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モータ駆動装置およびハイブリッド駆動装置 - トヨタ自動車株式会社
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発明の名称 モータ駆動装置およびハイブリッド駆動装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−28733(P2007−28733A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−204576(P2005−204576)
出願日 平成17年7月13日(2005.7.13)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 松本 克成
要約 課題
複数のモータを備えたモータ駆動装置およびハイブリッド駆動装置において、1つのモータの異常発生時に実行される他のモータを用いた異常時運転(退避運転)での過電流発生を防止する。

解決手段
第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、共通の出力部材118に連結される。第1モータジェネレータMG1が正常運転不能である場合には、第2モータジェネレータMG2による退避運転が実行される。ハイブリッドECU300は、退避運転時には、インバータであるMG1駆動回路240内を流れる電流を監視して、基準値以上の短絡電流の発生時には、第2モータジェネレータMG2の運転を制限する。これにより、退避運転時に、第2モータジェネレータMG2の運転に伴う第1モータジェネレータMG1の連れ回りによって、MG1駆動回路240での過大な短絡電流の発生による素子損傷を防止できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
共通の出力軸へ動力を出力可能に連結された複数のモータと、
前記複数のモータにそれぞれ接続された複数のモータ駆動回路と、
前記複数のモータの運転を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記複数のモータのうちの第1のモータの正常運転不能時に、前記第1のモータとは異なる第2のモータを用いた異常時運転を指示する異常制御手段と、
前記異常時運転において、前記第2のモータの運転に伴って、前記第1のモータと接続された前記第1のモータ駆動回路を流れる電流に応じて、前記第2のモータの運転を制限する異常時運転制限手段とを含む、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記複数のモータ駆動回路の各々は、電力用半導体スイッチング素子を含んで構成された電力変換器であり、
前記異常時運転において、前記第1のモータ駆動回路の各前記電力用半導体スイッチング素子は動作を停止される、請求項1記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記異常時運転制限手段は、前記異常時運転において、前記第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、前記第2のモータの運転を禁止する手段を有する、請求項1記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記異常時運転制限手段は、前記異常時運転において、前記第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、電源から前記第2のモータ駆動回路への出力電力を制限する電力制限手段を有する、請求項1記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記電力制限手段は、前記第2のモータの回転数が所定値を超えない範囲内で、前記第2のモータの回転数に応じて、前記電源から前記第2のモータ駆動回路への出力電力の制限値を設定する、請求項4記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
燃料の燃焼によって作動するエンジンと、
第1モータジェネレータと、
動力を出力するための出力部材と、
前記出力部材、前記エンジンの出力軸および前記第1のモータジェネレータの出力軸を相互に連結する動力分割機構と、
前記出力部材と連結された第2モータジェネレータと、
直流電源と前記第1のモータジェネレータとの間に接続されて、前記第1のモータジェネレータを駆動制御する第1のモータ駆動回路と、
前記直流電源と前記第2のモータジェネレータとの間に接続されて、前記第1のモータジェネレータを駆動制御する第2のモータ駆動回路と、
前記第1のモータの正常運転不能時に、前記第2のモータジェネレータによる退避運転を指示する異常制御手段と、
前記退避運転時に、前記第2のモータジェネレータの運転に伴って、前記第1のモータジェネレータと接続された前記第1のモータ駆動回路に流れる電流に応じて、前記第2のモータジェネレータの運転を制限する異常運転制限手段とを備える、ハイブリッド駆動装置。
【請求項7】
前記第1および第2のモータ駆動回路の各々は、電力用半導体スイッチング素子を含んで構成されたインバータであり、
前記退避運転時に、前記第1のモータ駆動回路の各前記電力用半導体スイッチング素子は動作を停止される、請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項8】
前記異常運転制限手段は、前記退避運転時に、前記第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、前記第2のモータジェネレータの運転を禁止する手段を有する、請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項9】
前記異常運転制限手段は、前記退避運転時に、前記第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、前記直流電源から前記第2のモータ駆動回路への出力電力を制限する電力制限手段を有する、請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
【請求項10】
前記電力制限手段は、前記第2のモータジェネレータの回転数が所定値を超えない範囲内で、前記第2のモータジェネレータの回転数に応じて、前記直流電源から前記第2のモータ駆動回路への出力電力の制限値を設定する、請求項6記載のハイブリッド駆動装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータ駆動装置およびハイブリッド駆動装置に関し、より特定的には、共通の出力軸へ動力を出力可能に連結された複数のモータを含んで構成されたモータ駆動装置およびハイブリッド駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンおよびモータを動力源とするハイブリッド車両が提案されている。ハイブリッド車両の一種として、特開2001−302806号公報(特許文献1)等に開示されるいわゆるパラレルハイブリッド車両がある。パラレルハイブリッド車両では、エンジンから出力された動力は、第1のモータジェネレータを有する動力分割機構を介することにより、その一部が駆動軸に伝達され、残りの動力が第1のモータジェネレータにより電力として回生される。この電力はバッテリ充電や、エンジン以外の動力源としての第2のモータジェネレータの駆動に用いられる。
【0003】
上記ハイブリッド車両は、上記の動力の伝達過程において、第1および第2のモータジェネレータを制御することによって、エンジンから出力された動力を任意の回転数およびトルクで駆動軸に出力することができる。駆動軸から出力すべき要求出力に拘らずエンジンを運転効率の高い運転点を選択して運転することができるため、ハイブリッド車両は、エンジンのみを駆動源とする従来の車両に比べて省資源性および排気浄化性に優れている。
【特許文献1】特開2001−302806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなパラレルハイブリッド車両では、エンジンまたは第1のモータジェネレータに異常が生じた場合には、エンジンを主動力源とした通常の車両走行が不可能となる。このため、特許文献1には、エンジンまたは第1のモータジェネレータの異常時に、二次電池の充電量(SOC:State of Charge)に応じて決定された性能範囲の中で第2のモータジェネレータを用いた退避走行を行なうことにより、退避走行による移動距離を延ばす技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたハイブリッド構成では、第1および第2のモータジェネレータが同一の出力軸に連結されるため、退避運転時には、第2のモータジェネレータの回転に伴って第1のモータジェネレータも回転する。このため、第1のモータジェネレータに接続されたインバータ内に短絡故障が発生している場合は、退避運転時に、第1のモータジェネレータの回転に伴って発生した誘起電圧により、インバータ内に短絡電流が発生するおそれがある。この短絡電流が過大なものとなると、インバータ構成部品の耐熱温度を超える高温の発生によって、さらなる素子損傷を発生してしまう可能性がある。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、共通の出力軸へ連結された複数のモータを備えたモータ駆動装置およびハイブリッド駆動装置において、1つのモータの異常発生時に他のモータを用いた異常時運転(退避運転)を実行する場合において、異常モータに対応するモータ駆動回路(インバータ)における過電流の発生を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるモータ駆動装置は、複数のモータと、複数のモータにそれぞれ接続された複数のモータ駆動回路と、複数のモータの運転を制御する制御回路とを備える。複数のモータは、共通の出力軸へ動力を出力可能に連結される。制御回路は、異常制御手段と、異常時運転制限手段とを含む。異常制御手段は、複数のモータのうちの第1のモータの正常運転不能時に、第1のモータとは異なる第2のモータを用いた異常時運転を指示する。異常時運転制限手段は、異常時運転において、第2のモータの運転に伴って、第1のモータと接続された第1のモータ駆動回路を流れる電流に応じて、第2のモータの運転を制限する。
【0008】
上記モータ駆動装置によれば、第1のモータの正常運転不能時には第2のモータを用いた異常時運転を実行できるとともに、異常時運転中に、第2のモータと共通の出力軸へ連結された第1のモータが回転されることにより生じる誘起電圧によって第1のモータ駆動回路を流れる電流が過大となった場合には、第2のモータによる異常時運転を制限することができる。このため、異常時運転において、第1のモータ駆動回路内での短絡故障の発生による過大な短絡電流により、素子損傷が発生することを防止できる。
【0009】
好ましくは、この発明によるモータ駆動装置では、複数のモータ駆動回路の各々は、電力用半導体スイッチング素子を含んで構成された電力変換器であり、異常時運転において、第1のモータ駆動回路の各電力用半導体スイッチング素子は動作を停止される。
【0010】
上記モータ駆動装置によれば、電力用半導体スイッチング素子を含んで構成された電力変換器であるモータ駆動回路内にスイッチング素子の短絡故障が発生している場合に、し第1のモータ駆動回路の各電力用半導体スイッチング素子の動作を停止しても第2のモータの回転に伴う第1のモータの回転によって生じる短絡電流を防止して、素子損傷の発生を防止することができる。
【0011】
また好ましくは、この発明によるモータ駆動装置では、異常時運転制限手段は、異常時運転において、第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、第2のモータの運転を禁止する手段を有する。
【0012】
上記モータ駆動装置によれば、異常時運転における第1のモータ駆動回路を流れる電流が基準値以上である場合には、素子損傷に至る可能性のある異常時運転(第2のモータの運転)を禁止することができる。これにより、確実にモータ駆動回路の素子保護が図られる。
【0013】
あるいは好ましくは、この発明によるモータ駆動装置では、異常時運転制限手段は、電力制限手段を有する。電力制限手段は、異常時運転において、第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、電源から第2のモータ駆動回路への出力電力を制限する。
【0014】
上記モータ駆動装置によれば、第2のモータを用いた異常時運転において第1のモータに接続された第1のモータ駆動回路に基準値以上の電流(短絡電流)が流れる場合には、第2のモータの駆動電力に相当する電源から第2のモータ駆動回路への出力電力を制限することにより、短絡電流が過大となって素子損傷を引き起こさない範囲で異常時運転を継続することができる。
【0015】
さらに好ましくは、この発明によるモータ駆動装置では、電力制限手段は、第2のモータの回転数が所定値を超えない範囲内で、第2のモータの回転数に応じて、電源から第2のモータ駆動回路への出力電力の制限値を設定する。
【0016】
上記モータ駆動装置によれば、異常時運転における第2のモータの回転数が所定値を超えない範囲内で、第2のモータの駆動電力(電源からの出力電力)をモータの回転数に応じて可変設定することができる。このため、特に、第2のモータの低回転数領域において第2のモータの出力トルクを確保できるので、異常時運転における第2のモータの運転領域を拡大できる。
【0017】
この発明によるハイブリッド駆動装置は、エンジンと、第1モータジェネレータと、動力を出力するための出力部材と、動力分割機構と、第2モータジェネレータと、第1のモータ駆動回路と、第2のモータ駆動回路と、異常制御手段と、異常運転制限手段とを備える。エンジンは、燃料の燃焼によって作動する。動力分割機構は、出力部材、エンジンの出力軸および第1のモータジェネレータの出力軸を相互に連結する。第2モータジェネレータは、出力部材と連結される。第1のモータ駆動回路は、直流電源と第1のモータジェネレータとの間に接続されて、第1のモータジェネレータを駆動制御する。第2のモータ駆動回路と、直流電源と第2のモータジェネレータとの間に接続されて、第1のモータジェネレータを駆動制御する。異常制御手段は、第1のモータの正常運転不能時に、第2のモータジェネレータによる退避運転を指示する。異常運転制限手段は、退避運転時に、第2のモータジェネレータの運転に伴って、第1のモータジェネレータと接続された第1のモータ駆動回路に流れる電流に応じて、第2のモータジェネレータの運転を制限する。
【0018】
上記ハイブリッド駆動装置によれば、第1のモータジェネレータに接続された第1のモータ駆動回路の異常検知時には、第2のモータジェネレータを用いた退避運転を実行できるとともに、退避運転中に、第2のモータジェネレータと共通の出力部材へ連結された第1のモータジェネレータが回転されることにより生じる誘起電圧によって第1のモータ駆動回路を流れる電流が過大となった場合には、第2のモータジェネレータによる退避運転を制限することができる。このため、退避運転時に、第1のモータ駆動回路内での短絡故障の発生による過大な短絡電流により、素子損傷が発生することを防止できる。
【0019】
好ましくは、この発明によるハイブリッド駆動装置では、第1および第2のモータ駆動回路の各々は、電力用半導体スイッチング素子を含んで構成されたインバータであり、退避運転時に、第1のモータ駆動回路の各電力用半導体スイッチング素子は動作を停止される。
【0020】
上記ハイブリッド駆動装置によれば、電力用半導体スイッチング素子を含んで構成されたインバータであるモータ駆動回路内にスイッチング素子の短絡故障が発生している場合に、第1のモータ駆動回路の各電力用半導体スイッチング素子の動作を停止しても第2のモータジェネレータの回転に伴う第1のモータジェネレータの回転によって生じる短絡電流を防止して、素子損傷の発生を防止することができる。
【0021】
また好ましくは、この発明によるハイブリッド駆動装置では、異常運転制限手段は、退避運転時に、第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、第2のモータジェネレータの運転を禁止する手段を有する。
【0022】
上記ハイブリッド駆動装置によれば、退避運転時における第1のモータ駆動回路を流れる電流が基準値以上である場合には、素子損傷に至る可能性のある異常時運転(第2のモータジェネレータの運転)を禁止することができる。これにより、確実にモータ駆動回路の素子保護が図られる。
【0023】
あるいは好ましくは、この発明によるハイブリッド駆動装置では、異常運転制限手段は、電力制限手段を有する。電力制限手段は、退避運転時に、第1のモータ駆動回路に流れる電流が所定の基準値以上であれば、直流電源から第2のモータ駆動回路への出力電力を制限する。
【0024】
上記ハイブリッド駆動装置によれば、第2のモータジェネレータを用いた退避運転において第1のモータジェネレータに接続された第1のモータ駆動回路に基準値以上の電流(短絡電流)が流れる場合には、第2のモータジェネレータの駆動電力に相当する電源から第2のモータ駆動回路への出力電力を制限することにより、短絡電流が過大となって素子損傷を引き起こさない範囲で異常時運転を継続することができる。
【0025】
さらに好ましくは、この発明によるハイブリッド駆動装置では、電力制限手段は、第2のモータジェネレータの回転数が所定値を超えない範囲内で、第2のモータジェネレータの回転数に応じて、直流電源から第2のモータ駆動回路への出力電力の制限値を設定する。
【0026】
上記ハイブリッド駆動装置によれば、退避運転における第2のモータジェネレータの回転数が所定値を超えない範囲内で、第2のモータジェネレータの駆動電力(電源からの出力電力)を回転数に応じて可変設定することができる。このため、特に、第2のモータジェネレータの低回転数領域において出力トルクを確保できるので、退避運転時における第2のモータジェネレータの運転領域を拡大して、登坂力を確保できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、共通の出力軸へ連結された複数のモータを備えたモータ駆動装置およびハイブリッド駆動装置において、1つのモータの異常発生時に他のモータを用いた異常時運転(退避運転)を実行する場合において、異常モータに対応するモータ駆動回路(インバータ)における過電流の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中における同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰返さないものとする。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に従うハイブリッド駆動装置20を備えたハイブリッド車両10の概略構成を示すブロック図である。なお、ハイブリッド駆動装置20は、以下の説明で明らかになるように、共通の出力軸へ動力を出力可能に連結された複数のモータと、これら複数のモータにそれぞれ接続された複数のモータ駆動回路とを備えたモータ駆動装置の代表例として示されるものである。
【0030】
図1を参照して、ハイブリッド車両10は、ハイブリッド駆動装置20と、ディファレンシャルギヤ30と、駆動軸40と、駆動輪50とを備える。
【0031】
ハイブリッド駆動装置20は、内部にエンジン(内燃機関)および2つのモータジェネレータを内蔵し、モータおよびモータジェネレータの協調制御により出力を発生する。ハイブリッド駆動装置20の出力は、ディファレンシャルギヤ30を介して駆動軸40に伝達されて、駆動輪50の回転駆動に用いられる。ディファレンシャルギヤ30は、路面からの抵抗の差を利用して駆動輪50の左右間の回転差を吸収する。
【0032】
図2は、図1に示したハイブリッド駆動装置20の構成を詳細に説明するブロック図である。
【0033】
図2を参照して、ハイブリッド駆動装置20は、燃料の燃焼によって作動する内燃機関などのエンジン112と、そのエンジン112の回転変動を吸収するスプリング式のダンパ装置114と、そのダンパ装置114を介して伝達されるエンジン112の出力を第1モータジェネレータMG1および出力部材118に機械的に分配する遊星歯車式の動力分割機構120と、出力部材118に回転力を加える第2モータジェネレータMG2とを備えている。
【0034】
エンジン112、ダンパ装置114、動力分割機構120、および第1モータジェネレータMG1(MG1)は同軸上において軸方向に並んで配置されており、第2モータジェネレータMG2は、ダンパ装置114および動力分割機構120の外周側に同心に配設されている。
【0035】
動力分割機構120は、シングルピニオン型の遊星歯車装置で、3つの回転要素として第1モータジェネレータMG1のモータ軸124に連結されたサンギヤ120sと、ダンパ装置114に連結されたキャリア120cと、第2モータジェネレータMG2のロータ122rと連結されたリングギヤ120rとを含む。
【0036】
出力部材118は、第2モータジェネレータMG2のロータ122rとボルトなどによって一体的に固設されており、そのロータ122rを介して動力分割機構120のリングギヤ120rに連結されている。出力部材118には出力歯車126が設けられており、中間軸128の大歯車130および小歯車132を介して傘歯車式のディファレンシャルギヤ30が減速回転させられて、図1に示した駆動輪50に動力が分配される。
【0037】
出力歯車126には、出力部材118からの出力をロックするためのパーキングロックブレーキ機構(図示せず)が設けられる。パーキングロックブレーキ機構は、運転者によるパーキングポジション(Pポジション)選択時に、出力歯車126をロックすることにより、ハイブリッド駆動装置20からの駆動力出力を制限する。
【0038】
第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、それぞれ、MG1駆動回路240およびMG2駆動回路250を介して、電源である蓄電装置(バッテリ)140に電気的に接続されている。
【0039】
これらのモータジェネレータMG1,MG2は、蓄電装置140からの電気エネルギが供給されて所定のトルクで回転駆動される回転駆動状態と、回転制動(モータジェネレータ自体の電気的な制動トルク)により発電機として機能して蓄電装置140に電気エネルギを充電する充電状態と、モータ軸124やロータ122rが自由回転することを許容する無負荷状態との間で動作を切換えられる。
【0040】
ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)300は、予め設定されたプログラムに従って信号処理を行なうことにより、運転状況に応じて、モータジェネレータMG1,MG2による走行モードを、モータ走行、充電走行やエンジン・モータ走行等の間で切換える。
【0041】
たとえばモータ走行では、ハイブリッド車両は、第1モータジェネレータMG1を無負荷状態とするとともに第2モータジェネレータMG2を回転駆動状態とし、その第2モータジェネレータMG2のみを動力源として走行する。また、充電走行では、第1モータジェネレータMG1を発電機として機能させるとともに第2モータジェネレータMG2を無負荷状態としてエンジン112のみを駆動力源として走行しながら、第1モータジェネレータMG1によって蓄電装置140が充電される。
【0042】
あるいは、エンジン・モータ走行では、第1モータジェネレータMG1を発電機として機能させる一方で、エンジン112および第2モータジェネレータMG2の両方を動力源として走行しながら第1モータジェネレータMG1によって蓄電装置140が充電される。
【0043】
また、上記モータ走行時に第2モータジェネレータMG2を発電機として機能させて回生制動する回生制動制御や、車両停止時に第1モータジェネレータMG1を発電機として機能させるとともにエンジン112を作動させ、もっぱら第1モータジェネレータMG1によって蓄電装置140を充電する充電制御などもハイブリッドECU300によって行なわれる。
【0044】
ハイブリッドECU300は、各走行モードにおいて、所望の駆動力発生や発電が行なわれるように、各モータジェネレータMG1,MG2のトルク指令値を発生する。また、エンジン112は、車両停止時には自動的に停止される一方で、その始動タイミングは、運転状況に応じてハイブリッドECU30020によって制御される。
【0045】
具体的には、発進時ならびに低速走行時あるいは緩やかな坂を下るとき等の軽負荷時には、エンジン効率の悪い領域を避けるために、エンジン112を起動させることなく、第2モータジェネレータMG2による駆動力で走行する。そして、一定以上の駆動力が必要な運転状態となったときには、エンジン112が始動される。但し、暖気等のためにエンジン112の駆動が必要な場合には、エンジン112は発進時に無負荷状態で始動されて、所望の暖機が実現するまでアイドリング回転数で駆動される。また、車両駐車時に上記充電制御を行なう場合にも、エンジン112が始動される。
【0046】
図3は、図2に示されたモータジェネレータを駆動する駆動回路の電気的な構成を示す回路図である。
【0047】
図3を参照して、直流電源210は、図2に示した蓄電装置(バッテリ)140を含んで構成されて、電源ライン220およびアースライン230の間に直流電圧を出力する。たとえば、直流電源210を二次電池(バッテリ)および昇降圧コンバータの組合わせにより、二次電池の出力電圧を変換して電源ライン220およびアースライン230の間に出力する構成とすることが可能である。この場合には、昇降圧コンバータを双方向の電力変換可能なように構成して、電源ライン220およびアースライン230間の直流電圧を二次電池の充電電圧に変換する。
【0048】
電源ライン220およびアースライン230の間には、放電用抵抗221および平滑コンデンサ222が並列に接続されている。放電用抵抗221は、図示しないリレーによって直流電源210が電源ライン220およびアースライン230から切り離された場合等に、平滑コンデンサ222に保持された電荷を放電するために設けられる。
【0049】
第1モータジェネレータMG1と接続されるMG1駆動回路240は、一般的な3相インバータの構成を有するので、以下では、MG1駆動回路240を単にインバータ240とも称する。
【0050】
インバータ240は、U相アームを構成する電力用半導体スイッチング素子(以下、単にスイッチング素子とも称する)Q11,Q12と、V相アームを構成するスイッチング素子Q13,Q14と、W相アームを構成するスイッチング素子Q15,Q16とを含む。また、各スイッチング素子Q11〜Q16のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す逆並列ダイオードD11〜D16がそれぞれ接続されている。この実施の形態におけるスイッチング素子としては、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が適用される。スイッチング素子Q11〜Q16は、対応の駆動回路T11〜T16によって、MG1−ECU310からのスイッチング制御信号SG11〜SG16にそれぞれ対応してオン・オフ制御、すなわちスイッチング制御される。
【0051】
第1モータジェネレータMG1は、U相コイル巻線270U、V相コイル巻線270VおよびW相コイル巻線270Wが中性点N1に共通接続されて構成された3相永久磁石モータである。 スイッチング制御によりU相電圧が発生される、スイッチング素子Q11,Q12の中間点は、U相コイル巻線270Uと電気的に接続される。同様に、V相電圧が発生される、スイッチング素子Q13,Q14の中間点は、V相コイル巻線270Vと電気的に接続され、W相電圧が発生される。さらに、W相電圧が発生される、スイッチング素子Q15,Q16の中間点は、W相コイル巻線270Wと電気的に接続される。
【0052】
インバータ回路240の各相アームと第1モータジェネレータMG1の各相コイルとを結ぶ配線には、少なくとも2相において電流センサ241,242がそれぞれ設けられる。U相、V相、W相のモータ駆動電流(瞬時値)の和はゼロであることから、2相に電流センサ241,242を配置することによって各相のモータ電流を検出することができる。電流センサ241,242は、代表的にはホール素子を用いた半導体磁気センサで構成され、対応の配線の通過電流に応じた出力電圧を発生する。電流センサ241,242による出力電圧(電流検出値)は、MG1−ECU310へ送出される。
【0053】
第1モータジェネレータMG1には、回転子(図示せず)の回転角を検出する位置センサ243がさらに配置される。位置センサ243によって検出された回転角は、MG1−ECU310へ送出される。
【0054】
第2モータジェネレータMG2と接続されるMG2駆動回路250は、MG1駆動回路240と同様に一般的な3相インバータの構成を有する。以下では、MG2駆動回路250についても単にインバータ250とも称する。
【0055】
インバータ250は、スイッチング素子Q21〜Q26と、逆並列ダイオードD21〜D26とを含む。スイッチング素子Q21〜Q26は、対応の駆動回路T21〜T26によって、MG2−ECU320からのスイッチング制御信号SG21〜SG26にそれぞれ対応してオン・オフ制御(すなわちスイッチング制御)される。
【0056】
第2モータジェネレータMG2は、第1モータジェネレータMG1と同様に、U相コイル巻線280U、V相コイル巻線280VおよびW相コイル巻線280Wが中性点N2に共通接続されて構成された3相永久磁石モータである。インバータ250の各相アームの中間点は、第2モータジェネレータMG2のU相コイル巻線280U、V相コイル巻線280VおよびW相コイル巻線280Wとそれぞれ電気的に接続される。
【0057】
インバータ250の各相アームと第2モータジェネレータMG2の各相コイルとを結ぶ配線には、少なくとも2相において、電流センサ241,242と同様の電流センサ251,252がそれぞれ設けられる。さらに、第2モータジェネレータMG2にも、位置センサ243と同様の位置センサ253がさらに配置される。電流センサ251,252および位置センサ253による検出値は、MG2−ECU320へ送出される。
【0058】
なお、MG1−ECU310およびMG2−ECU320へは、電流センサ241,241,251,252および位置センサ243,253による検出値の他にも、適宜設けられたセンサ(図示せず)によって検出された、各インバータ240,250への入力電圧、モータジェネレータMG1,MG2のコイル端子電圧等が入力されてモータ駆動制御に用いられる。
【0059】
次に、図3に示した駆動回路によりモータジェネレータの制御構成について説明する。
ハイブリッド駆動装置20全体の動作を制御するハイブリッドECU300は、第1モータジェネレータMG1の運転指令を生成して、MG1−ECU310へ送出する。この運転指令には、第1モータジェネレータMG1の運転許可/禁止指示や、トルク指令値、回転数指令等が含まれる。MG1−ECU310は、電流センサ241,242および位置センサ243からの検出値に基づくフィードバック制御により、ハイブリッドECU300からの指令に従って第1モータジェネレータMG1が動作するように、スイッチング素子Q11〜Q16のスイッチング動作を制御する制御信号SG11〜SG16を発生する。
【0060】
たとえば、ハイブリッドECU300からモータジェネレータMG1の運転禁止指示が発せられた場合には、MG1−ECU310は、インバータ240を構成するスイッチング素子Q11〜Q16の各々がスイッチング動作を停止(すべてオフ)するように、スイッチング制御信号SG11〜SG16を生成する。
【0061】
一方、ハイブリッドECU300によりモータジェネレータMG1の運転指示が発せられている場合には、MG1−ECU310は、第1モータジェネレータMG1のトルク指令値に応じた各相モータ電流が供給されるように、電源ライン220およびアースライン230間の直流電圧を第1モータジェネレータMG1の各相コイルに印加される交流電圧に変換するためのスイッチング制御信号SG11〜SG16を発生する。なお、第1モータジェネレータMG1の回生制動制御時には、MG1−ECU310は、モータジェネレータMG1によって発電された交流電圧を電源ライン220およびアースライン230間の直流電圧に変換するように、スイッチング制御信号SG11〜SG16を発生する。これらの際に、スイッチング制御信号SG11〜SG16は、たとえば周知のPWM制御方式に従う、センサ検出値を用いたフィードバック制御により生成される。
【0062】
MG2−ECU320は、MG1−ECU310と同様の機能を有し、ハイブリッドECU300からの運転指令に従って第2モータジェネレータMG2が動作するように、スイッチング素子Q21〜Q26のスイッチング動作を制御する制御信号SG21〜SG26を発生する。
【0063】
また、MG1−ECU310およびMG2−ECU320によって検知された、インバータ240,250の異常に関する情報は、モータジェネレータMG1,MG2の運転指令とは反対方向に、ハイブリッドECU300に対して送出される。ハイブリッドECU300は、これらの異常情報をモータジェネレータMG1,MG2の運転指令へ反映することが可能なように構成されている。
【0064】
図2および図3に示した構成において、モータジェネレータMG1、MG2は、本発明における「複数のモータ」に対応し、インバータ240,250は、本発明における「複数のモータ駆動回路」に対応する。また、ハイブリッドECU300は、本発明における「制御回路」に対応する。
【0065】
再び図2を参照して、特許文献1にも記載されるように、第1モータジェネレータMG1に接続されたインバータ240の異常により第1モータジェネレータが使用不能である場合には、エンジン112および第1モータジェネレータMG1の動作を停止して、第2モータジェネレータMG2による動力を用いた「異常時運転」によってハイブリッド車両の「退避運転」が実行可能である。
【0066】
このような退避運転時には、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2が動力分割機構120を介して互いに連結されているので、第2のモータジェネレータMG2を運転(回転)するのに伴って、第1のモータジェネレータMG1も回転される。
【0067】
図4の共線図に示されるように、エンジン112が停止している(エンジン回転数Neg=0)の状態で、第2モータジェネレータMG2を回転数Nmg2で回転させる退避運転を行なうと、第1モータジェネレータMG1は、逆回転方向に回転数Nmg2に比例した回転数Nmg1(Nmg1∝Nmg2)で共に回転する。
【0068】
図5に示すように、このような退避運転時の第1モータジェネレータMG1の回転に伴って、その回転子(図示せず)に装着された磁石275が回転する。これにより、モータジェネレータMG1のコイル巻線270U,270V,270Wに誘起電圧が発生する。
【0069】
図5には、オン状態を維持して制御不能となる短絡故障がスイッチング素子Q12に発生したケースが、インバータ240中の短絡故障の一例として示される。
【0070】
このようなケースでは、スイッチング制御信号SG11〜SG16により、各スイッチング素子Q11〜Q16のスイッチング動作を停止(オフ状態)するように制御しても、短絡故障したスイッチング素子Q12を介した短絡経路が形成される。具体的には、コイル巻線270U〜スイッチング素子Q12(短絡故障)〜アースライン230〜ダイオードD14〜コイル巻線270V〜中性点N1〜コイル巻線270Uを経由する、アースライン230を介した短絡経路が形成される。このため、誘起電圧および当該短絡経路の電気抵抗に応じた異常電流Iabが発生する。
【0071】
コイル巻線に発生する誘起電圧は、第1モータジェネレータMG1の回転数に比例するので、退避運転時における第2モータジェネレータMG2の回転数が上昇すれば、第1モータジェネレータMG1に発生する誘起電圧も高くなり、インバータ240中の異常電流(短絡電流)Iabも増大してしまう。異常電流Iabが過大となると、インバータの構成部品の耐熱温度を超える高温の発生によって、さらなる素子損傷を発生してしまう可能性がある。
【0072】
これに対して、インバータ240中のスイッチング素子がオフ状態を維持して制御不能となる開放故障の発生時には、図5に示すような大きな異常電流は発生しない。
【0073】
図6には、図5と同様のスイッチング素子Q12が開放故障を起こした場合における異常電流Iabの経路が示される。
【0074】
各スイッチング素子Q11〜Q16のスイッチング動作を停止(オフ状態)することにより、各コイル巻線およびアースライン230を含む短絡経路は形成されず、各コイル巻線に発生した誘起電圧は、上アームのダイオードD11,D13,D15を介して電源ライン220に接続された平滑コンデンサ222の充電電圧となる。
【0075】
このため、インバータ240内に開放故障が発生した場合には、過大な異常電流Iabの発生によってインバータ内の素子損傷が発生するおそれは小さい。
【0076】
一般に、インバータを構成するスイッチング素子Q11〜Q16の異常発生については、対応の制御回路T11〜T16によって検知可能であり、その情報をMG1−ECU310経由で送出することが可能であるが、発生した異常が開放故障および短絡故障のいずれであるかを識別することは困難である。
【0077】
したがって、第1モータジェネレータMG1の運転が禁止された退避運転時には、第1モータジェネレータMG1に発生した誘起電圧によって生じる、インバータ240内を流れる電流(すなわち、異常電流Iab)のレベルを監視することによって、インバータ240内に過大な異常電流(短絡電流)の発生を招く、短絡故障が発生しているか否かを検知することができる。なお、この判定に用いる異常電流Iabは、図5,6に示されるように、通常動作時のモータ制御に用いられる電流センサ241,242によって検知する可能である。
【0078】
図7は、本発明の実施の形態に従うハイブリッド駆動装置におけるMG1異常時の退避運転を説明するフローチャートである。図7に示したフローチャートは、図3に示したハイブリッドECU300にプログラムされた一連の制御処理として実行される。
【0079】
図7を参照して、ハイブリッドECU300は、ステップS100では、第1モータジェネレータMG1が正常運転可能であるかどうかをチェックする。たとえば、第1モータジェネレータMG1と接続されたモータ駆動回路であるインバータ240に異常が発生している場合に、第1モータジェネレータMG1は運転不能となる。また、エンジン112や、動力分割機構120中の遊星歯車機構等に機械的故障が発生している場合には、インバータ240が正常であっても、第1モータジェネレータMG1は正常運転不能となる。
【0080】
ハイブリッドECU300は、第1モータジェネレータMG1が正常運転可能である場合(ステップS100でのYES判定時)には、異常時運転(退避運転)を指示することなく(ステップS110)、退避運転に関する制御処理を終了する。
【0081】
一方、第1モータジェネレータMG1が正常運転不能である場合(ステップS100でのNO判定時)には、ハイブリッドECU300は、第2モータジェネレータMG2による退避運転を指示する。このとき、ハイブリッドECU300は、MG1−ECU310に対して、インバータ240を構成する各スイッチング素子Q11〜Q16のスイッチング動作の停止指示を発する。これに応答して、MG1−ECU310からのスイッチング制御信号SG11〜SG16はすべてオフ状態とされる(ステップS120)。
【0082】
退避運転の実行中には、MG1−ECU310によって取得された電流センサ241,242による電流検出値が、ハイブリッドECU300へ伝達される。ハイブリッドECU300は、このようにして取得されたインバータ240および第1モータジェネレータMG1間の各相電流に基づき、異常電流Iab(図5)を監視する。具体的には、ハイブリッドECU300は、異常電流Iabが基準値Ith以上であるかどうかをチェックする(ステップS130)。
【0083】
異常電流Iabが基準値Ith未満(Iab<Ith)である場合(ステップS130のNO判定時)には、インバータ240内に過大電流が生じていないため、現状のまま第2モータジェネレータMG2による退避運転が継続される(ステップS140)。
【0084】
一方、異常電流Iabが基準電流Ith以上(Iab≧Ith)である場合(ステップS130のYES判定時)、すなわち、インバータ240内に短絡故障が発生していることを認識した場合には、ハイブリッドECU300は、第2モータジェネレータMG2の運転を禁止する指示をMG2−ECU320に対して発生する。これに応答して、MG2−ECU320は、インバータ250の各スイッチング素子Q21〜Q26のスイッチング動作を停止する(常時オフ)するように、制御信号SG21〜SG26を発生する。
【0085】
このような制御構成とすることにより、第2モータジェネレータMG2を用いた退避運転に伴う第1モータジェネレータMG1の回転によって、インバータ240内の短絡故障により短絡経路に過大な短絡電流が流れる場合には、退避運転の継続を禁止する。これにより、退避走行の実行によってインバータ(モータ駆動回路)内に機器損傷が発生することを防止できる。
【0086】
あるいは、実施の形態の変形例として、図8に示すように、インバータ240内の異常電流Iabが基準値Ith以上である場合に、異常電流が過大とならない範囲で退避運転を継続する制御構成とすることも可能である
図8を参照して、本発明の実施の形態の変形例に従う異常時運転(退避運転)では、図7に示したフローチャートと比較して、ステップS150に代えてステップS150♯が実行される。その他の制御処理については、図7に示したフローチャートと同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0087】
ハイブリッドECU300は、インバータ240内の異常電流Iabが基準電流Ith以上となることにより、インバータ240内に短絡故障が発生していることを認識した場合(ステップS130におけるYES判定時)には、ステップS150♯により、第2モータジェネレータMG2運転用電源(図2におけるバッテリ140)からの出力電力(バッテリ出力電力)を制限する。これにより、第2モータジェネレータMG2の駆動電力が制限されるため、第2モータジェネレータMG2が所定回転数以上となることを防止できる。
【0088】
図9は、ステップS150♯におけるバッテリ出力電力制限値の設定手法例を説明する図である。
【0089】
図9を参照して、第2モータジェネレータMG2は、回転数を横軸、トルク(電流)を縦軸とする二次元平面上において、最大出力線400の内部領域で動作する。
【0090】
図4の共線図で説明したように、退避運転時における第1モータジェネレータMG1の回転数は、第2モータジェネレータMG2の回転数に比例する。したがって、第1モータジェネレータMG1と接続されたインバータ240内の異常電流Iabは、第2モータジェネレータMG2の回転数の上昇に伴って増加する。
【0091】
このため、異常電流Iabによってインバータ240内部で発生する熱量を考慮して、素子保護の観点から定められる限界値に異常電流Iabが達する回転数N2maxを、退避運転時における第2モータジェネレータMG2の許容最大回転数と定めることができる。
【0092】
第1の例としては、特性線410に示すように、退避走行時における走行抵抗を考慮して、第2モータジェネレータMG2の回転数が許容最大回転数N2maxを超えることがない一定の許容最大トルク値を決定し、この許容最大トルク値に対応させてバッテリ140からの出力電力制限値を設定することができる。この場合には、許容最大トルク値、すなわちバッテリ出力電力制限値は、モータジェネレータMG2の回転数によらず、特性線410に従って一定値に設定される。
【0093】
あるいは、第2の例として、特性線420に示すように、退避運転時における第2モータジェネレータMG2の許容最大トルク値を回転数に応じて変化させてもよい。具体的には、低回転数領域では許容最大トルク値をある程度確保する一方で、回転数の上昇に応じて許容最大トルク値を減少させて、許容最大回転数N2max以上の領域では出力トルクがゼロとなるように設定する。実際には、退避運転時用のMG2回転数に対するバッテリ出力電力制限値のマップを予め作成しておき、ステップS150♯において、その時点のMG2回転数に応じたバッテリ出力電力制限値を逐次決定することによって、符号420に示した領域内に制限した退避運転を実行できる。
【0094】
これにより、インバータ240内の異常電流Iabが限界値を超えない範囲で、退避運転時における第2モータジェネレータMG2の運転可能領域を拡大できる。特性線410および420の比較により、特性線420に従ったトルク制限(出力電力制限)を行なう場合の方が、低回転数域すなわち低速域における出力トルクが確保され、退避運転時の登坂力を確保することが可能となることが理解される。
【0095】
ここで図7および図8に示したフローチャートと本発明の対応について説明すると、ステップS150,S150♯は、本発明における「異常時運転制限手段」に対応し、特にステップS150♯は、本発明における「電力制限手段」に対応する。また、ステップS120は、本発明における「異常制御手段」に対応する。
【0096】
なお、本実施の形態では、動力分割機構としてプラネタリギアを用いるいわゆる機械分配式のハイブリッド駆動装置を例示したが、本発明の適用はこのような形式に限定されるものではなく、異常時運転(退避運転)に1つのモータを運転することによって他のモータがこれに伴って回転される構成であれば、いわゆる電気分配式等の任意の形式のハイブリッド駆動装置、ならびに、複数モータを備えて構成されるハイブリッド駆動装置以外のモータ駆動装置に対しても適用可能である。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態に従うモータ駆動装置の代表例として示されるハイブリッド駆動装置を備えたハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したハイブリッド駆動装置の構成を詳細に説明するブロック図である。
【図3】図2に示されたモータジェネレータを駆動する駆動回路の電気的な構成を示す回路図である。
【図4】第2モータジェネレータのみを用いた異常時運転(退避運転)における共線図である。
【図5】短絡故障発生時に発生するインバータ内部の異常電流を説明する図である。
【図6】開放故障発生時に発生するインバータ内部の異常電流を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う異常時運転(退避運転)を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の変形例に従う異常時運転(退避運転)を説明するフローチャートである。
【図9】図8に示す異常時運転におけるバッテリ出力電力制限値の設定手法例を説明する図である。
【符号の説明】
【0099】
10 ハイブリッド車両、 20 ハイブリッド駆動装置、30 ディファレンシャルギヤ、40 駆動軸、50 駆動輪、112 エンジン、114 ダンパ装置、118 出力部材、120c キャリア、120s サンギヤ、120r リングギヤ、120 動力分割機構、122r ロータ(MG2)、124 モータ軸(MG1)、126 出力歯車、128 中間軸、130 大歯車、132 小歯車、140 蓄電装置(バッテリ)、210 直流電源、220 電源ライン、221 放電用抵抗、222 平滑コンデンサ、230 アースライン、240 MG1駆動回路(インバータ)、250 MG2駆動回路(インバータ)、241,241,251,252 電流センサ、243,253 位置センサ、270U,270V,270W コイル巻線、270U,280U U相コイル巻線(固定子)、270V,280V V相コイル巻線(固定子)、270W,280W W相コイル巻線(固定子)、275 永久磁石(回転子)、300 ハイブリッドECU、310 MG1−ECU、320 MG2−ECU、400 最大出力線(MG2)、410,420 特性線、D11〜D16,D21〜D26 逆並列ダイオード、Iab 異常電流、Ith 基準電流、MG1 第1モータジェネレータ、MG2 第2モータジェネレータ、N1,N2 中性点(固定子)、N2max 許容最大回転数、Neg エンジン回転数、Nmg1 MG1回転数、Nmg2 MG2回転数、Q11〜Q16,Q21〜Q26 スイッチング素子、SG11〜SG16,SG21〜SG26 スイッチング制御信号、T11〜T16,T21〜T26 駆動回路。




 

 


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