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発明の名称 ロータの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−68356(P2007−68356A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−253411(P2005−253411)
出願日 平成17年9月1日(2005.9.1)
代理人 【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
発明者 渡辺 敦
要約 課題
本発明は、樹脂によりロータコアに磁石を確実に固定することができ、ロータコアが破断するのを防止できるロータの製造方法を提案すること目的とする。

解決手段
本発明は、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aとの間の寸法をコア端面磁石間寸法δとし、シリンダ23からスロット12sの内部に溶融した樹脂13を注入して、樹脂13がスロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間の全面にわたり樹脂13を充填できるスロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間の寸法の最低値をスロット磁石間最低寸法値とするときに、コア端面磁石間寸法δの値がスロット磁石間最低寸法値以上とする条件のもと、溶融した樹脂13をスロット12sの内部に注入して射出成形することによりロータコア12に永久磁石11を固定する工程を有することを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
電磁鋼板を積層してなる中空円筒形状のロータコアと、前記ロータコアの周縁近傍に設けられ前記ロータコアを軸方向に貫通する孔であるスロットと、前記スロットの内部に配置される磁石と、前記ロータコアの第1端面に配置され溶融する樹脂が注入されるシリンダを備える上型と、前記ロータコアの第2端面に配置され前記上型とにより前記ロータコアを加圧する下型とを備え、溶融した樹脂を前記スロットの内部に注入して射出成形することにより前記ロータコアに前記磁石を固定する工程を有するロータの製造方法において、
前記ロータコアの第1端面と前記磁石の端面との間の寸法をコア端面磁石間寸法とし、
前記上型に備えるシリンダから前記スロットの内部に溶融した樹脂を注入して、樹脂が前記スロットの下型側部分まで行きわたることにより前記スロットの内周面と前記磁石の側面との間の全面にわたり樹脂を充填することができる前記スロットの内周面と前記磁石の側面との間の寸法の最低値をスロット磁石間最低寸法値とするときに、
前記コア端面磁石間寸法の値が前記スロット磁石間最低寸法値以上とする条件のもと、溶融した樹脂を前記スロットの内部に注入して射出成形することにより前記ロータコアに前記磁石を固定する工程を有すること、
を特徴とするロータの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載するロータの製造方法において、
前記コア端面磁石間寸法の値は、前記上型および前記下型により前記ロータコアを加圧し溶融した樹脂を前記スロットの内部に注入して射出成形する時における値とする条件のもと、溶融した樹脂を前記スロットの内部に注入して射出成形することにより前記ロータコアに前記磁石を固定する工程を有すること、
を特徴とするロータの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに使用するロータについて、樹脂によりロータコアに磁石を固定する工程を有するロータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータに使用するロータについて、ロータコアに磁石を固定する方法として、樹脂を用いてロータコアに磁石を固定する方法がある。そこで、従来技術として、以下のような特許文献1の発明が存在する。
【0003】
図10は、特許文献1に開示されているロータ101の外観斜視図である。図11は、特許文献1に開示されているロータ101について樹脂113を流し込む前の分解斜視図である。図10および図11に示すように、ロータ101は、互いに隣接する磁石111の間に樹脂を流し込み、複数の永久磁石111をロータコア112に固定している。
【特許文献1】特開2001−298887(第0031段落、第1、2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ロータ101が構成されるモータが駆動すると、ロータ101が回転し永久磁石111には遠心力が作用する。しかしながら、永久磁石111の円周方向の両端部は樹脂で固定されているものの、永久磁石111の円周方向中心付近111aの外側は樹脂で固定されていない。そのため、ロータ101が回転することにより発生する遠心力による応力が永久磁石111の円周方向の両端部に存在する樹脂の部分に集中してしまう。従って、樹脂による固定が不十分になり、磁石111がロータコア112から剥がれてしまうおそれがある。
【0005】
また、樹脂213を用いてロータコア212に永久磁石211を固定したロータとして、図12に示すようなロータ201がある。図12は、電磁鋼板を積層してなる中空円筒形状のロータコア212の径方向から見た断面図である。図12に示すように、ロータコア212には永久磁石211を挿入するための貫通孔であるスロット212sが所定の周方向ピッチの間隔で複数設けられている。そして、このスロット212s内において樹脂213により永久磁石211を固定する。
【0006】
しかしながら、図12の領域Aで示されるようなステータコア212の外周側におけるスロット212sの内周面と永久磁石211の側面との隙間において、樹脂213の充填量に関する管理が不十分であるときには、樹脂213が充填されていない部分が存在する場合や、樹脂213の充填量が部分毎に不均一である場合などが生じるおそれがある。これらの場合には、ロータ201の回転時に生ずる遠心力により、樹脂213の充填がない部分や充填量が少ない部分に応力が集中してかかってしまう。このように、遠心力による応力集中が部分的に作用することにより、積層鋼板からなるロータコア212が破断するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、樹脂によりロータコアに磁石を確実に固定することができ、ロータコアが破断するのを防止できるロータの製造方法を提案すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下のような特徴を有する。
(1)本発明は、電磁鋼板を積層してなる中空円筒形状のロータコアと、ロータコアの周縁近傍に設けられロータコアを軸方向に貫通する孔であるスロットと、スロットの内部に配置される磁石と、ロータコアの第1端面に配置され溶融する樹脂が注入されるシリンダを備える上型と、ロータコアの第2端面に配置され上型とによりロータコアを加圧する下型とを備え、溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形することによりロータコアに磁石を固定する工程を有するロータの製造方法において、ロータコアの第1端面と磁石の端面との間の寸法をコア端面磁石間寸法とし、上型に備えるシリンダからスロットの内部に溶融した樹脂を注入して、樹脂がスロットの下型側部分まで行きわたることによりスロットの内周面と磁石の側面との間の全面にわたり樹脂を充填することができるスロットの内周面と磁石の側面との間の寸法の最低値をスロット磁石間最低寸法値とするときに、コア端面磁石間寸法の値がスロット磁石間最低寸法値以上とする条件のもと、溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形することによりロータコアに磁石を固定する工程を有することを特徴とする。
【0009】
(2)本発明は、(1)に記載するロータの製造方法において、コア端面磁石間寸法の値は、上型および下型によりロータコアを加圧し溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形する時における値とする条件のもと、溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形することによりロータコアに磁石を固定する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような特徴を有する本発明は、以下のような作用および効果が得られる。
(1)本発明は、電磁鋼板を積層してなる中空円筒形状のロータコアと、ロータコアの周縁近傍に設けられロータコアを軸方向に貫通する孔であるスロットと、スロットの内部に配置される磁石と、ロータコアの第1端面に配置され溶融する樹脂が注入されるシリンダを備える上型と、ロータコアの第2端面に配置され上型とによりロータコアを加圧する下型とを備え、溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形することによりロータコアに磁石を固定する工程を有するロータの製造方法において、ロータコアの第1端面と磁石の端面との間の寸法をコア端面磁石間寸法とし、上型に備えるシリンダからスロットの内部に溶融した樹脂を注入して、樹脂がスロットの下型側部分まで行きわたることによりスロットの内周面と磁石の側面との間の全面にわたり樹脂を充填することができるスロットの内周面と磁石の側面との間の寸法の最低値をスロット磁石間最低寸法値とするときに、コア端面磁石間寸法の値がスロット磁石間最低寸法値以上とする条件のもと、溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形することによりロータコアに磁石を固定する工程を有するので、スロットの内周面と磁石の側面との隙間の全面にわたり樹脂の充填量を十分与えることができることから樹脂モールドによりロータコアに磁石を確実に固定することができ、不均一な遠心力による応力集中を防止してロータコアが破断するのを防止できるロータの製造方法を実現することができる。
【0011】
(2)本発明は、(1)に記載するロータの製造方法において、コア端面磁石間寸法の値は、上型および下型によりロータコアを加圧し溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形する時における値とする条件のもと、溶融した樹脂をスロットの内部に注入して射出成形することによりロータコアに磁石を固定する工程を有するので、(1)に記載する効果に加えて、樹脂を射出成形するにあたってコア端面磁石間寸法の値が変化した時であってもスロットの内周面と磁石の側面との隙間の全面にわたり樹脂の充填量を十分与えることができることから樹脂モールドによりロータコアに磁石をより確実に固定することができ、不均一な遠心力による応力集中を防止してロータコアが破断するのをより確実に防止できるロータの製造方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。樹脂によりロータコアに磁石を固定するための樹脂モールド構造を示した断面図を図1に示す。図2はロータコア12の部分を抜き出してロータコア12の径方向から見た断面図である。図3は図2に示すA矢視図であり、ロータコア12の軸方向から見たときのスロット12sと永久磁石11の配置の様子を示している。図6〜図8は、図1の右半分の部分を示した断面図であり、樹脂13が流動する様子を示した図である。
【0013】
図1に示すように、樹脂モールド構造は、永久磁石11、ロータコア12、上型21、下型22などから構成される。ロータコア12は、多数の電磁鋼板を積層してなる中空円筒形状であって、上型21側の端面12aと下型22側の端面12bの両端面、そして中空部12cを有する。また、ロータコア12の周縁近傍には、軸方向にロータコア12を貫通する複数のスロット12sが等角度間隔(所定の周方向ピッチ)に設けられている。そして、図1に示すように、スロット12s内には、板厚方向に着磁された板状の永久磁石11がロータコア12の軸方向について上下2段配置されている。永久磁石11は、例えばフェライト磁石などの焼結磁石を使用する。そして、ロータコア12の軸方向から見ると、永久磁石11は図3に示すような状態でスロット12s内に配置されている。
【0014】
また、図1に示すように、ロータコア12の軸方向の両端面には円盤形状の上型21と下型22を配置する。上型21は、ロータコア12の端面12aと接する下面21aや円周方向に複数のシリンダ23を備えており、このシリンダ23は後述するプランジャ24が挿入できるように形成されている。また、上型21は、シリンダ23とロータコア12のスロット12sとの連通部25にシリンダ部下面21bを備える。なお、シリンダ23は、上型21と下型22をロータコア12の軸方向の両端面に取り付けたときに、ロータコア12の径方向についてロータコア12の中空部12cとスロット12sとの間に位置するように配置されている。
【0015】
このような構造のもと、上型21に設けられたシリンダ23内に樹脂13を装填し昇温軟化させた後、プランジャ24にてロータコア12側へ樹脂13を流し込む。樹脂13としては、例えばロータの回転に対する耐震動性などの強度に優れるエポキシ樹脂を使用する。すると、図6に示すように樹脂13は上型21のシリンダ部下面21bとロータコア12の上型21側の端面12aの間の連通部25に流れ込んだあと、永久磁石11が挿入されているスロット12s内へ流れ込む。そして、図7に示すようにロータコア12の端面12aと永久磁石11の上型21側の端面11aの間に流れ込み、図8に示すようにスロット12sの内周面と永久磁石11の側面の間へと流れ込む。その後、樹脂13が冷却して固まることによりロータコア12に永久磁石11が固定されることになる。
【0016】
ここで、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aとの隙間量(第1隙間量)と、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面の間のうち特にロータコア12の外周側の部分の隙間量(第2隙間量)との関係について考える。すると、第1隙間量が、第2隙間量よりも小さい場合には、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面の隙間の全面に樹脂13の充填圧力を十分に与えることができず、樹脂13が十分に行き渡らないおそれがある。このように、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面の隙間の全面に樹脂13が十分に行き渡らない場合には、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との隙間において、樹脂13が充填されていない部分が存在したり、樹脂13が充填されている部分であっても樹脂13の充填量が部分毎に不均一となってしまう。
【0017】
このように、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面の間のうち、特にロータコア12の外周側の部分について樹脂13が充填されていない部分が存在したり、樹脂13が充填されている部分であっても樹脂13の充填量が部分毎に不均一となってしまった場合には、ロータが回転して永久磁石11に生じる遠心力がロータコア12に作用したときに、ロータコア12において部分的に応力が集中する箇所が生じてロータコア12が破断するおそれがある。そのため、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との隙間の全面に樹脂13が十分に行き渡るようにして、確実にロータコア12に永久磁石11を固定させたい。
【0018】
そこで本発明では、樹脂13が流れ込む部分の諸寸法の間で成立する条件式を設定し、確実にロータコア12に永久磁石11を固定させることを提案する。図4は、図1の円で囲まれたAの部分の拡大図である。出願人は、図4に示すようなスロット12sの内周面と永久磁石11の側面の間であってロータコア12の外周側の部分の隙間αについて、樹脂13を全面にわたって充填できる隙間量について実験により検証した。具体的には、ロータ製造時の樹脂モールド時における樹脂13の充填圧力の再現のもと、隙間αの隙間量を50μm、100μm、150μmとした場合に、隙間αの全面にわたり樹脂13が充填できるか否かを検証した。なお、充填長さとして、ロータコア12の軸方向における任意の基準寸法(仕様1、約135mm)およびこの基準寸法よりも小さい寸法(仕様2、約70mm)の2つを設定して検証した。
【0019】
検証の結果、隙間αの隙間量を50μmとした場合には、隙間αにほとんど樹脂13を充填させることができなかった。これはエポキシ樹脂である樹脂13の流動性より、隙間αの隙間量が50μmの場合には、隙間αに樹脂13が流れにくくなるためと思われる。また、隙間αの隙間量を100μmとした場合には、隙間αに樹脂13が充填されていない部分が生じ、かつ樹脂13が充填されている部分であっても部分毎に充填量が不均一となってしまった。その一方で、隙間αの隙間量を150μmとした場合には、樹脂13が充填されていない部分が生じておらず、かつ樹脂13の充填量が均一の状態で隙間αの全面にわたり樹脂13が充填できた。以上の検証結果を図5に示す。図5では、隙間αの全面にわたり樹脂13が充填できた場合には「○」、隙間αの全面にわたり樹脂13が充填できなかった場合には「×」として示している。
【0020】
図5に示すように、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との隙間の全面に均一に樹脂13が行き渡るようにして、確実にロータコア12に永久磁石11を固定させるためには、ロータコア12や永久磁石11の寸法精度や樹脂13(エポキシ樹脂)の流動性も考慮に入れて、隙間αの隙間量の最低値は150μmと考えることが望ましいといえる。
【0021】
図4に示すように、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aの間の寸法をコア端面磁石間寸法δとする。そこで、コア端面磁石間寸法δと、隙間αの隙間量の最低値(スロット磁石間最低寸法値)との関係として、以下のような数式が成立するような条件式を設定する。
【数1】


数1に示す条件式により、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aとの隙間量が、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との隙間であってロータコア12の外周側の隙間である隙間αの全面に樹脂13が十分に行き渡るための隙間量の最低値以上となる。そのため、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間に流れ込む樹脂13の充填圧力を十分に得ることができ、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間に樹脂13を十分にかつ均等に行き渡らせることができ、確実にロータコア12に永久磁石11を固定させることができる。従って、ロータが回転して永久磁石11に生じる遠心力がロータコア12に作用したときに、永久磁石11の遠心力がロータコア12に均等に作用することになるので、ロータコア12が破断するのを防止できる。
【0022】
ここで、ロータコア12に対して上型21と下型22を非常に大きな荷重により型締めを行ない、スロット12s内へ樹脂13を流れ込ませる樹脂モールドを行なう際には、コア端面磁石間寸法δの値は変化してしまう。その理由は以下のとおりである。
【0023】
まずスロット12s内へ樹脂13を流れ込ませる樹脂モールド時には、樹脂13は昇温軟化させるので、樹脂13は高温状態となっている。そのため、樹脂13に接することになるロータコア12は、その材質が電磁鋼板からなるものなので熱膨張が生じて、ロータコア12の軸方向の寸法が拡張する。また、同じく樹脂13に接することになる永久磁石11は、焼結磁石であるので収縮する。従って、スロット12s内へ樹脂13を流れ込ませる樹脂モールドにより、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aの間の寸法であるコア端面磁石間寸法δの値が変化する。
【0024】
また、スロット12s内へ樹脂13を流れ込ませる樹脂モールド時においては、上型21と下型22をロータコア12の軸方向の両端面に取り付けて型締めを行なう必要があるが、この時、非常に大きな荷重により型締めを行なう必要がある。その理由は以下のとおりである。シリンダ23から供給される樹脂13は、上型21のシリンダ部下面21bとロータコア12の端面12aとの間で形成される連通路25を通ってロータコア12のスロット12s内へ流れ込む。このとき、型締めの荷重が不十分の場合には、連通路25から上型21の下面21aとロータコア12の端面12aとの隙間に樹脂13が漏れ出し、スロット12s内へ流れ込む樹脂13の量が不十分になるおそれがある。このように、スロット12s内へ流れ込む樹脂13の量が不十分になる場合には、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間に十分な樹脂13を充填できず、樹脂13が充填されない部分が生じ、永久磁石11をロータコア12に確実に固定できない。そこで、上型21と下型22をロータコア12の軸方向の両端面に取り付けて型締めを行なう際、非常に大きな荷重により型締めを行なう必要がある。参考までに一例として、ロータコア12の軸方向における任意の基準寸法(仕様1、約135mm)の場合では、約6トンの荷重を作用させる。
【0025】
このように、ロータコア12に対して上型21と下型22を非常に大きな荷重により型締めを行なうと、ロータコア12は多数の電磁鋼板を積層してなるものなので、その弾力性からロータコア12の軸方向の厚みが収縮してしまう。従って、ロータコア12に対して上型21と下型22により型締めを行なうことによっても、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aの間の寸法であるコア端面磁石間寸法δの値が変化する。
【0026】
そこで、参考までに任意の条件下における樹脂モールドによるコア端面磁石間寸法δの値の変化量、およびロータコア12に対する上型21と下型22による型締めによるコア端面磁石間寸法δの値の変化量の一例を示す。まず、樹脂モールドによるコア端面磁石間寸法δの値の変化量については、以下のとおりである。材料の熱膨張係数は永久磁石11よりもロータコア12のほうが大きいことから、摂氏25度の常温時におけるロータコア12の軸方向の寸法を任意の基準寸法とし、樹脂13の温度を摂氏165度とする場合には、コア端面磁石間寸法δは結果的に約250μm増加する。
【0027】
次に、ロータコア12に対する上型21と下型22による型締めによるコア端面磁石間寸法δの値の変化量については、以下のとおりである。図6は、ロータコア12の軸方向の寸法を任意の基準寸法として、ロータコア12に対する上型21と下型22による型締め時における荷重とロータコア12の軸方向の寸法との関係を示すために、横軸に上型21および下型22の型締めにおける荷重を取り、縦軸にロータコア12の軸方向の寸法(基準寸法を0とする)を取っている。図6に示すように、上型21および下型22の型締めにおける荷重の初期状態に対して型締め状態では、ロータコア12の軸方向の寸法が約400μm収縮し、コア端面磁石間寸法δの値は約400μm減少する。
【0028】
以上のように参考までに一例を示したに過ぎないが、その他の条件においても一般的に、ロータコア12に対する上型21と下型22による型締めによるコア端面磁石間寸法δの値の変化量が、樹脂モールドによるコア端面磁石間寸法δの値の変化量に比べて大きくなる。そのため、ロータコア12に対して上型21と下型22を非常に大きな荷重により型締めを行ない、スロット12s内へ樹脂13を流れ込ませて樹脂モールドを行なう際には、コア端面磁石間寸法δの値は減少する。ロータコア12の軸方向の寸法を任意の基準寸法とした前記の例では、コア端面磁石間寸法δの値が約150μm減少していることになる。
【0029】
そして、コア端面磁石間寸法δの値が減少した結果、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aとの隙間量が隙間αの隙間量の最低値よりも小さくなってしまった場合には、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との隙間に流れ込む樹脂13の充填圧力を十分に得ることができず、樹脂13が十分に行き渡らないおそれがある。
【0030】
このように、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間に樹脂13が十分に行き渡らない場合には、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間に樹脂13が充填されない部分が生じる。そのため、確実にロータコア12に永久磁石11を固定できないおそれがある。
【0031】
そこで本発明では、樹脂13が流れ込む部分の諸寸法の間で成立する条件式を設定し、確実にロータコア12に永久磁石11を固定させることを提案する。具体的には、図4に示すように、樹脂モールド時において上型21および下型22を締め付けた状態でのロータコア12の軸方向の寸法(厚みの寸法)をt1とし、樹脂モールド時においての永久磁石11の軸方向の寸法(厚みの寸法)をt2とする。
【0032】
そして、前記の数式1に加えて以下のような数式が成立するような条件式を設定する。
【数2】


このように数式2において、コア端面磁石間寸法δを、樹脂モールド時において上型21および下型22を締め付けた状態でのコア寸法t1から樹脂モールド時においての磁石寸法t2を引いた値と設定することにより、樹脂モールド時において上型21および下型22を締め付けることによりコア端面磁石間寸法δが下限値に減少した場合であっても、スロット磁石間寸法αで規定されるスロット12sの内周面と永久磁石11の側面の間に流れ込む樹脂13の充填圧力を十分に得ることができる。
【0033】
そのため、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面の間に樹脂13を十分に行き渡らせることができ、樹脂13により確実にロータコア12に永久磁石11を固定することができる。従って、ロータが回転して永久磁石11に生じる遠心力がロータコア12に作用したときに、永久磁石11の遠心力がロータコア12に均等に作用するので、ロータコア12が破断するのを防止できる。
【0034】
以上のような実施例により、以下の効果が得られる。
(1)本発明は、電磁鋼板を積層してなる中空円筒形状のロータコア12と、ロータコア12の周縁近傍に設けられロータコア12を軸方向に貫通する孔であるスロット12sと、スロット12sの内部に配置される永久磁石11と、ロータコア12の端面12aに配置され溶融する樹脂13が注入されるシリンダ23を備える上型21と、ロータコア12の端面12bに配置され上型21とによりロータコア12を加圧する下型22とを備え、溶融した樹脂13をスロット12sの内部に注入して射出成形することによりロータコア12に永久磁石11を固定する工程を有するロータの製造方法において、ロータコア12の端面12aと永久磁石11の端面11aとの間の寸法をコア端面磁石間寸法δとし、上型21に備えるシリンダ23からスロット12sの内部に溶融した樹脂13を注入して、樹脂13がスロット12sの下型22側部分まで行きわたることによりスロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間の全面にわたり樹脂13を充填することができるスロット12sの内周面と永久磁石11の側面との間の寸法の最低値をスロット磁石間最低寸法値とするときに、コア端面磁石間寸法δの値がスロット磁石間最低寸法値以上とする条件のもと、溶融した樹脂13をスロット12sの内部に注入して射出成形することによりロータコア12に永久磁石11を固定する工程を有するので、スロット12sの内周面と永久磁石11の側面との隙間の全面にわたり樹脂13の充填量を十分与えることができることから樹脂モールドによりロータコア12に永久磁石11を確実に固定することができ、不均一な遠心力による応力集中を防止してロータコア12が破断するのを防止できるロータの製造方法を実現することができる。
【0035】
(2)本発明は、(1)に記載するロータの製造方法において、コア端面磁石間寸法δの値は、上型21および下型22によりロータコア12を加圧し溶融した樹脂13をスロット12sの内部に注入して射出成形する時における値とする条件のもと、溶融した樹脂13をスロット12sの内部に注入して射出成形することによりロータコア12に永久磁石11を固定する工程を有するので、(1)に記載する効果に加えて、樹脂13を射出成形するにあたってコア端面磁石間寸法δの値が変化した時であってもスロット12sの内周面と永久磁石11の側面との隙間の全面にわたり樹脂13の充填量を十分与えることができることから樹脂モールドによりロータコア12に永久磁石11をより確実に固定することができ、不均一な遠心力による応力集中を防止してロータコア12が破断するのをより確実に防止できるロータの製造方法を実現することができる。
【0036】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様
々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】樹脂モールド構造を示した断面図である。
【図2】ロータコアを径方向から見たときの断面図である。
【図3】図2におけるA矢視図である。
【図4】諸寸法の設定状況を示す図である。
【図5】樹脂流動可能隙間を形成する隙間部分の軸方向の充填高さと樹脂流動可能隙間寸法との関係における実験結果を示すものである。
【図6】樹脂モールド構造において樹脂が連通路に流れ込んだ時の断面図である。
【図7】樹脂モールド構造において樹脂がロータコアの端面と永久磁石の端面の間に流れ込んだ時の断面図である。
【図8】樹脂モールド構造において樹脂がスロットの内周面と永久磁石の外周面の間に流れ込んだ時の断面図である。
【図9】型締めにおける荷重とロータコアの軸方向の寸法の関係を示す図である。
【図10】特許文献1に開示されているロータの外観斜視図である。
【図11】特許文献1に開示されているロータについて樹脂を流し込む前の分解斜視図である。
【図12】樹脂によりスロット内で永久磁石を固定する一般的なロータの断面図である。
【符号の説明】
【0038】
11 永久磁石
12 ロータコア
12s スロット
13 樹脂
21 上型
22 下型
23 シリンダ
24 プランジャ
25 連通路
δ コア端面磁石間寸法
α スロット磁石間寸法




 

 


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