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発明の名称 交流電圧出力装置およびそれを備えたハイブリッド自動車
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−6645(P2007−6645A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−185184(P2005−185184)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 及部 七郎斎 / 石川 哲浩 / 峯澤 幸弘 / 富樫 重則
要約 課題
電動機の回転に応じて発生する逆起電力の高調波を抑制し、歪みを抑えた商用交流電圧を負荷装置へ出力可能な交流電圧出力装置を提供する。

解決手段
第1のインバータ制御部62は、高調波発生部112を含む。高調波発生部112は、モータジェネレータMG1のモータ回転数ω1に基づいて、モータジェネレータMG1の回転時に中性点N1に生じる高調波と逆位相の高調波電圧指令eGNを発生する。PWM信号生成部114は、変換部110からのU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令および高調波発生部112からの高調波電圧指令eGNを重畳した電圧指令に基づいて信号PWM1を生成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、
星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、
前記第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、
前記第2の多相交流電動機の回転子の停止時、前記第1の多相巻線の中性点と前記第2の多相巻線の中性点との間に所定の周波数を有する交流電圧を発生するように前記第1および第2のインバータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記第1の多相交流電動機の回転子の回転時、前記第1の多相交流電動機の回転数に基づいて、前記第1の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生する高調波発生手段と、
前記第1の多相交流電動機の各相電圧指令に前記高調波電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて前記第1のインバータを制御するための制御信号を生成し、その生成した制御信号を前記第1のインバータへ出力する信号生成手段とを含む、交流電圧出力装置。
【請求項2】
前記第1の多相交流電動機は、永久磁石型3相交流同期電動機を含み、
前記高調波発生手段は、前記逆起電力の3n次高調波成分(nは自然数)と逆位相の高調波電圧指令を発生する、請求項1に記載の交流電圧出力装置。
【請求項3】
前記高調波発生手段は、前記逆起電力の3次高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生する、請求項2に記載の交流電圧出力装置。
【請求項4】
前記第1の多相巻線の中性点と前記第2の多相巻線の中性点との間に発生した交流電圧を前記交流電圧の供給を受ける負荷装置へ出力するように構成された出力回路をさらに備え、
前記高調波発生手段は、前記出力回路の共振周波数近傍の周波数を有する高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生する、請求項1に記載の交流電圧出力装置。
【請求項5】
前記出力回路は、
前記第1の多相巻線の中性点に一端が接続され、前記負荷装置が接続される出力端子に他端が接続される第1の出力線と、
前記第2の多相巻線の中性点に一端が接続され、前記出力端子に他端が接続される第2の出力線と、
前記第1の出力線と前記第2の出力線との間に接続されるコンデンサとを含み、
前記出力回路の共振周波数は、前記第1および第2の多相巻線ならびに前記コンデンサにより形成されるLC回路によって決定される、請求項4に記載の交流電圧出力装置。
【請求項6】
前記負荷装置の負荷が予め設定された基準値よりも小さいか否かを判定する負荷判定手段をさらに備え、
前記高調波発生手段は、前記負荷判定手段によって前記負荷が前記基準値よりも小さいと判定されると、前記高調波電圧指令を発生する、請求項4または請求項5に記載の交流電圧出力装置。
【請求項7】
前記第1の多相交流電動機は、永久磁石型3相交流同期電動機を含み、
前記高調波発生手段は、前記共振周波数近傍の周波数を有する9次高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生する、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の交流電圧出力装置。
【請求項8】
星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、
星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、
前記第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、
前記第1の多相巻線の中性点と前記第2の多相巻線の中性点との間に所定の周波数を有する交流電圧を発生するように前記第1および第2のインバータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記第1の多相交流電動機の回転子の回転時、前記第1の多相交流電動機の回転数に基づいて、前記第1の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の第1の高調波電圧指令を発生する第1の高調波発生手段と、
前記第1の多相交流電動機の各相電圧指令に前記第1の高調波電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて前記第1のインバータを制御するための制御信号を生成し、その生成した制御信号を前記第1のインバータへ出力する第1の信号生成手段と、
前記第2の多相交流電動機の回転子の回転時、前記第2の多相交流電動機の回転数に基づいて、前記第2の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の第2の高調波電圧指令を発生する第2の高調波発生手段と、
前記第2の多相交流電動機の各相電圧指令に前記第2の高調波電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて前記第2のインバータを制御するための制御信号を生成し、その生成した制御信号を前記第2のインバータへ出力する第2の信号生成手段とを含む、交流電圧出力装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の交流電圧出力装置と、
前記第1の多相交流電動機に連結され、前記第1の多相交流電動機に回転トルクを与える内燃機関と、
前記第2の多相交流電動機に連結され、前記第2の多相交流電動機から回転トルクを受ける駆動輪とを備えるハイブリッド自動車。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電圧出力装置およびそれを備えたハイブリッド自動車に関し、特に、商用交流電圧を発生して負荷装置へ出力可能な交流電圧出力装置およびそれを備えたハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)の有効利用を目的に、ハイブリッド自動車を電源設備として利用する試みがなされている。このようなハイブリッド自動車として、ハイブリッド自動車内で生成される直流電圧をAC100Vに変換する専用のインバータを備えたハイブリッド自動車が公知である。
【0003】
また、特許第2695083号公報(特許文献1)は、専用のインバータを備えることなく交流電圧を生成して外部装置へ供給可能な電動機駆動および動力処理装置を開示する。この電動機駆動および動力処理装置は、二次電池と、インバータIA,IBと、3相交流モータMA,MBと、制御ユニットとを備える。3相交流モータMA,MBは、Y結線された3相巻線CA,CBをそれぞれ含み、3相巻線CAの中性点NAおよび3相巻線CBの中性点NBには、EMIフィルターを介して入力/出力ポートが接続される。
【0004】
インバータIA,IBは、それぞれ3相交流モータMA,MBに対応して設けられ、それぞれ3相巻線CA,CBに接続される。そして、インバータIA,IBは、二次電池に並列に接続される。
【0005】
この電動機駆動および動力処理装置においては、インバータIA,IBは、中性点NA,NB間に正弦波の調整された交流電力を発生し、その発生した交流電力を入力/出力ポートに接続された外部装置へ出力することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2695083号公報
【特許文献2】特開2004−120853号公報
【特許文献3】特開平9−135580号公報
【特許文献4】特開平10−225014号公報
【特許文献5】特開2004−38246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、Y結線された3相コイルをステータコイルとして含む3相交流モータが回転しているとき、3相コイルの中性点電位には、各相コイルに発生する逆起電力の3の倍数の高調波が現われる。以下、簡単に説明すると、3相交流モータの回転数をωとして、各相コイルの誘起電圧eU,eV,eWは、一般的に次式で表わされる。
【0007】
【数1】


【0008】
ここで、e1,e3,e5…は、モータによって決まる定数である。式(1)〜(3)より、中性点電位eNは、次式で表わされる。
【0009】
【数2】


【0010】
ここで、e3,e6,e9…は、モータによって決まる定数である。式(4)に示されるように、中性点電位eNは、逆起電力の3の倍数の高調波を含む。したがって、上記の特許第2695083号公報に開示される電動機駆動および動力処理装置において、中性点NA,NB間に交流電力を発生しているときに3相交流モータMA,MBが回転すると、発生した交流電力に上記のような高調波が外乱として含まれてしまう。このような問題について、特許第2695083号公報では特に検討されていない。
【0011】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電動機の回転に応じて発生する逆起電力の高調波を抑制し、歪みを抑えた商用交流電圧を負荷装置へ出力可能な交流電圧出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によれば、交流電圧出力装置は、星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、第2の多相交流電動機の回転子の停止時、第1の多相巻線の中性点と第2の多相巻線の中性点との間に所定の周波数を有する交流電圧を発生するように第1および第2のインバータを制御する制御手段とを備える。制御手段は、第1の多相交流電動機の回転子の回転時、第1の多相交流電動機の回転数に基づいて、第1の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生する高調波発生手段と、第1の多相交流電動機の各相電圧指令に高調波電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて第1のインバータを制御するための制御信号を生成し、その生成した制御信号を第1のインバータへ出力する信号生成手段とを含む。
【0013】
この発明による交流電圧出力装置においては、第1および第2のインバータは、第2の多相交流電動機の回転子の停止時、第1の多相巻線の中性点と第2の多相巻線の中性点との間に所定の周波数(たとえば商用電源周波数)を有する交流電圧を発生させる。ここで、高調波発生手段は、第1の多相交流電動機の回転子の回転時、第1の多相交流電動機の回転数に基づいて、第1の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生し、信号生成手段は、第1の多相交流電動機の各相電圧指令に高調波発生手段からの高調波電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて第1のインバータを制御するための制御信号を生成するので、第1の多相交流電動機の回転子の回転時に第1の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波が抑制される。
【0014】
したがって、この発明による交流電圧出力装置によれば、第1の多相交流電動機が回転していても、歪みを抑えた交流電圧を負荷装置へ供給することができる。その結果、交流電圧の供給を受ける外部装置の誤作動を防止することができる。また、この交流電圧出力装置によれば、第1の多相巻線の中性点と第2の多相巻線の中性点との間に交流電圧を発生させて負荷装置へ出力するので、交流電圧を生成するための専用のインバータを別途備える必要がない。さらに、この高調波発生手段はソフトウェアで構成することができるので、特別なハードウェアを追加することなく、歪みを抑えた交流電圧を負荷装置へ供給することができる。
【0015】
好ましくは、第1の多相交流電動機は、永久磁石型3相交流同期電動機を含む。高調波発生手段は、逆起電力の3n次高調波成分(nは自然数)と逆位相の高調波電圧指令を発生する。
【0016】
一般的に、永久磁石型3相交流同期電動機の逆起電力波形は台形状であり、永久磁石型3相交流同期電動機の中性点電位は、特に逆起電力の3の倍数の高調波を多く含んでいる。ここで、この交流電圧出力装置においては、高調波発生手段は、逆起電力の3n次高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生するので、高調波が効果的に抑制される。したがって、この交流電圧出力装置によれば、中性点電位に高調波が顕著に現われる永久磁石型3相交流同期電動機を用いても、歪みを抑えた交流電圧を発生して負荷装置へ供給することができる。
【0017】
さらに好ましくは、高調波発生手段は、逆起電力の3次高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生する。
【0018】
一般的に、高調波は、低次の成分が支配的であることが多い。そこで、この交流電圧出力装置においては、高調波発生手段は、中性点に生じる3n次高調波のうち、最低次の3次高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生する。したがって、この交流電圧出力装置によれば、小さな演算負荷で効果的に交流電圧の歪みを抑制することができる。
【0019】
好ましくは、交流電圧出力装置は、第1の多相巻線の中性点と第2の多相巻線の中性点との間に発生した交流電圧を交流電圧の供給を受ける負荷装置へ出力するように構成された出力回路をさらに備える。高調波発生手段は、出力回路の共振周波数近傍の周波数を有する高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生する。
【0020】
さらに好ましくは、出力回路は、第1の多相巻線の中性点に一端が接続され、かつ、負荷装置が接続される出力端子に他端が接続される第1の出力線と、第2の多相巻線の中性点に一端が接続され、かつ、出力端子に他端が接続される第2の出力線と、第1の出力線と第2の出力線との間に接続されるコンデンサとを含む。出力回路の共振周波数は、第1および第2の多相巻線ならびにコンデンサにより形成されるLC回路によって決定される。
【0021】
この交流電圧出力装置においては、第1の出力線と第2の出力線との間にコンデンサが接続されるので、第1および第2の出力線を介して交流電圧の供給を受ける負荷装置へのリップルの影響が抑制される。しかしながら、このコンデンサが設けられることにより、出力回路にLC回路(共振回路)が形成されるところ、高調波発生手段は、出力回路の共振周波数近傍の周波数を有する高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生するので、出力回路の共振が抑制される。したがって、この交流電圧出力装置によれば、出力回路の共振による歪みを抑えた交流電圧を負荷装置へ供給することができる。
【0022】
好ましくは、交流電圧出力装置は、負荷装置の負荷が予め設定された基準値よりも小さいか否かを判定する負荷判定手段をさらに備える。高調波発生手段は、負荷判定手段によって負荷が基準値よりも小さいと判定されると、高調波電圧指令を発生する。
【0023】
一般的に、出力回路の共振は、負荷装置の負荷が軽負荷のときに顕著に現われる。そこで、この交流電圧出力装置においては、負荷判定手段は、負荷装置が軽負荷であるか否かを判定し、高調波発生手段は、軽負荷時のみ高調波電圧指令を発生する。したがって、この交流電圧出力装置によれば、交流電圧の歪みを効率的に抑制することができる。
【0024】
好ましくは、第1の多相交流電動機は、永久磁石型3相交流同期電動機を含む。高調波発生手段は、共振周波数近傍の周波数を有する9次高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生する。
【0025】
上述のように、一般的に、永久磁石型3相交流同期電動機の中性点電位は、特に逆起電力の3の倍数の高調波を多く含んでいる。そして、この交流電圧出力装置においては、9次高調波成分の周波数が出力回路の共振周波数近傍であるところ、高調波発生手段は、9次高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を発生するので、高調波が効果的に抑制される。したがって、この交流電圧出力装置によれば、中性点電位に高調波が顕著に現われる永久磁石型3相交流同期電動機を用いても、出力回路の共振による歪みを抑えた交流電圧を負荷装置へ供給することができる。
【0026】
また、この発明によれば、交流電圧出力装置は、星形結線された第1の多相巻線を固定子巻線として含む第1の多相交流電動機と、星形結線された第2の多相巻線を固定子巻線として含む第2の多相交流電動機と、第1および第2の多相巻線にそれぞれ接続される第1および第2のインバータと、第1の多相巻線の中性点と第2の多相巻線の中性点との間に所定の周波数を有する交流電圧を発生するように第1および第2のインバータを制御する制御手段とを備える。制御手段は、第1の多相交流電動機の回転子の回転時、第1の多相交流電動機の回転数に基づいて、第1の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の第1の高調波電圧指令を発生する第1の高調波発生手段と、第1の多相交流電動機の各相電圧指令に第1の高調波電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて第1のインバータを制御するための制御信号を生成し、その生成した制御信号を第1のインバータへ出力する第1の信号生成手段と、第2の多相交流電動機の回転子の回転時、第2の多相交流電動機の回転数に基づいて、第2の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の第2の高調波電圧指令を発生する第2の高調波発生手段と、第2の多相交流電動機の各相電圧指令に第2の高調波電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて第2のインバータを制御するための制御信号を生成し、その生成した制御信号を第2のインバータへ出力する第2の信号生成手段とを含む。
【0027】
この発明による交流電圧出力装置においては、第1および第2のインバータは、第1の多相巻線の中性点と第2の多相巻線の中性点との間に所定の周波数(たとえば商用電源周波数)を有する交流電圧を発生させる。そして、この交流電圧出力装置においては、第1の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生する第1の高調波発生手段とともに、第2の多相巻線の中性点に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生する第2の高調波発生手段も備えられるので、第1および第2の多相交流電動機の双方が回転していても、第1および第2の多相巻線の中性点にそれぞれ生じる各逆起電力の高調波が抑制される。
【0028】
したがって、この発明による交流電圧出力装置によれば、第1および第2の多相交流電動機の双方が回転していても、歪みを抑えた交流電圧を負荷装置へ供給することができる。
【0029】
また、この発明によれば、ハイブリッド自動車は、上述したいずれかの交流電圧出力装置と、第1の多相交流電動機に連結され、第1の多相交流電動機に回転トルクを与える内燃機関と、第2の多相交流電動機に連結され、第2の多相交流電動機から回転トルクを受ける駆動輪とを備える。
【0030】
この発明によるハイブリッド自動車においては、上述したいずれかの交流電圧出力装置が備えられる。したがって、この発明によるハイブリッド自動車によれば、ハイブリッド自動車を電源設備として利用することができる。そして、歪みを抑えた交流電圧をハイブリッド自動車から負荷装置へ供給することができる。また、交流電圧を生成するための専用のインバータを備える必要がないので、ハイブリッド自動車に特に要求される小型化や低コスト化、軽量化(低燃費化)などを阻害することはない。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、電動機の回転に応じて発生する逆起電力の高調波を抑制し、歪みを抑えた商用交流電圧を負荷装置へ出力することができる。そして、第1の多相巻線の中性点と第2の多相巻線の中性点との間に商用交流電圧を発生させて負荷装置へ出力するので、商用交流電圧を生成するための専用のインバータを備える必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0033】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による交流電圧出力装置100の全体ブロック図である。図1を参照して、この交流電圧出力装置100は、バッテリBと、昇圧コンバータ10と、インバータ20,30と、モータジェネレータMG1,MG2と、AC出力ラインACL1,ACL2と、ACポート40と、コネクタ50と、制御装置60と、コンデンサC1〜C3と、電源ラインPL1,PL2と、接地ラインSLと、U相ラインUL1,UL2と、V相ラインVL1,VL2と、W相ラインWL1,WL2と、電圧センサ70,72と、電流センサ80,82とを備える。
【0034】
この交流電圧出力装置100は、車両に搭載され、たとえばハイブリッド自動車に搭載される。そして、モータジェネレータMG1は、エンジンENGと連結され、エンジンENGの始動を行ない得るモータとして動作し、かつ、エンジンENGによって駆動される発電機として動作するものとしてハイブリッド自動車に組込まれる。モータジェネレータMG2は、駆動輪DWと連結され、駆動輪DWを駆動するモータとしてハイブリッド自動車に組込まれる。
【0035】
バッテリBの正極は、電源ラインPL1に接続され、バッテリBの負極は、接地ラインSLに接続される。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間に接続される。
【0036】
昇圧コンバータ10は、リアクトルLと、パワートランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。パワートランジスタQ1,Q2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列に接続される。各パワートランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードD1,D2がそれぞれ接続される。そして、リアクトルLの一端は、パワートランジスタQ1,Q2の接続点に接続され、その他端は、電源ラインPL1に接続される。
【0037】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に接続される。インバータ20は、U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26を含む。U相アーム22、V相アーム24およびW相アーム26は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。U相アーム22は、直列に接続されたパワートランジスタQ11,Q12からなり、V相アーム24は、直列に接続されたパワートランジスタQ13,Q14からなり、W相アーム26は、直列に接続されたパワートランジスタQ15,Q16からなる。各パワートランジスタQ11〜Q16のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD11〜D16がそれぞれ接続される。
【0038】
インバータ30は、U相アーム32、V相アーム34およびW相アーム36を含む。U相アーム32、V相アーム34およびW相アーム36は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。U相アーム32は、直列に接続されたパワートランジスタQ21,Q22からなり、V相アーム34は、直列に接続されたパワートランジスタQ23,Q24からなり、W相アーム36は、直列に接続されたパワートランジスタQ25,Q26からなる。各パワートランジスタQ21〜Q26のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD21〜D26がそれぞれ接続される。
【0039】
モータジェネレータMG1,MG2は、それぞれ3相コイル12,14をステータコイルとして含む。3相コイル12を形成するU,V,W各相コイルの一端は、互いに接続されて中性点N1を形成し、そのU,V,W各相コイルの他端は、インバータ20のU,V,W各相アームにおける各パワートランジスタの接続点にそれぞれ接続される。また、3相コイル14を形成するU,V,W各相コイルの一端は、互いに接続されて中性点N2を形成し、そのU,V,W各相コイルの他端は、インバータ30のU,V,W各相アームにおける各パワートランジスタの接続点にそれぞれ接続される。
【0040】
AC出力ラインACL1の一端は、中性点N1に接続され、その他端は、ACポート40に接続される。AC出力ラインACL2の一端は、中性点N2に接続され、その他端は、ACポート40に接続される。コンデンサC3は、AC出力ラインACL1とAC出力ラインACL2との間に接続される。そして、ACポート40は、AC出力ラインACL1,ACL2とコネクタ50との間に配設される。
【0041】
バッテリBは、直流電源であり、たとえばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池からなる。バッテリBは、直流電圧を発生し、その発生した直流電圧を昇圧コンバータ10へ出力する。また、バッテリBは、昇圧コンバータ10から出力される直流電圧によって充電される。
【0042】
電圧センサ70は、バッテリBから出力されるバッテリ電圧Vbを検出し、その検出したバッテリ電圧Vbを制御装置60へ出力する。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。
【0043】
昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、バッテリBから受ける直流電圧をリアクトルLを用いて昇圧し、その昇圧した昇圧電圧を電源ラインPL2に供給する。具体的には、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、パワートランジスタQ2のスイッチング動作に応じて流れる電流をリアクトルLに磁場エネルギーとして蓄積することによってバッテリBからの直流電圧を昇圧する。そして、昇圧コンバータ10は、その昇圧した昇圧電圧をパワートランジスタQ2がオフされたタイミングに同期してダイオードD1を介して電源ラインPL2へ出力する。また、昇圧コンバータ10は、制御装置60からの信号PWCに基づいて、電源ラインPL2から供給される直流電圧を降圧してバッテリBを充電する。
【0044】
コンデンサC2は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間の電圧変動を平滑化する。電圧センサ72は、コンデンサC2の端子間電圧、すなわち接地ラインSLに対する電源ラインPL2の電圧(以下、この電圧を「システム電圧」とも称する。)を検出し、その検出したシステム電圧Vdcを制御装置60へ出力する。
【0045】
インバータ20は、制御装置60からの信号PWM1に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を3相交流電圧に変換し、その変換した3相交流電圧をモータジェネレータMG1へ出力する。これにより、モータジェネレータMG1は、トルク指令値TR1によって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ20は、エンジンENGからの出力を受けてモータジェネレータMG1が発電した3相交流電圧を制御装置60からの信号PWM1に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。
【0046】
インバータ30は、制御装置60からの信号PWM2に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を3相交流電圧に変換し、その変換した3相交流電圧をモータジェネレータMG2へ出力する。これにより、モータジェネレータMG2は、トルク指令値TR2によって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ30は、車両の回生制動時、駆動輪DWからの回転力を受けてモータジェネレータMG2が発電した3相交流電圧を制御装置60からの信号PWM2に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ラインPL2へ出力する。なお、ここで言う回生制動とは、車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0047】
ここで、コネクタ50に接続される負荷装置(図示せず、以下同じ。)への商用交流電圧の出力が要求されると、インバータ20,30は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させる。すなわち、インバータ20は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させるように、制御装置60からの制御信号PWM1に基づいて中性点N1の電位を制御し、インバータ30は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させるように、制御装置60からの制御信号PWM2に基づいて中性点N2の電位を制御する。
【0048】
モータジェネレータMG1,MG2の各々は、3相交流電動機であり、たとえばIPM(Interior Permanent Magnet)型3相交流同期電動機から成る。モータジェネレータMG1は、エンジンENGと連結され、エンジンENGの出力を用いて3相交流電圧を発生し、その発生した3相交流電圧をインバータ20へ出力する。また、モータジェネレータMG1は、インバータ20から受ける3相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジンENGの始動を行なう。モータジェネレータMG2は、車両の駆動輪DWと連結され、インバータ30から受ける3相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。また、モータジェネレータMG2は、車両の回生制動時、3相交流電圧を発生してインバータ30へ出力する。
【0049】
コンデンサC3は、コネクタ50に接続される負荷装置へのリップルの影響を除去する。ACポート40は、AC出力ラインACL1,ACL2とコネクタ50との接続/切離しを行なうリレーと、AC出力ラインACL1,ACL2に発生する交流電圧Vacおよび交流電流Iacをそれぞれ検出するための電圧センサおよび電流センサとを含む(いずれも図示せず)。ACポート40は、制御装置60から出力許可指令ENを受けるとリレーをオンさせ、コネクタ50をAC出力ラインACL1,ACL2と電気的に接続する。また、ACポート40は、AC出力ラインACL1,ACL2における交流電圧Vacおよび交流電流Iacを検出し、その検出した交流電圧Vacおよび交流電流Iacを制御装置60へ出力する。
【0050】
コネクタ50は、中性点N1,N2間に発生した商用交流電圧を外部の負荷装置へ出力するための出力端子であり、各電気機器の電源用コンセントや家庭の非常用電源のコンセントなどが接続される。
【0051】
電流センサ80は、モータジェネレータMG1に流れるモータ電流I1を検出し、その検出したモータ電流I1を制御装置60へ出力する。電流センサ82は、モータジェネレータMG2に流れるモータ電流I2を検出し、その検出したモータ電流I2を制御装置60へ出力する。
【0052】
制御装置60は、外部に設けられるECU(図示せず、以下同じ。)から出力されるモータジェネレータMG1,MG2のトルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数ω1,ω2、電圧センサ70からのバッテリ電圧Vbならびに電圧センサ72からのシステム電圧Vdcに基づいて、昇圧コンバータ10を駆動するための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ10へ出力する。
【0053】
また、制御装置60は、システム電圧Vdc、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1および電流センサ80からのモータ電流I1に基づいて、モータジェネレータMG1を駆動するための信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ20へ出力する。さらに、制御装置60は、システム電圧Vdc、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2および電流センサ82からのモータ電流I2に基づいて、モータジェネレータMG2を駆動するための信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ30へ出力する。
【0054】
ここで、制御装置60は、車両の停止時にコネクタ50に接続される負荷装置への商用交流電圧の出力を要求するH(論理ハイ)レベルの信号ACをECUから受けると、中性点N1,N2間に商用交流電圧が発生するように、インバータ20の上アームのパワートランジスタQ11,Q13,Q15と下アームのパワートランジスタQ12,Q14,Q16とのデューティーの総和を制御しつつ信号PWM1を生成し、インバータ30の上アームのパワートランジスタQ21,Q23,Q25と下アームのパワートランジスタQ22,Q24,Q26とのデューティーの総和を制御しつつ信号PWM2を生成する。なお、制御の詳細については、後ほど説明する。
【0055】
さらにここで、制御装置60は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させる際にモータジェネレータMG1が回転(発電)しているとき、モータジェネレータMG1の3相コイル12の中性点N1に生じる逆起電力の高調波成分を抑制する制御を行なう。なお、この高調波の抑制制御についても、後ほど詳しく説明する。
【0056】
図2は、図1に示した制御装置60の機能ブロック図である。図2を参照して、制御装置60は、コンバータ制御部61と、第1および第2のインバータ制御部62,63と、AC出力制御部64とを含む。コンバータ制御部61は、バッテリ電圧Vb、システム電圧Vdc、トルク指令値TR1,TR2およびモータ回転数ω1,ω2に基づいて、昇圧コンバータ10のパワートランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWCを生成し、その生成した信号PWCを昇圧コンバータ10へ出力する。
【0057】
第1のインバータ制御部62は、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1、モータ電流I1およびモータ回転数ω1、ならびにシステム電圧Vdcに基づいて、インバータ20のパワートランジスタQ11〜Q16をオン/オフするための信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ20へ出力する。
【0058】
ここで、第1のインバータ制御部62は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成するための交流電圧指令をAC出力制御部64から受けているとき、その受けた交流電圧指令に基づいてインバータ20の上アームと下アームとのデューティーの総和を変化させつつ信号PWM1を生成する。
【0059】
第2のインバータ制御部63は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2、モータ電流I2およびモータ回転数ω2、ならびにシステム電圧Vdcに基づいて、インバータ30のパワートランジスタQ21〜Q26をオン/オフするための信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ30へ出力する。
【0060】
ここで、第2のインバータ制御部63は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を生成するための交流電圧指令をAC出力制御部64から受けているとき、その受けた交流電圧指令に基づいてインバータ30の上アームと下アームとのデューティーの総和を変化させつつ信号PWM2を生成する。
【0061】
AC出力制御部64は、信号ACに基づいて、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生するか否かを判定する。ここで、信号ACは、たとえば、AC出力スイッチの操作に応じて論理レベルが変化する信号であり、Hレベルの信号ACは、車両の停止時にコネクタ50に接続される負荷装置への商用交流電圧の出力を要求する信号である。
【0062】
そして、AC出力制御部64は、Hレベルの信号ACを受けているとき、ACポート40において検出された交流電圧Vacに基づいて、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生するための交流電圧指令を生成し、その生成した交流電圧指令を第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力する。
【0063】
図3は、図2に示した第1および第2のインバータ制御部62,63ならびにAC出力制御部64の詳細な機能ブロック図である。図3を参照して、第1のインバータ制御部62は、電流変換部102と、MG1電流指令演算部104と、PI制御部106,108と、変換部110と、高調波発生部112と、PWM信号生成部114とから成る。
【0064】
電流変換部102は、モータジェネレータMG1のモータ回転数ω1を用いて、電流センサ80によって検出されたU相電流Iu1およびV相電流Iv1をd軸電流Id1およびq軸電流Iq1に変換する。MG1電流指令演算部104は、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1に基づいて、d,q軸におけるモータジェネレータMG1の電流指令Id1r,Iq1rを算出する。
【0065】
PI制御部106は、電流変換部102からのd軸電流Id1とMG1電流指令演算部104からの電流指令Id1rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部110へ出力する。PI制御部108は、電流変換部102からのq軸電流Iq1とMG1電流指令演算部104からの電流指令Iq1rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部110へ出力する。
【0066】
変換部110は、モータ回転数ω1を用いて、PI制御部106,108からそれぞれ受けるd,q軸上の電圧指令をU,V,W各相電圧指令に変換する。
【0067】
高調波発生部112は、モータ回転数ω1を受け、ω1≠0のとき、すなわちモータジェネレータMG1が回転しているとき、モータ回転数ω1に基づいて次式により高調波電圧指令eGNを発生する。
【0068】
【数3】


【0069】
ここで、eG3,eG6,eG9…は、モータジェネレータMG1によって決まる定数である。上述したように、3相交流電動機であるモータジェネレータMG1においては、モータジェネレータMG1が回転すると、式(4)に示されるように中性点N1に逆起電力の3の倍数の高調波成分が発生する。特にモータジェネレータMG1がIPM型3相交流同期電動機の場合、IPM型3相交流同期電動機の逆起電力波形は台形状であり3n次(nは自然数)の高調波成分を多く含むので、中性点N1に発生する高調波は顕著となる。そして、この交流電圧出力装置100は、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させて外部の負荷装置へ供給するので、中性点N1の電位に逆起電力の高調波成分が含まれていると、発生する商用交流電圧が歪み、負荷装置に悪影響を与える。
【0070】
そこで、この実施の形態1では、高調波発生部112により上記の式(5)を用いて3n次高調波の逆位相の高調波電圧指令eGNを発生し、その発生した高調波電圧指令eGNを変換部110からのU,V,W各相電圧指令に重畳させることによって、中性点N1に発生し得る高調波を抑制するようにしたものである。
【0071】
なお、一般的に、高次の高調波成分に比べて低次の高調波成分が支配的であることに鑑み、次式で示されるように、高調波電圧指令eGNは3次高調波成分のみとしてもよい。
【0072】
【数4】


【0073】
PWM信号生成部114は、変換部110からのU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令および高調波発生部112からの高調波電圧指令を重畳した電圧指令、ならびにシステム電圧Vdcに基づいて、インバータ20に対応するPWM(Pulse Width Modulation)信号Pu1,Pv1,Pw1を生成し、その生成したPWM信号Pu1,Pv1,Pw1を信号PWM1としてインバータ20へ出力する。
【0074】
なお、変換部110からのモータジェネレータMG1のU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を一律に重畳させることは、その交流電圧指令に基づいてインバータ20の上アームと下アームとのデューティーの総和を変化させることに対応する。
【0075】
第2のインバータ制御部63は、電流変換部122と、MG2電流指令演算部124と、PI制御部126,128と、変換部130と、PWM信号生成部134とから成る。電流変換部122は、モータジェネレータMG2のモータ回転数ω2を用いて、電流センサ82によって検出されたU相電流Iu2およびV相電流Iv2をd軸電流Id2およびq軸電流Iq2に変換する。MG2電流指令演算部124は、モータジェネレータMG2のトルク指令値TR2に基づいて、d,q軸におけるモータジェネレータMG2の電流指令Id2r,Iq2rを算出する。
【0076】
PI制御部126は、電流変換部122からのd軸電流Id2とMG2電流指令演算部124からの電流指令Id2rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部130へ出力する。PI制御部128は、電流変換部122からのq軸電流Iq2とMG2電流指令演算部124からの電流指令Iq2rとの偏差を受け、その偏差を入力として比例積分演算を行ない、その演算結果を変換部130へ出力する。
【0077】
変換部130は、モータ回転数ω2を用いて、PI制御部126,128からそれぞれ受けるd,q軸上の電圧指令をU,V,W各相電圧指令に変換する。
【0078】
PWM信号生成部134は、変換部130からのモータジェネレータMG2の各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を重畳した電圧指令に基づいて、インバータ30に対応するPWM信号Pu2,Pv2,Pw2を生成し、その生成したPWM信号Pu2,Pv2,Pw2を信号PWM2としてインバータ30へ出力する。
【0079】
なお、変換部130からのモータジェネレータMG2のU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を一律に重畳させることは、その交流電圧指令に基づいてインバータ30の上アームと下アームとのデューティーの総和を変化させることに対応する。
【0080】
AC出力制御部64は、FB演算部142と、乗算部144と、減算部146とから成る。FB演算部142は、交流電圧参照値Vrefと交流電圧Vac(実績値)との偏差に基づいてフィードバック演算を行ない、その演算結果を出力する。ここで、交流電圧参照値Vrefは、中性点N1,N2間に発生する商用交流電圧の目標値である。また、フィードバック演算には、種々の公知の演算手法(比例積分制御など)を用いることができる。
【0081】
乗算部144は、交流電圧参照値VrefにFB演算部142の演算結果を加算した値をk倍(kは0以上1以下の定数)し、その演算結果を第1のインバータ制御部62に対する交流電圧指令として第1のインバータ制御部62へ出力する。減算部146は、乗算部144の出力値から乗算部144の入力値を減算し、その演算結果を第2のインバータ制御部63に対する交流電圧指令として第2のインバータ制御部63へ出力する。
【0082】
すなわち、交流電圧参照値VrefにFB演算部142の演算結果を加算した交流電圧指令は、k倍されて第1のインバータ制御部62へ出力され、−(1−k)倍されて第2のインバータ制御部63へ出力される。つまり、定数kは、中性点N1,N2間に商用交流電圧Vacを発生する際のモータジェネレータMG1,MG2の電圧負担率であって、定数kが0.5を超えるとモータジェネレータMG1の負担が大きくなり、定数kが0.5よりも小さいとモータジェネレータMG2の負担が大きくなる。
【0083】
なお、特に図示していないが、このAC出力制御部64は、Hレベルの信号ACを受けているとき、生成した交流電圧指令を第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力し、L(論理ロー)レベルの信号ACを受けているときは、第1および第2のインバータ制御部62,63へ出力する交流電圧指令を0とする。
【0084】
図4は、図3に示した高調波発生部112が発生する高調波電圧指令およびモータジェネレータMG1の中性点N1の電位VN1の波形図である。なお、この図4では、上記の式(6)に基づいて高調波発生部112が3次高調波からなる高調波電圧指令eGNを発生する場合が示される。また、図4では、比較として、高調波発生部112による電圧補償が行なわれない場合の中性点N1の電位VN1Dが示される。
【0085】
図4を参照して、高調波発生部112は、モータジェネレータMG1のモータ回転数ω1に基づいて、モータジェネレータMG1が発生する逆起電力の3次高調波と逆位相の高調波電圧指令eGNを発生する。発生する高調波電圧指令eGNの振幅(すなわち式(6)の定数eG3)は、たとえば、モータジェネレータMG1の無負荷時に予め測定された逆起電力の値に基づいて決定される。
【0086】
そして、変換部110からのU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を一律に加え、さらに、この高調波発生部112からの高調波電圧指令eGNを各相一律に重畳した電圧指令をインバータ20の最終的な電圧指令とする。これにより、高調波発生部112による電圧補償が行なわれない場合には、電位VN1Dで示されるように逆起電力の高調波が中性点N1の電位に現われるところ、この発明による実施の形態1では、電位VN1で示されるように高調波電圧指令eGNによって逆起電力の3次高調波が抑制され、電位VN1には、高調波はほとんど現われない。
【0087】
図5は、インバータ20,30のデューティーの総和および発生した交流電圧Vacの波形図である。図5を参照して、曲線S1は、インバータ20のスイッチング制御におけるデューティーの総和の変化を示し、曲線S2は、インバータ30のスイッチング制御におけるデューティーの総和の変化を示す。ここで、デューティーの総和とは、各インバータにおける上アームのオンデューティーから下アームのオンデューティーを減算したものである。図5において、デューティーの総和が正のときは、対応するモータジェネレータの中性点電位がシステム電圧Vdcの中間電位Vdc/2よりも高くなることを示し、デューティーの総和が負のときは、中性点電位が中間電位Vdc/2よりも低くなることを示す。
【0088】
この交流電圧出力装置100においては、図3に示したように、AC出力制御部64から第1のインバータ制御部62へ出力される交流電圧指令をモータジェネレータMG1のU,V,W各相電圧指令に一律に重畳させることにより、インバータ20のデューティーの総和を曲線S1に従って商用電源周波数で周期的に変化させる。また、AC出力制御部64から第2のインバータ制御部63へ出力される交流電圧指令をモータジェネレータMG2のU,V,W各相電圧指令に一律に重畳させることにより、インバータ30のデューティーの総和を曲線S2に従って商用電源周波数で周期的に変化させる。
【0089】
なお、この図5では、モータジェネレータMG1,MG2の電圧負担率を決定する定数kが0.5の場合が示されている。したがって、曲線S2は、曲線S1の位相を丁度反転させたものとなっている。なお、定数kを0.5よりも大きくすると、曲線S1の振幅が大きくなるとともに曲線S2の振幅が小さくなり、定数kを0.5よりも小さくすると、曲線S1の振幅が小さくなるとともに曲線S2の振幅が大きくなる。
【0090】
時刻t0〜t1においては、モータジェネレータMG1の中性点N1の電位は、システム電圧Vdcの中間電位Vdc/2よりも高くなり、モータジェネレータMG2の中性点N2の電位は、中間電位Vdc/2よりも低くなり、中性点N1,N2間に正側の商用交流電圧が発生する。ここで、コネクタ50に負荷装置が接続されていると、インバータ20の上アームから下アームに流れ込むことができない余った電流が中性点N1からAC出力ラインACL1、負荷装置およびAC出力ラインACL2を介して中性点N2へ流れ、中性点N2からインバータ30の各相アームの下アームへ流れる。
【0091】
時刻t1〜t2においては、中性点N1の電位は、中間電位Vdc/2よりも低くなり、中性点N2の電位は、中間電位Vdc/2よりも高くなり、中性点N1,N2間に負側の商用交流電圧が発生する。そして、インバータ30の各相アームの上アームから中性点N2、AC出力ラインACL2、負荷装置およびAC出力ラインACL1を介して中性点N1へ電流が流れ、中性点N1からインバータ20の下アームへ電流が流れる。
【0092】
このようにして、モータジェネレータMG1,MG2の中性点N1,N2間に商用交流電圧が発生する。
【0093】
以上のように、この実施の形態1によれば、車両の停止時、モータジェネレータMG1の3相コイル12の中性点N1とモータジェネレータMG2の3相コイル14の中性点N2との間に商用交流電圧を発生することができる。そして、高調波発生部112は、モータジェネレータMG1の回転時に中性点N1に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生し、PWM信号生成部114は、変換部110からのU,V,W各相電圧指令に高調波発生部112からの高調波電圧指令を一律に重畳した電圧指令に基づいてインバータ20を制御するための信号PWM1を生成するので、モータジェネレータMG1の回転時に中性点N1に生じる逆起電力の高調波が抑制される。したがって、モータジェネレータMG1が回転していても、歪みを抑えた商用交流電圧をコネクタ50に接続される負荷装置へ供給することができる。
【0094】
特に、中性点電位に高調波が顕著に現われるIPM型3相交流同期電動機がモータジェネレータMG1として用いられても、効果的に歪みを抑えた商用交流電圧を発生して負荷装置へ供給することができる。
【0095】
また、この実施の形態1によれば、中性点N1,N2間に商用交流電圧を発生させて負荷装置へ出力するので、商用交流電圧を生成するための専用のインバータを別途備える必要がない。
【0096】
さらに、高調波発生部112は、ソフトウェアで構成することができるので、特別なハードウェアを追加することなく、歪みを抑えた商用交流電圧を負荷装置へ供給することができる。
【0097】
[実施の形態2]
図6は、図1に示した交流電圧出力装置100において、中性点N1,N2間に発生する商用交流電圧を負荷装置へ出力する出力回路を示した図である。図6を参照して、この出力回路においては、AC出力ラインACL1,ACL2間にコンデンサC3が接続される。このコンデンサC3により、コンセント55を介してコネクタ50に接続される負荷装置(負荷R)へのリップルの影響が除去される。
【0098】
一方、コンデンサC3が設けられることにより、モータジェネレータMG1,MG2のコイルとコンデンサC3とによりLC回路が形成される。そして、これまでに述べたように、モータジェネレータMG1が回転すると、中性点N1の電位には逆起電力の高調波が現われる。ここで、この高調波成分の中に上記のLC回路の共振周波数近傍の周波数を有するものが存在すると、その共振周波数において出力回路(LC回路)が共振し、共振周波数近傍の周波数を有する高調波成分の振幅が増大する。特に負荷装置(負荷R)が軽負荷のときは、共振が顕著になり、負荷装置に悪影響を与える。
【0099】
そこで、この実施の形態2においては、出力回路の共振が顕著になる軽負荷時、共振周波数近傍の周波数を有する高調波成分と逆位相の高調波電圧指令を高調波発生部により発生する。これにより、共振周波数近傍の高調波成分の増幅を抑えることができる。
【0100】
この実施の形態2による交流電圧出力装置100Aは、図1に示した実施の形態1による交流電圧出力装置100の構成において、制御装置60に代えて制御装置60Aを備える。
【0101】
図7は、この発明の実施の形態2における制御装置60Aの機能ブロック図である。図7を参照して、この制御装置60Aは、図2に示した実施の形態1における制御装置60の構成において、負荷判定部65をさらに含み、第1のインバータ制御部62に代えて第1のインバータ制御部62Aを含む。
【0102】
負荷判定部65は、ACポート40によって検出された交流電流Iacを受ける。そして、負荷判定部65は、予め設定された基準値よりも交流電流Iacが小さいとき、コネクタ50に接続される負荷装置が軽負荷であると判定し、Hレベルの信号CTLを生成して第1のインバータ制御部62Aへ出力する。一方、負荷判定部65は、交流電流Iacが基準値以上のときは、コネクタ50に接続される負荷装置が軽負荷ではないと判定し、Lレベルの信号CTLを生成して第1のインバータ制御部62Aへ出力する。
【0103】
第1のインバータ制御部62Aは、トルク指令値TR1、モータ電流I1、モータ回転数ω1、システム電圧Vdcおよび負荷判定部65からの信号CTLに基づいて、インバータ20のパワートランジスタQ11〜Q16をオン/オフするための信号PWM1を生成し、その生成した信号PWM1をインバータ20へ出力する。
【0104】
なお、図7に示した制御装置60Aのその他の構成は、図2に示した実施の形態1における制御装置60と同じである。
【0105】
図8は、図7に示した第1および第2のインバータ制御部62A,63ならびにAC出力制御部64の詳細な機能ブロック図である。図8を参照して、第1のインバータ制御部62Aは、図3に示した実施の形態1における第1のインバータ制御部62の構成において、高調波発生部112に代えて高調波発生部112Aから成る。
【0106】
高調波発生部112Aは、モータ回転数ω1と、負荷判定部65からの信号CTLとを受ける。そして、高調波発生部112Aは、信号CTLがHレベルであり、かつ、ω1≠0のとき、モータ回転数ω1に基づいて次式により高調波電圧指令eGNを発生する。
【0107】
【数5】


【0108】
すなわち、この実施の形態2においては、モータジェネレータMG1に連結されるエンジンENGが所定回転数(たとえばアイドル回転数)で動作し、それに応じてモータジェネレータMG1がモータ回転数ω1で回転しているとき、モータジェネレータMG1が発生する逆起電力の9次高調波の周波数が出力回路の共振周波数近傍にあるので、高調波発生部112Aは、上記の式(7)に基づいて、9次高調波からなる高調波電圧指令eGNを発生する。
【0109】
なお、第1および第2のインバータ制御部62Aのその他の構成は、図3に示した実施の形態1における第1のインバータ制御部62と同じである。
【0110】
図9は、図8に示した高調波発生部112Aが発生する高調波電圧指令およびモータジェネレータMG1の中性点N1の電位VN1の波形図である。なお、この図9では、比較として、高調波発生部112Aによる電圧補償が行なわれない場合の中性点N1の電位VN1Dが示される。
【0111】
図9を参照して、高調波発生部112Aは、上記の式(7)を用いて、モータジェネレータMG1のモータ回転数ω1に基づいて、モータジェネレータMG1が発生する逆起電力の9次高調波と逆位相の高調波電圧指令eGNを発生する。発生する高調波電圧指令eGNの振幅(すなわち式(7)の定数eG9)は、たとえば、モータジェネレータMG1の無負荷時に予め測定された逆起電力の値に基づいて決定される。なお、高調波電圧指令eGNの振幅は、商用交流電圧の供給を受ける負荷装置の負荷の大きさに応じて変化させてもよい。すなわち、たとえば負荷装置の負荷が小さいほど、高調波電圧指令eGNの振幅を大きくするようにしてもよい。
【0112】
そして、変換部110からのU,V,W各相電圧指令にAC出力制御部64からの交流電圧指令を一律に加え、さらに、この高調波発生部112Aからの高調波電圧指令eGNを各相一律に重畳した電圧指令をインバータ20の最終的な電圧指令とする。これにより、高調波発生部112Aによる電圧補償が行なわれない場合には、電位VN1Dで示されるように共振した9次高調波が中性点N1の電位に現われるところ、この発明による実施の形態2では、電位VN1で示されるように高調波電圧指令eGNによって逆起電力の9次高調波が抑制され、電位VN1には、高調波はほとんど現われない。
【0113】
なお、上記においては、高調波発生部112Aは、9次高調波からなる高調波電圧指令eGNを発生するものとしたが、高調波発生部112Aが発生する高調波電圧指令eGNは、9次高調波に限定されるものではない。モータジェネレータMG1,MG2の漏れインダクタンスおよびコンデンサC3の大きさによって決まる出力回路の共振周波数に応じて、適切な次数の高調波電圧指令を生成すればよい。
【0114】
また、上記においては、負荷判定部65は、交流電流Iacの大きさに基づいて負荷装置が軽負荷であるか否かを判定するものとしたが、交流電圧Vacに基づいて判定するようにしてもよい。すなわち、商用交流電圧の供給を受ける負荷装置の負荷が大きくなると、電圧降下により交流電圧Vacの変動(ばたつき)が大きくなるので、交流電圧Vacの変動が予め設定した基準値よりも小さいとき、負荷装置が軽負荷であると判定することができる。
【0115】
また、負荷装置が軽負荷であるか否かを判定は、交流電圧Vacと交流電流Iacとの位相差に基づいて判定するようにしてもよい。すなわち、商用交流電圧の供給を受ける負荷装置の負荷が小さいほど交流電圧Vacと交流電流Iacとの位相差が大きくなるので、その位相差が予め設定した基準値よりも大きいとき、負荷装置が軽負荷であると判定することができる。
【0116】
以上のように、この実施の形態2によれば、AC出力ラインACL1,ACL2間にコンデンサC3が接続されるので、AC出力ラインACL1,ACL2を介して商用交流電圧の供給を受ける負荷装置へのリップルの影響を抑制できる。
【0117】
一方、このコンデンサC3が設けられることにより、出力回路にLC回路(共振回路)が形成されるところ、高調波発生部112Aは、出力回路の共振周波数近傍の周波数を有する高調波成分と逆位相の高調波電圧指令eGNを発生するので、出力回路の共振が抑制される。したがって、出力回路の共振による歪みを抑えた商用交流電圧を負荷装置へ供給することができる。
【0118】
また、一般的に、出力回路の共振は、負荷装置(負荷R)が軽負荷のときに顕著に現われる。そこで、この実施の形態2では、発生した交流電流Iac等を用いて負荷判定部65により負荷装置が軽負荷であるか否かを判定し、高調波発生部112Aは、その判定結果に基づいて軽負荷時のみ高調波電圧指令eGNを発生する。したがって、商用交流電圧の歪みを効率的に抑制することができる。
【0119】
[実施の形態3]
上記の実施の形態1,2では、商用交流電圧の生成は、車両の停止時を前提としていた。この実施の形態3では、車両走行時においても、歪みの小さい商用交流電圧を発生して負荷装置へ供給することができる。
【0120】
この実施の形態3による交流電圧出力装置100Bは、図1に示した実施の形態1による交流電圧出力装置100の構成において、制御装置60に代えて制御装置60Bを備える。そして、制御装置60Bは、図2に示した実施の形態1における制御装置60の構成において、第2のインバータ制御部63に代えて第2のインバータ制御部63Aを含む。
【0121】
図10は、この発明の実施の形態3における第1および第2のインバータ制御部62,63AならびにAC出力制御部64の詳細な機能ブロック図である。図10を参照して、第2のインバータ制御部63Aは、図3に示した実施の形態1における第2のインバータ制御部63の構成において、高調波発生部132をさらに含む。
【0122】
高調波発生部132は、モータ回転数ω2を受ける。そして、高調波発生部132は、ω2≠0のとき、すなわちモータジェネレータMG2が回転しているとき、モータ回転数ω2に基づいて次式により高調波電圧指令eMNを発生する。
【0123】
【数6】


【0124】
ここで、eM3,eM6,eM9…は、モータジェネレータMG2によって決まる定数である。この実施の形態3では、車両走行時においても商用交流電圧の発生を許容するので、モータジェネレータMG2が回転すると、モータジェネレータMG1と同様に、中性点N2に逆起電力の3の倍数の高調波成分が現われる。そこで、この実施の形態3では、高調波発生部132により上記の式(8)を用いて3n次高調波の逆位相の高調波電圧指令eMNを発生し、その発生した高調波電圧指令eMNを変換部130からのU,V,W各相電圧指令に重畳させることによって、中性点N2に発生し得る高調波を抑制するようにしたものである。
【0125】
なお、モータジェネレータMG2についても、モータジェネレータMG1と同様に、一般的に高次の高調波成分に比べて低次の高調波成分が支配的であることに鑑み、次式で示されるように、高調波電圧指令eMNは3次高調波成分のみとしてもよい。
【0126】
【数7】


【0127】
なお、第2のインバータ制御部63Aのその他の構成は、図3に示した実施の形態1における第2のインバータ制御部63と同じである。
【0128】
以上のように、この実施の形態3によれば、モータジェネレータMG1の3相コイル12の中性点N1とモータジェネレータMG2の3相コイル14の中性点N2との間に商用交流電圧を発生することができる。そして、モータジェネレータMG1の回転時に中性点N1に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生する高調波発生部112とともに、モータジェネレータMG2の回転時に中性点N2に生じる逆起電力の高調波と逆位相の高調波電圧指令を発生する高調波発生部132も設けられるので、モータジェネレータMG1,MG2の双方が回転していても、中性点N1,N2にそれぞれ生じる各逆起電力の高調波が抑制される。したがって、モータジェネレータMG1,MG2の双方が回転していても、歪みを抑えた商用交流電圧をコネクタ50に接続される負荷装置へ供給することができる。
【0129】
なお、上記の各実施の形態1〜3においては、モータジェネレータMG1に対応する高調波発生部112,112Aは、モータ回転数ω1≠0のとき、すなわちモータジェネレータMG1が回転しているとき、高調波電圧指令eGNを発生するものとしたが、エンジンENGが動作しているとき、高調波電圧指令eGNを発生するようにしてもよい。そして、エンジンENGが動作しているか否かは、エンジンを制御するエンジンECUからの信号に基づいて判定することができる。
【0130】
また、上記の各実施の形態1〜3においては、バッテリBは、二次電池としたが、二次電池に代えて燃料電池(Fuel Cell)であってもよい。そして、上記においては、この発明に係る交流電圧出力装置がハイブリッド自動車に搭載される場合について説明したが、この発明は、電気自動車(Electric Vehicle)や燃料電池車に搭載される交流電圧出力装置にも適用可能である。
【0131】
また、上記においては、交流電圧出力装置100,100A,100Bは、昇圧コンバータ10を備えるものとしたが、昇圧コンバータ10を備えないシステムにおいても、この発明は適用可能である。
【0132】
なお、上記において、モータジェネレータMG1,MG2は、それぞれこの発明における「第1の多相交流電動機」および「第2の多相交流電動機」に対応し、3相コイル12,14は、それぞれこの発明における「第1の多相巻線」および「第2の多相巻線」に対応する。また、インバータ20,30は、それぞれこの発明における「第1のインバータ」および「第2のインバータ」に対応し、第1のインバータ制御部62,62A、第2のインバータ制御部63,63AおよびAC出力制御部64は、この発明における「制御手段」を形成する。さらに、高調波発生部112,112Aは、この発明における「高調波発生手段」に対応し、PWM信号生成部114は、この発明における「信号生成手段」に対応する。
【0133】
また、さらに、図6に示した出力回路は、この発明における「出力回路」に対応し、AC出力ラインACL1,ACL2は、それぞれこの発明における「第1の出力線」および「第2の出力線」に対応する。また、さらに、コンデンサC3は、この発明における「コンデンサ」に対応し、負荷判定部65は、この発明における「負荷判定手段」に対応する。また、さらに、エンジンENGは、この発明における「内燃機関」に対応し、駆動輪DWは、この発明における「駆動輪」に対応する。
【0134】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】この発明の実施の形態1による交流電圧出力装置の全体ブロック図である。
【図2】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図3】図2に示す第1および第2のインバータ制御部ならびにAC出力制御部の詳細な機能ブロック図である。
【図4】図3に示す高調波発生部が発生する高調波電圧指令およびモータジェネレータの中性点電位の波形図である。
【図5】インバータのデューティーの総和および発生した交流電圧の波形図である。
【図6】図1に示す交流電圧出力装置において、中性点間に発生した商用交流電圧を負荷装置へ出力する出力回路を示した図である。
【図7】この発明の実施の形態2における制御装置の機能ブロック図である。
【図8】図7に示す第1および第2のインバータ制御部ならびにAC出力制御部の詳細な機能ブロック図である。
【図9】図8に示す高調波発生部が発生する高調波電圧指令およびモータジェネレータの中性点電位の波形図である。
【図10】この発明の実施の形態3における第1および第2のインバータ制御部ならびにAC出力制御部の詳細な機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0136】
10 昇圧コンバータ、12,14 3相コイル、20,30 インバータ、22,32 U相アーム、24,34 V相アーム、26,36 W相アーム、40 ACポート、50 コネクタ、60,60A,60B 制御装置、61 コンバータ制御部、62,62A 第1のインバータ制御部、63,63A 第2のインバータ制御部、64 AC出力制御部、65 負荷判定部、70,72 電圧センサ、80,82 電流センサ、100,100A,100B 交流電圧出力装置、102,122 電流変換部、104,124 MG1電流指令演算部、106,108,126,128 PI制御部、110,130 変換部、112,112A,132 高調波発生部、114,134 PWM信号生成部、142 FB制御部、144 乗算部、146 減算部、B バッテリ、C1〜C3 コンデンサ、L リアクトル、Q1,Q2,Q11〜Q16,Q21〜Q26 パワートランジスタ、D1,D2,D11〜D16,D21〜D26 ダイオード、MG1,MG2 モータジェネレータ、N1,N2 中性点、ACL1,ACL2 AC出力ライン、PL1,PL2 電源ライン、SL 接地ライン、UL1,UL2 U相ライン、VL1,VL2 V相ライン、WL1,WL2 W相ライン。




 

 


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