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発明の名称 モータ制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−37335(P2007−37335A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−218933(P2005−218933)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 河崎 高志 / 鐘本 宏行
要約 課題
位置センサからのパルス信号を係数する位置カウンタのカウンタ値がモータの実際の回転角に対応する値からずれたとしても、そのずれを新たなセンサ等を設けることなく無くすことのできるモータ制御装置を提供する。

解決手段
ブラシレスモータの各電気角センサからのパルス信号のエッジ発生毎に、前回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 と今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi との差(Pi −Pi-1 )が算出される。この差には、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれた状態になったとき、当該ずれが反映されることとなる。すなわち、そのずれの分だけ上記差が正常値Jからずれることになる。そして、この正常値Jに対する上記差のずれ量である第1の補正値ΔPを用いて位置カウンタPのカウンタ値が補正される。
特許請求の範囲
【請求項1】
所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるブラシレスモータと、このブラシレスモータの回転に伴い同モータに設けられた複数の電気角センサから位相をずらして出力されるパルス信号の出力パターンに応じて電気角カウンタのカウンタ値を変化させ、その電気角カウンタのカウンタ値に基づき前記ブラシレスモータの通電相を切り換えることで同モータを駆動する駆動装置と、前記ブラシレスモータの回転に伴い各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔のパルス信号を出力する位置センサとを備え、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタのカウンタ値に基づき、前記ブラシレスモータの回転角を検出するモータ制御装置において、
各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出する算出手段と、
前記電気角カウンタのカウンタ値の変化に基づき前記ブラシレスモータの回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断し、そのブラシレスモータの回転状態に応じて前記差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値を可変設定する設定手段と、
前記正常値に対する前記差(Pi −Pi-1 )のずれ量を第1の補正値とし、当該第1の補正値分の補正を前記位置カウンタのカウンタ値に加える第1の補正手段と、
前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生時、前記電気角カウンタのカウンタ値が通常あり得ない変化を示したとき、前記第1の補正手段による補正を無効にするための第2の補正値を設定し、当該第2の補正値分の補正を前記位置カウンタのカウンタ値に加える第2の補正手段と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記第2の補正手段は、前記位置カウンタのカウンタ値におけるブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれに影響を及ぼす第1の補正値の正負を反転させた値を、前記第2の補正値として設定する
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数が「n」であるとすると、前記電気角センサからの前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とで共に電気角カウンタのカウンタ値がモータ正回転方向への変化を示したことに基づき前記ブラシレスモータの正回転中である旨判断して前記正常値を「n」に設定し、前記電気角センサからの前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とで共に電気角カウンタのカウンタ値がモータ逆回転方向への変化を示したことに基づき前記ブラシレスモータの逆回転中である旨判断して前記正常値を「−n」に設定し、前記電気角センサからの前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタのカウンタ値の変化がモータ正回転方向への変化とモータ逆回転方向への変化とで異なっていることに基づき前記ブラシレスモータの正逆回転反転中である旨判断して前記正常値を「0」に設定するものであり、
前記第2の補正手段は、前記電気角カウンタのカウンタ値がモータ正回転方向についての通常あり得ない変化を示したとき前記第2の補正値を「n」に設定し、前記電気角カウンタのカウンタ値がモータ逆回転方向についての通常あり得ない変化を示したとき前記第2の補正値を「−n」に設定するものである
請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記電気角カウンタは、前記ブラシレスモータの正回転時には各電気角センサからのパルス信号の出力パターンに応じて「0」〜「m」の範囲内の連続した各整数値を順方向にカウンタ値として当てはめ、前記ブラシレスモータの逆回転時には各電気角センサからのパルス信号の出力パターンに応じて「0」〜「m」の範囲内の連続した各整数値を逆方向にカウンタ値として当てはめるものであり、
前記第2の補正手段は、前記電気角カウンタのカウンタ値が順方向に整数値を一つとばして変化したことに基づき当該カウンタ値がモータ正回転方向について通常あり得ない変化を示したと判断し、前記電気角カウンタのカウンタ値が逆方向に整数値を一つとばして変化したことに基づき当該カウンタ値がモータ逆回転方向について通常あり得ない変化を示したと判断するものである
請求項3記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記ブラシレスモータは、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を可変とするバルブリフト可変機構の駆動に用いられるものである
請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるブラシレスモータの制御装置に係り、詳しくは同モータの回転角検出に用いられる位置カウンタのカウンタ値の補正に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示されるブラシレスモータ等のモータをモータ制御装置により所定の回転角範囲内で回転駆動し、それによって各種機構を駆動することが行われている。この場合、各種機構を精密に駆動するには、モータの回転角を正確に検出し、その回転角を各種機構の目標とする駆動状態に対応した回転角とすることが重要になる。
【0003】
ここで、モータの回転角を検出する方法としては、特許文献2に示される方法、すなわちモータの回転に伴いパルス信号を出力する位置センサとしてエンコーダを設け、そのエンコーダからのパルス信号を計数するという方法を採用することが考えられる。この方法によれば、上記パルス信号を計数した値がモータの回転角に対応した値になり、上記パルス信号の計数値に基づきモータの回転角を検出することができるようになる。
【特許文献1】特開2004−194454公報
【特許文献2】特開2004−76265公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記エンコーダからのパルス信号のエッジを計数して得られる計数値は、常にモータの実際の回転角に対応しているとは限らず、その実際の回転角に対応した値からずれることがある。例えば、エンコーダから出力される信号にノイズが発生すると、そのノイズのエッジとエンコーダからのパルス信号のエッジとを見分けることができず、ノイズのエッジをパルス信号のエッジと誤認し、パルス信号のエッジを計数して得られる計数値がモータの実際の回転角に対応した値からずれる。この場合、計数値に基づき検出されるモータの回転角が不正確になり、その回転角等に基づきモータを駆動し、各種機器を目標とする駆動状態に制御しようとしても、それを正しく行えなくなるという不具合が生じる。
【0005】
こうした不具合を抑制するには、上記計数値における実際のモータの回転角に対するずれ量を求め、そのずれ量に対応する分の補正を当該計数値に加えて、その計数値を実際のモータ回転角に対応する値へと戻すことが必要になる。このため、モータの回転角を検出するリニアセンサ等を別途設け、同センサによって検出されるモータの回転角が上記計数値に基づき検出されるモータの回転角と対応していないとき、両者の差に基づいて計数値の補正に用いられる補正値を算出し、その補正値の分だけ計数値を補正することが考えられる。この場合、計数値における実際のモータ回転角に対応する値からのずれを無くすことはできるものの、そのためにリニアセンサ等を別途設けなければならず、リニアセンサ等の設置に手間がかかるとともに、同センサの設置に関係してモータの設置位置が制約を受けるという新たな問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、位置センサからのパルス信号を係数する位置カウンタのカウンタ値がモータの実際の回転角に対応する値からずれたとしても、そのずれを新たなセンサ等を設けることなく無くすことのできるモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、所定の回転角範囲内での回転駆動が行われるブラシレスモータと、このブラシレスモータの回転に伴い同モータに設けられた複数の電気角センサから位相をずらして出力されるパルス信号の出力パターンに応じて電気角カウンタのカウンタ値を変化させ、その電気角カウンタのカウンタ値に基づき前記ブラシレスモータの通電相を切り換えることで同モータを駆動する駆動装置と、前記ブラシレスモータの回転に伴い各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔のパルス信号を出力する位置センサとを備え、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタのカウンタ値に基づき、前記ブラシレスモータの回転角を検出するモータ制御装置において、各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出する算出手段と、前記電気角カウンタのカウンタ値の変化に基づき前記ブラシレスモータの回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断し、そのブラシレスモータの回転状態に応じて前記差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値を可変設定する設定手段と、前記正常値に対する前記差(Pi −Pi-1 )のずれ量を第1の補正値とし、当該第1の補正値分の補正を前記位置カウンタのカウンタ値に加える第1の補正手段と、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ発生時、前記電気角カウンタのカウンタ値が通常あり得ない変化を示したとき、前記第1の補正手段による補正を無効にするための第2の補正値を設定し、当該第2の補正値分の補正を前記位置カウンタのカウンタ値に加える第2の補正手段とを備えた。
【0008】
ブラシレスモータの回転時には、同モータの駆動に用いられる電気角センサからパルス信号が互いに位相をずらした状態で出力される。従って、各電気角センサからのパルス信号のエッジを計数すれば、その計数値に基づきブラシレスモータの回転角を大まかに検出することはできる。しかし、ブラシレスモータの回転角の検出に高精度が要求されるような場合には、上記のような大まかな回転角検出では検出精度が足りなくなる。このため、ブラシレスモータの回転に伴い各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔でパルス信号を出力する位置センサが設けられ、その位置センサからのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータの回転角を検出することが行われている。これにより、ブラシレスモータの回転角の検出を高精度で行うことが可能になる。
【0009】
ところで、位置センサからの信号にノイズが発生し、そのノイズのエッジが位置センサからのパルス信号のエッジと誤認されて位置カウンタにより計数されるなど、位置カウンタのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応しなくなる状況が生じる可能性がある。この場合、位置カウンタのカウンタ値が、ブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれた状態になる。上記構成によれば、各電気角センサから出力されるパルス信号の今回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi と、前回のエッジ発生時における位置カウンタのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )に、上記位置カウンタのカウンタ値における上記ブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれが反映される。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値からずれることになる。従って、正常値に対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量を第1の補正値とし、当該第1の補正値分の補正を位置カウンタのカウンタ値に加えることで、そのカウンタ値におけるブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれを無くすことができる。また、第1の補正値を求めるための差(Pi −Pi-1 )を算出するのには、ブラシレスモータの駆動に用いられる電気角センサがあればよく、上記ずれを無くすために新たなセンサ等を設ける必要はない。なお、第1の補正値を求めるための上記正常値は、電気角カウンタのカウンタ値に基づきブラシレスモータの回転状態、すなわち正回転中、逆回転中、正逆回転反転中のいずれであるかに応じて可変設定されるものである。
【0010】
また、電気角センサからの信号にノイズが発生する場合もある。この場合、当該ノイズを電気角センサからのパルス信号と誤認し、電気角カウンタのカウンタ値が誤った値に変化するおそれがある。そして、電気角カウンタのカウンタ値が誤った値に変化すると、そのカウンタ値に基づき判断されるモータ回転状態が実際の状態とは異なるものとなり、設定手段により設定される正常値が実際のモータ回転状態と対応しなくなる。このような状況下では、上述した正常値の異常に起因して、その正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量である第1の補正値が誤った値となり、位置カウンタのカウンタ値に当該第1の補正値分の誤補正が加えられる。その結果、位置カウンタのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれてしまい、そのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータの回転角が不正確な値になる。
【0011】
しかし、上記構成によれば、電気角センサからの信号にノイズが発生して電気角カウンタのカウンタ値が誤った値に変化する場合、第1の補正値による位置カウンタのカウンタ値の誤補正が無効にされる。これは、上記のように電気角カウンタのカウンタ値が誤った値に変化する場合、当該カウンタ値が通常あり得ない変化を示すようになり、そうした変化を示したときには第1の補正手段による補正を無効にするための第2の補正値が設定され、当該第2の補正値分の補正が位置カウンタのカウンタ値に加えられるためである。このように第1の補正値による位置カウンタのカウンタ値の誤補正が無効にされるため、そのカウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれ、同カウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータの回転角が不正確な値になるのを抑制することができる。
【0012】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記第2の補正手段は、前記位置カウンタのカウンタ値におけるブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれに影響を及ぼす第1の補正値の正負を反転させた値を、前記第2の補正値として設定するものとした。
【0013】
上記構成によれば、第2の補正値が位置カウンタのカウンタ値におけるブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からのずれに影響を及ぼす第1の補正値の正負を反転させた値となるため、その第2の補正値分の補正を位置カウンタのカウンタ値に加えることで、第1の補正手段による位置カウンタのカウンタ値の誤補正を的確に無効にすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記設定手段は、前記各電気角センサから出力されるパルス信号のエッジ間において前記位置センサから出力されるパルス信号のエッジ数が「n」であるとすると、前記電気角センサからの前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とで共に電気角カウンタのカウンタ値がモータ正回転方向への変化を示したことに基づき前記ブラシレスモータの正回転中である旨判断して前記正常値を「n」に設定し、前記電気角センサからの前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とで共に電気角カウンタのカウンタ値がモータ逆回転方向への変化を示したことに基づき前記ブラシレスモータの逆回転中である旨判断して前記正常値を「−n」に設定し、前記電気角センサからの前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時との電気角カウンタのカウンタ値の変化がモータ正回転方向への変化とモータ逆回転方向への変化とで異なっていることに基づき前記ブラシレスモータの正逆回転反転中である旨判断して前記正常値を「0」に設定するものであり、前記第2の補正手段は、前記電気角カウンタのカウンタ値がモータ正回転方向についての通常あり得ない変化を示したとき前記第2の補正値を「n」に設定し、前記電気角カウンタのカウンタ値がモータ逆回転方向についての通常あり得ない変化を示したとき前記第2の補正値を「−n」に設定するものとした。
【0015】
電気角センサからの信号にノイズが発生し、そのノイズが他の電気角センサからのパルス信号のエッジと重なると、当該ノイズの発生期間中に電気カウンタのカウンタ値が、モータ回転方向とは逆方向への変化、及び、モータ回転方向と同方向への通常あり得ない変化を示すようになる。
【0016】
そして、例えばブラシレスモータの正回転中、上述したように電気角カウンタのカウンタ値がモータ回転方向とは逆方向への変化を示すと、設定手段により正常値が本来ならば「n」に設定されるべきところを「0」に設定されてしまう。その結果、正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量が本来ならば「0」であるのに「−n」と誤認され、それに対応して第1の補正値が誤って「−n」とされた状態で位置カウンタのカウンタ値の補正に用いられる。このため、位置カウンタのカウンタ値が当該第1の補正値により誤補正される。しかし、電気角カウンタのカウンタ値がモータ回転方向と同方向(正回転方向)への通常あり得ない変化を示すと、第2の補正値が「n」とされて位置カウンタのカウンタ値の補正に用いられる。これにより、上記第1の補正値による位置カウンタのカウンタ値の誤補正を的確に無効にすることができる。
【0017】
また、ブラシレスモータの逆回転中、上述したように電気角カウンタのカウンタ値がモータ回転方向とは逆方向への変化を示すと、設定手段により正常値が本来ならば「−n」に設定されるべきところを「0」に設定されてしまう。その結果、正常値に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量が本来ならば「0」であるのに「n」と誤認され、それに対応して第1の補正値が誤って「n」とされた状態で位置カウンタのカウンタ値の補正に用いられる。このため、位置カウンタのカウンタ値Pが当該第1の補正値により誤補正される。しかし、電気角カウンタのカウンタ値がモータ回転方向と同方向(逆回転方向)への通常あり得ない変化を示すと、第2の補正値が「−n」とされて位置カウンタのカウンタ値の補正に用いられる。これにより、第1の補正値による位置カウンタのカウンタ値の誤補正を的確に無効にすることができる。
【0018】
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、前記電気角カウンタは、前記ブラシレスモータの正回転時には各電気角センサからのパルス信号の出力パターンに応じて「0」〜「m」の範囲内の連続した各整数値を順方向にカウンタ値として当てはめ、前記ブラシレスモータの逆回転時には各電気角センサからのパルス信号の出力パターンに応じて「0」〜「m」の範囲内の連続した各整数値を逆方向にカウンタ値として当てはめるものであり、前記第2の補正手段は、前記電気角カウンタのカウンタ値が順方向に整数値を一つとばして変化したことに基づき当該カウンタ値がモータ正回転方向について通常あり得ない変化を示したと判断し、前記電気角カウンタのカウンタ値が逆方向に整数値を一つとばして変化したことに基づき当該カウンタ値がモータ逆回転方向について通常あり得ない変化を示したと判断するものとした。
【0019】
この場合、ブラシレスモータの正回転中、電気角センサの信号でのノイズ発生に起因する電気角カウンタのカウンタ値の正回転方向への通常あり得ない変化は、当該カウンタ値が順方向(正回転方向)に整数値を一つとばして変化するという態様で示される。また、ブラシレスモータの逆回転中、電気角センサの信号でのノイズ発生に起因する電気角カウンタのカウンタ値の逆回転方向への通常あり得ない変化は、当該カウンタ値が逆方向(逆回転方向)に整数値を一つとばして変化するという態様で示される。
【0020】
上記構成によれば、電気角カウンタのカウンタ値が順方向に整数値を一つとばして変化したことに基づき、当該カウンタ値がモータ正回転方向について通常あり得ない変化を示したと判断され、第2の補正値が「−n」に設定される。また、電気角カウンタのカウンタ値が逆方向に整数値を一つとばして変化したことに基づき当該カウンタ値がモータ逆回転方向について通常あり得ない変化を示したと判断され、第2の補正値が「n」に設定される。以上により、第2の補正値を「−n」と「n」とのいずれかに設定するに際し、それを適切に行うことができるようになる。
【0021】
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記ブラシレスモータは、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を可変とするバルブリフト可変機構の駆動に用いられるものとした。
【0022】
ブラシレスモータを内燃機関のバルブリフト可変機構の駆動に用いる場合、位置カウンタのカウンタ値に基づきブラシレスモータの回転角を検出し、その回転角が目標とするバルブ特性に対応した回転角となるようブラシレスモータが駆動される。これにより、機関バルブのバルブ特性が目標とするバルブ特性となるよう、バルブリフト可変機構が駆動制御されることとなる。しかし、電気角センサからの信号にノイズが発生することに起因して、位置カウンタのカウンタ値に対し第1の補正値分の誤補正がなされ、当該カウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれる。その結果、位置カウンタのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータの回転角が不正確になり、当該回転角に基づきブラシレスモータを駆動してバルブリフト可変機構を駆動制御しようとしても、それを正しく行えなくなって機関運転への悪影響に繋がる。上記構成によれば、第1の補正値分の位置カウンタのカウンタ値の後補正を無効にし、当該カウンタ値がブラシレスモータの実際の回転角に対応する値からずれるのを回避することができる。従って、位置カウンタのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータの回転角に基づきブラシレスモータを駆動し、バルブリフト可変機構を駆動制御しようとするとき、それを正しく行えなくなって機関運転への悪影響に繋がるということはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を自動車用エンジンに適用した一実施形態を図1〜図19に従って説明する。
図1は、エンジン1における所定気筒のシリンダヘッド2周りの構造を示す拡大断面図である。このエンジン1においては、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、及びピストン5によって燃焼室6が区画され、この燃焼室6には吸気通路7及び排気通路8が接続されている。そして、吸気通路7と燃焼室6との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、排気通路8と燃焼室6との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断されるようになる。
【0024】
シリンダヘッド2には、吸気バルブ9及び排気バルブ10を駆動するための吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12が設けられている。これら吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12は、エンジン1のクランクシャフトからの回転伝達によって回転するようになっている。また、吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12には、それぞれ吸気カム11a及び排気カム12aが設けられている。そして、これら吸気カム11a及び排気カム12aの吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12との一体回転を通じて、吸気バルブ9及び排気バルブ10が開閉動作するようになっている。
【0025】
また、エンジン1には、吸気バルブ9及び排気バルブ10といった機関バルブのバルブ特性を可変とするバルブリフト可変機構として、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角を可変とするバルブリフト可変機構14が吸気カム11aと吸気バルブ9との間に設けられている。このバルブリフト可変機構14の駆動を通じて、例えば吸入空気量を多く必要とするエンジン運転状態になるほど、最大リフト量及び作用角が大となるよう制御される。これは最大リフト量及び作用角を大とするほど、吸気通路7から燃焼室6への空気の吸入が効率よく行われ、上述した吸入空気量に関する要求を満たすことが可能なためである。
【0026】
次に、バルブリフト可変機構14の詳細な構造について説明する。
バルブリフト可変機構14は、回転する吸気カム11aにより押されて上記吸気カムシャフト11と平行に延びるロッカシャフト15及びコントロールシャフト16の軸線を中心に揺動する入力アーム17と、この入力アーム17の揺動に基づき上記軸線を中心に揺動する出力アーム18とを備えている。入力アーム17については、ローラ19が回転可能に取り付けられるとともに、そのローラ19が吸気カム11aに押しつけられるようコイルスプリング20によって吸気カム11a側に付勢されている。また、出力アーム18は、その揺動時にロッカアーム21に押しつけられ、同ロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせる。
【0027】
このロッカアーム21の基端部はラッシュアジャスタ22によって支持され、同ロッカアーム21の先端部は吸気バルブ9に接触している。また、ロッカアーム21は吸気バルブ9のバルブスプリング24によって出力アーム18側に付勢され、これによりロッカアーム21の基端部と先端部との間に回転可能に支持されたローラ23が出力アーム18に押しつけられている。従って、吸気カム11aの回転に基づき入力アーム17及び出力アーム18が揺動すると、出力アーム18がロッカアーム21を介して吸気バルブ9をリフトさせ、吸気バルブ9の開閉動作が行われるようになる。
【0028】
バルブリフト可変機構14では、パイプ状のロッカシャフト15内に配置されたコントロールシャフト16を軸方向に変位させることで、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置を変更することが可能となっている。このように、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置を変更すると、上記吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの吸気バルブ9に対する作用角が可変とされる。即ち、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに接近させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は小となってゆく。逆に、入力アーム17と出力アーム18とを揺動方向について互いに離間させるほど、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は大となってゆく。
【0029】
次に、バルブリフト可変機構14を駆動すべく上記コントロールシャフト16を軸方向に変位させるための駆動機構、及び、その駆動機構を駆動制御する制御装置について、図2を参照して説明する。
【0030】
同図に示されるように、コントロールシャフト16の基端部(図中右端部)には、ブラシレスモータ47が変換機構48を介して連結されている。この変換機構48は、ブラシレスモータ47の回転運動をコントロールシャフト16の軸方向への直線運動に変換するためのものである。そして、上記ブラシレスモータ47の所定の回転角範囲内での回転駆動、例えば同モータ47の10回転分の回転角範囲(0〜3600°)内での回転駆動を通じて、コントロールシャフト16が軸方向に変位させられ、バルブリフト可変機構14が駆動されることとなる。
【0031】
ちなみに、ブラシレスモータ47を正回転させると、コントロールシャフト16は先端(図中左端)側に変位し、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに接近するように変更される。また、ブラシレスモータ47を逆回転させると、コントロールシャフト16は基端(図中右端)側に変位し、入力アーム17と出力アーム18との揺動方向についての相対位置が互いに離間するように変更される。こうしたブラシレスモータ47の回転駆動による入力アーム17及び出力アーム18の揺動方向についての相対位置の変更を通じて、吸気カム11aの回転により出力アーム18が揺動したときの吸気バルブ9の最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が可変とされる。
【0032】
ブラシレスモータ47には、三つの電気角センサS1〜S3、及び 二つの位置センサS4,S5が設けられている。
三つの電気角センサS1〜S3は、ブラシレスモータ47の回転時、同モータ47のロータと一体回転する4極の多極マグネットの磁気に応じて、図3(a)〜(c)に示されるようなパルス状の信号、すなわちハイ信号「H」とロー信号「L」とを交互に出力するものである。また、各電気角センサS1〜S3からのパルス信号は、互いに位相をずらした状態で出力されるようになっている。すなわち、こうしたパルス信号の波形が得られるよう、上記ロータに対する各電気角センサS1〜S3の周方向位置が定められている。なお、各電気角センサS1〜S3のうちの一つのセンサから出力されるパルス信号のエッジは、ブラシレスモータ47の45°回転毎に発生している。また、上記一つのセンサからのパルス信号は、他のセンサからのパルス信号に対し、ブラシレスモータ47の30°回転分だけ進み側及び遅れ側に位相をずらした状態となっている。
【0033】
二つの位置センサS4,S5は、ブラシレスモータ47の回転時、同モータ47のロータと一体回転する48極の多極マグネットの磁気に応じて、図3(d)及び(e)に示されるようなパルス状の信号、すなわちハイ信号「H」とロー信号「L」とを交互に出力するものである。また、各位置センサS4,S5からのパルス信号は、互いに位相をずらした状態で出力されるようになっている。すなわち、こうしたパルス信号の波形が得られるよう、上記ロータに対する各位置センサS4,S5の周方向位置が定められている。なお、各位置センサS4,S5の内の一方のセンサから出力するパルス信号のエッジは、ブラシレスモータ47の7.5°回転毎に発生している。また、上記一方のセンサからのパルス信号は、他方のセンサからのパルス信号に対し、ブラシレスモータ47の3.75°回転分だけ位相をずらした状態となっている。
【0034】
従って、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間隔が15°であるのに対し、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔は3.75°と上記15°というエッジ間隔よりも短くなっている。更に、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生から次回のエッジ発生までには、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジが4回発生するようになっている。
【0035】
コントロールシャフト16を軸方向に変位させるべく回転駆動されるブラシレスモータ47の制御装置は、吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角といった吸気バルブ9のバルブ特性の制御など、エンジン1の各種制御を行う電子制御装置50(図2)を備えている。この電子制御装置50は、上記各種制御にかかる演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
【0036】
電子制御装置50の入力ポートには、上述した電気角センサS1〜S3及び位置センサS4,S5が接続されるほか、更に以下のセンサを含む各種センサが接続されている。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ51。
【0037】
・エンジン1の吸気通路7に設けられたスロットルバルブの開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ52。
・上記吸気通路7を通じて燃焼室6に吸入される空気の量を検出するエアフローメータ53。
【0038】
・エンジン1の出力軸の回転に対応する信号を出力してエンジン回転速度の検出等に用いられるクランクポジションセンサ54。
・自動車の運転者により切り換え操作され、現在の切換位置に対応した信号を出力するイグニッションスイッチ55。
【0039】
また、電子制御装置50の出力ポートには、ブラシレスモータ47の駆動回路等が接続されている。電子制御装置50は、上記各種センサから入力した検出信号に基づきエンジン運転状態を把握する。そして、その把握したエンジン運転状態に基づきブラシレスモータ47を駆動してコントロールシャフト16を軸方向に変位させることで、バルブリフト可変機構14が駆動されて吸気バルブ9のバルブ特性制御が行われる。なお、ブラシレスモータ47の駆動は、各電気角センサS1〜S3から出力される同モータ47の回転時のパルス信号の出力パターンに応じて、ブラシレスモータ47の通電相を切り換えることによって行われる。
【0040】
吸気バルブ9のバルブ特性、すなわち吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は、コントロールシャフト16の軸方向位置、言い換えればブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲内での回転角に対応したものとなる。従って、吸気バルブ9のバルブ特性を精密に制御するには、ブラシレスモータ47の回転角を正確に検出し、その回転角が目標とするバルブ特性に対応する回転角となるようブラシレスモータ47を駆動することが重要になる。
【0041】
以下、本実施形態におけるブラシレスモータ47の回転角の検出手順について、図3のタイミングチャート及び図4のフローチャートを併せ参照して説明する。
図3において、(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転時における同モータ47の回転角変化に対し、各センサS1〜S5からパルス信号がどのように出力されるかを示す波形図である。また、(f)〜(h)ではそれぞれ、ブラシレスモータ47の回転時における同モータ47の回転角の変化に対し、電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値がどのように推移するかを示している。
【0042】
なお、上記電気角カウンタEは、ブラシレスモータ47を駆動すべく同モータ47の通電相を切り換える際に用いられるものである。また、上記位置カウンタPは、エンジン1を運転開始する際のイグニッションスイッチ55のオン操作(イグニッションオン)後、コントロールシャフト16が軸方向にどれだけ変位したか、言い換えればブラシレスモータ47の回転角がどれだけ変化したかを表すものである。更に、上記ストロークカウンタSは、コントロールシャフト16の最も先端側に変位した状態を基準とする軸方向位置、言い換えればブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲におけるコントロールシャフト16の上記変位状態に対応する端を基準とした同モータ47の回転角を表すものである。
【0043】
図4は、上記電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値を変化させるためのカウント処理ルーチンを示すフローチャートである。同ルーチンは、電子制御装置50を通じて、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する時間間隔よりも短い間隔をもって周期的に実行される。
【0044】
同ルーチンにおいては、まず図3(a)〜(c)に示される各電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに基づき、図3(f)に示されるように電気角カウンタEのカウンタ値を変化させる(S101)。
【0045】
より詳しくは、図5(a)に示されるように、各電気角センサS1〜S3から各々ハイ信号「H」とロー信号「L」とのいずれが出力されているかに応じて、電気角カウンタEのカウンタ値が「0」〜「5」の範囲内の連続した整数値のうちのいずれかが当てはめられる。その結果、ブラシレスモータ47の正回転時(図3中右向き)には、電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに応じて、「0」〜「m(この実施形態では5)」の範囲内の連続した各整数値が「0」→「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「0」といった順序で順方向に電気角カウンタEのカウンタ値として当てはめられる。また、ブラシレスモータ47の逆回転時(図3中左向き)には、電気角センサS1〜S3からのパルス信号の出力パターンに応じて、「0」〜「m(5)」の範囲内の連続した各整数値が「5」→「4」→「3」→「2」→「1」→「0」→「5」といった順序で逆方向に電気角カウンタEのカウンタ値として当てはめられる。なお、何らかの原因により、各電気角センサS1〜S3全てがハイ信号「H」を出力する場合、或いは、各電気角センサS1〜S3全てがロー信号「L」を出力する場合もあるが、これらの場合には異常状態である旨判断され、電気角カウンタEのカウンタ値がそのまま保持されることとなる。
【0046】
そして、この電気角カウンタEのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータ47の通電層を切り換えることで、同モータの正回転方向または逆回転方向への駆動が行われる。
続いて、各位置センサS4,S5からのパルス信号の出力パターンに基づき、位置カウンタPのカウンタ値を増減させる(図4のS102)。
【0047】
詳しくは、図5(b)に示されるように、位置センサS4,S5のうち、一方のセンサからパルス信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとのいずれが生じているか、及び、他方のセンサからハイ信号「H」とロー信号「L」とのいずれが出力されているかに応じて、位置カウンタPのカウンタ値に対し「+1」と「−1」とのいずれかが加算される。なお、同図において、「↑」はパルス信号の立ち上がりエッジを表し、「↓」はパルス信号の立ち下がりエッジを表している。こうした処理を通じて得られる位置カウンタPのカウンタ値は、各位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジを計数した値ということになる。
【0048】
ここで、ブラシレスモータ47の正回転中であれば、位置カウンタPのカウンタ値は、図3(d)及び(e)に示される位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ毎に「1」ずつ加算されてゆき、図3(g)中の右方向に変化してゆく。また、ブラシレスモータ47の逆回転中であれば、位置カウンタPのカウンタ値は、上記エッジ毎に「1」ずつ減算されてゆき、図3(g)中の左方向に変化してゆく。なお、この位置カウンタPは、イグニッションスイッチ55のオフ操作(イグニッションオフ)がなされたとき、「0」にリセットされる。従って、位置カウンタPのカウンタ値は、イグニッションオン後にコントロールシャフト16が軸方向にどれだけ変位したかを表すものとなる。
【0049】
そして、図3(g)に示されるように変化する位置カウンタPに応じて、図3(h)に示されるようにストロークカウンタSが変化させられるようになる。具体的には、位置カウンタPに対して学習値Prの正負を反転させた値(−Pr)を加算して得られる値がストロークカウンタSのカウンタ値として設定される(図4のS103)。なお、上記学習値Prは、コントロールシャフト16をその移動範囲における図2の左端(先端)側の変位端まで変位させたとき、すなわちブラシレスモータ47の回転角を上記所定の回転角範囲内における上記コントロールシャフト16の変位状態に対応する端まで変化させたときの位置カウンタPのカウンタ値に対応した値である。この学習値Prは、イグニッションオン後に所定の条件下で学習が行われて電子制御装置50の不揮発性メモリ56に記憶されるものである。従って、位置カウンタPのカウンタ値に学習値Prの正負を反転させた値を加算して得られる値であるストロークカウンタSのカウンタ値は、コントロールシャフト16の最も先端側に変位した状態を基準とする同シャフト16の軸方向位置を表すものということになる。このことは言い換えれば、ストロークカウンタSのカウンタ値が、ブラシレスモータ47の上記所定回転角範囲におけるコントロールシャフト16の上記変位状態に対応する端を基準とした同モータ47の回転角を表すものになるということである。
【0050】
電子制御装置50は、上記ストロークカウンタSのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータ47の回転角を検出する。そして、電子制御装置50は、バルブリフト可変機構14を駆動して吸気バルブ9の最大リフト量及び吸気カム11aの作用角といったバルブ特性を制御する際、上記のように検出されたブラシレスモータ47の回転角が目標とするバルブ特性に対応する回転角となるようブラシレスモータ47を駆動する。これにより、吸気バルブ9のバルブ特性を目標とする特性へと精密に制御することができるようになる。
【0051】
なお、ブラシレスモータ47の回転時に位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジを上述したように計数する代わりに、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジを計数しても、その計数値に基づきブラシレスモータ47の回転角を大まかにならば検出することは可能である。しかし、バルブリフト可変機構14を駆動するうえでのブラシレスモータ47の回転角の検出のように、同モータ47の回転角の検出に高精度が要求されるような場合には、上記のような大まかな回転角検出では検出精度が足りなくなる。このため、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間隔よりも短いエッジ間隔でパルス信号を出力する位置センサS4,S5が設けられ、それら位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジを計数する位置カウンタPのカウンタ値に基づき、ブラシレスモータ47の回転角検出が行われている。
【0052】
ところで、位置カウンタPのカウンタ値は、常にブラシレスモータ47の実際の回転角に対応しているとは限らず、その実際の回転角に対応した値からずれることがある。例えば、位置センサS4,S5から出力される信号にノイズが発生すると、そのノイズのエッジと位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジとを見分けることができず、ノイズのエッジをパルス信号のエッジと誤認し、パルス信号のエッジを計数する位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角と対応しなくなる。
【0053】
以下、上記不具合発生の詳細について、モータ正回転中に上記ノイズが発生した場合、及び、モータ逆回転中に上記ノイズが発生した場合を例に、図6を参照して説明する。なお、図6において、(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、位置カウンタPのカウンタ値の推移を表している。
【0054】
ブラシレスモータ47の正回転中、例えば図6(a)に示されるように、位置センサS4からの信号にノイズが発生し、そのノイズが位置センサS5からのパルス信号の立ち下がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングa,b,cでの位置センサS4,S5からの信号の出力パターンは、図7(a)に示されるようなパターンとなる。その結果、タイミングa,b,cでそれぞれ位置カウンタPのカウンタ値に「−1」が加算され、図6(d)のタイミングa,b,cでは当該カウンタ値が破線で示されるように「1」ずつ減少してゆく。一方、仮に上記ノイズが発生していないとすれば、タイミングa,b,cではタイミングbで位置カウンタPのカウンタ値に「1」が加算されるだけとなるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、タイミングc以降、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ小さくなる。
【0055】
ブラシレスモータ47の逆回転中、例えば図6(a)に示されるノイズが発生し、そのノイズが位置センサS5からのパルス信号の立ち上がりエッジと重なった場合にも、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれることになる。すなわち、上記ノイズの発生しているタイミングc,b,aでの位置センサS4,S5からの信号の出力パターンが図7(b)に示されるようなパターンとなり、タイミングc,b,aでそれぞれ位置カウンタPのカウンタ値に「1」が加算され、図6(e)のタイミングc,b,aでは当該カウンタ値が破線で示されるように「1」ずつ増加してゆく。一方、仮に上記ノイズが発生していないとすれば、タイミングc,b,aではタイミングbで位置カウンタPのカウンタ値に「−1」が加算されるだけとなるはずである。このため、上記ノイズが発生したときの位置カウンタPのカウンタ値は、タイミングa以降、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ大きくなる。
【0056】
以上のように、位置センサS4,S5から出力される信号にノイズが発生し、そのノイズが位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジと重なると、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角と対応しなくなる。その結果、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の実際の回転角が不正確になり、その回転角等に基づきブラシレスモータ47を駆動し、吸気バルブ9のバルブ特性を目標の特性に制御しようとしても、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がる。より詳しくは、吸気バルブ9のバルブ特性を目標の特性に制御できないことから、当該バルブ特性に基づくエンジン1の吸入空気量の正しい推定を行えなくなり、ひいては推定される吸入空気量に基づきエンジン1を運転制御する際にエンジン1のエミッション不良や加速不良を招くこととなる。
【0057】
上述したノイズに起因する不具合の発生を抑制するためには、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量を求め、そのずれ量に対応する分の補正を当該カウンタ値に加えて、そのカウンタ値をブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値に戻すことが必要になる。このため、[発明が解決しようとする課題]の欄に記載したように、ブラシレスモータ47の実際の回転角を検出するリニアセンサ等を別途設け、そのセンサによって検出される回転角が位置カウンタPのカウンタ値等に基づき検出される回転角と対応していないとき、両者の差に基づき求められる補正値の分だけカウンタ値を補正することも考えられる。しかし、この場合には、リニアセンサ等の設置に手間がかかるとともに、同センサの設置に関係してブラシレスモータ47の搭載位置が制約されるという新たな問題が生じることは、[発明が解決しようとする課題]の欄に記載したとおりである。
【0058】
そこで本実施形態では、ブラシレスモータ47の駆動に用いられる電気角センサS1〜S3からのパルス信号を利用して、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれ量を求め、そのずれ量に対応する補正を上記カウンタ値に加えるようにしている。より詳しくは、以下の[1]〜[3]の処理を実行することで、上述した位置カウンタPのカウンタ値の補正を行い、同カウンタ値をブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値に戻すようにしている。
【0059】
[1]各電気角センサS1〜S3から出力されるパルス信号のエッジ発生毎に、今回のエッジ発生時における位置カウンタPのカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時における位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )を算出する。
【0060】
[2]電気角カウンタEのカウンタ値の変化に基づきブラシレスモータ47の回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のうちのいずれであるかを判断し、そのブラシレスモータ47の回転状態に応じて差(Pi −Pi-1 )の正常時の値である正常値Jを可変設定する。この正常値Jの可変設定では、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数n(本実施形態では「4」)に関係して、正常値Jがモータ正回転中であれば「n」とされ、モータ逆回転中であれば「−n」とされ、モータ正逆回転反転中であれば「0」とされる。
【0061】
[3]上記正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を第1の補正値ΔPとし、当該第1の補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加える。
【0062】
この場合、上記ノイズの発生に起因して位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応しなくなり、その実際の回転角に対応する値からずれた状態になると、上記差(Pi −Pi-1 )に位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値からのずれが反映される。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれることになる。従って、上記[3]の処理で算出される第1の補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、そのカウンタ値におけるブラシレスモータ47における実際の回転角に対応する値からのずれを無くすことができる。このため、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角に基づきブラシレスモータ47を駆動し、バルブリフト可変機構14を駆動制御しようとするとき、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がることはない。また、第1の補正値ΔPを求めるための差(Pi −Pi-1 )を算出するのには、ブラシレスモータ47の駆動に用いられる電気角センサS1〜S3があればよく、上記異常発生の検出のために新たなセンサ等を設ける必要はない。
【0063】
次に、上記[2]の処理でのブラシレスモータ47の回転状態の判断について図8及び図9を参照して説明する。
図8において、(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転状態が正回転中、正逆回転反転中、及び逆回転中へと変化する際、電気角センサS1〜S3からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値、及びモータステータスがどのように変化するかを表している。
【0064】
図8(e)に示されるモータステータスは、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生毎に、ブラシレスモータ47の回転方向を表すものとなるよう、電気角カウンタEの変化態様に応じて設定されるものである。
【0065】
詳しくは、上記エッジ発生時に電気角カウンタEのカウンタ値が順方向(モータ正回転方向)、すなわち「0」→「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「0」という方向に整数値一つ分だけ変化した場合、上記モータステータスは「cw」に設定される。また、上記エッジ発生時に電気角カウンタEのカウンタ値が逆方向(モータ逆回転方向)、すなわち「5」→「4」→「3」→「2」→「1」→「0」→「5」という方向に整数値一つ分だけ変化した場合、上記モータステータスは「ccw」に設定される。なお、上記エッジ発生時、何らかの理由により電気角カウンタEのカウンタ値が変化しなかった場合、上記モータステータスは「hold」に設定される。
【0066】
そして、ブラシレスモータ47の回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のいずれであるかは、電気角センサS1〜S3からのパルス信号の前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とにおける各々のモータステータスに基づき判断される。
【0067】
すなわち、図9に示されるように、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータスが共に「cw」であれば、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とで共にブラシレスモータ47が正回転していることになり、その結果、モータ正回転中である旨の判断がなされる。また、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータスが共に「ccw」であれば、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とで共にブラシレスモータ47が逆回転していることになり、その結果、モータ逆回転中である旨の判断がなされる。更に、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とでモータステータスが「cw」と「ccw」とで異なっていれば、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とでブラシレスモータ47の回転方向が異なっていることになり、その結果、モータ正逆回転反転中である旨の判断がなされる。
【0068】
なお、今回のエッジ発生時のモータステータスが「hold」であった場合には、ブラシレスモータ47の回転状態の判断は行われない。また、次回のエッジ発生時に上記「hold」が前回のモータステータスとして用いられることはなく、モータステータスが「hold」となるエッジ発生時の一つ前のエッジ発生時のモータステータスが前回のモータステータスとして用いられることとなる。
【0069】
次に、上述した第1の補正値ΔPによる位置カウンタPのカウンタ値の補正の概要について、ブラシレスモータ47の正回転中及び逆回転中での上記補正を例に、図6を参照して説明する。
【0070】
ブラシレスモータ47の正回転中、図6(a)に示されるようにノイズが発生すると、図6(d)に示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ小さくなることは上述したとおりである。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「3」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(=4)に対し「−4」だけずれた「0」になる。
【0071】
そして、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「3」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、正常値J(=4)に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )=4」を第1の補正値ΔPとし、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(二点鎖線)に加えられる。その結果、図6(e)に黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
【0072】
ブラシレスモータ47の逆回転中、図6(a)に示されるようにノイズが発生すると、図6(e)に示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、二点鎖線で示されるように「4」だけ大きくなることは上述したとおりである。この場合、電気角カウンタEのカウンタ値が「3」から「2」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、上記差(Pi −Pi-1 )が正常値J(−4)に対し「4」だけずれた「0」になる。
【0073】
そして、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「1」に変化する電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生時、正常値J(=−4)に対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )=−4」を第1の補正値ΔPとし、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値(二点鎖線)に加えられる。その結果、図6(d)に黒矢印で示されるように、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値における上記実際の回転角に対応する値(実線)からのずれが修正される。
【0074】
次に、位置カウンタPのカウンタ値が正しい値からずれたときに当該カウンタ値を正しい値に戻すための補正手順について、位置カウンタ補正ルーチンを示す図10のフローチャートを参照して説明する。この位置カウンタ補正ルーチンは、電子制御装置50を通じて、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する時間間隔よりも短い間隔をもって周期的に実行される。
【0075】
同ルーチンにおいては、まず上記[1]の処理として、ステップS201〜S203の処理が実行される。すなわち、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジが発生したとき(S201:YES)、位置カウンタPのカウンタ値が電子制御装置50のメモリに記憶され(S202)、今回のエッジ発生時のカウンタ値Pi と前回のエッジ発生時のカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が算出される(S203)。
【0076】
続いて、上記[2]の処理として、ステップS204〜S208の処理が実行される。すなわち、電気角センサS1〜S3からのパルス信号における前回のエッジ発生と今回のエッジ発生時とのモータステータスに基づきブラシレスモータ47の回転状態が判断され、その回転状態に応じて上記差(Pi −Pi-1 )の正常値Jが可変設定される。具体的には、正常値Jは、モータ正回転中(S204:YES)であれば「4」に設定され(S206)、モータ逆回転中(S205:YES)であれば「−4」に設定され(S207)、モータ正逆回転反転中(S204、S205で共にNO)であれば「0」に設定される(S208)。また、上述した今回のエッジ発生時のモータステータスが「hold」であって、ブラシレスモータ47の回転状態の判断がなされないときには、上記ステップS204,S205で共に否定判定がなされ、正常値JがステップS208の処理で「0」に設定される。
【0077】
その後、上記[3]の処理として、ステップS209及びステップS210の処理が実行される。すなわち、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」が第1の補正値ΔPとして設定される(S209)。そして、この第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられる(S210)。これにより、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応した値からずれていたとしても、そのずれが修正されることとなる。
【0078】
ところで、電気角センサS1〜S3からの信号にノイズが発生する場合もある。この場合、当該ノイズを電気角センサS1〜S3からのパルス信号と誤認し、電気角カウンタEのカウンタ値が誤った値に変化するおそれがある。そして、電気角カウンタEのカウンタ値が誤った値に変化すると、そのカウンタ値に基づき判断されるブラシレスモータ47の回転状態が実際の状態とは異なるものとなり、そのモータ回転状態に応じて設定される正常値Jが実際のモータ回転状態とは対応しなくなる。このような状況下では、上述した正常値Jの異常に起因して、その正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」である第1の補正値ΔPが誤った値となる。そして、その第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられると、当該カウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれることになる。その結果、位置カウンタPのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角が不正確な値になる。
【0079】
次に、上記不具合発生の詳細について、モータ正回転中に上記ノイズが発生した場合、及び、モータ逆回転中に上記ノイズが発生した場合を例に、図11を参照して説明する。なお、図11において、(a)〜(i)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する電気角センサS1〜S3からのパルス信号の波形、位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、位置カウンタPのカウンタ値の推移を表している。
【0080】
[モータ正回転中]
ブラシレスモータ47の正回転中、例えば図11(b)の破線L1で示されるように、電気角センサS2からの信号にノイズが発生し、そのノイズが電気角センサS1からのパルス信号の立ち上がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングa,b,cでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターンが正常時とは異なるものとなる。この正常時とは異なる出力パターンに応じて、電気角カウンタEのカウンタ値は、図11(f)に破線L2で示されるように誤った値に変化する。
【0081】
ここで、タイミングa,b,cでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)を、図12(a)に示す。
【0082】
タイミングaは、上記ノイズの立ち上がりエッジに対応している。このため、タイミングaでは、上記ノイズの立ち上がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「L」、「H」、「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「1」へと変化する。このため、電気角センサS1〜S3からの信号における前回エッジ発生時のモータステータスと今回エッジ発生時のモータステータスとがそれぞれ、「cw」、「ccw」となる。その結果、モータ正逆回転反転中である旨の誤判断がなされ、正常値Jが誤って「0」に設定される。この場合、今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi と前記のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が「4」であることから、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量である第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が「−4」とされる。そして、この第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(g)に黒矢印Y1で示されるように誤って「−4」分だけ小さくされることになる。
【0083】
タイミングbは、電気角センサS1からのパルス信号の立ち上がりエッジに対応している。このタイミングbでは、上記ノイズの発生に起因して、電気角センサS1〜S3全てが図12(a)に示されるようにハイ信号「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値がそれまでの値である「1」に保持される。その結果、電気角センサS1〜S3からの信号における今回エッジ発生時のモータステータスが「hold」となり、正常値Jが「0」に設定される。また、タイミングaからタイミングbまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「0」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることはない。
【0084】
タイミングcは、上記ノイズの立ち下がりエッジに対応している。このタイミングcでは、上記ノイズの立ち下がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「H」、「L」、「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が通常あり得ない変化、すなわち「1」から「3」へと順方向に整数値を一つとばした変化を示すようになる。こうした今回のエッジ発生時の電気角カウンタEのカウンタ値の変化を順方向への変化とみなし、今回のエッジ発生時のモータステータスを図中のハッチングで示されるように「cw」に設定したとすると、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスはそれぞれ、「ccw」、「cw」となる。その結果、正常値Jが「0」に設定される。また、タイミングbからタイミングcまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「0」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることはない。
【0085】
従って、図11(b)に破線L1で示されるノイズの発生に起因して、電気角カウンタEのカウンタ値が図11(f)に破線L2で示されるように変化すると、図11(g)に黒矢印Y1で示される第1の補正値ΔP(=−4)分の補正が誤って位置カウンタPのカウンタ値に加えられる。その結果、位置カウンタPのカウンタ値は、図中の破線L3で示されるように、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)からずれることになる。
【0086】
また、ブラシレスモータの正回転中、例えば図11(b)の破線L4で示されるように、電気角センサS2からの信号にノイズが発生し、同ノイズが電気角センサS3からのパルス信号の立ち下がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングd,e,fでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターンが正常時とは異なるものとなる。この正常時とは異なる出力パターンに応じて、電気角カウンタEのカウンタ値は、図11(f)に破線L5で示されるように誤った値に変化する。
【0087】
ここで、タイミングd,e,fでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)を、図12(b)に示す。なお、同図には、タイミングf後、最初に電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジが発生するタイミングgでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔPも示している。
【0088】
タイミングdは、上記ノイズの立ち上がりエッジに対応している。このため、タイミングdでは、上記ノイズの立ち上がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号が全てハイ信号「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値がそれまでの値である「3」に保持される。その結果、電気角センサS1〜S3からの信号における今回エッジ発生時のモータステータスが「hold」となり、正常値Jが「0」に設定される。この場合、今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi と前記のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が「4」であることから、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量である第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が「−4」とされる。そして、この第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(g)に黒矢印Y3で示されるように「−4」分だけ小さくされることになる。
【0089】
タイミングeは、電気角センサS3からのパルス信号の立ち下がりエッジに対応している。このタイミングeでは、上記ノイズの発生に起因して、図12(b)に示されるように電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「H」、「H」、「L」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が通常あり得ない変化、すなわち「3」から「5」へと順方向に整数値を一つとばした変化を示すようになる。こうした今回のエッジ発生時の電気角カウンタEのカウンタ値の変化を順方向への変化とみなし、今回のエッジ発生時のモータステータスを図中のハッチングで示されるように「cw」に設定したとすると、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスはそれぞれ、「cw」、「cw」となる。その結果、正常値Jが「4」に設定される。また、タイミングdからタイミングeまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「4」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(g)に黒矢印Y4で示されるように「4」だけ大きくされることになる。
【0090】
タイミングfは、上記ノイズの立ち下がりエッジに対応している。このタイミングfでは、上記ノイズの立ち下がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「H」、「L」、「L」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が「5」から「4」へと変化する。このため、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスがそれぞれ「cw」、「ccw」となり、それに基づき正常値Jが「0」に設定される。また、タイミングeからタイミングfまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「0」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることはない。
【0091】
タイミングgは、タイミングf後における最初の電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生に対応している。このタイミングgでは、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「H」、「H」、「L」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が「4」から「5」へと変化する。このため、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスがそれぞれ「ccw」、「cw」となる。その結果、モータ正逆回転反転中である旨の誤判断がなされ、正常値Jが誤って「0」に設定される。この場合、今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi と前記のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が「4」であることから、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が「−4」とされる。そして、この第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(g)に黒矢印Y5で示されるように誤って「−4」分だけ小さくされることになる。
【0092】
従って、図11(b)に破線L4で示されるノイズの発生に起因して、電気角カウンタEのカウンタ値が図11(f)に破線L5で示されるように変化すると、図11(g)に黒矢印Y3,Y4,Y5で示される第1の補正値ΔP分の補正が誤って位置カウンタPのカウンタ値に加えられる。その結果、位置カウンタPのカウンタ値は、図中の破線L6で示されるように、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)からずれることになる。
【0093】
[モータ逆回転中]
ブラシレスモータ47の逆回転中、図11(b)の破線L4で示されるように、電気角センサS2からの信号にノイズが発生し、そのノイズが電気角センサS3からのパルス信号の立ち上がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングf,e,dでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターンが正常時とは異なるものとなる。この正常時とは異なる出力パターンに応じて、電気角カウンタEのカウンタ値は、図11(h)に破線L11で示されるように誤った値に変化する。
【0094】
ここで、タイミングf,e,dでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)を、図13(a)に示す。
【0095】
タイミングfは、上記ノイズの立ち上がりエッジに対応している。このため、タイミングfでは、上記ノイズの立ち上がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「H」、「H」、「L」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が「4」から「5」へと変化する。このため、電気角センサS1〜S3からの信号における前回エッジ発生時のモータステータスと今回エッジ発生時のモータステータスとがそれぞれ、「ccw」、「cw」となる。その結果、モータ正逆回転反転中である旨の誤判断がなされ、正常値Jが誤って「0」に設定される。この場合、今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi と前記のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が「−4」であることから、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量である第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が「4」とされる。そして、この第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(i)に黒矢印Y8で示されるように誤って「4」だけ大きくされることになる。
【0096】
タイミングeは、電気角センサS3からのパルス信号の立ち上がりエッジに対応している。このタイミングeでは、上記ノイズの発生に起因して、電気角センサS1〜S3全てが図13(a)に示されるようにハイ信号「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値がそれまでの値である「5」に保持される。その結果、電気角センサS1〜S3からの信号における今回エッジ発生時のモータステータスが「hold」となり、正常値Jが「0」に設定される。また、タイミングfからタイミングeまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「0」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることはない。
【0097】
タイミングdは、上記ノイズの立ち下がりエッジに対応している。このタイミングdでは、上記ノイズの立ち下がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「H」、「L」、「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が通常あり得ない変化、すなわち「5」から「3」へと逆方向に整数値を一つとばした変化を示すようになる。こうした今回のエッジ発生時の電気角カウンタEのカウンタ値の変化を逆方向への変化とみなし、今回のエッジ発生時のモータステータスを図中のハッチングで示されるように「ccw」に設定したとすると、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスはそれぞれ、「cw」、「ccw」となる。その結果、正常値Jが「0」に設定される。また、タイミングeからタイミングdまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「0」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることはない。
【0098】
従って、図11(b)に破線L4で示されるノイズの発生に起因して、電気角カウンタEのカウンタ値が図11(h)に破線L11で示されるように変化すると、図11(i)に黒矢印Y8で示される第1の補正値ΔP(=4)分の補正が誤って位置カウンタPのカウンタ値に加えられる。その結果、位置カウンタPのカウンタ値は、図中の破線L8で示されるように、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)からずれることになる。
【0099】
また、ブラシレスモータの逆回転中、図11(b)の破線L1で示されるように、電気角センサS2からの信号にノイズが発生し、そのノイズが電気角センサS1からのパルス信号の立ち下がりエッジと重なると、上記ノイズの発生しているタイミングc,b,aでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターンが正常時とは異なるものとなる。この正常時とは異なる出力パターンに応じて、電気角カウンタEのカウンタ値は、図11(h)に破線L12で示されるように誤って変化する。
【0100】
ここで、タイミングc,b,aでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)を、図13(b)に示す。なお、同図には、タイミングa後、最初に電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生するタイミングaでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔPも示している。
【0101】
タイミングcは、上記ノイズの立ち上がりエッジに対応している。このため、タイミングcでは、上記ノイズの立ち上がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号が全てハイ信号「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値がそれまでの値である「3」に保持される。その結果、電気角センサS1〜S3からの信号における今回エッジ発生時のモータステータスが「hold」となり、正常値Jが「0」に設定される。この場合、今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi と前記のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が「−4」であることから、正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量である第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が「4」とされる。そして、この第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(i)に黒矢印Y10で示されるように「4」だけ大きくされることになる。
【0102】
タイミングbは、電気角センサS1からのパルス信号の立ち下がりエッジに対応している。このタイミングbでは、上記ノイズの発生に起因して、図13(b)に示されるように電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「L」、「H」、「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が通常あり得ない変化、すなわち「3」から「1」へと逆方向に整数値を一つとばした変化を示すようになる。こうした今回のエッジ発生時の電気角カウンタEのカウンタ値の変化を逆方向への変化とみなし、今回のエッジ発生時のモータステータスを図中のハッチングで示されるように「ccw」に設定したとすると、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスはそれぞれ、「ccw」、「ccw」となる。その結果、正常値Jが「−4」に設定される。また、タイミングcからタイミングbまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「−4」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(i)に黒矢印Y11で示されるように「−4」分だけ小さくされることになる。
【0103】
タイミングaは、上記ノイズの立ち下がりエッジに対応している。このタイミングaでは、上記ノイズの立ち下がりエッジに起因して、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「L」、「L」、「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が「1」から「2」へと変化する。このため、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスがそれぞれ「ccw」、「cw」となり、それに基づき正常値Jが「0」に設定される。また、タイミングbからタイミングaまでの位置カウンタPのカウンタ値の変化量である差(Pi −Pi-1 )は「0」となる。このため、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)は「0」となり、当該第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることはない。
【0104】
タイミングzは、タイミングa後における最初の電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生に対応している。このタイミングzでは、電気角センサS1〜S3からの信号がそれぞれ「L」、「H」、「H」となり、電気角カウンタEのカウンタ値が「2」から「1」へと変化する。このため、前回エッジ発生時と今回エッジ発生時とのモータステータスがそれぞれ「cw」、「ccw」となる。その結果、モータ正逆回転反転中である旨の誤判断がなされ、正常値Jが誤って「0」に設定される。この場合、今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi と前記のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 との差(Pi −Pi-1 )が「−4」であることから、第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が「4」とされる。そして、この第1の補正値ΔP分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられるため、当該カウンタ値が図11(i)に黒矢印Y12で示されるように誤って「4」だけ大きくされることになる。
【0105】
従って、図11(b)に破線L1で示されるノイズの発生に起因して、電気角カウンタEのカウンタ値が図11(h)に破線L12で示されるように変化すると、図11(i)に黒矢印Y10,Y11,Y14で示される第1の補正値ΔP分の補正が誤って位置カウンタPのカウンタ値に加えられる。その結果、位置カウンタPのカウンタ値は、図中の破線L9で示されるように、ブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)からずれることになる。
【0106】
以上のように、電気角センサS1〜S3から出力される信号にノイズ(破線L1や破線L4)が発生し、そのノイズが電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジと重なると、位置カウンタPのカウンタ値が第1の補正値ΔP分の誤補正により、ブラシレスモータ47の実際の回転角と対応しなくなる。その結果、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の実際の回転角が不正確になり、その回転角等に基づきブラシレスモータ47を駆動し、吸気バルブ9のバルブ特性を目標の特性に制御しようとしても、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がる。
【0107】
なお、電気角センサS1〜S3から出力される信号にノイズが発生したとき、そのノイズが電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジと重ならない場合もある。この場合は、同ノイズの立ち上がりエッジで位置カウンタPのカウンタ値が第1の補正値ΔP分の補正によりブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるものの、同ノイズの立ち下がりエッジでは位置カウンタPのカウンタ値に第1の補正値ΔP分の補正が上記と逆方向に加えられる。これにより、次回のパルス信号のエッジ発生時までには、位置カウンタPのカウンタ値における上記ずれが解消されることとなる。このため、電気角センサS1〜S3から出力される信号にノイズが発生しても、そのノイズが電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジと重ならない場合には、上述したような不具合が生じることはない。
【0108】
次に、本実施形態にて行われる上述した不具合の抑制について説明する。
この実施形態では、電気角センサS1〜S3から信号にノイズが発生することに起因して、位置カウンタPのカウンタ値に対して第1の補正値ΔP分の誤補正が行われるとき、電気角カウンタEのカウンタ値が通常あり得ない変化を示すことに着目し、こうした変化が生じたときに第1の補正値ΔPによる誤補正を無効化する処理を実行する。
【0109】
具体的には、まず上記処理を実行可能とするため、電気角カウンタEのカウンタ値がモータ正回転方向への通常あり得ない変化である整数値を順方向に一つとばした変化を示したときのモータステータスとして「cw2」を追加する。更に、同じく電気角カウンタEのカウンタ値がモータ逆回転方向への通常あり得ない変化である整数値を逆方向に一つとばした変化を示したときのモータステータスとして「ccw2」を追加する。
【0110】
そして、これら「cw2」及び「ccw2」が追加されたモータステータスを用いて、ブラシレスモータ47の回転状態が正回転中、逆回転中、及び正逆回転反転中のいずれであるかの判断を行うようにする。
【0111】
すなわち、図14に示されるように、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータスが共に「cw」や「cw2」といったモータ正回転を表すものである場合には、ブラシレスモータ47が正回転中である旨判断する。また、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータスが共に「ccw」や「ccw2」といったモータ逆回転を表すものである場合には、ブラシレスモータ47が逆回転中である旨判断する。更に、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とでモータステータスがモータ正回転を表すもの(「cw」、「cw2」)と、モータ逆回転を表すもの(「ccw」及び「ccw2」)とで異なっていれば、ブラシレスモータ47の正逆回転反転中である旨判断する。
【0112】
また、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータスに基づき設定される正常値Jについては、それらモータステータスに応じて図15の表に示されるように設定する。同図において、ハッチングで示される部分は、モータステータスとして「cw2」、「ccw2」を加えたことによる追加部分を示している。この図から分かるように、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とでモータステータスがモータ正回転を表すもの(「cw」、「cw2」)から同じくモータ正回転を表すもの(「cw」、「cw2」)へと変化している場合には、正常値Jが「4」に設定される。また、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とでモータステータスがモータ逆回転を表すもの(「ccw」及び「ccw2」)から同じくモータ逆回転を表すもの(「ccw」及び「ccw2」)へと変化している場合には、正常値Jが「−4」に設定される。更に、前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とでモータステータスがモータ正回転を表すもの(「cw」、「cw2」)とモータ逆回転を表すもの(「ccw」及び「ccw2」)との間で変化している場合には、正常値Jが「0」に設定される。
【0113】
続いて、第1の補正値ΔPによる位置カウンタPの補正を無効にするための第2の補正値ΔPrを、図16に示されるように今回エッジ発生時のモータステータスに応じて設定する。
【0114】
このように設定される第2の補正値ΔPrについては、今回エッジ発生時のモータステータスが「cw2」であるとき、電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数nに関係して「n=(4)」とされる。ここで、上記モータステータスが「cw2」であるということは、今回エッジ発生時に電気角カウンタEのカウンタ値がモータ正回転方向への通常あり得ない変化を示したこと、すなわち当該カウンタ値が整数値を順方向に一つとばしての変化を示したことを意味する。また、同第2の補正値ΔPrについては、今回エッジ発生時のモータステータスが「ccw2」であるとき、上記エッジ数nに関係して「−n(=−4)」とされる。ここで、上記モータステータスが「ccw2」であるということは、今回エッジ発生時に電気角カウンタEのカウンタ値がモータ逆回転方向に通常あり得ない変化を示したこと、すなわち当該カウンタ値が整数値を逆方向に一つとばしての変化を示したことを意味する。なお、今回のエッジ発生時のモータステータスが上述した「cw2」及び「ccw2」以外であるときには、第2の補正値ΔPrは「0」となる。
【0115】
そして、このように設定される第2の補正値ΔPr分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、当該カウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれに影響を及ぼす第1の補正値ΔPによる補正を無効化することができるようになる。これにより、上記第1の補正値ΔPによる誤補正に起因して、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるのを回避することができる。
【0116】
以上のように、モータステータスに「cw2」及び「ccw2」を加えること、正常値Jを図16に示されるように設定すること、及び、第2の補正値ΔPr分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることにより、図12及び図13の表を図17及び図18に示される表に変えることが可能になる。
【0117】
これらの図において、図12(a)及び(b)、並びに、図13(a)及び(b)の表はそれぞれ、図17(a)及び(b)、並びに、図18(a)及び(b)の表に対応している。なお、図17及び図18の表のモータステータスの欄におけるハッチング部分は、モータステータスに「cw2」及び「ccw2」を加えることにより、図12及び図13の表から変更された部分である。また、図17及び図18の表の第2の補正値ΔPrの欄は、図12及び図13の表に対し追加された部分である。
【0118】
次に、位置カウンタPのカウンタ値に対し上記第2の補正値ΔPr分の補正を加えることの効果について、モータ正回転中である場合とモータ逆回転中である場合とを例に、図11のタイミングチャートに基づき、図17及び図18の表を併せ参照して、詳しく説明する。
【0119】
[モータ正回転中]
ブラシレスモータ47の正回転中、図11(b)に破線L1で示されるようにノイズが発生すると、第1の補正値ΔP分の誤補正により図11(g)に示される位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、破線L3で示されるように「−4」分だけ小さくなることは上述したとおりである。この場合、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれは、タイミングaでの第1の補正値ΔP分の誤補正(図11(g)の黒矢印Y1)による影響を受けたものということになる。
【0120】
しかし、タイミングcでは、図17(a)に示されるように、今回エッジ発生時のモータステータスが「cw2」となり、それに基づき第2の補正値ΔPrが「4」に設定される。このときの第2の補正値ΔPrの「4」という値は、上記タイミングaでの第1の補正値ΔP(「−4」)の正負を反転させた値となる。なお、タイミングa,bにおける今回エッジ発生時のモータステータスについては、「cw2」や「ccw2」でないことから「0」に設定される。そして、上記のように設定された第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることとなる。
【0121】
このように第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられると、それによってタイミングaでの第1の補正値ΔP分の位置カウンタPの補正が無効にされ、当該位置カウンタPのカウンタ値が図11(g)に白矢印Y2で示されるようにブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれが修正される。
【0122】
また、ブラシレスモータ47の正回転中、図11(b)に破線L4で示されるようにノイズが発生すると、第1の補正値ΔP分の誤補正により図11(g)に示される位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、破線L6で示されるように「−4」分だけ小さくなることも上述した。この場合、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれは、タイミングgでの第1の補正値ΔP分の誤補正(図11(g)の黒矢印Y5)による影響を受けたものということになる。
【0123】
しかし、タイミングeでは、図17(b)に示されるように、今回エッジ発生時のモータステータスが「cw2」となり、それに基づき第2の補正値ΔPrが「4」に設定される。このときの第2の補正値ΔPrの「4」という値は、上記タイミングgでの第1の補正値ΔP(「−4」)の正負を反転させた値となる。なお、タイミングd,f,gにおける今回エッジ発生時のモータステータスについては、「cw2」や「ccw2」でないことから「0」に設定される。そして、上記のように設定された第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることとなる。
【0124】
このように第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられると、当該カウンタ値が図11(g)の白矢印Y6で示されるようにブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値から「4」だけ増加し、その後は破線L7で示されるように推移する。これにより、タイミングgでの第1の補正値ΔP分の誤補正により位置カウンタPのカウンタ値が黒矢印Y7で示されるように「−4」分だけ減少したとき、当該カウンタ値はブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)と一致する。このことは言い換えれば、タイミングeでの第2の補正値ΔPr分の位置カウンタPの補正により、タイミングgでの第1の補正値ΔP分の位置カウンタPの補正が無効にされるということである。以上により、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれが修正される。
【0125】
[モータ逆回転中]
ブラシレスモータ47の逆回転中、図11(b)に破線L4で示されるようにノイズが発生すると、第1の補正値ΔP分の誤補正により図11(g)に示される位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、破線L8で示されるように「4」だけ大きくなることは上述したとおりである。この場合、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれは、タイミングfでの第1の補正値ΔP分の誤補正(図11(g)の黒矢印Y8)による影響を受けたものということになる。
【0126】
しかし、タイミングdでは、図18(a)に示されるように、今回エッジ発生時のモータステータスが「ccw2」となり、それに基づき第2の補正値ΔPrが「−4」に設定される。このときの第2の補正値ΔPrの「−4」という値は、上記タイミングfでの第1の補正値ΔP(「4」)の正負を反転させた値となる。なお、タイミングf,eにおける今回エッジ発生時のモータステータスについては、「cw2」や「ccw2」でないことから「0」に設定される。そして、上記のように設定された第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることとなる。
【0127】
このように第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられると、それによってタイミングfでの第1の補正値ΔP分の位置カウンタPの補正が無効にされ、当該位置カウンタPのカウンタ値が図11(g)に白矢印Y9で示されるようにブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)へと変化する。これにより、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれが修正される。
【0128】
また、ブラシレスモータ47の逆回転中、図11(b)に破線L1で示されるようにノイズが発生すると、第1の補正値ΔP分の誤補正により図11(g)に示される位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)に対し、破線L9で示されるように「4」だけ大きくなることも上述した。この場合、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれは、タイミングzでの第1の補正値ΔP分の誤補正(図11(g)の黒矢印Y12)による影響を受けたものということになる。
【0129】
しかし、タイミングbでは、図18(b)に示されるように、今回エッジ発生時のモータステータスが「ccw2」となり、それに基づき第2の補正値ΔPrが「−4」に設定される。このときの第2の補正値ΔPrの「−4」という値は、上記タイミングzでの第1の補正値ΔP(「4」)の正負を反転させた値となる。なお、タイミングc,a,zにおける今回エッジ発生時のモータステータスについては、「cw2」や「ccw2」でないことから「0」に設定される。そして、上記のように設定された第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられることとなる。
【0130】
このように第2の補正値ΔPr分の補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられると、当該カウンタ値が図11(g)の白矢印Y13で示されるようにブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値から「−4」分だけ減少し、その後は破線L10で示されるように推移する。これにより、タイミングzでの第1の補正値ΔP分の誤補正により位置カウンタPのカウンタ値が黒矢印Y12で示されるように「4」だけ増加したとき、当該カウンタ値はブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値(実線)と一致する。このことは言い換えれば、タイミングbでの第2の補正値ΔPr分の位置カウンタPの補正により、タイミングzでの第1の補正値ΔP分の位置カウンタPの補正が無効にされるということである。以上により、位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれが修正される。
【0131】
次に、第2の補正値ΔPrの算出手順、及び、その第2の補正値ΔPrによる位置カウンタの補正手順について、位置カウンタ補正無効化ルーチンを示す図19のフローチャートを参照して説明する。この位置カウンタ補正無効化ルーチンは、電子制御装置50を通じて、位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する時間間隔よりも短い間隔をもって周期的に実行される。
【0132】
同ルーチンにおいては、電気角センサS1〜S3からの信号にエッジが発生したとき(S201:YES)、今回のエッジ発生時のモータステータスが「cw2」であるか否かの判断(S202)、及び、今回のエッジ発生時のモータステータスが「ccw2」であるか否かの判断(S203)が行われる。
【0133】
そして、今回のエッジ発生時のモータステータスが「cw2」であれば(S202:YES)、すなわち電気角カウンタEのカウンタ値がモータ正回転方向への通常あり得ない変化である整数値を順方向に一つとばした変化を示した旨判断され、第2の補正値ΔPrが上述したエッジ数nに関係して「n(=4)」に設定される(S204)。一方、今回のエッジ発生時のモータステータスが「ccw2」であれば(S203:YES)、電気角カウンタEのカウンタ値がモータ逆回転方向への通常あり得ない変化である整数値を逆方向に一つとばした変化を示した旨判断され、第2の補正値ΔPrが上述したエッジ数nに関係して「−n(=−4)」に設定される(S205)。更に、今回のエッジ発生時のモータステータスが「cw2」と「ccw2」とのいずれでもなければ(S202、S203で共にNO)、第2の補正値ΔPrは「0」に設定される(S206)。
【0134】
このように第2の補正値ΔPrの設定が行われた後、位置カウンタPのカウンタ値に対し当該第2の補正値ΔPr分の補正が加えられる(S207)。これにより、位置カウンタPに対する第1の補正値ΔPの誤補正が無効化され、その誤補正に起因した位置カウンタPのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応した値からのずれが修正される。
【0135】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ発生毎に、前回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi-1 と今回のエッジ発生時の位置カウンタPのカウンタ値Pi との差(Pi −Pi-1 )が算出される。この差(Pi −Pi-1 )には、位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれた状態になったとき、当該ずれが反映されることとなる。すなわち、そのずれの分だけ上記差(Pi −Pi-1 )が正常値Jからずれることになる。従って、正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」を第1の補正値ΔPとし、当該第1の補正値ΔP分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、そのカウンタ値におけるブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からのずれを無くすことができる。また、第1の補正値ΔPを求めるための差(Pi −Pi-1 )を算出するのには、ブラシレスモータ47の駆動に用いられる電気角センサS1〜S3があればよく、上記ずれを無くすために新たなセンサ等を設ける必要はない。
【0136】
(2)電気角センサS1〜S3からの信号にノイズが発生し、そのノイズが他の電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジと重なると、当該ノイズを電気角センサS1〜S3からのパルス信号と誤認し、電気角カウンタEのカウンタ値が誤った値に変化する。このように電気角カウンタEのカウンタ値が誤った値に変化すると、同カウンタ値に基づき判断されるブラシレスモータ47の回転状態が実際の状態とは異なるものとなり、そのモータ回転状態に応じて設定される正常値Jが実際のモータ回転状態とは対応しなくなる。そして、上述した正常値Jの異常に起因して、当該正常値Jに対する上記差(Pi −Pi-1 )のずれ量「J−(Pi −Pi-1 )」である第1の補正値ΔPが誤った値となる。この第1の補正値ΔPにより位置カウンタPのカウンタ値が誤補正されると、当該カウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれることになる。その結果、位置カウンタPのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角が不正確な値になる。
【0137】
しかし、電気角センサS1〜S3の信号でのノイズ発生により電気角カウンタEが誤った値に変化し、それに起因して位置カウンタPのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角からずれる場合には、電気角カウンタEのカウンタ値が通常あり得ない変化を示すことになる。こうした電気角カウンタEのカウンタ値の変化に着目し、その変化が生じた旨判断されたときには第1の補正値ΔPによる誤補正を無効化するための処理が実行される。詳しくは、電気角カウンタEのカウンタ値の通常あり得ない変化として、同カウンタ値が整数値を一つとばした変化を示し、モータステータスが「cw2」や「ccw2」となったとき、それに基づき第1の補正値ΔPによる誤補正を無効化するための第2の補正値ΔPrが設定される。そして、当該第2の補正値ΔPrの補正が位置カウンタPのカウンタ値に加えられる。これにより、位置カウンタPのカウンタ値に対する上記第1の補正値ΔP分の誤補正が無効化され、そのカウンタ値がブラシレスモータ47の実際の回転角に対応する値からずれるのを回避することができる。従って、位置カウンタP(正確にはストロークカウンタS)のカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角が不正確な値になるのを回避することができる。そして、位置カウンタPのカウンタ値に基づき検出されるブラシレスモータ47の回転角に基づき同モータ47を駆動し、バルブリフト可変機構14を駆動制御しようとするとき、それを正しく行えなくなってエンジン運転への悪影響に繋がるということもなくなる。
【0138】
(3)ブラシレスモータ47の正回転中、上記ノイズの発生に起因して電気角カウンタEのカウンタがモータ回転方向とは逆方向への変化を示したとき、例えば図17(a)のタイミングaや図17(b)のタイミングgでは、正常値Jが本来ならば上述したエッジ数nに関係して「4」に設定されるべきところを「0」に設定されてしまう。その結果、正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量である第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が、図17(a)のタイミングaや図17(b)のタイミングgにおいて、本来ならば「0」であるのに誤って「−4」とされた状態で位置カウンタPの補正に用いられ、当該位置カウンタPのカウンタ値が誤補正される。しかし、電気角カウンタEのカウンタ値が順方向(モータ正回転方向)に整数値を一つとばした変化を示し、例えば図18(a)のタイミングcや図17(b)のタイミングeのようにモータステータスが「cw2」になると、第2の補正値ΔPrが「4」とされて位置カウンタPの補正に用いられる。このときの第2の補正値ΔPrは、上述したエッジ数nに関係して「n(=4)」に設定された値であり、かつ、上記誤補正を生じさせる第1の補正値ΔPの正負を反転させた値である。従って、第2の補正値ΔPr分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、第1の補正値ΔPによる位置カウンタPの誤補正を的確に無効にすることができる。
【0139】
また、ブラシレスモータ47の逆回転中、上記ノイズの発生に起因して電気角カウンタEのカウンタがモータ回転方向とは逆方向への変化を示したとき、例えば図18(a)のタイミングfや図18(b)のタイミングzでは、正常値Jが本来ならば上述したエッジ数nに関係して「−4」に設定されるべきところを「0」に設定されてしまう。その結果、正常値Jに対する差(Pi −Pi-1 )のずれ量である第1の補正値ΔP(=「J−(Pi −Pi-1 )」)が、図18(a)のタイミングfや図18(b)のタイミングzにおいて、本来ならば「0」であるのに誤って「4」とされた状態で位置カウンタPの補正に用いられ、当該位置カウンタPのカウンタ値が誤補正される。しかし、電気角カウンタEのカウンタ値が正方向に整数値を一つとばした変化を示し、例えば図18(a)のタイミングdや図18(b)のタイミングbのようにモータステータスが「ccw2」になると、第2の補正値ΔPrが「−4」とされて位置カウンタPの補正に用いられる。このときの第2の補正値ΔPrは、上述したエッジ数nに関係して「−n=(−4)」に設定された値であり、かつ、上記誤補正を生じさせる第1の補正値ΔPの正負を反転させた値である。従って、第2の補正値ΔPr分の補正を位置カウンタPのカウンタ値に加えることで、第1の補正値ΔPによる位置カウンタPの誤補正を的確に無効にすることができる。
【0140】
(4)第1の補正値ΔPによる位置カウンタPの誤補正を無効化すべく、第2の補正値ΔPrを「n(=4)」と「−n=(−4)」とのいずれかに設定する際、その設定についてはモータステータスが「cw2」であるか「ccw2」であるかに応じて行われる。この「cw2」は、電気角カウンタEのカウンタ値のモータ正回転方向への通常あり得ない変化である整数値を順方向に一つとばした変化の発生を意味するものである。また、「ccw2」は、電気角カウンタEのカウンタ値のモータ逆回転方向への通常あり得ない変化である整数値を逆方向に一つとばした変化の発生を意味するものである。従って、モータステータスが「cw2」であることに基づき第2の補正値ΔPrを「n(=4)」に設定し、モータステータスが「ccw2」であることに基づき第2の補正値ΔPrを「−n=(−4)」に設定することで、第2の補正値ΔPrにおける「n(=4)」と「−n=(−4)」とのいずれかへの設定を適切に行うことができる。
【0141】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・電気角センサ数の変更や同センサの検出対象である多極マグネットの極数の変更を通じて、各電気角センサからのパルス信号のエッジ間隔を変更することも可能である。
【0142】
・位置センサ数の変更や同センサの検出対象である多極マグネットの極数の変更を通じて各位置センサからのパルス信号のエッジ間隔を変更することも可能である。
・電気角カウンタEを「0」〜「m」の範囲内の連続した各整数値がカウンタ値として当てはめられるものとし、上記「m」を「5」に設定したが、その値を適宜変更することも可能である。この場合、電気角センサの数や位置、及び、それら電気角センサの検出対象である多極マグネットの極数が適宜変更されることとなる。
【0143】
・電気角センサS1〜S3からのパルス信号のエッジ間において位置センサS4,S5から出力されるパルス信号のエッジ数nを「4」に設定したが、その値についてはブラシレスモータ47の回転角検出精度を確保し得る位置センサS4,S5からのパルス信号のエッジ間隔に対応する値であればよく、「2」以上の整数値に適宜変更可能である。このようにエッジ数nを変更する際には、位置カウンタの数や位置、及び、それら位置センサの検出対象である多極マグネットの極数が適宜変更されることとなる。
【0144】
・ブラシレスモータ47と一体回転する多極マグネットの磁気に応じてパルス信号を出力する位置センサS4,S5を設ける代わりに、ブラシレスモータ47の回転に伴いパルス信号を出力する他のセンサ、例えば光学式のセンサを設けることも考えられる。この場合、ブラシレスモータ47と一体回転するスリット付円板の厚さ方向側方にそれぞれ発光素子と受光素子を備える光学式のセンサを周方向に複数設け、ブラシレスモータ47の回転時に当該各センサからパルス信号を出力させるようにすることが考えられる。この場合の各センサからのパルス信号の出力パターンについては、スリット付円板におけるスリットのパターン、及び、光学式のセンサの数や位置によって調整される。
【0145】
・上記実施形態では、ブラシレスモータ47の回転運動をコントロールシャフト16の軸方向への運動に変換し、そのコントロールシャフト16の軸方向変位を通じて駆動されるバルブリフト可変機構を例示したが、本発明のバルブリフト可変機構はこれに限定されない。例えば、ブラシレスモータ47の回転運動を直接的に受けて駆動されるバルブリフト可変機構を採用することも可能である。
【0146】
・バルブリフト可変機構14を駆動するブラシレスモータ47に本発明を適用したが、それ以外の各種機構を駆動するブラシレスモータに本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本実施形態のバルブリフト可変機構が適用されるエンジンのシリンダヘッド周りの構造を示す拡大断面図。
【図2】上記バルブリフト可変機構を駆動すべくコントロールシャフトを軸方向に変位させるための駆動機構、及び、その駆動機構を駆動制御する制御装置を示す略図。
【図3】(a)〜(h)は、ブラシレスモータの回転角の変化に対する電気角センサS1〜S3のパルス信号の波形、位置センサS4,S5のパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、位置カウンタPのカウンタ値の推移、及び、ストロークカウンタSのカウンタ値の推移を示すタイミングチャート。
【図4】電気角カウンタE、位置カウンタP、及びストロークカウンタSのカウンタ値を変化させる手順を示すフローチャート。
【図5】(a)は電気角センサS1〜S3からの信号に応じて変化する電気角カウンタEのカウンタ値の変化態様を示す表、(b)は位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表。
【図6】(a)〜(e)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、位置カウンタPのカウンタ値の推移を示すタイミングチャート。
【図7】(a)は図6(d)のタイミングa,b,cでの位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表、(b)は図6(e)のタイミングc,b,aでの位置センサS4,S5からの信号に応じた位置カウンタPのカウンタ値の加減算態様を示す表。
【図8】(a)〜(e)は、時間経過に対する電気角センサS1〜S3からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、モータステータスの推移を示すタイムチャート。
【図9】電気角センサS1〜S3からのパルス信号における前回のエッジ発生時及び今回のエッジ発生時のモータステータスと、ブラシレスモータの回転状態との関係を示す表。
【図10】位置カウンタPのカウンタ値に対する第1の補正値ΔPによる補正手順を示すフローチャート。
【図11】(a)〜(i)は、ブラシレスモータ47の回転角の変化に対する電気角センサS1〜S3からのパルス信号の波形、位置センサS4,S5からのパルス信号の波形、電気角カウンタEのカウンタ値の推移、及び、位置カウンタPのカウンタ値の推移を示すタイミングチャート。
【図12】(a)及び(b)は、モータ正回転中における図11のタイミングa〜gでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔPを示す表。
【図13】(a)及び(b)は、モータ逆回転中における図11のタイミングg〜a,zでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、及び、第1の補正値ΔPを示す表。
【図14】電気角センサS1〜S3からのパルス信号における前回のエッジ発生時及び今回のエッジ発生時のモータステータスと、ブラシレスモータの回転状態との関係を示す表。
【図15】電気角センサS1〜S3からのパルス信号における前回のエッジ発生時及び今回のエッジ発生時のモータステータスと、差(Pi −Pi-1 )の正常値Jとの関係を示す表。
【図16】今回エッジ発生時のモータステータスに応じた第2の補正値ΔPrの設定態様を示す表。
【図17】(a)及び(b)は、モータ正回転中における図11のタイミングa〜gでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、第1の補正値ΔP、及び、第2の補正値ΔPrを示す表。
【図18】(a)及び(b)は、モータ逆回転中における図11のタイミングg〜a,zでの電気角センサS1〜S3からの信号の出力パターン、電気角カウンタEのカウンタ値、電気角センサS1〜S3からの信号における前回のエッジ発生時と今回のエッジ発生時とのモータステータス、正常値J、差(Pi −Pi-1 )、第1の補正値ΔP、及び、第2の補正値ΔPrを示す表。
【図19】位置カウンタPのカウンタ値に対する第1の補正値による誤補正を無効化する手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0148】
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、5…ピストン、6…燃焼室、7…吸気通路、8…排気通路、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、11a…吸気カム、12…排気カムシャフト、12a…排気カム、14…バルブリフト可変機構、15…ロッカシャフト、16…コントロールシャフト、17…入力アーム、18…出力アーム、19…ローラ、20…コイルスプリング、21…ロッカアーム、22…ラッシュアジャスタ、23…ローラ、24…バルブスプリング、47…ブラシレスモータ、48…変換機構、50…電子制御装置(駆動装置、算出手段、設定手段、第1の補正手段、第2の補正手段)、51…アクセルポジションセンサ、52…スロットルポジションセンサ、53…エアフローメータ、54…クランクポジションセンサ、55…イグニッションスイッチ、56…不揮発性メモリ、S1〜S3…電気角センサ、S4,S5…位置センサ。




 

 


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