号sinωtを乗算して商用交流電圧の参照値Vacrを生成する。ここで、ωは、商用電源周波数である。
【0092】
FB制御部142は、乗算部140から出力される参照値VacrとACポート40において検出された電圧Vacとの偏差に基づいてフィードバック演算を行ない、その演算結果を出力する。なお、フィードバック演算には、種々の公知の演算手法(比例積分制御など)を用いることができる。
【0093】
乗算部144は、参照値VacrにFB制御部142の出力値を加算した値をk倍(kは0以上1以下の定数)し、その演算結果を第1のインバータ制御部62に対する交流電圧指令として第1のインバータ制御部62へ出力する。減算部146は、乗算部144の出力値から乗算部144の入力値を減算し、その演算結果を第2のインバータ制御部63に対する交流電圧指令として第2のインバータ制御部63へ出力する。
【0094】
すなわち、参照値VacrにFB制御部142の演算結果を加算した交流電圧指令は、k倍されて第1のインバータ制御部62へ出力され、−(1−k)倍されて第2のインバータ制御部63へ出力される。つまり、kは、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生する際のインバータ20,30の電圧負担率であって、kが0.5を超えるとインバータ20の電圧負担が大きくなり、kが0.5よりも小さいとインバータ30の電圧負担が大きくなる。
【0095】
このkは、モータジェネレータMG1,MG2の負荷に基づいて決定することができる。たとえば、車両の停止中にモータジェネレータMG1により発電を行ないつつ中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成する場合、kを0.5よりも小さな値とすることによって、商用交流電圧の生成について主にモータジェネレータMG2に負担させ、モータジェネレータMG1により大電力(高電圧)の発電を行なうことができる。
【0096】
なお、特に図示していないが、このAC出力制御部64は、Hレベルの信号ACを受けているとき、生成した交流電圧指令を第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力し、L(論理ロー)レベルの信号ACを受けているときは、第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力する交流電圧指令を0とする。
【0097】
図5は、インバータ20,30のスイッチングデューティーの総和および中性点N1,N2間に発生する電圧Vacの波形図である。図5を参照して、曲線S1は、インバータ20の上アームおよび下アームのスイッチングデューティーの総和の変化を示し、曲線S2は、インバータ30の上アームおよび下アームのスイッチングデューティーの総和の変化を示す。
【0098】
ここで、スイッチングデューティーの総和とは、各インバータにおける上アームのオンデューティーから下アームのオンデューティーを減算したものである。図5において、スイッチングデューティーの総和が正のときは、対応するモータジェネレータの中性点電位がインバータの入力電圧Vdcの中間電位Vdc/2よりも高くなることを示し、スイッチングデューティーの総和が負のときは、中性点電位が中間電位Vdc/2よりも低くなることを示す。
【0099】
この交流電圧出力装置100においては、図4に示したように、AC出力制御部64から第1のインバータ制御部62へ出力される交流電圧指令をモータジェネレータMG1のU,V,W各相電圧指令に一律に重畳させることにより、インバータ20のスイッチングデューティーの総和を曲線S1に従って商用電源周波数ωで周期的に変化させる。また、AC出力制御部64から第2のインバータ制御部63へ出力される交流電圧指令をモータジェネレータMG2のU,V,W各相電圧指令に一律に重畳させることにより、インバータ30のスイッチングデューティーの総和を曲線S2に従って商用電源周波数ωで周期的に変化させる。
【0100】
なお、この図5では、モータジェネレータMG1,MG2の電圧負担率を決定するkが0.5の場合について示されている。したがって、曲線S2は、曲線S1の位相を丁度反転させたものとなっている。なお、kを0.5よりも大きくすると、曲線S1の振幅が大きくなるとともに曲線S2の振幅が小さくなり、kを0.5よりも小さくすると、曲線S1の振幅が小さくなるとともに曲線S2の振幅が大きくなる。
【0101】
時刻t0〜t1においては、モータジェネレータMG1の中性点N1の電位は、電圧Vdcの中間電位Vdc/2よりも高くなり、モータジェネレータMG2の中性点N2の電位は、中間電位Vdc/2よりも低くなり、中性点N1,N2間に正側の商用交流電圧が発生する。ここで、コネクタ50に負荷装置が接続されていると、インバータ20の上アームから下アームに流れ込むことができない余った電流が中性点N1からAC出力ラインACL1、負荷装置およびAC出力ラインACL2を介して中性点N2へ流れ、中性点N2からインバータ30の各相アームの下アームへ流れる。
【0102】
時刻t1〜t2においては、中性点N1の電位は、中間電位Vdc/2よりも低くなり、中性点N2の電位は、中間電位Vdc/2よりも高くなり、中性点N1,N2間に負側の商用交流電圧が発生する。そして、インバータ30の各相アームの上アームから中性点N2、AC出力ラインACL2、負荷装置およびAC出力ラインACL1を介して中性点N1へ電流が流れ、中性点N1からインバータ20の下アームへ電流が流れる。
【0103】
このようにして、モータジェネレータMG1,MG2の中性点N1,N2間に商用交流電圧が発生する。
【0104】
以上のように、この実施の形態1によれば、モータジェネレータMG1の3相コイル12の中性点N1とモータジェネレータMG2の3相コイル14の中性点N2との間に商用交流電圧を発生し、コネクタ50に接続される負荷装置へ供給することができる。
【0105】
その際、AC出力制御部64における電圧分担率kを用いて、中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成するためのインバータ20,30の電圧負担を変更することができる。したがって、インバータ20,30のいずれかに電圧負担が集中するのを回避することができ、商用交流電圧の波形が歪むのを防止することができる。
【0106】
また、この実施の形態1によれば、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させて負荷装置へ出力するので、商用交流電圧を生成するための専用のインバータを別途備える必要がない。
【0107】
[実施の形態2]
実施の形態1では、図4に示したように乗算部140において正弦波の交流電圧参照値Vacrを生成し、その生成した参照値VacrとACポート40において検出された電圧Vacとの偏差に基づくフィードバック制御が行なわれる。このフィードバック制御は一般的ではあるが、商用電源周波数ωで変化する参照値Vacrに電圧Vacを制御するので高い追従性が必要である。このため、制御を高応答化する必要があり、その一方で制御の安定性が阻害されるおそれがある。また、高応答性を実現するには、高速演算も要求される。そこで、この実施の形態2では、安定性を重視したフィードバック制御が構築される。
【0108】
実施の形態2による交流電圧出力装置の全体構成は、図1に示した実施の形態1による交流電圧出力装置100と同じである。
【0109】
図6は、実施の形態2における制御装置の機能ブロック図である。図6を参照して、この制御装置60Aは、図2に示した実施の形態1における制御装置60の構成において、第1のインバータ制御部62およびAC出力制御部64に代えてそれぞれ第1のインバータ制御部62AおよびAC出力制御部64Aを含む。第1のインバータ制御部62Aは、交流電圧指令を受けない点においてのみ第1のインバータ制御部62と異なり、その他の構成については、第1のインバータ制御部62と同じである。
【0110】
AC出力制御部64Aは、Hレベルの信号ACを受けているとき、ACポート40において検出された電圧Vacの平均値を算出する。そして、AC出力制御部64Aは、その算出した電圧Vacの平均値を用いて、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成し、その生成した交流電圧指令を第2のインバータ制御部63へ出力する。
【0111】
図7は、図6に示した第2のインバータ制御部63およびAC出力制御部64Aの詳細な機能ブロック図である。図7を参照して、AC出力制御部64Aは、平均値演算部152と、PI制御部154と、加算部156と、乗算部158とから成る。平均値演算部152は、ACポート40において検出された電圧Vacの大きさの平均値を算出する。たとえば、平均値演算部152は、電圧Vacの絶対値を1周期または数周期分積算し、その積算値をサンプリング回数で除算した値に変換係数を乗じることによって、電圧Vacの大きさの平均値(波高値ベース)を算出する。
【0112】
PI制御部154は、中性点N1,N2間に発生する商用交流電圧の大きさの目標を示す波高参照値Vr√2と平均値演算部152からの出力値との偏差に基づいて比例積分演算を行ない、その演算結果を加算部156へ出力する。
【0113】
加算部156は、波高参照値Vr√2にPI制御部154の出力値を加算し、その演算結果を乗算部158へ出力する。乗算部158は、加算部156の出力値に正弦波信号sinωtを乗算し、その演算結果を交流電圧指令として第2のインバータ制御部63へ出力する。
【0114】
このAC出力制御部64Aにおいては、電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御ではなく、電圧Vacの平均値に基づくフィードバック制御が行なわれる。この電圧Vacの平均値に基づくフィードバック制御は定値制御であるので、参照値が正弦波からなる、電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御に比べて安定性が高い。
【0115】
なお、上記においては、インバータ30が交流電圧の生成の全てを負担し、インバータ20は、交流電圧生成分の電圧を負担しない。インバータ20に対応するモータジェネレータMG1における中性点N1の電位は、交流電圧の生成の有無に拘わらず、電圧Vdcの中間電位Vdc/2に一定に制御される。
【0116】
また、上記においては、交流電圧指令は第2のインバータ制御部63へ出力されるものとしたが、交流電圧指令を第1のインバータ制御部へ出力し、交流電圧の生成をインバータ20に負担させてもよい。また、実施の形態1と同様にして、電圧分担率に基づいてインバータ20,30で交流電圧の生成を分担することもできる。
【0117】
以上のように、この実施の形態2によれば、電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御を行なう実施の形態1に比べて制御の安定性を向上させることができる。
【0118】
[実施の形態3]
実施の形態3では、実施の形態2においてさらに電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御が行なわれ、その補償量が第1のインバータ制御部へ出力される。これにより、電圧Vacの平均値に基づくフィードバック制御だけでは残る微小な偏差を取り除くことができる。
【0119】
実施の形態3による交流電圧出力装置の全体構成は、図1に示した実施の形態1による交流電圧出力装置100と同じである。また、この実施の形態3におけるコンバータ制御部ならびに第1および第2のインバータ制御部の構成は、図2〜図4に示した実施の形態1におけるコンバータ制御部61ならびに第1および第2のインバータ制御部62,63と同じである。
【0120】
図8は、実施の形態3における第1のインバータ制御部62およびAC出力制御部64Bの詳細な機能ブロック図である。図8を参照して、AC出力制御部64Bは、図7に示したAC出力制御部64Aの構成(図示せず)に加えて、乗算部162と、PI制御部164とをさらに含む。
【0121】
乗算部162は、中性点N1,N2間に発生する商用交流電圧の波高値Vr√2に正弦波信号sinωtを乗算して商用交流電圧の参照値Vacrを生成する。PI制御部164は、乗算部162から出力される参照値VacrとACポート40において検出された電圧Vacとの偏差に基づいて比例積分演算を行ない、その演算結果を第1のインバータ制御部62へ出力する。
【0122】
そして、第1のインバータ制御部62のPWM信号生成部114は、変換部110からのモータジェネレータMG1の各相電圧指令にPI制御部164からの補償量を重畳した電圧指令に基づいて、インバータ20に対応するPWM信号Pu1,Pv1,Pw1を生成し、その生成したPWM信号Pu1,Pv1,Pw1を信号PWM1としてインバータ20へ出力する。
【0123】
このAC出力制御部64Bにおいては、電圧Vacの平均値に基づくフィードバック制御の補償量は第2のインバータ制御部63へ出力され、電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御の補償量は第1のインバータ制御部62へ出力される。各フィードバック制御の機能分担としては、電圧Vacの平均値に基づくフィードバック制御により大きな偏差が取り除かれ、電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御により、平均値に基づくフィードバック制御では取りきれない微小な偏差が取り除かれる。
【0124】
なお、車両の停止中にモータジェネレータMG1により発電を行ないつつ中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成する動作モードにおいて、モータを駆動しない分だけ電圧に余裕のあるインバータ30に対応する第2のインバータ制御部63へ交流電圧指令が出力される。一方、回生駆動により電圧に余裕のないインバータ20に対応する第1のインバータ制御部62へは、補償量の少ない電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御からの出力が与えられる。すなわち、車両の停止中にモータジェネレータMG1により発電を行ないつつ中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成する動作状態を想定して、2つのフィードバック制御が実装されている。
【0125】
なお、第1のインバータ制御部62、およびAC出力制御部64Bにおいて電圧Vacの瞬時値に基づくフィードバック制御を実行する部分は、第1のCPU(Central Processing Unit)により実行され、第2のインバータ制御部63、およびAC出力制御部64Bにおいて電圧Vacの平均値に基づくフィードバック制御を実行する部分は、第1のCPUと異なる第2のCPUにより実行される。これにより、2つのCPUにおいて演算負荷が適切に分担される。
【0126】
以上のように、この実施の形態3によれば、商用交流電圧の生成時においてモータジェネレータMG1,MG2の負荷を考慮した適切なフィードバック制御が実現される。また、2つのCPUで演算負荷を適切に分担することができる。
【0127】
[実施の形態4]
インバータ20,30のスイッチング制御においては、上述のようにデッドタイムが一般に設けられているところ、このデッドタイムの影響により交流電圧のゼロクロス点近傍で波形の歪みが発生する。特に、ハイブリッド自動車に用いられる大電力のインバータでは、デッドタイムが大きくとられることが多く、その場合は歪みがさらに顕著になる。この実施の形態4では、そのようなインバータのデッドタイムの影響により周期的に発生する波形の歪みが抑制される。
【0128】
実施の形態4による交流電圧出力装置の全体構成は、図1に示した実施の形態1による交流電圧出力装置100と同じである。また、この実施の形態4におけるコンバータ制御部は、図3に示した実施の形態1におけるコンバータ制御部61と同じであり、第1のインバータ制御部は、実施の形態2における第1のインバータ制御部62Aと同じである。
【0129】
図9は、実施の形態4における第2のインバータ制御部63CおよびAC出力制御部64Cの詳細な機能ブロック図である。図9を参照して、AC出力制御部64Cは、繰返し制御部172と、負荷電流補償部174と、AC基本波生成部176とから成る。
【0130】
AC基本波生成部176は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生するための交流電圧指令Vacrを生成し、その生成した交流電圧指令Vacrを第2のインバータ制御部63Cへ出力する。また、AC基本波生成部176は、生成した交流電圧指令Vacrおよび第2のインバータ制御部63Cへ出力している交流電圧指令Vacrの位相θacを繰返し制御部172へ出力する。
【0131】
繰返し制御部172は、交流電圧指令Vacrおよびその位相θacをAC基本波生成部176から受け、電圧VacをACポート40から受ける。そして、繰返し制御部172は、後述する方法により位相θacに応じて補償量を算出し、その算出した補償量を第2のインバータ制御部63Cへ出力する。
【0132】
図10は、図9に示した繰返し制御部172の制御の考え方を説明するための図である。図10を参照して、縦軸および横軸はそれぞれ電圧および時間を示し、交流電圧指令Vacrおよび実績値である電圧Vacの時間的変化が示される。なお、この図10では、繰返し制御部172による制御が実行されていない場合の電圧Vacが示されている。
【0133】
インバータ20,30のデッドタイムの影響により、時刻t0,t3,t4におけるゼロクロス点近傍で周期的に電圧Vacの波形が歪み、ゼロクロス点から離れるほど歪みは小さくなる。一般的なPI制御などにおいて、ゼロクロス点近傍での歪みを抑制するために制御ゲインを大きくすると、オーバーシュートやハンチングが発生し、制御が不安定になり得る。一方、制御ゲインを下げると、ゼロクロス点近傍での歪みを十分に抑制することができない。
【0134】
そこで、ある位相θac1に対応する時刻t1での交流電圧指令Vacrと電圧Vacとの偏差ΔV(θac1)に基づいて補償量を算出し、その算出した補償量を1周期後のの位相θac1に対応する時刻t5に出力する。また、ある位相θac2に対応する時刻t2での交流電圧指令Vacrと電圧Vacとの偏差ΔV(θac2)(図示せず)に基づいて補償量を算出し、その算出した補償量を1周期後の位相θac2に対応する時刻t6に出力する。このような制御を位相ごとに繰返し実行する。
【0135】
言い換えると、丁度1周期前の交流電圧指令Vacrと電圧Vacとの偏差に基づいて補償量が算出される。そして、この演算を交流電圧の位相θacに応じて繰返し実行する。つまり、この制御は、1周期前の偏差に基づいて次周期の同位相における補償量を決定するので、インバータのデッドタイムの影響によりゼロクロス点近傍ごとに発生するような周期外乱の抑制に効果的である。
【0136】
図11は、図9に示した繰返し制御部172の詳細な機能ブロック図である。図11を参照して、繰返し制御部172は、交流電圧指令値テーブル182と、減算部184と、PIテーブル186とから成る。交流電圧指令値テーブル182は、AC基本波生成部176から交流電圧指令Vacrおよびその位相θacを受け、交流電圧指令Vacrの各位相ごと(たとえば1度ずつ)の値Vacr(0)〜Vacr(359)を格納する。そして、交流電圧指令値テーブル182は、格納した値を位相θacに応じて読出して減算部184へ出力する。
【0137】
減算部184は、位相θacに応じて交流電圧指令値テーブル182から読出される交流電圧指令Vacrから電圧Vacを減算し、その演算結果をPIテーブル186へ出力する。
【0138】
PIテーブル186は、各位相ごと(たとえば1度ずつ)にPI制御ゲインを有する。そして、PIテーブル186は、位相θacに応じて、対応するPI制御ゲインを減算部184の出力値に乗算して補償量を演算し、その演算した補償量を位相θacに対応するテーブルに格納する。そして、PIテーブル186は、交流電圧の次周期において、位相θacに応じてテーブル値を読出し、その読出した値を補償量として第2のインバータ制御部63Cへ出力する。
【0139】
再び図9を参照して、負荷電流補償部174は、ACポート40において検出される電流Iacの変化量に基づいて補償量を演算し、その演算した補償量を第2のインバータ制御部63Cへ出力する。
【0140】
上記の繰返し制御部172においては、交流電圧1周期分のむだ時間が存在するので、制御の応答性は高くはない。そこで、負荷変動に起因して発生する急峻な交流電圧の歪みを抑制するために、この負荷電流補償部174が設けられる。
【0141】
図12は、図9に示した負荷電流補償部174の詳細な機能ブロック図である。図12を参照して、負荷電流補償部174は、差分演算部192と、乗算部194とから成る。差分演算部174は、ACポート40において検出された、コネクタ50に接続される負荷装置に流される電流IacをACポート40から受け、その受けた電流Iacの前回値と今回値との差分を算出する。すなわち、差分演算部174は、負荷装置に流される負荷電流の変化量を算出する。
【0142】
乗算部194は、差分演算部174の出力値に所定のゲインKdを乗算し、その演算結果を補償量として第2のインバータ制御部63Cへ出力する。これにより、負荷装置に流される電流の変化量に応じた電圧補償が行なわれる。
【0143】
再び図9を参照して、第2のインバータ制御部63CのPWM信号生成部134は、変換部130からのモータジェネレータMG2の各相電圧指令にAC基本波生成部176からの交流電圧指令ならびに繰返し制御部172および負荷電流補償部174からの各補償量を重畳した電圧指令に基づいて、インバータ30に対応するPWM信号Pu2,Pv2,Pw2を生成し、その生成したPWM信号Pu2,Pv2,Pw2を信号PWM2としてインバータ30へ出力する。
【0144】
なお、上記においては、繰返し制御部172の交流電圧指令値テーブル182およびPIテーブル186における位相のサンプリング間隔を1度としたが、位相のサンプリング間隔はこれに限定されるものではなく、制御に対する要求精度や演算処理能力などに応じて設定することができる。
【0145】
以上のように、この実施の形態4によれば、繰返し制御部172により、インバータ20,30のデットタイムの影響による交流電圧の波形の歪みを抑制することができる。また、負荷電流補償部174により、急峻な負荷変動による交流電圧の波形の歪みを抑制することができる。
【0146】
なお、上記の各実施の形態1〜4においては、交流電圧出力装置は、昇圧コンバータ10を備えるものとしたが、昇圧コンバータ10を備えないシステムにおいても、この発明は適用可能である。
【0147】
また、上記においては、交流電圧出力装置はハイブリッド自動車に搭載されると説明したが、この発明においては、これに限らず、交流電圧出力装置は電気自動車(Electric Vehicle)または燃料電池自動車に搭載されてもよい。そして、この発明は、一般に2つのモータジェネレータを使用するものに適用可能である。また、この発明による交流電圧出力装置が電気自動車または燃料電池自動車に搭載される場合、モータジェネレータMG1,MG2は、電気自動車または燃料電池自動車の駆動輪に連結される。
【0148】
なお、上記において、モータジェネレータMG1,MG2は、それぞれこの発明における「第1の多相交流電動機」および「第2の多相交流電動機」に対応し、3相コイル12,14は、それぞれこの発明における「第1の多相巻線」および「第2の多相巻線」に対応する。また、インバータ20,30は、それぞれこの発明における「第1のインバータ」および「第2のインバータ」に対応し、第1および第2のインバータ制御部62,63は、この発明における「インバータ制御手段」を形成する。さらに、AC出力制御部64,64A〜64Cは、この発明における「交流電圧指令生成手段」に対応し、乗算部144および減算部146は、この発明における「分配手段」を形成する。また、さらに、ACポート40は、この発明における「電圧検出手段」に対応し、FB制御部142は、この発明における「フィードバック演算部」に対応する。
【0149】
また、さらに、第1および第2のインバータ制御部62,63は、それぞれこの発明における「第1のインバータ制御手段」および「第2のインバータ制御手段」に対応し、平均値演算部152、PI制御部154、加算部156および乗算部158は、この発明における「第1のフィードバック演算部」を形成する。また、さらに、PI制御部164は、この発明における「第2のフィードバック演算部」に対応し、エンジンENGは、この発明における「内燃機関」に対応する。
【0150】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】この発明の実施の形態1による交流電圧出力装置の全体ブロック図である。
【図2】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図3】図2に示すコンバータ制御部の機能ブロック図である。
【図4】図2に示す第1および第2のインバータ制御部ならびにAC出力制御部の詳細な機能ブロック図である。
【図5】インバータのスイッチングデューティーの総和および中性点間に発生する電圧の波形図である。
【図6】実施の形態2における制御装置の機能ブロック図である。
【図7】図6に示す第2のインバータ制御部およびAC出力制御部の詳細な機能ブロック図である。
【図8】実施の形態3における第1のインバータ制御部およびAC出力制御部の詳細な機能ブロック図である。
【図9】実施の形態4における第2のインバータ制御部およびAC出力制御部の詳細な機能ブロック図である。
【図10】図9に示す繰返し制御部の制御の考え方を説明するための図である。
【図11】図9に示す繰返し制御部の詳細な機能ブロック図である。
【図12】図9に示す負荷電流補償部の詳細な機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0152】
10 昇圧コンバータ、12,14 3相コイル、20,30 インバータ、22,32 U相アーム、24,34 V相アーム、26,36 W相アーム、40 ACポート、50 コネクタ、60,60A 制御装置、61 コンバータ制御部、62,62A 第1のインバータ制御部、63,63C 第2のインバータ制御部、64,64A〜64C AC出力制御部、70,72 電圧センサ、80,82 電流センサ、92 インバータ入力電圧指令演算部、94 フィードバック電圧指令演算部、96 デューティー比演算部、98 PWM信号変換部、100 交流電圧出力装置、102,122 電流変換部、104 MG1電流指令演算部、106,108,126,128,154,164 PI制御部、110,130 変換部、114,134 PWM信号生成部、124 MG2電流指令演算部、140,144,158,162,194 乗算部、142 FB制御部、146,184 減算部、152 平均値演算部、156 加算部、172 繰返し制御部、174 負荷電流補償部、176 AC基本波生成部、182 目標値テーブル、186 PIテーブル、192 差分演算部、B 蓄電装置、C1〜C3 コンデンサ、L リアクトル、Q1,Q2,Q11〜Q16,Q21〜Q26 npn型トランジスタ、D1,D2,D11〜D16,D21〜D26 ダイオード、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点、ACL1,ACL2 AC出力ライン、PL1,PL2 電源ライン、SL 接地ライン、UL1,UL2 U相ライン、VL1,VL2 V相ライン、WL1,WL2 W相ライン、ENG エンジン、DW 駆動輪。




 

 


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