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発明の名称 ブラシレスDCモータの駆動方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−104862(P2007−104862A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−294818(P2005−294818)
出願日 平成17年10月7日(2005.10.7)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 奥村 康之 / 柴田 満 / 白石 松夫 / 伊藤 温元
要約 課題
永久磁石型のロータを使用するブラシレスDCモータの界磁の磁極位置をセンサを用いることなく推定してモータの転流位相を好適に制御してモータを駆動するセンサレス駆動方法において、従来は、転流位相を固定しているため、高効率、低騒音、高トルク等の運転のモードで運転したいときに、所望するモードに切り替えることができなかった。

解決手段
転流位相推定手段6は、直流電源1からインバータ回路2に供給される電流を電流平均値で除した正規化電流の転流周期を所定倍して、所定区間における変位から転流位相を推定し、転流周期決定手段7は、位相目標値決定手段8により設定される所望する運転モードに最適な転流位相目標値に追従するような転流指令を送出してインバータ回路2を通電制御することで、低騒音、高効率、高トルク等の所望する運転モードでモータ3を駆動できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路を介して接続された回転子と固定子巻線を有するブラシレスDCモータを前記インバータ回路のスイッチング素子をオンオフさせて前記インバータ回路の通電制御により前記ブラシレスDCモータを回転させる駆動方法において、前記直流電源から前記インバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として演算し、今回の転流タイミングから転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻から今回の転流タイミングから転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻までの所定区間における該正規化電流の変位からブラシレスDCモータの巻線の誘起電圧の位相に対する前記インバータ回路の転流位相を推定する転流位相推定手段と、該転流位相が位相目標値に追従するように前記インバータ回路を通電制御する通電制御信号を発生する通電制御手段を備えたことを特徴とするブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項2】
転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項3】
転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項4】
転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期の2分の1の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項5】
転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項6】
転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1とし、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項7】
転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻におけ該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項4記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項8】
転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項9】
転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上から1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項10】
転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、今回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項4記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項11】
通電制御手段は、位相目標値を決定する位相目標値決定手段と、転流位相推定手段が推定した転流位相が前記位相目標値決定手段が決定した位相目標値に追従するような次回の転流周期を決定する転流周期決定手段と、前回の転流タイミングから経過する時間が前記転流周期に達したとき転流指令を送出する転流指令送出手段と、該転流指令の発生するタイミングで前記複数のスイッチング素子を順次切り替えて前記インバータ回路を通電制御する通電制御信号を発生する通電制御信号発生手段を備えるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項12】
転流周期決定手段は、転流位相推定手段が推定した転流位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該転流位相が前記位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を決定するようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項13】
転流周期決定手段は、転流位相推定手段が推定した位相と位相目標値からPI演算またはPID演算により次回の転流周期を求め、該転流位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該転流位相が位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を決定するようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項14】
位相目標値決定手段は、ブラシレスDCモータを低消費電力で運転したい場合において、位相目標値が進み位相となるように設定し、ブラシレスDCモータを高利用率で運転したい場合において、位相目標値が零となるように設定し、ブラシレスDCモータを高トルクまたは低騒音で運転したい場合において、位相目標値が遅れ位相となるように設定するようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
【請求項15】
転流指令送出手段は、前回の転流タイミングから経過する時間が、前記転流周期決定手段が送出する次回の転流周期の平均値または移動平均値に達したとき転流指令を送出して、次回の転流タイミングを除々に変化させるようにして、磁極間隔のバラツキ等を要因とする転流タイミングの振動による回転数の変動が起こらないようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石界磁型のロータを使用するブラシレスDCモータの駆動装置および制御方法に係り、特に界磁の磁極位置センサを用いることなく界磁の磁極位置を推定してモータの相転流タイミングを好適に制御してモータを駆動するいわゆるセンサレス駆動に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のセンサレス駆動方法として、固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータを使用した場合に、運転中の直流電源からインバータ回路に供給される電流を検出して、該電流を観測して該電流の時間に対する変化率に基づいてモータ電流の相転流タイミングを決定するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、そのセンサレス駆動方法について図12および図13を参照しながら説明する。
【0004】
図12は、従来の固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータを使用した場合のブラシレスDCモータとその駆動装置を示す構成図である。図に示すように、インバータ回路101は3相インバータブリッジの構成であり、U、V、W相の上アームスイッチング素子102、103、104と、U、V、W相の下アームスイッチング素子105、106、107を有し、各スイッチング素子には、それぞれ並列に還流ダイオード108、109、110、111、112、113が接続されている。ブラシレスDCモータ114は、磁極手段を備えた回転子115と、固定子116から構成され、固定子116には電気角で120度の位相差を持つように固定子巻線117、118、119が配置される。直流電源120とインバータ回路101との間には、図示するように直流電源の出力電流を検出するための電流検出抵抗121が配置されている。電流検出手段122は、電流検出抵抗121の端子電圧を、オペアンプ123と負帰還抵抗124により構成される増幅回路125により増幅して、直流電源120からインバータ回路101に供給される電流を電圧値として送出する。マイクロコンピュータ126は、A/D変換機127と演算器128を内臓し、電流検出手段122から送出される検出電流がA/D変換機127に入力されるように接続されている。演算器128はA/D変換器127でデジタル化された電流値を参照してモータ電流の相転流タイミングを計算し、スイッチング素子102、103、104、105、106、107をそれぞれ電気角120度ごとに通電してインバータ101を制御するスイッチング信号U0+、V0+、W0+、U0−、V0−、W0−を出力する。ドライブ回路129は演算器127から出力されるスイッチング信号を変換して、スイッチング素子102、103、104、105、106、107を駆動するスイッチング信号U+、V+、W+、U−、V−、W−を出力する。
【0005】
図13は、従来のインバータ回路とブラシレスDCモータの等価回路を示す。インバータ回路101は図12で説明したので省略する。ブラシレスDCモータ114は、固定子巻線117の等価回路として、直列等価抵抗130と固定子巻線131と誘起電圧源132を直列に接続した回路、固定子巻線118の等価回路として、直列等価抵抗133と固定子巻線134と誘起電圧源135を直列に接続した回路、および、固定子巻線119の等価回路として、列等価抵抗136と固定巻線137と誘起電圧源138を直列に接続した回路をスター結線した図に示すような等価回路として表現できる。ここで、モータが回転することによる発電作用によって、誘起電圧源132は、固定子巻線117に正弦波の誘起電圧euを発生し、誘起電圧源135は、固定子巻線118に正弦波の誘起電圧evを発生し、誘起電圧源138は、固定子巻線119に正弦波の誘起電圧ewを発生し、各相に発生する誘起電圧eu、ev、ewの位相差は120度となる。
【0006】
図14は、従来の固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータとその駆動装置の各部の波形を示すタイムチャートである。ブラシレスDCモータ114を通電角120度で制御した場合、図14(イ)に図示するように、ドライブ回路129から、インバータ回路101のスイッチング素子102、103、104、105、106、107のゲート入力端子に入力される120度通電型の通電信号U+、V+、W+、U−、V−、W−が出力され、ブラシレスDCモータの回転子115の回転にともない、U相の固定子巻線117、V相の固定子巻線118、W相の固定子巻線119には、図14(ロ)に図示するような誘起電圧の相電圧eu、ev、ewが発生する。ブラシレスDCモータ114の電気角をθとおくと、誘起電圧eu、ev、ewは120度の位相差を持つ以下の式で表現される。
【0007】
eu=Esin(θ−30°)・・・・(数101)
ev=Esin(θ−150°)・・・(数102)
ew=Esin(θ−270°)・・・(数103)
図14に示す電気角が60度から120度の区間では、上アームスイッチング素子102と下アームスイッチング素子106がONとなり、U相の固定子巻線に誘起電圧eu、V相の固定子巻線に誘起電圧evが発生しているので、通電相すなわちU相とV相の固定子巻線にかかる巻線電圧はインバータの直流電圧Vdから誘起電圧euと誘起電圧evの差(eu−ev)を減じた値となるのでU相―V相間の巻線電圧Vuvは以下の式のようになる。
【0008】
Vuv=Vd−(eu−ev)・・・・(数104)
また、図14に示す電気角が120度から180度の区間では、上アームスイッチング素子102と下アームスイッチング素子107がONとなり、U相の固定子巻線に誘起電圧eu、W相の固定子巻線に誘起電圧ewが発生しているので、通電相すなわちU相とW相の固定子巻線にかかる巻線電圧はインバータの直流電圧Vdから誘起電圧euと誘起電圧evの差(eu−ev)を減じた値となるのでU相―W相間の巻線電圧Vuwは以下の式のようになる。
【0009】
Vuw=Vd−(eu−ew)・・・・(数105)
また、図14に示す電気角が120度から180度の区間では、上アームスイッチング素子103と下アームスイッチング素子107がONとなり、U相の固定子巻線に誘起電圧ev、W相の固定子巻線に誘起電圧ewが発生しているので、通電相すなわちV相とW相の固定子巻線にかかる巻線電圧はインバータの直流電圧Vdから誘起電圧evと誘起電圧wの差(ev−ew)を減じた値となるのでV相―W相間の巻線電圧Vvwは以下の式のようになる。
【0010】
Vvw=Vd−(ev−ew)・・・・(数106)
(数104)、(数105)、(数106)に(数101)、(数102)、(103)を代入して簡単にすると(数107)、(数108)、(数109)が得られる。
【0011】
Vuv=Vd−√3Esin(θ−90°)・・・(数107)
Vuw=Vd−√3Esin(θ−150°)・・・(数108)
Vvw=Vd−√3Esin(θ−210°)・・・(数109)
(数107)、(数108)、(数109)より、U相、V相、W相の巻線電圧を図示すると、図14(ハ)のようになる。
【0012】
図14に示す電気角が60度から120度の区間において、上アームスイッチング素子102と下アームスイッチング素子106がONとなり、巻線電圧Vuvが、図13に示すブラシレスDCモータ等価回路のU相とV相の端子間に印加される。この時、電流検出抵抗121に流れる電流Idは、直列等価抵抗130、固定子巻線131、誘起電圧源132、直列等価抵抗133、固定子巻線134、および、誘起電圧源135を直列接続した回路に、(数107)で示したような巻線電圧Vuvを印加したときに発生する応答電流である。固定子巻線117、118、および、119のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータを使用した場合、応答電流Idは、端子間電圧Vuvに比例するような図14(ニ)に示すような電流波形となる。電気角120度から180度の区間、電気角180度から240度の区間においても、電流検出抵抗121に流れる電流Idは電気角60度から120度の区間と同様な図14(ニ)に図示するような波形が得られる。
【0013】
図15は、従来の固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータ駆動装置の転流タイミングの決定方法と位相ずれの補正方法を説明する直流電源からインバータ回路に供給する電流Id(以降、電流Idと称す)のタイムチャートである。図15(イ)は転流に位相ずれがない場合における転流タイミングの決定方法を説明した電流Idの波形を示している。転流に位相ずれがない場合、図示するように、電流Idが極小値となる時刻は電気角30度時刻に一致している。次に転流タイミングの設定方法について説明する。電気角60度期間毎に、A/D変換機127で電流Idをサンンプリングし、演算器128で電流Idが極小値になる時刻を計測する。前回の電気角60度期間において電流Idが極小値になる時刻をt1、今回の電気角60度期間において電流Idが極小値になる時刻をt2とすると、時刻t101と時刻t102の時間差から電気角60度期間T1を計算し、この時間T1の1/2を電気角30度期間T2とする。時刻t102に電気角30度期間T2を加えて次回の相転流タイミングを設定する。
【0014】
図15(ロ)は転流が進み位相の場合の転流タイミングの補正方法を説明した電流Idのタイムチャートである。転流が進み位相の場合、図示すように、電流Idは左上がりの波形となる。各電気角60度期間毎に、A/D変換機127で電流Idをサンプリングし、演算部128で電流Idが極小値になる時刻を計測する。このとき、前回の電気角60度期間をT5、前回の転流時刻をt104とする。次に、今回の電気角60度期間における電流Idが極小値となる時刻t105を検出し、時刻t104と時刻t105の時間差から時間T6を計算する。前回の電気角30度期間、すなわち時間T6の2分の1値が時間T6よりも短い場合には、転流タイミングは進み位相と判定して、図15(イ)を使って説明した相転流タイミングの決定方法によって設定した転流タイミング時刻t106に所定時間T7を加えて今回の転流時刻t107とする。この補正を各電気角60度期間毎に行い、時間T6と前回の電気角30度期間を比較し、一致すれば転流タイミングに位相ずれがなくなったと判断して所定時間T7の加算を終了する。
【0015】
図15(ハ)は転流が遅れ位相の場合の転流タイミングの補正方法を説明した電流Idのタイムチャートである。転流が遅れ位相の場合、図示すように、電流Idは右上がりの波形となる。ここで、前回の電気角60度期間をT8、前回の転流時刻をt108とする。次に、今回の電気角60度期間における電流Idが極小値となる時刻t109を検出し、時刻t108と時刻t109の時間差から時間T9を計算する。前回の電気角30度期間、すなわちT8の2分の1値が時間T9よりも長い場合には、転流タイミングは遅れ位相と判定して、図15(イ)を使って説明した前期相転流タイミングの決定方法によって設定した時刻t111に所定時間T10を減じて今回の転流時刻t110とする。この補正を各電気角60度期間毎に行い、時間T9と前回の電気角30度時間を比較し、一致すれば転流タイミングに位相ずれがなくなったと判断して所定時間T10の減算を終了する。
【0016】
図16は、従来の固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータとその駆動回路の各部の波形を示すタイムチャートである。図16(イ)に図示するインバータ回路のスイッチング素子のゲート入力端子に入力される120度通電型の通電信号U+、V+、W+、U−、V−、W−、図16(ロ)に図示する誘起電圧の相電圧eu、ev、ew、および、図16(ハ)に図示する同一の時間軸で合成したU相、V相、W相の巻線電圧は、それぞれ、前述した図14(イ)、(ロ)、(ハ)と同一の波形であり、その説明は省略する。図16に示す電気角が60度から120度の区間において、上アームスイッチング素子102と下アームスイッチング素子106がONとなり、巻線電圧Vuvが、図13に示すブラシレスDCモータ等価回路のU相とV相の端子間に印加される。この時、電流検出抵抗121に流れる電流Idは、直列等価抵抗130、固定子巻線131、誘起電圧源132、直列等価抵抗133、固定子巻線134、および、誘起電圧源135を直列接続した回路に、(数107)で示した巻線電圧Vuvを印加したときに発生する応答電流となる。固定子巻線117、118、および、119のインダクタンスを無視できないブラシレスDCモータを使用した場合、応答電流Idは、図16(ニ)に示すような電流波形となる。図16(ニ)において、Aで示す第1の電流増加領域の電流上昇は急峻で、図16(ハ)に示す巻線電圧の急峻な立ち上がりに対して発生するRL直列回路の応答電圧となる。図16(ニ)において、Bで示す第2の電流増加領域は、図16(ハ)で示す巻線電圧Vuvが減少から増加に転ずるために現れるものであり、モータが同一方向の回転力を連続的に発生している場合は必ず現れる。電気角120度から180度の区間、および、電気角180度から240度の区間においても、電流検出抵抗121に流れる電流Idは電気角60度から120度の区間と同様な図16(ニ)に図示するような波形が得られる。ブラシレスDCモータの固定子巻線のインダクタンスが小さい場合、応答電流Idの波形が端子間電圧Vuvの波形に相似となるので、電流Idは電気角60度期間に極小値が存在し、前述した固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータを使用した場合の従来のブラシレスDCモータの駆動方法で説明したような転流タイミングの決定方法は有効であるが、固定子巻線のインダクタンスが大きい場合は、図16(ニ)に図示するように、電流Idの波形が端子間電圧Vuvの波形に相似とならず、電気角60度期間の間に電流Idの極小値が存在しないので、従来の固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータを使用したブラシレスDCモータの駆動方法で固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを駆動することはできない。
【0017】
次に、固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用した従来の駆動回路に採用されている従来の転流タイミングの決定方法について説明する。この方法は、運転中の直流電源からインバータ回路に供給される電流を検出して、該電流を平均化した値に所定倍率を乗じて設定した転流目標電流と該電流を比較して、該電流が該転流目標電流に達した時点で、モータ電流の相転流タイミングを判定するように構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0018】
以下、固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用した従来の駆動回路の構成、転流タイミングの決定方法について図17および図18を参照しながら説明する。
【0019】
図17は、従来の固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータ142を使用した駆動回路の電流Idの波形を図示するタイムチャートである。電流Idの波形は、図17(イ)で図示すような転流タイミングが進み位相、図17(ロ)で図示するような最適時、図17(ハ)で図示するような転流タイミングが遅れ位相の三態に分かれる。
【0020】
図18は、従来の固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用した駆動回路の基本的な構成を示すブロック図で、同図において、直流電源139は、電流検出回路140を介して、インバータ回路141に直流電力を供給している。インバータ回路141は、例えば3相120度通電型のインバータ回路141で、フライホイールダイオードを内蔵した6個のトランジスタ等からなるスイッチング素子を3相ブリッジに接続し、かつ各スイッチング素子のベースにドライバ回路を設け、6個の通電指令により各スイッチング素子がオンオフ制御されて、出力端からブラシレスDCモータ142に3相120度通電型の交流電力を供給している。電流検出回路140は、直流電源139とインバータ回路141との間に挿入されたシャント抵抗を有し、該シャント抵抗に流れる電流を検出することによって、ブラシレスDCモータ142の固定子巻線に流れる電流を3相一括して検出し、かつ電圧に変換して出力するようになっている。通電制御回路143は、上記電流検出回路140から検出された電流を入力して、インバータ回路141のスイッチング素子を順次切り替えて通電制御する通電制御信号U+、V+、W+、U−、V−、W−を発生する。
【0021】
電流検出回路140の出力端は、LC平滑回路を内蔵する平均化回路143aに接続され、その平均化回路143aの出力端は、1.2倍の電圧利得を持つ増幅回路143bの入力端に接続され、増幅回路143bの出力端は比較回路143cの入力端の一方に接続され、電流検出回路140の出力は比較回路143cの入力端の他方に接続されており、電流検出回路143より検出した電流Viaを平均化回路143aにより平均化した後、増幅回路143bにより1.2倍に増幅して転流目標指令Vitとし、電流検出回路140より検出した電流Viaと転流目標指令地Vitを比較し、Via>Vitの関係となったとき、比較回路143Cからワンショットのパルス信号で転流指令Vcptを出力するようになっている。
【0022】
そして、比較回路143cの出力端を6進カウンタからなる計数回路143dを介して分配回路143eに接続して、転流指令Vcptがワンショットのパルス信号で出力されるたびに、計数回路143dにより1つ歩進して、計数回路143dが出力する計数信号を分配回路143eによりデコードして、図16で説明したような120度通電型の通電指令U+、V+、W+、U−、V−、W−がインバータ回路141の6個のスイッチング素子のドライバ回路に入力に出力されるように構成されている。制御電源回路144は、直流電源139に接続されて、通電制御回路143の各回路に電圧電源Vccを供給するものである。
【0023】
次に、このように構成される従来の駆動回路の動作について説明する。ブラシレスDCモータの回転数が一定の通常の運転状態から、何かの原因で負荷トルクが増大する場合について考える。負荷トルクが増大した直後は、イナーシャは急激には変化せず、回転数は急激には変化しないので、誘起電圧の急変、巻線電流の急変、および、発生トルクの急変も起こらない。ブラシレスDCモータは、常に〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡して動作するが、(発生トルク)が一定値に保存されるため、負荷トルクが増大した分だけ加速トルクが減少し、ブラシレスDCモータはイナーシャの回転エネルギーを軸に放出しながら減速し始める。ブラシレスDCモータの減速にともない、巻線の誘起電圧は減少するが、巻線電圧は、Vd−(巻線の誘起電圧)に等しいので、巻線電圧は増加し、同時に巻線電流も増加して発生トルク不足を補う方向に作用する。
【0024】
前述した通電制御回路143の構成により、転流タイミングは、電流検出回路140の電流値Viaが電流検出回路140の平均電流を1.2倍した転流目標指令値Vitを超えるタイミングにより決定されるが、ブラシレスDCモータの減速直後において、電流検出回路140の平均値は急変しないので、転流の急変は起きず、転流位相は巻線の誘起電圧に対して進み位相となり、転流タイミングは進み位相となる。
【0025】
巻線電流の増加にともない、電流検出回路140の電流Viaが増加すると、前述した通電制御回路143の動作により、電流検出回路140の電流Viaの平均値を1.2倍した転流目標指令Vitが増加するので、Via>Vitとなるまでの時間、すなわち、転流周期が長くなり、ブラシレスDCモータの誘起電圧に対する転流位相の進み、すなわち、転流タイミングの進み位相が改善されていく。転流タイミングの進み位相が改善されていくにつれて、転流周期が長くなる→回転速度が減少する→巻線の誘起電圧が減少する→巻線電圧が増加する→巻線電流が増加する→発生トルクが増加する、の因果関係により、(発生トルク)が増加するが、(負荷トルク)が増加した分だけ(発生トルク)が増加すれば、(加速トルク)は零となり、ブラシレスDCモータの減速は止まり、〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡する適正な転流タイミングとなるところで落ち着く。
【0026】
次に、ブラシレスDCモータの回転数が一定の通常の運転状態から、何かの原因で負荷トルクが減少する場合について考える。負荷トルクが減少した直後は、イナーシャは急激には変化せず、回転数は急激には変化しないので、誘起電圧の急変、巻線電流の急変、および、発生トルクの急変も起こらない。ブラシレスDCモータは、常に〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡して動作するが、(発生トルク)が一定値に保存されるため、負荷トルクが減少した分だけ加速トルクが増加し、ブラシレスDCモータはイナーシャの回転エネルギーを軸から吸収しながら増速し始める。
【0027】
ブラシレスDCモータの増速にともない、巻線の誘起電圧は増加するが、巻線電圧は、Vd−(巻線の誘起電圧)に等しいので、巻線電圧は減少し、同時に巻線電流も減少して余った発生トルクを抑える方向に作用する。
【0028】
前述した通電制御回路143の構成により、転流タイミングは、電流検出回路140の電流値Viaが電流検出回路140の平均電流を1.2倍した転流目標指令値Vitを超えるタイミングにより決定されるが、ブラシレスDCモータの増速直後において、電流検出回路140の平均値は急変しないので、転流の急変は起きず、転流位相は巻線の誘起電圧に対して遅れ位相となり、転流タイミングは遅れ位相となる。
【0029】
巻線電流の減少にともない、電流検出回路140の電流Viaが減少すると、前述した通電制御回路143の動作により、電流検出回路140の電流Viaの平均値を1.2倍した転流目標指令Vitが減少するので、Via>Vitとなるまでの時間、すなわち、転流周期が短くなり、ブラシレスDCモータの誘起電圧に対する転流位相の遅れ、すなわち、転流タイミングの遅れ位相が改善されていく。転流タイミングの遅れ位相が改善されていくにつれて、転流周期が短くなる→回転速度が増加する→巻線の誘起電圧が増加する→巻線電圧が減少する→巻線電流が減少する→発生トルクが減少する、の因果関係により、(発生トルク)が減少するが、(負荷トルク)が減少した分だけ(発生トルク)が減少すれば、(加速トルク)は零となり、ブラシレスDCモータの減速は止まり、〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡する適正な転流タイミングとなるところで落ち着く。
【0030】
以上で述べたように、従来の固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータの駆動方法は、転流タイミングは、電流検出回路140の電流値Viaが電流検出回路140の平均電流を1.2倍した転流目標指令値Vitを超えるタイミングにより決定される。このような従来の駆動方法の場合、起動時以外の通常運転時において、ブラシレスDCモータを高効率で運転できる転流位相が零のところで通電制御される。しかし、ブラシレスDCモータの用途によっては、家電製品のように、ブラシレスDCモータの転流位相が進み位相となるように運転して、低消費電力で運転したい場合や、転流位相が零となるように運転して、高利用率で運転したい場合や、または、ブラシレスDCモータの転流位相が遅れ位相となるように運転して、高トルクまたは低騒音で運転したい場合があるが、従来の駆動方法では、転流位相を一定値に固定して通電制御する方法を採用しているため、ブラシレスDCモータを、低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合に、ブラシレスDCモータを所望する運転モードで運転できる最適な転流位相に設定して、所望する運転モードに切り替えて運転する事ができないという問題点を有していた。
【特許文献1】特開平08−126379号公報
【特許文献2】特許第3388068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
このような従来の固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータの駆動方法では、電気角60度区間の直流電源からインバータ回路に供給される電流の変化率をみて、その電流が極小値をとるタイミングを検出した後、次回の転流タイミングを決定するという駆動方法を採用していたが、この駆動方法はブラシレスDCモータの固定子巻線のインダクタンスが小さい場合に有効であって、固定子巻線のインダクタンスが大きい場合には採用できないという課題があり、固定子巻線のインダクタンスが大きいようなブラシレスDCモータを使用した場合でも採用する事ができる駆動方法を提供することが要求されている。
【0032】
また、従来の固定子巻線のインダクタンスが大きい従来のブラシレスDCモータの駆動方法では、転流タイミングは、電流検出回路が検出した電流値Viaが電流検出回路から検出される電流の平均値を1.2倍した転流目標指令値を超えるタイミングにより決定されるため、起動時以外の通常運転時において、転流位相を零に固定して通電制御していた。しかし、ブラシレスDCモータの用途によっては、家電製品のように、ブラシレスDCモータの転流位相が進み位相となるように運転して、低消費電力で運転したい場合や、転流位相が零となるように運転して、高利用率で運転したい場合や、または、ブラシレスDCモータの転流位相が遅れ位相となるように運転して、高トルクまたは低騒音で運転したい場合があるが、従来の駆動方法では、転流位相を一定値に固定して通電制御する方式を採用しているため、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したい場合に、ブラシレスDCモータを所望する運転モードで運転するのに最適な転流位相に設定できないので、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに自由に切り替えて運転できないという課題があり、ブラシレスDCモータを、低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したい場合でも、所望する運転モードで運転できる駆動方法を提供することが要求されている。
【0033】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動できる駆動方法を提供することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えることができる駆動方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路を介して接続された回転子と固定子巻線を有するブラシレスDCモータを前記インバータ回路のスイッチング素子をオンオフさせて前記インバータ回路の通電制御により前記ブラシレスDCモータを回転させる駆動方法において、前記直流電源から前記インバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として演算し、今回の転流タイミングから転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻から今回の転流タイミングから転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻までの所定区間における該正規化電流の変位からブラシレスDCモータの巻線の誘起電圧の位相に対する前記インバータ回路の転流位相を推定する転流位相推定手段と、該転流位相が位相目標値に追従するように前記インバータ回路を通電制御する通電制御信号を発生する通電制御手段を備えたことを特徴とするブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0035】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0036】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0037】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0038】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0039】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0040】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期の2分の1の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0041】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0042】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0043】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0044】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1とし、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0045】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0046】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻におけ該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項4記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0047】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0048】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0049】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0050】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上から1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項3記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0051】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0052】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、今回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定することを特徴とする請求項1または請求項4記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0053】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0054】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、通電制御手段は、位相目標値を決定する位相目標値決定手段と、転流位相推定手段が推定した転流位相が前記位相目標値決定手段が決定した位相目標値に追従するような次回の転流周期を決定する転流周期決定手段と、前回の転流タイミングから経過する時間が前記転流周期に達したとき転流指令を送出する転流指令送出手段と、該転流指令の発生するタイミングで前記複数のスイッチング素子を順次切り替えて前記インバータ回路を通電制御する通電制御信号を発生する通電制御信号発生手段を備えるようにしたことを特徴とする請求項1記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0055】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0056】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流周期決定手段は、転流位相推定手段が推定した転流位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該転流位相が前記位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を決定するようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0057】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0058】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流周期決定手段は、転流位相推定手段が推定した位相と位相目標値からPI演算またはPID演算により次回の転流周期を求め、該転流位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該転流位相が位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を決定するようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0059】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0060】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、位相目標値決定手段は、ブラシレスDCモータを低消費電力で運転したい場合において、位相目標値が進み位相となるように設定し、ブラシレスDCモータを高利用率で運転したい場合において、位相目標値が零となるように設定し、ブラシレスDCモータを高トルクまたは低騒音で運転したい場合において、位相目標値が遅れ位相となるように設定するようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0061】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【0062】
また、本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は上記目的を達成するために、転流指令送出手段は、前回の転流タイミングから経過する時間が、前記転流周期決定手段が送出する次回の転流周期の平均値または移動平均値に達したとき転流指令を送出して、次回の転流タイミングを除々に変化させるようにして、磁極間隔のバラツキ等を要因とする転流タイミングの振動による回転数の変動が起こらないようにしたことを特徴とする請求項11記載のブラシレスDCモータの駆動方法としたものである。
【0063】
この手段により固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でもブラシレスDCモータを駆動することができ、また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できる駆動方法が得られる。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用する場合でも、ブラシレスDCモータを駆動することができるという効果のあるブラシレスDCモータの駆動方法を提供できる。
【0065】
また、ブラシレスDCモータを低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の所望する運転モードに切り替えて運転したいという要求が発生した場合でも、ブラシレスDCモータを所望する運転モードに切り替えて運転できるブラシレスDCモータの駆動方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
本発明の請求項1記載の発明は、直流電源に複数のスイッチング素子をブリッジ接続してなるインバータ回路を介して接続された回転子と固定子巻線を有するブラシレスDCモータを前記インバータ回路のスイッチング素子をオンオフさせて前記インバータ回路の通電制御により前記ブラシレスDCモータを回転させる駆動方法において、前記直流電源から前記インバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として演算し、今回の転流タイミングから転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻から今回の転流タイミングから転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻までの所定区間における該正規化電流の変位からブラシレスDCモータの巻線の誘起電圧の位相に対する前記インバータ回路の転流位相を推定する転流位相推定手段と、該転流位相が位相目標値に追従するように前記インバータ回路を通電制御する通電制御信号を発生する通電制御手段を備えた構成としており、従来のブラシレスDCモータの駆動方法のように転流位相が零に固定されているのではなく、転流位相推定手段により推定した転流位相が目標位相に追従するようにインバータ回路を通電制御する構成とすることにより、低騒音、高効率、高トルク等の所望する運転モードでブラシレスDCモータを運転したい場合に、その運転モードでブラシレスDCモータを運転するのに最適な位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータを運転できるという作用を有する。
【0067】
本発明の請求項2記載の発明は、転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたものであり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。
【0068】
また、請求項3記載の発明は、転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたものであり、転流周期の後半部分の2箇所の正規化電流の差から正規化電流変位を求めれば、正規化電流偏差と転流位相の相関が最も安定するので、正規化電流偏差から確実に転流位相を求める事ができるという作用を有する。また、直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。
【0069】
また、請求項4記載の発明は、転流位相推定手段は、インバータ回路の転流位相を一定に保持するようにブラシレスDCモータを運転して、直流電源からインバータ回路に供給される電流を測定・記録し、任意周期分の該電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、転流タイミングから転流周期の2分の1の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、転流タイミングから転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、転流位相をパラメータとして変化させた場合の該正規化電流変位を求めることにより正規化電流変位と転流位相との相関をあらかじめ相関曲線として求めておき、該相関曲線に基づいて任意の正規化電流変位に対応する転流位相を求めるようにしたものであり、転流周期の後半部分の2箇所の正規化電流の差から正規化電流変位を求めれば、正規化電流偏差と転流位相の相関が最も安定するので、正規化電流偏差から確実に転流位相を求める事ができるという作用を有する。また、直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。
【0070】
また、請求項5記載の発明は、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定するようにしたものであり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、該正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。
【0071】
また、請求項6記載の発明は、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第1とし、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定するようにしたものであり、転流周期の後半部分の2箇所の正規化電流の差から正規化電流変位を求めれば、正規化電流偏差と転流位相の相関が最も安定するので、正規化電流偏差から確実に転流位相を求める事ができるという作用を有する。また、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、該正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。
【0072】
また、請求項7記載の発明は、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻におけ該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定するようにしたものであり、転流周期の後半部分の2箇所の正規化電流の差から正規化電流変位を求めれば、正規化電流偏差と転流位相の相関が最も安定するので、正規化電流偏差から確実に転流位相を求める事ができるという作用を有する。また、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、該正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。
【0073】
また、請求項8記載の発明は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定するようにしたものであり、転流周期の後半部分の2箇所の正規化電流の差から正規化電流変位を求めれば、正規化電流偏差と転流位相の相関が最も安定するので、正規化電流偏差から確実に転流位相を求める事ができるという作用を有する。また、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、該正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。また、今回の転流タイミングから所定の時間が経過した2箇所の時刻におけるマイクロコンピュータのRAM上に記憶しておいた電流を、電流平均値で除した商を正規化電流として演算し、2箇所の時刻における正規化電流の差から正規化電流変位を算出しているので、所定のサンプリング間隔を隔ててマイクロコンピュータのRAM上に記録してあった電流を電流平均値で除した商を全て演算して、この商を全て正規化電流として、制御手段のマイクロコンピュータのRAM上に記録するという処理が不要となり、当該処理に要する処理時間を短縮する事ができ、転流位相推定手段が転流位相を推定するのに要する処理時間を短縮することができ、処理速度の遅い安価なマイクロコンピュータを用いてセンサレスDCブラシレスモータ制御装置を実現できるという作用を有する。
【0074】
また、請求項9記載の発明は、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期に0.5以上から1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定するようにしたものであり、直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。また、今回の転流タイミングから所定の時間が経過した2箇所の時刻におけるマイクロコンピュータのRAM上に記憶しておいた電流を、電流平均値で除した商を正規化電流として演算し、2箇所の時刻における正規化電流の差から正規化電流変位を算出しているので、所定のサンプリング間隔を隔ててマイクロコンピュータのRAM上に記録してあった電流を電流平均値で除した商を全て演算して、この商を全て正規化電流として、制御手段のマイクロコンピュータのRAM上に記録するという処理が不要となり、当該処理に要する処理時間を短縮する事ができ、転流位相推定手段が転流位相を推定するのに要する処理時間を短縮することができ、処理速度の遅い安価なマイクロコンピュータを用いてセンサレスDCブラシレスモータ制御装置を実現できるという作用を有する。
【0075】
また、請求項10記載の発明は、転流位相推定手段は、前回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、今回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における直流電源からインバータ回路に供給される電流を該電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出し、該正規化電流変位から相関曲線に基づいて転流位相を推定するようにしたものであり、転流周期の後半部分の2箇所の正規化電流の差から正規化電流変位を求めれば、正規化電流偏差と転流位相の相関が最も安定するので、正規化電流偏差から確実に転流位相を求める事ができるという作用を有する。また、直流電源からインバータ回路に供給される電流をその電流の平均値で除した商を正規化電流として算出し、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は転流位相との相関がほぼ線形であり、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した2箇所の正規化電流の差から求めた正規化電流変位は、ブラシレスDCモータの回転数によって変化する転流周期Tに依存しないという作用を有する。また、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流ΔId/IaはブラシレスDCモータの回転数に依存しにくい性質を持つので、その差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい作用を有する。すなわち、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存せず、ブラシレスDCモータの回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、あらかじめ正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができるという作用を有する。また、今回の転流タイミングから所定の時間が経過した2箇所の時刻におけるマイクロコンピュータのRAM上に記憶しておいた電流を、電流平均値で除した商を正規化電流として演算し、2箇所の時刻における正規化電流の差から正規化電流変位を算出しているので、所定のサンプリング間隔を隔ててマイクロコンピュータのRAM上に記録してあった電流を電流平均値で除した商を全て演算して、この商を全て正規化電流として、制御手段のマイクロコンピュータのRAM上に記録するという処理が不要となり、当該処理に要する処理時間を短縮する事ができ、転流位相推定手段が転流位相を推定するのに要する処理時間を短縮することができ、処理速度の遅い安価なマイクロコンピュータを用いてセンサレスDCブラシレスモータ制御装置を実現できるという作用を有する。
【0076】
また、請求項11記載の発明は、通電制御手段は、位相目標値を決定する位相目標値決定手段と、転流位相推定手段が推定した転流位相が前記位相目標値決定手段が決定した位相目標値に追従するような次回の転流周期を決定する転流周期決定手段と、前回の転流タイミングから経過する時間が前記転流周期に達したとき転流指令を送出する転流指令送出手段と、該転流指令の発生するタイミングで前記複数のスイッチング素子を順次切り替えて前記インバータ回路を通電制御する通電制御信号を発生する通電制御信号発生手段を備えるようにしたものであり、転流位相が所望する位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータを通電制御する構成としており、従来のブラシレスDCモータの駆動方法のように転流位相が零に固定されていないので、低騒音、高効率、高トルク等の運転モードでブラシレスDCモータを運転したい場合に、その運転モードでブラシレスDCモータを運転するのに最適な位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータを運転できるという作用を有する。
【0077】
また、請求項12記載の発明は、転流周期決定手段は、転流位相推定手段が推定した転流位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該転流位相が前記位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を決定する構成としているので、従来のブラシレスDCモータの駆動方法のように転流位相が零に固定されていないので、低騒音、高効率、高トルク等の運転モードでブラシレスDCモータを運転したい場合に、その運転モードでブラシレスDCモータを運転するのに最適な位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータを運転できるという作用を有する。
【0078】
また、請求項13記載の発明は、転流周期決定手段は、転流位相推定手段が推定した位相と位相目標値からPI演算またはPID演算により次回の転流周期を求め、該転流位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該転流位相が位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を決定するようにしたものであり、転流タイミンングの位相が所望する位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータを制御する構成としているので、従来のブラシレスDCモータの駆動方法のように転流位相が零に固定されていないので、低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の運転モードでブラシレスDCモータを運転したい場合に、その運転モードでブラシレスDCモータを運転するのに最適な位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータを運転できるという作用を有する。
【0079】
また、請求項14記載の発明は、位相目標値決定手段は、ブラシレスDCモータを低消費電力で運転したい場合において、位相目標値が進み位相となるように設定し、ブラシレスDCモータを高利用率で運転したい場合において、位相目標値が零となるように設定し、ブラシレスDCモータを高トルクまたは低騒音で運転したい場合において、位相目標値が遅れ位相となるように設定するようにしたものであり、転流タイミンングの位相が低消費電力運転、高利用率運転、高トルク運転、低騒音運転等の運転モードでブラシレスDCモータを運転したい場合に、その運転モードでブラシレスDCモータを運転するのに最適な位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータを運転できるという作用を有する。
【0080】
また、請求項15記載の発明は、転流指令送出手段は、前回の転流タイミングから経過する時間が、前記転流周期決定手段が送出する次回の転流周期の平均値または移動平均値に達したとき転流指令を送出して、次回の転流タイミングを除々に変化させるようにして、磁極間隔のバラツキ等を要因とする転流タイミングの振動による回転数の変動が起こらないようにしたものであり、磁極間隔のバラツキ等を要因とする転流タイミングの振動により、転流位相が振動して、位相目標値に対する転流位相偏差が大きく開くことにより、転流周期決定手段が送出する転流周期が大きく設定された場合でも、転流周期の平均値または移動平均値は除所に変動して、転流タイミングの急激な変動を抑えることになるので、次回の転流周期の絶対値が適正な値以上に設定された場合でも、転流周期がハンチングして、転流周期が振動して回転数の振動が発生するのを防止することができるという作用を有する。
【0081】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0082】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図1〜図9を参照しながら説明する。
【0083】
図1は本発明の実施の形態1の基本的な構成を示すブロック図である。図1において、直流電源1は、電流検出回路2を介してインバータ回路3に直流電力を供給している。インバータ回路3は、U、V、W相の上アームスイッチング素子3a、3b、3cと、U、V、W相の下アームスイッチング素子3d、3e、3fを3相ブリッジ接続し、各スイッチング素子には、それぞれ並列に還流ダイオード3g、3h、3i、3j、3k、3lを接続し、U、V、W相の上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子の接続点に、ブラシレスDCモータ4を接続し、インバータ回路3から3相120度通電型の交流電力を供給するように接続されている。電流検出回路2は直流電源1からインバータ回路3に供給される電流(以降、電流Idと称す)を3相一括して検出し、検出された電流に比例する電圧に変換して制御手段5に送出する。制御手段5は、A/D変換機を内臓するマイクロコンピュータを使って構成されており、転流位相推定手段6と通電制御手段7を有し、電流検出回路2より送出された電流Idを該マイクロコンピュータのA/D変換機によりデジタル化して転流位相推定手段6に送出する。転流位相推定手段6は、転流タイミングから転流周期に所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻2箇所における電流Idを1周期分の電流Idの平均値で除した商を正規化電流として求め、2箇所の時刻における正規化電流の差から正規化電流偏差を算出し、該正規化電流偏差からブラシレスDCモータ4の巻線の誘起電圧の位相に対するインバータ回路3の転流タイミングの位相(以降、転流位相と称す)を推定して通電制御手段7に送出する。通電制御手段7は、位相目標値決定手段8と、転流周囲決定手段9と、転流指令送出手段10と、通電制御信号発生手段11を有しており、転流位相推定手段6が推定した該転流位相が、位相目標値決定手段8が決定する位相目標値に追従するようにインバータ回路3を通電制御する通電制御信号U0+、V0+、W0+、U0−、V0−、W0−を発生する。位相目標値決定手段8は、ブラシレスDCモータ4を所望する運転モードで運転したい場合に最適な転流位相目標値を決定し、転流周期決定手段9は、転流位相推定手段6が推定した転流位相が、位相目標値決定手段8が決定した位相目標値に追従するような転流周期を決定して送出する。転流指令送出手段10は、前回において、インバータ回路3のスイッチング素子3a〜3fを通電切り替えする時刻(以降、転流タイミングと称す)から経過する時間が該転流周期に達したタイミングで転流指令を送出する。通電制御信号発生手段11は、該転流指令が送出されるタイミングで、インバータ回路3のスイッチング素子3a〜3fを順次切り替えて、インバータ回路3を120度通電で制御する通電制御信号U0+、V0+、W0+、U0−、V0−、W0−を発生する。ドライバ回路12は、該通電制御信号信号U0+、V0+、W0+、U0−、V0−、W0−をインバータ回路3のスイッチング素子3a〜3fを駆動できる駆動信号U+、V+、W+、U−、V−、W−に変換してインバータ回路3に送出する。
【0084】
次に、転流位相推定手段6の処理内容について、図2、図4、図6および図7を使って説明する。
【0085】
図2は電流Idの記録方法を説明するための転流転流位相をパラメータとする電流Idの時間的変化を図示したタイムチャートである。このタイムチャートでは、異なるパラメータの電気角60度区間を一周期とする電流波形2周期分の電流波形を重ねて表示してある。このタームチャートでは、インバータ回路3からブラシレスDCモータ4を3相120度通電方式の交流電力を供給し、ブラシレスDCモータ4の軸に2kgf・cmの負荷トルクをかけ、1500rpmの回転数が得られるように運転し、かつ、転流位相が−30度、−25度、−20度、−15度、−10度、−5度、0度、+5度、+10度、+15度、+20度、+25度、+30度のいずれかの一定の転流位相で運転した場合において、電流Idの時間的変化を計測サンプル間隔Δτs毎に計測・記録し、異なるパラメータについても同様に計測・記録した電流Idを重ねて表示している。
【0086】
図3は正規化電流の算出方法を説明するための転流位相をパラメータとする正規化電流の時間的変化を図示したタイムチャートである。このタームチャートでは、インバータ回路3からブラシレスDCモータ4を3相120度通電方式の交流電力を供給し、ブラシレスDCモータ4の軸に2kgの負荷トルクをかけ、1000rpmの回転数が得られるように運転し、かつ、転流位相が−30度、−25度、−20度、−15度、−10度、−5度、0度、+5度、+10度、+15度、+20度、+25度、+30度のいずれかの一定の転流位相で運転した場合において、電流Idの時間的変化を計測サンプル間隔ΔIs毎に記録し、前回の転流タイミングt1から、今回の転流タイミングt2までの時間を転流周期Tとして求め、時刻t1からt2までの1周期分において、所定のサンプリング間隔Δτsを隔てて計測される電流Idの総和を、サンプリング回数T/Δτsで除した商を電流平均値Iaとして求め、サンプリング間隔ΔIsを隔てた各時間毎に記録された電流Idを電流Idの平均電流Iaで除して正規化電流(Id/Ia)を演算・記録し、異なるパラメータについても同様に演算・記録した正規化電流(Id/Ia)を重ねて表示している。
【0087】
図4は、正規化電流変位の算出方法を説明するタイムチャートである。このタイムチャートでは、図3で説明した、転流位相が例えば+10度のときの正規化電流(Id(t)/Ia)の波形を図示している。今回の転流タイミングt2から転流周期Tの4分の3の時間が経過した時刻t3における正規化電流(Id(t3)/Ia)と、今回の転流タイミングt2から転流周期Tの2分の1の時間が経過した時刻t4における正規化電流(Id(t4)/Ia)の差を正規化電流変位(ΔId/Ia)として算出する。ここで、正規化電流変位(ΔId/Ia)は、(数1)に示す式で表現できる。
【0088】
(ΔId/Ia)=〔Id(t3)−Id(t4)〕/Ia・・・(数1)
図5は、正規化電流のタイムチャートである。図5(イ)では、ブラシレスDCモータ4を転流位相θが+15度、回転数が500rpmで運転した場合において、電流Idを、平均電流Iaで除した商を正規化電流(Id/Ia)として求め、正規化電流(Id/Ia)の時間的変化を図示している。図において、図4で説明したように、転流タイミングt12から1周期Tの4分の3に相当する時間が経過した時刻t13における正規化電流Id1(t13)/Iaと、転流タイミングから1周期Tの半分に相当する時間が経過した時刻t14における正規化電流Id1(t14)/Iaを求め、その差を、正規化電流変位ΔId1/Iaとして算出している。
【0089】
図5(ロ)では、ブラシレスDCモータ4を転流位相θが+15度、回転数が1000rpmで運転した場合において、電流Idを、平均電流Iaで除した商を正規化電流(Id/Ia)として求め、正規化電流(Id/Ia)の時間的変化を図示している。図において、図5(ロ)で図示する正規化電流は、図5(イ)で図示する電流波形を時間軸方向に50%圧縮し、正規化電流軸方向に等倍した電流波形となる。図5(ロ)における正規化電流波形は、図5(イ)における正規化電流波形とほぼ相似な図形となるので、図5(ロ)における転流タイミングt22から1周期Tの4分の3に相当する時間が経過した時刻t23における正規化電流Id2(t23)/Iaは、図5(イ)における転流タイミングt12から1周期Tの4分の3に相当する時間が経過した時刻t13における正規化電流Id1(t13)/Iaと等しくなり、同様に、図5(ロ)における転流タイミングt22から1周期Tの半分に相当する時間が経過した時刻t24における正規化電流Id2(t24)/Iaは、図5(イ)における転流タイミングt12から1周期Tの半分に相当する時間が経過した時刻t14における正規化電流Id1(t14)/Iaと等しくなる。その結果、正規化電流Id2(t23)と、正規化電流Id2(t24)の差は、正規化電流Id1(t13)と、正規化電流Id2(t14)の差に等しくなり、図5(ロ)における正規化電流変位ΔId2/Iaは、図5(イ)における正規化電流変位ΔId2/Iaに等しくなる。これは、図4を使って説明した正規化電流変位の算出方法によって求めた正規化電流変位ΔId/IaはブラシレスDCモータ4の回転数によって変化する転流周期Tに依存しない事を示している。また、電流Idは、時間と電気角の角速度との関数となるので、ブラシレスDCモータ4の回転数が変化すると、電流Idの波形と振幅は変化するが、電流Idを1周期分の平均電流Iaで除すことにより、回転数によって変化する振幅の影響がキャンセルされるので、正規化電流Id/IaはブラシレスDCモータ4の回転数に依存しにくい性質を持つことになり、所定区間2箇所の正規化電流の差として算出される正規化電流変位ΔId/Iaも、電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つ。以上で説明したように、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータ4の回転数が変わることによって変化する転流周期Tに依存しない。また、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータ4の回転数が変わることによって変化する電流Idの振幅に依存しにくい性質を持つので、転流位相は正規化電流変位のみによって決定される傾向が強くなり、正規化電流変位と転流位相の相関を求めておけば、正規化電流変位がわかれば、いかなる回転数においても、転流位相を確実に推定することができる。
【0090】
図6は、正規化電流変位と転流位相の相関を示す相関曲線である。この相関曲線は、図3に示す転流位相θをパラメータとする一つのパラメータの正規化電流(Id/Ia)について、図4を使って説明した正規化電流変位の算出方法に従って正規化電流変位(ΔId/Ia)を求め、該正規化電流変位(ΔId/Ia)を複数のパラメータ、すなわち、複数の転流位相について求めておき、正規化電流変位(ΔId/Ia)と転流位相θとの相関を相関曲線に図示したものである。図を見て明らかなように、転流位相θが−30度から+25度の範囲で、正規化電流変位(ΔId/Ia)と転流位相θの相関は、ほぼ線形な特性を持っていることがわかる。図6の相関曲線は、図5を使って説明したように、正規化電流変位ΔId/Iaは、ブラシレスDCモータ4の回転数が変わることによって変化する転流周期T、および、ブラシレスDCモータ4の回転数や運転状態によって変化する電流Idの振幅に依存せず、転流位相θのみによって決定されるので、正規化電流変位ΔId/Iaと転流位相θの相関曲線は、ブラシレスDCモータ4の回転数が変わることによって変化する転流周期T、および、ブラシレスDCモータ4の回転数や運転状態によって変化する電流Idの振幅に依存しない。従って、ブラシレスDCモータ4の回転数や運転状態がいかなる場合でも、正規化電流変位がわかれば、正規化電流変位ΔId/Iaと転流位相θの相関曲線に基づいて、転流位相θを推定することができる。転流位相推定手段6は、正規化電流変位(ΔId/Ia)がわかればこれに対応する転流位相θを推定できるように、あらかじめ、相関曲線を持っている。
【0091】
図7は、転流位相推定手段6の処理手順を説明するフロ−チャートである。転流位相推定手段6は、図7におけるフローチャートのステップ13にて、所定のサンプリング間隔ΔIsを隔てて計測した電流Idを制御手段5のマイクロコンピュータのRAM上に記録する。ステップ14にて、図4における、前回の転流タイミングt1から今回の転流タイミングt2までの時間を転流周期Tとして求め、ステップ15にて、所定のサンプリング間隔ΔIsを隔てて計測された電流Idの総和を、サンプリング回数、すなわち、T/ΔIsで除した商を、電流Idの平均値として算出し、前回の転流タイミングt1から、今回の転流タイミングt2までの転流周期1周期分の電流平均値Iaを求める。ステップ16にて、ステップ13にて、所定のサンプリング間隔ΔIsを隔てて制御手段5のマイクロコンピュータのRAM上に記録してあった電流Idを電流平均値Iaで除した商を正規化電流Id(t)/Iaとして演算し、制御手段5のマイクロコンピュータのRAM上に、所定のサンプリング間隔ΔIsを隔てて演算した正規化電流Id(t)/Iaを記録する。ステップ17にて、今回の転流タイミングt2から、今回の転流タイミングt2から経過する時間が転流周期Tの4分の3すなわち、図4に示す時刻t3に達したことを判定し、該時間が時刻t3に達するまでは待ちの状態にあるが、該時間が時刻t3に達すると、ステップ18により、今回の転流タイミングt2から3T/4に相当する時間が経過する時刻t3における正規化電流 Id(t3)/Iaと、今回の転流タイミングt4からT/2に相当する時間が経過する時刻t4における正規化電流 Id(t4)/Iaの差を正規化電流変位(ΔId/Ia)として演算する。ここで、正規化電流変位(ΔId/Ia)は(数2)に示す式より演算される。
【0092】
(ΔId/Ia)=〔Id(3)/Ia〕−〔Id(4)/Ia〕・・・(数2)
ステップ19により、あらかじめ求めておいた図6に図示する相関曲線に基づいて、ステップ18で演算した正規化電流変位(ΔId/Ia)に対応する今回の転流位相θnを推定する。
【0093】
図8は、通電制御手段7の処理手順を説明するフローチャートである。位相目標値決定手段8は、図8に示すステップ20で、ブラシレスDCモータ4を運転したい運転モードを「低消費電力運転」、「高利用率運転」、「高トルク運転」、または、「低騒音運転」の中から選択し、ブラシレスDCモータ4を低消費電力で運転したい場合は、ステップ21により、ブラシレスDCモータ4を「低消費電力運転」できるように、位相目標値を、−15度の進み位相に設定し、ブラシレスDCモータ4を高利用率で運転したい場合は、ステップ22により、「高効率運転」で運転できるように、位相目標値を零度に設定し、ブラシレスDCモータ4を高トルクまたは低騒音で運転したい場合は、ステップ23により、「高トルク運転」または「低騒音運転」できるように、位相目標値を、+15度の進み位相に設定する。
【0094】
次に、転流周期決定手段9は、ステップ24により、転流位相推定手段6が推定した今回の転流位相θnと、位相目標値決定手段8が決定した位相目標値との差から今回の位相偏差enを演算する。位相偏差enは(数3)により表現される。
【0095】
en=θn−(位相目標値)・・・(数3)
次に、前回の転流タイミングまでに累積された位相偏差積分値Eiに今回の転流位相enを加えて今回の位相偏差積分値Eiとし、位相偏差積分値Eiを(数4)で示す演算式により更新しておく。
【0096】
Ei=Ei+en・・・(数4)
次に、位相偏差enに正比例する比例項と位相偏差を積分した位相偏差積分値Eiに比例する積分項を加算したPI演算式(数5)により次回の転流周期Tnを演算し、該転流位相が該位相目標値に対して遅れ位相となる場合、転流周期を減少させ、該位相が該位相目標値に対して進み位相となる場合、転流周期を増加させるような負帰還が構成されるような次回の転流周期Tnを決定する。ここで、Gpは比例ゲイン、Giは積分ゲインとする。
【0097】
Tn=Gp×en+Gi×Ei・・・(数5)
次に、転流指令送出手段10は、ステップ25により、転流タイミングがタイムアップしたことを判定し、転流タイミングがタイムアップするまでは待ちの状態にあるが、タイムアップすると、ステップ26により、転流周期決定手段9が決定した今回の転流周期Tn−1を次回の転流周期Tnの値に更新し、前回の転流周期Tn−2を今回の転流周期Tn−1の値に更新し、前々回の転流周期Tn−3を前回の転流周期Tn−2の値に更新する。次に、転流指令送出手段10は、ステップ27により、転流周期決定手段9が決定した次回、今回、前回、前々回の転流周期Tn、Tn−1、Tn−2、Tn−3を平均して移動平均値Taを演算し、ステップ28により、今回の転流タイミングから該移動平均値Taに相当する時間が経過したことを判定し、該時間が経過するまでは待ちの状態にあるが、該時間が経過したとき、ステップ29により、ワンショットの転流指令を送出する。
【0098】
次に、通電制御信号発生手段11は、ステップ30により、転流指令送出手段10より該転流指令が送出されるタイミングで、インバータ回路3を120度通電で制御する通電制御信号U0+、V0+、W0+、U0−、V0−、W0−を送出する。
【0099】
図9は、通電制御信号の発生タイミングを説明するタイムチャートである。図9(イ)は転流指令のタイムチャートで、通電制御信号発生手段11は、転流指令送出手段10が転流指令を送出する、図示する(1)、(2)、(3)のタイミングで、スイッチング素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを順次切り替える図9(ロ)に図示するような、120度通電型の通電制御信号U0+、V0+、W0+、U0−、V0−、W0−を送出する。ドライバ回路12は、該通電制御信号を変換して、スイッチング素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動できる、図9(ハ)に図示するような、駆動信号U+、V+、W+、U−、V−、W−をインバータ回路3に送出し、インバータ回路3を通電制御する。
【0100】
このように構成される実施の形態1の動作について説明する。ブラシレスDCモータ4の負荷トルクが何かの原因で増大する場合について考える。負荷トルクが増大した直後は、イナーシャは急激には変化しないので、回転数は急激には変化せず、誘起電圧の急変、巻線電流の急変、および、発生トルクの急変も起こらない。ブラシレスDCモータ4は、常に〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡して動作するが、(発生トルク)が一定値に保存されるため、負荷トルクが増大した分だけ加速トルクが減少し、ブラシレスDCモータ4はイナーシャの回転エネルギーを軸に放出しながら減速し始める。ブラシレスDCモータ4の減速にともない、巻線の誘起電圧は減少するが、巻線電圧は、Vd−(巻線の誘起電圧)に等しいので、巻線電圧は増加し、同時に巻線電流も増加して発生トルク不足を補う方向に作用する。
【0101】
ブラシレスDCモータ4の減速直後において、転流周期決定手段9の処理により、転流位相推定手段6が推定した位相と、位相目標値決定手段8が決定した位相目標値の偏差からPI演算により転流周期が算出されるが、転流指令送出手段10の処理により該転流周期の移動平均値は急変しないので、前回の転流タイミングから該転流周期の移動平均値に相当する時間が経過して転流指令が送出されるタイミング、すなわち、次回の転流タイミングの急変は起きず、転流位相は位相目標値に対して進み位相となる。
【0102】
転流位相が位相目標値に対して進み位相となるのにともない、転流位相推定手段6の処理により、転流位相推定手段6が算出する正規化電流変位は減少するので、その正規化電流変位に対応する転流位相は減少する。転流周期決定手段9の処理により、減少した転流位相と位相目標値の偏差は負となり、該偏差をPI演算した次回の転流周期は長くなる。転流指令送出手段10の処理により、転流タイミングの間隔は除々に増加し、転流タイミングの進み位相は徐々に改善される。転流タイミングの進み位相の改善にともない、転流位相と位相目標値との偏差は零に近づくが、転流位相と位相目標値の偏差が少しでもある限り、転流周期決定手段9の処理により、転流位相と位相目標値の偏差は負となり、該偏差からPI演算した次回の転流周期は今回の転流周期よりも長くなるので、転流タイミングの進み位相はいっそう改善され、転流位相と位相目標値との偏差が零となるところまでこの動作は続き、転流位相と位相目標値との偏差が零となるところで落ち着く。
【0103】
ここで、転流位相と位相目標値との偏差が零となるところで、負荷トルクが増加する直前と比べて、転流周期は長くなるが、転流周期が長くなる→回転数が減少する→巻線の誘起電圧が減少する→巻線電圧が増加する→巻線電流が増加する→発生トルクが増加する、の因果関係により、(発生トルク)が増加するが、(負荷トルク)が増加した分だけ(発生トルク)が増加して(加速トルク)が零、すなわち、ブラシレスDCモータ4の減速が止まる状態で、〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡して落ち着くことになる。
【0104】
次に、ブラシレスDCモータ4の負荷トルクが何かの原因で減少する場合について考える。負荷トルクが減少した直後は、イナーシャは急激には変化しないので、回転数は急激には変化せず、誘起電圧の急変、巻線電流の急変、および、発生トルクの急変も起こらない。ブラシレスDCモータ4は、常に〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡して動作するが、(発生トルク)が一定値に保存されるため、負荷トルクが減少した分だけ加速トルクが増加し、ブラシレスDCモータ4はイナーシャの回転エネルギーを軸から吸収しながら増速し始める。ブラシレスDCモータ4の増速にともない、巻線の誘起電圧は増加するが、巻線電圧は、Vd−(巻線の誘起電圧)に等しいので、巻線電圧は減少し、同時に巻線電流も減少して余剰トルクを抑える方向に作用する。
【0105】
ブラシレスDCモータ4の減速直後において、転流周期決定手段9の処理により、転流位相推定手段6が推定した位相と、位相目標値決定手段8が決定した位相目標値の偏差からPI演算により転流周期が算出されるが、転流指令送出手段10の処理により該転流周期の移動平均値は急変しないので、前回の転流タイミングから該転流周期の移動平均値に相当する時間が経過して転流指令が送出されるタイミング、すなわち、次回の転流タイミングの急変は起きず、転流位相は位相目標値に対して遅れ位相となる。
【0106】
転流位相が位相目標値に対して遅れ位相となるのにともない、転流位相推定手段6の処理により、転流位相推定手段6が算出する電流の正規化電流変位は増加するので、その正規化電流変位に対応する転流位相は増加する。転流周期決定手段9の処理により、増加した転流位相と位相目標値の偏差は正となり、該偏差をPI演算した次回の転流周期は短くなる。転流指令送出手段10の処理により、転流タイミングの間隔は除々に減少し、転流タイミングの遅れ位相は徐々に改善される。転流タイミングの遅れ位相の改善にともない、転流位相と位相目標値との偏差は零に近づくが、転流位相と位相目標値の偏差が少しでもある限り、転流周期決定手段9の処理により、転流位相と位相目標値の偏差は正となり、該偏差からPI演算した次回の転流周期は今回の転流周期よりも短くなるので、転流タイミングの進み位相はいっそう改善され、転流位相と位相目標値との偏差が零となるところまでこの動作は続き、転流位相と位相目標値との偏差が零となるところで落ち着く。
【0107】
ここで、転流位相と位相目標値との偏差が零となるところで、負荷トルクが減少する直前と比べて、転流周期は短くなるが、転流周期が短くなる→回転数が増加する→巻線の誘起電圧が増加する→巻線電圧が減少する→巻線電流が減少する→発生トルクが減少する、の因果関係により、(発生トルク)が減少するが、(負荷トルク)が減少した分だけ(発生トルク)が増加して(加速トルク)が零、すなわち、ブラシレスDCモータ4の減速が止まる状態で、〔(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)〕と(発生トルク)が平衡して落ち着くことになる。
【0108】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について図10〜図11を参照しながら説明する。実施の形態2は、転流位相推定手段6が転流位相を推定するのに要する処理時間を実施の形態1より短縮するために、正規化電流変位を算出する手順を合理化した部分のみが異なるだけで、実施の形態1と異なる部分についてのみ説明し、実施の形態1と同様な部分についての説明は省略する。
【0109】
図10は、正規化電流変位の算出方法を説明するための電流Idのタイムチャートである。図において、前回の転流タイミングt5から、今回の転流タイミングt6までの時間を転流周期Tとして求め、次に、時刻t5からt6までの1周期分において、所定のサンプリング間隔ΔIsを隔てて計測される電流Idの総和を、サンプリング回数、すなわち、T/ΔIsで除した商を、電流Idの平均値、すなわち、電流平均値Iaとして求める。次に、今回の転流タイミングt6から該転流周期の4分の3の時間が経過する時刻t7に達すると、今回の転流タイミングt6から転流周期Tの4分の3の時間が経過した時刻t7における電流Id(t7)を平均電流Iaで除した商を、時刻t7における正規化電流Id(t7)/Iaとして算出し、今回の転流タイミングt5から転流周期Tの2分の1の時間が経過した時刻t8における電流Id(t8)を平均電流Iaで除した商を、時刻t8における正規化電流Id(t8)/Iaとして算出し、時刻t7における正規化電流と時刻t8における正規化電流の差を正規化電流変位(ΔId/Ia)として算出する。
【0110】
ここで、正規化電流変位(ΔId/Ia)は、(数6)に示す式で表現できる。
【0111】
(ΔId/Ia)=〔Id(t7)−Id(t8)〕/Ia・・・(数6)
図11は、転流位相推定手段6の処理手順を説明するフロ−チャートである。転流位相推定手段6は、図11におけるフローチャートのステップ31にて、電流Idを計測・記録する。ステップ32にて、図10における、前回の転流タイミングt5から今回の転流タイミングt6までの時間を転流周期Tとして求め、ステップ33にて、所定のサンプリング間隔ΔIsを隔てて計測される、前回の転流タイミングt5から今回の転流タイミングt6までの電流Id一周期分の総和を、サンプリング回数、すなわち、T/ΔIsで除した商を、電流Idの平均値Iaとして算出し、前回の転流タイミングt5から、今回の転流タイミングt6までの転流周期1周期分の電流平均値Iaを求める。ステップ34にて、今回の転流タイミングt6から経過する時間が転流周期Tの4分の3すなわち、図4に示す時刻t7に達したことを判定し、該時間が時刻t7に達するまでは待ちの状態にあるが、該時間が時刻t7に達すると、ステップ35により、ステップ31で記録しておいた電流Idから、今回の転流タイミングt6から転流周期の4分の3の時間が経過した時刻、すなわち、図4に示す時刻t7における電流Id(t7)を電流平均値Iaで除した商を正規化電流Id(t7)/Iaとして演算し、今回の転流タイミングt6から転流周期の半分の時間が経過した時刻、すなわち、図4に示すt8における電流id(t8)を平均電流Iaで除した商を正規化電流Id(t8)/Iaとして演算し、ステップ36により、正規化電流Id(t7)/Iaと正規化電流Id(t8)/Iaの差を正規化電流変位ΔId/Iaとして算出し、ステップ37により、あらかじめ求めておいた実施の形態1と同様な図6に図示する相関曲線に基づいて、正規化電流変位ΔId/Iaに対応する今回の転流位相θnを求める。実施の形態2では、ステップ35により、今回の転流タイミングt6から所定の時刻t7、または、所定の時刻t8が経過した時刻におけるマイクロコンピュータのRAM上に記憶しておいた電流Idを、電流平均値Iaで除して、その商を正規化電流Id(t7)/IaおよびId(t8)/Iaとして演算して、この差から正規化電流変位ΔId/Iaを算出している。このような実施の形態2の正規化電流の演算方法では、実施の形態1におけるステップ16にて、所定のサンプリング間隔ΔIsを隔てて制御手段5のマイクロコンピュータのRAM上に記録してあった電流Idを電流平均値Iaで除した商を全て演算して、この商を全て正規化電流Id(t)/Iaとして、制御手段5のマイクロコンピュータのRAM上に記録するという処理が不要となり、当該処理に要する処理時間を短縮する事ができ、転流位相推定手段6が転流位相を推定するのに要する処理時間を実施の形態1より短縮することができ、処理速度の遅い安価なマイクロコンピュータを用いても、本発明を実現できるという効果を有する。
【0112】
以上で述べたように、本発明の実施の形態1および実施の形態2は、直流電源1からインバータ回路3に供給する電流を電流平均値で除した商を正規化電流として算出し、転流タイミングから転流周期の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過する2箇所の正規化電流変位から転流位相を推定して、推定した転流位相が目標位相に追従するようにインバータ回路3を通電制御するブラシレスDCモータ4の駆動方法を採用していているので、固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータ4を使用する場合でも容易に駆動することができるという効果がある。
【0113】
また、本発明の実施の形態1および本発明の実施の形態2は、従来のブラシレスDCモータ4の駆動方法のように転流位相が零に固定されずに、転流位相が位相目標値に追従するように転流タイミングを決定してブラシレスDCモータ4を制御する構成としているので、低消費電力、高利用率、高トルク、低騒音等の運転モードでブラシレスDCモータ4を運転したい場合に、位相目標値を所望する運転モードでブラシレスDCモータ4を運転するのに最適な位相目標値に設定すれば、所望する運転モードでブラシレスDCモータ4を運転するのに最適な位相目標値に追従するようにブラシレスDCモータ4を運転する事ができ、低消費電力、高利用率、高トルク、低騒音等の運転モードでブラシレスDCモータ4を運転したい場合に、所望する運転モードでブラシレスDCモータ4を運転する事ができる。
【0114】
なお、実施の形態1では、転流位相推定手段6は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源1からインバータ回路3に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻におけ該正規化電流を第2の正規化電流とし、前記第2の正規化電流と前記第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出しているが、第1の正規化電流を、今回の転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流にかえ、第2の正規化電流を、今回の転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における該正規化電流にかえて、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出してもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0115】
なお、実施の形態1では、転流位相推定手段6は、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前回の転流タイミングから今回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、直流電源1からインバータ回路3に供給される電流を該電流平均値で除した商を正規化電流として演算・記録し、今回の転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における該正規化電流を第1の正規化電流とし、今回の転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻におけ該正規化電流を第2の正規化電流とし、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出しているが、第1の正規化電流を、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における正規化電流にかえ、第2の正規化電流を、転流タイミングから転流周期に0.5以上1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における正規化電流第の正規化電流にかえて、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出してもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0116】
なお、実施の形態2では、転流位相推定手段6は、前々回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前々回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における第1の電流を電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における第2の電流を電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、前記第2の正規化電流と前記第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出しているが、第1の正規化電流を、転流タイミングから該転流周期に第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における第1の電流を該電流平均値で除した商として算出した第1の正規化電流にかえ、第2の正規化電流を、転流タイミングから該転流周期に第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における第2の電流を該電流平均値で除した商として算出した第2の正規化電流にかえて、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出してもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0117】
なお、実施の形態2では、転流位相推定手段6は、前々回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間を転流周期とし、前々回の転流タイミングから前回の転流タイミングまでの期間における電流の平均値を電流平均値として算出し、転流タイミングから該転流周期の半分の時間が経過した時刻における第1の電流を電流平均値で除した商を第1の正規化電流として算出し、転流タイミングから該転流周期の4分の3の時間が経過した時刻における第2の電流を電流平均値で除した商を第2の正規化電流として算出し、前記第2の正規化電流と前記第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出しているが、第1の正規化電流を、転流タイミングから該転流周期に0.5以上1以下である第1の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における第1の電流を電流平均値で除した商として算出した第1の正規化電流にかえ、第2の正規化電流を、転流タイミングから該転流周期に0.5以上から1以下である第2の所定倍率を乗じた積に相当する時間が経過した時刻における第2の電流を電流平均値で除した商として算出した正規化電流にかえて、第2の正規化電流と第1の正規化電流の差を正規化電流変位として算出してもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0118】
なお、実施の形態1または実施の形態2では、転流周期決定手段9に、転流位相推定手段6が推定した位相と位相目標値からPI演算により次回の転流周期を求め、転流位相推定手段6が推定した位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該位相が位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を決定するようにしているが、他の演算方法により次回の転流周期を求め、前記転流位相推定手段6が推定した位相が位相目標値に対して遅れ位相となる場合転流周期を減少させ、該位相が位相目標値に対して進み位相となる場合転流周期を増加させるような負帰還が構成されるように次回の転流周期を算出するようにしてもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0119】
なお、実施の形態1または実施の形態2では、転流周期決定手段9に、転流位相推定手段6が推定した今回の転流位相θnと転流位相推定手段6が推定した位相と位相目標値の差より位相偏差enを求め、位相偏差enに正比例する比例項と位相偏差を積分した位相偏差積分値Eiに比例する積分項を加算したPI演算式(数5)により次回の転流周期Tnを演算し、該転流位相が該位相目標値に対して遅れ位相となる場合、転流周期を減少させ、該位相が該位相目標値に対して進み位相となる場合、転流周期を増加させるような負帰還が構成されるような次回の転流周期Tnを決定しているが、位相偏差enに正比例する比例項と位相偏差を積分した位相偏差積分値Eiに比例する積分項と今回の位相偏差enと前回の位相偏差en−1の時間的変化率(en−en−1)/τに比例する微分項を加算したPID演算式(数7)により次回の転流周期Tnを演算し、該転流位相が該位相目標値に対して遅れ位相となる場合、転流周期を減少させ、該位相が該位相目標値に対して進み位相となる場合、転流周期を増加させるような負帰還が構成されるような次回の転流周期Tnを決定してもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0120】
Tn=Gp×en+Gi×Ei+Gv×(en−en−1)/τ・・・(数7)
ここで、Gpは比例ゲイン、Giは積分ゲイン、Gvは部分ゲイン、τは転流周期、en−1は前回の位相偏差、とする。
【0121】
なお、実施の形態1または実施の形態2では、転流指令送出手段10は、前々回、前回、今回、次回の転流周期4個分の平均値を移動平均値として演算して転流周期の平均値を求めているが、転流タイミング毎に転流周期決定手段9から送出される転流周期任意個分の平均値を移動平均値として演算して転流周期の平均値を求めても良く、その作用効果に差異を生じない。
【0122】
なお、なお、実施の形態1または実施の形態2では、転流指令送出手段10は、前々回、前回、今回、次回の転流周期を平均して得られる移動平均値を演算して転流周期の平均値を求めているが、転流周期決定手段9から送出される転流周期を電圧に変換した後、抵抗とコンデンサによって構成される平滑回路を使って平均値を求めてもよく、その作用効果に差異を生じない。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、運転中の直流電源からインバータ回路に供給される電流を検出する簡易な電流検出回路を設けるだけで、ブラシレスDCモータを低騒音、高効率、または、高トルクのいずれかの運転モードで運転したい要望がある民生機器、産業機器の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態1の基本的な構成を示すブロック図
【図2】同、電流Idの記録方法を説明するための転流転流位相をパラメータとする電流Idの時間的変化を図示したタイムチャート
【図3】同、正規化電流の算出方法を説明するための転流位相をパラメータとする正規化電流の時間的変化を図示したタイムチャート
【図4】同、正規化電流変位の算出方法を説明するタイムチャート
【図5】同、正規化電流のタイムチャート
【図6】同、正規化電流変位と転流位相の相関を示す相関曲線図
【図7】同、転流位相推定手段の処理手順を説明するフロ−チャート
【図8】同、通電制御手段の処理手順を説明するフローチャート
【図9】同、通電制御信号の発生タイミングを説明するタイムチャート
【図10】同、正規化電流変位の算出方法を説明するための電流Idのタイムチャート
【図11】同、転流位相推定手段の処理手順を説明するフロ−チャート
【図12】従来の固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータを使用した場合のブラシレスDCモータとその駆動装置を示す構成図
【図13】同、インバータ回路とブラシレスDCモータの等価回路図
【図14】同、固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータとその駆動装置の各部の波形を示すタイムチャート
【図15】同、固定子巻線のインダクタンスが小さいブラシレスDCモータ駆動装置の転流タイミングの決定方法と位相ずれの補正方法を説明する直流電源からインバータ回路に供給する電流Idのタイムチャート
【図16】同、インダクタンスが大きいブラシレスDCモータとその駆動回路の各部の波形を示すタイムチャート
【図17】同、固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用した駆動回路の電流Idの波形を図示するタイムチャート
【図18】同、固定子巻線のインダクタンスが大きいブラシレスDCモータを使用した駆動回路の基本的な構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0125】
1 直流電源
2 電流検出回路
3 インバータ回路
4 ブラシレスDCモータ
5 制御手段
6 転流位相推定手段
7 通電制御手段
8 位相目標値決定手段
9 転流周期決定手段
10 転流指令送出手段
11 通電制御信号発生手段
12 ドライバ回路




 

 


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