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発明の名称 車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット及び車両用冷却媒体循環路
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−28750(P2007−28750A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205369(P2005−205369)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
発明者 高崎 哲
要約 課題
車両用電動機又は発電機における冷却ジャケットにおいて、蛇行流路に滞留する元々の気体の量を少なくすることである。

解決手段
車両用の電動機又は発電機においてその側面に設けられる冷却ジャケット50は、ジャケット本体52及びカバー54とを有する。ジャケット本体52及びカバー54には蛇行形状の窪み64,65がそれぞれ設けられ、ジャケット本体52とカバー54とを合わせ面で合わせることで、内部に、重力方向に沿って上方に行くことと下方に行くことを繰り返す蛇行流路用の蛇行空間が形成されるようになっている。蛇行流路の上行部から下行部に移る流路である上曲り部の体積は、蛇行流路の下行部から上行部に移る流路である下曲り部の体積より少ない。また、蛇行流路の上曲り部と、これに隣接する下流側の上行部との間に連通路が設けられる。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両用の電動機又は発電機においてその側面に設けられる冷却ジャケットであって、
冷却媒体が供給される冷却媒体入口と、
冷却媒体が搬出される冷却媒体出口と、
冷却媒体入口と冷却媒体出口との間に設けられ、電動機又は発電機の側面に沿って冷却媒体が上行する上行部と下行する下行部とをそれぞれ複数含む蛇行流路と、
蛇行流路の上行部から下行部に移る流路である上曲り部と、これに隣接する下流側の上行部とを連通する連通路と、
を有し、
蛇行流路の上曲り部の体積が、蛇行流路の下行部から上行部に移る流路である下曲り部の体積より少ないことを特徴とする車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット。
【請求項2】
請求項1に記載される車両用電動機又は発電機における冷却ジャケットにおいて、
蛇行流路の上曲り部の高さ方向の幅である上曲り幅が、蛇行流路の下曲り部の高さ方向に沿った下曲り幅より狭いことを特徴とする車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載される車両用電動機又は発電機における冷却ジャケットにおいて、
連通路は、蛇行流路の流路断面積の0.5%以上5%以下の流路断面積を有することを特徴とする車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載される車両用電動機又は発電機における冷却ジャケットにおいて、
冷却ジャケットは、蛇行流路を形成する蛇行窪みを有するジャケット本体と、ジャケット本体に合わせられるカバーとを含み、連通路は、ジャケット本体とカバーとの合わせ目においてジャケット本体又はカバーの少なくともいずれか1に設けられる窪みであることを特徴とする車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット。
【請求項5】
高い位置に設けられる冷却媒体注入部と、
低い位置に設けられる車両用の電動機又は発電機においてその側面に設けられる冷却ジャケットと、
循環ポンプと、
を接続して循環経路を形成する車両用冷却媒体循環路であって、
冷却ジャケットは、
冷却媒体注入部側から冷却媒体が供給される冷却媒体入口と、
冷却媒体注入部側へ冷却媒体が搬出される冷却媒体出口と、
冷却媒体入口と冷却媒体出口との間に設けられ、電動機又は発電機の側面に沿って冷却媒体が上行する上行部と下行する下行部とをそれぞれ複数含む蛇行流路と、
蛇行流路の上行部から下行部に移る流路である上曲り部と、これに隣接する下流側の上行部とを連通する連通路と、
を有し、
蛇行流路の上曲り部の体積が、蛇行流路の下行部から上行部に移る流路である下曲り部の体積より少ないことを特徴とする車両用冷却媒体循環路。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット及び車両用冷却媒体循環路に係り、特に、蛇行流路を含む車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット及び車両用冷却媒体循環路に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられる電動機等を冷却するため、電動機に冷却用ジャケットを取り付け、その内部に冷却媒体を流すことが行われる。この冷却媒体流路に空気があると、その熱伝導率が低いために冷却効率が低下する。そのために、冷却媒体流路中の空気を排除する工夫がなされる。
【0003】
例えば、特許文献1には、電動機のステータを支持するジャケットに冷却液を流す場合、入口側と出口側をジャケットの上方に設けると、ジャケット内の空気は、出口側のものは出口孔から排出できるが、入口側のものが排出できない課題が述べられている。そこで、入口孔と出口孔とを連通する連通路を設けることで、入口孔の空気を出口孔から排出する。なお、ジャケット内に、冷却液の流れ方向に対し交差する方向に延びる複数の堰を設け、これにより冷却液を蛇行させ、冷却性を向上させることが述べられている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の伝熱管を筒状のクーラシェル内にその軸線に平行に設け、それらの伝熱管内部に排気ガス、伝熱管外部に冷却水を流す場合に冷却水流路に複数のバッフル板を設け、冷却水をらせん状に流す排気冷却器の構造が開示されている。バッフル板は半円形状で、相互に順次90度ずつ回転させて配置される。半円形の欠けた部分は冷却水が流れる。また、バッフル板には、エア抜きのための一部切欠きが設けられている。
【0005】
特許文献3には、ブラケットの冷却水路の空気を抜くために、ブラケットの外周に設けられた水路を隔てる壁の外方向に切欠きを設け、その隙間によって、空気抜き穴が直接つながっていない水路に残った空気を空気抜き穴の通じている水路まで到達させるモータの水冷構造が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−312886号公報
【特許文献2】特開2000−292089号公報
【特許文献3】特開平11−341744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来技術においては、流路中の空気を排出するために空気を出口側に導く連通路又は切欠きを用いている。これらは一旦流路中に空気が滞留等した場合に、これを出口側に導くものであるが、流路中に滞留する元々の空気の量を抑制するものではない。
【0008】
例えば、蛇行流路を有する冷却媒体循環路に冷却水等の媒体を最初に満たす場合を考えると、蛇行流路の構造上、曲がり部等に空気が滞留しやすく、この空気を出口側に押し出すには相当の押出圧力が必要で、また時間がかかる。連通路があるとしても、元々の滞留する空気の量が多ければ、連通路を介して多くの空気量を出口側に押し出すには、それなりの容量のポンプを要し、また冷却水等の充填時間が長くかかる。
【0009】
本発明の目的は、蛇行流路に滞留する元々の気体の量を少なくすることを可能にする車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット及び車両用冷却媒体循環路を提供することである。また、他の目的は、冷却媒体循環路に冷却媒体を満たす時間をより短くできる車両用電動機又は発電機における冷却ジャケット及び車両用冷却媒体循環路を提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車両用電動機又は発電機における冷却ジャケットは、車両用の電動機又は発電機においてその側面に設けられる冷却ジャケットであって、冷却媒体が供給される冷却媒体入口と、冷却媒体が搬出される冷却媒体出口と、冷却媒体入口と冷却媒体出口との間に設けられ、電動機又は発電機の側面に沿って冷却媒体が上行する上行部と下行する下行部とをそれぞれ複数含む蛇行流路と、蛇行流路の上行部から下行部に移る流路である上曲り部と、これに隣接する下流側の上行部とを連通する連通路と、を有し、蛇行流路の上曲り部の体積が、蛇行流路の下行部から上行部に移る流路である下曲り部の体積より少ないことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車両用電動機又は発電機における冷却ジャケットにおいて、蛇行流路の上曲り部の高さ方向の幅である上曲り幅が、蛇行流路の下曲り部の高さ方向に沿った下曲り幅より狭いことが好ましい。
【0012】
また、連通路は、蛇行流路の流路断面積の0.5%以上5%以下の流路断面積を有することが好ましい。
【0013】
また、冷却ジャケットは、蛇行流路を形成する蛇行窪みを有するジャケット本体と、ジャケット本体に合わせられるカバーとを含み、連通路は、ジャケット本体とカバーとの合わせ目においてジャケット本体又はカバーの少なくともいずれか1に設けられる窪みであることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る車両用冷却媒体循環路において、高い位置に設けられる冷却媒体注入部と、低い位置に設けられる車両用の電動機又は発電機においてその側面に設けられる冷却ジャケットと、循環ポンプと、を接続して循環経路を形成する車両用冷却媒体循環路であって、冷却ジャケットは、冷却媒体注入部側から冷却媒体が供給される冷却媒体入口と、冷却媒体注入部側へ冷却媒体が搬出される冷却媒体出口と、冷却媒体入口と冷却媒体出口との間に設けられ、電動機又は発電機の側面に沿って冷却媒体が上行する上行部と下行する下行部とをそれぞれ複数含む蛇行流路と、蛇行流路の上行部から下行部に移る流路である上曲り部と、これに隣接する下流側の上行部とを連通する連通路と、を有し、蛇行流路の上曲り部の体積が、蛇行流路の下行部から上行部に移る流路である下曲り部の体積より少ないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記構成により、車両用の電動機又は発電機の側面に設けられる冷却ジャケットは冷却媒体が上行する上行部と下行する下行部とをそれぞれ複数含む蛇行流路を有し、ここで、蛇行流路の上曲り部と、これに隣接する下流側の上行部とを連通する連通路を含み、また、蛇行流路における上曲り部の体積が、その下曲り部の体積より狭い。一般的に、冷却ジャケットの上方にある冷却媒体注入部から冷却媒体を蛇行流路に充填するとき、液体である冷却媒体は途中に蛇行部分があっても、その最も高い位置が媒体注入部より下方にある限り、上方から下方に向かって流れるが、上曲り部において空気等の気体が滞留しやすい。上記構成では、上曲り部において下流側と接続する連通路を設け、この滞留する気体を逃がしやすくでき、また、上曲り部の体積を、その下曲り部の体積より狭くしたので、上曲り部に残る空気の量を相対的に減らすことができる。したがって、蛇行流路に滞留する元々の気体の量を少なくすることが可能になる。また、蛇行流路に滞留して押し出すべき気体の量が少なくなるので、冷却媒体を満たす時間をより短くできる。
【0016】
また、蛇行流路の上曲り部の高さ方向の幅である上曲り幅を、下曲り部の高さ方向に沿った下曲り幅より狭くする。これにより、蛇行流路に滞留する元々の気体の量を少なくすることが可能になる。
【0017】
また、連通路は、蛇行流路の流路断面積の0.5%以上5%以下の流路断面積を有することとしたので、冷却媒体のほとんどは連通路でなく蛇行流路、すなわち、車両用の電動機又は発電機を冷却する流路を流れる。したがって、連通路を設けても、本来の蛇行流路を流れる冷却媒体の量の変化は少なく、そのことによる冷却性能の低下を少なくすることができる。
【0018】
また、連通路は、ジャケット本体とカバーとの合わせ目における窪みで形成されるので、簡単な加工又は成形で連通路を設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下において、冷却媒体循環路が設けられる車両として、エンジンと、後輪用の電動機及び発電機を有する、いわゆるFR型(フロントエンジンリア駆動)のハイブリッド車両について説明する。これは説明のための1例であって、電動機又は発電機を有する車両であれば、他の形式、種類の車両であってもよい。例えば、FF型(フロントエンジンフロント駆動)であってもよく、電動機と発電機との機能を1台で行ういわゆる電動/発電機を備える車両であってもよく、さらにエンジンを搭載せずに、電動機等を有する車両であってもよい。
【0020】
また、FR型のハイブリッド車両について説明するので、後輪用の電動機及び発電機は、車両の室内部の床下、具体的には運転席と助手席の間の床を持ち上げてそこに配置する構造であるとして説明するが、もちろんそれ以外の配置構造であってもよい。例えば、電動機及び発電機が、車両の室内部に影響を与えないボンネット内部に配置されるものとしてもよい。
【0021】
また、以下において、冷却ジャケットは電動機の側面に設けられるものとして説明するが、蛇行流路が上行部と下行部とをそれぞれ複数有する冷却ジャケットであれば、取り付ける対象は発電機であってもよい。また、冷却ジャケットにおける蛇行流路の形状は1例であり、複数の上行部と複数の下行部とを有するものであればよい。また、その具体的形状は、電動機又は発電機の外形形状、要求冷却性能、冷却ジャケットに与えられる配置空間等によって具体的に設定することができる。
【0022】
図1は、車両10に搭載される車両用冷却媒体循環路30の構成を示す図である。ここで、蛇行流路を有する冷却ジャケット50は、車両用冷却媒体循環路30の一部として、車両用電動機18に設けられている。車両10は、運転席12を含む車両室内と分離された前方のボンネット部にエンジン14を備え、さらにエンジン14に接続される発電機16と電動機18とを備える。発電機16及び電動機18は車両10の後輪の駆動軸20についての回生及び駆動用であり、図示されていない車両用電源に接続される。すなわち、図1に示される車両10は、いわゆるFR型のハイブリッド車両に属する。発電機16及び電動機18は後輪駆動のために、エンジン14が配置されるボンネット部より後輪側に配置されることが好ましいので、図1に示されるように、運転席の横、より具体的には車室内において運転席と助手席の間の床を持ち上げてそこに配置される。
【0023】
車両用冷却媒体循環路30は、車両10に搭載される発熱要素を冷却するために、冷却媒体32を循環パイプ34中に流し、循環パイプ34が各発熱要素等を巡るようにするものである。具体的には、車両用冷却媒体循環路30は次のように冷却媒体32を循環させる構成を有する。すなわち、フィラー及びフィラータンクと呼ばれる冷却媒体注入部36を始発点とし、インバータ回路部22を冷却し、循環ポンプ38を経由し、エンジン14を迂回し、電動機18に設けられる冷却ジャケット50を流れ、発電機16に設けられる別の冷却ジャケット40を流れ、再びエンジン14を迂回し、ラジエータ24において放熱し、元の冷却媒体注入部36に戻る。
【0024】
冷却媒体注入部36は、冷却媒体32を注入する注入口と冷却媒体32を抜き取る排出口を有する冷却媒体容器で、通常時には循環する冷却媒体32のバッファタンクとして機能するフィラータンクである。冷却媒体32としては、液体を用い、例えば不凍液等の成分を例えば30%程度含む冷却水で、LLC(Long Life Coolant)と呼ばれるものを用いることができる。
【0025】
車両用冷却媒体循環路30に冷却媒体32を最初に充填するときは、冷却媒体注入部36の注入部からタンクの中に冷却媒体32を注入し、重力の作用により、循環パイプ34の中を巡らせる。最初の時点では循環パイプ34の中は空気であるので、循環ポンプ38はほとんど機能しない。したがって、重力による冷媒充填作用を効果的にするために、冷却媒体注入部36は車両用冷却媒体循環路30において、最も高い位置に配置される。
【0026】
循環パイプ34は、冷却媒体32を流すチューブで、冷却媒体32に対する化学的耐性と、耐熱性等を満足する樹脂製チューブ、例えばテフロン(登録商標)チューブ等を用いることができる。
【0027】
循環ポンプ38は、車両用冷却媒体循環路30の中を冷却媒体32が適当な循環速度で循環するようにする小型の液体循環ポンプである。例えば小型の電気ポンプを用いることができる。循環ポンプ38は、液体を循環させる機能を有するものなので、循環パイプ34の中が空気のみのときに冷却媒体32を循環させるのは効率が悪く、場合によってはほとんど不可能な場合がある。循環パイプ34の中に十分冷却媒体32が満たされる場合には、多少の気体が含まれていてもこれを循環させ、その気体を車両用冷却媒体循環路30の開放出口である冷却媒体注入部36において放出することは可能である。しかし、空気等の気体は圧縮性であるので、気体が含まれると著しくその送液性能が低下する。したがって、排出すべき気体の量が多ければ、それに応じて循環ポンプ38の性能も高い必要があり、大型化することになる。
【0028】
図1における車両用冷却媒体循環路30において、冷却すべきものとして発電機16と電動機18は、上記のように車室内において運転席と助手席の間の床を持ち上げてそこに配置されるため、冷却ジャケット40,50を配置する空間に制限がある。すなわち図1において、発電機16、電動機18にそれぞれ設けられる冷却ジャケット40,50は、好ましくは発電機16、電動機18の全周を取り囲むことがよいが、その場合は車室内が狭くなる。このように、冷却ジャケット40,50を配置する空間に制限があるため、図1においては、発電機16の冷却ジャケット40は発電機16の底部に取り付けられ、電動機18の冷却ジャケット50は電動機18の片側側面の一部に設けられる。
【0029】
冷却ジャケット50は、冷却媒体をその内部で循環させて電動機18からの発熱を冷却媒体に移し、電動機18を冷却する機能を有する。図2は、冷却ジャケット50が電動機18に設けられる様子を示す図である。ここで重力方向をZ方向として図2中に示した。冷却ジャケット50は電動機18の軸方向に沿った側面の一方側の一部に、Z方向に対しほぼ平行であるがやや傾いて設けられる。冷却ジャケット50は、電動機18の外周側壁に設けられるジャケット本体52と、ジャケット本体52と組み合わされるカバー54とを含んで構成される。ジャケット本体52は、電動機18と別体として製作される。このことで設計の自由度等が向上し、また、車両10の車室内空間の設計にも好都合である。そしてジャケット本体52を電動機18の外周側壁に密着して取り付け、これに合わせてカバー54を取り付けて、冷却ジャケット50を電動機18に設ける。
【0030】
これに代わって、電動機18のケースの一部としてジャケット本体52を作りこむこととしてもよい。この構成の場合には、冷却ジャケット50の電動機18からの張り出し量を少なくできる可能性があり、また、冷却性も向上することが期待できる。
【0031】
冷却ジャケット50は、冷却効率を向上させるために、内部に蛇行流路を有する。図3は、冷却ジャケット50を開いた状態、すなわちジャケット本体52からカバー54を取り外した各合わせ面の状態を示す図で、図3の右側に、ジャケット本体52の合わせ面の様子を、左側にカバー54の合わせ面の様子を、ちょうど開いた状態で表してある。ここで、重力方向を図3においてZ方向として示した。ジャケット本体52及びカバー54には、蛇行形状の窪み64,65がそれぞれ設けられ、ジャケット本体52とカバー54とを合わせ面で合わせることで、内部に、Z方向に沿って上方に行くことと下方に行くことを繰り返す蛇行流路用の蛇行空間が形成されるようになっている。
【0032】
また、ジャケット本体52とカバー54の底面側には、冷却媒体入口60と冷却媒体出口62が設けられ、これらは、蛇行形状の窪み64,65のそれぞれ一方側端部と他方側端部と接続される。さらに、ジャケット本体52には、蛇行形状の窪み64を短絡するように細い連通路68が設けられる。また、ジャケット本体52とカバー54とを組み付けるために、カバー54に貫通穴70が、ジャケット本体52にこれに対応するネジ穴72がそれぞれ設けられる。かかるジャケット本体52とカバー54は、熱伝導のよい金属材料で形成され、例えばアルミニウム軽合金を成形したものを用いることができる。なお、図3においてジャケット本体52を電動機18に取り付けるための取付手段については図示を省略してある。
【0033】
蛇行形状の窪み64,65は、冷却媒体入口60と冷却媒体出口62との間に設けられ、合わせて冷却媒体を冷却媒体入口60から導入し、電動機18の発熱を効率よく冷却媒体に移すために蛇行する蛇行流路を通して冷却媒体出口62から排出させるための冷却媒体流路を形成する機能を有するものである。蛇行形状の窪み64,65は、それぞれジャケット本体52とカバー54において、冷却媒体が流れやすいように窪みの底面にやや丸みをつけ、また蛇行形状の曲り部も滑らかに変化するように成形される。また、冷却媒体との接触面積を増加させるために、ジャケット本体52側の蛇行形状の窪み64には、冷却媒体の流れる方向に沿って、フィン66が設けられる。フィン66は、蛇行形状の窪み64の流路を分けるように、窪みの底面から突き出した部分である。
【0034】
蛇行形状の窪み64,65によって形成される冷却媒体流路は、次のような形状配置を有する。すなわち、冷却媒体流路はまず、冷却ジャケット50の底面側の冷却媒体入口60から、冷却ジャケット50の底面にほぼ沿って冷却ジャケット50の一方側の側面に向かって延びる。冷却ジャケット50の一方側の側面とは、図3のジャケット本体52において右側の側面Aである。底面にほぼ沿って延びる冷却媒体流路は、そこで上方に向かって方向を変える。冷却媒体はここでZ方向の上方側に向かって上行することになるので、この部分を上行部と呼ぶことにする。
【0035】
最初の上行部80は、次に冷却媒体がZ方向の下方側に向かって下行するように、冷却ジャケット50における他方側の側面の方へその方向を変える。冷却ジャケット50における他方側の側面とは、図3のジャケット本体52において左側の側面Bである。冷却媒体が下行する部分を下行部と呼ぶことにすると、上行部は、上に凸の形状で曲がる遷移部を経て下行部に移る。この上に凸の形状部分を上曲り部と呼ぶことにすると、冷却媒体は、最初の上行部80−最初の上曲り部88−最初の下行部82の順序で蛇行する。
【0036】
最初の下行部82も、次に冷却媒体がZ方向の上方側に向かって上行するようにその方向を変える。すなわち最初の下行部82は、下に凸の形状で曲がる遷移部を経て第2の上行部に移る。この下に凸の形状部分を下曲り部と呼ぶことにすると、冷却媒体は、最初の上行部80−最初の上曲り部88−最初の下行部82−最初の下曲り部90−第2の上行部の順序で蛇行する。
【0037】
以下、第2の上行部−第2の上曲り部−第2の下行部−第2の下曲り部−第3の上行部−第3の上曲り部−第3の下行部98の順に、ジャケット本体52において一方側の側面Aから他方側の側面Bの方向に複数回蛇行し、第3の下行部98は下行した先で冷却ジャケット50の底面側の冷却媒体出口62に接続される。
【0038】
図3において、冷却ジャケット50の内部における冷却媒体流路は、3つの上行部、3つの下行部、3つの上曲り部、2つの下曲り部を含む蛇行流路によって構成される。フィンは、適当に設けられるが、但し、各上曲り部には設けられない。ここで、3つの上曲り部は、上流側から下流側の方向、すなわち側面Aから側面Bの方向に行くにつれて、Z方向の高さが次第に高くなるように配置される。また、3つの上曲り部、2つの下曲り部を含む蛇行流路によって構成される。また、2つの下曲り部は、上流側から下流側の方向に行くにつれて、Z方向の高さが次第に低くなるように配置される。
【0039】
また、冷却媒体流路は、各上曲り部の部分を除いて、その冷却媒体が流れる断面積が流路に沿ってほぼ同じとなるように、蛇行形状の窪み64,65の幅、深さ等が定められる。この例外は、空気が滞留しやすい各上曲り部の部分であって、この部分の流路体積は、冷却媒体の流れを著しく損なわない程度、すなわち、循環ポンプ38によって滑らかに循環できる程度の範囲で、出来るだけ小さく設定される。上曲り部以外の流路として、比較しやすい下曲り部で代表させると、具体的には、各上曲り部の体積は、各下曲り部の体積より小さく設定される。また、各上曲り部のZ方向の幅である上曲り幅が、各下曲り部のZ方向に沿った下曲り幅より狭く設定される。
【0040】
また、連通路68は、上曲り部と、これに隣接する下流側の上行部とを接続して設けられる。図3においては、最初の上曲り部88と第2の上行部とが接続され、また第2の上曲り部と第3の上行部とが接続される。連通路68は必ずしも隣接する上曲り部同士を接続しなくてもよい。また、連通路68は上曲りの最も高い位置に一方側の端部が接続されるのが好ましい。但し、たとえば、ネジ穴72等の配置設計の都合によっては、隣接する上曲り部同士を接続できないことがあり、また、上曲りの最も高い位置に一方端の端部が接続できないことがありえるが、その場合には、連通路68の一方端は上曲り部のできるだけ高い位置として、他方端は、これに隣接する下流側の上行部においてZ方向に沿ったできるだけ上側の部分に接続する。
【0041】
連通路68の流路断面積は、冷却媒体が本来流れる冷却媒体流路の流路断面積の0.5%から5%程度がよい。より好ましくは、1%から2%程度がよい。これにより、冷却媒体のほとんどを冷却媒体流路に流すことができ、十分な冷却性能を確保することができる。なお、上曲り部、下曲り部、連通路のさらに詳細な内容は、作用と関連させて後述する。
【0042】
図4は、図3におけるC−C線に沿った冷却ジャケット50の断面図である。図示されるように、フィン66は、発熱する電動機18に取り付けられるジャケット本体52のほうにのみ設けられる。また、連通路68は、ジャケット本体52とカバー54との合わせ面において、ジャケット本体52の表面側を窪ませて形成される。これにより、簡単な加工で連通路68を形成することができる。もちろん、カバー54の表面側を窪ませて連通路68を形成するものとしてもよく、ジャケット本体52及びカバー54の双方の表面側を窪ませて連通路68を形成するものとしてもよい。
【0043】
上記構成の車両用冷却媒体循環路30の作用、特に冷却ジャケット50の作用を以下に説明する。車両用冷却媒体循環路30は、冷却媒体を循環させる機能を有するものであるが、冷却ジャケット50の蛇行流路の構造が特に問題になるのは、冷却媒体を注入するとき、あるいは逆に、冷却媒体を抜き取るときである。これらの場合において、車両用冷却媒体循環路30の構成、特に冷却ジャケット50の蛇行流路の構造によって、冷却媒体の注入時間、抜き取り時間が大きく影響されることがあるからである。以下では、冷却媒体を注入するときを例として、車両用冷却媒体循環路30の作用等を説明する。
【0044】
上記のように、車両用冷却媒体循環路30に冷却媒体32を最初に注入充填するときは、冷却媒体注入部36の注入部からタンクの中に冷却媒体32を注入する。冷却媒体注入部36は車両用冷却媒体循環路30において最も高い位置に配置されるので、注入された冷却媒体は重力の作用により、冷却媒体注入部36からその先に流れてゆく。車両用冷却媒体循環路30の途中に、冷却媒体32が上方に行き、また下方に行く蛇行部分がなければ、冷却媒体32は循環パイプ34の中における空気等の気体を下流側に押し出しながら充填される。
【0045】
冷却ジャケット50においては上記のように上行部及び下行部を複数含む蛇行流路があるので、空気等が滞留しやすい。その様子を図5に示す。図5は、冷却ジャケット50の内部において、蛇行形状の窪み64,65によって形成される蛇行流路63の一部を拡大して示すものである。ここでは、図3に関連して説明した最初の上行部80から第2の下行部86までの部分が示される。すなわち、最初の上行部80−最初の上曲り部88−最初の下行部82−最初の下曲り部90−第2の上行部84−第2の上曲り部92−第2の下行部86の部分が示される。
【0046】
最初の上行部80の底面側から冷却媒体32が供給されると、冷却媒体注入部36はこれより高い位置にあるので、冷却媒体32は上行部80を上行し、その水位を上げて上行部80から下行部82へ移る境界Dの高さに達する。この境界Dに水位が到達すると、冷却媒体32は下行部82に流れ落ちる。すなわち、境界Dは堰あるいは敷居の役割を有する。ここで仮に連通路68がなければ、水位は境界Dの高さ以上にはそのままでは上昇せず、上曲り部88及びその下流の一部にはその分の空気等の気体が残ったままとなることがある。ここで連通路68があることで、水位はその下流側も含め連通路68の高さまで上昇でき、残された気体は、最大でも上曲り部88の体積となる。
【0047】
ここで、上記のように蛇行流路63は、各上曲り部の部分を除いて、その冷却媒体32が流れる断面積が流路に沿ってほぼ同じとなるように、蛇行形状の窪み64,65の幅、深さ等が定められる。上曲り部はこの基本設計思想の例外で、具体的には、各上曲り部の体積は、各下曲り部の体積より小さく設定される。また、各上曲り部のZ方向に沿って測られる幅である上曲り幅が、各下曲り部のZ方向に沿った下曲り幅より狭く設定される。例えば、図5において、上曲り部88のZ方向に沿って測った幅である上曲り幅H1は、蛇行流路63における他の部分の流路幅よりも狭い。代表的には、下曲り部90のZ方向に沿って測った幅である上曲り幅H2より狭い。これにより、上曲り部88に残される空気等の気体の体積を相対的に減少させることができる。例えば図5の例では、下曲り部90の体積の1/3程度まで上曲り部88の体積を減少させることができ、また、連通路68の配置をより高い位置にすることで、上曲り部88の残される空気等の気体の体積をさらに少なくできる。
【0048】
同様にして、最初の下行部82を流れ落る冷却媒体32は、最初の下曲り部90の体積を満たし、最初の下行部82及び第2の上行部84を満たしながら、第2の上行部84から第2の下行部86へ移る境界Eの高さまで水位が達する。境界Eの高さが最初の境界Dの高さより高い位置にあっても、冷却媒体注入部36の高さ位置がこれよりさらに高ければ水位は十分に上がってゆく。
【0049】
ここでも連通路68が上曲り部92からその下流側の次の上行部に接続される。そして上曲り部92のZ方向に沿って測った幅である上曲り幅は、蛇行流路63における他の部分の流路幅よりも狭く、代表的には、下曲り部90のZ方向に沿って測った幅である下曲り幅H2より狭い。これにより、上曲り部92に残される空気等の気体の体積を相対的に減少させることができる。
【0050】
このようにして、極力体積を少なくした上曲り部88,92等に若干の空気を残したまま、冷却媒体32が一通り冷却ジャケット50の内部に充填される。冷却ジャケット50の下流側において、他に上行部、下行部を含む蛇行流路がなければ、冷却媒体32はそれらの流路を順次満たして、再び元の冷却媒体注入部36に戻る。
【0051】
ここで循環ポンプ38を駆動すると冷却媒体32が加圧され、上曲り部88,92等に残された空気等の気体を押し出すように働く。すなわち図5において上曲り部88,92等をさらに上げて、残された空気等を下流側に押し出そうとする。その際に、連通路68が効果的に作用する。すなわち、連通路68は、上曲り部88,92等から、次の下流側の上行部84等に連通しているので、残された空気等が加圧されると、その圧力で、残された空気等は、連通路68を通って直接次の上行部84等に押し出される。すなわち、連通路68の存在によって、残された空気等は、蛇行流路63の蛇行部分をバイパスして、容易に下流側に押し出される。したがって、循環ポンプ38は、上曲り部88,92等に残された空気等を蛇行しながら押し出す必要がなく、より小さな循環性能を有するもので済ますことができる。最後の上曲り部に残された空気等の処理は、その量が少なければそのままにしておいてもよい。また、循環ポンプ38の容量に余裕があれば、これを押し出すこともできる。また、最後の上曲り部のみに空気抜きバルブを設けてもよい。
【0052】
このように、上曲り部の体積を減少させ、連通路を設けることで、車両用冷却媒体循環路30への冷却媒体32の注入充填時間を短縮することができる。冷却媒体32が車両用冷却媒体循環路30に充填された後は、循環ポンプ38を適当に作動させ、冷却媒体32を、上記のように、冷却媒体注入部36−インバータ回路部22−循環ポンプ38−電動機18に設けられる冷却ジャケット50−発電機16に設けられる冷却ジャケット40−ラジエータ24−冷却媒体注入部36の循環経路を循環させる。上記のように、冷却ジャケット50の上曲り部等には空気等の気体が排除されているか、残っていてもごく僅かであるので、冷却性能も向上し、また循環ポンプ38の負荷も軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る実施の形態において、蛇行流路を有する冷却ジャケットを一部に有する車両用冷却媒体循環路の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、冷却ジャケットが電動機に設けられる様子を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、冷却ジャケットを開いた状態を示す図である。
【図4】図3におけるC−C線に沿った冷却ジャケットの断面図である。
【図5】本発明に係る実施の形態において、冷却ジャケットの内部の蛇行流路の一部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10 車両、12 運転席、14 エンジン、16 発電機、18 電動機、20 後輪の駆動軸、22 インバータ回路部、24 ラジエータ、30 車両用冷却媒体循環路、32 冷却媒体、34 循環パイプ、36 冷却媒体注入部、38 循環ポンプ、40,50 冷却ジャケット、52 ジャケット本体、54 カバー、60 冷却媒体入口、62 冷却媒体出口、63 蛇行流路、64,65 蛇行形状の窪み、66 フィン、68 連通路、70 貫通穴、72 ネジ穴、80,84 上行部、82,86,98 下行部、88,92 上曲り部、90 下曲り部。




 

 


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