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発明の名称 回転電機およびそれを搭載した自動車
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−43873(P2007−43873A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−228099(P2005−228099)
出願日 平成17年8月5日(2005.8.5)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 ▲高▼▲崎▼ 哲
要約 課題
回転電機に設置された温度検出装置の電気的絶縁を確保する回転電機およびそれを搭載した自動車を提供する。

解決手段
サーミスタ10とコネクタ20とを電気的に接続するための配線部材12Aは、導線14を覆う絶縁スリーブ16Aの全長を可変値とする。絶縁スリーブ16Aは、互いに径が異なる絶縁スリーブ16S,16Lからなる。絶縁スリーブ16Lは、一部が絶縁スリーブ16Sと重なり合い、長さ方向に可動性を持つ。ワニス処理において、絶縁スリーブ16Lをスライドさせて絶縁スリーブ16Aのサーミスタ10側の一方端面を後退させることで、ワニスがコネクタ20に浸透するのを防止できる。また、回転電機100をハウジングに収容するときに、絶縁スリーブ16Lをスライドさせて絶縁スリーブ16Aのサーミスタ10側の一方端面を前進させることで、導線14を一様に被覆することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに巻回されたステータコイルと、
前記ステータコイルのコイルエンド部の温度を検出して出力部から出力する温度検出装置とを備え、
前記温度検出装置は、
前記コイルエンド部に埋設された温度検出素子と、
前記温度検出素子と前記出力部との間に配設された導体からなる配線部材と、
絶縁性を有し、前記配線部材を被覆する被覆部材とを含み、
前記被覆部材は、前記配線部材の被覆部分の長さを可変とする手段を有する、回転電機。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記温度検出素子側の一方端面の位置が調整されることによって、前記配線部材の被覆部分の長さが変化する、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記被覆部材は、前記温度検出素子と前記配線部材との接続部分が被覆されるように、前記一方端面の位置が決められる、請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記被覆部材は、前記ステータコイルの絶縁処理工程において、前記ステータコイルに付着される絶縁材料が前記一方端面に接触しないように、前記一方端面の位置が決められ、前記回転電機を筐体に組付ける工程において、前記温度検出素子と前記配線部材との接続部分が被覆されるように、前記一方端面の位置が決められる、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記被覆部材は、前記配線部材の長さ方向に沿って、一部が互いに重なり合うように直列に配置された複数の筒状体を含み、
各前記複数の筒状体は、隣り合う筒状体との間において、径が互いに異なり、かつ、前記配線部材の長さ方向に可動性を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
各前記複数の筒状体の径は、前記隣り合う筒状体との接合面に所定の面圧が生じるように設定される、請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機を搭載した自動車。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転電機およびそれを搭載した自動車に関し、特に、回転電機に設置された温度検出装置の電気的絶縁を確保する回転電機およびそれを搭載した自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハイブリッド自動車や電気自動車(Electric Vehicle)などに動力源として搭載されるモータ等の回転電機においては、回転電機の過熱による運転効率(回転効率、発電効率)の低下を抑制するために、回転電機の温度を検出するための温度検出装置が設けられる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、車両用駆動装置に組込まれた回転電機の温度を、回転電機のステータのコイルエンド部に配置された温度センサにより検出する温度検出装置を開示する。これによれば、温度センサは、温度検出素子であるサーミスタを先端に配した細円筒状の形態からなり、その軸線をコイルエンド部の接線方向に向けてコイルエンド部のマグネットワイヤの間に挿入される。
【0004】
より具体的には、温度センサは、コイルエンド部の周方向における他の発熱体に隣接する部位に配置される。なお、他の発熱体とは、例えば、回転電機に隣接して駆動装置に組込まれた他の回転電機である。これによれば、単一の温度検出素子で、回転電機の最高温度点で温度を検出することができる。その結果、回転電機の過熱を確実に防止することができる。
【特許文献1】特開2005−86882号公報
【特許文献2】特開平10−160589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の車両用駆動装置内において、サーミスタがコイルエンド部に挿入されると、サーミスタから引出された配線は、配置上の制約を受けながら、回転電機のケースの内面と回転電機の外面との間に形成される間隙を引き回されることになる。このとき、配線は、絶縁被膜が施されているものの、回転電機の組付け時や駆動時において様々な応力が加わることによって被膜が損傷するおそれがある。その結果、回転電機の絶縁性能を低下させることになる。
【0006】
そこで、配線へのダメージを軽減するために、通常、絶縁被膜された配線をさらに絶縁スリーブに挿入して被覆する構成が採用される。これによれば、絶縁スリーブによって配線を外部からの応力から保護することができ、配線の電気的絶縁を確保することができる。
【0007】
しかしながら、上記の温度検出装置においては、温度センサの配線に絶縁スリーブを適用しても、依然として、配線の絶縁性能を保持することが難しいという問題が生じる。
【0008】
これは、絶縁スリーブのスリーブ長が所定の固定値であるのに対して、配線の長さには、サーミスタをコイルエンド部に挿入するときの挿入長さによってばらつきが生じてしまうことによる。詳細には、サーミスタをコイルエンド部に挿入するには、その軸線をコイルエンド部の接線方向に向ける等といった様々な配置上の制約があることから、コイルエンド部に挿入される配線の長さについては、一定長に揃えることが難しく、ばらつきを含んでしまうこととなる。そのため、コイルエンド部から引出された配線には、長さにばらつきが生じてしまい、配線上の絶縁スリーブに挿入されない部分については、依然として損傷のおそれが残されることとなる。このように、従来の温度検出装置においては、絶縁性能の改善に歯止めが掛かけられていた。
【0009】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、回転電機に設置された温度検出装置の電気的絶縁を確保する回転電機を提供することである。
【0010】
また、この発明の別の目的は、回転電機に設置された温度検出装置の電気的絶縁を確保する回転電機を搭載した自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、回転電機は、ステータと、ステータに巻回されたステータコイルと、ステータコイルのコイルエンド部の温度を検出して出力部から出力する温度検出装置とを備える。温度検出装置は、コイルエンド部に埋設された温度検出素子と、温度検出素子と出力部との間に配設された導体からなる配線部材と、絶縁性を有し、配線部材を被覆する被覆部材とを含む。被覆部材は、配線部材の被覆部分の長さを可変とする手段を有する。
【0012】
上記の回転電機によれば、温度検出素子を埋設したときに生じる配線部材の長さのばらつきによらず、常に配線部材の電気的絶縁を確保することができる。その結果、回転電機の絶縁性能が保持され、安定して動作することができる。
【0013】
好ましくは、被覆部材は、温度検出素子側の一方端面の位置が調整されることによって、配線部材の被覆部分の長さが変化する。
【0014】
上記の回転電機によれば、コイルエンド部に埋設される配線部材の長さにばらつきが生じても、配線部材は、常にその全長に渡って一様に被覆されることとなる。
【0015】
好ましくは、被覆部材は、温度検出素子と配線部材との接続部分が被覆されるように、一方端面の位置が決められる。
【0016】
上記の回転電機によれば、被覆部材の一方端面の位置を調整することによって、これまで電気的絶縁の確保が困難であった接続部分が被覆されるため、容易に配線部材を一様に被覆することができる。
【0017】
好ましくは、被覆部材は、ステータコイルの絶縁処理工程において、ステータコイルに付着される絶縁材料が一方端面に接触しないように、一方端面の位置が決められ、回転電機を筐体に組付ける工程において、温度検出素子と配線部材との接続部分が被覆されるように、一方端面の位置が決められる。
【0018】
上記の回転電機によれば、絶縁処理工程において、絶縁材料が温度検出装置の出力部に付着するのが回避される。また、回転電機を組付け後において配線部材が損傷するのを防止することができる。したがって、回転電機の絶縁性能を保持できるとともに、生産性を高めることができる。
【0019】
好ましくは、被覆部材は、配線部材の長さ方向に沿って、一部が互いに重なり合うように直列に配置された複数の筒状体を含む。各複数の筒状体は、隣り合う筒状体との間において、径が互いに異なり、かつ、配線部材の長さ方向に可動性を有する。
【0020】
上記の回転電機によれば、複数の筒状体をそれぞれ配線部材の長さ方向に相対的に移動させることによって、容易に被覆部材の長さを調整することができる。
【0021】
好ましくは、各複数の筒状体の径は、隣り合う筒状体との接合面に所定の面圧が生じるように設定される。
【0022】
上記の回転電機によれば、複数の筒状体は、互いの位置関係が面圧によって固定されることから、被覆部材を所望の長さに容易に保持することができる。
【0023】
この発明によれば、自動車は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機を搭載する。
【0024】
上記の自動車によれば、回転電機は絶縁性能が保持されたことによって安定した動作をすることから、安定した走行が実現される。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、温度検出素子を埋設したときに生じる配線部材の長さのばらつきによらず、常に配線部材の電気的絶縁を確保することができる。その結果、回転電機の絶縁性能が保持され、安定して動作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0027】
図1は、この発明による温度検出装置を搭載した回転電機のステータの平面図である。以下において、回転電機100をたとえば三相構成とする。
【0028】
図1を参照して、コイル510〜517は、U相コイルを構成し、コイル520〜527は、V相コイルを構成し、コイル530〜537は、W相コイルを構成する。コイル510〜517,520〜527,530〜537の各々は、略円弧形状からなる。コイル510〜517は、最外周に配置される。コイル520〜527は、コイル510〜517の内側であって、それぞれ、コイル510〜517に対して円周方向に一定距離だけずれた位置に配置される。コイル530〜537は、コイル520〜527の内側であって、それぞれ、コイル520〜527に対して円周方向に一定距離だけずれた位置に配置される。
【0029】
コイル510〜517,520〜527,530〜537の各々は、対応する複数のティースの各々に直列に巻回される。たとえば、コイル510は、ティース1〜5に対応する。そして、コイル510は、ティース1〜5の全体に外周から所定回数巻回されて形成される。
【0030】
コイル511〜517,520〜527,530〜537についても、それぞれ対応するティースにコイル510と同じようにして形成される。
【0031】
コイル510〜513は、直列に接続され、一方端が端子U1であり、他方端が中性点UN1である。コイル514〜517は、直列に接続され、一方端が端子U2であり、他方端が中性点UN2である。
【0032】
コイル520〜523は、直列に接続され、一方端が端子V1であり、他方端が中性点VN1である。コイル524〜527は、直列に接続され、一方端が端子V2であり、他方端が中性点VN2である。
【0033】
コイル530〜533は、直列に接続され、一方端が端子W1であり、他方端が中性点WN1である。コイル534〜537は、直列に接続され、一方端が端子W2であり、他方端が中性点WN2である。
【0034】
温度検出装置は、サーミスタ10と、コネクタ20と、サーミスタ10とコネクタ20とを電気的に接続するための配線部材12とを含む。
【0035】
サーミスタ10は、コイル510〜517,520〜527,530〜537がティースに巻回されたときに回転軸方向におけるステータコアの両側に形成されるコイルエンド部の任意の位置に埋設される。図1の例では、サーミスタ10は、細円筒状であって、その軸線が略円弧状のコイル517,526に沿うように配置される。そして、回転電機100のコイルに電流が流れてコイルおよびステータコアが発熱すると、サーミスタ10はモータ温度を検出する。すなわち、サーミスタ10は、この発明による温度検出装置において、モータ温度を検出するための「温度検出素子」を構成する。
【0036】
コネクタ20は、回転電機100が収容されるハウジング(図示せず)に装着され、ハウジング外部の制御装置(図示せず)の入力端子と結合される。これにより、サーミスタ10で検出されたモータ温度は、コネクタ20および入力端子を介して、制御装置に伝達される。
【0037】
配線部材12は、サーミスタ10とコネクタ20との間に配設される。配線部材12において、サーミスタ10との接続部分は、サーミスタ10と共にコイルエンド部に埋設される。そして、配線部材12の残りの部分は、コイルエンド部から引出されると、回転電機100およびハウジングとの電気的絶縁を確保しながら、ハウジング内部に配設される。
【0038】
図2は、図1に示す回転電機の概略断面図である。
図2を参照して、回転電機100は、ロータシャフト30と、ロータコア40と、磁石41と、ステータコア50と、コイル51と、絶縁紙60,70とを備える。
【0039】
ロータコア40は、ロータシャフト30の周りに固定されている。磁石41は、ロータコア40の外周部に配置される。
【0040】
ステータコア50は、ロータコア40に対向してロータコア40の外側に配置される。そして、ステータコア50は、回転電機100のハウジング(図示せず)に固定される。
【0041】
コイル51は、ステータコア50に巻回される。そして、コイル51は、U相コイル51C、V相コイル51BおよびW相コイル51Aからなる。なお、図2において、U相コイル51Cは、コイル510〜517を構成し、V相コイル51Bは、コイル520〜527を構成し、W相コイル51Aは、コイル530〜537を構成する。
【0042】
絶縁紙60は、U相コイル51Cのコイルエンド部とV相コイル51Bのコイルエンド部との間に挿入される。絶縁紙70は、V相コイル51Bのコイルエンド部とW相コイル51Aのコイルエンド部との間に挿入される。
【0043】
サーミスタ10は、U相コイル51C、V相コイル51BおよびW相コイル51Aのコイルエンド部に挿入される。そして、サーミスタ10から引出された配線部材12は、その一方端がコイルエンド部に埋設され、他方端がコネクタ20に結合される。
【0044】
さらに、U相コイル51C、V相コイル51BおよびW相コイル51Aの各々は、ステータコア50に巻回された後に、上述した絶縁紙60,70およびサーミスタ10が組み付けられると、コイルの巻線表面の電気的絶縁を確保するためにワニスと呼ばれる透明な表面被覆材を塗布するワニス処理が行なわれる。ワニスとしては、たとえば樹脂状の材料を溶媒に溶かした溶液が用いられる。ワニス処理を行なうことにより、U相コイル51C、V相コイル51BおよびW相コイル51Aは、絶縁紙60,70およびサーミスタ10と一体化された状態で硬化される。
【0045】
図3は、図1および図2における温度検出装置の一構成例を説明するための概略構成図である。
【0046】
図3を参照して、温度検出装置の一方端部には、サーミスタ10が配される。サーミスタ10は、細円筒状の樹脂からなる封止部材の内部に封入されている。
【0047】
サーミスタ10から引出された配線部材12は、より具体的には、導線14とこれを覆う絶縁スリーブ16とにより構成される。
【0048】
絶縁スリーブ16は、絶縁材料を用いて形成された筒状体からなり、内部に導線14が挿入されると、その挿入部分において導線14の電気的絶縁を確保する。なお、絶縁材料としては、たとえば無機系の絶縁材料(セラミックス、ガラス繊維等)が用いられる。
【0049】
図3の温度検出装置においては、上述したように、コイル51のコイルエンド部にサーミスタ10が埋め込まれ、サーミスタ10から引出された導線14がコネクタ20まで配設される。ここで、導線14を配設するにあたっては、コイルエンド部から突出した部分からコネクタ20との接続部分までの配線区間において、回転電機100の組付け時や駆動時に生じるハウジングとの摩擦などに起因して導線14の被膜が損傷するおそれがある。したがって、配線部材12の電気的絶縁を確保するためには、当該配線区間において、導線14が絶縁スリーブ16によって一様に被覆されていることが望ましい。
【0050】
これには、導線14のコイルエンド部への埋込み長さを予測し、導線14の全長からこの予測した埋込み長さを差し引いた長さと等しくなるように、絶縁スリーブ16の全長を設定する手法が、容易で、かつ確実であると思われる。
【0051】
しかしながら、この絶縁スリーブ16の全長をある一定値に固定する手段は、一見容易ではあるものの、実際には、以下に述べる不具合を伴なうため、絶縁性能の保持が困難とされる。
【0052】
詳細には、サーミスタ10のコイルエンド部への埋込みは、通常、回転電機100のステータの製造工程において、作業者による手作業によって行なわれる。そのため、サーミスタ10に接続された導線14のコイルエンド部に対する埋込み長さは、作業者間で長さが異なるという製造上のばらつきが生じてしまう。
【0053】
そのため、導線14を覆う絶縁スリーブ16を一定長とした場合、導線14を一様に被覆することができない場合が起こる。たとえば、導線14のコイルエンド部への埋込み長さが予め設計した値よりも短いときには、導線14の配線区間が設計値よりも長くなるため、絶縁スリーブ16のサーミスタ10側の一方端面が、導線14のコイルエンド部から突出した部分にまで及ばない。これにより、導線14には、絶縁スリーブ16により被覆されない部分、すなわち、剥き出し部分が形成される。そして、この剥き出し部分は、摩擦などの外部からの応力に弱いことから、導線14の被膜が損傷して絶縁不良を起こすおそれがある。
【0054】
一方、絶縁スリーブ16のサーミスタ10側の一方端面が導線14のコイルエンド部からの突出部分に十分到達しているときには、上記のような絶縁不良が解消されるものの、コイル51に施したワニス処理によりコネクタ20を損傷するという問題が新たに発生する。
【0055】
詳細には、図2に示したように、ステータコア50にコイル51を巻回して形成されたコイルエンド部に絶縁紙60,70とサーミスタ10とが挿入されると、コイル51の隙間にワニスを含浸させるワニス処理が施される。
【0056】
ここで、コイルエンド部に近接して絶縁スリーブ14の一方端面が存在する場合、ワニス処理において、筒状体の絶縁スリーブ14が液状のワニスに対して樋の働きをすることとなる。すなわち、液状のワニスが、絶縁スリーブ14の一方端面から侵入すると、絶縁スリーブ14の内周面を伝って流れ、絶縁スリーブ14の他方端面に位置するコネクタ20へと導かれる。そして、コネクタ20の内部に浸透したワニスが硬化すると、コネクタ20は、もはや外部の制御装置の入力端子と結合することができず、その機能が失われることになる。
【0057】
以上に述べたように、図3に示す温度検出装置においては、絶縁スリーブ14の全長を固定値としたことから、導線14の配線区間長に生じた製造ばらつきを吸収できず、絶縁性能の保持が困難となる可能性がある。また、回転電機100の生産性に支障が生じるという課題も存在する。
【0058】
そこで、この発明による回転電機では、図4に示す構成からなる温度検出装置を搭載する。
【0059】
図4は、この発明による温度検出装置の概略構成図である。
図4を参照して、この発明による温度検出装置は、図3の温度検出装置に対して、基本的な構成を同じくする。すなわち、温度検出装置は、サーミスタ10を温度検出素子として、サーミスタ10とコネクタ20とが配線部材12Aによって電気的に接続される。
【0060】
しかしながら、この発明による温度検出装置は、配線部材12Aにおいて、図3の温度検出装置とは異なる構造を有する。すなわち、配線部材12Aは、導線14を被覆する絶縁スリーブ16Aの全長を可変値とすることを特徴とする。
【0061】
絶縁スリーブ16Aは、図4に示すように、複数(たとえば2個)の絶縁スリーブ16S,16Lからなる。絶縁スリーブ16S,16Lは、いずれも筒状体であって、その径が互いに異なる。図4の例では、絶縁スリーブ16Lは、絶縁スリーブ16Sに対して、より大きい径を有する。そして、絶縁スリーブ16S,16Lは、長さ方向に沿ってその一部が互いに重なり合うように、直列に配列される。
【0062】
また、絶縁スリーブ16S,16Lは、一方が他方に対して長さ方向に可動できることを特徴とする。すなわち、絶縁スリーブ16Lは、絶縁スリーブ16Sに対して、図4の矢印で示す可動性を有する。たとえば、絶縁スリーブ16Lを右方矢印に従ってスライドさせると、絶縁スリーブ16Aの全長が短縮される。また、絶縁スリーブ16Lのサーミスタ10側の一方端面が後退することによって、導線14は、コイルエンド部からの突出部分が剥き出された状態となる。
【0063】
さらに、絶縁スリーブ16Lを左方矢印に従ってスライドさせると、絶縁スリーブ16Aの全長は伸張される。これにより、絶縁スリーブ16Lのサーミスタ10側の一方端面が前進し、導線14におけるコイルエンド部からの突出部分を完全に被覆することが可能となる。
【0064】
このように、この発明による温度検出装置は、配線部材12Aにおいて絶縁スリーブ16Aの長さを自在に調節することができる。これによれば、回転電機100の電気的絶縁を確保できるとともに、回転電機100の生産性を高めることができる。
【0065】
詳細には、回転電機100のコイル51にワニス処理を施すときは、図5に示すように、絶縁スリーブ16Aの全長を短縮させる。
【0066】
具体的には、ワニス処理においては、絶縁スリーブ16Lをスライドさせて、絶縁スリーブ16Aのサーミスタ10側の一方端面を後退させる。そして、この絶縁スリーブ16Aを短縮した状態で、コイル51をワニスに含浸させる。このとき、絶縁スリーブ16Aの一方端面がコイルエンド部から十分に離れていることから、図3で述べたような絶縁スリーブ16を伝ってワニスがコネクタ20に浸透するのを防止することができる。その結果、回転電機100の生産性が高められる。
【0067】
さらに、回転電機100をハウジングに収容するときには、図6に示すように、絶縁スリーブ16Aの全長を伸張させる。
【0068】
具体的には、回転電機100をハウジングに収容するときには、絶縁スリーブ16Lをスライドさせて、絶縁スリーブ16Aのサーミスタ10側の一方端面を前進させる。このとき、絶縁スリーブ16Aの一方端面がコイルエンド部にできる限り近接するように絶縁スリーブ16Lをスライドさせる。これによれば、回転電機100ごとに導線14のコイルエンド部への埋込み長さが異なる場合であっても、常に導線14が配線区間の全域に渡って絶縁スリーブ16Aにより被覆されることとなる。その結果、導線14の損傷による絶縁不良を回避することができ、配線部材12Aの電気的絶縁を確保することができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、絶縁スリーブ16Aを互いに径が異なる2個の絶縁スリーブ16L,16Sで構成したが、より多くの絶縁スリーブを用いて構成しても良い。この場合、複数個の絶縁スリーブは、長さ方向に沿って、隣り合う絶縁スリーブと一部が重なり合うように直列に配列される。そして、個々の絶縁スリーブを長さ方向にスライドさせることによって、絶縁スリーブの全長を調整することができる。
【0070】
また、絶縁スリーブ16L,16Sにおいて、互いに重なり合う部分の側面において所定の面圧が生じるように各々の径を設定すれば、絶縁スリーブ16Lをスライドさせた状態から更に移動するのを規制することができるため、容易に、絶縁スリーブ16Aを所望の長さに保つことができる。もしくは、絶縁スリーブ16Lをスライドさせた状態で、絶縁スリーブ16L,16Sをクランプなどで一体的に締めることによっても、両者の位置関係を固定して絶縁スリーブの全長を所望の長さに保つことができる。
【0071】
図7は、図4に示す温度検出装置が設置された回転電機100を搭載したハイブリッド自動車の概略ブロック図である。
【0072】
図7を参照して、ハイブリッド自動車200は、バッテリ210と、インバータ220と、ジェネレータ230と、モータ240と、チェーンベルト250と、動力分割機構260と、エンジン270と、減速機280と、駆動輪290L,290Rとを備える。ジェネレータ230およびモータ240は、図1に示す回転電機100からなる。
【0073】
バッテリ210は、直流電圧をインバータ220へ供給するとともに、インバータ220からの直流電圧によって充電される。インバータ220は、バッテリ220またはジェネレータ230からの直流電圧によってモータ240を駆動する。ジェネレータ230は、エンジン270の動力を動力分割機構260を介して受け、その受けた動力によって発電する。そして、ジェネレータ230は、発電した電力をインバータ220へ供給する。
【0074】
モータ240は、インバータ220によって駆動されると、動力分割機構260、チェーンベルト250および減速機280を介して駆動輪290L,290Rを駆動する。チェーンベルト250は、モータ240またはエンジン270の動力を動力分割機構260を介して受け、その受けた動力を減速機280へ伝達する。動力分割機構260は、エンジン270の動力をジェネレータ230およびモータ240に分割する。エンジン270は、動力を発生する。減速機280は、チェーンベルト250を介して受けたモータ240およびエンジン270の動力を要求される回転数、トルクおよび回転方向へ変換して駆動輪290L,290Rに伝達する。
【0075】
次に、図7に示すハイブリッド自動車200の動作について説明する。
スタートキーがオンされてエンジン270が始動される。そして、エンジン270は、動力を発生し、その発生した動力を動力分割機構260、チェーンベルト250および減速機280を介して駆動輪290L,290Rに伝達する。これにより、ハイブリッド自動車200は、発進する。
【0076】
通常走行時、動力分割機構260は、エンジン270の動力をジェネレータ230と、チェーンベルト250および減速機280へと分割する。チェーンベルト250および減速機280へ分割された動力は、駆動輪290L,290Rを直接駆動する。
【0077】
また、ジェネレータ230は、動力分割機構260からの動力により発電し、その発電した電力をインバータ220へ伝達する。インバータ220は、ジェネレータ230からの電力によりモータ240を駆動し、モータ240は、所定のトルクを発生する。そして、モータ240は、発生したトルクを動力分割機構260、チェーンベルト250および減速機280を介して駆動輪290L,290Rへ伝達する。
【0078】
このように、通常走行時、エンジン270の動力は、2分割され、ハイブリッド自動車200は、モータ240およびエンジン270により走行する。
【0079】
加速時、ハイブリッド自動車200は、通常走行時の動作に加え、バッテリ210からの電力によりモータ240を駆動して駆動力を追加する。
【0080】
低速走行時、ハイブリッド自動車200は、エンジン270を停止し、バッテリ210からの電力によりモータ240を駆動して低速走行を行なう。
【0081】
減速時または制動時、モータ240は、駆動輪290L,290Rの回転力を受けて発電し、その発電した電力によりバッテリ210を充電する。
【0082】
このように、ハイブリッド自動車200は、エンジン270の動力を駆動輪290L,290Rの駆動力をジェネレータ230の駆動力とに分割しながら、モータ240および/またはエンジン270により走行を行なう。そして、ハイブリッド自動車200は、減速時等の駆動輪290L,290Rを駆動しないとき、駆動輪290L,290Rの動力により発電を行ない、バッテリ210を充電する。
【0083】
ジェネレータ230およびモータ240は、上述した回転電機100からなるので、ステータコア51のコイルエンド部に設置された温度検出装置によってモータ温度が検出され、その検出されたモータ温度が所定の許容値を超えないように駆動制御される。これにより、ジェネレータ230およびモータ240の各々の運転効率が維持される。
【0084】
このとき、温度検出装置は、車両の振動などによって配線部材12Aに応力が作用しても、絶縁スリーブ16Aによって電気的絶縁が確保されることから、ジェネレータ230およびモータ240は安定して動作する。したがって、ハイブリッド自動車200は、安定して走行できる。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明は、モータ温度を検出する温度センサが配された回転電機およびそれを搭載した自動車に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明による温度検出装置を搭載した回転電機のステータの平面図である。
【図2】図1に示す回転電機の概略断面図である。
【図3】図1および図2における温度検出装置の一構成例を説明するための概略構成図である。
【図4】この発明による温度検出装置の概略構成図である。
【図5】図4の温度検出装置を搭載した回転電機の概略断面図である。
【図6】図4の温度検出装置を搭載した回転電機の概略断面図である。
【図7】図4に示す温度検出装置が設置された回転電機を搭載したハイブリッド自動車の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0088】
1〜5 ティース、10 サーミスタ、12,12A 配線部材、14 導線、16,16A,16L,16S 絶縁スリーブ、20 コネクタ、30 ロータシャフト、40 ロータ、41 永久磁石、50 ステータコア、51,510〜517,520〜527,530〜537 コイル、60,70 絶縁紙、100 回転電機、200 ハイブリッド自動車、210 バッテリ、220 インバータ、230 ジェネレータ、240 モータ、250 チェーンベルト、260 動力分割機構、270 エンジン、280 減速機、290L,290R 駆動輪。




 

 


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