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発明の名称 モータ制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−43853(P2007−43853A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−227045(P2005−227045)
出願日 平成17年8月4日(2005.8.4)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 河崎 高志 / 鐘本 宏行
要約 課題
位置センサからのパルス信号を係数する位置カウンタのカウンタ値がモータの実際の回転角に対応する値からずれたとしても、そのずれを新たなセンサ等を設けることなく無くすことのできるモータ制御装置を提供する。

解決手段
ブラシレスモータの各電気角センサからのパルス信号のエッジ発生毎に、前回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 と今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi との差(Pi −Pi-1 )が算出される。この差には、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれた状態になったとき、当該ずれが反映されることとなる。すなわち、そのずれの分だけ上記差が正常値Jからずれることになる。そして、この正常値Jに対する上記差のずれ量である補正値ΔPを用いて位置カウンタPのカウンタ値が補正される。
特許請求の範囲
【請求項1】
所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるブラシレスモータと、このブラシレスモータの回転に伴い同モータに設けられた複数の電気角センサから位相をずらして出力されるパルス信号の出力パターンに基づき前記ブラシレスモータの通電相を切り換えて同モータを駆動する駆動装置と、前記ブラシレスモータの回転に伴い各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔のパルス信号を出力する位置センサとを備え、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタのカウンタ値に基づき、前記ブラシレスモータの回転角を検出するモータ制御装置において、
各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出する算出手段と、
前記差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値に対する当該差(Pi −Pi-1 )のずれ量を補正値として設定し、当該補正値分の補正を前記位置カウンタのカウンタ値に加える補正手段と、
前記ずれ量の大きさが、そのずれを前記電気角センサの取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいとき、前記補正手段による補正を禁止する禁止手段と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記禁止手段は、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数の適正値が「n」であるとすると、その「n」という値よりも小さい値であって且つ前記電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因して生じ得る前記ずれ量の大きさの最大値に対応する値として設定される判定値に対し、前記ずれ量が同等以下となっていることに基づき、同ずれ量がそのずれを前記電気角センサの取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいと判断する
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のモータ制御装置において、
前記ブラシレスモータの回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断し、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数の適正値が「n」であるとすると、前記正常値をモータ正回転中であれば「n」に設定し、モータ逆回転中であれば「−n」に設定し、モータ正逆回転反転中であれば「0」に設定する設定手段を更に備える
ことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記ずれ量の大きさが前記エッジ数の適正値「n」よりも大きいとき、前記補正値に対し、「−n」という値での下限ガード、及び「n」という値での上限ガードを行うものである
請求項3記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記ブラシレスモータは、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を可変とするバルブリフト可変機構の駆動に用いられるものである
請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるブラシレスモータの制御装置に係り、詳しくは同モータの回転角検出に用いられる位置カウンタのカウンタ値の補正に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示されるブラシレスモータ等のモータをモータ制御装置により所定の回転角範囲内で回転駆動し、それによって各種機構を駆動することが行われている。この場合、各種機構を精密に駆動するには、モータの回転角を正確に検出し、その回転角を各種機構の目標とする駆動状態に対応した回転角とすることが重要になる。
【0003】
ここで、モータの回転角を検出する方法としては、特許文献2に示される方法、すなわちモータの回転に伴いパルス信号を出力する位置センサとしてエンコーダを設け、そのエンコーダからのパルス信号を計数するという方法を採用することが考えられる。この方法によれば、上記パルス信号を計数した値がモータの回転角に対応した値になり、上記パルス信号の計数値に基づきモータの回転角を検出することができるようになる。
【特許文献1】特開2004−194454公報
【特許文献2】特開2004−76265公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記エンコーダからのパルス信号のエッジを計数して得られる計数値は、常にモータの実際の回転角に対応しているとは限らず、その実際の回転角に対応した値からずれることがある。例えば、エンコーダから出力される信号にノイズが発生すると、そのノイズのエッジとエンコーダからのパルス信号のエッジとを見分けることができず、ノイズのエッジをパルス信号のエッジと誤認し、パルス信号のエッジを計数して得られる計数値がモータの実際の回転角に対応した値からずれる。この場合、計数値に基づき検出されるモータの回転角が不正確になり、その回転角等に基づきモータを駆動し、各種機器を目標とする駆動状態に制御しようとしても、それを正しく行えなくなるという不具合が生じる。
【0005】
こうした不具合を抑制するには、上記計数値における実際のモータの回転角に対するずれ量を求め、そのずれ量に対応する分の補正を当該計数値に加えて、その計数値を実際のモータ回転角に対応する値へと戻すことが必要になる。このため、モータの回転角を検出するリニアセンサ等を別途設け、同センサによって検出されるモータの回転角が上記計数値に基づき検出されるモータの回転角と対応していないとき、両者の差に基づいて計数値の補正に用いられる補正値を算出し、その補正値の分だけ計数値を補正することが考えられる。この場合、計数値における実際のモータ回転角に対応する値からのずれを無くすことはできるものの、そのためにリニアセンサ等を別途設けなければならず、リニアセンサ等の設置に手間がかかるとともに、同センサの設置に関係してモータの設置位置が制約を受けるという新たな問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、位置センサからのパルス信号を係数する位置カウンタのカウンタ値がモータの実際の回転角に対応する値からずれたとしても、そのずれを新たなセンサ等を設けることなく無くすことのできるモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるブラシレスモータと、このブラシレスモータの回転に伴い同モータに設けられた複数の電気角センサから位相をずらして出力されるパルス信号の出力パターンに基づき前記ブラシレスモータの通電相を切り換えて同モータを駆動する駆動装置と、前記ブラシレスモータの回転に伴い各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔のパルス信号を出力する位置センサとを備え、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタのカウンタ値に基づき、前記ブラシレスモータの回転角を検出するモータ制御装置において、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出する算出手段と、前記差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値に対する当該差(Pi −Pi-1 )のずれ量を補正値として設定し、当該補正値分の補正を前記位置カウンタのカウンタ値に加える補正手段と、前記ずれ量の大きさが、そのずれを前記電気角センサの取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいとき、前記補正手段による補正を禁止する禁止手段とを備えた。
【0008】
ブラシレスモータの回転時には、同モータの駆動に用いられる電気角センサからパルス信号が互いに位相をずらした状態で出力される。従って、各電気角センサからのパルス信号のエッジを計数すれば、その計数値に基づきブラシレスモータの回転角を大まかに検出することはできる。しかし、ブラシレスモータの回転角の検出に高精度が要求されるような場合には、上記のような大まかな回転角検出では検出精度が足りなくなる。このため、ブラシレスモータの回転に伴い各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔でパルス信号を出力する位置センサが設けられ、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータの回転角を検出することが行われている。これにより、ブラシレスモータの回転角の検出を高精度で行うことが可能になる。
【0009】
ところで、位置センサからの信号にノイズが発生し、そのノイズのエッジが位置センサからのパルス信号のエッジと誤認されて位置カウンタにより計数されるなど、位置カウンタのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応しなくなる状況が生じる可能性がある。この場合、位置カウンタのカウンタ値が、ブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれた状態になる。上記構成によれば、各電気角センサから出力されるパルス信号の今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と、前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )に、上記位置カウンタのカウンタ値における上記ブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれが反映される。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値からずれることになる。従って、正常値に対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量を補正値とし、当該補正値分の補正を位置カウンタのカウンタ値に加えることで、そのカウンタ値におけるブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれを無くすことができる。また、補正値を求めるための差(Pi −Pi-1 )を算出するのには、ブラシレスモータの駆動に用いられる電気角センサがあればよく、上記ずれを無くすために新たなセンサ等を設ける必要はない。
【0010】
また、モータ回転方向についての電気角センサの取り付け位置には、適正値に対するばらつきが生じることは避けられない。こうしたばらつきに起因して電気角センサからのパルス信号のエッジ発生タイミングが適正よりも早くなったり遅くなったりすると、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間における位置センサからのパルス信号のエッジ数にもばらつきが生じる。この場合、当該エッジ数のばらつきに対応する分だけ、上記差(Pi −Pi-1 )と正常値との間にずれが生じる。ただし、このずれは電気角センサの取り付け位置の適正値に対するばらつきに起因するものであり、位置センサからの信号でのノイズ発生等に起因するものではない。こうした原因により正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれが生じたとき、そのずれ量を補正値として設定し、当該補正値分の補正が位置カウンタのカウンタ値に加えられると、当該カウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれてしまう。
【0011】
しかし、上記構成によれば、上記ずれ量の大きさが、そのずれを電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因するものと判断できるほど小さいときには、上記補正値分の補正が位置カウンタのカウンタ値に加えられることが禁止される。このため、上記補正値分の補正が位置カウンタのカウンタ値に加えられることにより、当該カウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角からずれるのを回避することができる。
【0012】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記禁止手段は、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数の適正値が「n」であるとすると、その「n」という値よりも小さい値であって且つ前記電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因して生じ得る前記ずれ量の大きさの最大値に対応する値として設定される判定値に対し、前記ずれ量の大きさが同等以下となっていることに基づき、同ずれ量がそのずれを前記電気角センサの取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいと判断するものとした。
【0013】
上記のように判定値を設定することで、上記差(Pi −Pi-1 )の正常値に対するずれ量の大きさが判定値以下であることに基づき、同ずれ量がそのずれを前記電気角センサの取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいと的確に判断することができる。
【0014】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記ブラシレスモータの回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断し、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数の適正値が「n」であるとすると、前記正常値をモータ正回転中であれば「n」に設定し、モータ逆回転中であれば「−n」に設定し、モータ正逆回転反転中であれば「0」に設定する設定手段を更に備えた。
【0015】
位置カウンタのカウンタ値は、ブラシレスモータの正回転時に位置センサからのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ増加してゆき、ブラシレスモータの逆回転時には位置センサからのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ減少してゆく。このため、位置カウンタのカウンタ値が正常であるとき、差(Pi −Pi-1 )は、モータ正回転中であれば上記エッジ数nに対応して「n」となり、モータ逆回転中であれば「−n」となり、ブラシレスモータの正逆回転反転中であれば「0」となる。上記構成によれば、正常値がブラシレスモータの回転状態に応じて「n」、「−n」、及び「0」の間で切り換えられるため、その正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量の大きさが電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因するものと判断できるほど小さいか否かを的確に判断することができる。
【0016】
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、前記補正手段は、前記ずれ量の大きさが前記エッジ数の適正値「n」よりも大きいとき、前記補正値に対し、「−n」という値での下限ガード、及び「n」という値での上限ガードを行うものとした。
【0017】
電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因して差(Pi −Pi-1 )が正常値からずれるとき、それと同時に位置センサからの信号にノイズが発生すると、正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量の大きさがエッジ数nよりも大きくなる可能性がある。これは、上記ノイズの発生に起因する差(Pi −Pi-1 )の正常値に対するずれ量の大きさはエッジ数nに対応して「n」という大きさになり、そのずれに加えて上記電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因して差(Pi −Pi-1 )の正常値からのずれも生じるためである。このように、正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量が大きくなると、そのずれが電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因するものでない旨判断され、上記ずれ量を補正値として位置カウンタのカウンタ値が補正される。この場合、電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因した上記差(Pi −Pi-1 )の正常値からのずれ分だけ、位置カウンタのカウンタ値が余計に補正されてしまい、そのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれるという不具合が生じる。
【0018】
しかし、上記構成によれば、正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量の大きさが上記エッジ数nよりも大きいときには、上記補正値に対し「−n」という値での下限ガード、及び「n」という値での上限ガードが行われる。こうした補正値のガードを行うことで、当該補正値に電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因する差(Pi −Pi-1 )の正常値からのずれ量が反映されないようにすることができる。従って、ガード後の補正値分の補正を位置カウンタのカウンタ値に加えることで、当該カウンタ値について上記ノイズの発生に起因するブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれのみを修正することができる。以上により、上述した不具合、すなわち電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因した上記差(Pi −Pi-1 )の正常値からのずれ分だけ、位置カウンタのカウンタ値が余計に補正されてしまい、そのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれるという不具合が生じるのを回避することができる。
【0019】
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記ブラシレスモータは、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を可変とするバルブリフト可変機構の駆動に用いられるものとした。
【0020】
ブラシレスモータを内燃機関のバルブリフト可変機構の駆動に用いる場合、位置カウンタのカウンタ値に基づきブラシレスモータの回転角を検出し、その回転角が目標とするバルブ特性に対応した回転角となるようブラシレスモータが駆動される。これにより、機関バルブのバルブ特性が目標とするバルブ特性となるよう、バルブリフト可変機構が駆動制御されることとなる。しかし、電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因して、差(Pi −Pi-1 )が適正値からずれ、そのずれ量を補正値として位置カウンタのカウンタ値を補正すると、当該カウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれる。その結果、位置カウンタのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータの回転角が不正確になり、当該回転角に基づきブラシレスモータを駆動してバルブリフト可変機構を駆動制御しようとしても、それを正しく行えなくなって機関運転への悪影響に繋がる。上記構成によれば、電気角センサの取り付け位置のばらつきに起因して、差(Pi −Pi-1 )が適正値からずれるときには、上記補正値による位置カウンタのカウンタ値の補正が禁止されるため、当該カウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれのを回避することができる。従って、位置カウンタのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータの回転角に基づきブラシレスモータを駆動し、バルブリフト可変機構を駆動制御しようとするとき、それを正しく行えなくなって機関運転への悪影響に繋がるということはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を自動車用エンジンに適用した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。
図1は、エンジン1における所定気筒のシリンダヘッド2周りの構造を示す拡大断面図である。このエンジン1においては、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、及びピストン5によって燃焼室6が区画され、この燃焼室6には吸気通路7及び排気通路8が接続されている。そして、吸気通路7と燃焼室6との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、排気通路8と燃焼室6との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断されるようになる。
【0022】
シリンダヘッド2には、吸気バルブ9及び排気バルブ10を駆動するための吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12が設けられている。これら吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12は、エンジン1のクランクシャフトからの回転伝達によって回転するようになっている。また、吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12には、それぞれ吸気カム11a及び排気カム12aが設けられている。そして、これら吸気カム11a及び排気カム12aの吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12との一体回転を通じて、吸気バルブ9及び排気バルブ10が開閉動作するようになっている。
【0023】
また、エンジン1には、吸気バルブ9及び排気バルブ10といった機関バルブのバルブ特性を可変とするバルブリフト可変機構として、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角を可変とするバルブリフト可変機構14が吸気カム11aと吸気バルブ9との間に設けられている。このバルブリフト可変機構14の駆動を通じて、例えば吸入空気量を多く必要とするエンジン運転状態になるほど、最大リフト量及び作用角が大となるよう制御される。これは最大リフト量及び作用角を大とするほど、吸気通路7から燃焼室6への空気の吸入が効率よく行われ、上述した吸入空気量に関する要求を満たすことが可能なためである。
【0024】
次に、バルブリフト可変機構14の詳細な構造について説明する。
バルブリフト可変機構14は、回転する吸気カム11aにより押されて上記吸気カムシャフト11と平行に延びるロッカシャフト15及びコントロールシャフト16の軸線を中心に揺動する入力アーム17と、この入力アーム17の揺動に基づき上記軸線を中心に揺動する出力アーム18とを備えている。入力アーム17については、ローラ19が回転可能に取り付けられるとともに、そのローラ19が吸気カム11aに押しつけられるようコイルスプリング20によって吸気カム11a側に付勢されている。また、出力アーム18は、その揺動時にロッカアーム21に押しつけられ、同ロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせる。
【0025】
このロッカアーム21の基端部はラッシュアジャスタ22によって支持され、同ロッカアーム21の先端部は吸気バルブ9に接触している。また、ロッカアーム21は吸気バルブ9のバルブスプリング24によって出力アーム18側に付勢され、これによりロッカアーム21の基端部と先端部との間に回転可能に支持されたローラ23が出力アーム18に押しつけられている。従って、吸気カム11aの回転に基づき入力アーム17及び出力アーム18が揺動すると、出力アーム18がロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせ、吸気バルブ9の開閉動作が行われるようになる。
【0026】
バルブリフト可変機構14では、パイプ状のロッカシャフト15内に配置されたコントロールシャフト16を軸方向に変位させることで、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置を変更することが可能となっている。このように、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置を変更すると、上記吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの吸気バルブ9に対する作用角が可変とされる。即ち、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに接近させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は小となってゆく。逆に、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに離間させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は大となってゆく。
【0027】
次に、バルブリフト可変機構14を駆動すべく上記コントロールシャフト16を軸方向に変位させるための駆動機構、及び、その駆動機構を駆動制御する制御装置について、図2を参照して説明する。
【0028】
同図に示されるように、コントロールシャフト16の基端部(図中右端部)には、ブラシレスモータ47が変換機構48を介して連結されている。この変換機構48は、ブラシレスモータ47の回転運動をコントロールシャフト16の軸方向への直線運動に変換するためのものである。そして、上記ブラシレスモータ47の所定の回転角範囲内での回転駆動、例えば同モータ47の10回転分の回転角範囲(0〜3600°)内での回転駆動を通じて、コントロールシャフト16が軸方向に変位させられ、バルブリフト可変機構14が駆動されることとなる。
【0029】
ちなみに、ブラシレスモータ47を正回転させると、コントロールシャフト16は先端(図中左端)側に変位し、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに接近するように変更される。また、ブラシレスモータ47を逆回転させると、コントロールシャフト16は基端(図中右端)側に変位し、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに離間するように変更される。こうしたブラシレスモータ47の回転駆動による入力アーム17及び出力アーム18の揺動方向についての相対位置の変更を通じて、吸気カム11aの回転により出力アーム18が揺動したときの吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が可変とされる。
【0030】
ブラシレスモータ47には、三つの電気角センサS1〜S3、及び 二つの位置センサS4,S5が設けられている。
三つの電気角センサS1〜S3は、ブラシレスモータ47の回転時、同モータ47のロータと一体回転する4極の多極マグネットの磁気に応じて、図3(a)〜(c)に示されるようなパルス状の信号、すなわちハイ信号「H」とロー信号「L」とを交互に出力するものである。また、各電気角センサS1〜S3からのパルス信号は、互いに位相をずらした状態で出力されるようになっている。すなわち、こうしたパルス信号の波形が得られるよう、上記ロータに対する各電気角センサS1〜S3の周方向位置が定められている。なお、各電気角センサS1〜S3のうちの一つのセンサから出力されるパルス信号のエッジは、ブラシレスモータ47の45°回転毎に発生している。また、上記一つのセンサからのパルス信号は、他のセンサからのパルス信号に対し、ブラシレスモータ47の30°回転分だけ進み側及び遅れ側に位相をずらした状態となっている。
【0031】
二つの位置センサS4,S5は、ブラシレスモータ47の回転時、同モータ47のロータと一体回転する48極の多極マグネットの磁気に応じて、図3(d)及び(e)に示されるようなパルス状の信号、すなわちハイ信号「H」とロー信号「L」とを交互に出力するものである。また、各位置センサS4,S5からのパルス信号は、互いに位相をずらした状態で出力されるようになっている。すなわち、こうしたパルス信号の波形が得られるよう、上記ロータに対する各位置センサS4,S5の周方向位置が定められている。なお、各位置センサS4,S5の内の一方のセンサから出力するパルス信号のエッジは、ブラシレスモータ47の7.5°回転毎に発生している。また、上記一方のセンサからのパルス信号は、他方のセンサからのパルス信号に対し、ブラシレスモータ47の3.75°回転分だけ位相をずらした状態となっている。
【0032】
従って、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間隔が15°であるのに対し、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔は3.75°と上記15°というエッジ間隔よりも短くなっている。更に、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生から次回のエッジ発生までには、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジが4回発生するようになっている。
【0033】
コントロールシャフト16を軸方向に変位させるべく回転駆動されるブラシレスモータ47の制御装置は、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角といった吸気バルブ9のバルブ特性の制御など、エンジン1の各種制御を行う電子制御装置50(図2)を備えている。この電子制御装置50は、上記各種制御にかかる演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
【0034】
電子制御装置50の入力ポートには、上述した電気角センサS1〜S3及び位置センサS4,S5が接続されるほか、更に以下のセンサを含む各種センサが接続されている。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ51。
【0035】
・エンジン1の吸気通路7に設けられたスロットルバルブの開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ52。
・上記吸気通路7を通じて燃焼室6に吸入される空気の量を検出するエアフローメータ53。
【0036】
・エンジン1の出力軸の回転に対応する信号を出力してエンジン回転速度の検出等に用いられるクランクポジションセンサ54。
・自動車の運転者により切り換え操作され、現在の切換位置に対応した信号を出力するイグニッションスイッチ55。
【0037】
また、電子制御装置50の出力ポートには、ブラシレスモータ47の駆動回路等が接続されている。電子制御装置50は、上記各種センサから入力した検出信号に基づきエンジン運転状態を把握する。そして、その把握したエンジン運転状態に基づきブラシレスモータ47を駆動してコントロールシャフト16を軸方向に変位させることで、バルブリフト可変機構14が駆動されて吸気バルブ9のバルブ特性制御が行われる。なお、ブラシレスモータ47の駆動は、各電気角センサS1〜S3から出力される同モータ47の回転時のパルス信号の出力パターンに応じて、ブラシレスモータ47の通電相を切り換えることによって行われる。
【0038】
吸気バルブ9のバルブ特性、すなわち吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は、コントロールシャフト16の軸方向位置、言い換えればブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲内での回転角に対応したものとなる。従って、吸気バルブ9のバルブ特性を精密に制御するには、ブラシレスモータ47の回転角を正確に検出し、その回転角が目標とするバルブ特性に対応する回転角となるようブラシレスモータ47を駆動することが重要になる。
【0039】
以下、本実施形態におけるブラシレスモータ47の回転角の検出手順について、図3のタイミングチャート及び図4のフローチャートを併せ参照して説明する。
図3において、(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転時における同モータ47の回転角変化に対し、各センサS1〜S5からパルス信号がどのように出力されるかを示す波形図である。また、(f)〜(h)ではそれぞれ、ブラシレスモータ47の回転時における同モータ47の回転角の変化に対し、電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値がどのように推移するかを示している。
【0040】
なお、上記電気角カウンタEは、ブラシレスモータ47を駆動すべく同モータ47の通電相を切り換える際に用いられるものである。また、上記位置カウンタPは、エンジン1を運転開始する際のイグニッションスイッチ55のオン操作(イグニッションオン)後、コントロールシャフト16が軸方向にどれだけ変位したか、言い換えればブラシレスモータ47の回転角がどれだけ変化したかを表すものである。更に、上記ストロークカウンタSは、コントロールシャフト16の最も先端側に変位した状態を基準とする軸方向位置、言い換えればブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲におけるコントロールシャフト16の上記変位状態に対応する端を基準とした同モータ47の回転角を表すものである。
【0041】
図4は、上記電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値を変化させるためのカウント処理ルーチンを示すフローチャートである。同ルーチンは、電子制御装置50を通じて、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する時間間隔よりも短い間隔をもって周期的に実行される。
【0042】
同ルーチンにおいては、まず図3(a)〜(c)に示される各電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに基づき、図3(f)に示されるように電気角カウンタEのカウンタ値を変化させる(S101)。
【0043】
より詳しくは、図5(a)に示されるように、各電気角センサS1〜S3から各々ハイ信号「H」とロー信号「L」とのいずれが出力されているかに応じて、電気角カウンタEのカウンタ値が「0」〜「5」の範囲内の連続した整数値のうちのいずれかが当てはめられる。その結果、ブラシレスモータ47の正回転時(図3中右向き)には、「0」〜「5」の範囲内の整数値が「0」→「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「0」といった順序で順方向に電気角カウンタEのカウンタ値として当てはめられる。また、ブラシレスモータ47の逆回転時(図3中左向き)には、電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに応じて、「0」〜「5」の範囲内の各整数値が「5」→「4」→「3」→「2」→「1」→「0」→「5」といった順序で逆方向に電気角カウンタEのカウンタ値として当てはめられる。
【0044】
そして、この電気角カウンタEのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータ47の通電層を切り換えることで、同モータの正回転方向または逆回転方向への駆動が行われる。
続いて、各位置センサS4,S5から互いに位相をずらした状態で出力されるパルス信号の出力パターンに基づき、位置カウンタPのカウンタ値を増減させる(図4のS102)。
【0045】
詳しくは、図5(b)に示されるように、位置センサS4,S5のうち、一方のセンサからパルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとのいずれが生じているか、及び、他方のセンサからハイ信号「H」とロー信号「L」とのいずれが出力されているかに応じて、位置カウンタPのカウンタ値に対し「+1」と「−1」とのいずれかが加算される。なお、同図において、「↑」はパルス信号の立ち上がりエッジを表し、「↓」はパルス信号の立ち下がりエッジを表している。こうした処理を通じて得られる位置カウンタPのカウンタ値は、各位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジを計数した値ということになる。
【0046】
ここで、ブラシレスモータ47の正回転中であれば、位置カウンタPのカウンタ値は、図3(d)及び(e)に示される位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ加算されてゆき、図3(g)中の右方向に変化してゆく。また、ブラシレスモータ47の逆回転中であれば、位置カウンタPのカウンタ値は、上記エッジ毎に「1」ずつ減算されてゆき、図3(g)中の左方向に変化してゆく。なお、この位置カウンタPは、イグニッションスイッチ55のオフ操作(イグニッションオフ)がなされたとき、「0」にリセットされる。従って、位置カウンタPのカウンタ値は、イグニッションオン後にコントロールシャフト16が軸方向にどれだけ変位したかを表すものとなる。
【0047】
そして、図3(g)に示されるように変化する位置カウンタPに応じて、図3(h)に示されるようにストロークカウンタSが変化させられるようになる。具体的には、位置カウンタPに対して学習値Prの正負を反転させた値(−Pr)を加算して得られる値がストロークカウンタSのカウンタ値として設定される(図4のS103)。なお、上記学習値Prは、コントロールシャフト16をその移動範囲における図2の左端(先端)側の変位端まで変位させたとき、すなわちブラシレスモータ47の回転角を上記所定の回転角範囲内における上記コントロールシャフト16の変位状態に対応する端まで変化させたときの位置カウンタPのカウンタ値に対応した値である。この学習値Prは、イグニッションオン後に所定の条件下で学習が行われて電子制御装置50の不揮発性メモリ56に記憶されるものである。従って、位置カウンタPのカウンタ値に学習値Prの正負を反転させた値を加算して得られる値であるストロークカウンタSのカウンタ値は、コントロールシャフト16の最も先端側に変位した状態を基準とする同シャフト16の軸方向位置を表すものということになる。このことは言い換えれば、ストロークカウンタSのカウンタ値が、ブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲におけるコントロールシャフト16の上記変位状態に対応する端を基準とした同モータ47の回転角を表すものになるということである。
【0048】
電子制御装置50は、上記ストロークカウンタSのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータ47の回転角を検出する。そして、電子制御装置50は、バルブリフト可変機構14を駆動して吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角といったバルブ特性を制御する際、上記のように検出されたブラシレスモータ47の回転角が目標とするバルブ特性に対応する回転角となるようブラシレスモータ47を駆動する。これにより、吸気バルブ9のバルブ特性を目標とする特性へと精密に制御することができるようになる。
【0049】
なお、ブラシレスモータ47の回転時に位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジを上述したように計数する代わりに、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジを計数しても、その計数値に基づきブラシレスモータ47の回転角を大まかにならば検出することは可能である。しかし、バルブリフト可変機構14を駆動するうえでのブラシレスモータ47の回転角の検出のように、同モータ47の回転角の検出に高精度が要求されるような場合には、上記のような大まかな回転角検出では検出精度が足りなくなる。このため、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔でパルス信号を出力する位置センサS4,S5が設けられ、それら位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタPのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータ47の回転角検出が行われている。
【0050】
ところで、位置カウンタPのカウンタ値は、常にブラシレスモータ47の実際の回転角に対応しているとは限らず、その実際の回転角に対応した値からずれることがある。例えば、位置センサS4,S5から出力される信号にノイズが発生すると、そのノイズのエッジと位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジとを見分けることができず、ノイズのエッジをパルス信号のエッジと誤認し、パルス信号のエッジを計数する位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角と対応しなくなる。
【0051】
以下、上記不具合発生の詳細について、モータ正回転中に上記ノイズが発生した場合、及び、モータ逆回転中に上記ノイズが発生した場合を例に、図6を参照して説明する。なお、図6において、(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、位置カウンタPのカウンタ値の推移を表している。
【0052】
ブラシレスモータ47の正回転中、例えば図6(a)に示されるように、位置センサS4からの信号にノイズが発生し、そのノイズが位置センサS5からのパルス信号の立ち下がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングa,b,cでの位置センサS4,S5からの信号の出力パターンは、図7(a)に示されるようなパターンとなる。その結果、タイミングa,b,cでそれぞれ位置カウンタPのカウンタ値に「−1」が加算され、図6(d)のタイミングa,b,cでは当該カウンタ値が破線で示されるように「1」ずつ減少してゆく。一方、仮に上記ノイズが発生していないとすれば、タイミングa,b,cではタイミングbで位置カウンタPのカウンタ値に「1」が加算されるだけとなるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、タイミングc以降、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ小さくなる。
【0053】
ブラシレスモータ47の逆回転中、例えば図6(a)に示されるノイズが発生し、そのノイズが位置センサS5からのパルス信号の立ち上がりエッジと重なった場合にも、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれることになる。すなわち、上記ノイズの発生しているタイミングc,b,aでの位置センサS4,S5からの信号の出力パターンが図7(b)に示されるようなパターンとなり、タイミングc,b,aでそれぞれ位置カウンタPのカウンタ値に「1」が加算され、図6(e)のタイミングc,b,aでは当該カウンタ値が破線で示されるように「1」ずつ増加してゆく。一方、仮に上記ノイズが発生していないとすれば、タイミングc,b,aではタイミングbで位置カウンタPのカウンタ値に「−1」が加算されるだけとなるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、タイミングa以降、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ大きくなる。
【0054】
以上のように、位置センサS4,S5から出力される信号にノイズが発生し、そのノイズが位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジと重なると、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角と対応しなくなる。その結果、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の実際の回転角が不正確になり、その回転角等に基づきブラシレスモータ47を駆動し、吸気バルブ9のバルブ特性を目標の特性に制御しようとしても、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がる。より詳しくは、吸気バルブ9のバルブ特性を目標の特性に制御できないことから、当該バルブ特性に基づくエンジン1の吸入空気量の正しい推定を行えなくなり、ひいては推定される吸入空気量に基づきエンジン1を運転制御する際にエンジン1のエミッション不良や加速不良を招くこととなる。
【0055】
上述したノイズに起因する不具合の発生を抑制するためには、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量を求め、そのずれ量に対応する分の補正を当該カウンタ値に加えて、そのカウンタ値をブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値に戻すことが必要になる。このため、[発明が解決しようとする課題]の欄に記載したように、ブラシレスモータ47の実際の回転角を検出するリニアセンサ等を別途設け、そのセンサによって検出される回転角が位置カウンタPのカウンタ値等に基づき検出される回転角と対応していないとき、両者の差に基づき求められる補正値の分だけカウンタ値を補正することも考えられる。しかし、この場合には、リニアセンサ等の設置に手間がかかるとともに、同センサの設置に関係してブラシレスモータ47の搭載位置が制約されるという新たな問題が生じることは、[発明が解決しようとする課題]の欄に記載したとおりである。
【0056】
そこで本実施形態では、ブラシレスモータ47の駆動に用いられる電気角センサS1〜S3からのパルス信号を利用して、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量を求め、そのずれ量に対応する補正を上記カウンタ値に加えるようにしている。より詳しくは、以下の[1]〜[3]の処理を実行することで、上述した位置カウンタPのカウンタ値の補正を行い、同カウンタ値をブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値に戻すようにしている。
【0057】
[1]各電気角センサS1〜S3から出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタPのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出する。
【0058】
[2]電気角カウンタEのカウンタ値の変化に基づきブラシレスモータ47の回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断する。より詳しくは、各電気角センサS1〜S3からのパルス信号の前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とにおける各々の電気角カウンタEの変化方向に基づき、ブラシレスモータ47が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のいずれであるかを判断する。すなわち、図8に示されるように、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタEの変化方向について、それらが共に順方向であればモータ正回転中である旨の判断を行い、それらが共に逆方向であればモータ逆回転中である旨の判断を行う。また、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタEの変化方向が順方向と逆方向とで異なっていれば、モータ正逆回転反転中である旨の判断を行う。そして、ブラシレスモータ47の回転状態に応じて差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値Jを可変設定する。この正常値Jの可変設定では、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数の適正値「n(本実施形態では「4」)」に関係して、正常値Jがモータ正回転中であれば「n」とされ、モータ逆回転中であれば「−n」とされ、モータ正逆回転反転中であれば「0」とされる。
【0059】
[3]上記正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を補正値ΔPとし、当該補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加える。
この場合、上記ノイズの発生に起因して位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応しなくなり、その実際の回転角に対応する値からずれた状態になると、上記差(Pi −Pi-1 )に位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値からのずれが反映される。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれることになる。従って、上記[3]の処理で算出される補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、そのカウンタ値におけるブラシレスモータ47における実際の回転角に対応する値からのずれを無くすことができる。このため、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角に基づきブラシレスモータ47を駆動し、バルブリフト可変機構14を駆動制御しようとするとき、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がることはない。また、補正値ΔPを求めるための差(Pi −Pi-1 )を算出するのには、ブラシレスモータ47の駆動に用いられる電気角センサS1〜S3があればよく、上記異常発生の検出のために新たなセンサ等を設ける必要はない。
【0060】
次に、上述した補正値ΔPによる位置カウンタPのカウンタ値の補正の概要について、ブラシレスモータ47の正回転中及び逆回転中での上記補正を例に、図6を参照して説明する。
【0061】
ブラシレスモータ47の正回転中、図6(a)に示されるようにノイズが発生すると、図6(d)に示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ小さくなることは上述したとおりである。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「3」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=4)に対し「−4」だけずれた「0」になる。このことは、言い換えれば上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=4)に対し上述したエッジ数n分だけずれていることを意味する。
【0062】
そして、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「3」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、正常値J(=4)に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )=4」を補正値ΔPとし、当該補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(二点鎖線)に加えられる。その結果、図6(d)に黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
【0063】
ブラシレスモータ47の逆回転中、図6(a)に示されるようにノイズが発生すると、図6(e)に示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ大きくなることも上述した。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「3」から「2」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=−4)に対し「4」だけずれた「0」になる。このことは、言い換えれば上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=4)に対し上述したエッジ数n分だけずれていることを意味する。
【0064】
そして、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「1」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、正常値J(=−4)に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )=−4」を補正値ΔPとし、当該補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(二点鎖線)に加えられる。その結果、図6(e)に黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
【0065】
ところで、上記差(Pi −Pi-1 )と正常値Jとの間にずれが生じる原因としては、位置センサS4,S5からの信号でのノイズ発生の他にも、電気角センサS1〜S3の取り付け位置に周方向についてのばらつきが生じることもあげられる。ここで、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれる理由について図9を参照して説明する。なお、図9において(a)〜(g)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する電気角センサS1〜S3からのパルス信号の波形、位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、位置カウンタPのカウンタ値の推移を表している。
【0066】
例えばブラシレスモータ47の正回転中、電気角センサS1〜S3の取り付け位置に周方向についてのばらつきが生じると、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生タイミングが、例えば図9の(a)や(b)に破線で示されるように、適正なタイミング(実線)よりも早くなったり遅くなったりする。その結果、各電気角センサS1〜S3から出力されるパルス信号のエッジ間における位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ数にもばらつきが生じる。この図の例では、電気角カウンタEが「1」となる期間中のエッジ数、及び、電気角カウンタEが「3」となる期間中のエッジ数が、共に適正値「n(=4)」から「5」へとずれる。また、電気角カウンタEが「2」となる期間中のエッジ数は、適正値「n(=4)」から「2」へとずれることになる。
【0067】
上記のように、各電気角センサS1〜S3から出力されるパルス信号のエッジ間における位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ数にばらつきが生じると、当該エッジ数のばらつきに対応する分だけ、差(Pi −Pi-1 )と正常値Jとの間にずれが生じる。詳しくは、電気角カウンタEが「1」から「2」へと変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時(タイミングa)には、上記差(Pi −Pi-1 )の正常値J(=4)に対するずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が「−1」となる。また、電気角カウンタEが「2」から「3」へと変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時(タイミングb)には、上記差(Pi −Pi-1 )の正常値J(=4)に対するずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が「2」となる。更に、電気角カウンタEが「3」から「4」へと変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時(タイミングc)には、上記差(Pi −Pi-1 )の正常値J(=4)に対するずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が「−1」となる。
【0068】
上述した正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれは、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因するものであり、位置センサS4,S5からの信号でのノイズ発生に起因するものではない。こうした原因により正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれが生じたとき、そのずれ量を補正値ΔPとし、当該補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えると、当該カウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(図9(g)の実線)からずれることになる。
【0069】
具体的には、タイミングaにて上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が「−1」となるため、このずれ量が補正値ΔPとして設定されて位置カウンタPのカウンタ値の補正に用いられると、当該カウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、黒矢印Y1で示されるように「−1」だけずれることになる。また、タイミングbでは上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が「2」となるため、このずれ量が補正値ΔPとして設定されて位置カウンタPのカウンタ値の補正に用いられると、当該カウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、黒矢印Y2で示されるように「1」だけずれることになる。なお、その後のタイミングcでは上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が「−1」となり、このずれ量が補正値ΔPとして設定されて位置カウンタPのカウンタ値の補正に用いられると、当該カウンタ値が黒矢印Y3で示されるようにブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に戻るようにはなる。
【0070】
このように、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jに対しずれた場合に、そのずれ量を補正値ΔPとして位置カウンタPのカウンタ値に用いたとしても、タイミングcでは位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に戻る。ただし、タイミングaからタイミングbまでの間、及び、タイミングbからタイミングcまでの間では、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるようにずれることになる。このため、タイミングa〜cの期間中、位置カウンタPのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の実際の回転角が不正確になり、その回転角等に基づきブラシレスモータ47を駆動し、吸気バルブ9のバルブ特性を目標の特性に制御しようとしても、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がる。
【0071】
ここで、電気角センサS1〜S3からの信号でのノイズ発生に起因して、上記差(Pi −Pi-1 ))が正常値Jからずれる際には、そのずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが上述したエッジ数n(=4)と等しくなる。これに対し、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して、上記差(Pi −Pi-1 ))が正常値Jからずれる際には、そのずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが上述したエッジ数n(=4)よりも小さくなる。これは、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して上記差(Pi −Pi-1 ))と正常値Jとの間に生じるずれ量の大きさは、上記ノイズの発生に起因して生じるずれ量の大きさに比べて小さいものにしかならないためである。
【0072】
この実施形態では、上記ずれの発生原因の違いにより、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさに違いが生じることに着目し、当該ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが、そのずれを電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいとき、補正値ΔPによる位置カウンタPのカウンタ値の補正を禁止する。
【0073】
より詳しくは、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが、上述したエッジ数nよりも小さい値である判定値h以下の場合には、補正値ΔPを「0」に設定して当該補正値ΔPによる位置カウンタPのカウンタ値の補正が行われないようにする。上記判定値hとしては、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきによって生じ得る上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさの最大値が用いられる。なお、この実施形態では、上記判定値hの具体例として、例えば「2」という値が用いられている。
【0074】
上述したように補正値ΔPによる位置カウンタPのカウンタ値の補正を禁止することで、図9のタイミングa〜cでの当該カウンタ値の黒矢印Y1〜Y3で示される補正が行われることはなくなる。その結果、タイミングaからタイミングbまでの間、及び、タイミングbからタイミングcまでの間において、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるようにずれるのを回避することができる。
【0075】
次に、位置カウンタPのカウンタ値が正しい値からずれたときに当該カウンタ値を正しい値に戻すための補正手順について、位置カウンタ補正ルーチンを示す図10及び図11のフローチャートを参照して説明する。この位置カウンタ補正ルーチンは、電子制御装置50を通じて、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する時間間隔よりも短い間隔をもって周期的に実行される。
【0076】
同ルーチンにおいては、まず上記[1]の処理として、ステップS201〜S203(図10)の処理が実行される。すなわち、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジが発生したとき(S201:YES)、位置カウンタPのカウンタ値が電子制御装置50のメモリに記憶され(S202)、今回のエッジ発生時のカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時のカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が算出される(S203)。
【0077】
続いて、上記[2]の処理として、ステップS204〜S208の処理が実行される。すなわち、電気角センサS1〜S3からのパルス信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタEの変化方向に基づきブラシレスモータ47の回転状態が判断され、その回転状態に応じて上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jが可変設定される。具体的には、正常値Jは、モータ正回転中(S204:YES)であれば「4」に設定され(S206)、モータ逆回転中(S205:YES)であれば「−4」に設定され(S207)、モータ正逆回転反転中(S204、S205で共にNO)であれば「0」に設定される(S208)。
【0078】
その後、上記[3]の処理として、ステップS209〜S214(図11)の処理が実行される。すなわち、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が補正値ΔPとして設定される(S209)。そして、ステップS210〜S213での補正値ΔPに対する各種処理を経た後、当該補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられる(S214)。これにより、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応した値からずれていたとしても、そのずれが修正されることとなる。
【0079】
次に、ステップS210〜S213での補正値ΔPに対する各種処理について、詳しく説明する。
この一連の処理では、まずずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが判定値h以下であるか否かが判断される(S210)。ここでは、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが、そのずれを電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいか否かが判断される。そして、ステップS201で肯定判定がなされ、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが、そのずれを電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さい旨判断されると、補正値ΔPが「0」に設定される(S211)。これにより、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して上記差(Pi −Pi-1 )と正常値Jとの間にずれが生じている場合に、そのずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることはなくなる。そして、その補正によって位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるのを回避することができるようになる。
【0080】
ところで、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれるとき、それと同時に位置センサS4,S5からの信号にノイズが発生すると、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさがエッジ数n(=4)よりも大きくなる可能性がある。これは、上記ノイズの発生に起因する正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさは、上述したエッジ数nに対応して「n(=4)」という大きさになり、そのずれに加えて電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jに対するずれも生じるためである。そして、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさがエッジ数n(=4)よりも大きくなるということは、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが判定値h(=2)よりも大きくなるということであり、そのときのずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を補正値ΔPとして位置カウンタPのカウンタ値が補正されることを意味する。この場合、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因した上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jに対するずれ分だけ、位置カウンタPのカウンタ値が余計に補正されてしまい、そのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるという不具合が生じる。
【0081】
こうした不具合を回避することを目的として、ステップS210で否定判定がなされたとき、ステップS212,S213の処理が実行される。すなわち、上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが、上記ノイズの発生に起因して生じる正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれの大きさ、すなわちエッジ数nに対応した「n(=4)」という値よりも大きいか否かが判断される(S212)。そして、ここで肯定判定であれば、補正値ΔP(=ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」)に対し、「−n=(−4)」での下限ガード、及び「n(=4)」での上限ガードが行われる(S213)。
【0082】
上記のように補正値ΔPに対しガードを行うことにより、当該補正値ΔPに電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因した上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jに対するずれ分が反映されないようにすることができる。従って、ガード後の補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、当該カウンタ値について上記ノイズの発生に起因するブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれのみを修正することができる。以上により、上述した不具合、すなわち電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因した上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jに対するずれ分だけ、位置カウンタPのカウンタ値が余計に補正されてしまい、そのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるという不具合が生じるのを回避することができる。
【0083】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生毎に、前回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 と今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi との差(Pi −Pi-1 )が算出される。この差(Pi −Pi-1 )には、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれた状態になったとき、当該ずれが反映されることとなる。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれることになる。従って、正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を補正値ΔPとし、当該補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、そのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれを無くすことができる。また、補正値ΔPを求めるための差(Pi −Pi-1 )を算出するのには、ブラシレスモータ47の駆動に用いられる電気角センサS1〜S3があればよく、上記ずれを無くすために新たなセンサ等を設ける必要はない。
【0084】
(2)上記差(Pi −Pi-1 )と正常値Jとの間にずれが生じる原因としては、電気角センサS1〜S3の取り付け位置に周方向についてのばらつきが生じることもあげられる。こうした原因により正常値Jからの上記差(Pi −Pi-1 )のずれが生じたとき、そのずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を補正値ΔPとして位置カウンタPのカウンタ値の補正に用いると、当該カウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれてしまう。しかし、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが、そのずれを電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきによるものと判断できるほど小さいときには、上記補正値ΔPが「0」に設定されて当該補正値ΔPにより位置カウンタPのカウンタ値が補正されることは禁止される。これにより、上述したように補正値ΔP分の補正を通じて位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるのを回避することができる。従って、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角が不正確な値になるのを回避することができる。そして、位置カウンタPのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角に基づき同モータ47を駆動し、バルブリフト可変機構14を駆動制御しようとするとき、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がるということもなくなる。
【0085】
(3)位置カウンタPのカウンタ値は、ブラシレスモータ47の正回転中には位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ増加してゆき、ブラシレスモータ47の逆回転中には位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ減少してゆく。このため、位置カウンタPのカウンタ値が正常であるとき、上記差(Pi −Pi-1 )は、モータ正回転中であれば上記エッジ数n(=4)に対応して「4」となり、モータ逆回転中であれば「−4」となり、モータ正逆回転反転中であれば「0」となる。これに対応して、差(Pi −Pi-1 )の正常値Jがブラシレスモータ47の回転状態に応じて「4」、「−4」、及び「0」の間で切り換えられる。従って、その正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが判定値h以下か否か、言い換えれば上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因するものであると判断できるほど小さいか否かを的確に判断することができる。
【0086】
(4)また、上記判定値hとしては、エッジ数n(=4)よりも小さい値であり、且つ、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因するずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさの最大値(この実施形態では「2」)が用いられている。従って、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが判定値h以下であることに基づき、上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが、そのずれを電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因するものであると判断できるほど小さいとの判断を的確に行うことができる。
【0087】
(5)電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因して上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれるとき、それと同時に位置センサS4,S5からの信号にノイズが発生すると、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさがエッジ数n(=4)よりも大きくなる可能性がある。この場合、ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさが判定値h(=2)よりも大きくなるため、そのときのずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を補正値ΔPとして位置カウンタPのカウンタ値が補正されるおそれがある。こうした補正が行われると、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきに起因した上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jに対するずれ分だけ、位置カウンタPのカウンタ値が余計に補正されてしまい、そのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるという不具合が生じる。しかし、上記ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさがエッジ数nよりも大きい場合には、補正値ΔP(=ずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」)に対し、「−n」での下限ガード、及び「n」での上限ガードが行われる。こうしたガード後の補正値ΔPを用いて位置カウンタPのカウンタ値を補正することで、当該カウンタ値について上記ノイズの発生に起因するブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれのみを修正することができる。従って、上述した不具合が生じるのを回避することができる。
【0088】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・ステップS213で用いられる判定値hとしてエッジ数nよりも小さい値である「2」を例示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、判定値hは、電気角センサS1〜S3の取り付け位置のばらつきによって生じ得るずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」の大きさの最大値であればよく、同最大値が「2」以外の値となる場合には、その値を判定値hとすることが好ましい。
【0089】
・電気角センサ数の変更や同センサの検出対象である多極マグネットの極数の変更を通じて、各電気角センサからのパルス信号のエッジ間隔を変更することも可能である。
・位置センサ数の変更や同センサの検出対象である多極マグネットの極数の変更を通じて各位置センサからのパルス信号のエッジ間隔を変更することも可能である。
【0090】
・本実施形態では、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数の適正値「n」を「4」に設定したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、エッジ数nについては、ブラシレスモータ47の回転角検出精度を確保し得る位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する値であればよく、「2」以上の整数値に適宜変更可能である。このようにエッジ数nを変更する際には、位置カウンタの数や位置、及び、それら位置センサの検出対象である多極マグネットの極数が適宜変更されることとなる。
【0091】
・ブラシレスモータ47と一体回転する多極マグネットの磁気に応じてパルス信号を出力する位置センサS4,S5を設ける代わりに、ブラシレスモータ47の回転に伴いパルス信号を出力する他のセンサ、例えば光学式のセンサを設けることも考えられる。この場合、ブラシレスモータ47と一体回転するスリット付円板の厚さ方向側方にそれぞれ発光素子と受光素子を備える光学式のセンサを周方向に複数設け、ブラシレスモータ47の回転時に当該各センサからパルス信号を出力させるようにすることが考えられる。この場合の各センサからのパルス信号の出力パターンについては、スリット付円板におけるスリットのパターン、及び、光学式のセンサの数や位置によって調整される。
【0092】
・上記実施形態では、ブラシレスモータ47の回転運動をコントロールシャフト16の軸方向への運動に変換し、そのコントロールシャフト16の軸方向変位を通じて駆動されるバルブリフト可変機構を例示したが、本発明のバルブリフト可変機構はこれに限定されない。例えば、ブラシレスモータ47の回転運動を直接的に受けて駆動されるバルブリフト可変機構を採用することも可能である。
【0093】
・バルブリフト可変機構14を駆動するブラシレスモータ47に本発明を適用したが、それ以外の各種機構を駆動するブラシレスモータに本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本実施形態のバルブリフト可変機構が適用されるエンジンのシリンダヘッド周りの構造を示す拡大断面図。
【図2】上記バルブリフト可変機構を駆動すべくコントロールシャフトを軸方向に変位させるための駆動機構、及び、その駆動機構を駆動制御する制御装置を示す略図。
【図3】(a)〜(h)は、ブラシレスモータの回転角の変化に対する電気角センサS1〜S3のパルス信号の波形、位置センサS4,S5のパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、位置カウンタPのカウンタ値の推移、及び、ストロークカウンタSのカウンタ値の推移を示すタイミングチャート。
【図4】電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値を変化させる手順を示すフローチャート。
【図5】(a)は電気角センサS1〜S3からの信号に応じて変化する電気角カウンタEのカウンタ値の変化態様を示す表、(b)は位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表。
【図6】(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、位置カウンタPのカウンタ値の推移を示すタイミングチャート。
【図7】(a)は図6(d)のタイミングa,b,cでの位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表、(b)は図6(e)のタイミングc,b,aでの位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表。
【図8】電気角センサS1〜S3からのパルス信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタEの変化方向と、ブラシレスモータの回転状態との関係を示す表。
【図9】(a)〜(g)は、ブラシレスモータの回転角の変化に対する電気角センサS1〜S3のパルス信号の波形、位置センサS4,S5のパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、位置カウンタPのカウンタ値の推移、及び、ストロークカウンタSのカウンタ値の推移を示すタイミングチャート。
【図10】位置カウンタPのカウンタ値が正しい値からずれたときに当該カウンタ値を正しい値に戻すための補正手順を示すフローチャート。
【図11】位置カウンタPのカウンタ値が正しい値からずれたときに当該カウンタ値を正しい値に戻すための補正手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0095】
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、5…ピストン、6…燃焼室、7…吸気通路、8…排気通路、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、11a…吸気カム、12…排気カムシャフト、12a…排気カム、14…バルブリフト可変機構、15…ロッカシャフト、16…コントロールシャフト、17…入力アーム、18…出力アーム、19…ローラ、20…コイルスプリング、21…ロッカアーム、22…ラッシュアジャスタ、23…ローラ、24…バルブスプリング、47…ブラシレスモータ、48…変換機構、50…電子制御装置(駆動装置、算出手段、補正手段、禁止手段、設定手段)、51…アクセルポジションセンサ、52…スロットルポジションセンサ、53…エアフローメータ、54…クランクポジションセンサ、55…イグニッションスイッチ、56…不揮発性メモリ、S1〜S3…電気角センサ、S4,S5…位置センサ。




 

 


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